交通事故による眼窩底骨折の後遺症と慰謝料の相場は?後遺障害認定基準を解説

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事故で眼窩底骨折

眼窩底骨折(がんかていこっせつ)とは、目の周囲の骨のうち眼窩底が折れてしまうことです。

眼窩底破裂骨折や吹き抜け骨折ともいわれるもので、交通事故やスポーツの事故、転倒などにより外力が加わって起こることが多いとされています。

眼窩底骨折の後遺症は、視力障害、複視、運動障害、醜状障害と幅広く、基準を満たすと「後遺障害」として認定を受ける可能性があるでしょう。

この記事では、眼窩底骨折の後遺症がどんな後遺障害に認定される可能性があるのか、慰謝料の相場や請求の流れを解説していきます。

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眼窩底骨折の症状と治療

交通事故では、自転車やバイクの乗車中に事故相手と接触したり、塀や道路などで目を強く打ちつけたりして、眼窩底骨折を負うことがあるのです。

眼窩底骨折を負った場合の症状と治療についてみていきましょう。

眼窩底骨折の症状

眼窩底骨折の主な症状は、目の周りに腫れや内出血が出ること、物が二重に見える複視、眼球を動かす際の痛み、吐き気などがあげられます。

眼窩底骨折の症状

  • 眼球の上転障害
  • 複視
  • 視野障害
  • 視野狭窄
  • 吐き気
  • 頬から唇にかけてのしびれ
  • 眼球陥没
  • 痛み・腫れ
  • 目の周囲の変色(あざ)

早めに眼科へかかるようにしましょう。

眼窩底骨折の治療

軽度の骨折なら薬物療法や安静療法といった保存療法が選択されることもあるでしょう。

一方で、複視が生じているときや、眼球が眼窩内に入り込んでしまっているときなど重度の骨折は手術が必要になることもあります。

また、被害者が若年層であればなおさら注意が必要です。

骨は成長につれて硬くなるため、大人であれば完全に折れた開放型眼窩骨折となる傾向にあります。一方で若年層は骨が比較的柔らかいために不完全な骨折になりやすく、大人よりも必要度・緊急度が上がるといわれています。

眼窩底骨折の症状や治療法については、医師に相談してください。

なお、眼窩底骨折を負っている場合は顔面を強く打ちつけたり、頭部に外力が加わっていることも考えられます。眼窩底骨折と関連する部位の解説記事は下記の通りです。

眼窩底骨折の後遺症と認定されうる後遺障害等級

眼窩底骨折の主な後遺症には、視力障害、複視、運動障害、醜状障害があります。これらの後遺症が認定されうる後遺障害等級と認定基準をみていきましょう。

なお、涙が止まらない(流涙)や、外傷性散瞳(まぶしさを感じる)なども後遺障害認定される可能性がある症状です。

目の後遺症全般については関連記事『交通事故による目の後遺障害|失明・視力低下・複視の認定基準』で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。

視力障害(見えづらい・失明)

眼窩底骨折によって視神経が圧迫され、視力低下を引き起こす可能性があります。視力障害の後遺障害は最も重いもので1級1号、軽いもので13級1号に認定される見込みです。

視力障害の後遺障害等級は、両眼か片目か、視力低下の程度など複数の要素で決まるでしょう。

視力障害の後遺障害等級認定基準

後遺障害等級認定基準
1級1号両眼の失明
2級1号1眼が失明、もう1眼は視力が0.02以下
2級2号両眼の視力が0.02以下
3級1号1眼が失明、もう1眼は視力が0.06以下
4級1号両眼の視力が0.06以下
5級1号1眼が失明、もう1眼は視力が0.1以下
6級1号両眼の視力が0.1以下
7級1号1眼が失明、もう1眼は視力が0.6以下
8級1号1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下
9級1号両眼の視力が0.6以下になったもの
9級2号1眼の視力が0.06以下になったもの
10級1号1眼の視力が0.1以下になったもの
13級1号1眼の視力が0.6以下になったもの

