交通事故で骨折したら慰謝料相場はいくら?治療期間や後遺障害別に解説

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骨折部位別慰謝料と障害等級

交通事故で骨折したときに請求できる慰謝料には「入通院慰謝料」があり、さらに後遺症が残った場合は「後遺障害慰謝料」を別途請求できる可能性があります。

この2つの慰謝料の金額は、治療期間や骨折の部位・程度・具体的な症状などで決まります。

骨折も、比較的単純な骨折から、折れた骨が体外に飛び出す開放性骨折、骨への衝突や摩擦による剥離骨折、外部からの力による圧迫骨折、骨がバラバラに砕けて周辺神経を傷つける粉砕骨折まで様々で、慰謝料の相場観は分かりづらいものです。

この記事では、交通事故による骨折で請求できる慰謝料の相場を解説しています。
骨折の治療期間および骨折の部位別・症状別に慰謝料の相場を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

なお、慰謝料の相場が手軽にわかる自動計算機もお役立てください。

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交通事故で骨折した場合に請求できる慰謝料

交通事故における慰謝料とは、精神的苦痛を緩和するために支払われる金銭です。

そして、精神的苦痛は、入院や通院といった治療期間中に負った精神的苦痛と、後遺症が残ったことに対する精神的苦痛に分けることができます。

よって、交通事故で骨折した場合は2種類の慰謝料を請求できる可能性があるのです。

(1)入通院慰謝料|骨折で入院や通院をすると請求できる

入通院慰謝料とは、交通事故で怪我をしたことで生じる精神的苦痛に対する補償です。
具体的には、以下のような精神的苦痛を補償します。

  • 治療や手術で怖い思い・痛い思いをした
  • 入院・通院による時間的・身体的拘束により、不便な思いをした
  • 怪我が治るまでの間、痛い思いや不便な思いをした

交通事故で怪我をしたことによる精神的苦痛の大きさは、人それぞれで客観的には測れません。

そこで、治療期間の長さを基準として、精神的苦痛の程度を算定して入通院慰謝料の金額が判断されます。

入通院慰謝料は1日でも入院や通院をすれば請求できるので、交通事故で骨折したときはほぼ確実に入通院慰謝料を請求できるでしょう。

(2)後遺障害慰謝料|後遺障害が残ると請求できる

交通事故で骨折を負った場合、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料を請求できる可能性があります。

後遺障害慰謝料とは、交通事故により後遺障害が残ったことで生じる精神的苦痛に対する補償です。
骨折によりずれた骨を固定するために、ボルトやプレートを入れるといった手術を行った場合には、後遺障害が生じやすいでしょう。

具体的には、以下のような精神的苦痛を補償します。

  • 後遺障害が残った悔しさや怒り、悲しさ
  • 後遺障害によって将来にわたって感じることになる不便さ、苦痛

ただし、後遺障害慰謝料は単に骨折による後遺症が残っただけでは請求できません。

外傷によって骨が失われて手足が短くなる短縮障害、変形した状態で骨がくっついたことで変形してしまった変形障害、腕が曲がらないなどの機能障害が、今後も治る見込みがなく労働能力に影響していると認定される必要があります。

この認定を「後遺障害等級認定」といい、後遺障害慰謝料を請求するためには後遺障害等級認定を受けることが必要です。後遺障害等級は1級から14級まであり、認定された等級に応じて後遺障害慰謝料の金額が変わります。

後遺障害等級の申請方法や、認定までの流れについては『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』で解説しています。

同じ慰謝料でも算定基準次第で金額が変わる

交通事故の慰謝料には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」と呼ばれる3つの算定基準があり、それぞれで計算方法が違います。

同じ慰謝料であっても、どの基準に沿って計算するかで金額が変わってくるのです。

交通事故の慰謝料の算定基準

自賠責基準加害者側の自賠責保険が用いる算定基準。
交通事故の被害者に補償される、最低限の金額。
任意保険基準加害者側の任意保険が用いる算定基準。
各任意保険会社が独自に基準を定めており、非公開。
目安として、自賠責基準と同水準の金額と言われている。
弁護士基準弁護士や裁判所が用いる算定基準で、裁判基準とも言う。
過去の判例にのっとった、最も高額かつ法的に適正な金額
慰謝料金額相場の3基準比較

交通事故の示談では、加害者側の任意保険会社は任意保険基準で計算した慰謝料を提示してくるでしょう。

しかし、その金額は弁護士を立てて弁護士基準で計算しなおせば増額される可能性が高いのです。

交通事故の慰謝料の基本がわかったところで、次章からは交通事故で骨折した場合の慰謝料の相場を見ていきましょう。

関連記事

骨折による入通院慰謝料の計算方法

まずは、交通事故で骨折したときの入通院慰謝料の相場を確認していきましょう。入通院慰謝料は、治療期間で金額が決まるため、治療期間ごとに相場を知ることがポイントです。

