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後遺障害申請は被害者請求の方法&弁護士が正解|必要書類も紹介

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士 岡野武志

弁護士&被害者請求セットが正解

2020年4月1日改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

この記事で解決できること

交通事故被害者の方が治療をしたものの、残存した後遺症に対する損害賠償金を受け取るためには、後遺障害等級認定を受ける必要があります。

適切な後遺障害等級認定の可能性を高めるには、被害者請求という申請方法かつ弁護士に依頼するのが一番確実です。

その理由の説明や後遺障害申請を被害者請求の方法で行う場合に必要な書類などの紹介をしていきます。

後遺障害の被害者請求の基礎知識

被害者請求は自賠責保険への直接請求

被害者請求とは自賠責保険会社に対し、加害者側との示談成立前に被害者自身で直接損害賠償金の支払いを請求することができる方法のことをいいます。

第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。

自動車損害賠償保障法第16条第1項

上記のとおり、自動車損害賠償保障法16条で定められている方法のため、「16条請求」と呼ばれることもあります。

被害者請求は後遺障害申請方法の一つ

自賠責保険に対する被害者請求は、傷害による損害だけではなく、後遺症による損害についても支払いを請求することができます。

ただし、後遺症による損害についての支払請求が認められるためには、後遺障害等級認定を受けることが必要となります。

つまり、後遺症による損害についての被害者請求は、後遺障害等級認定の申請を兼ねているのが通常ということになります。

もっとも、後遺障害等級認定の申請方法には、もう一つ「事前認定」という方法もあります。

二つの申請方法の内容の違いやそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

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後遺症と後遺障害の違い

被害者請求のメリット及びデメリット

被害者請求の流れ
被害者請求の流れ

先ほどお伝えしたとおり、被害者請求は、自賠責保険会社に対し、被害者が直接請求をする方法です。

そのため、後遺障害等級認定の申請についても、被害者請求の方法で行う場合、必要書類を被害者自身で準備した上で提出することになります。

メリット①提出書類をコントロールできる

被害者請求の方法であれば、どのような書類を提出するか自分で判断することができ、その内容も把握することができます

後遺障害等級認定は、原則として提出された書類や資料のみで判断されます。

つまり、実際の症状に比べて認定結果が不満の残るものであった場合、原因は提出書類・資料の不足や不備であると考えられます。

被害者請求の方法であれば、障害の状況を伝える陳述書や医師の意見書をつけて申請するなど、認定結果に納得のいく申請が可能となるメリットがあります。

メリット②示談前に自賠責保険金を受け取れる

後遺障害申請の被害者請求は、後遺症による損害についての支払い請求の一環として行われているものです。

そのため、後遺障害等級認定を受ければ、等級に応じた後遺障害慰謝料や保険金の支払いをその時点で(示談前に)受け取ることができるメリットもあります。

等級ごとの自賠責保険から受け取れる後遺障害慰謝料の金額及び保険金限度額(後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の合計額)は以下の表のとおりです。

等級慰謝料限度額
1級
(要介護)
1650
(1600)
4000
2級
(要介護)
1203
(1163)
3000
1級1150
(1100)
3000
2級998
(958)
2590
3級861
(829)
2219
4級737
(712)
1889
5級618
(599)
1574
6級512
(498)
1296
7級419
(409)
1051
8級331
(324)
819
9級249
(245)
616
10級190
(187)
461
11級136
(135)
331
12級94
(93)
224
13級57
(57)
139
14級32
(32)
75

