交通事故による腕の切断・変形(偽関節・癒合不全)を解説|後遺障害の認定基準は?
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故やバイク事故で腕を骨折し、切断や変形といった後遺症が残ってしまった方は、強いショックを受けると同時に、将来の生活について不安を抱えていることと思います。
事故で腕の切断・変形といった後遺症が残ったら、適切な補償を受けるためにも後遺障害認定を受ける必要があります。
後遺障害認定を受ければ、後遺障害を負った精神的な苦痛を金銭に換算した「後遺障害慰謝料」や、後遺障害によって失われた将来的な収入の補償である「逸失利益」を事故の相手方に請求することが可能です。
この記事では、交通事故やバイク事故による腕の切断や変形についての後遺障害認定基準、後遺障害に認定されたら請求できる慰謝料の相場や、逸失利益の計算方法を詳しく解説します。ぜひお役立てください。
お悩みによっては、以下の記事もお役立てください。
- 腕の切断や変形ではなく手首などの可動域制限についてお悩みの方
『交通事故による上肢(肩・肘・手首)の後遺障害|可動域制限の認定基準』 - 腕ではなく手指の切断・可動域制限についてお悩みの方
『手指の後遺障害|指切断・欠損、可動域制限の認定基準。マレット指で曲がらない』
目次
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交通事故で腕を切断したときの後遺障害認定基準
交通事故やバイク事故で腕を切断したら、切断した腕の本数や位置によって後遺障害1級、2級、4級、5級のいずれかに認定される可能性があります。
まずは、事故による腕の切断の後遺障害認定基準を見ていきましょう。なお、後遺障害認定の実務では腕の切断は「腕の欠損障害」と呼ばれています。
両腕を肘関節以上で切断した|1級
交通事故やバイク事故で両腕を肘関節より上で切断した場合、後遺障害1級3号に認定される可能性があるでしょう。
後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
1級3号 | 両上肢をひじ関節以上で失ったもの |
上肢を肘関節以上で失ったとは、以下のいずれかに該当していることを言います。
- 肩関節で、肩甲骨と上腕部を切断した
- 肩関節と肘関節の間で、腕を切断した
- 肘関節で、上腕骨と橈骨・尺骨を切断した
両腕を手関節以上で切断した|2級
交通事故やバイク事故で両腕を手関節より上で切断した場合、後遺障害2級3号に認定される可能性があります。
後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
2級3号 | 両上肢を手関節以上で失ったもの |
上肢を手関節以上で失ったとは、以下のいずれかに該当していることです。
- 肘関節と手関節の間で、腕を切断した
- 手関節で、橈骨・尺骨と手根骨を切断した
片腕を肘関節以上で切断した|4級
交通事故やバイク事故でどちらか片方の腕を肘関節より上で切断した場合、後遺障害4級4号に認定される可能性があるでしょう。
後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
4級4号 | 1上肢をひじ関節以上で失ったもの |
上肢を肘関節以上で失ったとは、1級3号の認定基準と同じく、以下のいずれかに該当している状態を指します。
- 肩関節で、肩甲骨と上腕部を切断した
- 肩関節と肘関節の間で、腕を切断した
- 肘関節で、上腕骨と橈骨・尺骨を切断した
片腕を手関節以上で切断した|5級
交通事故やバイク事故で両腕を手関節より上で切断した場合、後遺障害5級4号に認定される可能性があります。
後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
5級4号 | 1上肢を手関節以上で失ったもの |
上肢を手関節以上で失ったとは、2級3号の認定基準と同じく、以下のいずれかに該当している状態のことです。
- 肘関節と手関節の間で、腕を切断した
- 手関節で、橈骨・尺骨と手根骨を切断した
交通事故で腕が変形したときの後遺障害認定基準
交通事故やバイク事故で腕に偽関節が残るなど変形してしまったら、変形の程度によって後遺障害7級、8級、12級のいずれかに認定される可能性があります。
事故による腕の変形障害の後遺障害認定基準を詳しく見ていきましょう。
偽関節が残った|7級・8級
