後遺障害7級の症状と認定基準|7級の慰謝料はいくら?逸失利益の計算方法は?

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後遺障害等級7級|症状と認定基準

交通事故の後遺障害7級とは、失明と視力低下、普通の会話が聞き取れないほどの聴力低下、簡単な仕事しかできないほどの脳・神経・内臓の障害手足の指の欠損などで認定される等級です。

後遺障害7級の労働能力喪失率は56%とされており、事故前から労働能力が半分以下になったと判断される状態といえます。

後遺障害7級の慰謝料は、自賠責基準で419万円、弁護士基準で1,000万円が相場額です(2020年4月1日以降の交通事故の場合)。

このほか示談金には、後遺障害が残ったことによる逸失利益も含まれるべきなので、後遺障害7級の示談金額は1,000万円を超える可能性が十分あります

後遺障害7級の認定基準と後遺障害慰謝料や逸失利益などの示談金に関しても整理していきましょう。

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後遺障害7級の認定基準

後遺障害等級の認定基準は、「交通事故損害賠償法施行令」で定められています。

後遺障害7級の認定基準は、症状の内容によって13個に分類されています。

後遺障害7級の認定基準

7級1号一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
7級2号両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
7級3号一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級5号胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級6号一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
7級7号一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
7級8号一足をリスフラン関節以上で失つたもの
7級9号一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
7級10号一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
7級11号両足の足指の全部の用を廃したもの
7級12号外貌に著しい醜状を残すもの
7級13号両側の睾丸を失つたもの

各号の認定基準を詳しく確認していきましょう。

後遺障害7級1号|片目の失明と視力障害

後遺障害7級1号に認定される症状は、「一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの」です。

なお「視力」とは矯正視力のことで、「万国式試視力表」による測定結果に基づきます。裸眼の視力は関係ありません。

失明の定義は以下の通りです。

失明の定義

  • 眼球を亡失(摘出)
  • 光の明暗が完全にわからない
  • 光の明暗が辛うじてわかる
    暗室で光が点滅するときに明暗がわかる
    目の前で手を上下左右に動かされたときにどちらに動いたかわかる

片方の眼球を失ったり完全に失明したうえで、もう一方の視力も0.6以下になった場合、後遺障害7級1号に認定されることになります。

なお、片方の矯正視力次第で異なる後遺障害等級認定の可能性があります。

矯正視力の著しい低下による障害等級

失明していない方の目の視力障害等級
0.06以下後遺障害3級
0.1以下後遺障害5級

目の後遺症について網羅的に解説した記事『交通事故による目の後遺障害|失明・視力低下・複視の認定基準を弁護士が解説』もあわせてお役立てください。

後遺障害7級2号|両耳の重い難聴

後遺障害7級2号に認定される症状は、「両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの」です。

  • 両耳の平均純音聴力レベルが70デシベル以上のもの
  • 両耳の平均純音聴力レベルが50デシベル以上、かつ、最高明瞭度が50%以上のもの

以上のいずれかに該当すると、40cm以上の距離では普通の話声を聞きとれないと判断され、後遺障害7級2号に認定されることになります。

続いて説明する後遺障害7級3号も含め、聴覚障害については難聴の程度しだいで認定される等級も様々です。

関連記事『交通事故による聴覚障害の後遺障害。難聴(聴力低下等)や耳鳴りの等級は?』では張力低下を含めた耳の後遺障害について解説しているので、参考にお読みください。

後遺障害7級3号|片耳が聞こえず、もう片方も難聴

後遺障害7級3号に認定される症状は、「一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの」です。

よりくわしく言うと、片方の耳の平均純音聴力レベルが90デシベル以上で、もう片方の耳の平均純音聴力レベルが60デシベル以上の場合になります。

以上に該当すると、1m以上の距離では普通の話声を聞きとれないと判断され、後遺障害7級3号に認定されることになります。

後遺障害7級4号|神経系統や精神の障害で就労制限

後遺障害7級4号に認定される症状は、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」です。

脳や神経に障害が残り、働くことはできるものの作業の手順が悪い・約束を忘れる・ミスが多発するなど一般人と同じようにできなかったり、上下肢の麻痺したりして、簡単な作業しかできない場合、後遺障害7級4号に認定されるでしょう。