なお、こうした視力は基本的に「万国式試視力表」を用いて測定され、眼鏡やコンタクトレンズなどのによる矯正視力で審査されます。

複視(物が二重に見える)

眼窩底骨折によって目の筋肉が損傷すると、複視が起こることがあります。複視とは、物体が二重に見える症状です。

複視で認定されうる後遺障害等級は、10級2号、13級2号となっています。

複視の後遺障害等級認定基準

後遺障害等級認定基準
10級2号正面を見た場合に複視の症状を残すもの
13級2号正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

本人が複視であることを自覚していること、複視が生じている原因である筋肉の麻痺などが認められること、ヘススクリーンテストという検査結果などで審査されます。

運動障害(眼球が動かしづらい)

眼窩底骨折後に眼球に動かしづらさが残ることがあり、運動障害として後遺障害認定を受けられる可能性があります。

運動障害は11級1号、12級1号の認定見込みです。

運動障害の後遺障害等級認定基準

後遺障害等級認定基準
11級1号両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
12級1号1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

頭を動かさない状態で眼球だけを動かすときに見える範囲を、注視野といいます。この注視野が半分以下になってしまうと、著しい運動障害が残った状態と考えられるのです。

醜状障害(目の周辺に傷が残った)

顔面を強く打ちつけることで起こる眼窩底骨折では、顔の傷痕が残ってしまうこともあります。顔に残った傷痕は「外貌醜状」といい、後遺障害認定の対象となりうるものです。

外貌醜状は、7級12号、9級16号、12級14号認定の可能性があります。認定基準に男女差はありません。

外貌醜状の後遺障害等級認定基準

後遺障害等級認定基準
7級12号外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級14号外貌に醜状を残すもの

後遺障害等級は、傷痕の形状や面積で判断されます。たとえば、5cm以上の線状痕で人目につくものであれば、9級16号認定が見込まれるでしょう。

こうした傷痕には、眼窩底骨折の手術にあたって付いた手術痕も対象となります。

一方で、眉毛や頭髪で隠れる場合は人目につかないものとして後遺障害認定の対象外です。

外貌醜状の詳しい認定基準を知りたい方は、関連記事『交通事故による顔の傷跡(外貌醜状)の後遺障害認定』をお役立てください。

後遺障害等級認定を受ける方法

後遺障害等級認定を受けるためには、まず後遺障害申請をおこなう必要があります。大まかな流れは以下の通りです。

  1. 主治医から症状固定の診断を受ける
  2. 保険会社に後遺障害申請書類を手配してもらう
  3. 後遺障害申請に必要な書類を作成・収集する
  4. 被害者は保険会社に後遺障害申請書類を提出する
  5. 保険会社が損害保険料率算出機構に書類を送る
  6. 損害保険料率算出機構が審査され結果が通知される

眼窩底骨折で後遺障害認定を受けるためには、症状を客観的に示す様々な検査が必須です。

後遺障害認定の具体的な流れや審査の仕組み、症状固定時期については、関連記事を読むと理解が深まります。

眼窩底骨折の慰謝料相場と請求の仕方

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つがあります。

  • 入通院慰謝料は眼窩底骨折の治療期間に応じて金額が決まる
  • 後遺障害慰謝料は、後遺障害認定を受けたときに入通院慰謝料とは別に請求できる

それぞれの慰謝料の計算方法と相場をみていきましょう。

入通院慰謝料の相場

眼窩底骨折を負ったことへの入通院慰謝料は、入院・通院の治療期間に応じて金額を算定するのが通常です。

弁護士や裁判所といった法律の専門家であれば、下表の「慰謝料算定表」に基づいて計算します。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

