後遺障害8級の症状と認定基準|慰謝料や逸失利益の相場と示談金内訳

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後遺障害等級8級|症状と認定基準

交通事故における後遺障害8級は、片眼の失明や視力低下、脊柱の運動障害、手指や足指の欠損、四肢の主要関節が動かなくなるなど、10種類の症状のいずれかに該当する場合に認定される等級です。

後遺障害8級の逸失利益(将来の減収の補償)は、「基礎収入×労働能力喪失率45%×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で求めます。

後遺障害8級の慰謝料は、最も高額になる弁護士基準で830万円です。

ですが、加害者側の保険会社の提示する金額は、被害者が本来受け取れるはずの賠償金よりもかなり低いことが多いです。

本記事では、交通事故における後遺障害8級について、症状(認定基準)、慰謝料の相場、逸失利益の計算方法などを解説します。

適切な等級認定を受け、十分な補償を獲得するためにぜひご確認ください。

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目次

交通事故で後遺障害8級が認定される症状

交通事故で後遺障害8級が認定される後遺症は、以下のいずれかに該当するものです。

後遺障害8級の認定基準

等級認定基準
8級1号1眼が失明
1眼の視力が0.02以下になつたもの
8級2号脊柱に運動障害を残すもの
8級3号1手のおや指を含み2の手指を失つたもの
おや指以外の3の手指を失つたもの
8級4号1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの
おや指以外の4の手指の用を廃したもの
8級5号1下肢を5cm以上短縮したもの
8級6号1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
8級7号1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
8級8号1上肢に偽関節を残すもの
8級9号1下肢に偽関節を残すもの
8級10号1足の足指の全部を失つたもの

自賠責保険・共済ポータルサイト「限度額と補償内容」後遺障害等級表 参照

それぞれの具体的な症状・詳細な認定基準については、本記事内「交通事故 後遺障害8級の認定基準(詳細版)」で詳しく解説しています。

後遺障害8級の労働能力喪失率の目安は45%です。

これは事故前と比べて、労働能力がほぼ半減してしまったことを意味します。

適切な賠償を受けるためには、まずは後遺障害8級の認定を受けること、そして弁護士基準による適切な算定を行い、慰謝料や逸失利益などの賠償請求することが大切です。

後遺障害8級の慰謝料

交通事故による後遺症について、後遺障害8級が認定された場合、後遺障害慰謝料を請求できます。

また、治療期間・治療日数に応じて、入通院慰謝料も請求できます。

ここでは、交通事故の後遺障害8級について、後遺障害慰謝料と入通院慰謝料の相場を解説します。

後遺障害8級の後遺障害慰謝料は830万円

交通事故における後遺障害8級の慰謝料は、830万円が相場です。ただし、これは過去の裁判例に基づいた「弁護士基準」による相場です。

国が定める最低限の基準「自賠責基準」では331万円とされており、任意保険の提示額もほぼ同等の場合が多いです。

弁護士基準と自賠責基準を比べると約2.5倍の金額差があることがわかります。

後遺障害8級の後遺障害慰謝料

自賠責基準弁護士基準
8級331万円
(324万円)
830万円

※()内の金額は2020年3月31日以前の事故に適用

慰謝料額を決める示談交渉では、交渉相手である「加害者側の任意保険会社」は自賠責基準の金額や、自賠責基準に近い自社基準(任意保険基準)の金額を提示してきます。

最も高額かつ法的正当性の高い弁護士基準の金額を得るには、増額交渉が必要です。

慰謝料相場の3基準比較

増額交渉を弁護士に依頼すれば、後遺障害慰謝料が弁護士基準まで増額される可能性が高いでしょう。相手方との示談で合意する前に、弁護士への相談・依頼も検討してみてください。

後遺障害8級の入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故によるケガの治療のために入院や通院をした場合に請求できる慰謝料です。

入通院慰謝料は、治療期間や実際に入院・通院した日数などをもとに金額が算定されます。後遺障害8級に認定されたからといって、一定額になるものではありません。

入通院慰謝料にも自賠責基準と弁護士基準があり、金額に大きな差が出ます。

自賠責基準の入通院慰謝料

自賠責基準の入通院慰謝料は、「日額4,300円×対象日数」で計算されます。

対象日数は、「総治療期間」または「(入院日数+実際に通院した日数)×2」のいずれか短い方です。

たとえば、入院1か月・通院6か月(実際に通院した日数60日)の場合、自賠責基準の入通院慰謝料は77万4,000円となります。

計算例

✕ 4,300円×(30日+180日)ではない

○ 4,300円×(30日+60日)×2で計算

弁護士基準の入通院慰謝料

弁護士基準の入通院慰謝料は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(いわゆる赤い本)にある算定表で金額を割り出します。