偽関節とは、骨折した箇所の治癒が途中で止まり、本来関節ではない箇所が関節のように動いてしまう状態のことです。偽関節は骨の癒合不全の一種になります。
腕の上腕骨、橈骨、尺骨に偽関節が残った場合、後遺障害7級9号または8級8号に認定される可能性があります。
後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
7級9号 | 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
8級8号 | 1上肢に偽関節を残すもの |
各等級の認定基準を具体的に見ていきましょう。
なお、足に偽関節が残った場合は『交通事故による足の短縮・変形の後遺障害認定』の記事をご参考ください。
7級9号の具体的な認定基準
偽関節が後遺障害7級9号に認定されるためには、原則として常に硬性補装具を必要とする状態であることが求められます。なお、硬性補装具とは、布ではなく金属やプラスチックでできたサポーターなどのことです。
そのうえで、下記のいずれかに該当する場合には、7級9号に認定されるでしょう。
- 上腕骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残す
- 橈骨および尺骨の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残す
骨幹部とは骨の中央部分のことを指します。また、骨幹端部とは、骨の端にある太くなっている部分(骨端部)と骨幹部がつながる部分のことです。
骨端部に癒合不全が残った場合は、偽関節として後遺障害7級または8級に認定されるのではなく、腕の骨の変形として12級に認定されることになるでしょう。
8級8号の具体的な認定基準
偽関節が後遺障害8級8号に認定されるためには、下記のいずれかの条件に該当している必要があります。
- 上腕骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残す
(常に硬性補装具を必要とするわけではない) - 橈骨および尺骨の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残す
(常に硬性補装具を必要とするわけではない) - 橈骨または尺骨のいずれか一方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残し、時々硬性補装具を必要とする
腕の骨が変形した|12級
偽関節の後遺障害認定基準に該当しない変形障害については、「長管骨に変形を残すもの」に該当すれば後遺障害12級8号に認定されるでしょう。
後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
12級8号 | 長管骨に変形を残すもの |
長管骨とは、手足を構成する骨のうち、とくに長い骨のことを言います。腕にある長管骨は上腕骨、橈骨、尺骨の3本です。
腕の骨折で後遺障害12級8号の認定を受ける条件は、下記のとおりです。
- 上腕骨に外部から見てわかる変形を残した
(15度以上曲がって不正癒合した) - 橈骨および尺骨の両方に外部からわかる変形を残した
(15度以上曲がって不正癒合した) - 橈骨および尺骨の一方に変形を残し、その程度が著しい
- 上腕骨、橈骨または尺骨の骨端部に癒合不全を残した
- 橈骨または尺骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残し、硬性補装具を必要としない
- 上腕骨、橈骨または尺骨の骨端部のほとんどを欠損した
- 骨端部を除いた上腕骨の直径が3分の2以下に減少した
- 骨端部を除いた橈骨または尺骨の直径が2分の1以下に減少した
- 上腕骨が50度以上外旋または内旋変形癒合した
(X線写真などで上腕骨骨幹部の骨折部に回旋変形癒合が明らかに認められるうえで、以下のいずれかに該当している必要がある)- 外旋変形癒合については、肩関節の内旋が50度を超えない
- 内旋変形癒合については、肩関節の外旋が10度を超えない
なお、上記の症状が複数ある場合でも、原則として12級8号のみに認定され、より上位の等級認定は行われないとされています。
交通事故による腕の後遺症についてのよくある疑問
次に、交通事故やバイク事故による腕の後遺症について、「どうやって後遺障害認定を受ければいい?」「こんな症状は後遺障害認定を受けられる?」といった疑問にお答えしていきます。
Q1.腕の切断・変形で後遺障害認定を受ける流れと注意点は?
