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交通事故の過失割合でもめる3パターン&対処法を紹介

更新日:

過失割合でもめてます。

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の示談交渉では、過失割合でもめると交渉が難航するというのが定石ですが、その対処法としてはさまざまなものが考えられます。

対処法を知らずにただお互いが過失割合を主張し合うだけでは、いつまでたっても交渉は合意に至りません。
また、そもそも示談交渉は、被害者よりも経験・知識ともに豊富な加害者側の任意保険会社の方が有利なので、合理的かつ効果的な対策をとらなければ、被害者にとって不利な過失割合となるリスクも高まってしまいます。

下記のような方々は、ぜひこの記事をチェックして、適切な過失割合になるよう対策を練ってみてください。

  • 現在、過失割合で相手方ともめている方
  • 過失割合でもめた時の対処法を知りたい方
  • 過失割合でもめた際、弁護士に依頼するかお悩みの方
  • 過失割合がどんなものか知りたい方

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交通事故の過失割合とは何?なぜもめる?

交通事故の過失割合とは?

過失割合とは

交通事故の損害について、当事者それぞれがどのくらい責任を持つかを表した割合

交通事故には通常被害者、加害者がいます。

車で信号待ちしていたところ後ろから追突された、横断歩道を渡っていたところ信号無視の車にぶつかられたなど、被害者側に一切非のない交通事故もあります。

そのような場合、過失割合は加害者:被害者=100:0となりますが、常に加害者側が100%悪いとは限りません。

実際には、加害者:被害者で過失割合が9対1、8対2、7対3…と、被害者側にもいくらか責任がある、とされる交通事故も非常に多くなっています。

被害者として損害を受けたのは自分なのに、そのうえ「被害者側にも責任がある」とまで言われるなんて、と過失割合を到底受け入れがたく思うこともあるかもしれません。

ですが、車に乗って走らせている以上どうしても危険性は生じてしまうものであり、歩行者や自転車、バイクであってもそのような危険を作り出してしまうことはあります。

過失はどうしても生じてしまうものなのだ、という考えを持ったうえで示談交渉を進めていきましょう。

交通事故の過失割合は誰が決める?

交通事故の過失割合は、過去の判例をもとに交通事故発生状況修正要素によって決定されます。

つまり「このような事故状況の場合、過失割合は80:20と判断されている」という統計的なデータをもとに、過失割合が導かれているのです。

統計的なデータに基づいた事故発生状況別の過失割合は、裁判所や弁護士会が「別冊判例タイムズ」「損害賠償額算定基準(通称・赤い本)」で発表しています。

各保険会社や弁護士事務所には該当の書籍があり、皆それを見て過失割合を判断しています。

では、過失割合を決定づける事故発生状況と修正要素について、もう少し詳しく見ていきましょう。

過失割合を決定づける交通事故発生状況とは?

過失割合における交通事故発生状況とは、よくある交通事故の発生状況を類型的に示したものです。

過失割合ー横断歩道外で直進車と衝突した場合

例えば上のイラストのように「歩行者と自動車Aの交通事故」のうち、「横断歩道外での事故」であり、「交差点がない」場合の過失割合は80:20とされています。

「別冊判例タイムズ」や「損害賠償額算定基準(通称・赤い本)」には、他にも細かに分類された事故類型とその過失割合が多く載っています。

ただし、上記の書籍に載っているのは基本的な事故類型に関するもののみです。
特殊な事故類型で上記の書籍に載っていない場合は、類似した分類あるいは過去の判例から過失割合を導き出します。

過失割合の修正要素とは?

過失割合の修正要素とは、事故の発生した道路周辺の状況や被害者の属性、より細かな事故発生状況によって、過失割合に加わる微量の修正のことです。

同じような事故類型でも細かく見ればそれぞれ違いがあるので、事故の個別的な事情に応じて過失割合を調整する必要があります。そのために、修正要素があるのです。

例えば上の自動車と歩行者の交通事故では過失割合は80:20ですが、修正要素によって以下のように過失割合が変動することがあります。

  • 事故発生が夜間であれば75:25
  • 事故現場が車通りの激しい幹線道路であれば70:30
  • 被害者が児童であれば85:15
  • 自動車がスマホで通話中であれば90:10
  • 自動車が飲酒運転中であれば100:0