「慰謝料算定表」は入院月数と通院月数の交わる部分を慰謝料額とする考え方です。たとえば、入院なしで通院6ヶ月のとき、入通院慰謝料相場は116万円となります。

もっとも、相手方の保険会社はもっと低い金額を提示してくるので、示談時に増額交渉が欠かせません。

被害者本人ではなく、弁護士が増額交渉を代理することで、慰謝料算定表に基づく金額請求に応じてもらえる可能性が高まります。

関連記事では、慰謝料の計算方法やおおよその相場を解説しています。

あるいは、下記バナーより慰謝料計算機を活用してみてください。おおよその慰謝料相場が自動計算できます。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級に応じておおよそ決まってきます。後遺障害1級認定ならば2,800万円、後遺障害13級認定ならば180万円が相場です。

後遺障害慰謝料の相場

等級 弁護士基準
1級2,800万円
2級2,370万円
3級1,990万円
4級1,670万円
5級1,400万円
6級1,180万円
7級1,000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

もっとも後遺障害慰謝料についても、相手の保険会社と弁護士とでは、損害算定に使う基準が異なります。

相手の保険会社の担当者がいかに親切な人でも、あくまで会社のルールに則って金額を提案してくるので、うのみにしてはいけません。

慰謝料増額の可能性を上げるためにも、弁護士への依頼を検討してみてください。弁護士に依頼するメリットは多数あります。

慰謝料以外の損害賠償

交通事故の損害賠償は慰謝料だけではなく、治療費、休業損害、通院交通費など多岐にわたります。

「示談は成立したけど、追加で請求したい」ということは原則不可です。そのため、示談成立前には損害内容を十分に検討しましょう。

交通事故の損害賠償の代表的なものを以下に示します。

費目内容
治療関係費治療費、手術費、医薬品代、通院交通費など
休業損害治療のために働けずに、減収したことへの補償
逸失利益※労働能力低下により失われた、本来得られるはずの収入
物的損害車両の修理費、衣服や所持品の弁償など

※逸失利益は後遺障害認定を受けた場合のみ

なお、物的損害部分のみを先行して示談するケースも多いです。

損害賠償請求の内容や具体的な流れについては、関連記事『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法を解説』もお読みください。

損害賠償請求の流れ

眼窩底骨折の慰謝料を請求するには、加害者に対して示談交渉を行う必要があります。

交通事故の損害賠償請求では、まず示談交渉が第一です。示談交渉とは、当事者同士が裁判外で話し合い、双方で譲歩して賠償内容を決める方法になります。

そして、示談交渉がうまくいかない場合には、ADRや裁判といった第三者の介入により解決を目指すことになるのです。

事故発生から示談金回収まで

無料相談窓口あり|眼窩底骨折の損害賠償請求は弁護士に任せよう

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つづいて、アトム法律事務所の特徴の一部を紹介します。

POINT

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また、正式に依頼いただく際の弁護士費用についてはホームページ内『交通事故の弁護士費用』にも記載しておりますが、無料相談時にお問い合わせいただければ、弁護士がわかりやすくお答えします。

なお、弁護士費用が気になる方は、事前に被害者の方が利用できる弁護士費用特約の有無をご確認いただくとスムーズです。

弁護士費用特約とは、被害者に代わって、保険会社が弁護士費用を支払うという特約です。

弁護士費用特約とは何か

約款次第ですが、法律相談料10万円、弁護士費用300万円を上限としているものが多く、費用負担を和らげてくれるでしょう。

交通事故の損害賠償請求額が数千万円にのぼらない限り、弁護士費用特約の範囲で全額まかなえることも多く、被害者は自己負担ゼロということも十分ありえます。

また、一定範囲の家族名義の特約が適用される場合があります。被害者自身の保険に特約がついていなくても、家族に聞いてみましょう。

弁護士費用特約のみの利用であれば、翌年の保険料が上がりません。使える弁護士費用特約があるなら使うべきです。

関連記事『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の詳しい解説も参考にして、ぜひ弁護士依頼を前向きに検討してみてください。

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弁護士への相談・依頼に迷いのある方は、以下の記事も参考にしてみてください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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