交通事故で骨折した場合の治療期間の目安は6ヶ月程度といわれます。
医師から骨折が完治した、または、これ以上は治療による効果が望めないという症状固定になったと診断されるまでの期間が治療期間となるのです。

もっとも、入院の有無や骨折の部位・程度など個別に異なる事情があるでしょう。

そこで、基本となる入通院慰謝料の計算方法を解説していきます。

相場額の計算方法|ギプス固定期間は入院扱いに

相場の入通院慰謝料を計算するには、弁護士基準による算出が必要です。

弁護士基準で入通院慰謝料を算出する時は、慰謝料の算定表を用います。
算定表には軽傷用と重傷用がありますが、骨折の場合は以下の重傷用の算定表を用いてください。

弁護士基準の入通院慰謝料の算定表

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

縦列の通院月数と横列の入院月数が交わる部分をみると、入通院慰謝料の相場がわかります。例えば、入院1ヶ月で通院4ヶ月となった場合、弁護士基準での入通院慰謝料相場は130万円です。

通院期間が30日単位ではない場合

弁護士基準の算定表は1ヶ月を30日単位となります。

そのため、通院期間が1ヶ月と10日といったように端数が生じている場合は、上記の算定表を元にして日割計算がなされます。

日割計算の例

通院が1ヶ月と10日の場合は、以下のように計算します。

  1. 通院1ヶ月分の金額を確認します。28万円です。
  2. 端数の10日は2ヶ月目にあたるため、2ヶ月分の金額から1ヶ月分の金額を差し引いたものを日割りします。
    52万円(通院2ヶ月分の金額)-28万円(通院1ヶ月分の金額)=24万円
    24万円÷30日=8,000円(通院2ヶ月目の1日あたりの金額)
    8,000円×10日=8万円(端数の10日分の金額)
  3. (1)と(2)を足したものが、通院1ヶ月と10日分の金額です。
    28万円+8万円=36万円

通院頻度が少ない場合は注意

骨折の治療期間に対して、実際の通院日数が少ない場合や「漫然治療」が続いていた場合は、入通院期間ではなく「実通院日数の3.5倍」を基準に入通院慰謝料が算定される場合があります。

ただし、ギプス装着による自宅療養などの正当な理由によって通院日数が少なくなっている場合は、基本的に慰謝料減額の事由とはなりません。

正当な理由があるにもかかわらず、加害者側が通院日数を根拠に慰謝料の減額を主張してきた場合は、弁護士にご相談ください。

なお、骨折は固定して安静にすること自体が治療方針になる段階もあります。そのため治療期間に対して、実際の通院日数が少ないと指摘されることも起こりえるでしょう。

関連記事『通院日数が少ない場合でも交通事故の慰謝料を適正額で獲得する方法』も参考に、通院日数が少ないと言われた場合にも対応策があるので、あわせて参考にしてください。

ギプス固定での自宅療養期間や入院待期期間は入院と見なされる

入通院慰謝料の算定において、ギプス装着による自宅療養期間や入院待機期間があるときは慰謝料減額の事由にならないどころか、入院期間として扱われることがあります。

たとえば、入院1ヶ月、ギプスで自宅療養1ヶ月、通院5ヶ月(リハビリ含む)だった場合、入通院慰謝料は入院2ヶ月・通院5ヶ月として計算されるのです。

ただし、自宅療養期間が入院期間として認められるかどうかは、示談交渉次第です。

以下のような状況であれば、自宅療養は入院と同様のものであったとみなされやすいでしょう。

  • 医師から自宅療養の指示があった
  • 家族が自宅で付添い介護を行った

自宅療養中の記録を残しておくことも、自宅療養を入院扱いにしてもらうために有効です。

加害者側が行う計算方法|対象日数に日額をかける

加害者側は少しでも支払う慰謝料の金額を減らすため、自賠責基準で算出された金額や、それに近い金額を支払うと提案してくることが多いでしょう。

自賠責基準では、一律の日額に対象日数をかけて入通院慰謝料を算定します。

自賠責基準における計算式

日額4,300円※ × 対象日数

対象日数は、次のうちどちらか短い方

  • 治療期間 (はじめに病院を受診した日~治療終了までの期間)
  • 実際に治療した日数×2

※2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合、日額4,200円とする。

試算してみると、自賠責基準で計算した慰謝料よりも、弁護士基準で計算した慰謝料の方が大幅に高額になります。

自賠責保険の慰謝料の関連記事

骨折の後遺障害慰謝料の相場

骨折で後遺症が残り、後遺障害等級に認定された場合は、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料が請求できます。

まずは、後遺障害慰謝料の相場の一覧表を確認し、その後、骨折の部位別・症状別に認定されうる後遺障害等級と後遺障害慰謝料の相場を見ていきましょう。

後遺障害慰謝料の一覧表

後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
具体的な金額の目安は以下の表のとおりです。

後遺障害慰謝料の相場の一覧表(自賠責基準、弁護士基準)

