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交通事故で後遺障害を申請する|認定までの手続きの流れ、必要書類を解説

更新日:

後遺障害 申請 必要書類 認定期間

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故で後遺症が残ったとき、「後遺障害の申請」をして後遺障害等級が認定されると、新たに後遺障害慰謝料と逸失利益が請求できるようになります。

後遺障害の申請方法には被害者本人が申請をするものと、加害者側の任意保険会社が申請をするものがあり、どちらかを選ばなければなりません。
また、後遺障害の申請をして、必ず後遺障害等級が認定されるとは限りません。

この記事では、後遺障害の2つの申請方法や、後遺障害の認定を受けるためのポイントを解説しています。
後遺障害の申請は受け取れる損害賠償金の金額を大きく左右するので、しっかりチェックしていきましょう。

目次

後遺障害の申請は誰がする?

後遺障害の申請方法には2つの種類があり、それぞれで申請の主体となる人が異なります。

後遺障害の2種類の申請方法について理解したあと、被害者にとってよりメリットが大きい申請方法はどちらか確認していきましょう。

パターン1. 被害者自身が申請する|被害者請求

後遺障害の申請方法のひとつは、被害者自身で申請を行う「被害者請求」です。

被害者請求では、後遺障害の申請に必要な書類を被害者側がすべて用意します。そして、加害者側の自賠責保険会社を通して審査機関に書類を提出し、審査を行ってもらうのです。

被害者自身が申請する被害者請求

パターン2. 加害者側の任意保険会社が行う|事前認定

加害者側の任意保険会社が後遺障害の申請を行う方法を、「事前認定」と言います。

事前認定では、被害者は後遺障害診断書のみを加害者側の任意保険会社に提出します。後遺障害の申請に必要な残りの書類は、すべて加害者側の任意保険会社が用意してくれるのです。

相手方の任意保険会社が申請する事前認定

被害者にとってメリットが大きいのは、被害者請求

被害者請求と事前認定を比べたとき、被害者にとってメリットが大きいのは被害者請求です。

被害者請求の方が、適切な後遺障害等級に認定される可能性が高い

後遺障害の認定審査は、基本的に提出書類のみを見て行われます。

被害者請求なら提出するすべての書類に被害者が関与できるので、書類の質を高めたり追加書類を添付したりすることで、適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まります。

一方、事前認定では、被害者は後遺障害診断書以外の書類には関与できません。よって、最低限の質・種類の書類しか審査機関に見てもらえない可能性が高いのです。

適切な後遺障害等級に認定されるかどうかは、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額に大きくかかわります。すべての書類に関与できる被害者請求のメリットは大きいと言えるでしょう。

重要ポイント

  • 後遺障害等級に認定されなかったら、後遺障害慰謝料や逸失利益は請求できない
  • 妥当ではない低い等級に認定されたら、後遺障害慰謝料や逸失利益が低額になる

また、被害者請求なら、本来は示談成立後に支払われる後遺障害慰謝料の一部が、示談成立前に支払われます。早くお金が必要な人にとっては、これも大きなメリットです。

申請の手間の点では、事前認定の方がメリットがある

一方、後遺障害を申請する手間の観点から見れば、事前認定の方がメリットが大きいです。
被害者請求は被害者がすべての書類を集めなければなりませんが、事前認定なら被害者は後遺障害診断書を用意するだけでよいからです。

ただし、被害者請求を行う場合も、弁護士に書類集めを任せれば、被害者自身の手間は大幅に省けます。弁護士費用特約を使えば弁護士費用は実質無料になりますし、後遺障害申請からの流れで示談交渉を任せることもできます。
詳しくは、『後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解|必要書類も紹介』の記事をご覧ください。

被害者請求と事前認定の比較

  • 被害者請求
    • メリット
      提出書類の質の向上や、追加書類の添付ができる
      後遺障害慰謝料の一部が早くもらえる
    • デメリット
      申請に手間がかかる
      (ただし、弁護士に手続きを一任すれば大幅に手間を省ける)
  • 事前認定
    • メリット
      申請の手間がかからない
    • デメリット
      提出書類の質の向上や、追加書類の添付が困難
      そのため、適切な後遺障害等級に認定されない可能性がある

