自賠責保険とは?請求方法と必要書類の書き方!被害者請求や加害者請求も解説

更新日:

自賠責保険への請求

自賠責保険とは、交通事故の被害者を救済するための保険です。交通事故の被害者は基本的に、損害賠償金の一部を加害者側の自賠責保険会社から受け取ります。

ただし、「被害者請求」により賠償金を受け取る方法と、「加害者請求」により賠償金を受け取る方法があるので、どちらかを選ばなければなりません。

この記事では、被害者請求と加害者請求の違いや請求方法について詳しく解説します。請求時の必要書類についても紹介しているので、ご確認ください。

交通事故の無料法律相談
相談料 0
毎日50件以上のお問合せ!
交通事故の無料法律相談
¥0 毎日
50件以上の
お問合せ

自賠責保険とはどういう保険?

自賠責保険は交通事故被害者に最低限の補償をする保険

自賠責保険とは、交通事故の被害者に対して最低限の補償をするための保険です。

交通事故の損害賠償金は加害者に請求するものですが、実際には加害者側の自賠責保険と任意保険から支払われます。

この際、最低限の金額は自賠責保険から、それを超える部分は任意保険から支払われるのです。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

※自賠責保険は強制加入、任意保険は任意加入。加害者が任意保険未加入の場合、任意保険会社分の金額は加害者本人から支払われる。

加害者側の自賠責保険から支払われる損害賠償金の限度額は、以下のとおりです。

自賠責保険からの支払上限額

損害上限内容
傷害120万円治療費・休業損害・慰謝料など
後遺障害75万円~4,000万円*慰謝料・逸失利益
死亡3,000万円葬儀費用100万円・慰謝料400万円など
限度額は被害者1名あたりの金額になります。
(*)後遺障害の等級・介護の有無により金額は異なります。

自賠責保険への請求方法は「被害者請求」か「加害者請求」

加害者側の自賠責保険に損害賠償金を請求する方法としては、「被害者請求」と「加害者請求」があります。

  • 被害者請求
    加害者側の自賠責保険会社に対して、直接賠償請求する方法
  • 加害者請求
    加害者側の任意保険会社を介して、間接的に自賠責保険分の賠償金を請求する方法

それぞれの違いを解説します。

被害者請求とは?

被害者請求とは、加害者側の自賠責保険会社に直接損害賠償請求する方法です。

被害者請求する場合の損害賠償請求全体の流れ

  1. 被害者請求の手続きをして、自賠責保険分の賠償金を、加害者側の自賠責保険会社に直接請求。(示談成立前でも可能)
  2. 自賠責保険分の金額では足りない分を、示談交渉によって加害者側の任意保険会社に請求。
    加害者が任意保険未加入なら、加害者本人に直接請求。

被害者請求をする場合、被害者は別途加害者側の任意保険会社または加害者本人にも賠償請求をしなければなりません。

この点は手間ですが、被害者請求は示談成立前でもできるので、早く損害賠償金を受け取りたい場合におすすめです。

被害者請求で受け取れる金額は、基本的に以下のように計算されます。

  • 傷害分の費目
    • 治療関係費:基本的に実費
    • 文書料:基本的に実費
    • 休業損害:6,100円/日
    • 傷害慰謝料:「治療期間」もしくは「実治療日数の2倍」のうち少ない方×4,300円
  • 後遺障害分の費目
    • 後遺障害慰謝料:後遺障害等級に応じて32万円~1,650万円
    • 逸失利益:基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
  • 死亡分の費目
    • 死亡慰謝料:400万円~1,350万円
    • 死亡逸失利益:基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

自賠責保険から支払われる慰謝料の金額などは、関連記事『自賠責保険から慰謝料はいくらもらえる?』でさらに詳しく解説しています。

被害者請求の手続き方法や必要書類は、本記事内「自賠責保険への被害者請求の手続き」で解説します。

加害者請求とは?

