後遺障害12級の慰謝料・逸失利益や認定基準は?慰謝料請求時の注意点4つも

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後遺障害12級

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

後遺障害12級に認定されると、後遺障害慰謝料・逸失利益について基本的な相場がわかるようになります。
なお、後遺障害12級に認定された場合は、慰謝料・逸失利益がもらえるタイミングや素因減額、労災を併用するメリットなどについて知っておくことも重要です。

この記事を通して確認していきましょう。

後遺障害12級に該当する症状や認定を受ける流れも解説するので、これから後遺障害等級の申請をする場合も本記事を参考にしてみてください。

後遺障害12級認定でもらえる慰謝料相場

後遺障害等級に認定された場合にもらえるようになるのは、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益です。

これらについて、後遺障害12級の場合の相場を解説していきます。

なお、後遺障害関連以外の慰謝料・損害賠償金や、むちうちに特化した慰謝料・損害賠償金については以下の関連記事をご覧ください。

(1)後遺障害慰謝料|12級の相場は290万円

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級ごとに目安の金額が決められています。12級の場合は次の通りです。

表:後遺障害12級|後遺障害慰謝料

自賠責基準弁護士基準
12級94万円
(93万円)
290万円

※()内の金額は、2020年3月までに起こった交通事故の場合に適用

自賠責基準とは、交通事故被害者に補償される最低限の金額基準を指します。
示談交渉の際、加害者側の任意保険会社は独自に定める基準(任意保険基準)に基づく金額を提示してきますが、多くの場合、自賠責基準と同じくらいです。

一方、弁護士基準は、過去の判例に基づく法的正当性の高い金額基準を指します。
被害者が本来獲得するべき相場ともいえるので、加害者側から自賠責基準に近い金額を提示されても、うのみにせずに増額を求めることが重要です。

慰謝料金額相場の3基準比較

なお、相手方保険会社は示談交渉にて、被害者側が弁護士を立てた場合と立てなかった場合とで、許容金額に差をつけていることがあります。

被害者自身での交渉ではこれが限界と思われた金額でも、弁護士を立てることでさらに増額できる可能性があるのです。示談交渉で弁護士を立てることも検討してみてください。

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(2)逸失利益|労働能力喪失率・期間でもめやすい

逸失利益とは、後遺障害を理由に労働能力が低下することで減ってしまう、生涯収入に対する補償です。

計算式は「有職者または就労可能者」と「症状固定時に18歳未満の未就労者」とで変わります。

  • 有職者または就労可能者の場合の計算式
    1年あたりの基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
  • 症状固定時に18歳未満の未就労者の場合の計算式
    1年あたりの基礎収入 × 労働能力喪失率 × (67歳までのライプニッツ係数 – 18歳に達するまでのライプニッツ係数 )

原則として、後遺障害12級に認定された場合の労働能力喪失率は14%です。

逸失利益の計算について詳しくは『逸失利益の計算方法|計算機や計算例つきでわかりやすく解説』で解説していますが、少々複雑な計算となるため、以下の計算機も使ってみてください。

12級でも労働能力喪失率が14%以下になることがある

骨の変形・神経症状・顔の傷などの障害では、たとえ後遺障害12級に認定されても、実際の労働能力への影響を考慮して、労働能力喪失率が14%以下とされることがあります。

たとえば、後遺障害12級に該当する後遺症の1つとして、顔に傷跡が残る「外貌醜状」があります。しかし、たとえば一般事務だと顔に傷跡が残っていても労働能力にはそれほど影響がないと判断されやすいです。

よって、労働能力喪失率が14%未満とされたり、そもそも逸失利益の請求が認められなかったりすることがあるのです。

骨の変形・神経症状・顔の傷についてお悩みの方は、なるべく早くから弁護士に依頼し、逸失利益がもらえるよう対策を打った方が良いでしょう。

後遺障害12級の慰謝料に関する注意点

既往症があると素因減額が適用されることがある

たとえ後遺障害12級に認定されても、もともと被害者にその症状を引き起こす体質的・心理的な要因があった場合、賠償金が減額されます。これを素因減額(そいんげんがく)といいます。