後遺障害等級 自賠責基準※弁護士基準
1級・要介護1650万円
(1600万円)
2800万円
2級・要介護1203万円
(1163万円)
2370万円
1級1150万円
(1100万円)
2800万円
2級998万円
(958万円)
2370万円
3級861万円
(829万円)
1990万円
4級737万円
(712万円)
1670万円
5級618万円
(599万円)
1400万円
6級512万円
(498万円)
1180万円
7級419万円
(409万円)
1000万円
8級331万円
(324万円)
830万円
9級249万円
(245万円)
690万円
10級190万円
(187万円)
550万円
11級136万円
(135万円)
420万円
12級94万円
(93万円)
290万円
13級57万円
(57万円)
180万円
14級32万円
(32万円)
110万円

※()内は 2020年4月1日以前に発生した交通事故の場合

上記の表からもわかる通り、入通院慰謝料と同様に、後遺障害慰謝料についても弁護士基準の方が高額になります。

また、等級が1つ違うだけでも後遺障害慰謝料の金額は大きく変わってしまいます。後遺障害慰謝料の請求にあたっては、適切な後遺障害等級に認定されることが重要です。

骨折以外にも後遺障害がある場合の後遺障害慰謝料

骨折以外にも後遺障害があり、複数の後遺障害等級が認定された場合は、それらの等級を併合した「併合等級」に応じた後遺障害慰謝料を請求できます。

たとえば、頭蓋骨骨折により高次脳機能障害を負ってしまったことに加えて、頭部を打ち付けたことで視力が下がってしまったり、外傷によって耳が聞こえにくくなったことも後遺障害に認定されると、併合により後遺障害等級が繰り上がることもあるのです。

等級の併合方法は次の通りです。

  • 5級以上が2つ以上:重い方の等級を3級繰り上げる
  • 8級以上が2つ以上:重い方の等級を2級繰り上げる
  • 13級以上が2つ以上:重い方の等級を1級繰り上げる
  • 14級が2つ以上:14級のまま
  • その他:重い方の等級に従う

弁護士であれば、後遺障害等級認定の基準併合ルールに基づいて相手方と示談交渉をします。

特に、バイク事故で骨折した場合には、運転手の体が露出していることからも、他の後遺障害が生じやすいといえるでしょう。
詳しく知りたい方は『バイク事故の後遺症が残ったら?後遺障害認定の基準から慰謝料請求まで一挙解説』の記事をご覧ください。

骨折した場合に請求できるのは慰謝料だけではない

交通事故で骨折した場合に請求できる損害賠償金は、慰謝料だけではありません。

生じた損害の内容にもよりますが、他にも一般的に以下のような費目を請求できます。

慰謝料以外に請求できる損害

  1. 治療費
    治療のために必要とした投薬代・手術代・入院費用などになります。骨折治療の一環としてボルトやプレートによる固定され、抜釘を行う場合は、交通事故によって骨折したことが原因なので、抜釘手術の費用等についても請求可能です。
    関連記事:交通事故の治療費は誰が支払う?被害者が立て替えるなら健康保険を使おう
  2. 休業損害
    治療のために仕事を休んだことで生じる損害に対する補償になります。
    関連記事:交通事故の休業損害|計算方法を職業別に網羅
  3. 逸失利益
    後遺障害が生じたことによる将来の収入の減収に対する補償です。
    関連記事:【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき|もらえない原因と対処法
  4. 入通院交通費
    入院や通院の際に生じた交通費を請求できます。
    関連記事:交通事故にあったら【交通費】と慰謝料を請求できる?通院以外の交通費も解説
  5. 付添看護費
    入院や通院に付添が必要と判断された場合に請求することが可能です。
  6. 装具・器具費、家屋改造費
  7. 休学や留年で余分に必要になった教材費や下宿代

労災保険の利用も検討

仕事中や通勤途中の交通事故により骨折となった場合には、労災保険の利用が可能です。

請求できる内容については類似していますが、休業したことに対して支払われる休業補償を請求することで、休業損害の金額を実質増加させることができます。

詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

骨折の種類別・後遺障害等級と後遺障害慰謝料

骨折と言っても部位に応じて様々な種類があり、認定されうる後遺障害等級も多岐にわたります。

そこで、本記事内では以下の種類の骨折について、それぞれ該当しうる後遺障害等級と後遺障害慰謝料の相場を解説していきます。

(1)頭蓋骨骨折

頭蓋骨の骨折は、主に頭蓋円蓋部(頭蓋骨の上の球の部分)と頭蓋底(頭蓋骨の底部)で生じます。

頭蓋骨の骨折で脳損傷などが生じた結果、以下のような後遺障害が残ることがあるでしょう。

  • 遷延性意識障害(植物状態)
    意識がなく寝たきりの状態になってしまう
  • 高次脳機能障害
    認知面・行動面・人格(性格)面に問題が生じ、日常生活に影響が出る
  • びまん性軸索損傷
    脳の軸索が引っ張られたことで断裂し、高次脳機能障害や神経症状などが起こる

