交通事故の整骨院に通院するには?慰謝料・治療費などへの影響は?

更新日:

整骨院と整形外科

交通事故でむちうちになったら、整骨院(接骨院)へ通院する方は多数います。整骨院での施術が回復に役立つケースは多いですし、整骨院への通院期間も原則として治療費や慰謝料請求の対象です。

ただし、整骨院へ通院する際、医師の許可を得ていなかったり、整形外科に併用して通院していなかったりしたことで、慰謝料を減らされたり治療費を打ち切られたりしてトラブルになっているケースが少なくありません。

今回は整骨院と病院の違い、交通事故で整骨院に通院する際の注意点をご紹介します。交通事故のケガを治療するために整骨院への通院を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!
交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!
事故被害者のための無料相談会

交通事故で整骨院に通っても良い?

まずは、交通事故によるケガの治療で整骨院に通ってもよいのか、整形外科(病院)に通う場合とは何が違うのかについて解説します。

整骨院に通う場合の注意点も紹介するので、確認していきましょう。

交通事故の治療で整骨院に通うことは可能【ただし注意点あり】

交通事故によるケガの治療で、整骨院に通うことは可能です。

特にむちうちなどによる痛みやしびれといった神経症状は、整骨院でのマッサージや温熱療法、電気療法などで和らぐことがあります。

また、整骨院での施術は医療行為ではありませんが、以下のケガに関する施術は「医業類似行為」として、健康保険の対象となります。

  • 肉離れや筋挫傷
  • 打撲
  • 捻挫
  • むちうち
  • 医師が同意した骨折の応急処置
  • 医師が同意した脱臼の応急処置

ただし、交通事故の場合は事前に病院(整骨院)に通い、医師の許可を得たうえで整骨院へ行くことが必要です。適切な流れで整骨院に通わなければ、のちの損害賠償請求で不利益が生じる可能性があります。

病院の医師の許可なく整骨院に行くリスクや、リスクを抑えて整骨院に通う方法は、本記事内で後程詳しく解説します。

関連記事

交通事故治療での健康保険利用|切り替え手続きやメリット・デメリットを解説

整骨院に通うのと整形外科に通うのとは何が違う?

整骨院と整形外科(病院)の大きな違いは、医療行為を行えるか否かです。

整骨院の先生は柔道整復師という国家資格を持っていますが、医師ではありません。そのため、整骨院では整形外科のような、医療行為としての治療は受けられないのです。

たとえば、整骨院では医療行為である診察・診断・検査・注射・投薬などの対応はしてもらえません。
整骨院の柔道整復師ができるのは、あくまでもマッサージを中心として医療類似行為だけです。

レントゲン検査やMRI・CTなどの画像検査を受けたり、手術や投薬といった本格的な治療を受けたりするには、整形外科に通う必要があるのです。

交通事故の通院で整骨院に通う場合のリスク

交通事故でケガをした場合、整骨院に通うことは可能です。しかし、事前に整形外科の医師から許可を得るなど適切な手順を踏んでいなければ、以下のようなリスクが生じる場合があります。

  • 慰謝料が減額されることがある
  • 治療費が打ち切られることがある
  • 診断書を書いてもらえない
  • 後遺症が残っても後遺障害認定を受けられない

それぞれについて解説します。

慰謝料が減額されることがある

交通事故によるケガで入院や通院をした場合、その期間に応じて「入通院慰謝料」がもらえます。

しかし、適切な手順を踏まず整骨院に通った場合、その期間については慰謝料が支払われなかったり、減額されたりするリスクがあります。

整骨院では医療行為としての治療は受けられないため、加害者側の任意保険会社から「整骨院への通院は本当に必要だったのか?」と疑われやすくなってしまうことが理由です。

同様の理由で、整骨院にかかった時の施術費や通院交通費も、支払われなかったり減額されたりする可能性があります。

治療費が打ち切られることがある

交通事故後、整形外科に通院すると、加害者が加入している任意保険会社が治療と並行して病院に費用を支払ってくれるのが一般的です。被害者が治療費を窓口負担する必要はありません。

