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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
「交通事故から時間がたったのにまだ首が痛い」
「腰痛が残った」
「手足の先が痺れている」
交通事故でケガを負って、治療を受けても後遺障害が残ったとき、「後遺障害の申請」をすると相手方から受け取れる示談金が大きく増える可能性があります。
この記事では、後遺障害申請後の認定期間や流れ、申請に必要な書類に関してトータル的に解説している記事です。
後遺障害の申請をしようと考えている方、後遺障害に関する慰謝料(損害賠償金)の金額が気になる方はぜひ最後までお読みください。
目次
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後遺障害の等級を認定してもらうには、申請手続きが必要です。
後遺障害の申請手続きには「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があり、それぞれ申請する人が違います。
事前認定は、相手方の任意保険会社が申請の主体です。
被害者請求では、被害者自身が申請のほとんどを行います。
申請する人 | |
---|---|
事前認定 | 相手方の任意保険会社 |
被害者請求 | 被害者自身 |
つまりは、資料を集めたり申請書類を作ったりという申請の主体を、相手方の任意保険会社に任せるか、被害者自身でやってしまうかという違いです。
それぞれの具体的な流れについては「後遺障害の申請はどんな流れで行う?」をご覧ください。
事前認定と被害者請求のどちらがお得であるかは、後遺障害申請において何を重視するかで分かれます。
手続きの簡便さを重視するのであれば事前認定、最終的な手取りの増額を目指すのであれば被害者請求が有利な傾向があります。
もっとも、後遺障害はその後の人生に5年、10年、あるいはずっと影響を及ぼしうるものです。
一時の手続きの簡便さではなく、最終的な支払いの手厚さを重視した被害者請求の方がより満足いく結果につながりやすいといえるでしょう。
おすすめの方法は被害者請求の方であるとはいえ、事前認定と被害者請求にはそれぞれメリットとデメリットがあります。これらの良い点も悪い点も踏まえて、どちらの方法が自分にとって最適であるか見極めていきましょう。
事前認定で申請を行う場合、被害者のすることは後遺障害診断書を相手方の任意保険会社に提出することのみです。
提出後の手続きや資料の収集は、相手方の任意保険会社が行うので、非常に楽に申請できるメリットがあります。
一方でデメリットは、適正な後遺障害等級の認定がなされない可能性があることです。
なぜなら、相手方の任意保険会社がどんな資料で申請するかを把握できないからです。
後遺障害等級を得るために求められる書類が欠けていたり、それが原因で等級認定されない、という可能性もゼロではありません。
例えば、後遺障害14級と12級では後遺障害慰謝料の金額に180万円の差があります。本来は12級に認定されるような症状が残っていたのに、その症状を証明できる書類が不十分であったために14級しか認定されない、という可能性は十分あり得ます。
適正な後遺障害等級が認定されない可能性があるというのは大きなデメリットです。
なお指の欠損など、客観的に後遺障害が何級になるか明らかな場合は、被害者にとって楽な選択肢である事前認定が適しているといえるでしょう。
また事前認定の場合は、相手方の任意保険会社との示談がまとまるまで保険金を受け取ることが出来ない点に注意してください。
被害者請求で申請をする場合、被害者は後遺障害診断書以外にも交通事故証明書やレントゲン画像など様々な資料を収集して、等級認定を行ってくれる組織に送る必要があります。
事故後の体調や時間的余裕によっては、申請自体が被害者の大きな負担になるというデメリットといえるでしょう。
反対にメリットとして、自身に有利な資料を集めることが出来ること・十分な検査や実態があれば、事前認定よりも高い等級に認定される可能性があることが挙げられます。
また、弁護士に後遺障害申請などを依頼すると、資料収集準備などの手続きを弁護士に一任してしまえるので、手間がかかるという被害者請求のデメリットを防ぐことも可能です。
