圧迫骨折の後遺症が後遺障害に認定される基準は?請求できる慰謝料も解説

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圧迫骨折の後遺症

交通事故にあうと、外部からの圧力により脊椎の椎体と呼ばれる部分が圧し潰される「圧迫骨折」が生じることがあります。

圧迫骨折による後遺症が残ったら、後遺障害認定の申請を行いましょう。

圧迫骨折を原因とした骨の変形や運動障害といった後遺症は、後遺障害6級、8級、11級に認定される可能性があります。

また、痛みやしびれといった神経症状が残ったとして、後遺障害12級、14級に認定される可能性もあるでしょう。

この記事では、圧迫骨折の後遺症が残ったときの後遺障害認定のポイントを弁護士が詳しく解説しています。

あわせて、圧迫骨折の後遺症で請求できる慰謝料や逸失利益といった損害賠償金のこと、事故の加害者側との交渉における圧迫骨折特有の注意点も紹介しているので、ぜひご参考ください。

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交通事故による圧迫骨折とは?

圧迫骨折とは、背骨(脊椎)が潰れるように折れることをいいます。圧迫骨折はレントゲン撮影だけでは見逃されやすいこともあるので、交通事故にあったら十分な検査を受けるようにしましょう。

圧迫骨折の症状と原因

圧迫骨折を負うと、腰から背中にかけての痛み、下肢の痛みやしびれ、骨の変形などの症状が生じます。これらの症状は、保存治療や手術治療を行っても完治せず、後遺症が残存してしまうことがあるでしょう。

特に、高齢者が圧迫骨折を負った場合、長期間の安静を要した結果、骨折が治っても筋力や骨量が低下して歩行障害や寝たきりにつながってしまう可能性が高いので注意が必要です。

圧迫骨折は、交通事故や労災事故などで強い力が外から加わることで発症するといわれています。交通事故では、バイクや自転車での事故、追突事故、歩行者や高齢者の事故などで起こりやすいです。

圧迫骨折の治療法

交通事故により圧迫骨折が生じた場合には、コルセットによる固定を行い、骨癒合まで待つという保存療法がおこなわれます。

骨折の程度が重い場合には、手術による骨折部分の固定を行うこととなるでしょう。

圧迫骨折は主に3種類に分けられる

圧迫骨折は、脊椎を構成する腰椎・胸椎・頚椎で生じることから総称して「脊椎圧迫骨折」とも呼ばれます。

圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)の種類

圧迫骨折は、上記のように主に3種類に分けられます。

骨折の箇所や程度については、レントゲン・MRI・CTなどの画像検査により診断がなされるでしょう。

圧迫骨折による後遺障害等級と認定基準

交通事故による圧迫骨折が症状固定となり、何らかの後遺症が残ったら後遺障害認定の申請を行いましょう。

後遺障害に認定されれば、後遺障害慰謝料・逸失利益といった新たな損害賠償金の費目を請求できるようになります。

後遺障害認定の仕組みや手続きの流れについて具体的に知りたい方は、関連記事『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』をご参考ください。

圧迫骨折では主に「変形障害」「運動障害」「荷重機能障害」「神経症状」で後遺障害認定される可能性があります。

具体的にどのような要件を満たしていれば、圧迫骨折で後遺障害等級に認定されるのか、基準やポイントを確認していきましょう。

圧迫骨折による変形障害で6級・8級・11級

圧迫骨折の後遺症として変形障害が残った場合、後遺障害6級、8級、11級に認定される可能性があります

変形障害とは、圧迫骨折によって脊柱の変形が起こり、そのまま症状固定となってしまった状態のことです。

まずは、自賠責保険が定めている変形障害の後遺障害等級の認定基準を見てみましょう。

変形障害による後遺障害等級の認定基準

等級後遺障害
6級5号脊柱に著しい変形を残すもの
8級相当脊柱に中程度の変形を残すもの
11級7号脊柱に変形を残すもの

上記の認定基準は「著しい変形」や「中程度の変形」といったあいまいな表現であるため、ややわかりづらいです。具体的にどのような条件で各等級に認定される可能性があるのかを、詳しく確認していきましょう。

