手指の後遺障害|指切断・欠損、可動域制限の認定基準。マレット指で曲がらない

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手指の後遺障害

交通事故にあうと、指切断(欠損障害)や可動域制限、マレットフィンガーといった後遺症が残ってしまうことがあります。

手指の欠損障害や機能障害は、失ったり用を廃したりした指の本数によって後遺障害等級が決まります

具体的に手指のどこから先を切断したら「失った」と認められるのか、手指のどのくらい曲がらなくなったら「用を廃した」と判断されるのかには明確な基準があります。

適切な後遺障害等級に認められるには、認定基準を知ることが欠かせません。

この記事では、手指の欠損障害や機能障害の認定基準を具体的にわかりやすく紹介します。
あわせて、マレットフィンガーや手の痺れといった手指に関する後遺症が後遺障害何級に認定されるかも解説しますので、ぜひご一読ください。

お悩みによっては、以下の記事もお役立てください。

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指切断の後遺障害|欠損障害の等級認定基準

手指の欠損障害とは、切断などで手指の一部またはすべてを失った障害のことです。
まずは、手指切断による欠損障害が後遺障害等級に認定される基準を確認していきます。

【早見表】指切断(欠損障害)で後遺障害は何級になる?

手指の欠損障害では、失った手指の本数や失った範囲で後遺障害等級が決まります。手指の欠損障害で認定されうる後遺障害等級は、最も重い等級で3級、最も軽い等級で14級です。

指の切断・欠損障害で認定されうる後遺障害等級を早見表で確認してみましょう。

手指の欠損障害で認定されうる等級の早見表

症状後遺障害等級
両手のすべての指を失った3級5号
片手のすべての指を失った6級8号
片手の4本の指を失った親指を含む:6級8号
親指を含まない:7級6号
片手の3本の指を失った親指を含む:7級6号
親指を含まない:8級3号
片手の2本の指を失った親指を含む:8級3号
親指を含まない:9級12号
片手の1本の指を失った親指:9級12号
人差し指・中指・薬指:11級8号
小指:12級9号
片手の指骨の一部を失った親指:13級7号
親指以外:14級6号

なお、両手のすべての指ではなく両手のいくつかの指を失った場合は、片手ずつ後遺障害等級の認定を受けます。
そのうえで、複数の後遺障害等級に認定された場合に等級を繰り上げる「併合」という扱いをされることになるでしょう。

併合の考え方は、この記事内「指切断と機能障害の両方を負ったら?」の章で深掘りして解説します。

指切断(欠損障害)の認定基準の定義

「交通事故損害賠償法施行令」における、手指の欠損障害の正確な認定基準は、以下のようになっています。

手指の欠損障害の認定基準

等級認定基準
3級5号両手の手指の全部を失つたもの
6級8号一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
7級6号一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
8級3号一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
9級12号一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
11級8号一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
12級9号一手のこ指を失つたもの
13級7号一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
14級6号一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの

具体的にどのような状態だと、認定基準に該当すると判断されるのでしょうか。
「手指を失った」「指骨の一部を失った」の詳しい定義を確認していきましょう。

「手指を失った」とは?

「手指を失った」とは、以下の状態に該当していることを言います。

  • 人差し指から小指について、いわゆる第二関節より根元側で切断した
    ちょうど第二関節部分で離断したものについても、「手指を失ったもの」に含む
  • 親指について、いわゆる第一関節より根元側で切断した
    ちょうど第三関節部分で離断したものについても、「手指を失ったもの」に含む

「指骨の一部を失った」とは?

「指骨の一部を失った」とは、以下の状態に該当していることです。

  • 指骨のいずれかについて、一部が失われていることがX線写真などで確認できる
    遊離骨片の状態も「指骨の一部を失ったもの」に含む

ただし、指先の骨である末節骨が半分以上失われている場合、「指骨の一部を失ったもの」ではなく「用を廃したもの」として扱われ、後述する手指の機能障害として後遺障害認定を受けることになります。

たとえば、片手の小指の末節骨が半分以上失われていると、後遺障害14級6号ではなく13級6号に認定されることになるのです。

指が曲がらない後遺障害|機能障害(可動域制限など)の認定基準

手指の可動域制限(機能障害)とは、指が曲がらない、関節が曲げづらいなどの手指の機能が失われた障害のことです。指の骨折や脱臼、神経の損傷によって可動域制限が残ることがあります。

手指の機能障害が後遺障害等級に認定される基準を確認していきましょう。あわせて、手指の機能障害で後遺障害認定を目指すときのポイントもお伝えしていきます。

【早見表】指が曲がらない(機能障害)で後遺障害は何級になる?