加害者請求とは、加害者側の任意保険会社を介して間接的に、加害者側の自賠責保険から賠償金を受け取る方法です。

加害者請求する場合の損害賠償請求全体の流れ

  1. 加害者側の任意保険会社と示談交渉する
  2. 加害者側の任意保険会社から、自賠責保険分も含めた損害賠償金全額が支払われる
  3. 加害者側の任意保険会社と加害者側の自賠責保険会社との間で精算がおこなわれる

この場合、交通事故の損害賠償金は基本的に示談成立後まで受け取れません。しかし、加害者側の任意保険会社のみに損害賠償請求すればよく、手間が省ける点はメリットです。

加害者請求の手続きの流れは、本記事内「加害者請求の流れと請求時の注意点」で解説します。

【補足】加害者側の自賠責保険へは「仮渡金」の請求もできる

損害賠償金の請求とは別の話になりますが、加害者側の自賠責保険会社には、「仮渡金」の請求もできます。

仮渡金とは、ケガの状態に応じて支払われる5万~290万円の一時金です。

ただし、これは損害賠償金の中から支払われます。のちに損害賠償請求する際、仮渡金としてすでに受け取った金額は差し引きされますし、もし損害賠償金より仮渡金の方が高ければ、差額は返さなければなりません。

仮渡金は示談成立前に請求でき、手続きから支払いまでの期間も被害者請求より短いです。より早くまとまったお金が必要な場合は、仮渡金の請求もご検討ください。

仮渡金の請求方法については、『内払い金・仮渡金を解説』の記事で詳しく解説しています。

自賠責保険への請求は被害者請求と加害者請求どちらがいい?

以下のような場合は、被害者請求をしたほうが良いでしょう。

  1. 加害者が任意保険未加入の場合
  2. 加害者側の任意保険が任意一括対応をしてくれない場合
  3. ケガが完治せず後遺症が残った場合
  4. 被害者側の過失割合が大きい場合

それぞれについて詳しく解説していきます。

加害者が任意保険未加入のケース

加害者が任意保険未加入の場合、損害賠償金は、次のような流れで支払われます。

  1. 加害者本人から、損害賠償金が全額支払われる
  2. 加害者が、自身の自賠責保険に対して、自賠責保険の支払い分を求償する

上記の場合、被害者は加害者が損害賠償金を全額用意するまで待たなければなりません。損害賠償金が高額であったり、加害者の資力が乏しかったりすると、損害賠償金の支払いまでには長い時間がかかるでしょう。

そのため、加害者が任意保険に入っていない場合は、加害者が損害賠償金を全額用意するまで待つよりも、先に自賠責保険の支払い分だけでも被害者自身で加害者側の自賠責保険会社に請求する方が良いのです。

加害者側の任意保険が任意一括対応をしてくれないケース

任意一括対応とは、加害者側の任意保険会社が「自賠責保険分の損害賠償金」も「任意保険分の損害賠償金」もすべてまとめて支払ってくれることです。ケガの治療費も、加害者側の任意保険会社が直接病院に支払ってくれます。

治療費支払いの流れ(任意一括対応)

しかし、加害者側の任意保険会社が任意一括対応をしてくれない場合、治療費すら一旦被害者側で立て替える必要があります。

こうした場合、加害者側の自賠責保険会社に被害者請求し、示談成立前に一定の賠償金を受け取っておけば、治療費の負担も軽くなるでしょう。

治療費立替えの負担を減らす方法として、健康保険を使うこともできます。健康保険の使い方は通常の受診時とは違うため、『交通事故で健康保険は使える!使えないケースやデメリットも解説』の記事をご覧ください。

ケガが完治せず後遺症が残ったケース

ケガを治療したものの完治せず後遺症が残ってしまった場合には、後遺症の症状が後遺障害に該当する旨の認定を受ける必要があります。

このとき、被害者請求で認定審査の手続きと自賠責保険への賠償請求を合わせておこなうと次のようなメリットが得られます。

  • 審査対策がしやすいため適切な等級に認定される可能性を上げられる
  • 後遺障害認定の結果が出た後、すぐに自賠責保険分の後遺障害慰謝料・逸失利益がもらえる

後遺障害認定の申請方法には、他にも「事前認定」というものがあります。
しかし、事前認定は審査対策がしにくいので適切な等級に認定されるための工夫が難しいです。

また、等級認定の結果が出ても、別途被害者請求の手続きをしない限り後遺障害慰謝料・逸失利益は示談成立後までもらえません。

後遺障害認定の手続きについては『交通事故で後遺障害を申請する|認定までの手続きの流れ、必要書類』にて詳しく解説しています。

被害者側の過失割合が大きいケース

過失割合とは、交通事故が起きた責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるかを割合で示したものです。