6級5号の認定基準

6級5号に認定されるためには、X線写真等で圧迫骨折が確認でき、かつ以下のいずれかの条件に該当している必要があります。

  1. 2個以上の椎体の前方(腹側)の高さが減少し、1個あたりの椎体の後方(背中側)の高さより低くなったことが原因で、後彎(脊椎の背中側が曲がる、背中が丸くなる)が生じている。
  2. 1個以上の椎体の前方の高さが減少し、1個あたりの椎体の後方の高さより50%以上低くなったことが原因で、側彎(脊椎が横方向に曲がる)が生じ、その角度が50度以上である。

なお、側彎の角度は、X線写真を用いた「コブ法」という方法で計測します。

8級相当の認定基準

8級相当に認定されるためには、X線写真等で圧迫骨折が確認でき、かつ以下のいずれかの条件に該当している必要があります。

  1. 6級5号の認定基準の2に相当する後彎が生じている。
  2. 側彎が生じており、その角度がコブ法で測定すると50度以上である。
  3. 環椎(第一頚椎)または軸椎(第二頚椎)の変形・固定(環椎と軸椎の固定術が行われた場合も含む)により、次のいずれかに該当する。
    1. 60度以上の回旋位となっている。
    2. 50度以上の屈曲位または60度以上の伸展位となっている。
    3. 側屈位となっており、X線写真等により、頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎の下面との平行線が交わる角度が30度以上の斜位になっている。

11級7号の認定基準

11級7号に認定されるためには、以下のいずれかの条件に該当している必要があります。

  1. 圧迫骨折を残していることがX線写真等で確認できる。
  2. 脊椎固定術が行われた(ただし、移植した骨がいずれかの脊椎に吸収された場合は認定されない。)
  3. 3個以上の脊椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けた。

変形障害の認定のポイント

圧迫骨折が残っていることがレントゲンやCT、MRIなどの画像検査によって判断できるなら、後遺障害認定を受けられる可能性が高いです。

よって、事故後はたとえ外傷がなくても整形外科を受診し、早期に画像検査を受けることが大切です。

また、事故直後の検査で異常なしとの所見が得られたとしても、その後に自覚症状が生じたら、早めに病院で画像検査を受けるようにしましょう。

圧迫骨折による運動障害で6級・8級

圧迫骨折の後遺症として運動障害が残った場合、後遺障害6級、8級に認定される可能性があります

運動障害とは、脊椎の圧迫骨折が原因で首や背中が曲がりにくくなり、そのまま症状固定となってしまった状態のことです。

まずは、自賠責保険が定めている運動障害の後遺障害等級の認定基準を見てみます。

運動障害による後遺障害等級の認定基準

等級後遺障害
6級5号脊柱に著しい運動障害を残すもの
8級2号脊柱に運動障害を残すもの

次に、それぞれの等級の認定基準を詳しく確認していきましょう。

6級5号の認定基準

6級5号に認定されるためには、以下のいずれかの条件に該当したうえで、頸部または胸腰部が強直(脊椎が固くなり、可動域制限が起こること)していることが必要です。

  1. 頚椎と胸腰椎のそれぞれに圧迫骨折等が存在していることがX線写真等で確認できる。
  2. 頚椎と胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われた。
  3. 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められる。

8級2号の認定基準

8級2号に認定されるためには、以下のいずれかの条件に該当している必要があります。

  1. 次のいずれかの理由で、頸部または胸腰部の可動域が参考可動域角度(可動域の正常値)の50%以下に制限されている。
    1. 頚椎または胸腰椎に圧迫骨折等を残していることがX線写真等で確認できる。
    2. 頚椎または胸腰椎に脊椎固定術が行われた。
    3. 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められる。
  2. 頭蓋と上位頚椎(第一頚椎と第二頚椎)の間に著しい異常可動性が生じている。

