顔面骨折で後遺障害認定される?鼻骨骨折・頬骨骨折・下顎骨折の後遺症と慰謝料相場

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顔面・鼻骨・頬骨や下顎骨折の後遺症

交通事故による顔面骨折には、鼻骨骨折、頬骨骨折、上顎骨骨折、下顎骨骨折といった様々な骨折が考えられます。

交通事故で顔面を骨折してしまった方は、いったいどんな後遺症が残るのか、後遺障害認定を受けられるのか、慰謝料の適正相場はいくらかなど、様々な不安と疑問をお持ちでしょう。

この記事では、顔面骨折による後遺障害と慰謝料の相場について弁護士目線で解説します。適正相場への増額のポイントもお伝えしますので、最後までお読みください。

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交通事故による顔面骨折の種類と症状

顔面の骨は鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨などいくつかの骨から構成されています。交通事故で顔面を打ち付けることで骨折してしまうと、様々な症状があらわれるのです。

鼻骨骨折|鼻が曲がる、鼻血が出るなど

鼻骨骨折は、バイク乗車中の交通事故、自転車同士の衝突、交通事故時の転倒で発症しています。

鼻骨は薄いため、比較的弱い力でも骨折してしまう傾向です。
鼻骨骨折では、鼻血、鼻筋が曲がる(斜鼻)、鼻が低くなる(鞍鼻・あんび)、鼻が詰まるといった症状が出るでしょう。

そのほか、鼻骨の奥に位置する鼻篩骨骨折(びしこつこっせつ)、鼻軟骨損傷、鼻を欠損してしまうといったケガも起こりえます。

鼻篩骨骨折では目がくぼんだり、両目の距離が離れたり、涙が止まらなかったりという症状がみられることがあります。

頬骨骨折|口が明けづらい、顔面の変形など

頬骨骨折は、歩行者や自転車・バイクの転倒時に頬の高い所周辺を打ち付けることに起因します。複数の箇所が同時に骨折する粉砕骨折が多いことも特徴です。

頬骨骨折により、頬がへこんで顔面が変形してしまったり、口があけにくい開口障害、頬や口周辺のしびれ、ものが重複してみえる、眼球がへこんだりといった様々な症状があらわれます。

上顎骨骨折|咬み合わせのズレ、顔面の変形など

上顎骨は、鼻骨や口蓋骨と結合して顔面を構成していますが、薄くてもろいため、出会い頭の事故で衝突・転倒で骨折してしまいます。

上顎骨骨折をすると、咬み合わせのズレ、顔面変形、口が開けにくい、眼球が陥没するなど広い範囲で様々な症状が出てくるでしょう。

また、頭蓋骨のうちの頭蓋底とも関連するため、重傷な場合は髄液がもれてしまうこともあるのです。

下顎骨骨折|咬合不全、よだれが出る、顔面神経麻痺など

下顎骨骨折は、バイクや自転車での走行中に出会い頭衝突などで転倒し、顔面を打ち付けることで起こってしまうことがあります。

下顎骨骨折では、咬合不全、口が開けにくい、よだれが出る、言葉が不明瞭になる、歯が折れる、変形、顔面神経麻痺など広範囲に症状があらわれると考えられます。

交通事故で歯が折れた場合に関しては、関連記事『交通事故で歯が折れたら慰謝料いくら?前歯欠損は後遺障害認定される?』で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

目の周囲の骨折|見えづらい、二重に見える、痛みなど

顔面のなかでも目の周囲に外力が加わることで、眼窩底骨折や眼球破裂、網膜剥離といったケガを負うことがあります。

目がかすむ、物が二重に見える、強く痛むなどの症状がある際は早急に病院で診察を受けてください。

目のケガの症状や後遺症については、関連記事でさらに詳しく解説しています。

顔面骨折で認定される後遺障害とは何か

顔面骨折で認定される後遺障害は、主に、変形・外貌醜状、感覚障害、機能障害、そしゃく機能障害などがあげられます。

まずは、後遺障害が生じたと主張するために必要な手続きを解説しつつ、顔面骨折により具体的に生じる可能性がある後遺障害の内容について、紹介していきます。

後遺症の症状が後遺障害等級に認定されることが必要

後遺障害等級認定を受ける必要性と認定までの流れ

後遺障害が生じたと主張するためには、損害保険料算出機構から後遺障害の等級認定を受けることが必要です。
後遺障害等級認定を受けることで、後遺障害等級に応じた慰謝料や逸失利益を請求すことが可能となります。