たとえば交通事故でむちうちを負い、しびれや痛みが残って後遺障害12級に認定されたとします。

しかし、事故前から脊柱管の狭窄や椎間板ヘルニアなどの既往症があった場合、しびれや痛みは100%交通事故のせいとは言えません。

既往症がなければ、しびれや痛みの後遺障害は12級ではなく14級程度のものだったかもしれないからです。

こうした事情から、たとえ後遺障害等級が認定されても、既往症を考慮して慰謝料が減額されることがあるのです。

素因減額が正当か、減額幅はどれくらいかの判断は難しい

どのような既往症が素因減額の対象となるのか、どれくらいの減額をするのかは示談交渉で決まるものであり、明確な規定はありません。

少しでも示談金を少なくしたい加害者側は、少々強引であっても既往症と後遺障害とを関連付けて素因減額を主張してくることもあります。

こうした場合、既往症と後遺障害との関連性が薄いことや、減額幅が大きすぎることを根拠と交渉スキルをもって主張しなければ、示談金は必要以上に減らされてしまいます。

加害者側が主張する素因減額について効果的な反論をするためには、さまざまな医学的資料や過去の判例、専門書の記述などを提示しなければなりません。

高度な交渉テクニックと知識が必要になるため、弁護士にご相談ください。

▼弁護士費用特約を使えば、委任契約をしても弁護士費用は実質無料です。

慰謝料がもらえるタイミングは2パターン

交通事故による後遺症で後遺障害12級に認定された場合、後遺障害慰謝料・逸失利益がもらえるタイミングは次の2パターンのどれかになります。

  • 後遺障害認定の結果通知後と、示談成立後
  • 示談成立後

それぞれについて解説していきます。

後遺障害認定の結果通知後と、示談成立後のパターン

後遺障害認定の申請を「被害者請求」という方法で行った場合、後遺障害慰謝料と逸失利益のうち自賠責保険分は結果通知後に、残りの分は示談成立後に支払われます。

交通事故の損害賠償金には、加害者側の自賠責保険から支払われるものと加害者側の任意保険から支払われるものがあるのです。

  • 結果通知後に支払われる金額
    • 加害者側の自賠責保険から支払われる分
    • 12級の場合は224万円を上限として、「自賠責基準」で計算された後遺障害慰謝料・逸失利益が支払われる
    • 自賠責基準の場合、12級の後遺障害慰謝料は57万円、逸失利益は先に解説したように計算される
  • 示談成立後に支払われる金額
    • 加害者側の任意保険から支払われる分(加害者が任意保険未加入なら加害者本人が支払う)
    • 金額は示談交渉で決められる
任意の自動車保険と自賠責保険の関係

自賠責基準の金額については、『自賠責保険から慰謝料はいくらもらえる?』で詳しく解説しています。

後遺障害認定の申請方法についてはのちほど解説するのでご確認ください。

示談成立後のパターン

後遺障害認定の申請を「事前認定」という方法で行った場合は、後遺障害慰謝料・逸失利益は自賠責保険分も任意保険分もすべてまとめて示談成立後に支払われます。

ただし、示談金の一部を示談成立前に受け取る方法もあります。詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

関連記事

労災保険と併用すれば、より多くのお金がもらえる

通勤中や業務の交通事故であれば、加害者側に損害賠償金を請求することと合わせて労災保険にも保険金を請求しましょう。

後遺障害12級に認定された場合に労災保険から支払われる費目としては、次のものがあります。

  • 障害補償給付
  • 障害特別支給金
  • 障害特別一時金

このうち障害補償給付は、加害者側に請求する逸失利益と同じものです。よって、障害補償給付と逸失利益の金額は互いに相殺されます。

しかし、障害特別支給金と障害特別一時金は労災独自の費目です。そのため、労災保険にも保険金請求すればより多くのお金をもらうことができるのです。

労災保険については『通勤中の交通事故には労災保険を使おう!』で詳しく解説しています。
労災保険が使えるケースや後遺障害関連以外で請求できる費目もわかるので、ご確認ください。

12級で障碍者手帳の取得は難しい

障碍者手帳を持っていると、さまざまな料金や助成金、税金などについて多様な福祉サービスが受けられます。

交通事故で後遺障害が残った場合でも障碍者手帳を取得できる場合がありますが、後遺障害12級の場合は取得が難しいです。

後遺障害等級12級は、身体障害者手帳の交付条件に該当しないのです。

後遺障害12級に認定される後遺症とは?

