交通事故の被害者請求とは?メリットや請求方法、必要書類を解説
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故の被害者請求とは、自賠責法第16条を根拠に、交通事故の被害者が加害者側の自賠責保険に対して直接損害賠償金の請求を行うことをいいます。
被害者請求をすると、「自賠責保険から支払われる賠償金」は、示談前に受け取れます。統計では、請求から約1か月を目途に支払われることが多いです。
ただし、最低限の補償額であること、物損部分の賠償金はないこと、手間がかかることなどには注意しておきましょう。
この記事では、被害者請求のやり方や、被害者請求でもらえる金額、被害者請求をした方がよいケースなどを解説しています。被害者請求を検討している方は、ぜひご一読ください。
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交通事故の被害者請求とは?補償内容や支払いまでの期間
被害者請求とは自賠責保険に損害賠償金を直接請求する方法
被害者請求とは、交通事故の被害者が加害者側の自賠責保険会社に対し、損害賠償金を直接請求する方法をいいます。
加害者側との示談成立前であっても支払いを受けられるのが被害者請求の特徴です。
必要書類を加害者側の自賠責保険に提出すれば、損害額の調査・計算が行われ、請求から1か月程度で損害賠償金が支払われるでしょう。
被害者請求は自動車損害賠償保障法16条で定められている権利のため、「16条請求」と呼ばれることもあります。
第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。
自動車損害賠償保障法第16条第1項
そもそも自賠責保険とは?
自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法によって、すべての自動車に加入が義務付けられている強制保険です。
自賠責保険は交通事故の被害者への最低限の補償を目的としています。
よって、自賠責保険から支払われる金額は、自賠責基準という基準に沿った最低限のものであるうえ、支払限度額も設けられています。これは、被害者請求をした場合も同様です。
交通事故の損害賠償金のうち、自賠責保険からの支払いのみでは足りない分については、加害者の任意保険や加害者自身などから支払いを受けることになるでしょう。

被害者請求でもらえる費目・金額|限度額あり
自賠責保険からは人身損害に関する損害賠償金のみ受け取れます。物損に関する損害賠償金は受け取れません。これは、被害者請求をした場合も同じです。

被害者請求で請求できる主な損害賠償費目は以下の通りです。
事故でケガを負った場合
入通院慰謝料 | 事故によるケガで入通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する補償 |
休業損害 | 事故によるケガが原因で、休業したことによる減額分の補償 |
治療関係費 | 治療費、通院交通費、入院費、看護料、雑費、診断書代など |
文書料 | 交通事故証明書や印鑑証明書など被害者請求に必要な文書料 |
事故で後遺障害を負った場合
後遺障害慰謝料 | 後遺障害の残存により、今後強いられる精神的苦痛に対する補償 |
後遺障害逸失利益 | 後遺障害が残らなければ将来得られたはずの収入に対する補償 |
事故で死亡した場合
死亡慰謝料 | 命を奪われた被害者本人や遺族の精神的苦痛に対する補償 |
死亡逸失利益 | 被害者が生きていれば得られたはずの経済的利益の喪失に対する補償 |
葬儀費 | 葬儀などにかかる費用の補償 |
上記の費目のうち、慰謝料や休業損害などは、「自賠責基準」という基準で計算された金額が支払われます。
治療費や文書料、葬儀費などは、一定の範囲内で実費が認められるでしょう。自賠責保険会社から支払われる賠償金額は法で定められているので増額交渉はできません。
自賠責基準の各費目の計算方法
- 入通院慰謝料
4,300円×(治療期間または実治療日数×2のうち少ない方) - 後遺障害慰謝料