被害者側にも過失割合が付くと、過失相殺によりその割合分、損害賠償金が減額されます。

自賠責保険からの支払い分は、被害者側の過失割合が7割以上になって初めて減額される仕組みとなっています。つまり、被害者側の過失割合が比較的大きい場合でも、損害賠償金の減額幅は小さくなるのです。

よって、被害者側の過失割合が大きい場合、加害者側の任意保険に対して請求するよりも、被害者請求を行い自賠責保険から支払いを得た方が損害賠償額が大きくなる可能性があります。

もっと詳しく

交通事故の無料法律相談
相談料 0
毎日50件以上のお問合せ!
交通事故の無料法律相談
¥0 毎日
50件以上の
お問合せ

なお、関連記事『交通事故の被害者請求とは?自賠責へ請求すべき?やり方やメリットもわかる』でも被害者請求の基本事項を解説しています。被害者請求の補償内容や支払いまでの期間、被害者請求すべきケースなど、被害者請求の全体像を知りたい方はあわせてお読みください。

自賠責保険への被害者請求の手続き

被害者請求は、以下の流れで進めます。

  1. 加害者側の自賠責保険会社と任意保険会社に連絡を入れる
  2. 必要書類を用意する
  3. 加害者側の自賠責保険会社に必要書類を送付する

それぞれのフェーズについて詳しく解説します。

(1)加害者側の自賠責保険と任意保険会社に連絡を入れる

まずは、加害者側の自賠責保険会社と任意保険会社に、被害者請求をする旨を伝えます。

加害者側の任意保険会社にも連絡を入れるのは、任意保険会社側は加害者請求のつもりで今後の準備をしている可能性があるからです。

特に「任意一括対応」をしてもらっている場合は、明確に解除を伝えておく必要があるので必ず連絡を入れてください。

よくわからない方へ

加害者側の任意保険会社が治療費を直接病院に支払ってくれている場合、任意一括対応が適用されています。
任意一括対応については『交通事故の任意一括対応とは?』で解説しています。

加害者がどの自賠責保険に加入しているかわからない場合は、以下の方法で確認してみてください。

(2)必要書類を揃える|書類の種類と要点

続いて、被害者請求のための必要書類を用意します。

必要書類は、加害者側の自賠責保険から送られてくる「請求セット」に入っているものと、別途自分で用意するものがあります。

全て揃え、記入が必要なものは記入をしましょう。被害者請求における必要書類の一覧は、本記事内「被害者請求での必要書類を詳しく解説」で紹介しています。

(3)自賠責保険会社に必要書類を送付する

必要書類の準備ができたら、加害者側の自賠責保険会社に送付します。

宛先は請求書類セットに同封のパンフレット裏などに記載されています。あやふやな場合は、事前に加害者の自賠責保険会社に確認しておきましょう。

万一の郵便事故が起こった場合を想定して、できれば追跡可能なレターパックなどを利用するのがおすすめです。もしも入れ忘れた書類があれば、追送しましょう。

不足書類があった場合は、加害者の自賠責保険の担当者から連絡を受けることがありますが、不足書類のすべてを指摘してもらえるとは限りません。

必要書類が不足したままの費目は請求がなかったのもとして、支払いの対象にならないこともあります。加害者の自賠責保険会社からの指摘を当てにするのではなく、書類送付前に自身でしっかり確認してください。

