信号待ち停車中に追突され頚椎損傷等を負った事例
弁護士に依頼後...
回収


後遺障害14級は、まぶたや歯の欠損、聴力低下、傷痕、手指・足指の欠損や機能障害、痛みやしびれの神経症状など全部で9種類に分かれます。
後遺障害14級に認定されると、「後遺障害慰謝料」や「逸失利益(いっしつりえき)」が請求できるようになります。弁護士基準では300~400万円程度が示談金相場(慰謝料や逸失利益を含む総額)です。
「後遺障害14級の認定率はどのくらい?」と気になる方もいるでしょう。14級は最も多く認定される等級です。2024年度、後遺障害14級は1万9,589件認定され、等級認定を受けた方の55.63%を占めています(損保料率機構「2025年度 自動車保険の概況」)。
本記事では、後遺障害14級に認定される症状やもらえる慰謝料の金額、14級に認定されるためのポイントについて詳しく解説します。
また、保険会社から慰謝料の提示を受けた方は、金額が妥当か以下の計算機で確認できます。等級を入力すれば、10秒ほどで後遺障害慰謝料と逸失利益の目安がわかります。
目次
後遺障害等級は1級から14級まであり、14級は最も軽い等級です。後遺障害14級は認定基準となる症状ごとに1号~9号に分かれています。
たとえば、よくある「むちうち」(頚椎捻挫)は、局部に神経症状を残すものとして14級9号に認定されます。
後遺障害14級の認定基準
| 認定基準 | |
|---|---|
| 14級1号 | 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの |
| 14級2号 | 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
| 14級3号 | 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの |
| 14級4号 | 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの |
| 14級5号 | 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの |
| 14級6号 | 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの |
| 14級7号 | 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの |
| 14級8号 | 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの |
| 14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
※自動車損害賠償保障法施行令より抜粋して作成
各号の認定基準と症状について、それぞれ確認していきましょう。
後遺障害14級1号は「一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」と定められています。具体的には、片方の眼について次のような症状がみられる場合を指します。
14級認定される片目の症状
目やまぶたの後遺症については、14級の認定基準よりも症状が重いとより上位の等級に該当する可能性もあります。『交通事故による目の後遺障害と慰謝料相場|失明・視力低下などの認定基準』の記事も確認してみてください。
後遺障害14級2号に該当する症状は、「三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」です。
歯科補綴(しかほてつ)とは、歯の欠損をクラウン(かぶせ物)や入れ歯などによって補う治療のことです。
具体的には、次のいずれかの状態になったとき、後遺障害14級2号として認定される可能性があります。
14級認定される歯の障害
歯に関する後遺障害については『交通事故で歯が折れたら慰謝料いくら?前歯欠損は後遺障害認定される?』の記事でも詳しく解説しているのであわせてご確認ください。
後遺障害14級3号は、「一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 」と定められています。具体的には次の通りです。
14級認定される聴力障害
さらに聴力が落ちた場合には、その程度に応じて後遺障害4級・6級・7級・9級・10級・11級に該当する可能性があります。
聴力に関する後遺障害についてさらに詳しくは『交通事故での聴覚障害や難聴(聴力低下)、耳鳴りの後遺障害|等級や認定ポイント』の記事をご確認ください。
後遺障害14級4号は、「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」です。