頭蓋骨骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

頭蓋骨骨折の後遺障害慰謝料相場は、110万円から2,800万円となっており、後遺障害等級によって大きく異なります。

頭蓋骨の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

頭蓋骨骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
1級1号(要介護)神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの2,800万円
2級1号(要介護)神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの2,370万円
3級3号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの1,990万円
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの1,400万円
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの1,000万円
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの690万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

頭蓋骨骨折による具体的な等級認定基準を知りたい方は『頭蓋骨骨折の後遺症はどう残る?慰謝料の相場と後遺障害認定もわかる!』を参考にしてください。

(2)頸椎・胸椎・腰椎圧迫骨折

脊椎の骨折が生じた際、脊椎のどの部分が折れたかによって、以下のように呼び分けられます。

  • 頸椎骨折
    頸部(脊椎の上から1~7番目の骨)の骨折
  • 胸椎骨折
    胸部(脊椎の上から8~19番目の骨)の骨折
  • 腰椎骨折
    腰部(脊椎の上から20~24番目の骨)の骨折

また、圧迫骨折とは、脊椎の椎体に圧力がかかって押しつぶされてしまう骨折のことです。

脊椎の圧迫骨折では、以下のような後遺症が残る可能性があります。

  • 変形障害
    症状固定後も脊椎が歪んだままになってしまう
  • 運動障害
    背中や腰を曲げ伸ばししにくくなる
  • 神経障害
    脊髄の損傷により麻痺やしびれが生じる

頸椎・胸椎・腰椎圧迫骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

頸椎・胸椎・腰椎圧迫骨折の後遺障害慰謝料は110万円から1,180万円まで幅広く、後遺障害等級ごとに相場が異なります。

頸椎・胸椎・腰椎圧迫骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、等級ごとの後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

頸椎・胸椎・腰椎圧迫骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
6級5号脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの1,180万円
6級相当頸部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの1,180万円
8級2号脊柱に運動障害を残すもの830万円
8級相当脊柱に中程度の変形を残すもの
頸部又は腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの
830万円
11級7号脊柱に変形を残すもの420万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

圧迫骨折のより具体的な等級認定基準を知りたい方は、以下の記事が参考となります。

(3)鎖骨骨折

鎖骨は、遠位端(肩に近い位置)、骨幹部(中心に近い位置)、近位端(胸骨に近い位置)といったように呼び分けられています。

鎖骨の骨折では、以下のような後遺症が残る可能性があります。

  • 変形障害
    骨幹部の骨折により、症状固定後も鎖骨が歪んだままになってしまう
  • 機能障害
    遠位端の骨折により肩関節が動かしづらくなる
  • 神経障害
    折れた鎖骨の骨片が神経を傷つけ、上肢や手指を動かしづらくなったりしびれたりする

鎖骨骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

鎖骨骨折による後遺障害慰謝料の相場は110万円から830万円で、認定された等級によって金額は大きく異なります。

鎖骨の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

鎖骨骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
8級6号一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの830万円
10級10号一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの550万円
12級5号鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの290万円
12級6号一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの290万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

鎖骨骨折に関しては関連記事『鎖骨骨折の後遺症は後遺障害認定される?肩甲骨骨折もあわせて解説』でも深掘りしています。鎖骨骨折とあわせて肩甲骨骨折についても触れているので、あわせてご確認ください。

(4)上腕骨骨折

上腕骨は、遠位端(肘に近い位置)、骨幹部(中心に近い位置)、近位端(肩に近い位置)といったように呼び分けられます。

上腕骨の骨折では、以下のような後遺症が残る可能性があります。

  • 欠損障害
    開放骨折や粉砕骨折などの治療で上肢を切断し、上肢が失われたままになる
  • 変形障害
    骨幹部の骨折により症状固定後も上腕骨が歪んだままになってしまう
  • 運動障害
    骨幹部の骨折により偽関節が残り、硬性補装具なしでは上肢を動かすことが困難となる
  • 機能障害
    遠位端の骨折により肘関節が動かしづらくなる
    あるいは、近位端の骨折により肩関節が動かしづらくなる
  • 神経障害
    折れた上腕骨の骨片が神経を傷つけ、上肢や手指を動かしづらくなったりしびれたりする

上腕骨骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

上腕骨骨折の後遺障害慰謝料は110万円から2,800万円が相場となっており、後遺障害等級が何級と認定されるかで大幅に変わります。

上腕骨の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

上腕骨骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
1級3号両上肢をひじ関節以上で失つたもの2,800万円
4級4号一上肢をひじ関節以上で失つたもの1,670万円
7級9号一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの1,000万円
8級6号一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの830万円
8級8号一上肢に偽関節を残すもの830万円
10級10号一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの550万円
12級6号一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの290万円
12級8号長管骨に変形を残すもの290万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

(5)橈骨・尺骨骨折

前腕は、親指側から肘に向かって伸びている橈骨と、小指側から肘に向かって伸びている尺骨という2本の長管骨で構成されています。
橈骨と尺骨は、どちらも遠位端(手首に近い位置)、骨幹部(中心に近い位置)、近位端(肘に近い位置)といったように呼び分けられているのです。

