後遺障害認定の期間は?遅くなりやすい後遺症や対処法も解説

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後遺障害申請|認定期間2ヶ月過ぎた!

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

後遺障害の認定にかかる期間は、約85%のケースで3ヶ月以内となっています。

ただし、後遺症の種類によっては3ヶ月~1年以上の期間がかかることもありますし、後遺障害の申請・審査過程で滞りが生じ、認定が遅くなることもあります。

この記事では、後遺障害認定の期間を紹介したのち、認定が遅くなる場合の理由、対処法を解説していきます。

後遺障害認定が遅い場合は、認定後の各種手続きをスムーズに進める準備をしておく必要があるので、しっかり確認していきましょう。

後遺障害認定までの期間の目安は?

「後遺障害認定の期間は60日以内」が8割以上

後遺障害認定の審査にかかる期間は、約85%のケースで60日以内となっています。

よって、後遺障害認定の申請をしてから2ヶ月以上経っても結果が出ない場合は、審査に時間がかかっていると考えて良いでしょう。

後遺障害認定の審査にかかった期間を示す、以下の統計をご覧ください。

後遺障害事案における損害調査の所要日数(2020年度統計)

期間割合
30日以内72.7%
31日~60日12.9%
61日~90日7.1%
90日超7.4%

参考:損害保険料率算出機構「2021年度 自動車保険の概況」 図16 自賠責損害調査事務所における損害調査所要日数<2020年度>より

ただし、後遺障害認定にかかる平均的な期間は、後遺症の種類によっても変わってきます。

後遺症の性質上、審査に60日以上かかりやすい場合もある点はおさえておきましょう。

後遺障害認定の期間が長くなりやすい症状

高次脳機能障害や外貌醜状(傷跡)といった後遺症が残った場合や、複数の後遺症が残った場合は、後遺障害認定に時間がかかりやすいです。

その理由は次の通りです。

  • 高次脳機能障害
    • 時間の経過とともに症状が軽減していく傾向があり、ある程度の期間、経過観察が必要な場合がある。よって、認定に時間がかかりやすい。
  • 外貌醜状
    • 後遺障害認定の過程で、他の後遺症では通常おこなわれない面接がおこなわれる。その分、認定までに時間がかかりやすい。
  • 後遺症が複数ある
    • 後遺症ひとつひとつについての審査・調査がおこなわれるため、最終的な認定結果が出るまでに時間がかかりやすい。

とくに高次脳機能障害の認定審査は6ヶ月以上かかることも珍しくなく、場合によっては1年以上かかることもあります。

高次脳機能障害の後遺障害認定では、特有の対策が必要です。
示談金が高額になりやすいことから示談交渉も難航しやすいため、認定結果を待っている間に入念に交渉対策を立てておくことも重要です。

高次脳機能障害における後遺障害認定・示談金については『交通事故で高次脳機能障害に|症状や後遺障害等級、慰謝料をすべて解説』で解説しています。合わせてご覧ください。

後遺障害認定が遅くなる理由と対策

理由1|保険会社から審査機関への書類提出が遅れている

後遺障害認定が遅くなる理由として、保険会社から審査機関への書類提出が遅れているということが考えられます。

後遺障害認定では、審査機関に書類を提出する際、相手方任意保険会社または自賠責保険会社を介する必要があります。

しかし、保険会社側の仕事は後遺障害認定の仲介だけではありません。
保険会社の担当者は他にも複数の案件を抱えているため、審査機関への書類提出が後回しになってしまうことがあるのです。

後遺障害認定の流れ

  1. 被害者が書類を相手方任意保険会社または自賠責保険会社に提出する
    ※任意保険会社を介する申請方法を「事前認定」、自賠責保険を介する申請方法を「被害者請求」といいます。
  2. 相手方保険会社から審査機関に書類が渡る
  3. 審査機関にて審査がおこなわれる
  4. 結果が通知される

とくに、相手方任意保険会社を介する「事前認定」では、ほぼすべての書類を任意保険会社側に用意してもらいます。

そのためなおさら、保険会社から審査機関への書類提出が遅れやすいと考えられます。

後遺障害等級認定の流れ:事前認定

※相手方自賠責保険会社を介する「被害者請求」では、必要書類はすべて被害者側で用意する

理由2|審査対策が不十分で審査に時間がかかっている

後遺障害認定が遅い理由として、審査対策が不十分であるために審査に時間がかかっているということも考えられます。

後遺障害認定の審査は、基本的に提出書類のみを見ておこなわれます。

その書類の中に、後遺症の存在・程度、交通事故との関連性に関してあいまいな部分や根拠に乏しい記載があった場合、スムーズに審査が進みにくくなる可能性があるのです。

とくに事前認定で後遺障害申請した場合、被害者側は後遺障害診断書以外の書類に関与できません。
そのため、最低限の種類・内容の書類しか審査機関に提出できず、審査対策が不十分になっている可能性があります。