「上肢の露出面」とは、腕の付け根から指先までのことを指します。
後遺障害14級5号は、「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」です。
「下肢の露出面」とは、股関節から足の背面までのことを指します。
交通事故による傷跡の後遺障害については『交通事故の傷跡(瘢痕)で後遺障害等級を認定し慰謝料増額|足や顔の醜状障害を解説』を確認してみてください。
後遺障害14級6号は、「一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの」と定められています。
具体的には、次のように指の骨を失ったり、うまくくっつかなくなったりした状態です。
14級認定される指骨欠損
後遺障害14級7号は、「一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」と定められています。
遠位指節間関節とは、指の第一関節のことです。交通事故が原因で親指以外の指の第一関節を曲げたり延ばしたりできなくなった場合、後遺障害14級7号に該当します。
交通事故による手の指の後遺障害については、『指切断・欠損、指が曲がらない可動域制限、マレット指の後遺障害等級認定基準』の記事も参考になりますので、あわせてご覧ください。
後遺障害14級8号は、「一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの」と定められています。
「第三の指以下」とは中指、薬指、小指のことを指します。
「用を廃する」とは、次のいずれかに該当する状態のことです。
交通事故による足の指の後遺障害については、『交通事故で足指を切断した・曲がらなくなった|後遺障害等級の認定基準は?』の記事でも解説しています。
後遺障害14級9号は、「局部に神経症状を残すもの」と定められています。「局部」とは体の一部、「神経症状」とは神経系が障害されたことでおこる症状全般です。
後遺障害14級9号認定されるためには、「障害の存在を医学的に証明できるとはいえないが、障害があると医学的に説明・推定できる」といった基準を満たすことが必要です。
基準を満たすかどうかは、以下のような事情をもとに総合的に判断されます。
考慮される事実
具体的にみられる症状としては、痛みや痺れ、疼痛、灼熱感などの感覚障害や、うまく手足が動かない運動障害があげられます。
以下のような症状は14級9号に該当とすると認められる可能性があります。
14級9号に該当しうる神経症状例
むちうちによる神経障害が残っていれば後遺障害14級9号認定を受けられる可能性があります。あるいは、より重傷の神経症状と判断されれば後遺障害12級13号認定も視野に入ってくるでしょう。
以下の関連記事ではむちうちによる後遺障害14級9号認定や、12級13号との違いについて解説しています。あわせてお読みください。
複数の部位に後遺障害が残り、それぞれについて14級の後遺障害が認定された場合、「併合14級」となります。
例えば、事故に遭い、むちうち(頚椎捻挫)と腰椎捻挫を負ったとします。後遺障害の申請を行った結果、むちうちで14級9号、腰椎捻挫で14級9号が認定された場合、併合14級となります。
13級以上の後遺障害等級が複数ある場合は、等級の繰り上げがありますが、14級の場合は、後遺障害14級がいくつ認定されても等級の繰り上げはなく、併合14級となります。
併合14級も、単一の14級も、基本的に、慰謝料の計算方法・相場は同じです。
14級の後遺障害が複数あることを理由に慰謝料が増額されるのは稀です。
後遺障害14級の「認定率」には、2つの見方があります。交通事故全体に対する割合でみると約2.3%、後遺障害等級が認定された事案に占める割合でみると約56%です。それぞれ確認していきましょう。
損害保険料率算出機構の「2025年度 自動車保険の概況(2024年度統計)」によると、2024年度の自賠責保険の支払い総数は86万6,495件でした。このうち、後遺障害等級の認定件数は3万5,216件、後遺障害14級の認定件数は1万9,589件です。
2024年度統計
| 件数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 交通事故の総件数※ | 86万6,495件 | 100% |
| 後遺障害等級の認定件数 | 3万5,216件 | 4.1% |
| 後遺障害14級の認定件数 | 1万9,589件 | 2.3% |
※自賠責保険の支払い総数で、後遺症が残らなかった事故や死亡事故、後遺障害が認定されなかった事故などを含む。