橈骨と尺骨の骨折では、以下のような後遺症が残る可能性があります。

  • 欠損障害
    開放骨折や粉砕骨折などの治療で上肢を切断し、上肢が失われたままになる
  • 変形障害
    骨幹部の骨折により症状固定後も橈骨や尺骨が歪んだままになってしまう
  • 運動障害
    骨幹部の骨折により偽関節が残り、硬性補装具なしでは上肢を動かすことが困難となる
  • 機能障害
    遠位端の骨折により手首関節が動かしづらくなる
    または、近位端の骨折により肘関節が動かしづらくなる
  • 神経障害
    折れた橈骨・尺骨の骨片が神経を傷つけ、上肢や手指を動かしづらくなったりしびれたりする

橈骨・尺骨骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

橈骨骨折・尺骨骨折の後遺障害慰謝料相場は110万円から2,370万円となっており、認定された等級によって金額が大きく異なります。

橈骨と尺骨の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

橈骨・尺骨骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
2級3号両上肢を手関節以上で失つたもの2,370万円
5級4号一上肢を手関節以上で失つたもの1,400万円
7級9号一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの1,000万円
8級6号一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの830万円
8級8号一上肢に偽関節を残すもの830万円
10級10号一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの550万円
12級6号一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの290万円
12級8号長管骨に変形を残すもの290万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

(6)手指の骨折

手指の骨は、手の先端から順に末節骨・中節骨・基節骨などで構成されています。それぞれの骨の位置は以下の図を参照にしてください。

手の関節と骨

交通事故では、手指の骨が粉々にくだけてしまう粉砕骨折や、靭帯や筋肉などが急激に収縮したため骨がはがれ落ちてしまう剥離骨折が起こる場合があります。

手指の骨折では、以下のような後遺症が残る可能性があります。

  • 欠損障害
    開放骨折や粉砕骨折などの治療で手指を切断し、手指が失われたままになる
  • 機能障害
    手指を動かしにくくなったり、まったく動かなくなったりする
  • 爪の変形
    爪の下に血液が溜まってしまったため爪が青黒くなり、爪の変形がそのまま残る

手指の骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

手指の骨折で認められる後遺障害慰謝料は110万円から1,990万円が相場となっており、何級に認定されるかで金額は違ってきます。

手指の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

なお、手指の骨折により機能障害が残った場合、用を廃した手指の種類や本数に応じて後遺障害等級が決まります。

手指の骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
3級5号両手の手指の全部を失つたもの1,990万円
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの1,670万円
6級8号一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの1,180万円
7級6号一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの1,000万円
7級7号一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの1,000万円
8級3号一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの830万円
8級4号一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの830万円
9級12号一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの690万円
9級13号一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの690万円
10級7号一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの550万円
11級8号一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの420万円
12級9号一手のこ指を失つたもの290万円
12級10号一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの290万円
13級6号一手のこ指の用を廃したもの180万円
13級7号一手のおや指の指骨の一部を失つたもの180万円
14級6号一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの110万円
14級7号一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの110万円

骨折などで手指の欠損・可動域制限といった後遺症を負った場合は、『手指の後遺障害|指切断・欠損、可動域制限の認定基準。マレット指で曲がらない』の記事をご参考ください。可動域制限で後遺障害認定を受けるポイントもわかります。

(7)肋骨骨折

肋骨は胸部に存在する左右12対の骨で、肋硬骨と肋軟骨で構成されています。

肋骨の骨折の骨片が肺を傷つけることで、肺挫傷や気胸が起こる可能性があります。
また、下の方の肋骨が折れた場合肝臓や脾臓を損傷させてしまうこともあるでしょう。

内臓に関する後遺障害等級と慰謝料相場については、ここでは割愛します。

肋骨の骨折に限って言えば、残る可能性がある後遺障害は以下のとおりです。

  • 変形障害
    症状固定後も肋骨がゆがんだままになってしまう
  • 神経障害
    折れた肋骨の骨片が神経を傷つけ、痛みやしびれが残る

肋骨骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

肋骨骨折の後遺障害慰謝料は110万円から290万円が相場となっており、後遺障害12級または14級のいずれと認定されるかで金額が変わります。

肋骨の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

肋骨骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
12級5号鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの290万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

肋骨骨折を負った場合、同時に胸骨骨折も負う可能性があります。肋骨骨折と胸骨骨折をあわせて解説した関連記事『肋骨骨折の後遺症は慰謝料いくら?胸骨骨折の後遺障害や胸の痛みの原因も解説』もおすすめです。

(8)骨盤骨折

骨盤は体幹の一番下にある部位で、左右一対の寛骨、仙骨、尾骨で構成されています。

骨盤は頑強な部位なので、骨折が生じるほどの衝撃を受けたのであれば、周辺の神経や、膀胱、生殖器、腸などの臓器が損傷してしまっている可能性があるでしょう。
内臓に関する後遺障害等級と慰謝料相場については、ここでは割愛します。

