交通事故で後遺障害を申請する|認定までの手続きの流れ、必要書類を解説

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後遺障害 申請 必要書類 認定期間

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

「交通事故で後遺症が残った。後遺障害の申請をしようと言われたけど、どうすればいい?」

この記事では、上記のような疑問をお持ちの方に向けて、後遺障害の申請方法や、後遺障害の申請に必要な書類などを解説しています。

後遺障害は、申請すれば必ず認定されるとは限りません。
後遺障害に認められるには、適切な申請方法を選ぶこと、申請書類を入念に準備することが重要です。

後遺障害の申請が認められれば、後遺障害慰謝料や逸失利益といった新たな慰謝料・損害賠償金を請求できるようになります。
適切な慰謝料・損害賠償金を受け取るためにも、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

後遺障害の申請方法は2種類

後遺障害の申請方法には、「被害者請求」と「事前認定」の2種類があります。
後遺障害の申請をする際は、どちらの方法で申請するか選ぶ必要があります。

まずは、それぞれの申請方法の概要や、メリット・デメリットを確認していきましょう。

なお、交通事故の後遺障害認定については『交通事故の後遺障害認定|認定の確率を上げるポイントと手続きを解説』の記事で網羅的に解説しています。

(1)被害者請求|被害者自身が申請する方法

被害者請求とは、被害者自身で後遺障害の申請をする方法です。

被害者請求を行う際は、後遺障害の申請に必要な書類を被害者側がすべて用意します。
その後、加害者側の自賠責保険会社を介して審査機関に書類を提出し、審査を受けることになります。

被害者請求は被害者自身が申請する方法

被害者請求のメリットは、申請書類の確認・改善を行えるため、適切な後遺障害等級に認定されやすいことです。

後遺障害は、申請をすれば必ず適切な等級に認定されるものではありません。
適切な等級に認定されるには、申請書類に工夫することが欠かせないのです。
その点、被害者自身で申請書類の準備を行える被害者請求は、等級認定の面で有利と言えます。

また、被害者請求のメリットとして、後遺障害慰謝料の一部を示談成立前に受け取れることも挙げられます。

慰謝料・損害賠償金は、基本的には示談成立後にしか受け取れません。
早くお金が必要な人は、被害者請求を選ぶとよいでしょう。

一方、被害者請求のデメリットは、申請書類を準備する手間がかかることです。

ただし、弁護士に依頼すれば、申請書類の収集や確認などを行ってもらえるため、上記のデメリットを解消できます。

被害者請求のポイント

  • メリット
    • 申請書類に工夫を施せるため、適切な後遺障害等級に認定されやすい
    • 後遺障害慰謝料の一部を本来の受け取り時期より早く受け取れる
  • デメリット
    • 申請書類を準備する手間がかかる
      (※弁護士に依頼すれば、被害者自身の手間は大幅に減らせる)

(2)事前認定|加害者側の任意保険会社が申請する方法

事前認定とは、加害者側の任意保険会社が後遺障害の申請をする方法です。

事前認定では、被害者は後遺障害診断書のみを加害者側の任意保険会社に提出します。
その後、加害者側の任意保険会社が残りの申請書類を準備し、審査機関に提出してくれます。

事前認定は加害者側の任意保険会社が申請する方法

事前認定のメリットは、被害者の手間がかからないことです。

事前認定では、被害者自身が用意しなくてはならない書類は後遺障害診断書のみです。
よって、手軽に後遺障害の申請をしたい場合は、事前認定が候補となるでしょう。

一方、事前認定のデメリットは、申請書類に工夫を行えないため、適切な後遺障害等級に認定されない可能性があることです。

適切な後遺障害等級に認定されなければ、後述する「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」の金額が下がってしまいます。
慰謝料などで損してしまうことを避けたいならば、事前認定よりも被害者請求を選んだ方がよいでしょう。

事前認定のポイント

  • メリット
    • 申請書類を準備する手間がかからない
  • デメリット
    • 申請書類に工夫を施せないため、適切な後遺障害等級に認定されないことがある

【ポイント】被害者にとってメリットが大きいのは被害者請求

ここまで解説してきたとおり、被害者にとってメリットが大きい申請方法は被害者請求です。
その理由として、以下の2点が挙げられます。

  1. 被害者認定の方が適切な後遺障害等級に認定されやすい
  2. 被害者請求のデメリットは弁護士への依頼で解消できる

繰り返しになる内容もありますが、それぞれの理由について、詳しく解説していきます。

(1)被害者認定の方が適切な後遺障害等級に認定されやすい

後遺障害の認定審査は、基本的に提出書類のみを見て行われます。

被害者請求なら、提出するすべての書類に被害者側が関与できます。
書類の質を高めたり追加書類を添付したりすれば、適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まるでしょう。