腕の切断や変形で後遺障害認定を受ける流れは、以下のとおりです。
後遺障害認定の流れ
- 医師から症状固定(これ以上治療しても症状が改善しない状態)と診断される
- 医師に後遺障害診断書を作成してもらう
- 後遺障害診断書などの書類を保険会社を介して審査機関に送る
- 審査が行われ、保険会社を介して結果が通知される
交通事故の後遺障害認定について解説した記事『交通事故の後遺障害|認定確率や仕組みは?認定されたらどうなる?』では、詳しい申請手順や審査にかかる期間などを解説しています。あわせてご一読ください。
続いて、腕の切断と変形にわけ、後遺障害認定においての注意点をお伝えしていきます。
腕の切断で後遺障害認定を受ける際の注意点
腕の切断については、症状が見た目にも明らかであるため、後遺障害認定で想定より低い等級に認定されるようなケースはほとんどありません。
ただし、医師によっては後遺障害診断書の記入に慣れておらず、認定基準に該当していることを適切に書面で伝えられないケースもあります。申請書類を準備したら、無料相談を利用して弁護士の確認を受けておくと安心して申請できるでしょう。
腕の変形(偽関節)で後遺障害認定を受ける際の注意点
腕に偽関節が残った場合は、症状固定の時期に注意しましょう。
偽関節による症状固定の時期については、以下の2点が問題になることがあります。
- 症状固定を保険会社に催促される
- 症状固定と診断されたが「手術をすれば治るのでは?」と疑われる
それぞれどのような問題か、どのように対処すればいいかを確認していきましょう。
保険会社による催促について
偽関節が残るような事故にあった場合、症状固定まで時間を要することが多いです。この場合、相手方の任意保険会社は治療費や慰謝料の高額化を嫌がり、治療の途中で「そろそろ症状固定とし、治療をやめましょう」と打診してくることがあります。
相手方の任意保険会社の言うとおりに症状固定とすると、後遺障害認定を受けられないリスクが生じます。なぜなら、後遺障害の審査機関に「症状固定とせずにもう少し治療やリハビリを続ければ症状が改善していたのでは?」と疑われる可能性があるからです。
症状固定の時期を判断するのは、保険会社ではなく医師です。
保険会社から症状固定の打診をされたら、まずは医師の指示を仰いでください。まだ治療を続ける必要があるなら、その旨を保険会社に伝えて交渉しましょう。
交渉したにも関わらず治療費などの支払いを打ち切られたら、被害者側で一旦治療費を立て替えて症状固定まで治療を続けてください。治療費は示談交渉の際に保険会社に請求できます。また、健康保険を使えば立て替える費用の負担を抑えられるでしょう。
手術による改善の可能性について
過去の裁判例には、「医師から症状固定と診断されているものの、手術を受けていれば偽関節が治っていたのではないか?」といった点が争われたものもあります。
このケースでは被害者が一定の手術を拒否していたことが争点になりましたが、「手術による体への負担が強いため、手術をしなかったことは医学的に明らかに不合理であるとは言い難い」と判断され、医師の診断どおり症状固定とすることが認められています。
もし、手術により改善の可能性があるとして症状固定の時期で争っている場合は、弁護士にご相談ください。適切な後遺障害認定に向けてアドバイスをいたします。
Q2.腕のしびれは後遺障害何級になる?
腕に偽関節が残ったとき、同時に痛みやしびれといった神経症状も残ることもあります。
腕の痛みやしびれといった神経症状は、後遺障害12級13号または14級9号に認められる可能性があるでしょう。
後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号の認定を受けるためには、CTやMRIなどの画像検査で神経症状の原因となる器質的損傷を明確に示すことが必要です。
一方、14級9号の認定を受けるためには、ジャクソンテストやスパークリングテストなどの神経学的検査を受け、神経症状が生じていることを推認できるようにする必要があります。
後遺障害12級・14級のくわしい認定基準や後遺障害認定の申請方法、後遺障害慰謝料の相場などのくわしい解説は、以下の関連記事もご参考ください。
後遺障害12級・14級の関連記事
Q3.腕の傷跡は後遺障害何級になる?