認定された後遺障害等級に応じて32万円~1,650万円 - 死亡慰謝料
本人分400万円+遺族の人数に応じた金額 - 休業損害
6,100円×休業日数
※2020年4月1日以降に発生した交通事故の場合
上記の自賠責基準で計算した金額は、被害者に補償される最低限の金額になっています。
自賠責基準における慰謝料の計算方法は『自賠責保険から慰謝料はいくらもらえる?』にて解説しています。
休業損害は、収入減の立証がある場合にかぎって日額19,000円を限度とした請求が認められる可能性もあるので、関連記事『交通事故の休業損害|計算方法を職業別に網羅!』を参考に、提出資料を検討しましょう。
被害者請求の限度額
自賠責保険はあくまで被害者の損害を最低限補償するための保険です。
よって、被害者請求で自賠責保険からもらえる金額には限度額が存在します。
具体的には、ケガの治療にかかった傷害分は120万円、後遺障害部分は等級に応じて75万円から4,000万円、死亡分は3,000万円が限度です。
- 傷害分:120万円
- 後遺障害分:75万円~4,000万円
- 死亡分:3,000万円
上記のうち、後遺障害分の限度額は、後遺障害等級に応じて決められています。
後遺障害等級ごとの限度額
等級 | 限度額 |
---|---|
1級(要介護) | 4,000万円 |
2級(要介護) | 3,000万円 |
1級 | 3,000万円 |
2級 | 2,590万円 |
3級 | 2,219万円 |
4級 | 1,889万円 |
5級 | 1,574万円 |
6級 | 1,296万円 |
7級 | 1,051万円 |
8級 | 819万円 |
9級 | 616万円 |
10級 | 461万円 |
11級 | 331万円 |
12級 | 224万円 |
13級 | 139万円 |
14級 | 75万円 |
被害者請求で得られる自賠責保険の金額を超える分は、加害者側の任意保険会社または加害者本人に対して請求する必要があります。
限度額を超えた分の請求方法に関して詳しく知りたい方は『交通事故慰謝料が120万を超えたらどうなる?自賠責保険の限度額や請求方法を解説』の記事をご覧ください。
被害者請求をしてから支払いまでの期間
被害者請求の手続きをしてから損害賠償金が支払われるまでの期間は、1か月以内であることがほとんどです。
被害者請求の手続きをすると、自賠責損害調査事務所が調査を行い、損害額が算定され、損害賠償金が支払われます。
自賠責損害調査事務所における損害調査所要日数(2021年度)
期間 | 割合 |
---|---|
30日以内 | 96.3% |
31日~60日 | 2.2% |
61日~90日 | 0.9% |
91日以上 | 0.7% |
参考:損害保険料率算出機構「2022年度(2021年度統計) 自動車保険の概況」
ただし、上記は被害者請求全体の統計です。後遺障害等級認定を兼ねるケースや死亡事故のケースでは、調査に1か月以上かかる割合が高くなります。
被害者請求以外の方法|加害者請求や仮渡金
加害者側の自賠責保険に対しては、「加害者請求」という方法で間接的に損害賠償を請求することもできます。
また、被害者請求には「本請求」と「仮渡金請求」の2種類があります。
「加害者請求」、「仮渡金請求」の内容や、被害者請求の本請求との違いは以下の通りです。
加害者請求とは?
加害者側は、自賠責保険からの賠償金を立て替えて被害者に支払うことがあります。
加害者請求とは、被害者に支払った損害賠償金のうちの自賠責保険分について、加害者側があとから自賠責保険会社に請求する手続きのことです。
つまり、被害者が自賠責保険からの賠償金を受け取るルートは2つあるといえます。
- 加害者本人または加害者の任意保険会社から一括で受け取る
- 被害者請求で加害者の自賠責保険会社に直接請求して受け取る
加害者請求により自賠責保険分の支払いを受ける場合には、以下のようなメリットとデメリットが考えられます。
- 加害者請求のメリット
- 被害者請求を行うために必要な書類収集などの手間が省ける
- 加害者請求のデメリット
- 加害者との示談が成立するまでは支払いを受けることができない
仮渡金請求とは?