後遺障害8級に該当するケガは重傷のため、2つある算定表のうち「別表1」が適用されます。

入院1か月・通院6か月(実際に通院した日数60日)の場合、弁護士基準の入通院慰謝料は149万円が相場となります。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

後遺障害8級の逸失利益(将来の減収分の補償)

後遺障害8級は労働能力喪失率45%で計算

後遺障害の逸失利益とは、本来得られたはずの収入と、後遺障害による労働能力喪失後の収入差を補償する賠償金のことです。

後遺障害8級の逸失利益は多くの場合、労働能力が45%低下した状態で67歳まで働くと想定して計算します。

逸失利益とは

逸失利益の計算は、被害者の事故前の収入、症状固定時の年齢、後遺障害等級ごとに設定されている「労働能力喪失率」などから計算します。

逸失利益の計算方法はこの後紹介しますが、ひとまず相場を知りたい場合は、以下の計算機をご利用ください。

後遺障害8級の逸失利益の計算式

後遺障害8級の逸失利益は、「1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率(45%)×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」で計算します。

後遺障害逸失利益の計算方法

1年あたりの基礎収入

1年あたりの基礎収入は、被害者の実際の年収、または賃金センサスによる平均賃金をもとに算出します。

労働能力喪失率(後遺障害8級は45%)

労働能力喪失率は、事故前と事故後を比べたときに、後遺障害が残ったことで仕事ができなくなったかを示す割合のことです。

労働能力喪失率は、基本的に後遺障害等級に応じた目安が設けられています。後遺障害8級の労働能力喪失率は45%です。

労働能力喪失期間

労働能力喪失期間とは、後遺障害が残ったことでこれまで通りに働けなくなる期間のことです。

実務では、症状固定時から67歳までの年数、または平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間を指します。

まだ働いていない未成年者の場合、高校卒業時や大学卒業時から67歳までの期間となります。

ライプニッツ係数

ライプニッツ係数は、将来もらうはずのお金を、今まとめてもらう代わりに差し引かれる中間利息のことです。

逸失利益の請求額の計算では必ず、以下のような労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数を差し引くことになります。

労働能力喪失期間ライプニッツ係数
1年0.97
5年4.58
10年8.53
20年14.88
30年19.60

後遺障害8級の逸失利益のシミュレーション

事故前の収入が高い人症状固定時の年齢が若い人ほど、同じ後遺障害8級でも逸失利益が高額になると予想されます。

例えば、事故前の収入が500万円で、症状固定時の年齢が37歳であった場合、後遺障害8級認定による逸失利益は500万円×45%×19.60=約4,410万円です。

年収や年齢が異なる場合の、逸失利益の計算例は以下のとおりです。

後遺障害8級の逸失利益の計算例

収入年齢期間/係数逸失利益
500万円37歳30年
19.60
約4,410万円
600万円47歳20年
14.88
約4,017万円
1,000万円47歳20年
14.88
6,696万円

相手の任意保険会社が常に適正な逸失利益を提案してくれるとは限りません。不当に低い金額で示談する前に、逸失利益の算定と請求には弁護士にお任せください。

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交通事故の逸失利益は?計算式や早見表・計算機で解説【職業別の計算も】』ではより詳しく逸失利益の計算を解説をしています。

後遺障害8級で慰謝料・逸失利益の他に請求できる示談金

交通事故で後遺障害8級が認定された場合に、相手方に請求できる示談金は、慰謝料や逸失利益の他にもあります。

治療関係費、通院交通費、休業損害などです。

また、交通事故により車両の損害がある場合、修理費用やレッカー代、評価損、休車損害なども請求できる可能性があります。

後遺障害8級の示談金(一覧)

項目概要
治療関係費治療費、入院費、手術費、付添看護費、リハビリ費用
入通院慰謝料ケガの精神的苦痛の補償(記事:交通事故の慰謝料は通院1日いくら?
休業損害ケガで休業したことへの減収の補償(記事:交通事故の休業損害
後遺障害慰謝料※後遺障害による精神的苦痛の補償
後遺障害逸失利益※後遺障害により減る生涯収入の補償
車両の損害修理費用、レッカー代、評価損、休車損害など

※後遺障害認定により請求可能となる

人身事故の賠償金については、関連記事『交通人身事故の賠償金・慰謝料の相場と計算方法』で詳しく解説しています。

後遺障害8級で請求できる示談金以外のお金は?