後遺障害7級4号に認定される症状は多岐にわたりますが、代表例としては「高次脳機能障害」と「脳挫傷・脊髄損傷による身体性機能障害(上下肢の麻痺)」があげられます。

それぞれの認定基準をみていきましょう。

高次脳機能障害の場合

高次脳機能障害が残存している場合、次の4つの能力のうちいずれか1つの能力が半分程度失われているか、2つ以上の能力が相当程度が失われていれば、後遺障害7級4号に認定されるでしょう。

  1. 意思疎通能力
    例:職場で他の人との意思疎通に困難を生じ、意味を理解するために繰り返してもらう必要がある
  2. 問題解決能力
    例:手順の理解に困難を生じ、助言を要する
  3. 作業付加に対する持続力・持久力
    例:予定外の休憩や注意で時間がとられ、十分な労働時間が確保できない
  4. 社会行動能力
    例:障害に起因する不適切な行動がみられる

高次脳機能障害による私生活・仕事への影響度合いによって認定される等級は様々で、等級に伴って賠償金額も大きく変わってきます。

関連記事では、高次脳機能障害の主な後遺症や賠償について解説していますので、参考にご覧ください。

脳挫傷・脊髄損傷による身体性機能障害

脳挫傷や脊髄損傷による身体性機能障害で上下肢の麻痺が残り、以下のいずれかの状態にあれば後遺障害7級4号に認定されます。

後遺障害7級4号に認定されうる麻痺

  • 片側の腕と足に軽度の麻痺
  • 片側の腕または足に中程度の麻痺

それぞれについてくわしく見ていきましょう。

片側の腕と足に軽度の麻痺

障害のある腕や足の運動性・支持性が多少失われ、基本動作の精密さや速度が相当程度失われている状態を指します。

具体的には次のような状態であれば、片側の腕と足に軽度の麻痺のある状態と認められるでしょう。

  • 障害のある片方の腕では文字を書くのが難しい
  • 独りで歩けるが、障害のある片足のため不安定で転倒しやすく、速度も遅い
  • 障害のある両足のため杖または硬性補装具なしでは階段を上れない

片側の腕と足に軽度の麻痺

障害のある腕や足の運動性・支持性が多少失われ、基本動作の精密さや速度が相当程度失われている状態を指します。

具体的には次のような状態であれば、片側の腕または足に中程度の麻痺のある状態と認められるでしょう。

  • 障害のある片方の腕では500グラム程度のものを持ち上げられない
  • 障害のある片方の腕では文字を書けない
  • 障害のある片足があるため杖や硬性装具なしに階段を登れない
  • 障害のある片足があるため杖や硬性装具なしでは歩くのが難しい

交通事故による脳挫傷や脊髄損傷については、以下の関連記事でも詳しく解説しています。

後遺障害7級5号|内臓の障害で軽作業しかできない

後遺障害7級5号に認定される症状は、「胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」です。

内臓に障害が残り、働くことはできるものの、軽作業に限定される場合、後遺障害7級5号に認定されることになります。

認定されうる症状としては、呼吸器の障害、循環器の障害、消化器の障害、泌尿器の障害があげられます。

  • 呼吸器の障害
    • 動脈血酸素分圧が60Torrを超え70Torr以下で、脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲外(37Torr~43Torr以外)にある
    • スパイロメトリーの結果が35以下または40以下で、呼吸困難の程度が中等度にある
    • スパイロメトリーの結果が35超~55または40超~60で、呼吸困難の程度が高度または中等度にある
  • 循環器の障害
    • 除細動器が植え込まれている
  • 消化器の障害
    • 胃の切除によって、消化吸収障害・ダンピング症候群(食後のめまい)・逆流性食道炎(胸やけ・胸痛・嚥下困難など)のすべてがみられる
    • 人工肛門を増設しており、小腸・大腸の内容が漏出するためストマの周辺に著しい皮膚のびらんが生じ、パウチなどの装着ができる
    • 完全便失禁
  • 泌尿器の障害
    • GFR値が30超~50で、腎臓を失った
    • 尿管に非尿禁制型尿路変更術または禁制型尿リザボア術式を行った
    • 持続性尿失禁を残したり、切迫尿失禁および腹圧性尿失禁のためパッドを装着しなければならない