後遺障害12級に認定の認定基準をわかりやすく解説

後遺障害等級は、1つの等級でもさらに複数の号に分かれているため、認定基準も認定される症状もさまざまです。

後遺障害12級には、1号~14号が含まれています。

等級内容
12級1号一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
12級2号一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
12級3号七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
12級4号一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
12級5号鎖骨,胸骨,ろく骨,けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
12級6号一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
12級8号長管骨に変形を残すもの
12級9号一手のこ指を失つたもの
12級10号一手のひとさし指,なか指又はくすり指の用を廃したもの
12級11号一足の第二の足指を失つたもの
第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
12級12号一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
12級14号外貌に醜状を残すもの
後遺障害12級 等級表

各号の詳しい症状・認定基準を解説していきます。

眼の症状|12級1号

12級1号は、「一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの」と定義されており、具体的には次の通りです。

  • 片眼のピント調節力が2分の1以下に低下した
  • 頭を固定し片方の眼球を動かして見える範囲が2分の1以下になった

片眼のピント調節力は、基本的に負傷していないもう片方の眼と比較して判断されますが、年齢と照らし合わせて判断されることもあります。

ただし、以下の点には注意してください。

  • 55歳以上の場合、ピント調節力の低下は年齢のためだとして、後遺障害として認定されにくい傾向にある
  • ケガをしていない方の眼のピント調節力も低い場合、もとから調節力が低いものとして後遺障害認定されにくい

眼球を動かして見える範囲の平均は、一般的には以下の通りとされます。
ただし、個人差もあるので病院で確認してもらいましょう。

表:注視野の平均

平均
単眼視各方面約50度
両眼視各方面45度

まぶたの症状|12級2号

後遺障害12級2号は「一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの」とされており、具体的には次の通りです。

  • まぶたを開いても、まぶたで瞳孔領が隠れてしまう
  • まぶたを閉じても、まぶたで角膜を完全に覆えない

なお、片眼でなく両眼に上記のような症状が残っている場合は、後遺障害12級ではなく11級認定となります。

歯の欠損など|12級3号

後遺障害12級3号は「七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」と定義されています。

歯科補綴(しかほてつ)とは歯の欠損や喪失を人工物で補う処置を言いますが、具体的に12級3号の認定基準を言い換えると、次の通りです。

以下のような歯合計7本以上に対して、入れ歯・差し歯・ブリッジ治療を施した

  • 事故によって歯冠部の4分の3以上を欠損した歯
  • 治療のために歯冠部の4分の3以上を削った歯

※歯冠部とは歯の見えている部分のこと

たとえば交通事故によって欠損した歯が5本だけであっても、治療のために他の2本も削った場合、歯科補綴を加えた歯は7本とカウントされます。

耳の欠損|12級4号

後遺障害12級4号は、「一耳の耳殻の大部分を欠損したもの」と定義されており、具体的には次の通りです。

耳の軟骨部の2分の1以上を失った

なお、耳の欠損は「外貌の著しい醜状障害」として7級12号に認定される可能性もあります。

12級よりも7級の方が重い後遺障害とされ、加害者側に請求できる慰謝料も高額になります。

ただし、耳の欠損として12級の認定を目指すのか、外貌醜状として7級の認定を目指すのかによって等級認定の対策が変わってくるため、まずは一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

体幹骨の変形|12級5号

後遺障害12級5号は、「鎖骨,胸骨,ろく骨,けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」と定義されており、具体的には次の通りです。

鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨に、裸体になったときに明らかに分かる程度の変形が残った。

変形の程度はあくまでも裸体になった時に目で見てわかるものとなっているため、レントゲン写真などで初めて変形が確認できる程度では12級5号には認定されません。

なお、肋骨の変形は、本数・程度・部位などは不問です。
仙骨は骨盤骨に含まれますが、尾骨は含まれないので注意しましょう。

腕の関節の機能障害|12級6号

後遺障害12級6号は「一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」と定義されており、具体的には次の通りです。

肩関節、肘関節、手首の関節のうち1つの可動域が、健康な方と比べて4分の3以下になった

肩関節、肘関節、手首の関節の可動域のはかり方は、それぞれ決まっています。
病院で確認してみてください。

足の関節の機能障害|12級7号

後遺障害12級7号は「一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」と定義されており、具体的には次の通りです。