交通事故で後遺障害が残った場合、労災保険金や、障害者手帳の交付による給付金を受けられることがあります。

後遺障害8級の場合、これらのお金は受け取れるのか、受け取れる場合はどれくらいの金額になるのか見ていきましょう。

後遺障害8級で請求できる労災保険金

後遺障害8級が残った交通事故が、就業中や通勤中に起こったものであれば、労災保険による保険金を受け取れます。

後遺障害に関する費目だと、以下のものがあります。

  • 障害補償一時金(就業中)/障害一時金(通勤途中):給付基礎日額×503日分
  • 障害特別支給金:65万円

給付基礎日額とは、事故前3ヵ月間の賃金総額を暦日数で割ったものです。

なお、労災保険で給付されるその他の費目については、関連記事『労災保険と自賠責保険の優先順位は?慰謝料請求は自賠責・任意保険へ』にて解説しています。

後遺障害8級で障害者手帳取得は難しい

後遺障害8級の症状で、障害者手帳の交付を受けるのは難しいです。

障害者手帳の交付を受けるには「身体障害者障害程度等級表」6級以上に該当する必要がありますが、後遺障害8級の症状はこれに該当しないからです。

ただし、他に「身体障害者障害程度等級表」6級以上に該当する後遺障害が残っていれば、障害者手帳の交付を受けられます。

後遺障害8級認定までの流れ

後遺障害8級に認定されるまでには、症状固定後に後遺障害認定の申請をおこない、等級認定を受けるという流れになります。

後遺障害8級に認定されるまでの流れや手続きをみていきましょう。

後遺障害等級認定の手続きの流れ

(1)事故発生→入通院治療→症状固定

後遺障害の申請は事故発生の後、十分な入通院治療を受けて、症状固定を迎えてから行います。

症状固定とは、「これ以上一般的な治療を続けても症状の回復が期待できないと判断された状態」のことです。症状固定と診断されたことは、交通事故により後遺症が残ってしまったことを意味します。

症状固定の診断は、保険会社ではなく、医師が行います。

症状固定のタイミング

(2)後遺障害診断書を医師に作成してもらう

症状固定の診断を受けたら、後遺障害の申請をするため、医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。

後遺障害診断書とは、症状固定日や残った他覚症状・検査結果などについて医師が記載する書類です。様式は自賠責保険に問い合わせて取り寄せるか、ウェブ上で調べてダウンロードするとよいでしょう。

後遺障害診断書は、後遺障害認定の審査でとくに重視される書類です。もし、認定に不利になるような記載があると、本来なら認定されるべき等級に認定されないおそれがあります。

注意点

すべての医師が後遺障害診断書の作成に慣れているとは限りません。

医師は医療の専門家ではありますが、後遺障害認定の専門家ではないため、任せきりにしてしまうことには注意が必要です。

被害者側でも、後遺障害8級の認定基準と整合する所見が記載されているか、申請前によく確認する必要があります。

後遺障害診断書の内容について、後遺障害認定を取り扱っている弁護士の確認を受けるのも有効な手段です。

後遺障害診断書の入手方法や記載例については、『後遺障害診断書の書き方や書式のもらい方は?自覚症状の伝え方や認定のポイント』の記事も参考にしてみてください。

(3)後遺障害8級の申請(事前認定・被害者請求)

後遺障害診断書を作成してもらったら、保険会社を通じて審査機関に後遺障害認定の申請を行います。

申請方法には「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。各申請方法の違いやメリット・デメリットは以下のとおりです。

事前認定

事前認定は、相手方の任意保険会社を介した申請方法になります。被害者は主治医に作成してもらった後遺障害診断書を提出するだけで、残りの書類はすべて任意保険会社が集めてくれます。

  • メリット:被害者にとって手間がかからない
  • デメリット:
    • 適切な等級認定を目指して、申請書類の精査や工夫してもらうことは期待できない
    • 任意保険との示談が成立するまで、自賠責保険金を受領できない

