交通事故の過失割合でもめる5ケース&対処法|証拠がない時どうする?
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交通事故の示談交渉では、過失割合でもめることがよくあります。もめる原因は、過失割合が示談金額に影響する、感情面で納得できない等の理由です。
被害者に過失がある場合、その過失割合に応じて損害賠償金は減額されてしまいます。
示談交渉の相手方は保険会社が多いですが、被害者よりも経験・知識ともに豊富です。過失割合でもめた際、納得のいく結果にするには適切な対処法を知っておくことが大切です。
物損事故で証拠がない場合でも、物件事故報告書、周辺の防犯カメラ、車の傷の写真などが手がかりになり、過失割合の主張に生かせる可能性があります。
本記事では、過失割合でもめる5つのケースと対処法を紹介しているので、ぜひ参考にして対策を練ってみてください。
本記事で紹介する過失割合は、書籍「別冊判例タイムズ39」(菊池憲久・堂薗幹一郎・伊東智和編)に記載されている情報をベースにしています。
目次
交通事故の過失割合についてもめる理由
過失割合は、加害者側にとっても被害者側にとっても妥協できない項目の一つです。
過失割合でもめる理由には、以下のようなことがあげられます。
過失割合でもめる理由の例
- 過失相殺により、示談金額(賠償金額)に影響するから
過失割合が認められることで被害者の損害賠償金額が少なくなるため、被害者も加害者もシビアな判断をしやすくなります。 - 感情面で納得できないから
被害者は「損害を受けたのに、なぜ自分にも過失があるのか」と不満を感じやすく、加害者も「相手にも非があるのに、自分ばかり責められるのは納得できない」と思うことがあり、こじれることが多いです。 - 警察は過失割合を決めてくれないから
過失割合は、基本的に当事者間の話し合いで決めます。そのため、少しでも自身に有利な過失割合となるように当事者間で意見が対立し、もめてしまうことがあるのです。
過失割合や過失相殺についてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
関連記事
- 過失割合に応じてなされる過失相殺とはどのようなものかを知りたい
『過失相殺とは?計算方法や交通事故の判例でわかりやすく解説』 - 過失割合を決める手順を知りたい
『交通事故の過失割合とは?パターン別に何%か調べる方法と決め方の手順』
交通事故の過失割合でもめる5つのパターンと対処法
交通事故の過失割合については、特に以下の5つのパターンでもめることが多いです。
本記事内では、各パターンの詳細と対策を解説するので確認していきましょう。
もめるケース1.交通事故の証拠がない
過失割合は、交通事故の状況に応じて算定されます。
よって、示談交渉時には事故状況を示す以下のような証拠が必要です。
事故状況を示す十分な証拠がない場合は、事故当事者の間で事故状況に関する認識・記憶に食い違いがあってもどちらが正しいのかわかりません。
場合によっては加害者側が、自身に有利な過失割合になるよう虚偽の主張をする可能性もあります。
こうしたことから、事故状況を証明する客観的な証拠がない場合は過失割合についてもめやすいのです。
交通事故の証拠がないときの対処法は?
ドライブレコーダー映像や事故直後の写真、目撃証言などの証拠がない場合でも、交通事故を警察に適切に届け出ていれば、事故状況に関する警察の書類が作成されます。
警察への事故報告は、道路交通法上の義務でもありますが、記憶が鮮明なうちに、自分の言い分を伝える機会でもあります。認識している事故状況を正確に伝えることが重要です。
とくにケガをした場合は、人身事故として届け出ることが重要です。人身事故であれば実況見分が行われ、実況見分調書が作成されます。
物損事故の場合は、物件事故報告書が作成されますが、実況見分調書と比べると事故状況の記録は簡易です。
なお、供述調書は、刑事裁判の判決確定後など、一定の要件のもとで閲覧・コピーできる場合があります。
そのほか、診断書や車の損傷写真・修理見積書も、事故状況を推測する手がかりになります。
| 書類・資料 | わかること |
|---|---|
| 実況見分調書(人身事故の場合) | 事故発生時の状況が、図面とともに記録されている |
| 物件事故報告書(物損事故の場合) | 事故発生時の状況や当事者の説明などが記録されている |
| 供述調書(人身事故の場合) | 警察が事故の当事者から聞き取った内容が記録されている |
| 診断書 | ケガの重大さや負傷した箇所から事故状況を推測する手がかりになる |
| 車両の損傷写真・修理の見積書 | 車両の損傷具合や損傷箇所、こすれ具合や傷跡などから事故状況を推測する手がかりになる |
これらの証拠を用意しておけば、過失割合の話し合いが進みやすくなります。