交通事故やバイク事故で腕をケガしたとき、傷跡が残ってしまうこともあるでしょう。
腕に傷跡が残った場合、大きさによって後遺障害12級相当または14級4号に認定される可能性があります。
後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
12級相当 | 上肢の露出面に手のひらの大きさを相当程度超える瘢痕を残すもの |
14級4号 | 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの |
上肢の露出面とは、肩関節から指先までのことです。
手のひらの大きさの3倍程度以上の傷跡が残った場合は12級相当、手のひらの大きさ程度の傷跡が残った場合は14級4号に認定されるでしょう。なお、ここで言う手のひらの大きさとは指部分を除いた面積を指します。
交通事故による傷跡の後遺障害認定については、顔の傷を中心に醜状障害について解説した記事『交通事故による顔の傷跡(外貌醜状)の後遺障害認定』で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
Q4.複数の後遺症が残ったらどうなる?
交通事故やバイク事故で腕を切断する、偽関節が残るといった重い後遺症が残った場合、腕以外にも複数の後遺症が残る可能性があります。
事故で複数の後遺症が残ったら、症状ひとつひとつについて後遺障害認定を受けます。そのうえで、複数の後遺障害等級に認定されたら全体的な等級を繰り上げる「併合」という処理を受けることになるでしょう。
併合による後遺障害等級の繰り上げは、以下の考え方で行われます。
- 5級が2つ以上:最も重い等級を3級繰り上げる
- 8級が2つ以上:最も重い等級を2級繰り上げる
- 13級が2つ以上:最も重い等級を1級繰り上げる
- 14級が2つ以上:14級のまま
同じ腕に後遺障害を負った場合も、基本的には併合等級に認定されることになります。
ただし、それぞれの症状が派生関係と考えられる場合は、併合ではなく症状を全体的に評価してより上位の等級が認められることもあります。たとえば、交通事故によって骨を折り、偽関節としびれが残ったような場合などです。
後遺障害等級の併合ルールについては複雑なので、詳しい解説記事『後遺障害等級の併合・相当・加重|複数の後遺症認定時のルールと慰謝料への影響』も参考にしてください。
交通事故で腕が切断・変形したとき請求できる示談金
交通事故やバイク事故で腕を切断したり変形したりした場合、後遺障害認定を受ければ相手方に後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。その他に請求できる示談金もあるので、順に見ていきましょう。
(1)後遺障害慰謝料|精神的苦痛の補償
後遺障害慰謝料とは、後遺障害を負った精神的苦痛をお金に換算したものです。
後遺障害慰謝料の相場は、認定された後遺障害等級によって異なります。また、慰謝料に用いる認定基準によっても変わってくるでしょう。
交通事故の慰謝料の認定基準とは?
- 自賠責保険が用いる「自賠責基準」、任意保険が用いる「任意保険基準」、弁護士や裁判所が用いる「弁護士基準」の3つがある。
- 慰謝料の金額は基本的に「自賠責基準≦任意保険基準<弁護士基準」となる。

上記を踏まえたうえで、後遺障害慰謝料の相場を見てみましょう。
任意保険基準は保険会社によって異なり、非公開とされていますのでここでは割愛しますが、基本的に自賠責基準と同程度と考えてください。
後遺障害慰謝料の相場
等級 | 自賠責 | 弁護士 |
---|---|---|
1級・要介護 | 1,650(1,600) | 2,800 |
2級・要介護 | 1,203(1,163) | 2,370 |
1級 | 1,150(1,100) | 2,800 |
2級 | 998(958) | 2,370 |
3級 | 861(829) | 1,990 |
4級 | 737(712) | 1,670 |
5級 | 618(599) | 1,400 |
6級 | 512(498) | 1,180 |
7級 | 419(409) | 1,000 |
8級 | 331(324) | 830 |
9級 | 249(245) | 690 |
10級 | 190(187) | 550 |
11級 | 136(135) | 420 |
12級 | 94(93) | 290 |