後遺障害は治療を行っても治らなかった症状なので、十分な治療が行われた後に申請を行ってください。
その時期は、症状固定といわれます。
症状固定とは、これ以上の治療効果がなく、症状が良くも悪くもならないというタイミングで、後遺障害認定では非常に重要です。
後遺障害認定には原則「6ヶ月」以上の治療期間が必要とされています。
「治療を十分しても改善しない」というためには、相応の治療期間が必要になるというわけです。
症状固定の後に後遺障害の申請を行い、等級が確定した後に示談交渉を開始します。
症状固定の時期は、主に治療を行っている医師が決めるものです。
重要なのは医師の指示に従いつつも、被害者自身の自覚症状をはっきりと伝えていくことです。
例えば、本当は痛いのに遠慮して「もうあまり痛くなくなりました」と言ったとします。
すると後遺障害診断書に「痛みの残存無し」と書かれてしまい、後から手足の痛みを後遺障害として認めてもらうことは困難になるでしょう。
自覚している症状についてしっかりと共有しつつ、医師と相談をしながら治療を終了する症状固定時期の相談をしていく必要があります。
ここで注意しなければならないのは、保険会社の担当者から症状固定の催促をしてくる場合があることです。
症状固定となった場合、それ以降の治療費や通院に関する慰謝料を支払わなくてもよくなるため、症状固定を急ぎたがる保険会社もあります。
しかし、早期の症状固定を安易に受け入れてしまうと、最終的に被害者が受け取る損害賠償金は少なくなります。
何よりまだ治療が必要な時期に治療費を打ち切られてしまっては、治る症状も治らなくなる可能性があります。
「症状固定になりましたか?」「もう痛くないのでは?」「治療は終わりにして示談にしませんか?」などの質問には安易に答えず、主治医と相談のうえで治療を行っていくようにしましょう。
医師に治療経過の詳細や今後の治療方針についての意見書等を作成してもらい、保険会社に提出することで、治療費の打ち切りを1~2ヶ月程度延ばしてもらえる場合もあります。
治療費打ち切りの関連記事
後遺障害の申請をしたならばすぐに等級が認定されるということはありません。後遺障害の審査にはおよそ1ヶ月から4ヶ月かかるといわれています。
もっとも、脳の障害など特に審査が難しい事項や、そもそも後遺障害が交通事故によって起こったものなのか争いがあるような複雑な事案は長期化するでしょう。内容次第では、審査に6ヶ月以上かかってしまうこともあります。
より具体的に認定期間を知りたい方は、以下の記事をお役立てください。
後遺障害申請の期間についての関連記事
なお、一般的に交通事故の損害賠償金請求権には時効があります。
傷害、あるいは後遺障害に基づく損害の請求権を行使できるのは、事故発生日・症状固定日から5年間です。
示談成立までにそこまで時間がかかるのはまれですが、後遺障害申請中も時効は進行するという点には注意しておきましょう。
事前認定でも被害者請求でも、後遺障害の申請をする際にはまず後遺障害診断書が必要になります。
後遺障害診断書とは、後遺障害の内容を示した診断書の一つで、後遺障害等級の認定において最重要視される書類です。
しかし、実のところ、すべての医師が後遺障害診断書の書き方に精通しているとは限りません。
「治せなかった症状」の記録は医師の業務のなかでも特殊なものです。
また、後遺障害等級の認定には独特の基準があるため、医師に任せておくだけで完璧な書類が仕上がるというものではありません。
必要な事項が後遺障害診断書に書かれていなかったり、不適切な記述によって後遺障害等級が認められない、という可能性もあります。
また、後遺障害の種類ごとに求められる検査結果や数値の測定、必要な記載事項などは異なるため、医師や被害者本人がすべてを把握することは困難です。
診断書の作成に不安があるのであれば、交通事故に精通した弁護士にアドバイスを受けるようにしましょう。
後遺障害診断書の書き方について詳しくは、こちらの関連記事『後遺障害診断書の書き方は?等級認定される記入例と医師に作成を頼む時期』でも解説しています。
相手方の任意保険会社に任せる「事前認定」で申請する場合、被害者がとる手続きは以下の通りです。
被害者は後遺障害診断書を提出するのみで、他の資料は相手方の任意保険会社が揃えてくれます。任意保険会社は、被害者が提出した後遺障害診断書に、その他の書類を添えて、自賠責保険会社に提出する流れです。
