後遺障害14級の認定基準と慰謝料|75万円は低い!認定率や通院日数も解説

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後遺障害14級

交通事故の後遺障害14級とは、むちうちによる痛みやしびれといった神経症状、歯の欠損、聴力低下、上半身・下半身における傷痕、手足の指の障害などで認定される等級で、労働能力喪失率は5%です。

後遺障害14級の慰謝料相場は110万円です。

また、後遺障害14級の逸失利益は「労働能力を5%失ったことによる、症状固定~67歳までの減収額」の請求可能です。

後遺障害等級の中では最も軽傷とされますが、後遺障害14級の認定率は約2.53%(交通事故全体のうち)と、等級認定を受けることは簡単なことではありません。

本記事では、後遺障害14級に認定される症状の内容やもらえる慰謝料の金額、14級に認定されるポイントについて解説します。

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後遺障害14級の認定基準と症状|認定率は?

後遺障害14級と認定されるには、一定の基準を満たす必要があります。

どういった認定の基準があるのか、14級に認定される症状とはどういったものかをくわしく説明します。

後遺障害14級の認定基準

後遺障害14級の各号ごとの認定基準は、以下のとおり9つです。

後遺障害14級の認定基準

認定基準
14級1号一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
14級2号三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
14級3号一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
14級4号上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
14級5号下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
14級6号一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
14級7号一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
14級8号一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

自動車損害賠償保障法施行令より抜粋して作成

各号の認定基準について、それぞれ確認していきましょう。

後遺障害14級に認定される9つの症状

後遺障害14級には14級1号から14級9号まであります。それぞれの症状ごとに認定される基準を説明します。

14級1号:まぶたの一部の欠損やまつげはげ

後遺障害14級1号は「一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」と定められています。具体的には、片方の眼について次のような症状がみられる場合を指します。

14級認定される片目の症状

  • まぶたを欠損したことで、目を閉じても眼球の一部が露出してしまう
  • まぶたで眼球全てを覆うことはできるが、まつげが半分以上無くなり生えてこない

このように、目やまぶたの後遺症については、14級の認定基準よりも症状が重いとより上位の等級に該当する可能性があるので、『交通事故による目の後遺障害と慰謝料相場|失明・視力低下・複視の認定基準』の記事も確認してみてください。