つまり、労働できるものの、呼吸困難・不整脈・排泄障害などがあるために、軽作業しかできない場合に認定される可能性があるでしょう。

内臓の機能障害の後遺障害認定基準を詳しく解説した記事もあわせてお読みください。

後遺障害7級6号|多くの手指が欠損した

後遺障害7級6号に認定される症状は、「一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの」です。

手指を失うとは、以下に当てはまっている状態を指します。

「手指を失う」とは

  • 手指を中手骨または基節骨で切り離した
  • 近位指節間関節(親指の場合は指節間関節)において基節骨と中手骨を切り離した

つまり、片手の親指を含む3本の指を根元から失うか、片手の親指以外の4本の指を根元から失った場合、後遺障害7級6号に認定されます。

手の骨の名称や関節の位置は、以下の図を参考にしてください。

後遺障害7級7号|多くの手指が動かない

後遺障害7級7号に認定される症状は、「一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの」です。

「手指の用を廃する」とは

  • 末節骨の長さが半分以下になった
  • 中手指節関節または近位指節間関節の動きが、通常の半分に制限されている
  • おや指を橈側または掌側に曲げたときの動きが、通常の半分に制限されている
  • 指先の腹部分・外側部分の皮膚の表面や内部の感覚がまったくない

手指の関節については以下のイラストを参考にご覧ください。

手の関節と骨

片手の5本の指すべてが麻痺などで動かなくなるか、片手の親指以外の4本の指が麻痺などで動かなくなった場合、後遺障害7級7号に認定されることになるでしょう。

手指の後遺障害については『手指の後遺障害|指切断・欠損、可動域制限の認定基準。マレット指で曲がらない』の記事で解説しています。

可動域制限で後遺障害認定を受けるためのポイントもわかるので、ぜひご一読ください。

後遺障害7級8号|足の甲の中ほどから欠損

後遺障害7級8号に認定される症状は、「一足をリスフラン関節以上で失つたもの」です。

リスフラン関節以上で失うことの定義は、以下のいずれかの通りです。

「リスフラン関節以上で失う」とは

  • 足根骨(踵骨・距骨・舟状骨・立法骨・3個の楔状骨)で切断した
  • リスフラン関節で中足骨と足根骨が切り離された

片足を足の甲の中央より根元に近い部分で失った場合、後遺障害7級8号に認定されることになります。

後遺障害7級9号|片腕の偽関節や運動障害

後遺障害7級9号に認定される症状は、「一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」です。

偽関節とは、骨折後の骨の癒合が止まり、くっつかなかった骨同士が関節のように動くようになった状態のことをいいます。

一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残す定義は、以下のとおりです。

  • 上腕骨の骨幹部などに癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とする
  • 橈骨・尺骨の両方の骨幹部などに癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とする

肩から肘までの骨の中心部に偽関節が残るか、肘から手までの骨の中心部に偽関節が残って、どちらも常に硬性補装具が必要な場合、後遺障害7級9号に認定されることになるでしょう。

腕に偽関節が残った場合は、『交通事故による腕の切断・偽関節・変形癒合|後遺障害等級や慰謝料は?』の記事もお役立てください。

後遺障害7級10号|片足の偽関節や運動障害

後遺障害7級10号に認定される症状は、「一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」です。

一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残す定義は、以下のとおりになります。

  • 大腿骨の骨幹部などに癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とする
  • 脛骨・腓骨の両方の骨幹部などに癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とする
  • 脛骨の骨幹部などに癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とする

太ももの骨の中心部に偽関節が残るか、すねの骨の中心部に偽関節が残って、どちらも常に硬性補装具が必要な場合、後遺障害7級10号に認定されます

偽関節は足の変形障害の一種になります。『交通事故による足の短縮・変形の後遺障害認定|認定基準と慰謝料がわかる』の記事でも足の偽関節に触れているので、あわせてご参考ください。

後遺障害7級11号|両足の全ての指が動かない

後遺障害7級11号に認定される症状は、「両足の足指の全部の用を廃したもの」です。

足指の全部の用を廃する定義は、以下の通りになります。

  • 親指の指節間関節から未節骨の長さを半分以上失い、親指以外の指の遠位指節間関節から先のすべてを失う
  • 親指の指節間関節が、健康な指の動きの半分に制限されている
  • 親指以外の指の中足指節関節もしくは近位指節間関節が、健康な指の動きの半分に制限されている