被害者請求の必要書類の書き方は、本記事内でも解説します。

書類が受理された後の流れ

加害者の自賠責保険会社への書類送付がなされると、自賠責保険会社は損害保険料率算出機構に書類を送付します。

損害保険料算出機構内にある自賠責損害調査事務所において自賠責保険の支払いの対象となる事故であるのかどうかや、具体的な損害額が調査され、調査結果に基づいた金額が支払われるのです。

調査の期間については、多くが30日以内となっています。
ただし、死亡事故や後遺症が残る事故など、請求金額が大きくなる事故については、30日以上の期間がかかる可能性が高くなるので注意してください。

被害者請求での必要書類を詳しく解説

被害者請求での必要書類一覧

加害者の自賠責保険会社への被害者請求で必要な書類とその取得方法、作成者は次の通りです。

「*」がついている書類は自賠責保険会社から送られてくる「請求書類セット」に含まれています。

基本的な必要書類

  • 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書*:被害者側で記入
  • 事故発生状況報告書*:被害者側で記入
  • 交通事故証明書:自動車安全運転センターで取得
  • 診療報酬明細書*:病院に作成を依頼
  • 医師の診断書*または死体検案書(死亡診断書):病院に作成を依頼
  • 休業損害の証明
    • 給与所得者なら休業損害証明書*:勤務先に作成を依頼
    • 自営業者なら確定申告の控えなど
  • 印鑑証明書:役所で取得
    • 被害者が未成年の場合は住民票又は戸籍謄本も必要:役所で取得
    • 弁護士に委任している場合は、委任状と委任されている弁護士の印鑑証明書が必要

手続きを近親者や弁護士など他の人が代わりにおこなう場合は、委任状*(委任者が記入)と委任者の印鑑証明書(役所で取得)も必要です。

傷害関係の費目の必要書類

  • 通院交通費明細書*:被害者側で記入
  • 付添看護自認書*または看護料領収書:付添人が記入

後遺障害関係の費目の必要書類

  • 後遺障害診断書*:医師に記入を依頼
  • レントゲン写真やMRI画像など後遺症の残存・程度を証明する医学的所見:医師に作成を依頼

死亡事故の必要書類

  • 戸籍謄本:役所で取得

※死亡までの間に入通院期間があった場合は、傷害関係の費目も請求できるので、傷害関係の費目の請求で必要な書類も提出しましょう。

被害者請求での必要書類の書き方

ここでは、被害者請求における必要書類の書き方を解説します。

なお、必要書類の取得・作成は一任できるケースもあります。難しそうで不安、忙しくて書類準備の時間が取れないという場合は、一度弁護士にご相談ください。

支払請求書

支払請求書にある項目と書き方は、以下のとおりです。

  • 【請求内容】欄(書式上部にあることが多い)
    • 保険金(加害者請求)、損害賠償金(被害者請求)、仮渡金の3つから選択してください。
  • 【請求者】欄
    • 請求者の情報を書き入れてください。
    • 弁護士に依頼している被害者は、弁護士の名前・事務所などの所在地を書き、被害者との関係は「その他」または「受任者」を選んでください。
  • 【加害者情報】欄
    • 被害者請求や仮渡金請求においては、わかる範囲で記載してください。
    • 保険契約者とは請求する自賠責保険の加入者、つまり加害者をいいます。
  • 【被害者情報】欄
    • 住所や氏名が、請求者と同じであれば、「請求者に同じ」と記載しても構いません。
      弁護士に依頼している場合は被害者ご本人の情報を記載する流れです。
    • 職業欄はかならず記載してください。
  • 【支払い先】欄
    • 請求者の希望する保険金の振込先を記載します。
    • 弁護士に委任している場合は、一旦弁護士事務所などが受領するかたちになることが多いので、基本的には弁護士や弁護士法人の振込先を記載してください。

なお、請求者や加害運転者欄などは交通事故証明書の内容と一致することを確かめるようにしてください。

交通事故証明書

交通事故証明書は自動車安全運転センターで取り寄せが可能です。警察署や交番に置いてある交付申請用紙をもらい、必要事項を記入のうえ、交付にかかる料金を振り込みます。

郵送には10日ほどかかりますので、急ぎの場合は、直接自動車安全運転センターに交付の申請をおこないましょう。

なお、交通事故証明書は任意保険会社がすでに取得している場合もあります。任意保険会社に問い合わせれば送ってもらえることもありますが、送付時期がはっきりせず、到着が遅くなることも考えられます。急ぎであればご自身で申請しておくことが無難でしょう。