一方、事前認定では、被害者は後遺障害診断書以外の書類には関与できません。
よって、審査機関に最低限の質・種類の書類しか提出できない可能性が高いのです。

後遺障害等級は、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額に大きく影響します。

たとえば、後遺障害慰謝料を後述する「弁護士基準」で計算する場合、後遺障害等級が1級異なるだけで、最低でも70万円、最高だと500万円以上の金額の差が生じるのです。

適切な後遺障害等級に認定され、適切な慰謝料などを受け取りたいなら、被害者請求を選ぶとよいでしょう。

(2)被害者請求のデメリットは弁護士への依頼で解消できる

被害者請求のデメリットとして、申請書類を準備する手間がかかることが挙げられます。

一方、事前認定では、被害者は後遺障害診断書を用意するだけで手続きを終えられます。
よって、申請する手間の面では、事前認定の方が優れていると思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、被害者請求を行う場合も、弁護士に依頼すれば被害者の手間を大幅に減らすことが可能なのです。

弁護士に依頼すれば、申請書類の収集や、改善すべきポイントの確認、追加書類の検討などを行ってもらえます。
なお、弁護士費用については、この記事内で後ほど紹介する方法で大きく負担を減らせます。

後遺障害の申請をするときは、弁護士に依頼して被害者請求を行うことを最もおすすめします。
関連記事『後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解』も、ぜひあわせてご覧ください。

後遺障害の申請手続きの流れ

後遺障害を申請する流れは、以下のとおりです。

  1. 医師に症状固定と診断される
  2. 医師に後遺障害診断書の作成を依頼する
  3. 保険会社に必要書類を提出する
  4. 損害保険料率算出機構が審査を行う
後遺障害の申請手続きの流れ

ここからは、申請手続きの各段階におけるポイントを解説していきます。

(1)医師に症状固定と診断される

症状固定とは、これ以上治療しても症状が改善しない状態のことです。

症状固定のタイミング

交通事故後、入通院治療を続けてもなかなか症状が改善しない場合、医師から「症状固定」と診断されることがあるでしょう。

症状固定と診断されたら、後遺障害の申請の準備をはじめていきます。

加害者側の任意保険会社から症状固定と言われたら?

症状固定の時期は、医師の意見が尊重されます。

しかし、交通事故によるケガの治療を続けていると、加害者側の任意保険会社から「そろそろ症状固定にしましょう」と打診されることがあります。

このとき、加害者側の任意保険会社にしたがって症状固定としてしまうと、治るはずのケガが治らなかったり、後遺障害が認定されにくくなったりします。

加害者側の任意保険会社から症状固定と言われたら、まずは医師に症状固定の時期を確認しましょう。

まだ治療を続ける必要があるのならば、以下のように対応することをおすすめします。

  • 医師に治療が必要である旨の意見書を書いてもらい、治療費打ち切りの延長を求める
  • 自費で治療を続け、あとから加害者側の任意保険会社に請求する

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(2)医師に後遺障害診断書の作成を依頼する

症状固定と診断されたら、次は医師に後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。

後遺障害診断書とは、後遺障害の内容を示した診断書のことです。

事前認定を行う場合も、被害者認定を行う場合も、後遺障害診断書は被害者自身で準備する必要があります。

なお、後遺障害診断書には決まった書式があります。
後遺障害診断書のもらい方や書き方、認定されやすい記入例については、関連記事『後遺障害診断書の書き方やもらい方、等級認定される記入例』をご参考ください。

後遺障害診断書を作成してもらうときのポイントは?