運動障害の認定のポイント

運動障害が後遺障害に認定されるためには、ただ運動制限が生じた事実があるだけではなく、X線写真等で圧迫骨折の存在が確認できるといった他覚的所見が必要になります。

単に痛みやしびれのために動かしにくいような場合は、後述する神経症状として後遺障害認定を受けることになるでしょう。

圧迫骨折による荷重機能障害で6級・8級

圧迫骨折の後遺症として荷重機能障害が残った場合、後遺障害6級、8級に認定される可能性があります

荷重機能障害とは、圧迫骨折が原因で脊椎の頭や腰を支える機能が削がれ、硬性補装具が必要になった状態のことです。

荷重機能障害は自賠責保険が定めている後遺障害等級の認定基準に該当するものがないため、以下の条件をもって相当等級を認めることとされています。

荷重機能障害による後遺障害等級の認定基準

等級後遺障害
6級相当頸部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの
8級相当頸部又は腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの

6級相当と8級相当の違いは、頸部と腰部の両方の保持に困難があるのか、どちらか一方の保持に困難があるのかという点です。

荷重機能障害の認定のポイント

荷重機能障害が6級相当・8級相当として認められるには、上記の条件の他に、「荷重機能の障害の原因が明らかに認められる」ことが必要です。

原因が明らかに認められる状態とは、脊椎の圧迫骨折や脱臼、筋肉の麻痺または項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化が存在することを、X線写真等で確認できることを言います。

圧迫骨折による神経症状で12級・14級

圧迫骨折の後遺症として神経症状が残った場合、後遺障害12級、14級に認定される可能性があります

ここまで紹介してきた変形障害、運動障害、荷重機能障害の認定基準に該当しなかった場合でも、実際に圧迫骨折によって何らかの後遺症が残っているのであれば、神経症状として評価されることが多いです。

なお、圧迫骨折による脊椎の変形が原因で、四肢麻痺といった脊髄障害を負った場合の後遺障害認定については、『交通事故で脊髄損傷|後遺障害等級と慰謝料は?等級認定の対策も解説』の記事をご覧ください。

自賠責保険が定めている神経症状の後遺障害等級の認定基準は以下のとおりです。

神経症状による後遺障害等級の認定基準

等級後遺障害
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

圧迫骨折による神経症状で後遺障害等級の認定を受ける際は、他覚所見の有無と現実に生じている障害の程度から、総合的な検討を行われるケースが多いでしょう。

参考までに、12級と14級の一般的な認定基準の違いを紹介します。

12級13号の認定基準

12級13号に認定されるためには、後遺症の存在を医学的に証明できることが必要です。以下の2つの条件を満たしているのが理想的と言えるでしょう。

  1. 画像所見から神経圧迫の存在が考えられる。
  2. 圧迫されている神経の支配領域に神経学的な異常所見が確認できる。

14級9号の認定基準

14級9号に認定されるためには、後遺症の存在を医学的に説明あるいは推定できることが必要になります。以下の2つの条件を満たせば認定されやすくなるでしょう。

  1. 画像所見から神経圧迫が示唆されている。
  2. 神経学的な異常所見が確認できる。
    (圧迫が示唆されている神経の支配領域以外に異常所見が確認できる場合も含む。)

なお、過去の判例には、画像所見がなく神経学的な異常所見があるケースで14級9号に認定されたものもあります。この場合は、検査の種類や検査結果の推移を見て評価されることになるでしょう。

神経症状の認定のポイント

治療に必要な検査と、後遺障害認定に必要な検査は異なる場合があります。

そのため、神経症状の有無を確認する検査は、医師から積極的に提案されない可能性があります。その場合は、患者側から事情を話して検査を依頼してください。

実際にどのような検査が後遺障害認定に向けて必要か知りたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

なお、後遺障害12級や14級の認定基準や認定を受けるためのヒントは、『後遺障害12級の症状・認定基準』『後遺障害14級の主な症状と等級認定のポイント』の記事でそれぞれまとめています。

圧迫骨折の後遺障害認定で請求できる損害賠償金

交通事故による圧迫骨折で後遺症を負い、後遺障害認定を受けたとき、加害者側に損害賠償請求できる費目は主に以下のとおりです。

圧迫骨折の損害賠償金

※ 後遺障害等級に認定されたら請求できる

それぞれの費目の相場や計算方法などを詳しく確認していきましょう。

後遺障害慰謝料|精神的苦痛の補償

後遺障害慰謝料とは、交通事故で後遺障害を負った精神的苦痛に対する補償のことです。

後遺障害慰謝料の相場は、認定された後遺障害等級によって決まります。

後遺障害等級ごとの後遺障害慰謝料相場額は以下の通りです。

後遺障害慰謝料の相場(抜粋)