なお、『後遺障害の事前認定とは?』では事前認定のやり方やメリット・デメリットを掘り下げて解説しています。事前認定を検討している方はあわせてお読みください。

被害者請求

被害者請求は、相手方の任意保険会社を介さず、自賠責保険会社に申請する方法です。後遺障害診断書をはじめ、申請書類の一式を被害者自身で集めて提出します。

  • メリット:
    • 医師の意見書やカルテなど認定に有利な資料を任意提出できる
    • 認定後、任意保険との示談を待たずに、後遺障害部分の自賠責保険金を受領できる
  • デメリット:被害者にとって手間がかかる

関連記事『後遺障害申請の被害者請求|流れや弁護士に依頼すべき理由』では、被害者請求の詳しいやり方や弁護士依頼のメリットを説明しています。目に見えない障害や等級認定が不透明な症状などは、被害者請求でおこなうほうが良いケースが多いです。

事前認定と被害者請求で迷ったら弁護士に相談

事前認定と被害者請求のどちらを選んで申請すべきかは、個々の状況によって異なります

たとえば、「手指の欠損」という障害は目に見えるものです。そのため欠損の程度に争いがない場合は、詳細な資料を添付しなくても、8級3号という状態に見合った認定を受けられる可能性はあります。

一方、「手指の動かしづらさ」という障害は目に見えません。8級4号に相当するのではないかと考えているときには、検査結果を添付して、客観的に障害の存在を示す必要があります。

そのため審査に係る資料を精査できる被害者請求にするメリットは大きいです。

どちらの方法を選ぶか判断に迷ったら、無料相談を利用して弁護士にアドバイスをもらうことをおすすめします。

アトムの交通事故の解決事例(後遺障害8級)

ここでは、過去にアトム法律事務所が取り扱った交通事故の解決事例のうち、後遺障害8級の慰謝料・逸失利益の賠償事例をご紹介します。

腰椎圧迫骨折で8級相当認定、約477万円増額した事例

横断歩道を歩行中に右折車に撥ねられ腰椎圧迫骨折を負った事例

信号のある交差点を青信号に従い横断中、右折車にはねられ第一腰椎圧迫骨折を負い、8日間入院(手術なし)し、その後206日間通院。後遺障害8級の認定を受けました。

相手方保険会社から提示されましたが、提示額の妥当性に疑問があり、アトム法律事務所にご相談いただきました。


弁護活動の成果

弁護士が介入し、慰謝料を弁護士基準で算定して請求するとともに、逸失利益についても意見書を提出して適切な補償を求めました。

その結果、当初約2,397万円だった保険会社の提示額は、最終的に約2,874万円となり、約477万円の増額に成功しました。

年齢、職業

20~30代、会社員

傷病名

第一腰椎圧迫骨折

後遺障害等級

8級相当

背骨骨折で8級2号認定、慰謝料・逸失利益の交渉で1,769万円回収した事例

横断歩道で右折車に衝突され背骨骨折等を負った事例

青信号にしたがい横断歩道を徒歩で横断中、右折してきた相手方車両にはねられ、背骨3本骨折、仙骨骨折、すり傷を負い、9日間入院後、通院治療を続けていた。

後遺障害の申請など、今後の流れについて不安があり、アトム法律事務所にご相談いただきました。


弁護活動の成果

弁護士の介入後は、被害者請求の方法で後遺障害を申請し、8級2号の認定を獲得。

逸失利益については兼業主婦として就労と家事労働の両面を踏まえた交渉を行い、慰謝料についても弁護士基準で請求。

結果、最終的に1,769万円の賠償金を受け取ることができました。

年齢、職業

60~70代、パート(兼業主婦)

傷病名

背骨3本骨折、仙骨骨折

後遺障害等級

8級2号

片目失明で8級認定、弁護士依頼で正当な後遺障害慰謝料を回収できた事例

自宅前掃除中に自転車が転がり片目失明を負った事例

自宅前を掃除中に、駐車していた自転車が転がってきて衝突し、片目失明の重傷を負い、入院12日間、総治療期間は180日。後遺障害8級の認定を受けました。

相手方保険会社からの提示額の妥当性について、アトム法律事務所にご相談いただきました。


弁護活動の成果

弁護士の介入後は、示談交渉により傷害慰謝料を約37万円から120万円に、付添費用を0円から15万円に、後遺障害慰謝料を650万円から830万円にそれぞれ増額しました。