その後、損害保険料率算出機構が書類を踏まえて調査します。そして、後遺障害等級が決定され、相手方の任意保険会社を通じて等級の通知、保険金の支払いが行われるのです。
ただし、自賠責保険会社に提出された資料に過不足がないかは、被害者は把握できません。そのため、事前認定では適切な等級認定がされない可能性が懸念されます。
例えば、任意保険会社が後遺障害等級認定への反対意見を添付して送付することも無いとはいいきれません。
相手方の任意保険会社を通さず、被害者自らで後遺障害申請の手続きを行う場合は以下の通りです。
被害者から直接提出された書類を元に、自賠責保険会社が審査・等級の認定を行い、その結果が被害者に直接通知されます。
被害者請求では、被害者が自賠責保険会社と直接やりとりするため、提出する書類や資料の情報に全て自分で目を通すことが可能です。
被害者請求は、手続きの透明性が高く、後遺障害等級の認定結果も納得のいくものになりやすいといえるでしょう。
また、任意保険会社を挟まないため、示談をする前に後遺障害慰謝料を含む保険金を一括払いされることも大きなメリットです。後遺障害等級認定されれば受けとることができるので、事前認定よりも早く保険金を獲得できます。
ここからは、より満足度の高い後遺障害申請の結果を得るために、被害者請求で一般的に必要な書類を示します。
被害者請求に必要な書類
交通事故後にこれらの書類をすべて集めることは難しく、また記入漏れなどにも細心の注意を払う必要があります。
煩雑な手続きや書類の収集作業は、弁護士に一任してしまうのも手段の一つです。
後遺障害申請後の流れは次の通りです。
認定の流れ
自賠責損害調査事務所は提出書類に基づき、事故発生の状況や支払いの的確性や損害額を調査します。
通常の調査は書面で行われますが、外貌醜状(顔などの傷)が後遺障害として申請された場合は、対面調査の可能性があると覚えておいてください。
調査内容は自賠責保険会社に通知され、妥当と思われる等級が認定されます。
後遺障害等級が認定されたら、被害者の損害を算定できるタイミングです。
示談交渉の多くは、相手方から示談案の提示を受けてスタートします。相手方から示談案を受け取ったら、その内容を弁護士に精査してもらいましょう。
後遺障害が認められると、相手方から支払われる金銭が増えます。
具体的には「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」という2つの金銭が別途受けとれるのです。
後遺障害認定されると、通常の慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」が受け取れます。
交通事故の慰謝料とは
交通事故により怪我を負ってしまったその精神的苦痛を和らげるために支払われる金銭
後遺障害が残った場合には「治療をしても治らず、この先も後遺障害が残る」という精神的苦痛も負うことになるため、慰謝料が別途に支払われるのです。
後遺障害慰謝料の金額は、「後遺障害等級」によっておおよその相場が決まっています。等級が高いほど後遺障害が重く、受け取れる慰謝料は高額です。
後遺障害慰謝料について、自賠責保険に請求できる金額と、弁護士が相手方に請求する時の金額で比較してみましょう。
なお、相手方の任意保険会社が慰謝料を算定する基準は公開されていません。
現状は自賠責保険に請求できる金額と大差ないと考えておいてください。
ポイント
自賠責保険はすべての自動車に加入が義務づけられています。一方、任意保険は、被害者への補償範囲を十分に広げるために任意で加入する保険です。
等級 | 自賠責 | 弁護士 |
---|---|---|
1級・要介護 | 1,650 (1,600) | 2,800 |
2級・要介護 | 1,203 (1,163) | 2,370 |
1級 | 1,150 (1,100) | 2,800 |
2級 | 998 (958) | 2,370 |
3級 | 861 (829) | 1,990 |
4級 | 737 (712) | 1,670 |
5級 | 618 (599) | 1,400 |
6級 | 512 (498) | 1,180 |
7級 | 419 (409) | 1,000 |
8級 | 331 (324) | 830 |
9級 | 249 (245) | 690 |
10級 | 190 (187) | 550 |
11級 | 136 (135) | 420 |