交通事故全体を分母とすると、後遺障害14級の認定件数は約2.3%です。14級は後遺障害等級のなかで最も軽い等級ですが、交通事故全体でみると、認定を受けるケースは決して多くないといえます。
一方、後遺障害等級が認定された3万5,216件を分母とすると、14級は1万9,589件で約56%を占めます。後遺障害の認定を受けた方の半数以上が14級ということです。
後遺障害等級別の認定件数の構成比(2024年度)
14級は認定件数が最も多い等級であり、次に多い12級(約17%)と比べても3倍以上の開きがあります。
本来の認定率は「認定された件数÷申請した件数」で求めるものです。しかし、後遺障害を申請して非該当となった件数は公表されていないため、この計算はできません。
上記の2.3%は、後遺障害を申請していない方も含めた交通事故全体を分母にした数字です。「申請すれば2.3%しか認定されない」という意味ではありません。
とはいえ、後遺障害等級の認定を受けることは簡単ではありません。認定の可能性を高めるためには、本記事内「後遺障害14級に認定されるための5つのポイント」を押さえておくことが重要です。
交通事故でケガを負った場合、多くのケースで加害者側と示談を行い、示談金として損害の賠償を受けることになります。
交通事故により後遺障害等級14級の認定を受けた場合に、示談金として支払われる損害の内訳は、以下の通りです。
交通事故の示談金内訳(後遺障害認定を受けた場合)
| 概要 | |
|---|---|
| 治療関係費 | 治療費、入院費、手術費など |
| 休業損害 | 休業による減収の補償 |
| 入通院慰謝料 | ケガをした精神的苦痛の補償 |
| 後遺障害慰謝料 | 後遺障害が残ったことの精神的苦痛の補償 |
| 逸失利益 | 後遺障害による将来的な収入減の補償 |
| 修理関係費用 | 修理費用、評価損など |
特に後遺障害等級が認定された場合、加害者側の保険会社に対して、通常の治療費や入通院慰謝料とは別に、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」請求ができるようになることがポイントです。
関連記事
こちらは、過去にアトム法律事務所で取り扱った後遺障害14級の実例です。
示談金の内訳である慰謝料や逸失利益については後述しますが、まずは実際にどのくらいの示談金を受け取ったのか、金額の目安を確認してみましょう。
14級にあたる後遺障害が複数認定され、「併合14級」となったケースもあります。以下は、実際にアトム法律事務所で取り扱った併合14級の実例です。
交通事故により後遺障害14級が認定された場合もらえる慰謝料は、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2種類です。
そして、これらの慰謝料を計算する際には、3つの異なる基準が存在し、どの基準を用いるかによって受け取れる金額が大きく変わってきます。
アトムの慰謝料計算機を使えば、簡単な情報入力のみで慰謝料の相場を簡単に計算できます。おおよその目安を知りたい方はお役立てください。
同じ慰謝料でも、計算基準によって、金額は大きく変わります。
加害者側の保険会社が提示してくる慰謝料は、通常「自賠責基準」や「任意保険基準」で計算した低い示談金です。
そのため、適切な慰謝料をもらうためには、保険会社の言う金額を鵜呑みにせず、「弁護士基準」で計算した金額を主張することが重要です。
入通院慰謝料の相場額は、治療期間や通院日数、ケガの程度などによって金額が変わります。
弁護士基準(裁判基準)での入通院慰謝料の計算では、『赤い本』(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)の入通院算定表を用います。これは、裁判所でも用いられる公的な見解です。
弁護士基準の入通院算定表には、別表Ⅰと別表Ⅱの2種類があります。負傷の内容に応じて、使い分けます。
つまり、同じ後遺障害14級でも、ケガの内容によって、入通院慰謝料で用いる算定表は異なる可能性があるということです。
むちうち、腰椎捻挫、打撲などで後遺障害14級が認定された場合、入通院慰謝料は軽傷用の「別表Ⅱ」を用いて算定します。
一方、骨折後の痛み、瞼の欠損、歯科補綴、聴力、醜状、手指の喪失・用廃といった症状の場合、重傷用の「別表Ⅰ」を用いて入通院慰謝料を算定します。
弁護士基準の算定表
後遺障害14級が認定される場合、その通院期間は、軽傷でも重傷でも約6か月程度が目安となります。
通院6か月の入通院慰謝料は、弁護士基準の場合、重傷なら116万円、軽傷なら89万円が相場です。
入通院慰謝料の目安
| 通院6か月 | 重傷 | 軽傷 |
|---|---|---|
| 自賠責基準※1 | 51.6万円 | 51.6万円 |