後遺障害の申請手続きの流れ

後遺障害の申請の手続きは、以下のような流れで行われます。

後遺障害等級認定の手続きの流れ
  1. 入通院治療を行い、症状固定の診断を受ける
  2. 後遺障害診断書を作成してもらう
  3. 必要書類を集める
    (被害者請求と事前認定で集める書類が異なる)
  4. 損害保険料率算出機構による審査と結果通知

ここからは、後遺障害の申請手続きの各段階における注意点やポイントを解説していきます。

(1)症状固定の診断を受ける

症状固定とは、これ以上治療を行っても症状が良くも悪くもならない状態のことです。
後遺障害の申請は、十分な治療を行い、症状固定の診断を受けてから行いましょう。

症状固定のタイミング

症状固定の時期は、治療を行っている医師の意見が尊重されます。

自覚している症状について医師としっかりと共有し、症状固定の時期を相談してきましょう。

加害者側の任意保険会社による治療費打ち切りに要注意

交通事故の治療費は、基本的に加害者側の任意保険会社が病院に直接支払ってくれます。
しかし、加害者側の任意保険会社から、まだ医師が症状固定の判断をしていないのに、「そろそろ治療費を打ち切るので症状固定にしてください」と言われることがあります。

治療費打ち切りと言われたことにより、安易に症状固定としてしまうと、治るはずの怪我が治らなかったり、後遺障害が認定されにくくなったりします。

以下の対処法をとり、医師が症状固定と判断するまで治療を続けましょう。

  • 医師にまだ治療が必要である旨の意見書を書いてもらい、治療費打ち切りの延長を求める
  • 自費で治療を続け、あとから加害者側の任意保険会社に請求する

治療費が打ち切られるタイミングや対処法については、以下の記事を参考にしてみてください。

(2)後遺障害診断書を作成してもらう|記載内容に要注意

事前認定でも被害者請求でも、被害者は自身で後遺障害診断書を用意しなければなりません。
後遺障害診断書は、後遺障害の内容を示した診断書の一つで、後遺障害の認定結果を左右しうる重要なものです。

後遺障害診断書は医師に作成してもらうものですが、診断書の記載内容は医師に任せておけばよいわけではありません。
実は、医学的観点から見て良い後遺障害診断書の内容と、後遺障害申請の観点から見て良い後遺障害診断書の内容は違うことがあります。

医師は後遺障害の申請に精通しているとは限らないので、審査で重要な項目の記載が不十分だったり、検査で有利になる検査を実施しなかったりすることがあるのです。

後遺障害の申請の実務に精通しているのは弁護士です。
医師に後遺障害診断書を書いてもらったら、記載内容を弁護士にチェックしてもらうことをおすすめします。

後遺障害診断書の書き方について詳しくは、関連記事『後遺障害診断書の書き方やもらい方、自覚症状の伝え方|等級認定される記入例もあり』でも解説しています。

(3-1)被害者請求の場合|必要書類をすべて集めて提出

被害者請求で後遺障害の申請をする場合は、後遺障害診断書に加えて以下の書類を用意・作成し、加害者側の自賠責保険会社に提出しましょう。

被害者請求に必要な書類

  • 保険金(損害賠償額)支払請求書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 医師の診断書
  • 診療報酬明細書
  • 印鑑証明書
  • (勤め先を休んだ場合)休業損害証明書
  • (症状によっては)CT写真など
  • (交通費を請求するなら)通院交通費明細書

被害者請求のメリットを生かすためにも、提出書類の内容や追加書類の種類はよく精査するべきです。

どのように書類をブラッシュアップすればよいのか、どのような書類を追加すればよいのかは、過去の後遺障害等級の認定例や、後遺障害等級の認定基準を踏まえて考える必要があります。
過去の後遺障害等級の認定例や、後遺障害等級の認定基準については、弁護士が詳しく知っているので、ぜひご相談ください。

弁護士に依頼すれば、被害者請求に必要な書類の用意も弁護士が行ってくれます。

(3-2)事前認定の場合|後遺障害診断書を提出

事前認定で後遺障害の申請をする場合は、医師に作成してもらった後遺障害診断書を、加害者側の任意保険会社に提出しましょう。
その他の必要書類はすべて加害者側の任意保険会社が用意し、審査機関に送ってくれます。