最終的に約844万円の支払いを受け、約135万円の増額を実現しました。

年齢、職業

80代以上、無職

傷病名

片目失明

後遺障害等級

8級

アトム法律事務所では、他にも多数の解決事例がございます。

ご自身と類似のケースをご覧になりたい方は、解決事例のページをご確認ください。

交通事故 後遺障害8級の認定基準(詳細版)

後遺障害8級1号(失明や視力低下)

後遺障害8級1号の症状は、「一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの」です。

後遺障害認定においては、以下のような状態になると失明したとみなされます。

  • 眼球を亡失(摘出)した
  • 光の明暗が完全にわからない
  • 光の明暗がかろうじてわかる

光の明暗がかろうじてわかる状態とは、暗室で光が点滅したときに明暗がわかる状態や、目の前で手を上下左右に動かされたときに動いた方向がわかる状態のことです。

また、視力とは基本的に矯正視力のことを指します。

つまり、片方の目を失明し、もう片方の目は眼鏡・コンタクトを使っていても視力が0.02以下になった場合、後遺障害8級1号に認定されるのです。

交通事故による目の後遺症については『交通事故による目の後遺障害と慰謝料相場|失明・視力低下などの認定基準』の記事で網羅的に解説しています。

片目を失明したもののもう一方の視力は0.02以上など、8級1号の認定基準に当てはまらない方はこちらの記事もご覧ください。

後遺障害8級2号(背骨が動かしづらい)

後遺障害8級2号の症状は、「脊柱に運動障害を残すもの」です。

「運動障害を残すもの」の定義は、以下のいずれかの条件に該当していることです。

  • 以下のいずれかの理由で、首または胸腰部の稼働域が通常の半分以下に制限されている
    • 頚椎または胸腰椎に脊椎圧迫骨折があり、X線写真などで確認できる
    • 頚椎または胸腰椎に脊椎固定術が行われた
    • 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化がある
  • 頭蓋と頭部に近い頚椎2本との間に著しい異常可動性が生じている

脊椎の圧迫骨折により、首や胸・腰などが通常の半分以下しか動かせなくなったり、頭と首の間の動きが著しくおかしくなったりした場合に後遺障害8級2号に認定されます

圧迫骨折の後遺症については、『交通事故で圧迫骨折│後遺障害等級・慰謝料・保険金・逸失利益を弁護士が解説』の記事で深掘りしています。

運動障害の重さごとの後遺障害等級もわかるので、あわせてご確認ください。

後遺障害8級3号(手指の欠損)

後遺障害8級3号の症状は、「一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの」です。

手指を失うとは、以下に当てはまっている状態を言います。

  • 手指を中手骨または基節骨で切り離した
  • 近位指節間関節(親指の場合は指節間関節)において基節骨と中手骨を切り離した

手の骨の名称や関節の位置は、以下の図を参考にしてください。

手の関節と骨

つまり、片手の親指を含む2本の指を根元から失うか、片手の親指以外の3本の指を根元から失った場合、後遺障害8級3号に認定されます

後遺障害8級4号(手指が動かしづらい)

後遺障害8級4号の症状は、「一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの」です。

手指の用を廃するの定義は、以下のとおりです。

  • 末節骨の長さが半分以下になった
  • 中手指節関節または近位指節間関節の動きが、通常の半分に制限されている
  • おや指を橈側または掌側に曲げたときの動きが、通常の半分に制限されている
  • 指先の腹部分・外側部分の皮膚の表面や内部の感覚がまったくない

再掲になりますが、手指の骨や関節の名称については以下の図を参考にしてください。

手の関節と骨

片手の親指を含む3本の指が麻痺などで動かなくなるか、片手の親指以外の4本の指が麻痺などで動かなくなった場合、後遺障害8級4号に認定されることになるでしょう。

手指の可動域制限などの後遺障害については、『指切断・欠損、指が曲がらない可動域制限、マレット指の後遺障害等級認定基準』の記事も参考になります。後遺障害認定のポイントもわかるのであわせてご確認ください。

後遺障害8級5号(足が短くなった)

後遺障害8級5号の症状は、「一下肢を五センチメートル以上短縮したもの」です。

X線写真などで左右の足を比較し、一方の足が5センチメートル以上短くなっていることが認められた場合、後遺障害8級5号に認定されることになります。

なお、子どもが交通事故の被害にあい、過成長によって片方の足が長くなってしまった場合は、短縮障害に準じた相当等級が認定されます。

後遺障害8級6号(上肢の関節が動かしづらい)