等級後遺障害慰謝料
6級1,180万円
8級830万円
11級420万円
12級290万円
14級110万円

なお、請求相手となる保険会社の計算基準を用いると、後遺障害慰謝料は上記の金額よりも大幅に低くなることが多いでしょう。

保険会社から上記の表よりも低い金額を提示されたら、弁護士に依頼して増額交渉することをおすすめします。

その他の等級における後遺障害慰謝料の相場については、関連記事『交通事故の後遺障害慰謝料の相場はいくら?等級認定から慰謝料支払いの流れ』で詳しく解説しています。

逸失利益|将来的な減収の補償

逸失利益とは、後遺障害を負ったことで減ってしまう将来的な収入の補償のことです。

詳しくは後述しますが、交通事故で圧迫骨折を負い、後遺障害に認定された場合、逸失利益の金額で加害者側と争うことが多いので注意が必要です。

逸失利益とは、後遺障害によって失われた本来の労働能力で得られたはずの収入を補償するもの

逸失利益の金額は、以下の式を用いて計算します。

逸失利益の計算式

  • 有職者または就労可能者の逸失利益
    = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
  • 症状固定時に18歳未満の未就労者の逸失利益
    = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 67歳までのライプニッツ係数 – 18歳に達するまでのライプニッツ係数

計算式の項目の意味

  • 基礎収入
    計算の基礎となる被害者の年収。
    事故前の収入や平均賃金をもとに考える。
  • 労働能力喪失率
    後遺障害によって失われた労働能力の割合。
    後遺障害等級によって目安が定められている。
  • 労働能力喪失期間
    労働能力が喪失する期間。67歳まで働くことを前提にして考える。
  • ライプニッツ係数
    一括で逸失利益を受け取ることで発生する利益を控除する係数。

関連記事『【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき|もらえない原因と対処法』では、上記の計算式を詳しく解説しています。あわせてご一読ください。

また、以下の慰謝料計算機では、逸失利益の金額も計算できます。
ご自身が受け取れる逸失利益の目安を知りたい場合はお役立てください。

その他の費目|入通院慰謝料・治療費など

交通事故で圧迫骨折を負った場合、後遺障害慰謝料や逸失利益以外にも下記のような費目を請求できる可能性があります。

請求できる主な慰謝料・損害賠償金

費目内容
入通院慰謝料交通事故によってケガを負った精神的苦痛の補償
休業損害交通事故の影響で仕事を休んだたため減った収入の補償
治療関係費投薬料、手術料など治療に関する費用
器具・装具費車いすや歩行器といった器具・装具の費用
家屋・自転車等改造費後遺障害に対応するための家屋のリフォーム等の費用
その他入通院交通費、診断書発行手数料、車の修理代など

交通事故の損害賠償については、『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法を解説』の記事にまとめています。それぞれの費目の相場や計算方法も紹介しているので、ご参考ください。