14級2号: 三歯以上に歯科補綴を加えた

後遺障害14級2号に該当する症状は、「三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」です。

歯科補綴とは、歯がなくなったり、欠損したりした部分をクラウンや入れ歯などによって補うことです。

具体的には、次のいずれかの状態になったとき、後遺障害14級2号として認定される可能性があります。

14級認定される歯の障害

  • 交通事故によって3本以上の歯を失った
  • 残った歯は歯茎以上の露出部分が4分の3以上かけた

歯に関する後遺障害については『交通事故で歯が折れたら慰謝料いくら?前歯欠損は後遺障害認定される?』の記事でも詳しく解説しているのであわせてご確認ください。

14級3号: 片方の耳の聴力が落ちたもの

後遺障害14級3号は、「一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 」と定められています。

片耳の平均純音聴力レベルを具体的に表すと、40デシベル以上70デシベル未満です。

14級認定される聴力障害

  • 片耳の平均純音聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満

さらに聴力が落ちた場合には、その程度に応じて後遺障害4級・6級・7級・9級・10級・11級に該当する可能性があります。

聴力に関する後遺障害についてさらに詳しくは『交通事故による聴覚障害の後遺障害。難聴(聴力低下等)や耳鳴りの等級は?』の記事をご確認ください。

14級4号: 上半身の露出面にてのひら大の傷痕を残すもの

後遺障害14級4号は、「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」です。

「上肢の露出面」とは、腕の付け根から指先までのことを指します。顔に傷跡が残った場合は、別の等級に認定されるでしょう。

14級5号: 下肢の露出面にてのひら大の傷痕を残すもの

後遺障害14級5号は、「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」です。

「下肢の露出面」とは、股関節から足の背面までのことを指します。

交通事故による傷跡の後遺障害については関連記事『交通事故で傷跡(瘢痕)が残ったら?』を確認してみてください。

14級6号: 片手のおや指以外の指骨の一部を失つたもの

後遺障害14級6号は、「一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの」と定められています。

具体的には、次のように指の骨を失ったり、うまくくっつかなくなったりした状態です。

14級認定される指骨欠損

  • 片手の親指以外の指の骨を一部失った
  • 指の骨が骨折後にうまく癒合しない

14級7号: 片手のおや指以外の手指の第一関節を屈伸できなくなったもの

後遺障害14級7号は、「一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」と定められています。

手の関節と骨

遠位指節間関節とは、指の第一関節のことです。交通事故が原因で親指以外の指の第一関節を曲げたり延ばしたりできなくなった場合、後遺障害14級7号に該当します。

交通事故による手の指の後遺障害については、『手指の後遺障害|指切断・欠損、可動域制限の認定基準。マレット指で曲がらない』の記事でも網羅的に解説しているので、あわせてご覧ください。

14級8号: 片足の中指から小指のうち1または2本の用を廃したもの

後遺障害14級8号は、「一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの」と定められています。

第三の指とは中指のことなので、「第三の指以下」とは中指、薬指、小指のことを指します。

「用を廃する」とは、次のいずれかに該当する状態のことです。

  • 「指の第一関節~第二関節の間の骨」または「第二関節~第三関節の間の骨」を切断したもの
  • 指の第一関節または第二関節を離断したもの
  • 指の第二関節または第三関節の可動域が2分の1以下になったもの

交通事故による足の指の後遺障害については、『交通事故で足指を切断した・曲がらなくなった|後遺障害等級の認定基準は?』の記事でも解説しています。

14級9号: 局部に神経症状を残すもの

後遺障害14級9号は、「局部に神経症状を残すもの」と定められています。「局部」とは体の一部、「神経症状」とは神経系が障害されたことでおこる症状全般です。

後遺障害14級9号認定されるためには、「障害の存在を医学的に証明できるとはいえないが、障害があると医学的に説明・推定できる」といった基準を満たすことが必要です。

医学的に説明・推定できるとは

  1. 画像から神経圧迫が示唆されている
  2. 神経学的異常の所見あり*

具体的にみられる症状としては、痛みや痺れ、疼痛、灼熱感などの感覚障害や、うまく手足が動かない運動障害があげられます。

以下のような症状は14級9号に該当とすると認められる可能性があります。

14級9号に該当しうる神経症状例

  • 手足、指、顔の痺れ、ひきつり
  • 首、腰、手足、肩などの痛み
  • 握力低下
  • 首が曲がらない
  • 痛みを感じにくい(知覚鈍麻)
  • 足関節の機能障害(上位の等級に至らないもの)
  • 頭痛
  • めまい・耳鳴り・吐き気

むちうちによる神経障害が残っていれば後遺障害14級9号認定を受けられる可能性があります。あるいは、より重傷の神経症状と判断されれば後遺障害12級13号認定も視野に入ってくるでしょう。

以下の関連記事ではむちうちによる後遺障害14級9号認定や、12級13号との違いについて解説しています。あわせてお読みください。

後遺障害14級の認定率は約2.53%

交通事故全体に対する14級の認定率は約2.53%となります。14級は後遺障害等級の中で最も軽い症状で認定されるとはいえ、事故全体でみると認定率は極めて低いのです。

2023年度 自動車保険の概況(2022年度統計)」(損害保険料率算出機構)の統計資料によると、後遺障害認定自体が事故全体の約4.48%、そして半数以上にあたる約56.4%が後遺障害14級での認定でした。

2022年度統計

交通事故の総件数※84万2,035件
後遺障害等級の認定件数3万7,728件
後遺障害14級の認定件数2万1,310件

※自賠責保険の支払い総数で、後遺症が残らなかった事故や死亡事故、後遺障害が認定されなかった事故すべてを含む。

以上の統計からすると、認定率は以下のとおりとなる

  • 後遺障害等級に認定された件数は、交通事故全体の約4.48%
    (3万7,728÷84万2,035×100=5.1…)
  • 後遺障害等級に認定された件数に対する14級の認定件数は、約56.4%
    (2万1,310÷3万7,728×100=56.4…)
  • 交通事故全体に対する14級の認定率は、約2.53%
    (2万1,310÷84万2,035×100=2.53…)