交通事故証明書の入手方法について詳しく知りたい方は『交通事故証明書のもらい方は?後日取得やコピーの可否も解説』の記事をご覧ください。

印鑑証明書

請求者本人の印鑑証明書が必要になりますので、用意しておきましょう。写しではなく、原本が必要です。

事故発生状況報告書

事故発生状況報告書の書式は自賠責保険会社から送られてくるセットに入っています。

信号の色などは細かく指定しておき、わかる範囲で事故状況図を描いてください。

後日自賠責保険から連絡を受けて、補足説明をする必要が出てくることがあります。弁護士に委任している場合は、きちんと事故状況を弁護士に伝えてください。

休業損害証明書

休業損害証明書は休業損害を請求するためのものです。治療などで仕事を休み、減収が生じた場合は用意しましょう。

休業損害証明書は、勤め先の総務部などの担当部署に記載してもらうことになります。

休業損害証明書の記載内容に関する詳しい解説は、関連記事『休業損害証明書の書き方を解説!誰が書くのか、いつ提出するかもわかる』をお読みください。

休業損害証明書(自賠責保険の様式)

通院交通費明細書

通院交通費明細書は自賠責保険会社から書式が送られてくるので、書式に沿って記入しましょう。

タクシーや有料駐車場を利用した場合は領収書も添付する必要があります。

その他の公共交通機関を使った場合は、基本的に領収書は不要ですが、念のため保管しておくと安心です。

なお、タクシーや新幹線、飛行機、高速道路などの費用については、必要性・相当性が認められなければ請求が認められない可能性があります。

詳しくは『交通事故にあったら【交通費】と慰謝料を請求できる?』で解説しているので、徒歩・自転車・自家用車・電車やバス以外の交通手段を用いた場合は確認してみてください。

診断書・診療報酬明細書

診断書や診療報酬明細書は、治療を受けた病院に作成を依頼してください。

診断書作成には時間がかかることもあるため、余裕を持って依頼しておくことがポイントです。

付添看護自認書または付き添い看護領収証

付添看護自認書は被害者請求または加害者請求で必要になる書類です。

誰がどこの病院に行くときに付き添ったのか、いつからいつまでの期間の間に何日付き添ったのか、入院に付き添ったのか通院に付き添ったのかなどを書きます。付添人が作成してください。

後遺障害診断書

懸命に治療を続けたにもかかわらず後遺症が残った場合には、後遺障害認定を受けることになります。

自賠責保険会社から取り寄せた書式または「自賠責保険の後遺障害診断書」からダウンロードしたものを医師に渡し、作成してもらいましょう。

後遺障害診断書の作成は基本的には医師に任せればよいですが、完成したものを受け取ったら、以下の点を確認してみてください。

  • 自覚症状欄
    • 事故後から一貫して同じ症状が継続的に続いている旨が書かれているか
    • 自覚症状だけではなく、それによる影響(重いものが持てなくなったなど)が書かれているか
  • 今後の見通し欄
    • 症状固定、後遺症残存などと書かれているか
    • 緩解、完治などと書かれている場合は訂正が必要

もし後遺障害診断書の内容に不足点・訂正点があったら、医師にその旨を伝えてください。
記載内容が不十分・不適切な後遺障害診断書では、後遺障害等級の審査で不利になる可能性があります。

後遺障害診断書のポイントについては『後遺障害診断書のもらい方と書き方は?自覚症状の伝え方と記載内容は要確認』で解説しているので、こちらも参考にしてみてください。

MRI・CT・レントゲンなどの検査結果

被害者請求で後遺障害等級の審査を受ける場合は、後遺症の存在や程度を医学的に証明しなければなりません。基本的にはMRI・CT・レントゲンなどの検査結果や神経学的検査の結果、医師の意見書を同封しましょう。