【実例】圧迫骨折の損害賠償金3選|弁護士依頼により増額

圧迫骨折の慰謝料・損害賠償金の実例を、アトム法律事務所が実際に受任した事案の中から3つご紹介します。

(1)胸椎圧迫骨折で後遺障害11級の事例

傷病名胸椎圧迫骨折
後遺障害等級11級7号
慰謝料・損害賠償金
(加害者側の提示額)
6万円
慰謝料・損害賠償金
(最終的な回収額)
825万円

上記の事例は、後遺障害等級が認定されていない状態で、加害者側の任意保険会社から慰謝料・損害賠償金の合計として約6万円の提示があったものです。

弁護士が事故後の治療経過などを確認したところ、後遺障害等級認定の見込みがあることがわかりました。

弁護士が適切なサポートを行った結果、後遺障害11級に認定され、慰謝料・損害賠償金は800万円以上も増額されたのです。

(2)腰椎圧迫骨折で後遺障害11級の事例

傷病名第1腰椎圧迫骨折
後遺障害等級11級7号
慰謝料・損害賠償金
(加害者側の提示額)
240万円
慰謝料・損害賠償金
(最終的な回収額)
814万円

上記の事例は、弁護士にご相談いただいた時点で、すでに後遺障害等級の認定を受けていたものです。

加害者側の任意保険会社が当初に提示した慰謝料・損害賠償金の金額に増額の余地があったため、弁護士が粘り強く交渉を行いました。

その結果、慰謝料・損害賠償金を約3.3倍に増額させることが叶いました。

(3)胸椎・腰椎圧迫骨折で後遺障害6級の事例

傷病名第12胸椎圧迫骨折
第5腰椎圧迫骨折
後遺障害等級6級5号
慰謝料・損害賠償金
(加害者側の提示額)
362万円
慰謝料・損害賠償金
(最終的な回収額)
980万円

上記の事例は、弁護士にご相談いただいた時点で後遺障害等級に認定されていたものの、慰謝料・損害賠償金には大幅な増額の余地があったものです。

こちらの事例では、弁護士がご依頼者様に代わって交渉した結果、ご相談から4か月で慰謝料・損害賠償金が1,000万円弱まで増額されました。

後遺障害認定前でも認定後でも弁護士相談

これから後遺障害認定の申請をしようと考えている方は、弁護士にご相談ください。弁護士に相談することで、後遺症に見合った正しい後遺障害等級が認定される可能性が高まります。

また、すでに後遺障害等級に認定されていても、適切な慰謝料・損害賠償金を獲得したいのであれば、一度弁護士に相談してみてください。弁護士に相談することで、慰謝料・損害賠償金の増額の可能性や見込みがわかります。

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圧迫骨折の後遺症に対する加害者側の主張とその対策

交通事故の慰謝料・損害賠償金の金額は、加害者側の任意保険会社との示談交渉で決まることが多いでしょう。示談交渉において、加害者側の任意保険会社は、支払う金額を減らすためにさまざまな主張をしてきます。

この章では、交通事故による圧迫骨折の後遺症を負った場合に加害者側がしてくることが多い主張と、その対策を説明します。

(1)圧迫骨折の後遺症と交通事故の因果関係はない

加害者側の任意保険会社は、「圧迫骨折と交通事故には因果関係がない」と主張してくることがあります。

加齢により骨密度が低下している方、骨粗鬆症を患っている方は、尻もちや軽い転倒といった小さな衝撃でも圧迫骨折を起こす可能性があります。

そのため、加害者側は「事故前から圧迫骨折が生じていた」「事故後に転倒するなどして圧迫骨折を生じさせた」と主張し、被害者に支払う賠償金額を減らそうとすることがあるのです。

交通事故と圧迫骨折の因果関係が証明できなければ、慰謝料や損害賠償金を適切に受け取ることができません。

因果関係を疑われることへの対策

対策としては、交通事故の直後にMRI検査を受けることが挙げられます。

圧迫骨折が交通事故によって生じたことを証明するカギとなるのが、「骨皮質(骨の表面の硬い部分)」です。

通常、交通事故の前から圧迫骨折が発症していたなら、骨皮質の連続性は保たれています。

したがって、交通事故の直後の画像検査で骨皮質の連続性が保たれていない椎体の圧壊が確認できれば、「圧迫骨折が交通事故によって生じた」と認められる可能性が高くなります

なお、レントゲンでは椎体の圧壊の原因となる骨挫傷(骨内部が傷つくこと)を撮影することができません。必ずMRI検査を受けるようにしましょう。

(2)圧迫骨折の後遺症による労働能力の喪失はない

交通事故で圧迫骨折を負った場合、加害者側の任意保険会社から「圧迫骨折では労働能力喪失が認められないので、逸失利益は生じない」といった主張をされることがあります。

逸失利益の計算に用いられる労働能力喪失率は、後遺障害等級ごとに基準が決められています。

ところが、圧迫骨折については、後遺障害等級に認定されていても労働能力喪失率が基準どおりに認められなかった判例があるのです。

労働能力の喪失なしとされた判例

  • 事故の状況
    自転車同士の接触事故。
  • 怪我の状況
    第10胸椎と第1腰椎の圧迫骨折、左足関節の挫傷。
  • 症状固定後の怪我の状況
    第10胸椎、第1腰椎の変形(後遺障害8級相当)。
    自覚症状としては、腰のつっぱり感、30分以上歩くのがつらい、ハイキングができなくなった、下を向くのがつらい、風呂掃除に支障があるなど。
  • 労働能力喪失の認定結果
    脊柱の変形障害は一般的に労働能力を喪失させるものとは認められない。本件症状は逸失利益を発生させるほど労働能力を喪失させるものとは認められない。