股関節、膝関節、足首の関節のうち1つの可動域が、健康な方と比べて4分の3以下になった

なお、可動域の角度がさらに制限を受けていたり、人工関節・人工骨頭を挿入置換している場合は、さらに重い後遺障害等級認定となる見込みがあります。

腕や足の骨の変形|12級8号

後遺障害12級8号は「長管骨に変形を残すもの」と定義されており、具体的には次の通りです。

腕や足の長い骨が、骨折後にうまく癒着しなかったり、ねじ曲がったりしてしまう

長管骨は、腕や足の長い骨を指しますが、具体的には次の6本があります。

  • 上腕骨
  • 橈骨(とうこつ)
  • 尺骨(しゃっこつ)
  • 大腿骨(だいたいこつ)
  • 脛骨(けいこつ)
  • 腓骨(ひこつ)

なお、骨折後に骨がくっつかず、その箇所が関節のように動いてしまう「偽関節」が残った場合には、12級よりも重い後遺障害等級が認定される可能性があります。

一方で、変形の程度が外部から認識できない、変形の程度が軽いといった場合には12級8号の認定を受けられない場合こともあります。

手指の欠損|12級9号

後遺障害12級9号は、「一手のこ指を失つたもの」と定義されており、具体的には次の通りです。

片手の小指に以下のような症状が残った

  • 手指を中節骨(第一関節~第二関節の骨)で切断した
  • 手指を基節骨(指の付け根~第二関節の骨)で切断した
  • 近位指節間関節において基節骨と中節骨とを離断した(第二関節から先を失った)
手の関節と骨
手の関節と骨

失ってしまった指の本数しだいで、後遺障害等級がさらに重くなる可能性もあります。

手指の機能障害|12級10号

後遺障害12級10号は「一手のひとさし指,なか指又はくすり指の用を廃したもの」と定義されており、具体的には次の通りです。

片手の人差し指、中指、または薬指に以下の障害が残った

  • 指先~第一関節までの骨の半分以上を失った
  • 第2関節または指の付け根の関節の可動域が、もう一方の手の2分の1以下になった
  • 指の腹や側部の表面・深部の感覚がなくなった

足の指の欠損|12級11号

後遺障害12級11号は「一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの」と定義されています。

具体的に言い換えると、次の通りです。

足の人さし指を喪ったか、足の人さし指とそれ以外の1本の指を喪ったか、中指と薬指と小指を喪った

※喪ったとは、指の付け根から先を失ったことを指す

足の指の機能障害|12級12号

後遺障害12級12号は「一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの」と定義されており、具体的には次のことを指します。

片方の足の親指またはその他の4本の指について、以下のような障害が残った

  • 親指の指先~第一関節までの骨が半分以上短くなった
  • 親指以外の指の第一関節から先を失った
  • 中足指節間関節または近位指節間関節の可動域が2分の1以下になった

むちうちなどの神経症状|12級13号

後遺障害12級13号は「局部に頑固な神経症状を残すもの」と定義されており、具体的には次のことを指します。

体の一部の痛みやしびれが残ったり、めまい、吐き気などが後遺症として残ったりした

交通事故の実務上では、後遺障害12級13号は主にむちうち(頚椎捻挫・頚部捻挫・外傷性)が該当します。

ただし、むちうちの場合は「局部に神経症状を残すもの」として14級9号に認定されることも多いです。

12級になるむちうちと14級になるむちうちの違いはのちほど詳しく解説するので、確認してみてください。

顔の傷、外貌醜状|12級14号

後遺障害12級14号は「外貌に醜状を残すもの」と定義されており、具体的には次のような状態を指します。

頭部、顔面、首など日常的に露出していてる部位について、以下のような傷跡が残った

  • 頭部:鶏の卵より大きい瘢痕が残ったり、頭蓋骨に鶏の卵より大きい欠損が残ったりした
  • 顔面:10円銅貨より大きい瘢痕が残ったり、長さ3cm以上の線状痕が残ったりした
  • 頸部:鶏の卵より大きい瘢痕が残った

瘢痕(はんこん)とは、怪我が治った後に残る痕のことです。
線状痕には、手術のメスの痕も含まれます。交通事故の治療のため、顔面にメスを入れて手術をした痕も、線状痕として後遺障害認定の対象になります。

なお、眉毛や頭髪で隠れる瘢痕・線状痕は外貌の醜状に認められません。

なお、傷跡がよりもさらに重大なものである場合は、12級14号より上の等級に認定されることもあります。

▼適切な等級の把握は後遺障害認定や慰謝料請求のために重要です。本当に12級が妥当か不安な場合は、ぜひ弁護士までお問い合わせください。

むちうちは14級になることも|12級と14級の違いは?