後遺障害8級6号の症状は、「一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの」です。

上肢の3大関節とは、肩関節・ひじ関節・手関節のことです。
また、「関節の用を廃する」の定義は以下のとおりになります。

  • 関節が強直(癒着して動かなくなること)した
  • 関節が完全弛緩性麻痺になるか、それに近い状態になった
  • 人工関節や人工骨頭に置き換えた関節の可動域が通常の半分以下になった

肩・ひじ・手の関節のうちひとつがほとんど動かなくなるか、人工関節・人工骨頭に置き換えても可動域が半分以下になっている場合、後遺障害8級6号に認定されるのです。

交通事故による肩・肘・手の可動域制限については『肩や手首の後遺障害・可動域制限とは?』の記事でさらに詳しく解説しています。認定を受けるためのポイントもわかるのでチェックしてみてください。

後遺障害8級7号(下肢の関節が動かしづらい)

後遺障害8級7号の症状は、「一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの」です。

下肢の3大関節とは、股関節・膝関節・足関節のことです。
「関節の用を廃する」の定義は、後遺障害8級6号の認定基準と同じく、以下の状態になったことを言います。

  • 関節が強直(癒着して動かなくなること)した
  • 関節が完全弛緩性麻痺になるか、それに近い状態になった
  • 人工関節や人工骨頭に置き換えた関節の可動域が通常の半分以下になった

股・膝・足首の関節のうちひとつがほとんど動かなくなるか、人工関節・人工骨頭に置き換えても可動域が半分以下になっている場合、後遺障害8級7号に認定されるでしょう。

3大関節のうち、股関節の後遺障害については『股関節脱臼・股関節骨折の後遺障害等級は?人工関節や人工骨頭でも後遺障害になる?』の記事もご覧ください。可動域の測定方法もわかります。

後遺障害8級8号(上肢の偽関節)

後遺障害8級8号の症状は、「一上肢に偽関節を残すもの」です。

偽関節とは、骨折後の骨の癒合が止まり、くっつかなかった骨同士が関節のように動くようになった状態のことを言います。

「一上肢に偽関節を残す」の定義は以下のとおりです。

  • 上腕骨の骨幹部などに癒合不全を残すが、常に硬性補装具は必要としない
  • 橈骨・尺骨の両方の骨幹部などに癒合不全を残すが、常に硬性補装具は必要としない
  • 橈骨・尺骨のいずれかの骨幹部に癒合不全を残し、時々硬性補装具が必要

肩から肘までの骨の中心部に偽関節が残るか、肘から手までの骨の中心部に偽関節が残った場合、後遺障害8級8号に認定されることになるでしょう。

なお、常に硬性補装具を必要とする場合は、後遺障害7級に該当します。

交通事故による腕の偽関節の認定基準は『交通事故による腕の切断・偽関節・変形癒合|後遺障害等級や慰謝料は?』の記事でも紹介しています。あわせてご参考ください。

後遺障害8級9号(下肢の偽関節)

後遺障害8級9号の症状は、「一下肢に偽関節を残すもの」です。

「一下肢に偽関節を残す」の定義は以下のとおりになります。

  • 大腿骨の骨幹部などに癒合不全を残すが、常に硬性補装具は必要としない
  • 脛骨・腓骨の両方の骨幹部などに癒合不全を残すが、常に硬性補装具は必要としない
  • 脛骨・腓骨のいずれかの骨幹部に癒合不全を残し、時々硬性補装具が必要

太ももの骨の中心部に偽関節が残るか、すねの骨の中心部に偽関節が残った場合、後遺障害8級9号に認定されます

常に硬性補装具を必要とする場合は、後遺障害7級に認定されることになるでしょう。

後遺障害8級10号(足指の欠損)

後遺障害8級10号の症状は、「一足の足指の全部を失つたもの」です。

「足指の全部を失ったもの」の定義は、足指の中足指節関節から先を失った状態とされています。

つまり、片足の足指について、すべて付け根から先を失った場合、後遺障害8級10号に認定されるのです。

足指の後遺障害については関連記事『交通事故で足指を切断・曲がらなくなった|後遺障害等級は?骨折の後遺症も認定?』で網羅的に解説しています。

後遺障害8級が認定された裁判例

ここでは、交通事故の後遺症について後遺障害8級が認定された裁判例の賠償事例を紹介します。

後遺障害8級|脊柱変形の裁判例

脊柱変形(後遺障害8級相当)で後遺障害慰謝料830万円・喪失率20%と認定された事例

大阪地判令2・2・12(平成28年(ワ)11560号)