(大阪地方裁判所 令和元年11月20日判決 事件番号平成30年(ワ)第6534号)

交通事故で圧迫骨折を負った場合、後遺障害が認定されたとしても逸失利益が問題になりやすいことにはあらかじめ留意しておきましょう。

労働能力喪失率が認められないことへの対策

労働能力喪失率を否定されないためには、「どのような業務ができなくなったか」「日常生活のどのような動作ができなくなったか」といった事情を交通事故の直後から記録しておくとよいでしょう。

裁判実務では、労働能力喪失に関して、運動機能や脊柱支持機能にどれだけ影響が及んだかが検討されます。労働能力を喪失していると評価されるレベルの影響があるのなら、逸失利益も認められるでしょう。

現に、圧迫骨折による後遺障害で労働能力の喪失を認めた事例も多数あります。 「圧迫骨折では労働能力喪失は認められない」といった加害者側の主張を鵜呑みにせず、しっかりと対策することが重要です。

労働能力の喪失の有無の判断については専門知識が必要となってきます。

労働能力の喪失について主張が可能なのか、主張のためにどのような資料をそろえるべきであるのかについては、専門家である弁護士に相談しましょう。

(3)圧迫骨折が悪化したのは被害者の事情のせいである

加害者側の任意保険会社は、「圧迫骨折の症状が重くなったのは、被害者の身体的な特徴や既往症といった事情が関係している。よって、素因減額をすべきである」と主張してくることがあります。

素因減額とは、交通事故に遭う前から被害者が持っている身体的・精神的な特徴や既往症が原因となって損害が拡大した場合、その拡大部分(既往症が関与した部分)については慰謝料・損害賠償金が減額されるというものです。

交通事故で圧迫骨折を負った場合、素因減額が争点となることは多いです。

たとえば、被害者が高齢者や骨粗鬆症の患者であったなら、加害者側の任意保険会社から素因減額を主張される可能性があるでしょう。

素因減額を主張されたときの対策

加害者側の任意保険会社と素因減額で争いが生じたなら、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

既往症がある場合は、ある程度の素因減額は避けられません。しかし、素因減額の程度については交渉の余地があります。

素因減額について交渉するにあたっては、さまざまな医学的証拠や過去の判例を提示する必要があります。示談交渉に慣れている加害者側の任意保険会社に対し、効果的に反論したいのであれば、弁護士への相談が一番の近道になるでしょう。

(4)損害賠償金は保険会社の基準で計算した金額が妥当である

加害者側の任意保険会社は、保険会社の基準で計算した損害賠償金を提示してくることがほとんどです。保険会社の基準で計算した損害賠償金は、法的に適正な金額の2分の1~3分の1程度であることが珍しくありません。

交通事故の慰謝料・損害賠償金を算定する基準には、以下のとおり、保険会社の基準や裁判で用いられる基準が存在します。

慰謝料・損害賠償金の算定基準

  • 自賠責基準
    自賠責保険が用いる基準。
    交通事故の被害者に補償される最低限の金額の基準。
  • 任意保険基準
    任意保険が用いる基準。
    各保険会社が独自に定めており、公開されていない。
    自賠責基準と同程度~自賠責基準よりやや高い程度であることが多い。
  • 弁護士基準(裁判基準)
    弁護士や裁判所が用いる基準。
    過去の判例をもとにしており、法的に適正な基準と言える。
    3つの基準のなかで最も高額。
慰謝料金額相場の3基準比較

加害者側の任意保険会社は、任意保険基準で計算した金額を提示してくることが多いでしょう。提示された金額に安易に同意してしまうと、本来なら受け取れるはずの金額が受け取れなくなってしまいます