医学的な観点から見てよい診断書の内容と、後遺障害申請の観点から見てよい後遺障害診断書の内容は違うことがあります。

よって、後遺障害診断書の記載内容は、医師に任せておけばよいわけではありません。

医師は後遺障害の申請に精通しているとは限らないので、審査で重要な項目の記載が不十分だったり、審査で有利になる検査を実施しなかったりすることがあるのです。

後遺障害の申請については、弁護士がくわしい知識を持っています。

医師に後遺障害診断書を作成してもらったら、記載内容を弁護士に確認してもらうことをおすすめします。

(3)保険会社に必要書類を提出する【必要書類の一覧あり】

次に、後遺障害の申請書類をすべて集め、保険会社に提出しましょう。

事前認定の場合は、後遺障害診断書を加害者側の任意保険会社に提出するだけで大丈夫です。

被害者請求の場合は、後遺障害診断書に加えて以下の書類を用意し、加害者側の自賠責保険会社に提出しましょう。

被害者請求に必要な書類

書類作成者
支払請求書被害者本人
請求者本人の印鑑証明書市区町村役場
交通事故証明書自動車安全運転センター
事故発生状況報告書被害者本人など
診断書医師
診療報酬明細書医療機関
休業損害証明書、確定申告書(控)、所得証明書
(※事故の影響で休業した日がある場合)
勤務先など
通院交通費明細書被害者本人
住民票または戸籍抄本
(※被害者が未成年の場合)
市区町村役場
委任状および委任者の印鑑証明書
(※第三者が申請を行う場合)
委任者
その他症状を示す検査結果、書類など医師など
その他損害を立証する書類、領収書など被害者本人など

被害者請求で提出する書類のポイントは?

先述のとおり、被害者請求のメリットは申請書類に工夫を行えることです。

メリットを最大限に活かすためにも、申請書類の精査は必須です。

申請書類をどのように改善するか、追加書類として何を用意するかについては、過去の後遺障害等級の認定例や、後遺障害等級の認定基準をふまえて検討する必要があります。

過去の後遺障害等級の認定例や、後遺障害等級の認定基準については、弁護士が専門的な知識を持っています。

よって、各弁護士事務所の無料相談を利用し、弁護士からアドバイスを受けるとよいでしょう。

▼アトム法律事務所は電話・LINEによる弁護士への無料相談サービスを実施しています。後遺障害の申請について弁護士からアドバイスを受けたい場合は、ぜひご利用ください!

(4)損害保険料率算出機構が審査を行う

交通事故の後遺障害の審査を行うのは、「損害保険料率算出機構」です。

後遺障害の申請書類が保険会社を介して損害保険料率算出機構に送られたら、順次審査が行われます。

審査は基本的に提出書類をもとに行われます。
ただし、外貌醜状(顔などの傷)など一部の後遺症については、面接による審査が実施されることもあるでしょう。

審査が終了すれば、保険会社を介して被害者に結果が通知されます。

なお、被害者請求をしていれば、結果通知とほぼ同時に後遺障害慰謝料の一部が振り込まれるでしょう。

後遺障害の申請についての基礎知識

次に、後遺障害の申請が認定される条件や、後遺障害の申請から認定までにかかる期間など、後遺障害の申請に関する基礎知識を確認していきましょう。

後遺障害の申請が認定される条件

後遺障害の申請が認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 症状が後遺障害等級の認定基準を満たしている
  2. 症状が一貫して続いている
  3. 交通事故と症状のあいだに因果関係がある
  4. 6ヶ月以上の治療期間がある
  5. 症状の存在を証明する他覚的所見がある

それぞれの条件について、詳しく解説していきます。

(1)症状が後遺障害等級の認定基準を満たしている

後遺障害等級は1級から14級まであり、それぞれに認定の条件が定められています。
各等級の認定基準に該当しなければ、後遺障害等級に認定されません。

よって、後遺障害の申請では、自身の後遺症がどの等級に該当しうるのか、その等級の認定基準は何なのかを確認し、条件を満たしていることを審査機関にアピールする必要があります。

後遺障害等級の認定基準については、『後遺障害等級の一覧表|症状別の等級と認定基準』の記事で詳しく解説しています。

(2)症状が一貫して続いている

後遺障害の認定には、治療開始時から症状固定の日まで、後遺障害といえる症状が一貫して残り続けている必要があります。

症状の一貫性が疑われるケースとしては、「むちうちの症状として当初は頭痛や吐き気を訴えていたが、途中からしびれのみ訴えるようになった」といったものが挙げられます。

また、「雨の日だけ痛い」「長時間労働のあとだけ痛い」といったように症状が限定的な場合も、後遺障害として認められない可能性が高いです。

(3)交通事故と症状のあいだに因果関係がある

交通事故による受傷で後遺障害が生じたといえるような因果関係がなければ、後遺障害の認定は難しくなります。

因果関係の検討には、事故の態様や、いつ・どこで・どのように受傷したか、被害者の主張の一貫性、他覚的所見、症状の推移、治療期間の妥当性などが考慮されます。

たとえば、本来は事故直後から表れる症状なのに、事故から3ヶ月後にはじめて症状の存在を主張したような場合は、因果関係がないと判断されやすくなるでしょう。

(4)6ヶ月以上の治療期間がある

後遺障害に認定されるためには、一定期間以上治療を行った実績が必要です。
具体的には、6ヶ月以上の治療期間が目安になります。

ただし、単純に通院開始から通院終了まで6ヶ月以上あればいいというものではありません。
十分な通院日数があること、通院と通院の間隔が空きすぎていないことも重要になります。