手指の機能障害では、用を廃した手指の本数や症状で後遺障害等級が決まります。認定されうる後遺障害等級を早見表で見てみましょう。

手指が曲がらないという後遺症は可動域制限(機能障害)とされ、認定されうる後遺障害等級は最も重い等級で4級、最も軽い等級で14級です。

手指の機能障害で認定されうる等級の早見表

症状後遺障害等級
両手のすべての指の用を廃した4級6号
片手のすべての指の用を廃した7級7号
片手の4本の指の用を廃した親指を含む:7級7号
親指を含まない:8級4号
片手の3本の指の用を廃した親指を含む:8級4号
親指を含まない:9級13号
片手の2本の指の用を廃した親指を含む:9級13号
親指を含まない:10級7号
片手の1本の指の用を廃した親指:10級7号
人差し指・中指・薬指:12級10号
小指:13級6号
親指以外の指の第一関節が曲がらない親指以外:14級7号

表中の「用を廃した」とは具体的にどのような状態を指すのかは、次節で解説します。

欠損障害と同じく、両手のすべての指ではなく両手のいくつかの指を失った場合は、片手ずつ後遺障害認定を受けます。

片手ずつ等級認定を受けたら等級を繰り上げる「併合」の扱いをされることになるでしょう。

後遺障害等級認定を受けるための申請には様々な書類が必要です。申請手続きについて弁護士のサポートを受けたいという方は、まず無料の法律相談を活用してみてください。

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指が曲がらない(機能障害)の認定基準の定義

「交通事故損害賠償法施行令」で定められた、手指の機能障害の正確な認定基準は以下のとおりです。

手指の機能障害の認定基準

等級認定基準
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの
7級7号一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
8級4号一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
9級13号一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
10級7号一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
12級10号一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
13級6号一手のこ指の用を廃したもの
14級7号一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの

「手指の用を廃した」「手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなった」の具体的な定義を見ていきましょう。

「手指の用を廃した」とは?

「手指の用を廃したもの」とは、以下のいずれかの状態に該当していることを言います。

  • 手指の末節骨(最も指先にある骨)の長さの半分以上を失った
  • 手指の関節に一定の可動域制限が生じた
    • 人差し指から小指について、指の根元の関節または第二関節の可動域が、健康な指と比べて半分以下に制限された
    • 親指について、第一関節の可動域が健康な指と比べて半分以下に制限された
    • 親指について、根元の関節の橈側外転(ピストルのジェスチャーのように親指を開く動き)の可動域または掌側外転(掌を横から見たとき、親指と人差し指が90度になるように開く動き)の可動域が、健康な指と比べて半分以下に制限された
  • 手指の第一関節より先の感覚が完全に失われた
    • 指腹部と側部の深部感覚・表在感覚が完全に失われた状態
      ただし、感覚神経が断裂したと判断されるような外傷を負い、かつ筋電計を用いた感覚神経伝導速度検査で感覚神経活動電位(SNAP)が検出されない場合に限る
手指

「手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなった」とは?

「手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなった」とは、以下のいずれかの状態に該当していることです。

  • 手指の第一関節が完全に固まって動かないか、これに近い状態(強直)
  • 指が自動で曲がらないか、これに近い状態
    • ただし、屈伸筋が損傷したなど原因が明らかな場合に限る