| 任意保険基準※2 | 64.3万円 | 64.3万円 |
| 弁護士基準 | 116万円 | 89万円 |
※1 月に10日通院、通算60日通院した場合の計算となります。10日×6か月×2×4300円=516000円
※2 参考までに、かつて保険会社で共通して使用されていた「旧任意保険基準」の数値を掲載しています。現在、各保険会社が独自に基準を定めているため、実際の提示額は保険会社によって異なります。
関連記事
交通事故の慰謝料早見表|弁護士基準の表の見方や相場一覧【最新版】
▼別表Ⅰ(重傷用の算定表)
▼別表Ⅱ(軽傷用の算定表)
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する賠償金のことです。
後遺障害慰謝料についても、算定基準によって金額は大きく変わります。
弁護士基準の場合、後遺障害14級の後遺障害慰謝料の相場は、110万円です。
計算基準ごとの14級の後遺障害慰謝料額
| 計算基準 | 後遺障害慰謝料額 |
|---|---|
| 自賠責基準 | 32万円 |
| 任意保険基準 | 32万円~(自賠責基準より少し高い程度) |
| 弁護士基準(裁判基準) | 110万円 |
自賠責基準(32万円)と相場である弁護士基準(110万円)では、約3倍以上の差があります。
弁護士であれば増額交渉の窓口にもなれますので、ぜひ弁護士への相談も検討してみてください。
後遺障害14級が認定されると、慰謝料のほかに、後遺障害逸失利益も請求できます。後遺障害逸失利益とは、「後遺障害が残ったことで働きにくくなり、将来得られるはずだった収入が減ってしまった」ことに対する補償です。
後遺障害14級の逸失利益の計算式は、以下のとおりです。
逸失利益 = ①1年あたりの基礎収入 ×②労働能力喪失率 × ③労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
原則として、事故前年の実際の年収を指します。ただし、現実の収入がない方(例:主婦や学生)など、賃金センサスで計算する場合もあります。
労働能力喪失率とは、事故前に比べて、後遺障害があることで、どれだけ働きにくくなったかを示す割合のことです。実際の後遺障害の状態や仕事への影響にもよりますが、後遺障害14級の場合、5%が相場です。
労働能力喪失期間とは、後遺障害が残ったことで、事故前と同じように働くことができなくなった期間を指します。基本的には、症状固定から67歳までの年数です。
ライプニッツ係数とは、中間利息を控除するための係数です(※)。
※将来受け取るはずだったお金が「今」一括で受け取れることになると、利息分の利益が生じます。そのため、実務で逸失利益を計算する際は、将来の利息分を割り引いて調整するためのライプニッツ係数が必要になります。
労働能力喪失期間が決まれば、自動的にライプニッツ係数は決まります(たとえば、労働喪失期間5年の場合は4.5797)。
ライプニッツ係数の一覧表は『ライプニッツ係数とは?【一覧表あり】逸失利益や将来介護費の計算も解説』からご覧ください。
むちうち14級の労働能力喪失期間
むちうちで後遺障害14級9号に認定された場合、労働能力喪失期間は5年程度に制限されるのが一般的です。
これは、むちうちによる神経症状は時間の経過とともに軽減・改善する可能性があり、症状への順応によって労働能力への影響が小さくなることも考慮されているためです。
同じ後遺障害14級の認定であっても、症状の種類、事故前の収入、年齢、性別、職業によって、受け取れる逸失利益は大きく変わります。
個人の状況によって、逸失利益がどう変わるのかを見ていきましょう。
【計算式】 500万円 × 5% × 4.5797 = 約114万円
デスクワーク中心の仕事でも、首の痛みや手のしびれは集中力の低下につながり、業務に支障が出ます。このケースは、最も一般的な計算方法が適用される例です。
※令和7年賃金センサス(賃金構造基本統計調査)の産業計・企業規模計・学歴計における女性労働者の全年齢平均賃金
【計算式】 437万700円 × 5% × 4.5797 = 約100万円
このケースのパート主婦の場合、実際のパート収入(120万円)が、女性の平均賃金よりも低くなっています。このような場合、基礎収入は低い方のパート収入ではなく、より高額な平均賃金を使って計算します。
【計算式】 450万円 × 5% × 24.5187 = 約552万円
ケース1・2と大きく差がつくのは、労働能力喪失期間の扱いが異なるためです。
むちうちの神経症状は、時間の経過とともに軽くなったり順応したりすると考えられるため、喪失期間は5年程度に制限されるのが一般的です。一方、指骨の欠損のように元に戻らない障害では、そうした前提が成り立たないため、原則どおり症状固定から67歳までの期間で計算します。
