後遺障害等級1~14級の認定で「障害者手帳」ももらえる?交付の基準と申請方法
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交通事故の被害に遭い、自賠責で後遺障害7級以上が認定された場合、症状によっては、別途自治体に申請することで、障害者手帳の交付対象となる可能性があります(身体障害者等級6級から、身体障害者手帳の交付あり。)。
障害者手帳を持っていると介護サービスや税金の優遇などの支援を受けることができます。
障害者手帳は令和6年度末現在、4,674,999人が所持しています(厚生労働省HP「障害者手帳」)。

この記事では、後遺障害等級と障害者手帳の違いや関係性、申請方法などについて解説していきます。
目次
後遺障害等級と障害者手帳の違い
後遺障害等級の等級と認定機関
後遺障害等級は1級~14級
後遺障害等級とは、交通事故によって生じた障害について、部位や程度ごとに1~14級の14段階で表したものです。
後遺障害等級の認定機関
交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害を申請すると、審査機関(損害保険料率算出機構)によって後遺障害等級に該当するかどうかが審査されます。
認定された後遺障害等級に応じて、交通事故の損害賠償金を請求できるようになります。
障害者手帳の等級と認定機関
障害者手帳とは、身体障害、知的障害、精神障害のいずれかがある人に対して交付される公的証明書です。
障害者手帳の認定機関
障害者手帳の交付を受けるには、都道府県知事や指定都市の市長などから障害者等級の認定を受ける必要があります。
障害者手帳の等級は1級~6級。7級は交付されない
身体障害者障害程度等級表によって7つに分類された障害者等級のうち、6級以上であれば障害者手帳が発行されるのです。
身体障害者手帳の交付対象
- 1級~6級:手帳が交付される
- 7級:単独では交付されない(複数該当で6級扱いになる場合あり)
交通事故で後遺症が残った場合、一定条件を満たせば「身体障害者福祉法」に基づいた身体障害者手帳、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基づいた精神障害者保健福祉手帳を発行してもらえる可能性があります。
障害者手帳を持っていると、介護サービスや税金の優遇などの支援を受けることができます。
後遺障害等級と障害者手帳の関係
後遺障害等級が重いと障害者手帳の交付も受けやすい
障害者手帳の交付を受けるためには、身体障害者障害程度等級で6級以上に認定される必要があります。交通事故で認定された「後遺障害等級」が重いほど、この障害者等級の基準を満たす可能性が高くなります。
障害者手帳の交付を受けられる「後遺障害等級」の目安については、本記事内「障害者手帳は後遺障害が何級でも交付される?」で詳しく述べていますので、このまま読み進めていってください。
障害者手帳があると得られる公的サービス
障害者手帳を持っていると、介護サービスや税金の優遇などの支援を受けることができます。具体的には、次のようなものがあります。
- 介護サービス:介護保険の利用、ヘルパー派遣、デイサービスなどの利用
- 税金の優遇:所得税や住民税などの減免
- 割引サービス:公共料金や公共施設での割引
障害者手帳があると、これらの支援を受けられるため、生活の負担軽減につながり、より安心して生活できるようになります。
障害者手帳の交付を受けられるほどの障害は、高額の事故賠償につながる
障害者手帳の交付を受けられるほどの重い障害であれば、公的サービスに加えて、交通事故の賠償金も高額になる傾向があります。
後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益などが算定されるからです。
後遺障害等級が高いほど、事故の賠償金は高額になる傾向があります。
これは、後遺障害等級が障害の程度を客観的に表すものであり、障害の程度が重いほど、被害者が被った損害も大きいと認められるためです。
後遺障害等級に応じた慰謝料の相場や逸失利益の計算について詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
障害者手帳は後遺障害が何級でも交付される?