なお、指や手足の欠損など、見た目にも明らかで、長期間の治療に意味がないような器質的な後遺障害については、6ヶ月以上の治療期間は必要とされません。

(5)症状の存在を証明する他覚的所見がある

他覚的所見とは、「一般的な医学的知見に基づいた判断を可能とする画像所見や診断結果」のことです。

画像所見のような客観的な証拠があると、後遺障害に認定される可能性が高くなります。
とくに、事故から時間が経たないうちに得た画像所見は、後遺障害の認定において有利に働くでしょう。

なお、症状を証明するのに適した所見は、後遺障害の種類によって異なります。
詳しくは以下の記事でも解説しているので、該当する症状の記事をご覧ください。

参考になる記事

後遺障害の申請から認定までにかかる期間

後遺障害の申請から認定までにかかる期間は、事例によってさまざまです。

7割以上のケースでは、30日以内に認定結果が出ています。
一方で、申請から認定結果が出るまでに3か月程度かかることも珍しくありません。

自賠責損害調査事務所における損害調査所要日数(後遺障害の場合)

とくに、脳の障害など特に審査が難しい症状や、そもそも後遺障害が交通事故によって起こったものか争いがあるような複雑な事案では、審査が長期化することもあります。

場合によっては、後遺障害の審査に数か月から数年かかってしまうこともあるでしょう。

後遺障害の申請から認定までの期間をより具体的に知りたい方は、『後遺障害認定の期間は?遅くなりやすい後遺症や対処法も解説』の記事をお役立てください。

なお、交通事故の損害賠償請求権には時効が設けられています。
審査に長い期間を要している場合は、時効が完成し、加害者側に損害賠償を請求できなくなる恐れがあります。

交通事故の示談の期限について解説した記事『交通事故示談は期限(時効)までに成立を!期限の長さや時効の延長方法を解説』では、時効までの期間や時効の延長方法について紹介しています。ぜひあわせてご一読ください。

後遺障害の申請が認められたら請求できるお金

後遺障害の申請が認められると、加害者側に「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を新たに請求できるようになります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、交通事故によって後遺障害を負った精神的苦痛への補償です。

後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によっておおよその相場が決まっています。
裁判所や弁護士が用いる「弁護士基準」で計算する場合、後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりになります。

後遺障害慰謝料の相場(弁護士基準の場合)

後遺障害等級後遺障害慰謝料
1級・要介護2,800万円
2級・要介護2,370万円
1級2,800万円
2級2,370万円
3級1,990万円
4級1,670万円
5級1,400万円
6級1,180万円
7級1,000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

なお、加害者側の任意保険会社の基準で計算した場合、後遺障害慰謝料の金額は上記の半分~3分の1程度になることも多いです。

もし、上記の相場より低い金額を提示された場合は、弁護士を立てて増額交渉をするとよいでしょう。

後遺障害慰謝料については、『交通事故の後遺症で後遺障害慰謝料を請求!』の記事で詳しく解説しています。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害で労働能力が減ったため失われた将来的な収入の補償です。

逸失利益とは本来の労働能力で得られたはずの収入に対する補償のこと

後遺障害の逸失利益は、「1年あたりの基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」という式を用いて計算します。

逸失利益の詳しい計算方法は、『逸失利益の計算方法|計算機や計算例つきでわかりやすく解説』の記事をご確認ください。

後遺障害慰謝料と逸失利益がわかる自動計算機

後遺障害慰謝料や逸失利益は、交通事故による損害賠償金の中でもとくに高額になりやすい費目です。

よって、適正な金額を受け取れるよう、事前に金額の目安を確認しておくとよいでしょう。
以下の慰謝料計算機では、後遺障害慰謝料や逸失利益の具体的な金額を簡単に計算できます。