(4)損害保険料率算出機構による審査と結果通知

交通事故の後遺障害の審査を行うのは、「損害保険料率算出機構」です。

後遺障害の申請書類が加害者側の自賠責保険会社または任意保険会社から損害保険料率算出機構にわたると、順次審査が行われます。

なお、審査は基本的に提出書類を基に行われますが、外貌醜状(顔などの傷)など一部の後遺症については、面接による審査が行われることがあります。

審査が終了すれば、加害者側の自賠責保険会社または任意保険会社を通して結果が通知されます。
被害者請求をしていれば、結果通知とほぼ同時に後遺障害慰謝料の一部が振り込まれるでしょう。

後遺障害の申請が認定される条件5つ

後遺障害の認定がされるためには、以下の条件を満たすことが必要になります。

  1. 症状が後遺障害等級の認定基準を満たしている
  2. 症状が一貫して続いている
  3. 交通事故と症状のあいだに因果関係がある
  4. 症状の存在を証明する他覚的所見がある
  5. 6ヶ月以上の治療期間がある

それぞれの条件について、詳しく確認していきましょう。

(1)症状が後遺障害等級の認定基準を満たしている

後遺障害等級は1級から14級まであり、それぞれに認定の条件が定められています。
各等級の認定基準に該当しなければ、後遺障害等級に認定されません。

よって、自分の後遺症がどの等級に該当しうるのか、その等級の認定基準は何なのかを確認し、条件を満たしていることを審査機関にアピールする必要があります。

どのような症状が後遺障害に該当するのか、認定基準がどのようなものかは、『後遺障害等級の一覧表|症状別の等級と認定基準』で詳しく解説しています。
詳細なポイントを知りたい場合は、弁護士にお問い合わせください。

(2)症状が一貫して続いている

後遺障害の認定には、治療開始時から症状固定の日まで、後遺障害といえる症状が一貫して残り続けている必要があります。

治療中に「痛くなくなった」という旨を医師に伝えている場合は、一貫した症状が残っているとは認められないことがあるので注意しましょう。

また、雨の日だけ痛い、長時間労働をしたあとだけ痛いなど、症状が限定的な場合も、後遺障害として認められない可能性が高くなってしまいます。

(3)交通事故と症状のあいだに因果関係がある

交通事故による受傷で後遺障害が生じたといえるような因果関係がなければ、後遺障害の認定は難しくなります。

因果関係の検討には、事故の態様や、いつ・どこで・どのように受傷したか、被害者の主張の一貫性、他覚的所見、症状の推移、治療期間の妥当性などが考慮されます。

たとえば、本来は事故直後から表れる症状なのに、事故から3ヶ月後に初めて主張した場合は、因果関係がないと判断されやすくなるでしょう。

また、交通事故で怪我をした場所は足であったのに、手の後遺障害を主張するような場合も、因果関係がないと考えられてしまいます。

(4)症状の存在を証明する他覚的所見がある

他覚的所見とは、一般的な医学的知見に基づいた判断を可能とする画像所見や診断結果を指します。
画像所見の例としては、CT・MRI画像が挙げられます。

画像所見のような客観的な証拠があると、後遺障害は格段に認定されやすくなります。
最も重視される他覚的所見は初診時の画像所見といわれているので、初診は整骨院や接骨院ではなく、詳しく検査をしてもらえる病院へ行きましょう。

事故から時間が経たないうちに画像所見を得ることが、後遺障害申請においては効果的です。

(5)6ヶ月以上の治療期間がある

後遺障害に認定されるためには、一定期間以上治療を行った実績が必要です。
具体的には、6ヶ月以上の治療期間が目安になります。

なお、単純に通院開始から通院終了まで6ヶ月以上あればいいというものではありません。十分な通院日数があること、通院と通院の間隔が空きすぎていないことも重要になります。

十分な通院日数がなかったり、通院の間隔が空きすぎていたりすると、「治療を真面目に行っていなかったせいで症状が残ったのではないか」という疑いが生じ、本来得られるはずの後遺障害等級が得られなくなることがあるのです。

なお、指や手足の欠損など、見た目にも明らかで、長期間の治療に意味がないような器質的な後遺障害については、6ヶ月以上の治療期間は必要とされません。

後遺障害の申請に関する疑問3選

ここからは、後遺障害の申請に関するよくある疑問にお答えしていきます。

Q1.後遺障害の申請から認定までにかかる期間は?