どのような事実がどの程度の修正要素にあたるのかは交通事故状況によって異なってくるため、具体的なことが知りたければ弁護士などに相談してみましょう。

過失割合が変わると示談金額が変わる

過失割合の値が変化することで、最終的な示談金の受け取り金額が変わります。
被害者に過失割合が付くと、その割合分、受け取れる示談金額が減らされてしまうからです。

例えば、交通事故にあった被害者に治療費や慰謝料など合計1000万円の損害が生じたとします。

このとき、過失割合が加害者:被害者で90:10だとすれば、1000万円のうち10%にあたる100万円は被害者自身の過失に起因していることになります。

そのぶんについて加害者に請求するのは相当ではありませんから、被害者が受け取れる示談金は900万円となるのです。

示談金の受け取り額の計算方法

交通事故による損害全額×(加害者の過失割合/100)=最終的な示談金額

被害者側にも一定の落ち度がある場合、被害者の過失割合に応じて示談金を減額する仕組みを過失相殺といいます。過失相殺の考え方は損害賠償金を算定する上で重要で、完全なもらい事故で被害者に過失がつかない場合を除き、ほとんどの事故に用いられる考え方です。

それでは、実際に過失割合がもめがちになる交通事故にどのようなものがあるのか見てみましょう。

過失相殺をもっと詳しく

過失相殺とは|慰謝料が減額される!

もめるパターン1.交通事故の様子を示す証拠が無い

過失割合は交通事故状況によって決定されますから、以下のような事故状況がわかる証拠が無いと当然もめることになります。

交通事故状況を示す証拠

  • ドライブレコーダーの記録
  • 事故現場の監視カメラの記録
  • 交通事故の目撃者の証言
  • 事故直後に撮影した写真
  • 事故の実況見分調書
  • 当事者の供述調書
  • 交通事故証明書
  • 車両の損傷状況を示す資料

近年では特にドライブレコーダーの記録は強力で、これ一つで事故発生状況が鮮明にわかり、過失割合も比較的容易に導き出すことが可能です。

一方で映像記録のような決定的証拠がなく、当事者双方の証言が食い違っているような場合は、どちらが正しいとも言い切れないため過失割合がもめやすくなります。

また、駐車場での当て逃げのように事故当時に被害者が現場に居合わせなかった場合や、一方的に加害者が逃走する当て逃げの被害にあった場合にもドライブレコーダーの記録は重要な証拠です。

交通事故の様子を示す証拠が無いときの対処法は?

取得可能な証拠品や目撃者の証言は、出来るかぎり確保しておくことが重要です。
ドライブレコーダーや防犯カメラの映像などがない場合でも、以下の証拠は集めることが可能なので、できる限りそろえてください。

実況見分調書・供述調書

実況見分調書や供述調書は、事故後に警察によって作成されるものです。
特に実況見分調書は、事故後早い段階で警察が事故現場を捜査し、その内容をまとめた刑事記録なので、事故発生状況をめぐる過失割合の話し合いにおいても強力な証拠資料となります。

きちんと警察に事故を届け出ていれば作られるものなので、取り寄せておきましょう。

こうした刑事記録を閲覧したことで思いがけない修正要素が発覚し、過失割合が変更されたこともあります。

実況見分調書警察による実況見分捜査の内容をまとめたもの
事故発生時の状況が、図面とともに記録されている
原則として人身事故の場合のみ作成される
供述調書警察が事故の当事者から聞き取った内容を記録したもの

診断書や車両修理の見積書

診断書や車両修理の見積書も、事故状況を証明する手掛かりとなることがあります。

例えば診断書なら怪我の重大さや負傷した箇所などから、車両修理の見積書なら車両の損傷具合や損傷箇所、こすれ具合や傷跡などから交通事故態様をある程度推測できることもあるのです。

自分だけでなく加害者側にも証拠はないか確認を

自分自身の車にドライブレコーダーがなくても、加害者側の車には搭載されている可能性があります。加害者側はあえてドライブレコーダーの記録を提出しない可能性もあるので、被害者側からも確認をしてみましょう。

もし相手方の車にドライブレコーダーがあるのに映像記録を提出してくれない、という事態になれば、訴訟が効果的な手段となります。

裁判所にドライブレコーダーの提出を命令されているのに出そうとしないという行動により、相手方の主張が疑わしいという心証を裁判官に与えることが出来るためです。

もめるパターン2.損害額が大きい

被害者側の過失割合が10%だった場合、元の損害額が100万円なら10万円の減額となりますが、仮に総損害額が1億円だとすると、減額は1000万円になります。

このように損害額が大きい交通事故では、過失割合によって保険会社の支払いも大きく変わるため、加害者側は被害者側の過失割合が少しでも多くなるよう、多少無理筋でも強硬に主張してくる場合があります。

もっともその場合、被害者側としてもなるべく適正な示談金を受け取るために、根気強く争っていかなければなりません。

また、損害額が大きい場合は、過失割合のみならず慰謝料をはじめとする損害賠償金額そのものについても争いになる可能性が高いです。
具体的にどのような点でもめやすいのか、もめないためには、あるいはもめた場合はどうすれば良いのかについては、以下の関連記事をご覧ください。

関連記事

交通事故の示談交渉で保険会社ともめるポイントは?被害者に必要な解決方法は?