審査対策が不十分だと再審査が必要になることもある

後遺障害認定の審査対策が不十分だった場合、審査に時間がかかるだけでなく、適切な結果を得られない可能性もあります。

この場合、異議申立てという手続きをとれば再審査を受けることが可能です。

後遺障害認定の結果は後遺障害慰謝料・逸失利益の請求可否や金額を左右します。そのため、結果に納得できない場合は異議申し立てを検討してみるべきです。

しかし、異議申し立てをする場合、後遺障害認定終了までにさらに長い期間・労力がかかってしまう点には注意してください。

理由3|医療照会に対する医師の対応が遅れている

後遺障害認定の審査でおこなわれる医療照会が、認定の遅れにつながっている可能性もあります。

医療照会

後遺症の症状や所見について、審査機関が医師に書面で問い合わせをすること。

高次脳機能障害や脊髄に関する障害などの認定審査では必ずおこなわれる。
提出書類のみでは等級を判断しかねる場合や、異議申し立てによる再審査でもおこなわれることがある。

医療照会で医師からの返答が遅れていると、その間、審査は進みません。
よって、医師からの医療照会の返答待ちにより、後遺障害認定が遅れている可能性もあるのです。

対策|後遺障害認定の短縮には被害者請求がおすすめ

これから後遺障害認定を受ける方で、認定が遅くなることを防ぎたいと思っている場合は、被害者請求での申請がおすすめです。

被害者請求とは

相手方自賠責保険会社を介して後遺障害認定の申請をする方法。
必要書類はすべて被害者が自分で用意する。

被害者請求の流れ

被害者請求なら、以下の点から後遺障害認定の長期化対策ができます。

  • 被害者側ですべての書類を用意するため、保険会社内で提出書類がストップしにくい
  • 被害者側ですべての書類を用意するため、審査対策をしやすい

それぞれについて詳しく解説していきます。

保険会社内で提出書類がストップしにくい

後遺障害認定が遅くなる理由のひとつに、「保険会社から審査機関への書類提出が遅れている」というものがありました。

とくに事前認定では相手方任意保険会社側に多くの書類を用意してもらうため、保険会社内で書類がストップしやすいと考えられます。

この点、被害者請求なら、必要書類を被害者がすべてそろえたうえで相手方自賠責保険会社に提出します。
自賠責保険会社側にかかる手間が少なくなるため、スムーズに審査機関に書類が渡りやすいと考えられるのです。

審査対策がしやすい

被害者請求では、すべての書類を被害者自身で用意するため、提出書類をブラッシュアップしたり、追加書類を添付したりしやすいです。

よって、審査対策を十分にすることができるため、認定審査が早く終わる可能性があります。

納得のいく結果が得られやすく、異議申し立てに時間を取られずに済みやすい点もポイントです。

被害者請求の具体的な方法やポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

ただし、具体的な審査対策は後遺症の種類や程度によっても違ってくるため、一度弁護士にもアドバイスを聞いてみることがおすすめです。

▼専門知識や過去の認定事例をもとに、実情に即した審査対策を考えていきましょう。

後遺障害認定が遅い場合にとるべき対処法4つ

(1)保険会社に連絡して状況を確認する

後遺障害認定が遅い場合、まずは書類を提出した保険会社に、申請手続きが済んでいるかどうか確認してみてください。

審査機関への書類提出が遅れていた場合、連絡を機に早急に対応してもらえる可能性があります。

ただし、すでに書類が審査機関に渡っている場合は、それ以上保険会社に何かしらの対応をしてもらうことはできません。審査の終了を待ちましょう。

保険会社にはいつ確認の連絡を入れる?