機能障害で認定を受けるポイント

手指の欠損障害と異なり、手指の機能障害は症状の程度を客観的に示さなければ適切な後遺障害等級に認定されないおそれがあります。

機能障害で適切な認定を受けるためには、可動域制限といった機能障害が生じていることを客観的な証拠で示すことや定期的な治療、後遺障害の申請方法が重要です。

認定ポイント

  1. 可動域制限の原因を画像で証明する
  2. 6か月以上の定期的な治療を受ける
  3. 被害者請求で申請する

認定ポイントについて、それぞれ詳しくみていきます。

(1)可動域制限の原因を画像で証明する

手指の可動域制限が生じている場合、本当に診断書どおりに症状が生じているのかが問題となることがあります。

手指の可動域制限を測定するとき、医師が力を入れると患者が痛がったり症状が悪化してしまうこともあります。

そのため、医師が力を加減してしまい、現実に生じている可動域制限よりも測定結果の方が悪い値になってしまうことがあるのです。

よって、可動域制限の場合、診断書に後遺障害認定されうるような数値が記載されていても確実に認定されるとは言いきれません。

後遺障害に認定される可能性を上げるには、可動域制限の原因が器質性のものだと判断できるような画像所見が重要になります。

X線画像、CT画像、MRI画像などで手指の可動域制限の原因となりうる骨折や軟部組織・神経の損傷などが確認できれば、後遺障害に認定されやすくなるでしょう。

弁護士であれば後遺障害申請に必要な資料のアドバイスや手続きのサポートが可能です。後遺障害申請を検討している方は、まずは無料の法律相談を活用してお困りごとを解消しませんか。

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(2)6か月以上の定期的な治療を受ける

交通事故の後遺障害認定を受けるためには、基本的に6か月以上の治療期間が必要です

たとえば、手指が曲がらない症状の場合、治療期間が6か月未満だと「もう少しリハビリを続ければ可動域制限が緩和され、認定基準を満たさない状態になったのでは?」と審査機関に疑われてしまうでしょう。
この場合、後遺障害認定を受けるのは難しいです。

また、6か月以上治療期間がある場合も、通院の間隔が1か月以上空いていると後遺障害認定を受けられない可能性が高いでしょう。
「後遺症が残ったのは被害者が治療に消極的だったせいでは?」と判断されてしまうからです。

よって、手指の可動域制限で後遺障害認定を受けたい場合は、6か月以上定期的に通院し、「治療したけれど後遺症が残った」ことを示す必要があります。

ただし、指骨の欠損など、見た目にも明らかで治療を続けても回復の見込みがない症状は別です。手指の末節骨の長さが半分以下になっている状態なら、治療期間が6か月以上なくとも後遺障害認定を受けられるでしょう。

(3)被害者請求で申請する

後遺障害認定の申請方法には、「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。
両者の違いは以下のとおりです。

  • 事前認定
    • 相手方の任意保険会社を通して審査機関に書類を提出する方法。
    • 後遺障害診断書以外の書類は、保険会社が集めてくれる。
  • 被害者請求
    • 相手方の自賠責保険会社を通して審査機関に書類を提出する方法。
    • すべての申請書類を被害者自身で集める必要がある。

手指の可動域制限や手指が曲がらないといった症状で後遺障害認定を目指す場合は、被害者請求を選ぶことをおすすめします。

なぜなら、被害者請求なら後遺障害に認定される可能性を高めるような工夫を申請書類に施せるからです。

事前認定は保険会社に書類の収集を任せられるのがメリットですが、後遺障害認定されやすくなるような積極的な工夫をしてもらえることは期待できません。必要最低限の書類だけ集めて申請されたため、後遺障害に非該当になるようなケースもあるのです。

一方、被害者請求なら医師の意見書を添付する、可動域制限の原因がわかるような画像所見を用意してわかりづらい箇所に印をつけるといった工夫をすることができます。

そのため、より適切な等級に認定されやすいといえるでしょう。

被害者請求は書類収集の手間がかかることがデメリットですが、弁護士に依頼すれば手続きのほとんどを任せることも可能です。

被害者請求で後遺障害申請をする方法は、『後遺障害申請の被害者請求|流れや弁護士に依頼すべき理由を解説』の記事でまとめていますので、あわせてご参考ください。

手指の後遺障害認定で受けられる損害賠償

次に、手指の欠損障害や機能障害で後遺障害認定を受けたら請求できる損害賠償金を確認しましょう。

(1)後遺障害慰謝料|精神的苦痛の補償

後遺障害慰謝料とは、交通事故で後遺障害を負ったことで生じる精神的苦痛に対する補償をいいます。

指の切断で後遺障害等級認定を受けた場合は3級から14級となる可能性があり、弁護士基準における後遺障害慰謝料の相場は110万円から1,990万円です。

このように後遺障害慰謝料の相場は、認定された後遺障害等級によって決まります。

また、自賠責保険が用いる基準、任意保険が用いる基準、弁護士が用いる基準のどれで計算するかによっても金額が変わります。自賠責保険が用いる基準と弁護士が用いる基準の相場は下表のとおりです。