被害者請求には、本請求の他に「仮渡金請求」という方法もあります。
本請求では支払い基準により計算された金額が被害者へ支払われますが、仮渡金請求では「損害の程度に応じて設定されている一定金額」が支払われます。
この金額は、事故でケガをした場合はケガの程度に応じて5万円~40万円、死亡した場合は290万円です。
なお、仮渡金は損害賠償金の前払いのような形をとるので、仮渡金として受け取った金額は、あとから支払われる損害賠償金から控除されます。
なお、仮渡金請求を行った場合、被害者請求(本請求)を行えないといった制限はありません。
早くまとまったお金が必要なときは、まず仮渡金請求で当座の資金を確保し、追って被害者請求(本請求)の支払いを受けるといったことも可能です。
仮渡金制度については、『内払い金・仮渡金を解説|交通事故の慰謝料を示談前に受け取る方法』で詳しく解説しています。
交通事故の被害者請求のやり方
被害者請求の流れ|損害賠償金支払いまでのフロー
被害者請求の流れは、以下のとおりです。
- 加害者の加入する自賠責保険会社を特定する
- 特定した自賠責保険会社から被害者請求の書式を取り寄せる
- 自賠責保険会社へ書類を提出する
- 自賠責保険会社が書類に不備がないか確認して、調査機関である損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)へ送付する
- 損害保険料率算出機構は、事故の発生状況、自賠責保険の対象となる事故かどうかや因果関係、発生した損害などを公正かつ中立の立場で調査する
- 損害保険料率算出機構が自賠責保険会社に調査結果を報告する
- 調査結果を踏まえ、自賠責保険会社が支払基準に従って損害賠償金を支払う
加害者が加入する自賠責保険会社は、通常、交通事故証明書から特定できます。交通事故証明書には、警察が確認した事故当事者の車検証と自賠責保険証の内容が記載されているためです。
交通事故証明書の入手方法については『交通事故証明書のもらい方は?後日取得やコピーの可否も解説』の記事をご確認ください。
なお、まれに交通事故証明書で加害者側の自賠責保険を特定できないことがあります。その場合は弁護士照会などの手段をとる必要があるので、弁護士までお問い合わせください。
被害者請求をするタイミングは?
被害者請求は、対象となる損害が発生してから自賠責保険への請求期限までなら、いつでも行うことが可能です。
なお、請求期限は起算日から3年になります。
被害者請求は治療段階であっても行えますし、請求期限及び限度額に達するまでなら何回でも可能です。
被害者請求の必要書類とその取得方法
被害者請求の必要書類と取得方法は以下のとおりです。
被害者請求の必要書類・取得方法
必要書類 | 取得方法 |
---|---|
保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書 | 自賠責保険から書式を取り寄せ、被害者自身で作成 |
交通事故証明書 | 自動車安全運転センターから取得 |
人身事故証明書入手不能理由書 (警察で物損事故扱いの場合) | 加害者側に作成を依頼 |
事故発生状況報告書 | 自賠責保険から書式を取り寄せ、被害者自身で作成 |
医師の診断書・診療報酬明細書 (死亡の場合は死体検案書) | 受診した医療機関すべてから取得 |
施術証明書・施術費明細書 (整骨院や接骨院に通った場合) | 施術を受けた整骨院や接骨院から取得 |
通院交通費明細書 (タクシー利用の場合は領収書) | 自賠責保険から書式を取り寄せ、被害者自身で作成 |
付添看護自認書 (病院で要付添とされた場合) | 自賠責保険から書式を取り寄せ、被害者自身で作成 |
事業主の休業損害証明書 (給与所得者は源泉徴収票添付) (自営業者は以下の書類を添付) ・納税証明書 ・課税証明書 ・確定申告書 | 勤務先の会社に書式を渡して作成を依頼 |
後遺障害診断書 (後遺障害認定を申請する場合) | 医師に通常の診断書とは異なった書式を渡して作成を依頼 |
レントゲン写真等 | 撮影したすべての病院から取得 |
戸籍謄本 (被害者死亡の場合) | 本籍のある市区町村役場で取得 |
印鑑証明書 (未成年者の場合は以下の書類※) ・住民票 ・戸籍抄本 | 登録した市区町村役場で取得 |
委任状及び委任者の印鑑証明書 (代理人に請求を依頼する場合) | 登録した市区町村役場で取得 |
※未成年者は原則として親権者または後見人による請求となる。事故発生時は未成年でも請求時に成人している場合は被害者本人が請求する。