その他、後遺症の種類によっては家族や学校、職場に作成してもらう「日常生活報告書」も添付することがおすすめです。

被害者請求で後遺障害等級の認定を受ける場合については、『後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解』で詳しく解説しているので、合わせて確認してみてください。

後遺障害等級認定に詳しい弁護士のサポートを受ければ、より適切な後遺障害等級を目指せる可能性があります。

死亡診断書または死体検案書

死亡診断書などは、被害者の死亡が確認された病院に保管されています。
病院に直接問い合わせると、遺族のもとに送付してくれるので、急ぐ場合は速達などの返信用封筒を同封しておきましょう。

被害者請求・仮渡金請求・加害者請求いずれにせよ、死亡事故に関する自賠責保険への請求には必要となる書類です。

戸籍(除籍)謄本

死亡事故の場合、その被害者が亡くなったことを確認する戸籍が必要になります。

死亡事故の場合では、被害者が請求できたはずの慰謝料を相続する問題が出てくるからです。

そのため、被害者が死亡したことを確認できる除籍謄本と、相続人の戸籍謄本も必要になります。
相続人にあたる遺族が複数いる場合は、その全員の遺族の戸籍が必要です。

なお、相続人の方が結婚や離婚をしている場合は、その履歴をたどるため除籍謄本も必要になります。

死亡事故ならこちらもチェック

死亡事故の慰謝料相場はいくら?遺族が請求すべき損害賠償金の解説

誰が相続人としてどのような分配で被害者の慰謝料・損害賠償金を受け取るのか、どのような流れで慰謝料請求や分配をするのか解説しています。

交通事故の無料法律相談
相談料 0
毎日50件以上のお問合せ!
交通事故の無料法律相談
¥0 毎日
50件以上の
お問合せ

よくある質問|診断書は自賠責診断書を使わないといけない?

自賠責保険から送られてくる「請求セット」には、自賠責保険の書式の診断書(自賠責診断書)が含まれています。しかし、必ずしも自賠責診断書でなければならないわけではありません。

治療と並行して加害者の任意保険会社が直接病院に治療費を支払っている場合、すでに加害者側の任意保険会社が診断書を取得していることがあります。

加害者の任意保険会社に申請すると「写し」と判を押したものが送られてくるので、それを自賠責保険に提出しても構いません。

診療報酬明細書も同様です。

自賠責保険に被害者請求する場合の注意点

自賠責保険への請求には時効がある

自賠責保険の請求には期限(損害賠償請求権の消滅時効)があります。
傷害・後遺障害・死亡のいずれであっても、時効は3年ですが、それぞれ起算点が違い以下の通りです。

損害消滅時効
傷害事故発生の翌日から3年以内
後遺障害症状固定の翌日から3年以内*
死亡死亡の翌日から3年以内

※医学上一般に承認された治療方法を続けても、良くも悪くもならない状態。医師の判断が尊重されます。

事故の相手方に対する損害賠償請求権の消滅時効は5年ですが、自賠責保険への請求は上記のとおり3年となっています。ずれがあるので注意しましょう。

損害賠償請求権の消滅時効については『交通事故の示談は時効期限に注意!』をご覧ください。

自賠責保険には物損への賠償金を請求できない

自賠責保険の補償範囲は人損部分なので、物損に関する賠償金は請求できません。

車の修理費や代車費用など物損に関する費目を早く回収したい場合は、自身の車両保険を利用しましょう。

自賠責保険だけでなく相手の任意保険会社にも請求

被害者請求で自賠責保険に請求できる金額は示談金の一部もしくはケガの程度に応じた金額なので、残りの示談金は加害者側の任意保険会社に別途請求しなければなりません。

ただし、被害者請求や仮渡金請求でもらえる金額は自賠責保険会社側で計算・決定されるのに対し、加害者側の任意保険会社からもらえる金額は示談交渉によって決まります。

加害者側の任意保険会社は低い金額を提示してくるので、適切な交渉をしなければ十分な金額を得られないのです。

実際に、加害者側の任意保険会社が主張する慰謝料の相場(任意保険基準)と過去の判例に基づいた慰謝料の相場(弁護士基準)の差は2倍~3倍になることも珍しくありません。