46歳男性が二輪車で直進中、右折車と衝突し第12胸椎と第4腰椎を圧迫骨折。

約2年2か月治療を受けたが、症状固定時には椎体の前方高が大きく減少し後彎が発生。

後遺障害等級8級相当と認定。脊柱変形と腰痛の残存に対する賠償金額が争点になった。


裁判所の判断

「原告に残存する脊柱変形は、「せき柱に中程度の変形を残すもの」として、後遺障害等級8級に相当する」

大阪地判令2・2・12(平成28年(ワ)11560号)
  • 後遺障害等級:8級相当(せき柱に中程度の変形を残すもの)
    腰痛症状は脊柱変形に伴うものとして8級の評価に含めて評価
  • 後遺障害慰謝料:830万円
  • 後遺障害逸失利益:約1,261万円
    労働能力喪失率:20%
    労働能力喪失期間:20年間

この裁判例は、脊柱変形の認定基準にしたがい、後遺障害8級が認定されています。

すなわち、裁判所は、後方椎体高の合計(51mm)と前方椎体高の合計(34mm)の差が17mmあり、椎体1個当たりの後方椎体高の50%(12.75mm)以上であることから、8級に該当すると判断しました。

ただし、8級相当の認定を受けながらも、労働能力喪失率は通常の45%ではなく20%と認定されています。

この理由として、裁判所は「労働に最も影響を与えているのが腰痛の症状にとどまる」として、脊柱変形自体の具体的な業務上の障害が明らかでないことを考慮しています。

等級認定と実際の労働能力喪失率は別物であり、具体的な就労への影響を立証できなければ逸失利益が減額される可能性があることに注意が必要です。

なお、残存する腰痛症状については、別個には評価せず、「脊柱変形に伴うもの」として8級の評価に含まれています。後遺障害慰謝料は8級の相場である830万円満額認容されています。

後遺障害8級|治療中に別の疾病を発症した事例

治療中に発症した脳梗塞の影響を区別した裁判例

金沢地判平30・9・26(平成29年(ワ)第223号)

60歳主婦が交差点で右折車と衝突し、第3胸椎圧迫骨折等を負った。

事故前は家事と喫茶店パート(年収100万円)をこなしていたが、事故後は背部痛で台所に椅子を置いて座りながら調理する状態に。

さらに治療中の4ヶ月後に脳梗塞を発症し左半身麻痺が残存。

交通事故による損害と脳梗塞の影響の区別が争点となった。


裁判所の判断

「脳梗塞の症状(左半身、主に左腕、左指の麻痺)による影響と、本件後遺障害による影響とを区別して評価することが不可能なわけではない」

金沢地判平30・9・26(平成29年(ワ)第223号)
  • 後遺障害等級:8級相当を認定(脊柱変形障害及び左背部痛)
    脳梗塞の影響は本件傷害による損害に含まないと判断
  • 後遺障害慰謝料:830万円(請求同額)
  • 後遺障害逸失利益:846万6,960円
    労働能力喪失率:27%
    労働能力喪失期間:14年間

本判例のポイントは、交通事故による治療中に別の疾病(脳梗塞)を発症した場合の損害認定です。

裁判所は、脳梗塞による左半身麻痺と、交通事故による脊柱変形・背部痛は症状が異なるため、両者を区別して評価できると判断しました。

その結果、休業損害や後遺障害逸失利益の算定において、脳梗塞の影響分を控除せず、あくまで交通事故による傷害の影響のみを評価しています。

治療中に別の病気を発症した場合でも、症状が区別できれば交通事故による損害として認められる可能性があることを示した裁判例です。

交通事故の後遺障害8級の認定でよくある疑問

Q.後遺障害の併合8級とは何ですか?