後遺障害等級認定を受けるための手続きは、以下の通りです。

  1. 医師に後遺障害診断書を作成してもらう
  2. 後遺障害診断書を含めた必要書類を収集する
  3. 損害保険料算出機構へ書類の提出を行い調査してもらう
  4. 認定結果の通知を受ける

後遺障害等級認定を受けるための申請方法は2種類あり

後遺障害等級認定を受けるための申請方法には、以下の2つがあります。

  • 事前認定
    後遺障害診断書以外の必要書類を加害者側の任意保険会社に収集してもらい、任意保険会社から損害保険料算出機構へ申請を行ってもらう
  • 被害者請求
    後遺障害診断書を含めた必要書類を被害者自身で収集し、被害者自身で申請を行う

事前認定の方が被害者の手間が省けるというメリットがあるものの、適切な後遺障害等級認定を得る場合には、被害者請求により必要書類を吟味した方が良いといえるでしょう。

また、被害者請求により生じる書類収集の手間は、弁護士に依頼することで軽減することが可能です。

鼻骨骨折の後遺症で認定される後遺障害等級

鼻骨骨折では、外貌醜状、鼻の欠損、嗅覚減退や鼻づまりなどで後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

変形・外貌醜状の後遺障害

鼻骨骨折の結果、外貌醜状として7級12号、9級16号、12級14号の後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

等級認定基準
7級12号外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級14号外貌に醜状を残すもの

変形の程度によってどの後遺障害等級認定となるかが決まります。

鼻の欠損の後遺障害

鼻骨骨折により鼻を欠損してしまうと後遺障害9級5号に認定される可能性があります。

等級認定基準
9級5号鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

鼻の欠損とは鼻の軟骨部分の全てまたは大部分を欠損した状態のことです。鼻の機能に著しい障害を残す状態とは、鼻呼吸ができなかったり、嗅覚を失ったものなどが該当します。

なお、鼻の欠損を顔面醜状として評価・認定されれば7級12号に該当する場合もあるでしょう。

嗅覚減退や鼻づまりの後遺障害

鼻骨骨折により嗅覚に障害が残った場合には、12級相当または14級相当の後遺障害と認められる場合があります。

等級認定基準
12級相当嗅覚を脱失するものまたは鼻呼吸困難が存するもの
14級相当嗅覚の減退するもの

嗅覚の脱失とは、嗅覚をまったく失ってしまったもののことです。T&Tオルファクトメーターの検査結果が5.6以上のとき、後遺障害12級相当と考えられます。

T&Tオルファクトメーターの検査結果が2.6以上5.5以下であれば、嗅覚減退と認定されて14級相当となる見込みです。

鼻づまりについては、両方の鼻で鼻づまりが起こって鼻呼吸が困難な場合には後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。鼻呼吸困難は12級相当の後遺障害認定の見込みです。

頬骨骨折の後遺症で認定される後遺障害等級

変形や外貌醜状の後遺障害

頬骨骨折の結果、外貌醜状として7級12号、9級16号、12級14号の後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

等級認定基準
7級12号外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級14号外貌に醜状を残すもの

どの程度変形してしまったのかで後遺障害等級認定結果は変わるでしょう。

感覚障害の後遺障害

頬骨骨折の結果、しびれなどの感覚障害が残った場合には12級13号や14級9号の後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

しびれの感覚障害を主張するだけでなく、医学的な検査結果で示すことが出来れば12級13号認定、受傷の経緯や症状の継続性などから医学的に説明ができれば14級9号の認定を受けられる見込みです。