慰謝料相場の3基準比較

示談交渉で加害者側の任意保険会社から示談金の提示を受けた場合は、鵜呑みにせずまず弁護士基準の金額を確認してみましょう。

弁護士基準の慰謝料額は、以下の計算機から計算できます。より厳密な金額を知りたい場合は弁護士にご相談ください。

示談交渉の詳しい流れは『交通事故慰謝料の請求方法』で解説しているので、こちらも参考にしてみてください。

加害者請求の手続きと請求時の注意点

加害者請求によって自賠責保険分の賠償金を受け取る場合、被害者が加害者側の自賠責保険に対してすべきことは基本的にありません。

加害者側の任意保険会社と示談交渉をすれば、自賠責分の損害賠償金も含めてすべて加害者側の任意保険会社から支払ってもらえるからです。

一方、加害者が任意保険に入っていない場合は、自賠責保険分の賠償金は以下の流れで受け取ることになります。

  1. 加害者本人から、自賠責保険分の賠償金を受け取る
  2. 加害者が、自身の自賠責保険に対して(1)で支払った分を保険金として請求

(2)の手続きにおいては、加害者が被害者の診断書や診療報酬明細書などを取得し、自身の自賠責保険に提出することになります。

また、そもそも加害者に資力がなければ自賠責保険分の金額さえ、なかなか支払ってもらえないリスクがあります。

個人情報の観点からもスムーズな損害賠償請求の観点からも、加害者が任意保険未加入なら被害者請求を選んだ方が安心です。

自賠責保険への被害者請求は弁護士に任せることもできる!

被害者請求はもちろん、その後の示談交渉もサポート

弁護士に依頼をすると、加害者の自賠責保険への被害者請求や仮渡金請求の手続きを代わりにおこなってもらえます。

本記事で解説してきた通り、加害者の自賠責保険への請求ではさまざまな書類を集めなければなりません。

被害者自身で作成しなければならない書類もありますし、後遺障害関係の書類は特に入念に準備する必要があります。

治療やリハビリ、日常生活や仕事への復帰と並行して準備を進めるのは大変ですが、請求手続きを弁護士に任せれば、負担は大幅に減らせます。

加害者への請求分もしっかり回収できる

加害者の自賠責保険への被害者請求をしたら、足りない分は加害者自身や加害者の任意保険会社との示談交渉で請求していきます。

しかし、加害者自身や加害者の任意保険会社との示談交渉は決して簡単ではありません。

もし被害者自身で交渉をした場合、加害者の任意保険の提示する低い金額しか得られないことも多くあります。

特に、後遺障害が残るような大きな怪我である場合や、死亡事故の場合には、本来請求できるはずの金額と、加害者の任意保険会社が提示する金額に大きな開きが生じることは珍しくありません。

しかし、弁護士は示談交渉経験も損害賠償金に関する法的知識が豊富な専門家です。

示談交渉の段階から弁護士を立てることで十分な金額回収が見込めるようになるので、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

交通事故の被害者向け|無料相談の予約はこちらで受付!

アトム法律事務所では、弁護士費用特約の有無にかかわりなく、交通事故でケガをした方であれば無料で法律相談をご利用いただけます。

相談は電話・LINEから可能であり、相談のみのご利用もできるので、お気軽にご相談ください。相談予約の窓口は年中無休でつながります。

交通事故の無料法律相談
相談料 0
毎日50件以上のお問合せ!
交通事故の無料法律相談
¥0 毎日
50件以上の
お問合せ

弁護士費用の負担を減らす方法を活用しよう

弁護士費用の負担は、弁護士費用特約を使うか相談料・着手金無料の事務所を選ぶことで減らすことができます。

まずは自身の加入する保険に弁護士費用特約が付いていないか確認してみて、ついていなければ相談料・着手金無料の事務所を探してみましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

突然生じる事故や事件に、
地元の弁護士が即座に対応することで
ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。