骨盤の骨折に限って言えば、以下のような後遺症が残る可能性があります。

  • 変形障害
    症状固定後も骨盤が歪んだままになってしまう
  • 下肢の短縮障害
    骨盤が歪んだままになって一方の足の長さが変わる
  • 機能障害
    股関節の可動範囲が狭くなる
    人口関節を入れる手術を受けたことにより可動域制限が生じる場合もある
  • 神経障害
    折れた骨盤の骨片が神経を傷つけ、痛みやしびれが残る

なお、女性に限り、骨盤を骨折した影響で正常分娩が困難になった場合も後遺障害とみなされる可能性がありますので、以下に後遺障害等級と慰謝料の相場を紹介します。

骨盤骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

骨盤骨折の後遺障害慰謝料は110万円から830万円が相場とされており、後遺障害等級ごとに金額が変わります。

骨盤の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

骨盤骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
8級5号一下肢を五センチメートル以上短縮したもの830万円
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの830万円
9級17号生殖器に著しい障害を残すもの690万円
10級8号一下肢を三センチメートル以上短縮したもの550万円
10級11号一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの550万円
11級10号胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの※420万円
12級5号鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの290万円
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの290万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
13級8号一下肢を一センチメートル以上短縮したもの180万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

※骨盤骨折においては、女性の産道が狭まり、正常分娩が困難になった場合を指す

(9)大腿骨骨折

大腿骨は太ももの中を通っている1本の太い骨で、股関節側から順に大腿骨頭部、大腿骨頸部、大腿転子部、大腿転子部、大腿骨幹部、大腿骨顆部といったように呼び分けられています。

交通事故で生じやすいのは、骨盤と接している大腿骨頸部の骨折です。

大腿骨頸部が折れた場合、骨折が重度でなければ金属製の大腿骨頭を固定し、股関節の修復を試みることになるでしょう。
股関節の修復が困難であれば、一部またはすべての股関節を人工関節に置換します。この場合、後遺障害等級としては低くとも10級に認められることが多いです。

その他に、大腿骨の骨折では、以下のような後遺症が残る可能性があります。

  • 欠損障害
    開放骨折や粉砕骨折などの治療で下肢を切断し、下肢が失われたままになる
  • 下肢の短縮障害
    大腿骨骨折が原因で下肢が短縮してしまう
  • 機能障害
    股関節の可動範囲が狭くなる
  • 神経障害
    折れた大腿骨の骨片が神経を傷つけ、下肢や足指を動かしづらくなったりしびれたりする

関連記事『脛骨高原骨折や大腿骨骨折で後遺症は残る?後遺障害等級認定と慰謝料相場』では、大腿骨骨折の後遺症と後遺障害の関係について詳しく解説しています。

大腿骨骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

大腿骨骨折の後遺障害慰謝料は110万円から2,800万円が相場であり、認定される後遺障害等級に応じて相場が異なります。

大腿骨の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

大腿骨骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
1級5号両下肢をひざ関節以上で失つたもの2,800万円
4級5号一下肢をひざ関節以上で失つたもの1,670万円
7級10号一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの1,000万円
8級5号一下肢を五センチメートル以上短縮したもの830万円
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの※830万円
8級9号一下肢に偽関節を残すもの830万円
10級8号一下肢を三センチメートル以上短縮したもの550万円
10級11号一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの※290万円
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの290万円
12級8号長管骨に変形を残すもの290万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
13級8号一下肢を一センチメートル以上短縮したもの180万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

※大腿骨頭部に人工骨頭置換術を施した場合、10級11号か8級7号が認定される

(10)脛骨・腓骨骨折

下腿は、足指の親指側から膝に向かって伸びる脛骨と、足の小指側から膝に向かって伸びる腓骨という2本の長管骨で構成されています。
脛骨と腓骨は、どちらも遠位端(足首に近い位置)、骨幹部(中心に近い位置)、近位端(膝に近い位置)といったように呼び分けられています。

脛骨と腓骨の骨折では、以下のような後遺症が残る可能性があります。

  • 欠損障害
    開放骨折や粉砕骨折などの治療で下肢を切断し、下肢が失われたままになる
  • 変形障害
    骨幹部の骨折により症状固定後も脛骨や腓骨が歪んだままになってしまう
  • 運動障害
    骨幹部の骨折により偽関節が残り、硬性補装具なしでは歩行することが困難となる
  • 機能障害
    遠位端の骨折により足首関節が動かしづらくなる
    または、近位端の骨折により膝関節が動かしづらくなる
  • 神経障害
    折れた脛骨・腓骨の骨片が神経を傷つけ、下肢や足指を動かしづらくなったりしびれたりする