損害額が大きいときの対処法は?

一般的な示談交渉においては、まず相手方から損害額の一覧や過失割合が提示されます。

それを見たら過失割合をどのように導き出したのか、どの事例を参考にしたのかについて、書面で回答してもらうようにしましょう。

書面を貰ったら、過失割合の根拠が正しいかを弁護士に相談して確かめてみてください。

相手方の強硬姿勢に対し、こちらも弁護士を介入させていざとなったら訴訟で争える、という姿勢を見せることで合意に至りやすくなります。

また、弁護士に書面を見せることで相手方の主張の不適切な点がわかり、過失割合が修正できる可能性があります。

もめるパターン3.駐車場内の事故など

駐車場内の交通事故の過失割合は、もめることが多いと言われています。

何故なら、「別冊判例タイムズ」などに記載されている基本事例は主に道路上での事故を想定しており、駐車場での交通事故に用いれるデータが不足しているためです。

駐車場内の事故に限らず「判例タイムズ」「損害賠償額算定基準」の記載にあてはまらないような交通事故記載状況の場合、過失割合をめぐって争いになることがよくあります。

駐車場の事故などのときの対処法は?

既存の交通事故状況にあてはまらない交通事故で過失割合がもめた場合は、まず弁護士に相談してみましょう。

既存の分類にない事故状況のときは類似の状況から過失割合を導き出すことになりますが、どのような状況であれば似通っていると言えるのか、考慮すべき修正要素は何かなど、法律的な知識と判断が必要になってきます。

弁護士に相談することで相手方の主張や類似とされる事故状況が適切かどうか判断でき、また弁護士に依頼すれば自己の過失割合を減らす方向で活動してもらうことができます。

交通事故の過失割合でもめたらどうすればいい?

実際の交渉のなかで過失割合でもめることになったとき、以下のような対処法が考えられます。

  • 相手方の過失割合の根拠を書面で提出してもらう
  • 弁護士に相談・依頼する
  • 片側賠償で妥協する
  • 調停を利用する
  • 訴訟で解決する

それぞれ、順番にどのような対処法であるのか見ていきましょう。

相手方の過失割合の根拠を書面で提出してもらう

様々な対策をとるための前段階として、相手方保険会社に対し、提示してきた過失割合の根拠について書面で説明を求めましょう。

一般に保険会社は支払いが少なくなるよう、被害者に対して厳しい裁定を行うことがあります。

よって、過失割合も被害者にとって不利な裁定が行われている可能性があります。

まずは相手方の主張とその根拠を知ってから、示談交渉に臨むようにしましょう。

弁護士に相談・依頼する

もっともよいのは、過失割合を含む示談交渉を弁護士に依頼してしまうことです。

弁護士であれば過去の事例から適切な過失割合を導き出し、その上で少しでも依頼者に有利になるよう交渉をすることができます。

相手方が見逃しているような修正要素や、そもそも参考にする事故状況が誤っていたことを見抜ければ、過失割合が変わってくる可能性もあります。

なお、過失割合の争いは非常に難しい分野ですので、弁護士のなかでも交通事故に詳しい人に依頼することが重要です。

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片側賠償で妥協する

加害者と被害者でどうしても過失割合の合意が得られない場合、片側賠償とすることも考えられます。

例えば過失割合が被害者:加害者で1:9と提示されるも、被害者側は0:10だと主張しているとしましょう。

このとき双方協議のうえで、過失割合を被害者:加害者=0:9にして合意しやすくすることを片側賠償と呼びます。

被害者側の過失を0にする、つまり被害者側の損害賠償負担を無くすかわりに、加害者側の過失は9割ということで条件をのんでください、という折り合いの付け方の一つです。

片側賠償にはメリットとデメリットがあります。過失割合9:0を事例に解説していますので参考にしてください。

片側賠償した方がいい事例とは?