各書類の取得方法や書き方は、自賠責保険への請求について解説した記事『自賠責保険とは?請求方法と必要書類の書き方』でも紹介しているので、準備の際に参考にしてみてください。
交通事故で被害者請求を検討すべきケース
(1)加害者側との示談前に一定の金額を受け取りたい
損害賠償金は、基本的に加害者側との示談が成立することで示談金として受け取ることができます。
しかし、被害者請求を行えば、示談成立前であっても自賠責保険の支払い分を受け取ることが可能です。示談成立前にまとまった金額を受け取りたい場合は、被害者請求を検討するとよいでしょう。
とくに、以下のようなケースでは、被害者請求をするメリットが大きいと言えます。
- 医療費を被害者自身が立て替えているなど、交通事故による出費が膨らんでいるケース
- 示談交渉が長期化していて、なかなか損害賠償金を受け取れないケース
示談金が支払われないため金銭的な余裕がなくなると、自身に不利な条件で示談してしまう恐れがあります。
このようなリスクを防ぐために、被害者請求を行い、示談成立前に損害賠償金の一部を入手するべきといえるでしょう。
医療費を被害者自身で立て替える場合には、健康保険を利用することが可能です。
健康保険の利用方法について詳しく知りたい方は『交通事故で健康保険は使える!使えないケースやデメリットも解説』の記事をご覧ください。
(2)被害者側の過失割合が大きい
過失割合とは、交通事故における責任の程度を表したものであり、事故の内容によっては被害者にも認められることがあります。
被害者側に過失割合が付くと、「過失相殺」によって、損害賠償金が減額されるのです。
しかし、自賠責保険の支払で適用される過失相殺の減額幅には制限があるため、被害者請求を行うと本来は過失相殺で減額される部分についても請求することができます。
例えば、被害者側に50%の過失が付いたとしても、自賠責保険からは減額されることなく、100%の損害賠償金を受け取ることが可能です。
被害者請求における過失相殺
被害者の過失割合 | 減額割合 (傷害分) | 減額割合 (後遺障害・死亡分) |
---|---|---|
7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割以上9割未満 | 2割減額 | 3割減額 |
9割以上10割未満 | 2割減額 | 5割減額 |
そのため、被害者側の過失が大きいときは、あえて被害者請求をおこない、加害者側の自賠責保険のみから損害賠償金を受け取った方がよい可能性があります。
(3)加害者が任意保険に未加入
加害者が任意保険に加入していない場合、加害者請求によって損害賠償金が支払われます。
具体的には、示談成立後に加害者本人から損害賠償金を支払ってもらい、その後加害者が自身の自賠責保険に保険金を請求するような流れになるでしょう。
しかし、加害者に資力がない場合、損害賠償金が支払われなかったり、分割払いになったりする可能性があります。
このような場合、被害者請求を行えば、ひとまず自賠責保険の支払い分を一括で受け取れるので安心です。
交通事故の被害者請求のデメリットと注意点
(1)被害者請求には時間と手間がかかる
被害者請求のデメリットとして、必要書類が非常に多く、時間と手間がかかることがあげられます。
必要書類には、自身で記入するものだけではなく、自動車安全運転センターから取得するもの、医療機関や職場に作成を依頼するものなどがあります。治療や日常生活への復帰と並行して書類を収集することになるので、ある程度の負担はかかるでしょう。
被害者請求の手続きを弁護士に任せることで負担は軽減できます。後述の「弁護士費用特約」を使えば、被害者自身の費用負担なく弁護士に依頼できるので、一度検討してみてください。
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(2)被害者請求を拒否されるケースがある
自賠責保険に被害者請求をしても、無条件に認められるわけではありません。以下のようなケースでは、請求を拒否される可能性が高いです。
被害者請求を拒否されるケース
- 加害者の過失割合が0のケース
- 交通事故と損害との因果関係が証明できないケース
- 加害者がわざと交通事故を起こしたケース
- 後遺障害等級に認定されなかったケース(※後遺障害部分の費目のみ拒否)
それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
加害者の過失割合が0のケース