12級 | 94 (93) | 290 |
13級 | 57 (57) | 180 |
14級 | 32 (32) | 110 |
※()内は令和2年3月31日以前の事故の場合の後遺障害慰謝料
※金額の単位は「万円」
自賠責基準と弁護士基準の金額を比較すると、弁護士基準は2~3倍程度の後遺障害慰謝料を請求できます。
示談金アップのカギは、弁護士基準の金額で請求することです。
弁護士基準での請求は、個人で言っても「裁判になったときの金額なので、手間が違う」と断られてしまいがちです。
ですが実際は、弁護士に依頼して請求させることで、弁護士基準の8~9割の金額を受け取れることが多くなっています。
例えば、首の痛みで14級9号に認定された場合を考えてみましょう。
自賠責基準では32万円、弁護士に依頼した場合は110万円を後遺障害慰謝料として受け取れる可能性があります。
また、後遺障害慰謝料のほかにも、首の痛みをとるために病院にかかっていたことへの慰謝料(入通院慰謝料)も請求可能です。
逸失利益とは、後遺障害によって得られなくなってしまった、将来得られたはずの収入への補償です。
後遺障害が残ってしまったとき、長時間の立ち仕事ができなくなったりするなど、職務内容の制限を受ける可能性があります。
その結果、給与が減ってしまったり、昇進の機会がなくなることも起こります。
よって、後遺障害等級に応じて「労働能力の〇%が●年間失われた」と推定して、そのぶんの収入が保障されます。
実際にいくらの後遺障害慰謝料が支払われるのかは、逸失利益の計算方法で確認してみましょう。
逸失利益は、以下の計算方法で行います。
後遺障害の逸失利益=
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数
逸失利益の計算方法に出てくる項目について、ひとつずつみていきましょう。
逸失利益の「基礎収入額」
基礎収入額とは、後遺障害が認められた人の1年あたりの年収です。
専業主婦や個人事業主など労働による収入の把握が難しい場合は、政府の統計データである平均賃金から算定することもあります。
逸失利益の「労働能力喪失率」
労働能力喪失率は、後遺障害により労働能力が何%失われたか、つまり収入の何%が失われる予定かを示したものです。
原則として、労働能力喪失率は後遺障害等級に応じて決められます。
等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
1 | 100% |
2 | 100% |
3 | 100% |
4 | 92% |
5 | 79% |
6 | 67% |
7 | 56% |
8 | 45% |
9 | 35% |
10 | 27% |
11 | 20% |
12 | 14% |
13 | 9% |
14 | 5% |
首の痛みの例ですと、12級だと14%、14級だと5%が認定されるのが一般的です。なお、職業の種類や労働状況の実態、後遺障害の種類により労働能力喪失率は変動します。
逸失利益の「労働能力喪失期間」
労働能力喪失期間は、労働能力の喪失が何年間認められるかで決定されます。
後遺障害は残り続ける症状ですから、定年までの期間に応じたライプニッツ係数で計算するのが通常です。
しかし、首の痛みなど比較的症状が軽い場合や、症状がやがて軽くなっていくと認められるような場合は注意してください。
労働能力喪失期間は、症状固定から5年間または10年間として計算される可能性があります。
逸失利益の具体的な計算方法や概算を知りたい場合は、弁護士への見積もり依頼をおすすめします。
逸失利益の関連記事
実際に「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」がいくらになるのかを確認していきましょう。
なお、後遺障害慰謝料と逸失利益は、通常のケガの示談金とは別に「後遺障害」が残ったことに対して支払われるものです。
よって実際の示談金としては、後遺障害慰謝料や逸失利益に加えて、治療費や入通院慰謝料、休業損害なども加えて請求することができます。
後遺症、より正確に「後遺障害」とは、怪我の治療を十分に終えたあとも身体や精神に残ってしまう症状のことです。
交通事故の怪我で残る主な後遺障害には、むちうち(頚椎捻挫)による首の痛みや、手足のしびれなどがあります。