つまり、両足のすべての指が麻痺などで動かなくなった場合、後遺障害7級11号に認定されることになります。

足指が曲がらない症状が残った方は、『交通事故で足指を切断・曲がらなくなった|後遺障害等級は?骨折の後遺症も認定?』の記事で後遺障害認定を受けるポイントも確認してみてください。

後遺障害7級12号|頭・顔・首に目立つ傷痕

後遺障害7級12号に認定される症状は、「外貌に著しい醜状を残すもの」です。

外貌に著しい醜状を残す定義は、以下の通りになります。

  • 頭部に指の部分は含まない手のひら大以上の大きさの瘢痕や頭蓋骨の欠損がある
  • 顔面に鶏の卵大以上の瘢痕や10円玉の大きさ以上の組織陥没がある
  • 頸部に指の部分は含まない手のひら大以上の大きさの瘢痕がある

顔や体の露出するような手足以外の箇所に、原則として以上のいずれかに該当し、人目につく程度以上の傷が残った場合、後遺障害7級12号に認定されることになります。

交通事故による顔の傷跡については『交通事故による顔の傷跡(外貌醜状)の後遺障害認定|顔面骨折・神経麻痺も解説』で詳しい認定基準を紹介しています。後遺障害認定を受けるためのヒントもわかるので、ぜひご確認ください。

後遺障害7級13号|両側の睾丸を失った

後遺障害7級13号に認定される症状は、「両側の睾丸を失つたもの」です。

両方の睾丸を失うことで生殖機能を完全に失った場合、後遺障害7級13号に認定されることになります。

また、睾丸が残っていても状態として精液中に精子が存在しない場合や、女性が両側の卵巣を失ったり、状態として卵子が形成されない場合も、後遺障害7級13号が準用されます。

後遺障害7級の慰謝料と逸失利益|示談金の内訳もわかる

後遺障害が認定されることで、等級に応じて決められた金額の後遺障害慰謝料が請求可能です。

もっとも、交通事故で怪我をして後遺障害を負った場合、請求できるのは後遺障害慰謝料以外にもあります。後遺障害慰謝料の相場とあわせて、その他の示談金項目についても確認していきましょう。

後遺障害慰謝料の相場|弁護士基準が重要

後遺障害7級の後遺障害慰謝料相場は1,000万円です。

後遺障害7級の後遺障害慰謝料

自賠責基準弁護士基準
7級419(409)1,000

※()内の金額は2020年3月31日以前の事故に適用
※ 単位:万円

最も低額になる自賠責基準と最も高額になる弁護士基準を比較してみます。後遺障害7級の場合、自賠責基準と弁護士基準にはおよそ600万円の金額差があるのです。

弁護士基準の慰謝料とは何か

まず、前提として慰謝料の相場には3つあることをおさえておく必要があります。

慰謝料を算定するにあたっては「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの算定基準のいずれかが用いられることになり、どの基準を用いるかで慰謝料の額が変わってきます。

慰謝料が最も高額になるのは弁護士基準を用いて計算した場合です。自賠責基準や任意保険基準を用いて計算されると、弁護士基準よりも相当低い金額になってしまいます。

慰謝料金額相場の3基準比較

被害者だけで示談交渉すると、任意保険会社は自賠責基準や任意保険基準でしか金額を提示してきません。示談交渉は双方が納得すれば成立するものなので、被害者が本来もらえるはずの金額を知らなければ低い金額のままになってしまいます。

また、被害者がいくら弁護士基準の金額を主張しても、任意保険会社が認めてくれる可能性は極めて低いです。

弁護士が代わりに示談交渉することで、弁護士基準まで増額できる可能性が高まります。後遺障害7級で示談交渉中の方や、これから示談交渉をはじめるという方は、弁護士への依頼もご検討ください。

逸失利益の計算|計算式の具体例

逸失利益は、後遺障害が認定された場合にのみ原則として請求が認められる賠償金です。

逸失利益は、後遺障害が残ったことで労働能力が下がり、本来ならば将来にわたって得られるはずだった収入が減ったことへの賠償金になります。

逸失利益の計算式は、被害者の年齢や立場で変わってくるので注意してください。

逸失利益の計算式

  • 有職者または就労可能者の場合
    1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
  • 症状固定時に18歳未満の未就労者の場合
    1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数 )