後遺障害は、申請をすればすぐに認定されるというものではありません。
後遺障害の申請から認定までにかかる期間は、事例によって様々です。最も多いのは、30日以内に結果が出るケースですが、申請から3か月程度かかることも珍しくありません。

自賠責損害調査事務所における損害調査所要日数(後遺障害の場合)

とくに、脳の障害など特に審査が難しい症状や、そもそも後遺障害が交通事故によって起こったものか争いがあるような複雑な事案では、審査はより長期化することもあります。場合によっては、後遺障害の審査に数か月から数年がかかってしまうこともあるのです。

後遺障害の申請から認定までの期間をより具体的に知りたい方は、以下の記事をお役立てください。

審査が長期化する場合は、「時効」に要注意

一般的に、交通事故の損害賠償金請求権には時効があります。
治療費や休業損害といった傷害分、後遺障害慰謝料や逸失利益といった後遺障害分の請求時効はそれぞれ以下の通りです。

傷害分事故発生日から5年
後遺障害分症状固定から5年

後遺障害の申請は、時効のカウントが始まってから行うことになるので、後遺障害の審査が長引くと、時効が迫ってくる可能性があります。
審査に時間がかかっている場合は、時効の成立を阻止したり、スムーズに示談交渉を進めたりする必要があるので、早い段階で弁護士にご相談ください。

Q2.後遺障害の申請をして認定される確率は?

後遺障害の申請が認定される確率は、一般的に5%程度と言われています。

後遺障害の認定率は、決して高いとは言えません。
しかし、後遺障害の申請をしなければ、後遺障害慰謝料や逸失利益が請求できません。後遺障害の認定率が低いからと言って断念せず、申請をすることが大切です。

後遺障害に認定される確率を上げたい場合は、先述のとおり、被害者請求を行って提出書類のブラッシュアップを行うことが欠かせません。
提出書類のブラッシュアップにあたっては、弁護士に相談し、過去の後遺障害の認定例や後遺障害等級の認定基準を踏まえたアドバイスを受けることが重要になるでしょう。

Q3.被害者本人による後遺障害の申請が難しい場合は?

被害者が植物状態などの重度の後遺症になった場合、被害者本人が後遺障害の申請やその後の示談交渉を行うことは難しいでしょう。
その場合は、成年後見人が対応をすることになります。

成年後見人とは、判断能力が不十分である人の代わりに、法的な判断を行う人のことです。

成年後見人を立てるときは、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。もし、後遺障害の申請にあたって弁護士に依頼していれば、成年後見人の手続きも弁護士に任せることも可能です。

後遺障害申請の結果に不満がある場合の対処法

審査が終われば、後遺障害申請の結果が通知されます。
申請の結果によっては、不満や疑問を抱くこともあるかもしれません。

後遺障害の認定結果に納得がいかない場合は、異議申立てを行うことができます。異議申立ての方法は3つあるので、それぞれ解説していきます。

後遺障害の認定結果に対し「異議申立て」を行う

後遺障害申請の結果に納得いかない場合は、異議申立ての手続きをすることで再審査が受けられます。

異議申立てを成功させるには、後遺障害認定審査の結果通知書から、その結果に至った理由を分析し、対策を立てることが必要です。
具体的には、以下のような対策が必要でしょう。

  • 具体的な申述書・カルテ・専門医の診断書などの医証・新たな記載を加えた後遺障害診断書などを用意する
  • 後遺症の症状や程度を証明する検査を新たに受ける
  • 医師への照会、新たな事故状況を示す証拠を得る