後遺障害慰謝料の相場

等級 自賠責弁護士
1級・要介護1,650(1,600)2,800
2級・要介護1,203(1,163)2,370
1級1,150(1,100)2,800
2級998(958)2,370
3級861(829)1,990
4級737(712)1,670
5級618(599)1,400
6級512(498)1,180
7級419(409)1,000
8級331(324)830
9級249(245)690
10級190(187)550
11級136(135)420
12級94(93)290
13級57(57)180
14級32(32)110

※単位:万円
※()内は2020年3月31日以前に発生した事故の金額

たとえば、両手のすべての指を失って後遺障害3級に認定された場合、自賠責保険の基準では861万円、弁護士の基準では1,990万円が後遺障害慰謝料の相場となります。
2倍以上の金額差が生じていることに注意しなければなりません。

弁護士基準の金額は過去の判例をもとにしており、最も法的に適正な金額といえます。

ところが、相手方の任意保険会社は、自賠責保険の基準にやや上乗せした程度の金額を提示し、増額も認めないことが多いです。

弁護士に依頼して示談交渉を任せれば、弁護士基準の金額に近づけるような増額交渉が期待できます。まずは慰謝料などの増額が見込めるか、示談前に弁護士に確認してみることをおすすめします。

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(2)逸失利益|将来にわたる減収の補償

逸失利益とは、後遺障害を負ったため将来的に減ってしまう収入の補償のことです。

手指の障害を負うと、事故前までの仕事を辞めることとなったり、配置転換が行われるなど、仕事への影響が生じることがあるでしょう。

このように後遺障害の影響で減ってしまう収入は、逸失利益として相手方に請求できるのです。

逸失利益と減ってしまう生涯収入の補償

後遺障害逸失利益は、基本的に以下の式を用いて計算されます。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

  • 基礎収入
    事故前の年収のこと。
    専業主婦や学生などは平均賃金を用いることもある。
  • 労働能力喪失率
    後遺障害によって落ちた労働能力を示す数値。
    後遺障害等級ごとにおおよその目安が決まっている。
  • 労働能力喪失期間
    労働能力を失った期間のこと。基本的に「症状固定時~67歳」となる。
  • ライプニッツ係数
    逸失利益を預金・運用することで生じる利息を差し引くための数値。

逸失利益の詳しい計算方法は、関連記事『【逸失利益の計算】職業別の計算方法を解説!早見表・計算機つき』でご確認ください。

また、慰謝料と逸失利益の大まかな金額は以下の計算機でも確認可能です。治療期間や後遺障害等級などを入力するだけで簡単に計算できるので、ぜひご利用ください。

(3)その他の費目|治療期間に応じた慰謝料も請求可能

交通事故でケガをした場合、後遺障害等級認定の有無とは関係なく、入通院慰謝料を請求できます。

入通院慰謝料とは、ケガの痛みや治療のつらさといった精神的苦痛への補償で、入通院の期間に応じて相場の金額が決まるのです。

入通院慰謝料の相場

指切断の慰謝料相場は、入院1ヶ月・通院2ヶ月で98万円、入院1ヶ月・通院3ヶ月では115万円です。以下のような慰謝料算定表を用いて、入院月数と通院月数から算出します。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

もっともこうした弁護士基準で算出した金額を目指すなら、相手の任意保険会社に対する根気強い増額交渉のほか、弁護士に示談交渉を任せることも必要になってくるでしょう。

入通院慰謝料の他にも、相手方に損害賠償できる費目は下表のとおり様々です。

請求可能な費目

  • 治療関係費
    治療費、通院交通費、入院雑費、付添看護費など
  • 入通院慰謝料
    事故でケガを負った精神的苦痛の補償
  • 休業損害
    事故で仕事を休んだことによる減収の補償
  • 車の修理費 など

損害賠償金の内訳や計算については、関連記事『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法を解説』で解説しているので、あわせてご確認ください。

手指の後遺障害に関するよくある質問

次に、マレットフィンガーや手の痺れは後遺障害何級に該当するかといった手指の後遺障害に関するよくある質問にお答えしていきます。

Q1.マレットフィンガーは後遺障害何級に該当する?