眼球の運動障害

頬骨骨折により、眼球が動かしにくい運動障害や複視の症状が残った場合には、10級2号、13級2号の後遺障害認定を受ける可能性があります。

等級認定基準
10級2号正面を見た場合に複視の症状を残すもの
13級2号正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

眼球の運動障害では、正面を見た際の複視と、左右上下の複視があります。正面を見た場合の複視は、相当な頭痛やめまいを生じることから、より重い後遺障害として認定される見込みです。

開口障害

頬骨骨折により口が開けづらい開口障害を負った場合、そしゃくに相当の時間を要する場合は12級相当が認定される可能性があります。

下顎骨骨折の後遺症で認定される後遺障害等級

そしゃく機能障害

下顎骨骨折により、そしゃくや言語機能に障害を残していると、その程度に応じて、1級2号、3級2号、4級2号、6級2号、9級6号、10級3号認定を受ける可能性があります。

等級認定基準
1級2号そしゃくおよび言語の機能を廃したもの
3級2号そしゃくまたは言語の機能を廃したもの
4級2号そしゃくおよび言語の機能に著しい障害を残すもの
6級2号そしゃくまたは言語の機能に著しい障害を残すもの
9級6号そしゃくおよび言語の機能に障害を残すもの
10級3号そしゃくまたは言語の機能に障害を残すもの

そしゃくの機能を廃するものとは、流動食のみを食べられることをいいます。
そしゃくの機能に著しい障害があるものとは、おかゆやそれに類する飲食物のみと考えられる状態です。
そしゃくの機能に障害があるものとは、固形物のなかでも噛み砕けるものが限られる状態をいいます。

変形・外貌醜状の後遺障害

下顎骨を骨折した結果、変形や外貌醜状が残った場合には、7級12号、9級16号、12級14号の後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

等級認定基準
7級12号外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級14号外貌に醜状を残すもの

感覚障害の後遺障害

痛みやしびれなどの感覚障害が残った場合、後遺障害12級13号や14級9号の後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

こうした感覚障害は「自覚症状」であるため、後遺障害申請の際には、画像検査や神経学的検査といった検査結果のほか、どういった治療をしてきたのか、痛みやしびれが継続していることなどを主張する書類も添付しましょう。

顔面骨折の後遺障害慰謝料相場や他に請求できる損害

顔面骨折で後遺障害を負った場合には、後遺障害慰謝料の請求が認められます。
ここで注意すべき点としては、同じ事故であっても慰謝料算定の基準しだいで金額が大きく異なってしまうことです。

顔面骨折の後遺障害慰謝料相場

下表は、後遺障害等級ごとの慰謝料相場です。

等級 自賠責弁護士
1級・要介護1,6502,800
2級・要介護1,2032,370
1級1,1502,800
2級9982,370
3級8611,990
4級7371,670
5級6181,400
6級5121,180
7級4191,000
8級331830
9級249690
10級190550
11級136420
12級94290
13級57180
14級32110

※慰謝料の単位:万円/2020年4月以降に発生した事故に適用される金額

後遺障害慰謝料については、自賠責基準と弁護士基準を比較すると、同じ後遺障害等級でも2~3倍の金額差が生じています。

たとえば鼻骨骨折で9級16号認定を受けたなら、慰謝料相場は690万円です。
しかし、自賠責基準では249万円にとどまっています。

後遺障害慰謝料の請求相手の多くは加害者が加入している任意保険会社になりますが、任意保険会社は自賠責基準か、それより少し高い自社基準で提案してくるものの、弁護士基準の690万円という金額提示はなされないでしょう。