すでに解説した通り、むちうちによる神経症状は、後遺障害12級または14級に認定される可能性があります。

12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

12級と14級の違いは、「後遺症の症状・程度をどの程度証明できるか」ということです。

以下のような画像所見から後遺症の存在・程度を明確に示せれば12級13号に認定されます。

証明できること
レントゲン検査脊柱管のずれ、首部分の骨の並び・曲がり方、骨棘などによる神経根の圧迫有無、骨傷の有無
MRI検査神経組織の圧迫有無、椎間板ヘルニアの有無

一方、画像検査では後遺症の存在・程度はわからないものの、神経学的検査の結果から後遺症が残っていると推定できる場合は14級9号に認定されるのです。

神経学的検査の例

神経学的検査とは、患部に刺激を与えて反射・反応を見る検査のこと。

  • 深部腱反射検査
  • 徒手筋力テスト(MMT)
  • 感覚検査
  • スパーリングテスト・ジャクソンテスト

むちうちで後遺障害認定を受けるには、上記の検査結果を審査機関に提出するだけでなく、各種書類の書き方などに工夫が必要です。

なお、後遺障害14級の認定基準については、『後遺障害14級の主な症状と等級認定のポイント』で詳しく解説しています。

後遺障害12級の認定を受ける流れと対策

(1)症状固定の診断を受ける|最後まで定期的に治療する

後遺障害12級に認定されるためにはまず、症状固定の診断を受けるまで定期的に通院し、治療を受けることが重要です。

症状固定

これ以上治療を続けても、症状の改善は見込めないと判断されること。
原則として医師が判断する。

症状固定の診断を受けた症状のうち、以下の条件に該当するものが、後遺障害等級に認定されます。

  • 事故によって負った怪我と因果関係があるもの
  • 将来的な症状の回復が見込めないもの
  • 症状が医学的に認められるもの
  • 労働能力の喪失を伴うもの

ただし、症状固定の診断を受けた場合でも、治療期間中に1ヶ月以上通院が途絶えた時期がある、症状固定までの期間が6ヶ月未満という場合は、後遺障害等級に認定されにくくなるので注意しましょう。

(2)後遺障害診断書を準備する|内容をしっかり精査

症状固定の診断を受けたら、後遺症の症状・程度や治療経過、今後の見通しなどを記載した後遺障害診断書を医師に書いてもらいます。

後遺障害診断書は、後遺障害等級の認定審査を受けるために必ず提出する書類です。

自賠責保険会社から取り寄せたり、インターネット上でダウンロードしたりしたものを医師に渡してください。

医師に後遺障害診断書を書いてもらったら、記載内容に問題がないか確認しましょう。

後遺障害診断書は等級認定の審査結果に影響する重要な書類なので、ポイントをおさえた書き方をしなければなりません。

しかし、医師は後遺障害認定の専門家ではないため、おさえるべきポイントをおさえられていないことがあるのです。

後遺障害診断書の書き方は『後遺障害診断書の書き方や記載内容は等級認定に影響する』で解説しています。

ただし、適切な後遺障害診断書の書き方は後遺症の種類などによっても異なります。一度弁護士に確認してもらい、必要があれば医師に訂正を依頼してもらうことがおすすめです。

▼後遺障害認定の専門家は弁護士です。専門知識や過去の事例を踏まえた効果的な対策はお任せください。

(3)後遺障害等級認定を申請する|被害者請求がベスト

つづいて、後遺障害等級認定の申請をしていきます。
申請方法には事前認定と被害者請求があり、どちらを選ぶかで用意すべき書類やメリット・デメリットが変わってきます。

基本的には審査対策がしやすい被害者請求の方がおすすめですが、両方の申請方法を解説していきます。

1.事前認定

事前認定は、必要書類をほぼ全て相手方の任意保険会社に用意してもらう方法です。

事前認定の流れ
事前認定の流れ

準備の手間がかからない点はメリットですが、被害者は後遺障害診断書以外の書類に関与できません。

よって、追加書類を添付したり、さまざまな書類の内容を精査したりといった審査対策はしにくいです。
後遺障害認定の審査は基本的に提出した書類のみを見ておこなわれるため、これは大きなデメリットと言えます。