異議申立ては何度でも行うことができますが、審査を行う損害保険料率算出機構の統計によれば、再審査となる確率はわずか5%程度に過ぎません。

無闇に何度も異議申立てをすればよいというものではないので、結果の読み取り方や用意する書類について、交通事故に詳しい弁護士のアドバイスを受けるとよいでしょう。

後遺障害を取り扱う「ADR機関に申立て」を行う

後遺障害の認定結果に不満がある場合は、「自賠責保険・共済紛争処理機構」に紛争処理の申立てを行うことができまうs。

自賠責保険・共済紛争処理機構は、自賠責保険の保険金に関する紛争解決を対象とするADR機関(第三者機関)です。自賠責保険・共済紛争処理機構に申立てをすれば、専門知識を持つ紛争処理委員による審査が受けられます。

自賠責保険・共済紛争処理機構を利用する場合は、所定の申請書類を郵送し、書面審査を受けましょう。

なお、自賠責保険・共済紛争処理機構による裁定は覆せません。異議申立てのように、何度も申請できるものではないのです。
また、自賠責保険・共済紛争処理機構への申立てでも、後遺障害が変更される確率は10%以下です。

申立ての結果に納得がいかない場合は、裁判を起こす必要があります。

後遺障害の認定結果を含め裁判で争う

比較的時間と手間のかかる手段ですが、損害賠償金をめぐって裁判を行うことも選択肢のひとつです。

裁判所は、損害保険料率算出機構で認定された後遺障害等級を参考にしますが、法的に拘束されることはありません。
より豊富な資料に基づいて後遺障害等級が判断されるので、適正な後遺障害等級が認定されたり、損害賠償金が増額されることも十分あり得るでしょう。

しかし、裁判の手続きは一層の専門的な知識と実務経験、制度の理解が求められます。

もし裁判を起こす場合は、弁護士を代理人に立てることが妥当でしょう。
なお、裁判に勝訴すれば、弁護士費用の一部を加害者側に請求できます。

後遺障害申請が認定されたらもらえるお金

後遺障害が認められると、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」の2つを新たに加害者側に請求できるようになります。

後遺障害慰謝料|後遺障害を負った精神的苦痛の補償

後遺障害が認定されると、事故で怪我を負った慰謝料とは別に、後遺症を負った慰謝料として「後遺障害慰謝料」が受け取れます。

そもそも慰謝料とは、精神的苦痛に対して支払われる補償です。

後遺障害が残った場合には「治療をしても治らず、この先も後遺障害が残る」という精神的苦痛も負うことになるため、慰謝料が別途支払われることになるです。

後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級によっておおよその相場が決まっています。

後遺障害慰謝料の金額一覧

後遺障害慰謝料について、自賠責保険に請求できる金額(被害者に最低限補償される金額)と、弁護士が加害者側に請求する時の金額で比較してみましょう。

なお、示談交渉の際に加害者側の任意保険会社が提示してくる金額は、各社で異なり非公開です。
基本的には自賠責保険に請求できる金額と大差ないと考えてください。

等級 自賠責弁護士
1級・要介護 1,650
(1,600)
2,800
2級・要介護1,203
(1,163)
2,370
1級1,150
(1,100)
2,800
2級998
(958)
2,370
3級861
(829)
1,990
4級737
(712)
1,670
5級618
(599)
1,400
6級512
(498)
1,180
7級419
(409)
1,000
8級331
(324)
830
9級249
(245)
690
10級190
(187)
550
11級136
(135)
420
12級94
(93)
290
13級57
(57)
180
14級32
(32)
110

単位:万円
※()内は令和2年3月31日以前に発生した事故の場合

自賠責基準と弁護士基準の金額を比較すると、弁護士基準では後遺障害慰謝料は2~3倍程度高額になります。
示談交渉の際、加害者側の任意保険会社は自賠責基準と同水準の金額を提示してくるので、被害者側は弁護士基準まで増額するよう、求めなければなりません。

しかし、弁護士基準の金額は、被害者本人が要求しても認められないことが多いです。
一方、弁護士に依頼して交渉すると、裁判を起こさずとも弁護士基準の8~9割の金額を受け取れることが多いです。

弁護士が示談金の増額交渉を行うと増額幅や増額される可能性が高い

弁護士を立てると弁護士費用がかかりますが、弁護士費用特約を使えば弁護士費用は実質無料となります。
また、弁護士費用特約が使えず弁護士費用がかかったとしても、弁護士を立てることで、立てなかった場合より多くの損害賠償金が手元に残ることは多いです。