後遺障害等級と障害者手帳の交付を受けるための等級は別物になります。後遺障害が何級に認定されれば必ず障害者手帳が交付されるとは言い切れません。
ただし、後遺障害等級に応じて、身体障害者手帳が交付されやすいかどうかの傾向は一定程度みることができるでしょう。
後遺障害8級・9級・10級・11級・12級・13級・14級は、 いずれも身体障害者等級7級相当または該当なしとなることが多く、 身体障害者手帳の交付対象(身体障害者等級6級以上)には 原則として該当しません。
後遺障害等級と身体障害者手帳の対応目安
| 後遺障害等級 | 身体障害者等級の目安 | 手帳交付 |
|---|---|---|
| 1級・2級 (要介護含む) | 1~2級相当 | ◎ ほぼ交付 |
| 3級~7級 | 3~6級相当 | ○ 可能性あり |
| 8級~14級 | 7級相当または該当なし | × 交付されない可能性が高い |
※身体障害者手帳の交付対象は身体障害者等級1~6級。7級は単独では交付されません(複数該当で6級扱いになる場合あり)。
※あくまで目安です。最終判断は都道府県知事や指定都市の市長が行います。
以下では、自賠責の後遺障害等級の内容を紹介しつつ、身体障害者手帳の交付との関係を解説します。
後遺障害 8級~14級|身体障害者手帳は発行されない可能性が高い
後遺障害8級から後遺障害14級の場合、身体障害者手帳は発行されない可能性が高いです。
身体障害者手帳は発行されない可能性が高い等級
たとえば、交通事故により、なか指、くすり指、小指を欠いた場合には後遺障害8級3号認定を受けられます。しかし身体障害者障害程度等級表によると7級認定となるため、身体障害者手帳の交付対象とはなりません。
同じように、後遺障害9級、後遺障害10級、後遺障害11級、後遺障害12級、後遺障害14級についても、身体障害者手帳の交付基準(6級以上)を満たさないケースが大半を占めます。
後遺障害 3級~7級|身体障害者手帳が発行される可能性がある
後遺障害3級から後遺障害7級は、身体障害者手帳が発行される可能性がある等級といえます。身体障害者手帳の発行基準に当てはまる場合もあるので、一度、ご自身の都道府県知事や指定都市の市長などに問い合わせてみてください。
身体障害者手帳が発行される可能性がある等級
たとえば、交通事故により片足をリスフラン関節以上で失った場合は後遺障害7級8号に認定されるものです。身体障害者障害程度等級表によると6級認定されます。6級以上になるので、身体障害者手帳の交付対象といえるでしょう。
後遺障害7級は手帳が交付されない可能性が高くなる
なお、後遺障害7級に認定された場合、身体障害者等級では「7級」相当となるケースがあり、単独では身体障害者手帳の交付対象とならないことがあります。
合算で6級以上となり手帳が交付される可能性もある
ただし、複数の障害が重複する場合は、合算により6級扱いとなり、身体障碍者手帳(1級~6級)が交付される余地が残されています。この場合も、窓口への個別確認をお勧めします。
後遺障害 1級・2級|身体障害者手帳がほぼ発行される見込み
後遺障害1級や後遺障害2級は、身体障害者手帳がほぼ発行されるであろう等級といえます。もっとも、身体障害者手帳の交付対象となるかどうかは、都道府県知事や指定都市の市長などで決められるため、市区町村の担当部門へ問い合わせてみましょう。
身体障害者手帳がほぼ発行されるであろう等級
介護が必要な別表1の後遺障害1級と2級も含みます。自賠責の後遺障害等級表には「別表1(要介護の1級・2級)」と「別表2(通常の1級~14級)」がありますが、別表1(要介護)の後遺障害1級・2級も身体障害者手帳の交付対象となり得ます。
後遺障害等級と障害者手帳の申請方法
後遺障害等級の申請方法
交通事故の加害者が加入する自賠責保険会社または任意保険会社に必要な書類を提出することで、後遺障害等級を申請できます。申請に必要な書類は、次のとおりです。
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 事故の状況を説明する書類
- 交通事故証明書
など
後遺障害等級の審査には約1~2ヶ月かかる場合が多いですが、後遺症の内容によっては審査が長引くこともあるでしょう。
後遺障害等級の申請には、事前認定と被害者請求の2通りがあります。
事前認定について