※単位:万円 ※( )は2020年3月31日以前に発生した事故の金額 ※1~3級の該当者に被扶養者がいる場合には慰謝料の金額増額   

デメリット①手続きに手間がかかる

被害者請求の方法で申請する場合、必要書類をすべて被害者自身で集めなければならないため、非常に手間がかかるのがデメリットです。

特に、複数の病院で治療を受けていた場合、診断書などの書類の請求を各病院にしなければならず、その分手続きも増えることになります。

デメリット②書類・資料の取得費用負担の可能性

後遺障害申請を被害者請求の方法で行う場合、必要書類・資料の後遺障害診断書やレントゲンなどの画像を取得するために、病院に所定の費用を支払います。

この取得費用は、被害者が立て替える必要があり、後遺障害等級認定を受ければ後日請求が可能ですが、認定されなかった場合には被害者の負担になります。

事前認定のメリット及びデメリット

事前認定の流れ
事前認定の流れ

事前認定は、被害者の代わりに加害者側任意保険会社が後遺障害等級認定の申請手続きを行う方法です。

メリット①手続きの手間がかからない

後遺障害申請を事前認定の方法で行う場合、被害者が行う必要がある手続きは、医師から後遺障害診断書を取得して任意保険会社に提出することだけです。

それ以外の必要書類は、加害者側任意保険会社が準備をしてくれるので、被害者からすると手間がかからないというのがメリットになります。

メリット②必要書類・資料の取得費用の負担なし

後遺障害診断書以外の必要書類は、被害者が取得する必要がないので、当然費用もかかりません。

後遺障害診断書についても、立て替えをした分の領収書を加害者側任意保険会社に送れば支払いをしてくれるため、費用負担の心配がないのもメリットです。

デメリット①提出書類をコントロールできない

後遺障害申請を事前認定の方法で行う場合、加害者側任意保険会社は、最低限の必要書類しか通常提出せず、認定に有利な追加書類の提出は期待できません。

それどころか、事案によっては、加害者側任意保険会社の顧問医が作成した認定に不利な内容の意見書を添付して申請されてしまう可能性もあります。

このように、事前認定の方法では、提出書類をコントロールできず、認定結果に納得ができない形になってしまう可能性があるというデメリットがあります。

デメリット②示談まで自賠責保険金を受け取れない

後遺障害認定を加害者側任意保険会社が事前認定という方法で申請する目的は、示談後に自賠責保険に請求(加害者請求)できる金額の事前確認にあります。

そのため、後遺障害等級認定を受けても、事前認定の場合、自賠責保険金(分)は加害者側任意保険会社と示談するまでは受け取れないデメリットがあります。

被害者請求と事前認定のメリット・デメリットをまとめると以下のとおりです。

被害者請求事前認定
提出書類のコントロール可能不可能
自賠責保険の受領時期後遺障害認定時
(示談前)
示談後
手続きの手間かかるかからない
費用負担の可能性ありなし

被害者請求の流れ・必要書類・期間

後遺障害等級認定までの手続きの流れ

後遺障害等級認定の手続きの流れ
後遺障害等級認定の手続きの流れ

交通事故発生から後遺障害等級認定までの手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 交通事故発生
  2. 入通院治療
  3. 症状固定
  4. 後遺障害診断書の作成
  5. 後遺障害等級認定の申請
  6. 後遺障害等級認定

上記のうち、⑤以外は被害者請求の方法でも事前認定の方法でも大まかな流れは同じです。

それぞれの流れの中で、後遺障害等級認定の申請を被害者請求の方法で行う関係上、特に注意すべき点を確認していきましょう。

なお、被害者請求全般の流れを知りたい方は「被害者請求の保険金支払いまでの流れ」をご覧ください。

①交通事故発生

交通事故に遭った場合は、必ず警察に連絡する必要があります。

これは、道路交通法上の義務であるだけでなく、連絡をしていないと被害者請求の必要書類である交通事故証明書が取得できなくなるからです。

また、警察に診断書を提出し、人身事故の届出をしておくことも大事です。

被害者請求は、原則として交通事故証明書上、人身事故として扱われている必要があるからです。

②入通院治療

後遺障害等級認定の被害者請求との関係では、定期的な通院が重要になります。

原則として提出された書類や資料のみで判断される後遺障害等級認定において、診断書記載の通院日数は重要な判断要素の一つだからです。

特に、他覚的所見(症状を裏付ける医学的根拠)の乏しいむちうちで後遺障害の認定を受けるには、通院日数が一定程度以上であることが条件の一つです。

③症状固定

症状固定

医学上一般的に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待しえない状態、つまりこれ以上治療をしても症状の改善が見込めない状態に達したこと