しかし、整骨院へ通院する場合、任意保険会社は施術を受ける必要性を疑問視する傾向にあります。通院によって状態がたいして良くなるわけではないのに、漫然と通院する人も多いためです。

任意保険会社がもはやこれ以上の治療は不要(症状固定の段階にある)と判断すると、通院中に治療費支払いの打ち切りを打診してくるでしょう。

実際、整骨院へ通院を開始してしばらくすると、任意保険会社から治療費支払いを打ち切られて被害者との間でトラブルになるケースが多々あります。

任意保険会社が治療費を打ち切ってきたとしても、任意保険会社の言うままに通院を止める必要はありません。まだマッサージの効果を感じているのであれば、医師と相談して、必要な治療やマッサージを受けるようにしましょう。

治療期間はいつまでなのか、治療費の打ち切りがなされた場合のさらに具体的な対処法については『交通事故で保険会社から治療費打ち切りの連絡!阻止するための対応方法を紹介』の記事をご覧ください。

診断書を書いてもらえない

整骨院で対応してくれるのは柔道整復師であって医師とは異なります。柔道整復師は診察や診断ができないので、診断書を作成する権限も持っていません。

整骨院で受診しても先生に診断書を書いてもらえず、慰謝料などの賠償金を請求するための必要資料を揃えにくくなる可能性があります。

交通事故における診断書の重要性については、関連記事『交通事故後に診断書を警察や保険会社に提出しないと慰謝料はどうなる?』で解説していますので、あわせてご確認ください。

後遺症が残っても後遺障害認定を受けられない

交通事故後、病院に通わず整骨院のみに通院すると、後に後遺障害認定を受けられなくなる危険性が高まります。後遺障害認定を受けるには、通常、レントゲンやMRI等の検査資料、後遺障害診断書などの医師が作成する資料が必須だからです。

むちうちでも、後遺障害認定を受けられれば高額な後遺障害慰謝料や逸失利益といった項目の損害賠償請求が可能になります。

後遺障害非該当と判断されると、後遺障害慰謝料や逸失利益の損害賠償請求ができず、受け取れる賠償金が大きく減るので、大きなデメリットといえるでしょう。

後遺障害認定そのものについて詳しく知りたい方は『後遺障害等級が認定されるには?|認定の仕組みと認定率の上げ方を解説』の記事を確認してください。

なお、むちうちの後遺症である神経症状は、MRIなどの画像検査で異常所見が認められた場合は12級13号、神経学的検査で異常所見が認められた場合は14級9号という後遺障害等級認定を獲得できる可能性があります。

後遺障害診断書の書き方や各等級の認定ポイント・賠償金相場を知りたいという方は、以下の関連記事をお役立て下さい。

交通事故で整骨院に通院するメリット

交通事故でケガをしたときに整骨院へ通院することによるメリットを解説します。

慢性期の治療に有効

交通事故でむちうちになった当初は、整形外科で痛みを抑える治療が有効です。

ただし、治療期間が長期に渡って慢性化してくると、整形外科では積極的な対応がむずかしくなるでしょう。湿布を処方され、経過観察するのみになってしまうケースも多いです。
そうなると、加害者側の任意保険会社から治療が不要と判断されて、治療費を打ち切られるリスクが高まるのです。

症状が慢性期に入っても、整骨院であれば、電気治療などの物理療法や、マッサージなどの手技療法、ストレッチなどの運動療法といった適切な施術を受けられるので、筋肉の緊張がほぐれ、柔軟性を取り戻し、調子が良くなったり、完治(治癒)したりする方もいます。