とくに職人のように手先の器用さが求められる仕事では、指のわずかな機能障害でも仕事への影響は無視できません。保険会社から喪失期間や喪失率を低く見積もった提示があっても、そのまま応じる必要はないといえます。
逸失利益の計算方法についてより詳しく知りたい方は『交通事故の逸失利益は?計算式や早見表・計算機で解説【職業別の計算も】』の記事をご覧ください。
保険会社の担当者から「後遺障害14級の補償は、上限の75万円です」と言われた方もいるでしょう。
この75万円というのは、自賠責保険から支払われる保険金の上限額です。自賠責基準では、後遺障害慰謝料と逸失利益あわせて上限75万円となります。
弁護士基準では、14級の認定を受けた場合、後遺障害慰謝料だけでも110万円になります。
さらに逸失利益も、別途請求できます。
そのため、75万円では到底十分な補償とはいえません。
保険会社から「75万円が上限」と言われても、その金額で示談してしまうのは早いです。後遺障害14級で適切な賠償を受けるには、弁護士基準による増額交渉が必要でしょう。
弁護士基準と自賠責基準の比較
| 弁護士基準 | 自賠責基準 | |
|---|---|---|
| 後遺障害慰謝料 | 110万円 | 32万円 |
| 逸失利益 | 収入や障害の程度で算定 | 最大43万円 |
| 合計 | 110万円以上 | 最大75万円 |
後遺障害14級の認定を受けるには、「被害者請求」と「事前認定」の二つの方法があります。
後遺障害14級認定の可能性を高めるためには、被害者請求で後遺障害認定の申請をおこないましょう。
被害者請求は、被害者側で資料の内容を把握・コントロールできるため、むち打ちなど他覚的所見が少ない症状や、詳細な意見書等を提出したい場合に有利です。
むちうちの神経症状や手足の指のしびれなどは、いかに症状の存在・程度を医学的に証明するかがポイントといえます。
申請者側で追加書類を添付できる被害者請求を選択し、医師の意見書や日常生活報告書などを提出することが重要です。
関連記事
後遺障害申請の被害者請求|流れや弁護士に依頼すべき理由を解説
後遺障害を申請しても14級が認定されなかった場合、新しい医学的な証拠を提出して異議申し立てを行うことができます。
異議申し立ての回数には制限はありませんが、認定基準に合致していないのに何度も申請しても意味がないです。
効果的な医証をそろえて、異議申し立てを行うには、交通事故に詳しい弁護士の助言が必要でしょう。
関連記事
後遺障害の異議申し立てを成功させる方法と再申請の流れ!失敗や納得できない結果への対策
後遺障害14級に認定されるには、認定基準に該当する症状が残っていることを、審査機関に資料で示す必要があります。
そのために押さえておきたいのが、次の5つのポイントです。
14級認定につながる5つのポイント
それぞれ確認していきましょう。
後遺障害14級の1号〜9号には、それぞれ具体的な認定基準があります。たとえば3号の聴力低下は「平均純音聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満」、4号・5号の傷痕は「てのひらの大きさ」、7号の手指は「第一関節が曲がらない」といった基準です。
この基準を把握しておくことが、すべての出発点になります。基準を知らなければ、どの検査を受け、診断書に何を書いてもらうべきかが判断できません。
また、基準にわずかに届かなければ非該当になり、逆に14級の基準を超える症状であれば、より上位の等級が認定される可能性があります。ご自身の症状がどこに位置するのかを、本記事内「後遺障害14級の認定基準と症状」で確認してみてください。
基準の当てはめに迷う場合や、複数の症状が残っている場合は、弁護士に相談すると、どの等級を目指すべきかの見通しが立ちます。
認定基準に該当することは、検査結果や測定値で示す必要があります。必要な検査は、号によって異なります。
14級認定に必要となる主な検査・資料
| 号 | 障害 | 主な検査・資料 |
|---|---|---|
| 1号 | まぶたの欠損・まつげはげ | 眼科での視診、患部の写真 |
| 2号 | 歯科補綴 | 歯科の診断書(補綴した歯の本数・部位) |
| 3号 | 聴力低下 | 聴力検査(純音聴力検査・語音聴力検査) |
| 4号・5号 | 傷痕(醜状) | 傷痕の大きさの計測、患部の写真 |
| 6号 | 指骨の欠損 | レントゲン画像 |
| 7号・8号 | 手指・足指の機能障害 | 関節可動域の測定(健康な側との比較) |
| 9号 | 神経症状 | MRI画像検査(機序となり得る変性所見) 神経学的検査(スパーリングテスト、腱反射検査など) |