もちろんそれだけではなく、手足の切断や脳機能障害など介護が必要となる重いものや、臓器の障害や見える部分に残った傷痕なども、後遺障害に認定される可能性があります。
後遺障害は、その種類、部位、程度、介護の要不要などによって、およそ14段階の後遺障害等級に区分されます。
最も重い等級は第1級で、介護が必要な状態です。例えば、両目の失明、重度の四肢麻痺などが該当します。
一方で、第14級は手の痺れや痛みなどが該当し、14段階の中では最も軽度な後遺障害等級です。
すべての後遺障害等級は「14級1号」「14級2号」などの「号」でより細かく分類されます。
なお、症状が残っていても必ず後遺障害等級に認定されるとは限りません。
症状が等級の条件を満たさなかったり、医学的な所見が無かったりすると認定は難しくなります。
14級に該当する症状があるからといって、簡単に後遺障害と認められるわけではありません。
さらに詳しく知るなら
交通事故でむちうちになってしまい、治療が終わった後も首の痛みが続くケースを検討してみましょう。
首の痛みに関する後遺障害の等級としては、主に12級13号、14級9号に該当する可能性があります。
局部とは体の一部、神経症状とは痛みや痺れといった神経に由来する症状のことです。
つまり、首に痛みが残っていることや、手足が痺れていること、圧迫感を感じることなどは「局部の神経症状」にあたります。
「頑固な」という言葉は痛みや痺れの程度ではなく、医学的所見の有無から症状を説明・推認できるかが基準となります。
医学的所見とは「事故後のCT画像・MRI画像」や「神経の異常を示す検査の結果」などです。
医学的所見を用いて症状を客観的に証明・説明できるのであれば12級13号、推認が可能な程度であれば14級9号に該当する可能性があります。
医学的所見が欠けていると、本当に痛みが強く残っていても後遺障害等級「非該当」となるのが一般的です。
よって、通院して満足するのではなく、後遺障害認定に必要な検査を行うことを大切にしてください。
しかし被害者の方ご自身でどのような検査が必要なのか、検査結果の数値から何が分かるのかを正確に把握することは困難です。
まずは、弁護士に相談して必要な検査を把握しましょう。
そしてご自身で医師に検査を頼むか、弁護士を通じて依頼するのかを検討してください。
後遺障害12級と14級の関連記事
後遺障害の認定がされるためには、以下の条件を満たすことが大前提となります。
さらに上記に加えて、各症状特有の細かな認定基準があります。
まずは前提となる条件をひとつずつ見ていきましょう。
後遺障害を認定してもらうには、治療開始時から症状固定の日まで、後遺障害といえる症状が一貫して残り続けている必要があります。
治療中に「痛くなくなった」という旨を医師に伝えている場合は、一貫した症状が残っているとは認められないことがあります。
また、雨の日だけ痛い・長時間労働をした後だけ痛いなど症状が限定的な場合も、後遺障害として認められない可能性が高くなってしまいます。
因果関係とは、交通事故の受傷によって後遺障害が生じた、といえる関係のことです。
因果関係の検討には、事故の態様やいつ・どこで・どのように受傷したか、被害者の主張の一貫性、他覚的所見、症状の推移、治療期間の妥当性などが考慮されます。
例えば、本来は事故直後から表れる症状なのに、事故から3ヶ月後に初めて主張した場合には「因果関係がない」と判断されやすくなるでしょう。
また、交通事故で怪我をした場所は足であったのに、手の後遺障害を主張するような場合も因果関係がないと考えられます。
他覚的所見とは、一般的な医学的知見に基づいた判断を可能とする画像所見や診断結果を指します。
画像所見としては、CT・MRI画像が一般的です。
画像所見のような客観的な証拠があると、後遺障害は格段に認定されやすくなります。
最も重視される他覚的所見は、初診時の画像所見といわれています。
できるだけ事故から時間が経たないうちに画像所見を得ることが、後遺障害申請においては効果的です。
後遺障害というためには、一定期間以上治療を行ったという実績が必要です。
具体的には、目安として6ヶ月以上の治療期間が目安になります。
なお、単純に通院開始から通院終了まで6ヶ月以上あればいいというものではありません。十分な通院日数があること、通院と通院の間隔が空きすぎていないことも重要です。
そうでないと「治療を真面目に行っていなかったせいで症状が残ったのでは」という疑いが生じ、本来得られるはずの後遺障害等級も得られなくなることがあります。