加害者の過失割合が0の場合は、そもそも加害者に損害賠償金を支払う責任がありません。
自賠責保険は、加害者が支払うべき損害賠償金を肩代わりする保険です。加害者に損害賠償金を支払う責任がないなら、自賠責保険が肩代わりすべきお金もないので、被害者請求をしても損害賠償金は受けとれません。
交通事故と損害との因果関係が証明できないケース
自賠責保険から補償を受けられる損害は、事故と相当因果関係のあるものに限られます。
車両の損傷が判然としないほどの軽微な事故など、事故とケガとの因果関係が証明できないケースでは、請求が拒否される可能性があるでしょう。
なお、被害者請求をする場合、ケガなどの損害と交通事故との因果関係は、被害者が証明しなければなりません。
加害者がわざと交通事故を起こしたケース
自動車損害賠償保障法14条では、「保険契約者又は被保険者の悪意によつて生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる」と定められています。
この条文は、「事故を起こしたのがわざとではないなら自賠責保険が加害者の支払いを肩代わりするが、わざとなら肩代わりはしない」といった意味合いです。
そのため、加害者がわざと交通事故を起こした場合は、被害者請求をしても拒否されてしまいます。
後遺障害等級が認定されなかったケース
交通事故による後遺症が残った場合、被害者請求をすると、まずその後遺症が「後遺障害等級」に認定されるか審査されます。
審査の結果、後遺障害等級が認定されれば、認定された等級をもとに後遺障害に対する費目の金額が支払われます。
しかし、後遺障害等級が認定されなければ、後遺障害に対する費目は支払われません。
後遺障害等級は必ずしも認定されるものではないので、被害者請求時には審査対策を施した書類を提出する必要があるでしょう。
(3)被害者請求には請求期限がある
自賠責保険に対する被害者請求には、3年という請求期限(時効)が存在します。
第十六条第一項及び第十七条第一項の規定による請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知つた時から三年を経過したときは、時効によつて消滅する。
自動車損害賠償保障法第19条
請求期限を数え始める起点は、請求区分によって異なり、具体的には以下のとおりです。
被害者請求の請求期限
請求区分 | 請求期限 |
---|---|
傷害 | 事故発生日の翌日から3年 |
後遺障害 | 症状固定日の翌日から3年 |
死亡 | 死亡した日の翌日から3年 |
※ひき逃げなどで加害者を知ったのが上記基準日より後の場合、その日から3年
なお、民法改正により、加害者に対する人身分の損害賠償請求権の時効は5年に延長されました。
しかし、被害者請求の時効は延長されてないので注意が必要です。
もし、請求期限(時効)が迫っている場合には、時効の進行を止める方法(時効の更新や完成の猶予)もあるので、弁護士にご相談ください。
被害者請求を行うなら弁護士に相談を
被害者請求を弁護士に頼むメリットは多い
被害者請求を行うのであれば、被害者請求を含めた損害賠償請求の手続きすべてについて弁護士へ相談・依頼すべきでしょう。
弁護士に依頼することで、以下のようなメリットが生じます。
- 煩雑な手続きを一任できる
- 後遺障害等級に認定される可能性が高まる
- 被害者請求後の示談交渉で得られる金額が多くなる
(1)煩雑な手続きを一任できる
被害者請求は早期に損害賠償金を得られるといったメリットがある一方で、必要書類の収集が非常に煩雑というデメリットもあります。
弁護士に依頼すれば、被害者請求の負担を大幅に軽減できます。
弁護士に依頼することで、必要書類を被害者自身で集める手間を少なくするだけでなく、書類を素早く収集でき、損害賠償金を迅速に受け取ることも可能です。
被害者請求を行いたいが、治療や仕事、家事などで忙しい方は、弁護士への依頼を検討してみてください。
(2)後遺障害等級に認定される可能性が高まる
被害者請求で後遺障害に関する費目を請求すると、まず後遺障害等級認定の審査がおこなわれます。
後遺障害等級認定では、提出した書類の内容によって、本来よりも低い等級に認定されたり、非該当になったりする可能性もあります。
適切な後遺障害等級に認定されるには、提出書類の質を上げ、効果的な追加書類を添付することが重要です。
しかし、過去の認定事例や専門知識に精通していなければ、どのように書類の質を上げ、どのような追加書類を添付すべきか判断が難しいといえます。