自賠責保険が損害賠償を支払った案件の内、後遺障害等級の審査を行った件数は不明であるため、正確な認定率とはいえませんが、後遺障害等級の認定を受けることが簡単ではないということができるでしょう。

【よくある質問】後遺障害14級は軽傷でも認定されるか

後遺障害14級には、しびれや痛みといった比較的軽い後遺症が認定されます。

ただし、最低限の条件として「神経学的検査により後遺症の残存が医学的に推察できる」程度でなければなりません。

レントゲンやMRIなどの画像検査で異常が見られないとしても、患部を刺激して反応を見る検査では何らかの異常が見つかっている必要があるのです。

他にも、「交通事故との関連性がある」「症状に一貫性がある」「常時症状を感じる」といった点も満たしている必要があります。

この点については、本記事内「後遺障害14級認定される5つの特徴」にてくわしく解説していますので、あわせてお読みください。

生活や仕事に支障がない程度の症状でも認定される?

しびれや痛みといった比較的軽い後遺症が認定条件を満たしていても、日常生活や仕事に一切の影響がない場合、後遺障害14級には認定されにくくなるでしょう。

生活や仕事への影響が特にない場合、たとえ後遺症の残存が医学的に証明できたとしても、後遺障害14級に該当するほどの症状ではないと判断される可能性があります。

しかし、生活や仕事に影響していないからといって、必ずしも後遺障害14級に認定されないとは限りません。不安な場合は一度弁護士に問い合わせてみることをおすすめします。

後遺障害14級はいくらもらえる?75万円は妥当?

後遺障害14級に認定されると、示談金の内訳に「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」が加わります。

費目概要
後遺障害慰謝料後遺障害が残ったことによる精神的苦痛への補償
逸失利益後遺障害の影響で減ってしまう生涯収入への補償

いずれも後遺障害等級が金額に影響するため、14級の場合はいくらもらえるのか解説していきます。

後遺障害14級・併合14級の慰謝料相場は?

後遺障害14級の慰謝料相場は110万円です。この金額は、弁護士基準(裁判基準)といって、過去の判例にもとづく法的正当性の高い基準です。

なお併合14級の慰謝料相場も110万円です。併合14級とは、複数の後遺症について後遺障害14認定を受けたときに併合14級という表現がなされるのです。

後遺障害14級で75万円と言われたら?

後遺障害14級の本来の慰謝料相場は110万円のため、75万円というのは不十分な金額で、相場とはいえません。

後遺障害14級の賠償金は75万円と言われたという声は多いです。75万円は加害者側の自賠責保険会社から支払われる後遺障害慰謝料・逸失利益をあわせた最大の金額をさします。

法的に正当性の高い金額は慰謝料だけで110万円です。違いを下表にまとめます。

弁護士基準と自賠責基準の比較(後遺障害)

弁護士基準自賠責基準
後遺障害慰謝料110万円32万円
逸失利益収入や障害の程度で算定最大43万円
合計110万円以上最大75万円

自賠責基準は、交通事故の被害者を救済するための最低限の補償にすぎません。75万円を超える部分は、加害者側の任意保険会社に別途請求する必要があるのです。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

なお、加害者が任意保険に未加入の場合は、加害者本人へ請求する流れになります。

交通事故の慰謝料算定には3つの基準がある

示談交渉の際、加害者側の任意保険会社も「14級の後遺障害慰謝料・逸失利益は合わせて75万円程度が相場」と主張してくる可能性があります。

後遺障害14級の慰謝料相場が110万円というのは、弁護士基準という被害者にとって最適な相場額です。

しかし、慰謝料算定には3つの基準があり、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準それぞれで相場が変わってしまいます。

交通事故慰謝料の3種類比較
基準概要
自賠責基準被害者救済の算定基準
慰謝料相場:32万円
任意保険基準※相手保険会社の算定基準
自賠責基準とほぼ同じ
弁護士基準(裁判基準)弁護士や裁判所の算定基準
慰謝料相場:110万円