なお、指や手足の欠損など見た目に明らかで、長期間の治療に意味がないような器質的な後遺障害については、6ヶ月以上の治療期間は必要とされません。
ここまでの4つの条件は「そもそも後遺障害といえるか」の前提です。
実務上は、各症状ごとに詳細な後遺障害等級の認定条件が設定されています。
手足の痺れ・痛み・関節機能の障害・顔の怪我など、症状によって条件はばらばらです。
どのような症状が後遺障害に該当するのかについては『後遺障害等級の一覧表|認定基準と認定の流れ、具体的な症状がわかる』の記事における一覧表で確認可能できます。
詳細なポイントを知りたい場合は、弁護士にお問い合わせください。
後遺障害の関連記事
痛みや痺れは確かに残っているのに、後遺障害等級が思っていたより低い等級になった、あるいは非該当とされた……。
審査と認定が済むと、自賠責保険会社から後遺障害等級認定票が送られてきます。その結果を見て、不満や疑問を抱くこともあるでしょう。
後遺障害等級の認定結果に納得がいかない場合に、変更を申し立てる方法があります。しかし、結果を覆すことは簡単ではありません。
後遺障害等級認定の再審査請求は「異議申し立て」といいます。
異議申し立てを成功させるには、後遺障害認定審査の結果通知書をよく読んで、認定に至らなかった理由を理解しましょう。
例えば、書類の不備や証拠不足で認定されなかったなら、異議申立書を提出するだけでは不十分です。具体的な申述書・カルテ・専門医の診断書などの医証・新たな記載を加えた後遺障害診断書などを用意することで、再度審査を行ってもらえます。
他には医師への照会、新たな事故状況を示す証拠品の獲得なども手段でしょう。
異議申立ては何度でも行うことができますが、審査を行う損害保険料率算出機構の統計によれば、再審査となる確率はわずか5%程度に過ぎません。
無闇に何度も異議申立てをすればよいというものではないので、結果の読み取り方、用意する書類について専門家のアドバイスを受けて行うのがよいでしょう。
等級認定の結果について不満がある場合は、「自賠責保険・共済紛争処理機構」に紛争処理の申立てを行えます。
自賠責保険・共済紛争処理機構は、自賠責保険の保険金に関する紛争解決を対象とするADR機関(第三者機関)です。
利用する場合は、所定の申請書類を自賠責紛争処理機構に郵送し、書面審査を受けましょう。
この機構の下す調停は自賠責保険に対し拘束力があり強力ですが、一度裁定が出ると覆らないため、異議申立てのように何度も申請できるというものではありません。
ここでも変更率は10%以下であり、その結果に納得がいかず争いたい場合は裁判を起こす必要があります。
民事裁判の関連記事
比較的時間と手間のかかる手段ですが損害賠償金額を争って訴訟を行うことも選択肢のひとつです。
裁判所は、自賠責保険会社で認定された後遺障害等級を参考にしますが、法的に拘束されることはありません。
裁判においては自賠責保険会社の認定手続きよりも、より豊富な資料に基づいて等級を判断します。そのため、より適正な後遺障害等級が認定されたり、示談金が増額されることも十分あり得るでしょう。
しかし、訴訟手続きは一層専門的な知識と実務経験、制度の理解度が求められることから、弁護士を代理人にたてることが妥当です。
勝訴した場合には、相手に弁護士費用の一部を請求できます。
裁判費用の関連記事
後遺障害申請は、慰謝料の金額に多大な影響を及ぼしうる重要工程です。
しかし、相手方の任意保険会社に後遺障害申請を任せるだけでは適正な等級が認定されなかったり、医師が後遺障害の診断書作成を誤る可能性もあります。
被害者自らで確認して修正しようと思っても、交通事故後の状況では難しいこともあるでしょう。
後遺障害は、大したことが無いと思っていても、その後の人生に確実に影響が出てくるものです。
後遺障害が残る可能性がある時点で、まずは弁護士に相談してください。後遺障害の申請手続きを、弁護士に一任することを選択肢にしましょう。
煩雑な作業は専門知識のある弁護士に任せて、ご自身は治療や日常生活を取り戻すことに専念するのがおすすめです。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
英語:TOEIC925点
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