後遺障害等級には併合・相当・加重といったルールがあり、複数の後遺症認定を受ける際には適用を受けます。

併合8級とは、複数の後遺障害を総合的に評価した結果、8級と認定されることをいいます。

各ルールの概要は以下のとおりです。

併合・相当・加重ルールの概要

ルール概要
併合複数の後遺障害が残った場合に、一定のルールに従って等級を決定する※
相当認定基準に明記されていない後遺障害について、既存の等級に準じて評価する
加重事故前から既存障害がある場合に、新たな障害を踏まえて等級を決定する

※すべて併合されるわけではない

後遺障害等級のルールについては『後遺障害等級の認定ルール「併合・相当・加重」後遺症が複数残った時の慰謝料は?』でくわしく解説していますので、あわせてお読みください。

Q.後遺障害8級に該当する障害が2つ残りました。

後遺障害8級にあたる障害が2つ残った場合、重い方の等級を2級繰り上げる併合ルールが適用されて後遺障害6級にあたる賠償を受けることになります。

交通事故による衝撃の度合いによっては、後遺障害の残る部位は一か所とは限りません。そのため、複数の後遺障害認定を受けることで、8級からより上位の等級にあたる補償を受けられる可能性もあります。

Q.後遺障害の8級相当とは何ですか?

後遺障害の8級相当とは、認定基準に明記されていない後遺障害について、8級と同程度の障害であるとして評価される場合をいいます。

例えば、交通事故による靱帯損傷で関節が不安定になり、可動域や方向が正常でなくなる「動揺関節」は、症状の程度によって8級相当と評価されることがあります。

Q.後遺障害8級が認定されなかった場合の対処法は?

後遺障害8級を目指して申請を出したのに、結果が非該当だった場合、異議申立てができます。

すなわち、後遺障害等級認定を受けるための審査を受け直すことが可能ということです。

後遺障害8級よりも低い等級認定となってしまったり、そもそも後遺障害なしの非該当になったりすると、想定していたよりも低水準の賠償になります。

もっとも、後遺障害等級認定を受け直すことで8級認定を得られる可能性はゼロではありませんが、十分な準備が必要です。

たとえば、後遺障害等級認定の審査を相手の任意保険会社に任せっきりにせず自分で資料を集めて被害者請求してみる、審査資料に意義のある検査結果を追加添付するなど対策を取りましょう。

くわしい解説は以下の記事でおこなっていますので、参考にしてみてください。

Q.後遺障害8級は医師が認定しますか?

いいえ、後遺障害8級を認定するのは、医師ではありません。

損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)という第三者機関が、後遺障害の認定を行います。

主治医から「後遺症が残った」「一生治らないだろう」と言われても、あくまでそれは主治医の見立てであって、後遺障害8級の認定や相手保険会社からの賠償を確約するものではありません。

しかし、主治医が後遺障害8級認定に無関係という訳ではなく、後遺障害8級認定の申請において極めて重要な「後遺障害診断書」の作成をお願いすることになります。

なお、裁判においては、こうした資料をもとに、裁判所が後遺障害8級に該当するかどうか独自に判断可能です。

ただし、被害者にとって有利な判断を受けられるとは限らない点は留意が必要です。

後遺障害8級認定を目指す方・認定された方も弁護士相談がおすすめ

後遺障害8級認定を目指す方も、認定された方も、どちらも弁護士への相談がおすすめです。

等級認定を目指すなら、まず事前認定か被害者請求かを十分に検討しましょう。弁護士から症状や状況に合わせた助言を受けておくことがおすすめです。

また、弁護士に依頼すれば申請手続きを一任できます。被害者の負担軽減につながりますし、手続きに慣れた弁護士ならスピーディに対応可能なので、弁護士に依頼するメリットは大きいです。

もし後遺障害8級認定後であっても、示談交渉における弁護士のサポートは有効でしょう。相手方の任意保険会社は本来受け取れる金額よりもかなり低い金額を提示してくることが多いです。

示談は一度成立すると基本的に撤回や再交渉はできません。よって、本来被害者が受け取るべき金額はいくらか弁護士に確認し、事故で負った損害に適した補償かどうか検討する必要があるのです。

もし、本来受け取れるはずの金額より大幅に低いなら、弁護士に依頼して示談交渉に介入してもらうことで増額も望めます。

弁護士ありの増額交渉は増額幅も増額の可能性も高い

アトム法律事務所では、弁護士への無料相談を実施しています。

自身が認定を受けられる後遺障害等級の目安を知りたい、後遺障害認定の申請で気をつけるべきポイントを教えてほしい、慰謝料や示談金に増額の見込みはあるか確認したいといった場合に、ぜひ気軽にご利用ください。

相談予約は年中無休で受け付けています。交通事故の解決実績が豊富なアトムの弁護士にお任せください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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