マレットフィンガーは、後遺障害12級または14級に該当する可能性があります

マレットフィンガーとは「マレット指」「マレット変形」「槌指」とも呼ばれる、指の第一関節が木槌のように曲がったまま伸ばせなくなってしまう症状のことです。

マレットフィンガーには、手指の筋肉の動かす伸筋腱が切れたため生じる「腱性マレットフィンガー」、第一関節内の骨折で骨がずれた状態になる「骨性マレットフィンガー」の2種類がありますが、どちらも交通事故で発症する可能性があります。

マレットフィンガーにより親指以外の指の遠位指節間関節を屈伸できなくなった、つまり第一関節が曲がらなくなったと認められれば、後遺障害14級7号に認定されるでしょう。

また、マレットフィンガーのため指を動かそうとすると痛みが生じる場合、神経症状として後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。

Q2.手の痺れは後遺障害何級に該当する?

手の痺れは後遺障害12級または14級に該当する可能性があります

交通事故で手の痺れが残る原因としては、むちうち、椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群、脊髄損傷、脳損傷などが考えられます。

6か月以上治療しても手の痺れが残ってしまった場合、神経症状として後遺障害12級13号または後遺障害14級9号への認定を目指すことになるでしょう。各等級の認定基準は以下のとおりです。

なお、手の痺れで手指の機能障害として後遺障害認定を受けるのは難しいでしょう。

手指の機能障害の認定基準には「手指の第一関節より先の感覚が完全に失われた」というものがあります。
しかし、この認定基準を満たすには指腹部・側部の深部感覚・表在感覚が完全に失われていることが必要であり、検査結果や症状の原因も示すことも求められるためです。

むちうちにより手の痺れが生じている方は、『交通事故によるむちうち(外傷性頚部症候群)の症状や治療期間|慰謝料も解説』の記事もご参考ください。交通事故でむちうちになった場合の注意点を網羅的にまとめています。

Q3.指切断と機能障害の両方を負ったら?

指切断と機能障害の両方を負ったら、症状ごとに後遺障害認定を受け、複数の後遺障害に認定されたとき等級を繰り上げる「併合」という扱いがなされるでしょう。

なお、「右手の中指と左手の薬指を欠損した」「両手の小指が曲がらなくなった」といったように両手のすべての指ではなく両手のいくつかの指を失ったり、または機能障害を負ったりした場合も、併合等級が認められることになります。

併合による等級の繰り上げは、基本的に以下の考え方で行われます。

  • 5級が2つ以上:最も重い等級を3級繰り上げる
  • 8級が2つ以上:最も重い等級を2級繰り上げる
  • 13級が2つ以上:最も重い等級を1級繰り上げる
  • 14級が2つ以上:14級のまま

ただし、等級の繰り上げについては、「交通事故損害賠償法施行令」による認定基準とのバランスも考慮されることになるでしょう。

たとえば…

ケース1

右手の人差し指・小指に機能障害10級7号

ケース2

右手の人差し指に機能障害
左手の小指に欠損障害
併合11級相当
(右手は12級9号、左手は12級10号)

上記のケース1とケース2を比較した場合、ケース2の方が等級が低いのはバランスを欠くと言える。かと言って、ケース2を片手の2本の指に欠損障害が残った場合と同様の9級相当にまで格上げするのも不合理である。

よって、ケース2は併合10級相当として評価することになる。

また、手指の後遺障害と腕の後遺障害は同一系列として併合が行われる点にも注意が必要です。

仮に手指・腕・背骨に後遺障害が残っている場合、まず同一系列の手指と腕の併合を行い、それから背骨との併合を行うことになります。

併合ルールは複雑なので、解説記事『後遺障害等級の併合・相当・加重|複数の後遺症認定時のルールと慰謝料への影響』を参考にするほか、交通事故の賠償問題にくわしい弁護士に問い合わせてみましょう。

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Q4.指切断や機能障害で障害者手帳はもらえる?

指切断や機能障害で後遺障害等級が認定されても、障害者手帳が必ず交付されるわけではありません。後遺障害等級の認定と障害者手帳がもらえる条件は別です。

指切断なら3級・6級・7級、機能障害なら4級・7級の後遺障害等級に認定された方の場合、障害者手帳が発行される可能性があるでしょう。

障害者手帳の申請方法や、障害者手帳があると受けられるサービスなどについて詳しくは関連記事『後遺障害等級が認定されたら障害者手帳ももらえる?』をご確認ください。

Q5.後遺障害認定の結果に不満がある場合は?