また、交通事故後に起こりやすい関節痛についても、整骨院での施術(手技)により骨や関節のズレを元に戻すことで早期回復・改善が見込めるケースがあります。

体のしびれやめまいなどの不調が病院に通院しても中々回復しないと感じるのであれば、整骨院へ通院してみるのも良いでしょう。

通院しやすい

病院は夜遅くまで診察を受け付けているところが少なく、仕事を終えてからでは受診できないところも多いです。

一方、整骨院は病院と比べ受付期間が長いところが多いため、通院しやすいのもメリットの一つです。

病院でのリハビリテーションがなかなか受けられないとお悩みの方は、整骨院で機能回復訓練を受けることで、交通事故による症状を回復させるという方法も考えられます。

また、病院や整骨院への通院期間や通院回数は受け取れる慰謝料額に影響する可能性があるので、必要に応じて整骨院に通院することで、受け取れる慰謝料額を増額できるのもメリットといえるでしょう。

ただし、必要のない治療を慰謝料目的で続けても、その分の慰謝料請求は認められないことが多いです。あくまでも、必要性の認められる範囲内で通院するようにしましょう。

交通事故の治療で、リスクを抑えて整骨院に通う方法

交通事故が発生してから整骨院に通院するまでにどのような流れとなるのか、適切な対応方法がどのようなものであるのかを解説します。

事故直後は整形外科にかかる

事故に遭ったら、まずは整骨院ではなく整形外科へ通院することが大切です。理由は以下の通りです。

  • いきなり整骨院へ通院すると、急性期の治療や検査に対応してもらえない
  • 整骨院ではレントゲン検査やMRI検査などを受けられないため、重大な症状が発生していても、見過ごされる可能性がある
  • 病院へ行かなければ、事故直後の受傷状況について詳しい記録・診断書が残らないため、交通事故とケガとの因果関係を証明しにくくなり、賠償請求に支障が生じかねない

そのため、整骨院ではなく、早めに整形外科へ通院してください。小さな異常や違和感も医師に伝え、適切な治療を受けましょう。

また、事故後すぐに自覚症状が発生するとは限りません。
病院に行くほどのケガはないと思ったとしても、念のため病院で検査・診察を受けましょう。

必ず医師の同意や許可をとってから整骨院に通院する

整骨院に通いたい場合は、必ず事前に整形外科の医師から同意・許可を取っておきましょう。

整骨院での施術は厳密には医療行為ではないため、慰謝料・賠償金の請求時、加害者側から通院の必要性を疑われる可能性があります。

しかし、医師も「整骨院に通ってもよい」「整骨院での施術も症状改善に役立つ」と認めていれば、整骨院通院の必要性・相当性に説得力が生じます。

そのため、整骨院通院で慰謝料が認められなかったり、減額されたりするリスクを減らせるのです。

実際、整骨院の治療費(施術費)が争われた判例をみても、裁判所は「整形外科医の指示のもと整骨院に通院していたか」を、整骨院通院の必要性を判断する基準としていると考えられます。

後に任意保険会社が治療費の支払を打ち切ったときにも、医師が必要と判断していれば支払を請求できる可能性が高まります。整骨院への通院を希望するなら、医師に相談してみてください。

整形外科と整骨院の通院を併用する

整骨院への通院を開始した後も、整形外科への通院は継続しましょう。少なくとも月1回以上の頻度で定期的に整形外科へも通い、医師に状況報告をして、今後の治療方針についてのアドバイスを受けることが重要です。

整形外科に通わず整骨院への通院のみを続けていると、「もはや病院に行くほどの症状ではない=これ以上治療は必要ない」として、整骨院通院分の慰謝料や施術費の補償が認められない可能性があります。

しかし、医師が継続して経過を観察し、細やかに施術の必要性を判断していれば、こうしたリスクを防げるのです。

また、整形外科できちんとケガの経過を確認・記録してもらっておくことは、後遺症が残り後遺障害認定を受ける場合にも重要です。

適切な施術院を選択する

整骨院に通う場合は、そこが本当に整骨院なのか、料金設定に問題はないかをよく確認しましょう。

整骨院と間違われやすいものとして、整体院やカイロプラクティックがあります。しかし、整骨院は国家資格を持つ柔道整復師が施術をするのに対し、整体院やカイロプラティックは無資格の人でも施術可能です。