事前認定では、主治医に作成してもらった「後遺障害診断書」を、相手の任意保険会社に提出します。その他書類は相手の任意保険会社が用意して、損害保険料率算出機構に送付されます。
損害保険料率算出機構が等級審査をおこない、被害者には相手の任意保険会社を介して結果が通知されます。
なお、相手の任意保険会社は、後遺障害等級の認定を受けやすくするための準備はしてくれません。あくまで等級認定の申請手続きを代行するだけだと考えておきましょう。
そのため、医師の意見書や医療照会の結果を添付するなどして、より上位の後遺障害等級を目指したい場合には、事前認定はおすすめしません。
また、それまでの任意保険会社の対応に不安がある場合も、事前認定ではなく被害者請求を検討したほうがよいでしょう。手続きの進み具合が見えにくく、不安や不満につながることがあるためです。
一方、少しでも手間をかけたくない場合や、後遺障害の存在が外見からも分かるなど等級の認定を受けられることがほぼ確定的な場合ならば、事前認定で申請するメリットが大きいといえます。
被害者請求について

被害者請求は、被害者自ら、主治医に作成してもらった「後遺障害診断書」と、その他必要書類を収集・作成して、相手の自賠責保険会社に提出します。その後、自賠責保険会社から、損害保険料率算出機構に書類が送られます。
損害保険料率算出機構が等級審査をおこなった後は、相手の任意保険会社を介さず、直接、被害者に対して自賠責保険会社から結果が通知されます。
書類を揃えるには手間もかかりますが、後遺障害等級の認定を受けやすくするために書類を精査することが可能です。
後遺障害の存在が外見から分かりにくいケースや、非該当の結果をうけて異議申立をするようなケースでは、症状があることを医学的資料で丁寧に示すことが特に重要となります。そのため、必要な資料を自ら追加提出できる「被害者請求」を選択したほうがよいでしょう。
また、後遺障害があるため事故前と比べて経済的に厳しい場合にも、自賠責保険金を示談に先だって受領できる被害者請求を検討すべきです。
以下の関連記事では後遺障害等級申請や被害者請求について、より詳しく解説しています。
障害者手帳の申請方法
障害者手帳の申請は、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳とで異なります。
身体障害者手帳の申請方法
身体障害者手帳は、福祉事務所または市役所に申請します。
申請に必要な書類は、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が指定する医師の診断書・意見書、身体に障害のある方の写真です。
精神障害者保健福祉手帳の申請方法
精神障害者保健福祉手帳は、市町村の担当窓口を経由し、都道府県知事や指定都市の市長に申請します。
申請に必要な書類は、申請書・診断書など・本人の写真です。
後遺障害等級と障害者手帳に関する疑問
Q.後遺障害等級認定で障害者手帳はもらえる?
後遺障害等級と障害者手帳の交付を受けるための等級は、別物です。そのため、後遺障害等級が認定されたからといって、必ずしも障害者手帳が交付されるわけではありません。
たとえば、身体障害者手帳の交付を受けるためには、一定以上の身体障害者等級があると認められる必要があります。身体障害者等級は1級~7級まで分けられていますが、身体障害者手帳の交付を受けられる対象は身体障害等級1級~6級の方です。
Q.後遺障害9級や10級は障害者手帳を交付してもらえますか?
後遺障害9級や10級での取得は困難です。
後遺障害9級や10級で障害者手帳を交付してもらうのが難しいのは、身体障害者障害程度等級表(障害者手帳の等級)の6級以上に該当しにくいためです。
障害者手帳の交付を受けるには、基本的に、身体障害者障害程度等級表の7等級のうち、6級以上に該当する必要があります。
Q.障害者手帳があれば後遺障害慰謝料は高くなる?
障害者手帳を持っていることだけで、後遺障害慰謝料が高くなるわけではありません。
ただし、後遺障害慰謝料は、後遺障害等級や障害者手帳の等級だけでなく、年齢や職業、事故の状況など、さまざまな要因によって異なります。そのため、障害者手帳を持っているからといって、必ずしも後遺障害慰謝料が高くなるとは限りません。
相手の任意保険会社からより多くの後遺障害慰謝料を受け取るためには、提示してくる金額をうのみにすることなく、法的に適正な金額まで増額させることが必要です。そして、法的に適正な金額への増額交渉には弁護士の存在が欠かせません。

Q.交通事故の損害賠償金と障害年金は両方もらえる?
障害年金と交通事故の加害者からの賠償金は二重取りできず、調整がなされます。
交通事故の場合、被害者が負った損害に対して損害賠償金を受け取っています。この場合には障害年金を受け取ることは二重取りにあたるため、先に逸失利益を受け取っている場合には、3年間年金支給が停止するという関係にあるのです。
交通事故の場合、相手の任意保険会社から十分な賠償金を受け取ることが重要です。相手方の提示内容をうのみにせず、一度弁護士に見解を聞いてみましょう。
交通事故の後遺障害で弁護士に相談するメリット
後遺障害等級を適正に認定させる
弁護士は、交通事故の判例・実務に精通しており、後遺障害等級の認定基準を熟知しています。そのため、弁護士に相談することで、適正な後遺障害等級が認定される可能性が高くなるといえます。
適正な賠償金を獲得する
弁護士は交通事故の損害賠償算定に精通しており、被害者が得られる賠償金を「弁護士基準」で見積もることができます。
そのため、弁護士に相談することで、適正な賠償金を獲得できる可能性が高くなります。慰謝料の金額相場は弁護士が計算するとき最も高く、相手の任意保険会社や自賠責保険会社は低い金額となっています。

示談交渉の段階から弁護士を立てることで、相手の任意保険会社主導の損害賠償ではなく、被害者が損をすることのない損害算定を目指しましょう。
示談交渉を有利に進める
弁護士は、交通事故の示談交渉に精通しており、加害者側の任意保険会社との交渉にも慣れています。そのため、弁護士に相談することで、示談交渉を有利に進めることが可能です。
交通事故の後遺障害で悩んでいる方は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。弁護士が交通事故の被害者の権利を守り、適正な賠償金を獲得できるようサポートいたします。
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後遺障害等級が認定されたからといって、必ずしも障害者手帳が交付されるわけではありません。障害者手帳の交付を受けるためには、後遺障害等級が一定以上必要です。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