13級 | 57(57) | 180 |
14級 | 32(32) | 110 |
※単位:万円
※()内は2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合
たとえば、交通事故で片腕を肘関節以上で切断し、後遺障害4級に認定された場合、後遺障害慰謝料の相場は自賠責基準だと737万円、弁護士基準だと1,670万円になります。
相手方の任意保険会社は、自賠責基準に少し上乗せした程度の慰謝料額を提示してくるでしょう。この提案に何となく合意してしまうと、被害者が本来受け取れるはずの金額が受け取れなくなってしまいます。
しかしながら、被害者が自分で弁護士基準の慰謝料額を主張しても、相手方の任意保険会社に認めてもらえることはほとんどありません。弁護士基準の慰謝料額を認めてもらいたい場合は、弁護士に依頼して示談交渉を代理してもらうとよいでしょう。
なお、交通事故で後遺症が残るようなケガをした場合は、後遺障害慰謝料の他に「入通院慰謝料」も請求可能です。入通院慰謝料とは、交通事故でケガをした精神的苦痛をお金に換算したものです。
交通事故の慰謝料について詳しく知りたい方は、『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』の記事をご参考ください。
(2)逸失利益|減ってしまう生涯収入の補償
逸失利益とは、後遺障害の影響で減ってしまう将来的な収入の補償です。

交通事故やバイク事故で腕の切断や変形といった後遺症が残ると、仕事に大きな影響が生じることが多いです。現職を辞めざるを得なくなったり、昇進・昇給できなくなったり、配置転換になったりすることがあるでしょう。
このように後遺障害の影響で将来的に減ってしまう収入については、逸失利益という形で事故の相手方に補償してもらえるのです。
逸失利益は、基本的に以下の式によって計算されます。
逸失利益の計算式
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
- 基礎収入
事故前の年収のこと。
専業主婦や学生などは平均賃金を用いることもある。 - 労働能力喪失率
後遺障害によって落ちた労働能力を示す数値。
後遺障害等級ごとにおおよその目安が決まっている。 - 労働能力喪失期間
労働能力を失った期間のこと。基本的に「症状固定時~67歳」となる。 - ライプニッツ係数
逸失利益を預金・運用することで生じる利息を差し引くための数値。
より詳しく逸失利益の計算について知りたい方は、『【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき|もらえない原因と対処法』の記事をご覧ください。
また、以下の慰謝料計算機を用いれば、逸失利益についても簡単に自動計算することが可能です。
逸失利益に関する注意点
労働能力喪失率は後遺障害等級ごとに目安が決まっていますが、偽関節などの変形障害では相手方から「後遺障害が労働にあまり影響していると考えられないため、労働能力喪失率を低く見積もるべきだ」などと主張されることがあります。
逸失利益は高額になりやすいため、事故の相手方と争いやすい費目です。
相手方の任意保険会社と逸失利益について争う場合、被害者自身では効果的な反論ができないことも多いです。逸失利益を適切に算出し、主張していくには法律の専門知識が必要なため、交通事故を取り扱っている弁護士にご相談ください。
(3)その他|治療費、将来的な義肢の購入費など
交通事故やバイク事故で腕の切断・変形といった後遺障害を負った場合、慰謝料や逸失利益の他にも以下のような費目を示談金として請求できます。
請求できる費目
- 治療関係費
診察費、手術費、入院雑費、通院交通費、付添看護費など - 休業損害
交通事故で仕事を休んだことによる減収の補償 - 将来的な器具・装具費
将来的に必要となる義肢や補装具の買い替え費用 - 家屋・自動車等改造費
後遺障害の影響で必要となる自宅や自動車のリフォーム費用 - 物損分の費目
車の修理費など
各費目の詳しい計算方法や相場を知りたい場合は、『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法を解説』の記事をご覧ください。
交通事故で腕が切断・変形したら弁護士に依頼しよう
交通事故やバイク事故で腕の切断・変形といった後遺症が残ったら、相手方から納得できる補償を受けて将来に備えるためにも、弁護士への相談・依頼をご検討ください。