この点、専門家である弁護士であれば、これまでの実務経験を踏まえてどのような添付資料が必要か判断でき、適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まるのです。
既に後遺障害等級認定の申請をされた方でも、異議申し立てをすれば再審査が受けられるので、弁護士に相談してみることをおすすめします。
(3)被害者請求後の示談交渉で得られる金額が多くなる
被害者請求で自賠責保険分の損害賠償金を受け取ったら、今度は残りの損害賠償金を得るため、加害者側の任意保険会社と示談交渉を行うことになるでしょう。
被害者請求の手続きだけであれば行政書士に依頼することも可能ですが、被害者請求後の示談交渉まで対応を依頼できるのは基本的に弁護士だけです。
任意保険から支払われる金額は、示談交渉によって大きく左右されます。ここで注意すべきなのは、以下の2点です。
- 加害者側の任意保険会社は「任意保険基準」と呼ばれる基準にのっとった、低額な損害賠償金を提示してくる
- 被害者本人による交渉で、損害賠償金を十分に増額させられることはほとんどない
しかし、弁護士に依頼して示談交渉を代理してもらうと、弁護士や裁判所が用いる「弁護士基準」で計算した相場の損害賠償金額に近い金額まで、増額させられる可能性があります。
弁護士基準の金額は過去の判例をもとに設定されており、任意保険基準の2倍~3倍程度高額なことが多いです。

被害者請求後の示談交渉まで見据えるなら、弁護士に相談することをおすすめします。
ご自身のケースで、損害賠償金の内、慰謝料や逸失利益の相場がいくら位になるかを知りたいという方は、以下の慰謝料計算機をご利用ください。
弁護士費用特約を使えば弁護士費用の心配は不要
弁護士に相談や依頼する際の費用負担に不安がある方は、まず弁護士費用特約が使えるかどうかを確かめてみましょう。
弁護士費用特約とは、弁護士への相談料や依頼による弁護士費用を保険会社が負担してくれるオプションのことです。
保険によっても異なりますが、通常、相談料は10万円、依頼による弁護士費用は300万円を限度額として弁護士費用を負担してもらえます。
損害賠償金がよほど高額でない限り、弁護士費用が300万円をこえることはほぼありません。弁護士費用特約の限度額との兼ね合いが不安な方は、一度弁護士に問い合わせてみると良いでしょう。

また、弁護士費用特約は、被害者自身や家族の保険に付帯されていれば利用できる可能性があります。さらには自動車保険だけではなく、火災保険やクレジットカードなどに付帯されているものも利用できることが多いです。
弁護士費用特約のメリットは大きいので、交通事故の被害者になった場合は、ご自分やご家族の保険に付帯されているか必ず確認しましょう。
弁護士費用特約の内容や利用方法を詳しく知りたい方は『交通事故の弁護士費用特約を解説|使い方は?メリットや使ってみた感想も紹介』の記事をご覧ください。
アトム法律事務所に相談・依頼するメリット
被害者請求を弁護士に頼むことを検討していても、数多くいる弁護士の中からどの弁護士に依頼すればよいのかわからない方もいらっしゃると思います。
被害者請求から任せるのであれば、交通事故の取扱実績が豊富であること、そして相手方との増額交渉のノウハウを多く持っていることがポイントです。
アトムは交通事故分野に注力
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被害者請求を考えている人の中でも、「少しでも早く賠償金を受け取りたい」「後遺障害等級認定を受けたい」などお悩みは様々です。あらゆる角度から最適なアドバイスとサポートができるので、安心してご相談ください。
アトムは増額実績も多数
交通事故の損害賠償金は、自賠責保険から支払われる金額だけでは不十分なことが多いです。
つまり、被害者請求をしたあとに、相手方との示談交渉によって適正な金額の獲得を目指すことになります。
アトムの弁護士が保険会社との示談交渉に介入したことで、保険会社の提示額から最終的な回収額が5.2倍に増額した実績などがあります。

アトム法律事務所の弁護士が実際に解決した実績は幅広く、比較的軽傷で済んだ事案から、重大な結果になってしまった事案まで対応可能です。
アトム法律事務所は、交通事故の被害者の方から相談料や着手金といった費用を基本的にいただいておりません。
そのため、依頼時点では原則費用負担がないことがアトム法律事務所の特徴です。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了