なお、交通事故の損害賠償金全般や慰謝料の計算方法については、以下の記事も確認ください。

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後遺障害の申請の結果に不満があるときの対処法

後遺障害の審査結果に不満があるときは、以下の方法を行えば、後遺障害等級について新たな判断を受けられます。

  • 後遺障害の認定結果に対し「異議申立て」を行う
  • 後遺障害を取り扱う「ADR機関に申立て」を行う
  • 後遺障害の認定結果を含め裁判で争う

それぞれの方法について、詳しく解説していきます。

後遺障害の認定結果に対し「異議申立て」を行う

後遺障害申請の結果に納得いかない場合は、異議申立ての手続きをすることで再審査が受けられます。

異議申立ては何度でも行うことができますが、審査を行う損害保険料率算出機構の統計によれば、再審査となる確率はわずか5%程度に過ぎません。

無闇に何度も異議申立てをすればよいというものではないので、結果の読み取り方や用意する書類について、交通事故に詳しい弁護士のアドバイスを受けるとよいでしょう。

異議申立ての関連記事

後遺障害を取り扱う「ADR機関に申立て」を行う

後遺障害の認定結果に不満がある場合は、「自賠責保険・共済紛争処理機構」に紛争処理の申立てを行うことができます。

自賠責保険・共済紛争処理機構は、自賠責保険の保険金に関する紛争解決を対象とするADR機関(第三者機関)です。
自賠責保険・共済紛争処理機構に申立てをすれば、専門知識を持つ紛争処理委員による審査が受けられます。

なお、自賠責保険・共済紛争処理機構による裁定は覆せません。
また、自賠責保険・共済紛争処理機構への申立てでも、後遺障害が変更される確率は10%以下です。

後遺障害の認定結果を含め裁判で争う

比較的時間と手間のかかる手段ですが、損害賠償金をめぐって裁判を行うことも選択肢のひとつです。

裁判所は、損害保険料率算出機構で認定された後遺障害等級を参考にしますが、法的に拘束されることはありません。
より豊富な資料に基づいて後遺障害等級が判断されるので、適正な後遺障害等級が認定されたり、損害賠償金が増額されることも十分あり得るでしょう。

しかし、裁判の手続きは一層の専門的な知識と実務経験、制度の理解が求められます。
もし裁判を起こす場合は、弁護士を代理人に立てることが妥当でしょう。

裁判の関連記事

後遺障害の申請についてのQ&A

ここからは、後遺障害の申請に関するよくある疑問にお答えしていきます。

Q1.後遺障害の申請にデメリットはある?

後遺障害の申請をすることに、とくにデメリットはありません。

強いてデメリットを挙げるとするなら、後遺障害診断書といった申請書類の発行手数料がかかる、申請書類の収集や確認の手間がかかるといったものがあります。

一方で、後遺障害の申請をして後遺障害等級に認定されたら、後遺障害慰謝料や逸失利益などを請求できるといったメリットが得られます。

後遺障害等級の中で最も低い14級に認定された場合でも、後遺障害慰謝料だけで110万円を新たに加害者側に請求できるようになるのです(弁護士基準で計算した場合)。

よって、後遺障害に認定され得る後遺症が残った場合は、後遺障害の申請をすることをおすすめします。

Q2.後遺障害を申請して認定される確率は?

後遺障害の申請が認定される確率は、一般的に5%程度と言われています。

後遺障害の認定率は、決して高いとは言えません。
しかし、後遺障害の申請をしなければ、後遺障害慰謝料や逸失利益が請求できません。後遺障害の認定率が低いからと言って断念せず、申請をすることが大切です。

後遺障害に認定される確率を上げたい場合は、被害者請求で申請すること、申請書類の入念な準備をすることが欠かせません。

申請書類の準備にあたっては、弁護士に相談し、過去の後遺障害の認定例や後遺障害等級の認定基準を踏まえたアドバイスを受けることが重要になるでしょう。

Q3.被害者本人による後遺障害の申請が難しい場合はどうする?