脛骨・腓骨の骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

脛骨骨折や腓骨骨折の後遺障害慰謝料は、110万円から2,370万円が相場です。後遺障害等級に応じて金額が大きく変わります。

脛骨と腓骨の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

脛骨・腓骨の骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
2級4号両下肢を足関節以上で失つたもの2,370万円
4級7号両足をリスフラン関節以上で失つたもの1,670万円
5級5号一下肢を足関節以上で失つたもの1,400万円
7級8号一足をリスフラン関節以上で失つたもの1,000万円
7級10号一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの1,000万円
8級5号一下肢を五センチメートル以上短縮したもの830万円
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの830万円
8級9号一下肢に偽関節を残すもの830万円
10級8号一下肢を三センチメートル以上短縮したもの550万円
10級11号一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの550万円
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの290万円
12級8号長管骨に変形を残すもの290万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
13級8号一下肢を一センチメートル以上短縮したもの180万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

(11)足指の骨折

足指の骨は、足の先端から順に末節骨・中節骨・基節骨などで構成されています。

交通事故では、足指の骨が粉々にくだけてしまう粉砕骨折や、靭帯や筋肉などが急激に収縮したため骨がはがれ落ちてしまう剥離骨折が起こる場合があります。

足指の骨折では、以下のような後遺症が残る可能性があります。

  • 欠損障害
    粉砕骨折などの治療で足指を切断し、足指が失われたままになる
  • 機能障害
    足指を動かしにくくなったり、まったく動かなくなったりする

足指の骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場(弁護士基準)

足指の骨折による後遺障害慰謝料は110万円から1,400万円が相場です。後遺障害認定を受けた足は片足・両足どちらか、指の本数は何本か、どんな後遺障害かで等級が分かれます。

足指の骨折で認定される可能性がある主な後遺障害等級と、認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

なお、足指の骨折により機能障害が残った場合、用を廃した足指の種類や本数に応じて後遺障害等級が決まります。

足指の骨折による代表的な後遺障害と慰謝料の相場

等級後遺障害慰謝料
5級8号両足の足指の全部を失つたもの1,400万円
7級11号両足の足指の全部の用を廃したもの1,000万円
8級10号一足の足指の全部を失つたもの830万円
9級14号一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの690万円
9級15号一足の足指の全部の用を廃したもの690万円
10級9号一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの550万円
11級9号一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの420万円
12級11号一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの290万円
12級12号一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの290万円
13級9号一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの180万円
13級10号一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの180万円
14級8号一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの110万円

骨折などで足の指を切断した・足の指が曲がらないといった後遺障害を負った場合は、『交通事故で足指を切断した・曲がらなくなった|後遺障害等級の認定基準は?』の記事もお役立てください。後遺障害認定を受けるためのポイントもわかります。

骨折で慰謝料を適切に受け取るためのポイント

交通事故で骨折した場合、慰謝料を含めた損害賠償金を適切な金額で受け取るためには、弁護士を立てて弁護士基準で計算することが大切です。

一方で、知らない間に慰謝料が減額される理由を作ってしまっていたり、示談交渉がうまくいかなかったりすれば、適切な金額を受け取れない可能性もあります。

ここからは、納得のいく金額で慰謝料を受け取るためのポイントを確認していきましょう。

医師の指示があるまで通院をやめない

通院を続けて、症状がある程度回復してきたからといって、自己判断で通院をやめるのは避けましょう。

医師から「完治」か、これ以上治療を行っても改善しない「症状固定」と判断されるまでは、通院を続けることが大切です。

重要ポイント

自己判断で治療をやめると、以下のリスクが生じます。

  • 治療期間が短くなることで、入通院慰謝料が低額になる。
  • 後遺症が残っても後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料がもらえない可能性が高くなる。

症状固定のタイミングは人それぞれですが、目安となる時期は『症状固定とは?時期や症状固定と言われた後にする後遺障害認定と示談』の記事で解説しているので確認してみてください。

なお、仕事や育児などやむを得ない事情で治療期間を短縮した場合は、事情を考慮して実際の治療期間分よりも多くの慰謝料が認められることがあります。

しかし、仕事や育児が理由ならすべて「やむを得ない事情」と判断されるというわけではありません。
また、加害者側は治療期間以上の慰謝料額を認めようとしないでしょう。

よって、やむを得ず治療期間を短縮した場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

治療費の打ち切りを打診されたときの対処法

医師から治療終了の診断を受けるまで治療を続けようと思っていても、途中で加害者側の任意保険会社から「これ以降の治療費は支払わないので治療を終えてください」と言われることがあります。

骨折の場合は、入通院をはじめてから3ヶ月~6ヶ月が経過した頃に治療費支払いの打ち切りを打診されることが多いでしょう。

まだ治療が必要であるにも関わらず、治療費打ち切りに伴って治療をやめてしまうと、自己判断で治療をやめた場合と同じリスクが生じます。

よって、加害者側の任意保険会社から治療費打ち切りを打診された場合は、治療をやめるのではなく、以下のように対応することをおすすめします。

  • まずは主治医に治療継続の必要性を確認する。
    治療継続が必要ならば、治療費の支払いを継続してもらうよう加害者側の任意保険会社と交渉する。
  • 交渉したにも関わらず治療費が打ち切られた場合は、治療費を自費で立て替え、示談交渉時に請求する。