※各社で異なり詳細は非公開

よって、加害者側から提示された後遺障害慰謝料が110万円に満たない場合は、相手方の基準でしか算定されていないため、増額の余地があるといえます。

こうした相手からの提示額をすぐ受け入れるのではなく、示談交渉において適正相場額まで引き上げることがポイントです。

弁護士であれば増額交渉の窓口にもなれますので、ぜひ弁護士への依頼も検討してみてください。

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後遺障害14級の逸失利益計算方法

逸失利益とは、後遺障害によって労働能力が低下したことで、将来の収入が減少したことへの補償です。

後遺障害14級の逸失利益は、事故前よりも労働能力が5%下がったことで失った収入減をさします。

逸失利益とは

逸失利益の計算方法は、以下の計算式を用います。

逸失利益の計算式

  • 有職者または就労可能者の場合
    1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
  • 症状固定時に18歳未満の未就労者の場合
    1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数 )
後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害14級の逸失利益の計算では、基本的に、労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間は症状固定日から67歳までの年数とされます。

収入は事故前年の年収額が原則です。金銭収入を得ていない主婦や学生であっても、国の平均収入を活用して請求可能です。

計算式に登場する用語をより詳しく解説します。

労働能力喪失率

後遺障害14級の労働能力喪失率は5%です。

ただし、あくまで後遺障害によってどれくらいの労働能力が低下したかを等級ごとに数値化したものなので、実態に応じて変動することもあります。

不当に低い労働能力喪失率とならないよう、相手方の任意保険会社との交渉も必要です。

ライプニッツ係数

逸失利益を預金・運用することで生じる利益を予め引くための数値です。労働能力喪失期間に対応する数値を使うことになります。

労働能力喪失期間は「症状固定時~67歳」とされることが通常です。

労働能力喪失期間ライプニッツ係数
1年0.97
5年4.58
10年8.53
20年14.88
30年19.60

むちうちの労働能力喪失期間はもめやすい

ただし、むちうちで14級9号に認定された場合、5年程度に制限されることが多く、被害者の症状によって示談交渉が難航する部分でもあります。

5年とされる理由としては、神経障害はしだいに軽快するものと考えられるためです。

なお、逸失利益の計算には、慰謝料のような複数の算定基準はありません。

ただし、加害者側は労働能力喪失率や労働能力喪失期間を少なく見積もることで金額を下げようとすることが多いので、注意しましょう。

相手方の保険会社との逸失利益交渉についてお困りのことがあれば、弁護士に助言を受けてみることもおすすめします。

アトム法律事務所では適正な賠償金を受け取りたいという交通事故被害者からの相談を無料で受け付けています。

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逸失利益に関するお悩みにあわせて、以下の記事もお役立てください。

後遺障害14級の示談金内訳|慰謝料計算機も紹介

交通事故の示談金は、後遺障害慰謝料や逸失利益も含め、すべての損害の賠償金となります。

交通事故の示談金内訳(後遺障害認定を受けた場合)

概要
治療関係費治療費、入院費、手術費など
休業損害休業による減収の補償
入通院慰謝料ケガをした精神的苦痛の補償
後遺障害慰謝料後遺障害による精神的苦痛の補償
逸失利益後遺障害による将来的な収入減の補償
修理関係費用修理費用、評価損など

ここからは、金額のイメージがしづらい入通院慰謝料、休業損害の計算方法や相場について解説します。

入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料の相場は以下のような表を用います。むちうち、打撲、挫傷などの場合は軽傷用、その他のケガの場合は重傷用を使ってください。