保険会社に書類を提出してから2ヶ月以上何ら連絡が来ないような場合は、保険会社の担当者に問い合わせをするのがよいでしょう。

傾向として週明けの月曜日は土日の間にたまった業務で担当者が多忙になっていることも多いです。

より真剣に現状を理解してもらうためには水曜日以降などに連絡をするのが効果的かもしれません。

(2)事前認定を被害者請求に切替える

事前認定で後遺障害認定の申請をしたものの、保険会社内で書類がストップしているという場合は、被害者請求への切り替えも検討してみましょう。

このまま相手方任意保険会社が書類を用意して提出するのを待つよりも、被害者請求に切替えて自分で書類を用意した方が、早く手続きが済む可能性があります。

ただし、被害者請求に切替えても、提出書類に不備があると差戻しによりかえって申請完了までに時間がかかることも考えられます。

また、的確な認定対策ができていないと異議申し立てによる再審査が必要になる可能性もあるので、被害者請求に切替える際は、一度弁護士にご相談ください。

(3)損害賠償請求権の消滅時効の確認・対策

「損害賠償請求権の消滅時効」とは、加害者に対して損害賠償請求をする権利が消滅する時効のことです。
時効が過ぎてしまうと、慰謝料や賠償金をもらえなくなってしまいます。

この時効は、後遺障害認定の結果を待っている時点ですでに進行しています。

損害賠償請求権の消滅時効

  • 傷害分の時効:事故翌日から5年
    • 治療費、休業損害、入通院慰謝料など
  • 後遺障害分の時効:症状固定翌日から5年
    • 後遺障害慰謝料、逸失利益

つまり、後遺障害認定が遅くなればなるほど、示談交渉のために残された時間が短くなってしまうのです。

よって、後遺障害認定が遅い場合は、時効までの残り時間を確認して、適切な準備をしておく必要があります。

消滅時効が迫っている場合の対策

後遺障害認定が遅くなり、損害賠償請求権の消滅時効が迫っている場合は、次のような対策を取りましょう。

  • 時効の成立を延長させる手続きをとる
  • 示談が速やかに成立するよう対策を練る

時効の成立延長については『交通事故示談は期限(時効)までに成立を!期限の長さや時効の延長方法を解説』で解説しています。

示談交渉については、一度弁護士に相談しておくことがおすすめです。
示談交渉にどれくらいの期間がかかりそうか、早期成立のためにどんな対策を取るべきかは、事故状況や加害者側の姿勢によっても変わってくるからです。

▼相手方は低い示談金額を提示してくることが多いです。スムーズに増額させて示談金を受け取るための準備は弁護士にお任せください。

(4)示談金を早く受け取る方法の確認

後遺障害認定が遅くなっている場合、示談金の受け取りが遅くなってしまいます。

示談金は示談成立後に支払われるものですが、示談交渉は基本的に、後遺障害認定が終わらなければ始められないからです。

しかし、次のような方法をとれば、示談成立前でもまとまったお金を早く受け取ることができます。

  • 被害者請求で相手方の自賠責保険会社に、示談金の一部を請求する
  • 内払い金や仮渡金として、相手方の任意保険会社に一定の金額を請求する
  • 自身が加入している保険に保険金請求をする

どの方法をとるのがベストかわからない、各種手続きの方法がわからないという場合は、弁護士にご相談ください。

アトム法律事務所では、電話やLINEによる無料相談をおこなっております。

もっと詳しく

後遺障害認定が遅い場合に弁護士に相談すべき理由

すでに書類が審査機関に渡り、審査が開始されている場合、弁護士であっても審査を早く終わらせるよう働きかけることはできません。
あとどれくらいで審査が終わるのか、問い合わせることもできません。

しかし、弁護士に相談すれば、後遺障害認定が遅くなることで生じる次のような課題に備えることが可能です。

  • 損害賠償請求権の消滅時効が迫ってくる
  • 示談交渉開始の遅れにより、示談金の受け取りが遅くなる

他にも、弁護士を立てることで、示談金の大幅増額が見込める、示談交渉中に生じる精神的・時間的・体力的負担を軽減できるといったメリットがあります。

後遺障害認定に時間がかかった場合、焦りから十分に示談交渉が出来ず、相手方に有利な内容で合意してしまうリスクがあります。

後遺障害認定後のことを踏まえ、結果通知を待つ間に一度弁護士に相談してみることがおすすめです。

アトム法律事務所では、無料電話・LINE相談をおこなっています。無料相談のみのご利用も可能です。

ご依頼まで進んだ場合は、以下の形で弁護士費用の負担を軽減できます。

  • 弁護士費用特約が使える場合
    • ご加入の保険会社に弁護士費用を負担してもらえるため、費用は実質無料となります。
    • 弁護士費用特約を使う場合でも、弁護士は自由に選べます。
  • 弁護士費用特約が使えない場合
    • 初期費用である着手金が、基本的に無料となります。
    • すぐに大きなお金を用意できなくても、安心してご依頼いただけます。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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