交通事故の治療費打ち切りへの対応については、関連記事『交通事故の治療費打ち切りを阻止・延長する対応法!治療期間はいつまで?』でも説明しています。あわせてお役立てください。

なお、自費で治療を継続する場合、健康保険を使うと負担が軽くなります。
ただし、交通事故における健康保険の使い方は、通常の場合と異なる部分があります。

健康保険を利用する時の手続きについて、詳しくはこちらの関連記事『交通事故で健康保険は使える!使えないケースやデメリットも解説』をご確認ください。

適切な後遺障害等級認定を受けるために工夫する

後遺障害慰謝料の金額を左右する後遺障害等級は、審査機関による審査で決定されます。

ただし、後遺障害等級は認定されなかったり、適切な等級よりも低い等級が認定されてしまったりすることもあります。
その場合、後遺障害慰謝料が受け取れないか、適切な金額よりも低くなってしまいます。

適切な後遺障害等級に認定されるには、審査機関に症状の程度が伝わりやすいよう、申請書類の工夫をすることが大切です。

しかし、申請書類の工夫をすると言っても、どのようなことをすればよいかわからない方も多いでしょう。以下の理由から、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

  • 弁護士は過去の認定事例に精通しているので、より効果的な審査対策ができる。
  • 適切な後遺障害等級認定を得やすい「被害者請求」の手続きは書類の準備の手間がかかるが、弁護士に依頼すれば書類集めを代わりにしてもらえる。

弁護士を立てて後遺障害認定の手続きをするメリットについて詳しくは、『後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解|必要書類も紹介』の記事をご覧ください。

また、後遺障害認定は異議申立てをすると再審査が受けられます。すでに後遺障害認定を受けたものの、結果に納得がいかないような場合も弁護士にご相談ください。

法的根拠に基づいた過失割合の交渉を行う

交通事故の過失割合は、慰謝料をはじめ、示談金額全体に影響します。過失割合とは、交通事故の発生原因に関して、当時者双方が持っている責任を割合で示したものです。

過失割合が10対0で被害者に一切過失がないときには、交渉で決定した示談金を満額受けとれます。

しかし、被害者にも過失がついたならば、過失割合の程度に応じて示談金額が減額となるのです。

過失割合は加害者側から提示されることが多いですが、示談金額を減らすために被害者側の過失割合を高くしている可能性があります。

そのため、妥当な過失割合を被害者側で判断したうえで加害者側に主張する必要があるのです。

しかし、過失割合は、車よりもバイクの過失割合が低くなりやすい、歩行者よりもバイクの過失割合が高くなりやすいといった基本傾向はあるものの、過失割合は色んな要素が関係するので判断が難しいでしょう。

弁護士ならば法的根拠を持って相手方と交渉可能ですし、相手方の説明に不備があれば気づくことができます。

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示談交渉は弁護士に任せる

最終的に加害者側から受け取る慰謝料の金額を決めるのは、示談交渉です。

慰謝料の金額は、治療期間や骨折の部位・程度・具体的な症状などで決まります
特に、完治まで治療期間が長くかかった方や、骨折後に変形障害・機能障害・短縮障害・神経障害といったなんらかの後遺症が残っている方は注意してください。

治療が長引くことで入通院慰謝料が高くなったり、後遺障害認定を受けることで後遺障害慰謝料が追加請求できたりと、請求すべき金額が高額であるほど加害者側との交渉はよりシビアになるでしょう。

示談交渉では加害者が加入する任意保険会社が相手となるため、以下のような点に注意しましょう。

  • 加害者側は任意保険基準を基にした低額な慰謝料を提示してくる
  • 被害者側が増額を求めて主張しても、十分に聞き入れられることはほとんどない
  • 加害者側の任意保険会社による高圧的な言動により、負担を感じる被害者は多い

示談交渉で弁護士を立てれば、上記のような問題はすべて解決でき、弁護士基準に沿った金額を示談金として獲得することが見込めます。
被害者側が弁護士を立てると、加害者側の任意保険会社は裁判になることを恐れ、態度を軟化させるのです。

弁護士を立てると弁護士費用がかかりますが、弁護士費用を差し引いてもなお、弁護士を立てなかった場合よりも多くの金額が手に入ることは多いです。

まずはアトム法律事務所の無料相談を

アトム法律事務所では電話・LINEにて無料相談をおこなっています。

交通事故による骨折の慰謝料などのお悩みは、ぜひアトム法律事務所までご相談ください。

弁護士に相談するのは大袈裟だ、弁護士と話すのがはじめてで不安があるという方は、関連記事『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』をご確認ください。

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    関連記事:交通事故の弁護士費用特約
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    ※成功報酬を差引いても、弁護士を立てた方が多くの示談金が手元に入ることが多い。

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多くの交通事故案件の解決実績があるアトム法律事務所であれば、慰謝料を増額するためにはどうすればいいか、後遺障害等級を認定されやすくするためにはどうすればいいかなど、交通事故の被害者の方に適切なアドバイスやサポートを行えます。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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