ここで注意したいのは、治療のために必要な検査と、後遺障害の審査で見られる検査は一致しないことがあるという点です。治療上は不要でも、認定のためには必要な検査があります。
また、これらの検査は症状固定後ではなく、治療中から受けておくことが重要です。治療中の症状の推移を示す資料になるためです。
そして、症状固定後の申請前にも、必要な検査を受けます。症状固定が近づいてきたら、後遺障害の申請を予定していることを医師に伝え、必要な検査や測定について相談してください。
14級9号(神経症状)の場合
むちうちなどの神経症状は、CTやMRIに異常が写らないことがあります。14級9号は画像で異常を証明できなくても認定されうる等級ですが、その代わりに、受傷機転や神経学的検査の結果が症状を説明する根拠になります。詳しくは『後遺障害14級9号の認定基準と慰謝料・逸失利益|認定されない理由と対処法』をご覧ください。
後遺障害とは、治療を続けても改善が見込めなくなった状態(症状固定)で残った症状のことです。そのため、症状固定まで適切に治療を続けていたことが認定の前提になります。
後遺障害14級が認定されている事案では、通院期間6か月以上、通院頻度は月10日程度(週2〜3日)が一つの目安とされています。
後遺障害14級認定に向けた通院の目安
| 目安 | |
|---|---|
| 通院期間 | 6か月以上 |
| 通院頻度 | 月10日程度 (週2〜3日) |
通院期間が短いと「そこまで重いケガではなかったのではないか」、「まだ治療を続ければ回復の余地があるのではないか」と考えられ、認定に不利になる可能性があります。
また、通院の間隔が1か月以上空いていると「その間に治っていたのではないか」と判断され、こちらも認定に不利に働く理由になります。
ただし、「何日以上通院すれば必ず認定される」という基準はありません。通院の頻度や期間は、症状に応じた医師の判断に従ってください。認定のために不必要な通院を重ねることは、かえって治療の必要性を疑われる原因にもなります。
症状固定の時期にも注意
保険会社から治療費の打ち切りを打診されると、そのまま症状固定にせざるを得ないと考える方もいます。
しかし、症状固定の時期を判断するのは医師です。まだ治療の効果がある段階で症状固定にすると、通院期間が足りずに認定を受けられないことがあります。
医師とよく相談し、必要であれば弁護士に保険会社との交渉を任せることも検討してください。
関連記事
残っている症状が、その交通事故によって生じたものであることを、記録で説明できる必要があります。審査では、事故の状況・ケガの内容・症状の経過が矛盾なくつながっているかが見られます。
ポイント
事故からしばらく経ったあとに受診すると、「事故から受診までの間に負ったケガかもしれない」と見られ、事故との関連を示しにくくなります。事故当日、遅くとも数日以内に整形外科などを受診し、記録を残してください。
なお、初診は必ず病院で受けてください。整骨院や接骨院では画像検査などができないため、事故によって負ったケガの詳細を医学的に記録できません。
整骨院への通院は、必ず整形外科などの医師に相談したうえで行い、整形外科と整骨院を並行して通院しましょう。
整骨院を利用する際の注意点については『交通事故で整骨院に通院│慰謝料・治療費などへの影響は?』の記事をご覧ください。
後遺障害の申請書類には「事故発生状況報告書」が含まれます。審査では、この事故状況とケガの内容・程度が照らし合わされます。
実際よりも軽い事故だと受け取られると、「その程度の衝撃で後遺障害が残るほどの症状になるのは説明がつかない」と判断される可能性があります。車の損傷状況や衝突の速度、自身の姿勢など、事故の状況は正確に記載しましょう。
また、必要があれば、陳述書や車両損害の資料を添付するなどして、ケガの状況や事故の衝撃が伝わるような工夫が必要です。
事故直後から症状固定まで、症状の経過が一貫して記録されていることが重要です。
途中で症状の部位や内容が変わっていたり、初診時に訴えていなかった症状が後から出てきたりすると、「事故による症状は治っていて、現在の症状は別の原因ではないか」と疑われる可能性があります。初診時から、痛みやしびれのある部位はすべて医師に伝えてください。
また、後遺障害認定の審査では、後遺障害診断書だけでなく、治療中の診断書や診療録などから症状の経過が確認されます。そのため、治療中も定期的に病院を受診し、症状を医師に伝えて記録に残してもらうことが重要です。
後遺障害診断書は認定で最も重視される書類であり、記載されていない症状や検査結果は、原則として審査の対象になりません。
医師に作成を依頼した後、提出前に次の点を確認してください。
後遺障害診断書で確認しておきたいポイント