そのため、加害者側の提示してくる金額については、相場の金額であるのかをしっかりと確認する必要があります。

慰謝料の3基準比較

後遺障害慰謝料以外に請求できる損害あり

交通事故により顔面骨折となり、後遺障害が生じた場合には、後遺障害慰謝料以外にも以下のような損害について請求することが可能です。

治療関係費治療費用・入通院交通費など
関連記事:『交通事故の治療費は誰が支払う?被害者が立て替えるなら健康保険を使おう
入通院慰謝料治療のために入院や通院したことで生じる精神的苦痛に対する補償
入通院の期間に応じた金額を請求できる
休業損害治療のために仕事を休んだ減収に対する補償
事故前の収入や休業日数から金額が決まる
関連記事:『交通事故の休業損害|計算方法や休業日の数え方、いつもらえるかを解説
逸失利益後遺障害により生じる将来の減収に対する補償
事故前の収入や年齢、後遺障害の程度などから金額が決まる
関連記事:『【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき|もらえない原因と対処法
物的損害自動車や自転車の修理・代車費用など
関連記事:『物損事故の示談の流れと示談金相場|交渉時の注意点

入通院慰謝料や逸失利益の金額については、以下の計算機を利用することで知ることができます。
もっとも、事故の個別具体的な事情を考慮することで変動する可能性がある点にご注意ください。

交通事故による顔面骨折の示談交渉のポイント

交通事故による顔面骨折の示談交渉のポイントは、以下の通りです。

  1. 十分な資料を準備する
  2. 適切な損害賠償額を主張する
  3. 弁護士への相談を検討する

3つのポイントを詳しくみていきましょう。

(1)十分な資料を準備する

交通事故による顔面骨折の示談交渉では、十分な資料を準備することが重要です。

交渉の進め方次第ですが、過失割合で争っているなら警察の実況見分調書を取り寄せたり、休業損害を請求するなら会社に休業損害証明書を書いてもらったりと、損害に応じて根拠資料を集める必要があります。

(2)適切な損害賠償額を主張する

さらに、示談交渉では、適切な損害賠償額を主張することが大切です。

とくに後遺障害慰謝料や逸失利益においては、適切な後遺障害等級認定を受けることが欠かせません。不当な等級結果では、必然と賠償額も減ってしまいます。

(3)弁護士への相談を検討する

最後に、相手方との主張が食い違っているならば安易に示談せず、まず弁護士に相談をしましょう。相手方の提示してくる金額や条件について法律の専門家の立場からアドバイスがもらえます。

また、話を聞いてみて示談交渉を弁護士に委任することも有効です。

相場の金額を得るためには、弁護士基準により算出される金額まで賠償金を増額交渉することが大切です。
そして、弁護士基準まで引き上げるには弁護士による交渉が必要不可欠といえます。

弁護士基準とは裁判で認められる基準でもあるため、相手の任意保険会社としては、裁判に至らない段階では認めたくないのです。
そこで弁護士を立てることで、いずれは裁判になるということを示唆することで示談段階から増額交渉を受け入れてもらいやすくなります。

顔面骨折という大変なケガを負ってしまった分、せめて賠償金額では損をしないよう、法律の専門家に任せてみましょう。

また、弁護士に相談・依頼することで、賠償金額の増加以外にもメリットが生じます。
詳しく知りたい方は『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。

弁護士に相談するなら無料の法律相談がおすすめ

加害者側に対する損害賠償請求に関して弁護士に相談するのであれば、無料の法律相談を受けることがおすすめです。

相談料が無料なため、金銭的な負担なく、弁護士からのアドバイスを受けることができます。

相談後に依頼となると費用が発生しますが、弁護士費用特約を利用することで弁護士に支払う費用を抑えることが可能です。

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約とは、弁護士に支払う相談料や弁護士費用の保険会社が代わりに負担してくれるという特約です。

多くの場合は、相談料が10万円、弁護士費用が300万円を限度額としており、実際の相談料や弁護士費用が限度額を超えることは少ないでしょう。

そのため、相談料や弁護士費用を負担せずに弁護士への相談や依頼が可能となるのです。

関連記事:『交通事故の弁護士費用特約を解説|使い方は?メリットや使ってみた感想も紹介

アトム法律事務所では、無料の法律相談を行っています。
交通事故案件に力を入れているため、経験豊富な弁護士に相談することが可能です。

また、依頼を受ける時点では原則として費用をいただいておりません。弁護士費用の支払いは、加害者から損害賠償金を回収後に行うため、弁護士費用特約が利用できなかったり、手元のお金に不安がある方でも依頼が可能です。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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