ここからは、事故で腕が切断・変形した方に弁護士への相談・依頼をおすすめする理由を紹介していきます。
後遺障害等級が本来より低くなることを防げる
交通事故やバイク事故で後遺症が残ったときは、妥当な補償を受けるために後遺障害何級に認定されるかが非常に重要になります。
後遺障害認定では、申請すれば必ず適切な後遺障害等級に認定されるとは限りません。
申請書類で認定基準を満たしていることを証明できなければ、本来認定されるはずの等級より低い等級に認定されたり、そもそも認定されなかったりすることもあるのです。
腕の切断や変形といった後遺症が残った場合、腕以外にも後遺症が残っていることが多いでしょう。この場合、症状をそれぞれ適切に評価し、適正な後遺障害等級を受けるには、法律の専門知識と後遺障害認定の理解が非常に大切になります。
後遺障害認定を扱っている弁護士であれば、どのような検査を受けるべきか、どのような追加書類が有効かなどを判断できますので、まずは無料相談を利用してアドバイスを受けてみてください。
慰謝料を大幅に増額できる可能性が高い
先述のとおり、相手方の任意保険会社は、相場より低い慰謝料を提示してくることがほとんどです。
たとえば、偽関節が残って後遺障害8級に認定された場合、相手方の任意保険会社は後遺障害慰謝料として自賠責基準の331万円に近い金額を提示してくるでしょう。
同じ条件で弁護士基準を用いて後遺障害慰謝料を計算し直すと、830万円になります。つまり、慰謝料を相手方の主張する金額の2.5倍に増額できる可能性があるのです。
ただし、被害者自身で弁護士基準で計算した慰謝料を主張しても、相手方の任意保険会社が認めることはほとんどありません。「裁判をしないと認めません」などと反論されてしまうのです。
一方、弁護士が示談交渉を代理すれば、相手方の任意保険会社は増額を認めやすくなります。法律の専門家である弁護士の主張であれば、相手方の任意保険会社もないがしろにするわけにはいかないからです。
また、逸失利益についても、相手方の任意保険会社の主張する金額は本来受け取れる金額より低いおそれがあります。弁護士が交渉すれば、本来受け取れる金額まで増額を叶えられるでしょう。
腕の欠損・変形といった重い後遺障害を負った場合は、将来に備えるためにも、事故の相手方から適切な補償を受け取るべきです。弁護士への相談もぜひご検討ください。
弁護士費用が不安なときの対処法は?
弁護士への依頼を検討しているとき、弁護士費用が不安なら、弁護士費用特約の利用をおすすめします。
弁護士費用特約とは、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを保険会社が負担してくれる保険のオプションのことです。
被害者が支払う弁護士費用を大幅に減らせるので、「弁護士に依頼してかえって損した」といったリスクを大きく軽減することが可能です。

弁護士費用特約は、自動車保険だけではなく、火災保険やクレジットカードなどにも付帯されていることがあります。また、被害者自身が加入している保険だけではなく、被害者の家族が加入している保険に付帯されていても利用できる可能性があるでしょう。
弁護士費用特約を使えなくても心配無用
弁護士費用特約を使えない場合でも、後遺障害認定されているなら、弁護士費用を支払っても弁護士に依頼した方が最終的に手元に入る金額が増えるケースが多いです。
なぜなら、示談金額が大きくなる分、相手方の任意保険会社が提示してくる金額と弁護士に依頼して獲得できる金額のギャップも大きくなりやすいからです。
弁護士費用特約を使えないなら、まずは無料相談を利用し、弁護士費用と示談金の増額幅の見積もりをとってみるとよいでしょう。もし、弁護士に依頼するとかえって損してしまうようなら、弁護士から教えてもらえます。
まずは電話・LINEで無料相談してみよう
アトム法律事務所は、交通事故事案について多くの解決実績があります。
「後遺障害認定に不安がある」「慰謝料増額を目指したい」「弁護士費用が不安」といったお悩みをお持ちの被害者の方は、アトムの弁護士無料相談をご利用ください。
交通事故の知識・経験が豊富な弁護士が、電話やLINEで被害者の方が適切な補償を獲得するためのアドバイスをさせていただきます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了