後遺障害は、将来も残存する症状かどうかを認定するものなので、常に症状があることも認定の条件のひとつになります。
特に、14級9号では、この視点が重要です。「雨の日だけ痛む」「特定の姿勢のときだけ痛む」といった断続的な症状では、労働能力に影響する後遺障害とは判断されにくいためです。
自覚症状欄には、「常に首に痛みがあり、長時間のデスクワークで悪化する」というように、常時ある症状を先に書き、悪化する条件を後に書く形で伝えるとよいでしょう。「天候によって痛む」とだけ記載されると、常時性がないと受け取られる可能性があります。
記載に不足があれば、提出前に医師へ追記を依頼してください。
ただし、医師は治療の専門家であって、後遺障害審査の専門家ではありません。どの号を目指すのか、そのために何を書いてもらうべきかの判断に迷う場合は、提出前に弁護士のチェックを受けることをおすすめします。
後遺障害診断書の書き方や医師への依頼の仕方は『後遺障害診断書の書き方や書式のもらい方は?自覚症状の伝え方や認定のポイント』で詳しく解説しています。
あわせて、申請方法を被害者請求にするかどうかも本記事内「後遺障害14級認定の手続き」の章で確認してください。
14級9号は痛みやしびれなど神経症状を認定対象としますが、「雨の日だけ痛む」「特定の姿勢のときだけ痛む」「なんとなくしびれる」「時々痛い」といった断続的な症状では、後遺障害の認定は難しいです。
後遺障害は、将来も残り続ける症状かどうかを認定するものなので、症状に常時性があることが重要になります。
後遺障害診断書には「常に首に痛みがあること」を明確に記載し、そのうえで、「長時間のデスクワークで悪化する」等の症状を付記してもらいましょう。
むちうちで14級認定を目指すならMRI画像は必須です。
むちうちなどの神経症状は、事故による外傷がMRIに写ることはまれです。ただし、MRIで椎間板の膨隆や変性といった所見が見つかることがあります。
これらは加齢による変化であることが多く、事故が原因だと証明するものではありませんが、「その部位に負担がかかりやすい状態のところに事故の衝撃が加わり、症状が出た」という説明を医学的に裏づける材料になります。
14級9号の認定では、こうした画像所見と、事故の状況(受傷機転)、症状の経過、神経学的検査の結果があわせて評価されます。
後遺障害14級は、画像検査で事故を原因とする異常が見つからなくても認定されうる等級ですが、症状が続く場合は早い段階でMRIを撮影しておくことがおすすめです。詳しくは『後遺障害14級9号の認定基準と慰謝料・逸失利益|認定されない理由と対処法』もご覧ください。
認定される可能性はあります。後遺障害14級の認定に、収入が減ったことは要件ではありません。等級は症状の存在と程度で判断されるため、仕事を休まず、収入が事故前と変わっていなくても、症状が残っていれば認定の対象になります。
ただし、収入の減少とは別に、症状が日常生活や仕事にまったく影響していないと判断されると、後遺障害といえる程度の症状かどうかが疑われ、認められにくくなります。
痛みを我慢して働いている場合は、「長時間の作業で症状が悪化する」「家事に時間がかかるようになった」など、具体的な支障を後遺障害診断書の自覚症状欄に記載してもらいましょう。
なお、認定後の示談交渉では、逸失利益の算定にあたって収入の減少や仕事への影響が争点になることがあります。認定と賠償額の交渉は別の問題として、弁護士に相談することをおすすめします。
こちらでは、過去に、アトム法律事務所の弁護士が取り扱った交通事故のうち、後遺障害14級の被害者の方について示談金が増額した事例を紹介します。
被害者は、勤務中に同僚の運転する車に同乗していたところ、田んぼ道の交差点での出会い頭事故に遭い、依頼者は目に外傷性散瞳を負いました。
弁護士相談の段階で後遺障害等級が既に認定済だったものの、慰謝料などの金額に増額の余地があったケース。
弁護士の介入後は、社用車の人身傷害保険から保険金を回収したうえで、相手方の任意保険会社に対して、差額を請求した。
当初の提示額約220万円から、最終的な受取金額が約442万円となりました(約2倍に増額)。
20~30代、会社員
外傷性散瞳
14級相当
被害者は、歩行中に自動車に轢かれ、右下肢挫傷を負い、後遺障害14級5号の認定を受けました。
相手方保険会社から示談金の提示があり、慰謝料の増額交渉についてご相談があったケースです。
下肢の醜状障害について、弁護士基準で算定し、後遺障害慰謝料を満額回収した。
結果として、当初の保険会社の提示額約100万円から、最終的な受取金額は190万円となりました(約1.9倍に増額)。
10歳未満、子ども
下肢挫傷(下肢の醜状)
14級5号
被害者は、信号のない横断歩道を歩行中、対面から右折してきた自動車と接触する事故に遭いました。