後遺障害等級認定被害者請求との関係では、症状固定日がいつかは重要です。

症状固定日が交通事故発生から最低でも半年以上経過した日でないと、後遺障害等級認定は困難と考えられているからです。

④後遺障害診断書の作成

症状固定時に治療を受けていた病院に後遺障害診断書の書式を渡し、作成を依頼します。

複数の部位を複数の病院で治療しており、それぞれの部位に後遺症が残った場合には、それぞれの病院ごとに作成を依頼する必要があります。

なお、労災や県民共済などへ提出する後遺障害診断書は(交通事故の場合も交通事故以外の場合も)被害者請求の場合とは書式が異なるので注意が必要です。

後遺障害診断書は、後遺障害等級認定申請の必要書類の中でも特に重要な書類になります。

後遺障害診断書の書き方や必要な情報が記載されているかどうかで、認定結果が変わってくる可能性もあります。

そのため、後遺障害診断書の提出前には、内容をよく確認することが重要です。

⑤後遺障害等級認定の申請

被害者請求の方法で行う場合の流れは以下のとおりです。

  1. 加害者側自賠責保険会社から書式一式を取り寄せる
  2. 被害者自身で必要書類および提出書類の作成・収集をする
  3. 加害者側自賠責保険会社に必要書類一式を提出する

①・③の加害者側自賠責保険会社がどこかは、通常、交通事故証明書で確認することができます。

②の必要書類の具体的内容や取得方法については、次の章で紹介していきます。

⑥後遺障害等級認定

申請をしてから後遺障害等級認定の結果が出るまでの流れは以下のとおりです。

  1. 自賠責保険会社が提出書類に不備がないか確認
  2. 自賠責保険会社から損害保険料率算出機構に調査を依頼
  3. 自賠責保険会社から損害保険料率算出機構が必要書類を受付
  4. 損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)が損害調査(等級認定)
  5. 調査結果の報告を受けた自賠責保険会社が被害者に結果通知
  6. (等級認定された場合)自賠責保険会社から被害者に保険金の支払

①で提出書類の不備が確認されると、書類の追完が求められ、そのやりとりの分認定までの期間が長引いてしまいます。

先ほどお伝えしたとおり、④の損害調査(等級認定)は、原則として提出された書面のみで行われます(一部の例外を除き面接などはありません)。

⑤の結果通知は、自賠責保険会社から「後遺障害認定通知書」という書類が送付されるという方法により、被害者に伝えられます。

後遺障害の被害者請求の必要書類は?

後遺障害申請を被害者請求の方法で行う際の必要書類は以下のとおりです。

必要書類作成・取得方法
損害賠償額支払請求書書式は自賠責保険会社から取り寄せ
作成は被害者自身
交通事故証明書自動車運転安全センターから取得
人身事故証明書入手不能理由書
(物件事故扱いの場合)
加害者側に作成を依頼(原則)
事故発生状況報告書書式は自賠責保険会社から取り寄せ
作成は被害者自身
診断書・診療報酬明細書治療機関から取得
請求者の印鑑証明書住民登録している市区町村で取得
委任状
(第三者に委任する場合)
被害者が作成
委任者の印鑑証明書
(第三者に委任する場合)
住民登録している市区町村で取得
後遺障害診断書書式は自賠責保険会社から取り寄せ
治療を受けた医師に作成を依頼
レントゲンなどの画像画像を撮影した治療機関から取得

なお、交通事故証明書や診断書・診療報酬明細書については、加害者側任意保険会社から写しを送ってもらえる場合があるので、依頼してみるといいでしょう。

後遺障害の認定結果が出るまでの期間

後遺障害の申請が自賠責損害調査事務所で受付されてから調査が完了して、認定結果が出るまでの期間は、被害者請求の場合1~2ヶ月が目安です。

具体的な損害保険料率算出機構による統計データは以下のとおりです。

▼自賠責損害調査事務所における後遺障害事案の損害調査所要日数(2017年度)

期間割合
30日以内77.3%
31日~60日11.8%
61日~90日5.7%
91日以上5.2%

参考:「図16 自賠責損害調査事務所における損害調査所要日数<2018年度> 」損害保険料率算出機構 自動車保険の概況 2019年度版

ただし、上記の統計に高次脳機能障害など認定が困難なため、自賠責損害調査事務所の上部機関で詳しく調査する事案は含まれていない点には注意が必要です。

後遺障害の認定結果を争う方法は?