2.被害者請求

被害者請求は、必要書類をすべて被害者側で用意する方法です。

被害者請求の流れ
被害者請求の流れ

書類準備の手間はかかりますが、追加書類を添付したり、提出書類の質を高めたりすることで審査機関に症状の存在・程度を伝えやすくなります。

どのように書類の質を高めれば良いのかわからない、どんな追加書類を添付すればいいのかわからない、書類の準備に手間をかけられないという場合は、弁護士にご相談ください。

相談時に用意すべき書類についてアドバイスがもらえますし、ご依頼まで進んだ場合は書類の準備・ブラッシュアップを任せられます。

もっと詳しく

後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解|必要書類も紹介

後遺障害12級の認定は難しい|入念な対策が必須

後遺障害12級の認定を受けることは、簡単とは言えません。
『2021年度 自動車保険の概況』(損害保険料率算出機構)の統計をもとに、後遺障害12級の認定率を見てみましょう。

統計

  • 交通事故の総件数:89万8,407件
    ※自賠責保険の支払い総数。後遺症が残らなかった事故、死亡事故、後遺障害等級が認定されなかった事故もすべて含む。
  • 後遺障害等級の認定件数:4万9,267件
  • 後遺障害12級の認定件数:8,036件

上記の統計をもとに後遺障害等級の認定率を見てみると、次のことがわかります。

  • そもそも後遺障害等級に認定された件数は、交通事故全体*の約5.5%
    (4万9,267÷89万8,407×100=5.4…%)
  • 後遺障害等級に認定された件数に対する12級の認定件数は約16.3%
    (8,036÷4万9,267×100=16.3…%)
  • 交通事故全体*に対する12級の認定率は、約0.9%
    (8,036÷89万8,407×100=0.89…%)

*自賠責保険の支払い総数。後遺症が残らなかった事故、死亡事故も含む。

そもそも後遺障害等級が認定された件数は交通事故全体の約5.5%となっており、母数に後遺症が残らなかった事故、死亡事故も含まれているとはいえ高い割合とは言えません。

そして後遺障害等級が認定されたケースの中でも12級に認定されたのは約16.3%、交通事故全体を母数とすると約0.9%なのです。

後遺障害等級認定件数

参考:『2021年度 自動車保険の概況』損害保険料率算出機構

たとえ後遺障害12級に該当するはずの後遺症でも、審査対策が不十分であれば非該当になることがあります。

あるいは、想定していた後遺障害等級よりも低い等級認定結果となるケースも起こるでしょう。

よって、後遺障害認定を受ける場合は専門知識と過去の事例に精通した弁護士のアドバイスを受けることが重要です。

依頼をすれば申請手続きまで任せられますが、無料相談だけでもアドバイスを聞くことはできます。

納得いかない認定結果になったら異議申し立ても検討

後遺障害認定の結果に不服がある場合は「異議申し立て」ができます。

ただし、異議申し立てをする際には、異議申し立てにより等級が上がる可能性、等級を上げるための対策をしっかりしなければなりません。

異議申立てが必要になった場合はまず、『後遺障害の異議申し立てを成功させる方法』を読んでみることがおすすめです。

認定対策も慰謝料もアトム法律事務所にご相談ください

アトム法律事務所では、無料電話・LINE相談をおこなっています。

自分の後遺症は12級に該当する?12級に認定されるにはどうしたらいい?12級になったけれど示談金はいくら?などのご質問を、その場でお送りいただけます。

無料相談のみのご利用も可能ですし、ご依頼まで進んだ場合には、以下のように弁護士費用の負担を軽減させられます。

  • 弁護士費用特約を使う
    ご加入の保険会社に弁護士費用を負担してもらえるため、弁護士費用は実質無料となります。
  • 着手金無料
    弁護士費用特約が使えない場合は、基本的に初期費用である着手金が無料です。よって、すぐにまとまったお金を用意できなくても安心です。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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