(1)軽傷用の算定表

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

(2)重傷用の算定表

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

以下の慰謝料計算機を使えば、簡単な情報入力のみで慰謝料の相場を簡単に計算できます。過失割合は反映されていませんが、おおよその目安を知りたい方はお役立てください。

交通事故の慰謝料以外にも、治療費や休業損害といった請求が可能です。以下の関連記事では損害賠償金の主な内訳と計算方法を解説しているので、あわせてお読みください。

後遺障害14級認定される5つの特徴

後遺障害14級に認定されるには、14級の認定基準を満たしていることが重要です。

14級認定につながる5つの特徴

  1. 症状が検査からも明らか
  2. 十分な通院日数を満たしている
  3. 交通事故と関連している
  4. 症状が一貫している
  5. 症状が常にある

どういった人なら後遺障害14級に認定されやすいのかをみていきましょう。

(1)症状が検査からも明らか

後遺障害認定では、交通事故による怪我の症状が残っていることを客観的に審査機関に伝えなければなりません。

CT画像やMRI画像などを撮影し、画像診断による異常が確認できることが理想ですが、異常が画像に写らない場合には、神経学的検査の結果を診断書に記載します。

ポイント

  • 異常が写ったCT画像やMRI画像があればベスト
  • 画像に異常が写らなければ、神経学的検査を受ける

神経学的検査とは?

神経学的検査とは、患部に刺激を与えて痛みやしびれがあるかどうかを確認する検査のことです。
神経学的検査には、たとえば以下のようなものがあります。

代表的な神経学的検査

検査名検査内容
スパーリングテスト天井を見るように頭を倒して左右に傾け、上から押さえることで、放散痛があるかを見る検査
ジャクソンテスト天井を見るように頭を倒して額を上から押さえ、疼痛やしびれがあるかを見る検査

医学的な観点から見て必要な神経学的検査と、後遺障害等級認定の観点から見て必要な神経学的検査は違うことがあります。医師の指示通りに検査を受けるのはもちろんのこと、弁護士にも必要な検査を確認してみることがおすすめです。

弁護士は交通事故事案を担当する中で後遺障害認定のサポートをすることもあるので、過去の事例や認定傾向、専門知識を豊富に持っています。

(2)十分な通院日数を満たしている

後遺障害14級に認定されるには、通院日数は月に10日以上(週に3日~4日程度)、通勤期間は6ヶ月以上が望ましいです。

後遺障害14級認定に必要とされる日数

目安
通院日数月:10日以上
週:3日~4日程度
通勤期間6ヶ月以上

後遺障害とは、この先も症状が残り続けて、仕事に影響を与えると考えられるものです。

よって、通勤日数や通院期間が短いと「そこまで重傷ではなかったのだろうか」「漫然とした治療のために後遺症が残ったのではないだろうか」と疑われてしまい、後遺障害認定されない理由となってしまいます。

もっとも、「何日以上通院されれば、必ず後遺障害認定される」というものはありません。それでも後遺障害認定や慰謝料額にかかわる通院日数には注意を払うべきでしょう。

(3)交通事故と関連している

たとえ後遺症が残っていても、交通事故によって生じた症状であると証明できなければ、後遺障害14級には認定されません。

事故直後に整形外科などで診察を受けて記録を残してもらったり、後遺症の箇所や程度と事故状況との関連性について説明する「医師の意見書」「事故状況報告書」を用意したりしましょう。

ポイント

  • 事故直後に診察を受ける
  • 医師に意見書や事故状況報告書を用意する

それぞれについてより詳しく解説していきます。

事故直後に診察を受ける

事故直後に病院の整形外科などで診察を受けることは、交通事故と後遺症との関係性を証明するうえで重要です。

事故から数日経って初めて受診しても、「事故から受診までの間に負ったケガかもしれない」として交通事故との関連性を示しにくくなるからです。

なお、事故後の初診は必ず病院で受けてください。

整骨院や接骨院では詳しい検査ができないため、事故によって負ったケガの詳細を記録できません。

医師の意見書や事故状況報告書を用意する

後遺障害14級の認定審査では、事故状況と後遺症の部位・程度・症状などを照らし合わせて関連性が検討されます。

交通事故と後遺症との関連性を認める旨の意見書を医師に作成してもうと効果的でしょう。

また、後遺障害等級認定で提出する書類の中には、「事故発生状況報告書」というものが含まれます。
この書類を通して事故状況を正確に伝えましょう。

もし審査機関に実際よりも軽い事故だと思われてしまうと、「軽い事故だったのに後遺障害が残るほどの重い症状になるのはおかしい、この怪我の要因は交通事故以外にもあるのでは?」などと疑われてしまう可能性があります。