労働能力喪失率は、原則後遺障害等級ごとに目安があります。後遺障害7級の労働能力喪失率は56%です。よって逸失利益の計算式においては、労働能力喪失率を0.56とします。

労働能力喪失期間は、症状固定から67歳までの年数になります。労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数は、以下の通りです。

労働能力喪失期間ライプニッツ係数
1年0.97
5年4.58
10年8.53
20年14.88
30年19.60

後遺障害7級の逸失利益を算定する計算式は次のようになります。

後遺障害7級の逸失利益計算

労働能力喪失期間30年、つまり被害者が症状固定時37歳であって事故前の収入が400万円ならば、後遺障害7級認定の逸失利益は約4,390万円です。

400万円×0.56×19.60=約4,390万円

このように、逸失利益の計算式には被害者の年収、年齢など複数の情報を用います。

後遺障害等級が高い、事故前収入が多い、被害者の年齢が若い、こうした被害者ほど逸失利益は高額で、相手方との争点にもなりやすいでしょう。

逸失利益の計算に用いる基礎収入の決め方は職業ことに異なります。下記の関連記事でくわしく解説しているので、あわせてお読みください。

慰謝料計算機あり|交通事故の示談金内訳

示談金は、交通事故で負ったすべての損害に対する賠償金です。よって、示談金のなかには慰謝料や治療費も含まれています。

後遺障害7級という重い障害を負った場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益といった費目に特に注目すべきです。

以下の表には、後遺障害認定を受けた場合の一般的な示談金の内訳を示します。

交通事故の示談金内訳(後遺障害認定を受けた場合)

概要
治療関係費治療費、入院費、手術費、付添看護費
入通院慰謝料ケガによる精神的苦痛に対する補償
休業損害ケガによる休業で減った収入の補償
後遺障害慰謝料後遺障害による精神的苦痛に対する補償
後遺障害逸失利益後遺障害により将来的に減る収入の補償
修理関係費用修理費用、評価損など

後遺障害7級認定を受けた場合、示談金の多くは後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益が占めることが予想されます。示談金の大部分を占める費目については、以下の自動計算機で簡単に目安を確認できます。

ユーザー登録などわずらわしい手続きも不要なので、気軽にご活用ください。

【コラム】後遺障害7級12号の逸失利益は難しい?

後遺障害7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」とは、顔、頭部、首などに傷痕が残ってしまった状態です。

こうした傷痕は醜状障害といわれますが、労働能力には影響しないとして、逸失利益の支払いを拒否されることがあります。

実際に容姿と仕事の関連性が薄い場合や、実際に減収が生じていない場合には注意が必要です。

しかし実際には、大きな傷痕が残ったことで職場での人間関係に悩んだり、仕事の選択肢が狭くなるなどの影響が出ているケースも存在します。

適正な逸失利益を請求したい、相手が逸失利益の支払いを拒否していて困っている方は、一度弁護士に相談してみましょう。

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後遺障害7級認定までの流れ

後遺障害7級に認定されるまでの流れもおさえておきましょう。

(1)症状固定の診断

後遺障害の申請にあたっては、交通事故で負った症状に関して、医師から症状固定の診断を受けることからはじまります。

これ以上に治療を続けても、症状の改善が見込めない状態のこと」を症状固定といいます。

症状固定のタイミング

交通事故によって生じた「傷害分」と「後遺障害分」の損害を区分するために、症状固定は重要な役割を持ちます。

しかし、症状固定と診断されただけでは、後遺障害分の損害を受けられません。後遺障害分の損害賠償を請求するには後遺障害が認定される必要があり、症状固定は後遺障害認定に向けたスタート地点といえます。

なお、症状固定が早すぎると「まだ治療すれば後遺症は残らなかったのでは?」などと疑念を持たれる可能性もあります。

逆に「漫然と治療を続けている」と判断されれば、入通院慰謝料や休業損害でもめる可能性も出てくるでしょう。

症状固定の意味や時期については、関連記事『症状固定とは?時期や症状固定と言われたらすべき後遺障害認定と示談』の解説も参考にして、医師と十分話し合ってください。

(2)後遺障害診断書の依頼

症状固定の診断を受けたら、医師に「後遺障害診断書」の作成を依頼しましょう。

後遺障害認定の審査において、後遺障害診断書は欠かせない書類のひとつです。後遺障害診断書の内容は、受傷日時・症状固定日・他覚症状および検査結果・障害内容の今後の見通しなどになります。