アトム法律事務所では無料相談を行っているので、後遺障害慰謝料の増額について知りたい方は、まずはお気軽にご連絡ください。

逸失利益|後遺障害の影響による将来的な減収の補償

逸失利益とは、後遺障害によって得られなくなってしまった、将来得られたはずの収入への補償です。

後遺障害が残ってしまったとき、長時間の立ち仕事ができなくなったりするなど、職務内容の制限を受ける可能性があります。
その結果、給与が減ってしまったり、昇進の機会がなくなるといったといった不利益が生じることがあるのです。

逸失利益とは本来の労働能力で得られたはずの収入に対する補償のこと

逸失利益は、「労働能力がどの程度、どのくらいの期間失われたか」を推定し、失われた分の収入が補償されます。
基本的には、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率を基に算出しますが、被害者の職業などを鑑みて、金額が増減されることもあります。

ここからは、逸失利益の計算方法を簡単に確認していきます。

逸失利益の計算方法

後遺障害の逸失利益は、基本的に以下の式を用いて計算します。

後遺障害の逸失利益の計算式

基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数

逸失利益の計算式に出てくる項目について、ひとつずつ確認していきましょう。

基礎収入額

基礎収入額とは、後遺障害が認められた人の1年あたりの年収です。
専業主婦や個人事業主など労働による収入の把握が難しい場合は、政府の統計データである平均賃金から算定することもあります。

労働能力喪失率

労働能力喪失率は、後遺障害により労働能力が何%失われたか、つまり収入の何%が失われる見込みかを示す割合です。

原則として、労働能力喪失率は後遺障害等級に応じて決められます。
ただし、職業の種類や労働状況の実態、後遺障害の種類により労働能力喪失率は変動することがあります。

労働能力喪失期間

労働能力喪失期間は、労働能力が失われる期間のことです。
基本的に、症状固定から67歳までの年数とされることが多いですが、まだ働いていない子供や学生、67歳に近い年齢の方などは、状況に応じた年数が労働能力喪失期間として認められることがあります。

また、ライプニッツ係数とは、労働能力喪失の期間に、逸失利益から生じる預金利息といった中間利息を控除するための数値です。

なお、首の痛みなど比較的症状が軽い場合や、症状がやがて軽くなっていくと認められるような場合は、労働能力喪失期間を症状固定から5年間または10年間とすることがあります。

逸失利益の詳しい計算方法については、下記の関連記事を参考にしてみてください。また、ご自身が逸失利益としてどの程度の金額を受け取れるか知りたい場合は、弁護士に見積もりを依頼することをおすすめします。

計算機で後遺障害申請が認定されたときの損害賠償金を確認しよう

実際に「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」がいくらになるのかを確認していきましょう。
下記の慰謝料計算機を利用すれば、後遺障害慰謝料や逸失利益の具体的な金額を簡単に計算することが可能です。

なお、損害賠償金には、後遺障害慰謝料や逸失利益の他、治療費や入通院慰謝料、休業損害なども含まれます。
交通事故の損害賠償金全般や慰謝料の計算方法については、以下の記事もご覧ください。

後遺障害の申請は弁護士に相談してください

後遺障害の申請は、慰謝料の金額に大きな影響を及ぼす可能性がある重要な工程です。

しかし、書類を通して十分に後遺症の症状や程度をアピールできなかったがために、後遺障害等級が認定されなかったり、本来よりも低い等級に認定されたりするケースもあります。

後遺障害慰謝料と逸失利益は損害賠償金の中でも金額が大きな費目です。納得のできる損害賠償金を受け取るためにも、後悔のないよう、万全の対策をしたうえで後遺障害の申請することが重要です。

後遺障害が残る可能性がある時点で、まずは弁護士に相談してください。交通事故に詳しい弁護士であれば、後遺障害の申請に向けたサポートやアドバイスを行ってくれます。また、後遺障害の申請手続きを一任することも可能です。

アトム法律事務所では、電話、LINE、メールの3つの方法で無料法律相談を実施しています。

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代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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