無資格者による整体・カイロプラティックを「交通事故の治療のため必要だった」と主張するのは難しく、仮に施術を受けても施術費は補償されず、慰謝料ももらえないでしょう。

また、整骨院の中には治療費の水増しなどの悪質な行為を行う施術院も存在します。

悪質な整骨院だと気づいた時点で転院も可能ですが、転院時には加害者側にも連絡を取る必要があるなど手間がかかりがちです。通院する整骨院は当初から慎重に選択しましょう。

整骨院を選ぶときには、以下のような点に注目してみてください。

  • 医療機関と連携している
  • マッサージなどの手技だけでなく、最新機器が用意されている
  • たくさんの交通事故の患者が通っている
  • 交通事故指定院である

上記のような整骨院であれば、比較的安心といえます。基本的に医師から紹介してもらったのであれば大丈夫でしょう。

整骨院への通院で任意保険会社とトラブルになったら

任意保険会社とのトラブルは弁護士に相談する

交通事故の被害者が整骨院へ通院をすると、相手方任意保険会社とのトラブルに巻き込まれるケースが数多くあります。困ったときには弁護士へ相談しましょう。むちうち事案でも弁護士が示談交渉を代行すれば、入通院慰謝料が大きく増額され、納得のいく示談金の支払いがなされる可能性が高いです。

示談交渉を弁護士に任せると慰謝料が増額されたり、治療に専念できるようになる

また、弁護士に依頼すると、任意保険会社との交渉を任せることができるので、任意保険会社と連絡を取る必要がなくなります。そのため、治療に専念できるようになり、ストレスも大きく軽減されるでしょう。

弁護士に依頼することで得られるメリットは多岐にわたりますが、弁護士に馴染みがないとなかなか相談の一歩に踏み出せないという方も多いです。そんな時は、関連記事『交通事故を弁護士に依頼するメリット9選と必要な理由』をお読みください。弁護士に依頼することで得られるメリットを具体的に知れるので、依頼のハードルも下がるでしょう。

示談交渉にかかる期間を短くしたい、交渉のストレスから解放されたい、保険会社の提示額から増額したいなど具体的な要望がある方は、いますぐ弁護士相談を通して依頼を検討してみましょう。

弁護士が示談交渉することで交渉がスムーズに進む可能性があります。弁護士が示談交渉に介入することで、交渉相手がどのように変化するのかについては、関連記事『交通事故の示談交渉は弁護士に依頼!依頼のメリットや方法がわかる』も参考になります。

弁護士費用特約を利用できるか確認しよう

弁護士に相談や依頼をした方がいいとわかっても、お金の問題が気になるという方は多いと思います。

そういった方は、まず弁護士費用特約が利用できるかを確認しましょう。

保険会社やプランによって異なるものの、弁護士費用特約は弁護士費用について300万円、法律相談料について10万円を上限に補償してくれるといわれています。

そのため、整骨院に通院することになる比較的軽傷のケースで弁護士費用特約を利用できれば、実質0円で弁護士に相談・依頼できる可能性が高いです。

弁護士費用特約についてより詳しく知りたいという方は、関連記事『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』も参考になります。

無料相談を有効活用しよう

アトム法律事務所では交通事故被害者へのサポート体制を整えています。交通事故事件の経験が豊富な弁護士に無料相談することが可能なので、是非一度お問い合わせください。

無料相談の連絡は、電話だけでなくメールやLINEでも受け付けており、気軽に連絡が可能です。

無料相談の予約は24時間365日、土日祝日も年中無休で受付け中ですので、ご都合の良いタイミングでお気軽にお問い合わせください。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!
交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!
事故被害者のための無料相談会

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

突然生じる事故や事件に、
地元の弁護士が即座に対応することで
ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。