被害者にとって片側賠償をした方がいいのは、加害者側の損害額が非常に大きい場合です。
通常、過失割合は被害者の方が小さいので、過失相殺をしても被害者の方が加害者よりも受け取れる損害賠償額が多くなります。

しかし、加害者の損害額が非常に大きい場合、たとえ被害者の方が過失割合が小さくても、被害者が受け取れる金額よりも加害者に支払う金額の方が多くなってしまうことがあるのです。

実際の交通事故を想定して考えてみましょう。

過失割合

この場合、基本的な過失割合はA車:B車で20:80となっています。

仮にA車に100万円、B車に50万円の損害が生じたとすると、AとBそれぞれの損害賠償額はいくらになるでしょうか。

元の損害額過失相殺の結果
A車の損害:100万円
(過失割合は20%)
100万円の20%減で80万円
B車の損害:50万円
(過失割合は80%)
50万円の80%減で10万円

この時、AはBから80万円を受け取り、Bに対して10万円を支払うので結果的に70万円を獲得し、BはAから10万円を受け取り、Aに対して80万円を支払うので結果的に70万円を失うことになります。

このように通常であれば、過失の少ないA車の方が手厚い補償を受けられそうです。

ですが、同じ過失割合であっても、B側の車が大変な高級車であったり、大怪我をしたりして損害額が非常に大きくなったとしたらどうでしょう。

仮にA車に100万円、B車に500万円の損害が生じたと仮定すると、損害賠償額は以下のようになります。

元の損害額過失相殺の結果
A車の損害:100万円
(過失割合は20%)
100万円の20%減で80万円
B車の損害:500万円
(過失割合は80%)
500万円の80%減で100万円

Aは自身の損害への損害賠償金として80万円受け取れる一方で、Bに対して100万円の損害賠償をしなければなりません。

結果的には、Aの方が過失は少ないのに20万円の損となってしまいます。

Aは当然100万円の損害賠償を支払うことは避けたいので過失割合0:100を主張し、過失割合でもめる展開になりがちです。

このとき片側賠償によって過失割合を0:80とすると、Aは損害を10割補償してもらうのを諦めるかわり、100万円の負担を免れることができます。

調停を利用する

調停とは

裁判所の調停委員会が仲立ちをし、話し合いで法律的な問題を解決すること

調停は訴訟の前段階として、話し合いによる紛争解決を図る手続きです。

裁判よりも簡易的な手続きであり、費用が低額で済むという点が大きなメリットです。

またあくまでも話し合いであるため、過失割合については相手の言い分を飲むが、その代わり慰謝料を増額してもらう、などの合意をすることもできます。

一方で相手方と主張が乖離しすぎている場合や、証拠を精査したうえでの確定的な事実認定が欲しい場合には不向きかもしれません。

訴訟で解決する

弁護士を介入させた示談交渉・調停などでも解決しなかった場合は、訴訟を起こすことが考えられます。

裁判においては証拠に基づいて事実の有無を確定させ、裁判所が判決を出して紛争を解決します。

そのため、「どのような状況で交通事故が起こったか」という過失割合の認定にあたっては非常に馴染む手段となっています。

もっとも、主張を十分に裏付けしうるだけの証拠を提出することが重要です。

【注意】ADR機関の利用は適さないことも

ADR機関とは

裁判外での紛争解決手続きを行ってくれる機関。法律相談のほか、示談や和解のあっせんを行ってくれる

裁判に至らない紛争解決手段として、ADR機関の示談あっせんや和解あっせんを活用することが考えられますが、実は過失割合でもめている時は適さないこともあります。

なぜなら、過失割合は交通事故状況がどういうものだったか、という「事実認定」の争いであるためです。

ADR機関は事実認定に争いが無いときにその後の法律問題の処理を中心に行っているため、そもそも事実の段階で双方の主張が食い違っているようなときは、効果的な手段でないと言えます。

交通事故の過失割合でもめているときは弁護士に相談する

交通事故の示談交渉のなかで、過失割合は特にもめやすく、またもめると長引きやすい分野です。

ご自身でなんとか適正な過失割合にしようと交渉しているうちに、疲弊してしまわれる方も多くいらっしゃいます。

その前に、まずは弁護士にご相談ください。

皆さまの遭われた交通事故に関して、具体的なアドバイスと過失割合の精査が可能です。

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交通事故の経験豊富な弁護士が順次、過失割合に関する疑問やご不安にお応えいたします。

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代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点