後遺障害認定の結果に不満があるときは、「異議申し立て」を行うことで再審査を受けることが可能です。

ただし、異議申し立てを行っても、必ず認定結果が変わるとは限りません。

異議申し立てをして納得する後遺障害等級を得るためには、希望の等級に認定されなかった理由を分析し、希望の等級の認定基準を満たしていることがわかる医学的な証拠を添付する必要があります。

異議申立てを検討するなら弁護士に相談

後遺障害認定の結果通知書を見ても専門用語ばかりで理由の分析が難しいと感じたり、どのような証拠を添付すればよいのかわからなかったりする場合は、後遺障害認定を取り扱っている弁護士にご相談ください。

弁護士であれば、異議申し立ての対策だけではなく、異議申し立てで後遺障害認定の結果がくつがえる見込みなども判断することが可能です。

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手指の後遺障害が残ったとき弁護士に依頼するメリット

交通事故で手指の後遺障害が残ったら、弁護士への依頼もご検討ください。ここからは、手指の後遺障害で弁護士に依頼するメリットをお伝えしていきます。

(1)適切な後遺障害等級に認定される確率が上がる

交通事故で手指の可動域制限が残った場合、機能障害として後遺障害認定を目指すことになるでしょう。

しかし、手指の可動域制限は診断書どおりの症状が生じているのか疑われることも多く、希望どおりの後遺障害等級に認定されない可能性もあります。適切な等級に認定されるためには、申請書類に工夫を施すことが重要になります。

この点、弁護士に依頼すれば、申請書類にどのような工夫をすれば認定しやすくなるか判断してもらえ、実際に書類の作成・収集を行ってもらえるでしょう。

後遺障害認定の対策をするには、過去の判例や認定事例といった専門的な知識が欠かせません。
交通事故事案を取り扱っている弁護士なら、豊富な経験・知識をもとに適切な対策を行ってくれるでしょう。

その結果、適切な等級に認定される確率が上がると言えるのです。

また、手指の後遺症が残った方は、他の部位にも後遺症が残っていることが多いため、適切な等級に認定されるためには総合的な検討が必要になります。

ご自身のケースでは後遺障害何級が適当なのか、認定のためにどのような検査をすべきかなども、弁護士であれば判断可能です。

(2)慰謝料などの大幅な増額が見込める

弁護士に依頼すれば、後遺障害認定の手続きだけではなく、相手方の任意保険会社との示談交渉も一任することが可能です。

基本的に、相手方の任意保険会社は本来被害者がもらえるはずの金額より大幅に低い金額を提示してきます

しかし、被害者自身で増額交渉をしても、「裁判をしないと認められない金額です」「当社ではこの金額が上限です」などと反論されてしまうことが多いのです。

一方、弁護士が交渉すれば、提示額の2倍~3倍まで増額される可能性もあります。

弁護士が出てきたということは、すなわち裁判への発展が現実的になったということでもあります。任意保険会社にとって裁判はデメリットが大きいため、裁判に発展するくらいなら示談交渉で増額を認めようとすることが多いのです。

実際の増額事例については、『交通事故の解決事例』のページもご参考ください。アトム法律事務所の弁護士がこれまで実現してきた慰謝料増額の実例がわかります。

弁護士費用特約を使えば弁護士費用の心配なし

弁護士への依頼にあたり、弁護士費用が心配な方は少なくありません。
しかし、弁護士費用特約を使えば、弁護士費用の負担を大幅に減らすことができます。

弁護士費用特約とは、保険会社が弁護士費用を負担してくれる特約のことです。

多くの場合、弁護士費用の合計300万円、相談料の合計10万円までを負担してくれるので、ケースによっては自己負担なしで弁護士に依頼できることもあるのです。

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弁護士費用特約は、自動車保険だけではなく、火災保険やクレジットカードなどにも付帯されていることがあります。

また、家族が加入している保険の弁護士費用特約を使えるケースもあるので、まずは保険の契約状況を確認してみましょう。

弁護士費用特約の使い方については、『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の記事もご参考ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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