以下の慰謝料計算機を使えば、弁護士基準で計算した慰謝料が簡単にわかります。ご自身が提示されている金額に増額の余地があるか確かめたいときにお役立てください。

交通事故の慰謝料の計算方法をさらに詳しく知りたい場合は、関連記事『交通事故の慰謝料を正しく計算する方法』が参考になります。

相場より低い金額を提示されたときの対策

任意保険基準で計算した金額を提示されたときの対処法としては、弁護士を立てて示談交渉を行うことが挙げられます。

被害者自身による交渉では、なかなか増額が叶わないのが実情です。しかし、弁護士を立てれば、以下の理由から増額が成功しやすくなります。

  • 専門知識と資格を持つ弁護士の交渉であれば、加害者側もないがしろにはできない
  • 弁護士が介入してくると訴訟に発展する可能性があるので、加害者側は態度を軟化させる

実際に弁護士を立てて増額に成功した事例は、『交通事故慰謝料って増額できる?弁護士への依頼で増額した実例5選』の記事でも紹介しています。

圧迫骨折と後遺症に関する疑問

Q1.圧迫骨折で納得いく後遺障害等級が認定されなかったらどうする?

後遺障害認定の申請を行い、想定していたより低い等級でしか認定されなかったり、非該当になったりした場合は、そのままあきらめる必要はありません。

納得いく後遺障害等級が認定されなかったら、「異議申し立て」による等級認定の再審査を求めましょう。

ただし、異議申し立てしたからといって必ず主張が認められるとは限りません。

異議申し立てを成功させるのは、はじめの後遺障害認定の申請時よりハードルが上がります。

異議申し立ての詳しい申請方法や、異議申し立て時のポイントなどにつては関連記事『後遺障害の異議申し立てを成功させる方法と流れ|納得できない等級を覆すには』をご確認ください。

異議申し立ての成功の可能性を上げるためには、専門家である弁護士に相談するとよいでしょう。

Q2.圧迫骨折で脊椎に変形障害と運動障害が残ったら等級はどうなる?

後遺障害が異なる部位で残った場合、併合という処理が行われます。併合とは、複数ある後遺障害のうち重い方の等級が繰り上がるような処理のことです。

しかし、脊柱に変形障害と運動障害の後遺障害が残った場合、これらは同一系列の障害として扱われるので、併合処理は行われません。

後遺障害等級の併合ルールについて詳しく知りたい方は、関連記事『後遺障害等級の併合・相当・加重|複数の後遺症認定時のルールと慰謝料への影響』も参考にしてみてください。

Q3.圧迫骨折で仕事を辞めざるを得なくなったらどうする?

交通事故で圧迫骨折し、仕事に支障が出る場合もあるでしょう。特に、肉体労働を伴うような仕事内容の場合はその影響が顕著です。

仕事を休むだけで済むこともあれば、場合によっては仕事を辞めざるを得ない状況となることもあるでしょう。

交通事故で圧迫骨折を負うなどして仕事を辞めざるを得なくなった場合、交通事故と因果関係のある損害であると考えられるならば「休業損害」を請求することが可能です。

ただし、請求したからといって必ず休業損害が認められる訳ではありません。交通事故がなければ仕事を辞める必要はなかったという、交通事故との因果関係を適切に証明していく必要があります。

圧迫骨折で後遺症が残ったら一度弁護士に相談しておこう

圧迫骨折で後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を受ければ、新たな慰謝料・損害賠償金を受け取れるようになります。

しかし、適切な後遺障害等級に認定されるには、過去の事例を参考にした対策が必須です。

また、圧迫骨折による後遺症について、事故の加害者側と示談交渉でもめてしまう可能性もあるでしょう。

そのため、圧迫骨折で後遺症が残ったら、一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られるためです。

  • 適切な後遺障害等級に認定されるためのアドバイス・サポートを受けられる。
  • 弁護士が交渉をすれば、慰謝料・損害賠償金の大幅な増額が見込める。
  • 加害者側との交渉でもめた場合も、法的に適切な主張を行って対抗できる。
    また、交渉前に依頼していれば、もめないための行動についてアドバイスをもらえる。

アトム法律事務所では、電話・LINEによる弁護士への無料相談を行っています。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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地元の弁護士が即座に対応することで
ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。