この事故で、被害者は右膝の脛骨高原を骨折し、右膝部分の感覚が麻痺。事故の2週間後に約1か月間入院し、その後も通院を継続。
後遺障害等級14級が認定されたものの、相手方保険会社の提示額は154万円と低額でした。
示談金の金額が適正なのか不安をお持ちで、アトム法律事務所にご相談いただきました。
弁護士の介入後は、弁護士基準(裁判基準)による適切な示談金を計算し、交渉を行いました。結果、保険会社の当初の提示額の約154万円から、最終的な受取金額は約449万円となりました(約2.9倍に増額)。
40~50代、兼業主婦
脛骨高原骨折
14級9号
被害者は、優先道路を自動車で走行中、一時停止線のあるわき道から出てきた相手方の自動車に衝突される事故に遭いました。
この事故により、被害者は頚椎捻挫、腰の打撲、頭痛、しびれを負い、病院と整骨院を併用して278日間治療を継続(実通院日数は186日)。
事前認定では後遺障害が非該当となってしまい、アトム法律事務所にご相談いただきました。
弁護士の介入後は、異議申し立てを行い、併合14級の認定を獲得。
紛争処理センターを利用し、相手方に家事従事者の休業損害を認めさせた。
結果として、保険会社の当初の提示額の約64万円から、最終的な受取金額は約318万円となりました(約5倍に増額)。
40~50代、兼業主婦(パート)
頚椎捻挫・腰の打撲など
併合14級
このように事前認定で非該当となっても、弁護士が異議申し立てを行うことで等級が認定されるケースがあります。
非該当から後遺障害14級を目指すなら、交通事故に詳しい弁護士に相談してみるのも有効です。
ご自身の交通事故に類似のケースをお探しになりたい方は、『交通事故の解決事例』のページもご覧ください。
交通事故によるケガが完治せず、後遺症が残った場合には、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得られるでしょう。
弁護士に依頼すると、弁護士が後遺障害等級の認定を受けるために必要となる資料の収集・作成についてサポートしてくれるため、14級の認定を受けられる可能性が高まります。
また、示談交渉も弁護士が行ってくれるため、加害者側が相場より低い金額の示談金を提示してきても、適切な主張を行って、相場に近い金額まで増額した示談金を受け取りやすくなるでしょう。
後遺障害認定の申請手続きや示談交渉を、主に弁護士が行ってくれることから、被害者の負担を減らし治療に専念することも可能です。
後遺障害14級の認定を受けることで、示談金の金額は大きく変わるため、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼するメリットについては『交通事故を弁護士に依頼するメリット9選|弁護士依頼のメリットを最大化する方法』の記事でより詳しく知ることが可能です。
弁護士に相談・依頼する際の費用の負担が気になる方は、弁護士費用特約が利用できるか確認してみてください。
弁護士費用特約は、一般に、弁護士への相談料は10万円まで、弁護士費用(着手金・報酬金など)は300万円まで、保険会社が負担してくれる特約です。
自動車保険だけでなく、クレジットカードや火災保険に付帯していることもあります。
また、同居のご家族の弁護士費用特約を利用できるケースも多いです。
「弁護士費用特約」が使える場合は、ほとんどのケースで費用負担なしで弁護士に依頼することができます。
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交通事故の弁護士特約とは?使い方・使ってみた感想やデメリットはあるかを解説
アトム法律事務所では、電話・LINEにて、交通事故の無料相談をおこなっています。
後遺障害14級の認定や慰謝料については本記事でも解説してきましたが、厳密なことは各事案によって変わってくるため、弁護士に個別的に相談することが一番です。
相談内容例
無料相談で今後の流れや後遺障害認定のアドバイス、適正な示談金額などを確認しておけば、今後の各種手続き・示談交渉にも安心して臨むことができます。
依頼となった場合でも、アトム法律事務所ではご依頼者様のご負担をできるだけ軽くするため、着手金を原則0円とする完全成功報酬制を基本としています。
ご自身では気づいていなかった注意点について知れる可能性もあるため、無料相談で話を聞くだけでも役に立ちます。
無料電話相談の受付は24時間体制で行っております。無料相談のみのご利用でも可能なのでお気軽にご連絡ください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
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