被害者が植物状態といった重度の後遺症を負った場合、被害者本人が後遺障害の申請を行うことは難しいでしょう。
その場合は、成年後見人が対応することになります。

成年後見人とは、判断能力が不十分である人の代わりに、法的な判断を行う人のことです。
成年後見人を立てるときは、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。

なお、後遺障害の申請にあたって弁護士に依頼していれば、成年後見人の手続きも弁護士に任せることも可能です。

後遺障害の申請を弁護士に依頼するメリット

後遺障害の申請をするときは、交通事故に精通した弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、下記のようなメリットを受けられるからです。

  • 後遺障害に認定される可能性が上がる
  • 面倒な申請手続きを任せられる
  • 慰謝料・損害賠償金の増額が見込める

それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。

(1)後遺障害に認定される可能性が上がる

後遺障害の申請を弁護士に依頼するメリットとして、まずは「後遺障害に認定される可能性が上がる」ことがあげられます。

先述のとおり、後遺障害に適切に認定されるには、後遺障害の認定基準や過去の認定例をふまえて、入念な準備を行う必要があります。

交通事故に精通している弁護士ならば、後遺障害の認定基準や過去の認定例を熟知しているため、申請書類の内容の確認・改善や、追加書類の検討を効果的に行えます。

その結果、被害者自身で申請するよりも、適切に後遺障害に認定される可能性が上がるのです。

認定された後遺障害等級は、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額に大きく影響します。
加害者側から適切な慰謝料・損害賠償金を受け取るためにも、後遺障害の申請については弁護士のサポートを受けるとよいでしょう。

(2)面倒な申請手続きを任せられる

適切な後遺障害の認定を受けたいときは、被害者請求を行うことが望ましいです。
しかし、被害者請求は多くの書類を集める必要があるため、非常に手間がかかります。

弁護士に依頼すれば、申請書類を作成・収集を任せることができるため、被害者自身の負担は大幅に軽減されます。

また、交通事故の実務経験が豊富な弁護士であれば、申請書類の作成・収集を効率的に行えるため、被害者自身で申請するよりも準備期間を短縮できるでしょう。

被害者請求で適切な後遺障害の認定を受けたいが、手間がかかるため迷っているような方は、弁護士に依頼することをおすすめします。

(3)慰謝料・損害賠償金の増額が見込める

弁護士に依頼することで、加害者側から受け取れる慰謝料・損害賠償金の大幅な増額も期待できるでしょう。

弁護士に交通事故の解決を依頼すれば、後遺障害の申請だけではなく、加害者側との示談交渉なども行ってもらうことが可能です。

示談交渉において、加害者側の任意保険会社は、弁護士基準の半分~3分の1程度の金額を提示してくることが多いです。

しかし、被害者自身が増額交渉を行っても、加害者側の任意保険会社が認めてくれることはほとんどありません。

一方、弁護士が交渉を行えば、加害者側の任意保険会社は大幅に態度を軟化させます。
弁護士が出てくれば、加害者側の任意保険会社は裁判への発展を懸念するようになるためです。

その結果、慰謝料・損害賠償金の大幅な増額が期待できるのです。

弁護士ありの増額交渉は増額の幅・増額の可能性が高い

弁護士基準で計算した慰謝料などの金額を知りたい方は、下記の計算機をご利用ください。
もし、加害者側から提示された金額が計算結果よりも低い場合は、弁護士に依頼することで増額できる可能性があります。

【ポイント】デメリットの「弁護士費用」は解消可能

弁護士に依頼するデメリットとして、「弁護士費用がかかる」ことがあげられます。

しかし、被害者側の保険に付帯されている弁護士費用特約を使えば、弁護士費用を実質無料にすることが可能です。

弁護士費用特約とは、保険会社に弁護士費用を負担してもらえる特約のことです。
弁護士費用特約を使えば、多くの場合、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを、保険会社に負担してもらえます。

弁護士費用が300万円をこえることは、慰謝料・損害賠償金の合計が数千万円をこえない限り、非常に少ないです。
よって、弁護士費用特約を使えば、弁護士費用が実質無料になると言えるのです。

弁護士費用特約とは保険会社に弁護士費用を負担してもらえる特約のこと

弁護士費用特約については、『交通事故の弁護士費用特約とは?加入の必要性を説く|使い方とメリット&デメリット』の記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

後遺障害の申請でお悩みなら弁護士への無料相談がおすすめ

後遺障害の申請でお悩みなら、まずは各法律事務所が実施している無料相談を利用し、弁護士のアドバイスを受けてみるとよいでしょう。

後遺障害に認定されたら請求できる後遺障害慰謝料と逸失利益は、損害賠償金の中でもとくに高額になりやすい費目です。
納得のできる損害賠償金を受け取るためにも、万全の対策をしたうえで後遺障害の申請をすることをおすすめします。

アトム法律事務所は、電話・LINEによる弁護士への無料相談サービスを実施しています。

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