後遺障害申請をしたものの、非該当と認定されてしまったり、認定された等級が低かったりなど納得がいかない場合、以下のような方法で認定結果を争えます

▼後遺障害の認定結果を争う方法

  1. 後遺障害異議申し立て
  2. 自賠責保険・共済紛争処理機構への申請
  3. 民事裁判

なお、①の異議申し立ては、最初の後遺障害申請を事前認定の方法で行った場合でも、被害者請求の方法で申し立てることが可能です。

各方法の詳しい内容や流れ、書類の書き方については「後遺障害の異議申立て成功確率は5%?結果はいつ出る・異議申立書の書き方解説」をご覧ください。

被害者請求を弁護士に頼むメリット

後遺障害申請の被害者請求を弁護士に依頼するメリットは以下の3点です。

  1. 申請の手続き負担軽減&期間の短縮
  2. 後遺障害等級認定の可能性が高まる
  3. 被害者請求後の示談金額が増額する

①申請の手続き負担軽減&期間の短縮

被害者請求のデメリットは、必要書類を被害者自身で作成・収集する必要があり手続きに手間がかかる点にあります。

この点、弁護士に依頼すれば面倒な必要書類の作成・収集手続きの大半を弁護士に任せることができるため、負担が大幅に軽減されるのがメリットの一つです。

それだけでなく、被害者請求の手続きをはじめてするのがほとんどの被害者では分からないことが多く、申請の準備期間が長引いてしまう可能性が高いです。

この点、被害者請求事案の取扱い経験豊富な弁護士に依頼すれば、書類の作成・収集方法を熟知しており、申請準備の期間を短縮できるのもメリットです。

②後遺障害等級認定の可能性が高まる

後遺障害等級認定は、原則として提出された書類から判断されるので、同じ症状でも提出した書類の書き方や内容により、認定結果が変わる可能性があります。

被害者請求の方法は、提出書類をコントロールできるのがメリットですが、適切な書き方や記載すべき内容についての知識がないと、メリットを活かせません。

この点、後遺障害に関する知識が豊富な弁護士に依頼すれば、後遺障害診断書の内容チェックや認定に有利に働く追加書類を提出することが可能となります。

その結果、実際の症状に見合った適切な後遺障害等級認定の可能性を高めることができるのが大きなメリットといえます。

③被害者請求後の示談金額が増額する

被害者請求を弁護士に依頼する場合は、その後の加害者側任意保険会社との示談交渉も依頼するのが通常です。

弁護士に依頼すると、任意保険会社の内部基準(任意保険基準)ではなく、裁判で認められる適正な金額の基準(弁護士基準)で示談交渉することが可能です。

その結果、最終的に受け取れる示談金額が大幅に増額する可能性が高いメリットがあります。

後遺障害慰謝料を例にすると、弁護士基準の相場と任意保険基準の相場では以下のような金額の違いがあります。

等級弁護士基準任意保険基準
1級28001300
2級23701120
3級1990950
4級1670800
5級1400700
6級1180600
7級1000500
8級830400
9級690300
10級550200
11級420150
12級290100
13級18060
14級11040

※単位:万円 ※任意保険基準の金額は旧統一任意保険基準の金額 ※被害者請求で自賠責保険金を受領している場合、示談で受け取れるのは差額分

後遺障害慰謝料以外の傷害慰謝料、休業損害、後遺障害逸失利益といった損害賠償項目の弁護士基準の相場については、以下の慰謝料計算機で確認できます。

ここまでで、弁護士に依頼したいという気になった被害者も、弁護士費用の点で実際の依頼に踏み出せないという方もいるかもしれません。

しかし、ご自分やご家族の保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用を実質的に負担することなく弁護士に依頼できる可能性があります。

弁護士費用特約

交通事故で相手方に損害賠償請求するため弁護士に相談・依頼した対価として支払う費用を保険会社が負担してくれる保険の一内容

保険によっても異なりますが、通常、限度額300万円まで弁護士費用を負担してくれます。

残念ながら弁護士費用特約が使えない方でも、後遺障害等級の認定の可能性が高い方は、弁護士に依頼した方が金銭的なメリットが得られる可能性が高いです。

アトム法律事務所では、後遺障害等級認定の申請を検討されている被害者の方を対象に無料相談を実施しています。

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後遺障害申請を被害者請求の方法で行った事例の取扱い経験豊富な弁護士に相談できますので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

  • 後遺障害の被害者請求は、等級認定の申請方法の一つ
  • 被害者請求のメリットは、提出書類のコントロールや保険金の先行受領
  • 適切な後遺障害等級認定は被害者請求を弁護士に依頼するのが一番確実