(4)症状が一貫している

症状が途中で変わっていると、事故による症状は完治していて、今ある症状は事故とは無関係なのではないかと疑われる可能性があります。よって、以下のポイントを押さえて症状の一貫性を訴えましょう。

ポイント

  • 事故から症状固定まで、通院は定期的に行う
  • 整骨院に通院する際は要注意

症状の一貫性を主張するためには、事故直後から症状固定まで、定期的に病院に通院している必要があります。
通院が1ヶ月以上あいている期間があると、「その時点で怪我は完治していたのでは?」と疑われてしまうので、病院へは最低でも月に1回以上通ってください。

また、整骨院は厳密には病院ではないため、整骨院にのみ通院していたのでは「病院への通院」として認められない場合があります。

整骨院への通院は、必ず整形外科などの医師の許可を得たうえで行い、整形外科と整骨院を並行して通院してください。

整骨院を利用する際の注意点については『交通事故で整骨院に通院する際の注意点|整形外科との違いは?』の記事をご覧ください。

(5)症状が常にある

「雨の日のみ痛む」「特定の姿勢を取った時に痛む」などではなく、常に症状を感じていることも重要です。

断続的に感じる程度の症状であれば、後遺障害14級には該当しないと判断されるからです。

後遺障害14級の認定審査で重視される後遺障害診断書には、自覚症状欄があります。常に症状を感じていて、それにより生活や仕事に支障が出ている旨を記載しましょう。

後遺障害診断書の作成を医師にお願いする際、どう自覚症状を伝えるべきかは『後遺障害診断書のもらい方と書き方は?自覚症状の伝え方と記載内容は要確認』を参考にしてみてください。

ポイント

「天気により症状が変化する」という自覚症状は、常時性がないとみなされる可能性あり

後遺障害14級認定の手続き|事前認定と被害者請求

後遺障害等級の認定を受けるには、審査機関(損害保険料率算出機構)による審査を受けなければなりません。

認定を受けるための書類を加害者側の任意保険会社に提出する申請方法を「事前認定」、加害者側の自賠責保険会社に提出する申請方法を「被害者請求」といいます。

被害者はどちらの方法を選んでも良いのですが、それぞれメリット・デメリットがあるので、詳しい流れとともに見ていきましょう。

事前認定の流れとメリット・デメリット

事前認定とは、加害者側の任意保険会社に必要書類をほとんど準備してもらって、後遺障害等級認定の申請を行う方法です。

事前認定の流れ

事前認定のメリット・デメリットは以下の通りです。

  • メリット
    • 被害者は後遺障害診断書だけを用意すればいいので手間がかからない
    • 残りの書類はすべて加害者側の任意保険会社が集めてくれる
  • デメリット
    • 被害者は後遺障害診断書にしか関与できないので、その他の書類の質を上げられない
      ※後遺障害等級の認定審査は、基本的に提出書類のみを見ておこなわれる
    • よりくわしく症状について伝える追加資料の添付は難しい

上記のメリット・デメリットを踏まえると、事前認定は「忙しい方」、「後遺障害が残っていることが明らかな方」、「後遺障害等級が認定されると思われる方」向けの方法といえます。

しかし、必要最低限の資料だけで後遺障害の残存・程度を十分に証明できない場合は、事前認定では後遺障害14級認定が難しくなってしまう恐れもあります。

被害者請求の流れとメリット・デメリット

被害者請求は、被害者が自分で必要書類を準備して加害者側の自賠責保険会社に提出し、後遺障害等級認定の申請を行う方法です。

被害者請求の流れ

被害者請求のメリット・デメリットは以下の通りです。

  • メリット
    • 必要資料は全て被害者側で用意できるので、書類の質を高めたり、追加書類を添付したりできる
    • 審査の結果が出たら、示談成立前に後遺障害慰謝料の一部が支払われる
  • デメリット
    • 書類の準備に手間がかかる