後遺障害診断書の内容は、後遺障害認定の結果を左右します。

医師に任せきりにするのではなく、後遺障害認定を専門的にあつかう弁護士にも相談しておくことをおすすめします。

後遺障害診断書について詳しくは『後遺障害診断書のもらい方と書き方は?自覚症状の伝え方と記載内容は要確認』が参考になります。

後遺障害診断書の具体的な記入例、医師に診断書を依頼する時のポイントも解説していますので、あわせてご確認ください。

(3)後遺障害の申請

後遺障害診断書を受け取ったら、本格的に後遺障害の申請手続きに入ります。

後遺障害の申請には以下の通り、2つの方法があります。

後遺障害の申請方法

  1. 事前認定
  2. 被害者請求

事前認定とは、相手方の任意保険会社が後遺障害申請を行ってくれる方法です。被害者としては、後遺障害診断書のみを準備すればいいだけなので、手間がかからず簡単です。

もっとも、症状に関する追加の検査書類を添付するなど、適切な等級認定につながる工夫はしてもらえません。

一方、被害者請求は、被害者自身で後遺障害申請を行う方法です。被害者としては、後遺障害診断書のみならず、その他に必要な書類を集めたり手続きそのものを行わねばならないので、手間がかかります。

ただし、事前認定と違って、症状に関する追加の検査書類を添付するなど、適切な等級認定につながる工夫を積極的に行えます。

以上の通り、事前認定と被害者請求にはそれぞれ得手不得手がありますので、症状や被害者自身の状況に応じて適切な選択肢は違うでしょう。

どちらの方法を選ぶか迷ったら、後遺障害認定を専門的にあつかう弁護士に相談するのがおすすめです。

(4)後遺障害認定の結果をもって示談開始

後遺障害認定の結果が通知され、その認定内容に納得できる場合には、相手の任意保険会社との示談交渉を開始します。

気を付けたいことは、相手方の任意保険会社が提示してくる示談案は増額の余地があることが多いことです。そうした低い金額に不満を言っても、相手方の任意保険会社は「これが相場だ」「当社はこの金額です」と増額に難色を示すでしょう。

後遺障害7級ともなれば、相手の任意保険会社が提示する金額も一見高額に見える可能性があります。まず一度交通事故にくわしい弁護士に示談案を見せて助言を受けるようにしましょう。

後遺障害認定の結果に納得できない場合

想定より低い等級認定にとどまってしまったり、非該当と判断されたりしたときには、すぐに示談を始めるのではなく異議申し立ても検討していきましょう。

異議申し立てとは、後遺障害認定の審査を受けなおす仕組みのことです。

ただし、ただ書類を再提出するのでは認定を受けることは難しいため、提出書類の見直しや追加検査を受けることなどが必要になります。

異議申し立てを考えている方は、認定に向けた対策についても把握しておきましょう。

後遺障害7級認定は弁護士に相談

後遺障害7級認定について疑問や不安がある場合は弁護士に相談してみましょう。

後遺障害が認定されたら、相手方の任意保険会社と示談交渉がはじまります。任意保険会社は、自賠責基準や任意保険基準といった算定基準で計算した示談金しか提示してきません。

任意保険会社の提示額を鵜呑みにしてしまうと、被害者が本来得られるはずの金額よりも相当低い金額しか受け取れなくなってしまいます。

任意保険会社から提示を受けたら、弁護士に妥当な金額かどうか確認してみましょう

弁護士があなたに代わって示談交渉することで、被害者が本来得られるはずの金額まで増額する可能性が高まります。

弁護士ありの増額交渉は増額幅・増額可能性が高い

弁護士への相談には費用がかかりそうで不安だと感じている方は、ぜひアトム法律事務所の無料相談をご活用ください

無料なら気軽に弁護士と話ができるでしょう。

後遺障害が残って7級に該当するのではないかという方は、後遺障害申請や認定後の対応などご質問ください。すでに後遺障害7級に認定されたという方は認定後の対応や保険会社との具体的な示談内容、増額の可能性などをご質問いただけます。

無料相談の予約は24時間365日いつでも受付中です。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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