被害者請求は、「後遺障害等級が認定されるかわからない方」、「審査の結果に納得感を持ちたい方」、「後遺障害慰謝料を早くもらいたい方」向けの方法といえます。

被害者請求では、後遺症の存在や症状について、より説得的な内容とするためにブラッシュアップ可能です。

また、被害者請求なら審査の結果通知とほぼ同じタイミングで、後遺障害慰謝料の一部の支払いを受けられます。

弁護士に依頼すれば、被害者請求の手続きについてサポートを受けられます。被害者請求のデメリットである「手間」については、弁護士に任せることで解消できるのです。

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後遺障害14級認定申請は被害者請求がよい

後遺障害14級認定の可能性を高めるためには、被害者請求で後遺障害認定の申請をおこないましょう。

特にむちうちによる神経症状や手足の指のしびれなどは、いかに症状の存在・程度を医学的に証明するかがポイントといえます。

申請者側で追加書類を添付できる被害者請求を選択し、医師の意見書や日常生活報告書などを提出することが重要なのです。

後遺障害14級の認定・示談は弁護士に相談しよう

後遺障害14級の示談金の増額実績紹介

アトム法律事務所での後遺障害14級に関する実績をみてみましょう。弁護士に相談・依頼することで、事例のような増額が叶う可能性があります。

154万円から449万円へ増額

この事例では、加害者側の任意保険会社が提示してきた金額に被害者が納得いかなったことから弁護士への依頼がなされました。
弁護士が示談交渉を行った結果、慰謝料や逸失利益が増加し、約300万円の増額を達成したのです。

右足高原骨折の示談金

依頼前の示談金154万円
弁護士による交渉の結果449万円

167万円から282万円へ増額

この事例では、パートタイマーである兼業主婦が被害者であったため、加害者側が逸失利益を低く見積もって計算を行っていました。

依頼を受けた弁護士が、正確な逸失利益の計算と主張を行ったところ、示談金が100万円以上増額することとなったのです。

頚椎捻挫、腰椎捻挫の示談金

依頼前の示談金167万円
弁護士による交渉の結果282万円

14級の認定申請からサポート

こちらは、アトム法律事務所の弁護士が後遺障害等級認定の申請からサポートした事例です。
ご依頼者様は後遺障害等級の申請を行う前の段階で、ご相談に来られました。

弁護士のサポートを受けながら後遺障害等級認定手続きを行ったところ、後遺障害等級14級が認定され、最終的に295万円の示談金を受け取ることができました。

右足踵骨折、首から背中にかけての痛みの示談金

依頼時の後遺障害等級なし
弁護士によるサポートの結果後遺障害14級獲得
示談金295万円獲得

もっと事例を知りたいという方は、「交通事故の解決実績」をご覧ください。

ご自身の慰謝料目安を知りたいなら、弁護士に聞いてみるのが一番の近道です。治療が終わられている場合はある程度慰謝料の相場も見えてくるので、お気軽にお問い合わせください。

【無料相談あり】弁護士に後遺障害14級を相談しよう

アトム法律事務所では、電話・LINEにて無料相談をおこなっています。

無料相談で今後の流れや後遺障害認定のアドバイス、適正な示談金額などを確認しておけば、今後の各種手続き・示談交渉にも安心して望めるでしょう。

ご自身では気づいていなかった注意点について知れる可能性もあるため、無料相談で話を聞くだけでも役に立ちます。

無料相談の受付は24時間体制で行っております。無料相談のみのご利用でも可能なのでお気軽にご連絡ください。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!

相談内容例

  • 私の症状でも後遺障害14級に該当しますか?
  • 後遺障害認定の申請方法がよくわかりません。
  • 後遺障害14級の賠償金額はどれくらいになりますか?
  • 相場以上の慰謝料を請求したい事情があるのですが可能ですか?

後遺障害14級の認定や慰謝料については本記事でも解説してきましたが、厳密なことは各事案によって変わってくるため、弁護士に個別的に相談することが一番です。

無料相談の際、無理に委任契約を進めることはありません。

委任契約に進んだ場合の弁護士費用は、「弁護士費用特約」を使うことで基本的に費用負担なしにできます。特約が使えない場合でも、アトム法律事務所では着手金が原則無料となるため、初期費用はかかりません。

弁護士費用特約について詳しくは、『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の記事でご確認ください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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