また、自分の車のドライブレコーダーに記録がない場合でも、加害者側の車には記録が残っている可能性があります。相手方にドライブレコーダーの記録がないか確認してみましょう。
物損事故で証拠がない場合のさらに詳しい対処法については、本記事内「物損事故で証拠がないときの対処法」で解説しています。
関連記事
- 実況見分調書の入手方法:実況見分とは?交通事故での流れや注意点!呼び出し対応や過失割合への影響
- ドライブレコーダーの提出義務について:ドラレコは警察に提出すべき?証拠能力や過失割合への影響も解説
もめるケース2.交通事故により生じた損害額が大きい
損害額が大きいと過失割合が及ぼす影響も大きくなる
同じ過失割合でも、損害額が大きい方が示談金額に及ぼす影響が大きいため、もめやすくなります。
被害者側の過失割合が10%だった場合、もとの損害額が100万円なら10万円の減額となりますが、仮に損害額が1億円だとすると、減額は1000万円になるのです。
よって加害者側は、損害額が大きい場合には特にシビアな態度で過失割合の交渉をしてくることがあります。
損害額が大きい場合は、過失割合のみならず慰謝料をはじめとする示談金額そのものについても争いになる可能性が高いです。
過失割合についてもめ、なおかつ示談金額についてももめると、受け取れる示談金額が大幅に下がってしまうリスクがあります。
『交通事故の示談でもめる8ケースと保険会社とのトラブル対策・解決法』も参考にして、対策をしておきましょう。
損害額が大きいときの対処法は?
損害額が大きい場合は、以下のように対処することがおすすめです。
- 加害者側が提示してきた過失割合について、導き出した根拠や、どの事例を参考にしたのか書面で回答してもらう
- その書面を持って弁護士に相談し、提示された過失割合が正しいか確認する
※書面がなくても弁護士への相談は可能 - 弁護士の見解をもとに、加害者側が提示する過失割合の問題点を主張する
- 主張が聞き入れられない場合は、弁護士に正式に依頼し、交渉を任せる
損害額が大きい場合、加害者側は過失割合についてなかなか譲歩の姿勢を取らないと考えられます。弁護士の介入を視野に入れて対処することが重要です。
加害者側の強硬姿勢に対し、こちらも弁護士を介入させていざとなったら訴訟で争える、という姿勢を見せることで、被害者側の主張が通りやすくなります。
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もめるケース3.駐車場内の事故や自転車同士の事故である
駐車場事故や自転車同士の事故は認定でもめやすい
過失割合は、「別冊判例タイムズ」という書籍に載っている基本事例や過去の判例などをもとに検討されます。
しかし、駐車場内の事故や自転車同士の事故は、低速で双方が動いていることが多く、ドライブレコーダーなどの記録も残りにくいため、事故状況の認定でもめやすいです。
自転車同士の事故は、『別冊判例タイムズ39』(2026年3月3日発行)で、詳しい認定基準が示されましたが、日が浅く、それをもとにした裁判例の蓄積も少ないため、基準の当てはめで争いになる可能性があります。
また、駐車場事故の場合、その他の事故類型と比べて認定基準が少なく、事故状況ごとの個別事情で判断される部分が大きいため、特にもめやすいといえるでしょう。
駐車場の事故や自転車同士の事故での対処法は?
駐車場の事故や自転車同士の事故での過失割合は正確な算定が非常に難しいため、弁護士に相談することをおすすめします。
こうしたケースでは、類似の事故における判例をいくつか探し、総合的に判断しながら過失割合を算定しなければなりません。
被害者自身で調べられる判例には限りがありますし、過失割合や過去の判例については加害者側の保険会社のほうが詳しいため、過失割合の交渉は厳しいものとなるでしょう。
参考として、以下に駐車場事故や自転車事故の過失割合を解説した関連記事を掲載します。
あくまでも目安程度として参考にしてみてください。
もめるケース4.被害者が子供やお年寄りである
子供やお年寄りの証言は信用されないことがある
交通事故の被害者が子供やお年寄りの場合、事故状況について主張しても、「記憶が曖昧かもしれない」「事故時のショックで事故状況を正確には覚えていないのではないか」などと言われることがあります。
また、被害者が子供(幼児)やお年寄りである場合は、交通事故における立場の弱さを考慮して被害者側の過失割合が減算されることがあります。このこともあり、加害者側はよりシビアに過失割合の交渉をしてくる可能性もあるのです。
被害者が子供やお年寄りの場合の対処法
被害者が子供やお年寄りである場合は、証言を信じてもらえない可能性が高い分、一層念入りに事故状況の証拠集めをすることが重要です。
また、記憶が新しいうちに家族が聞き取り、時系列でメモしておきましょう。この際も、誘導にならないように十分注意します。
書類集めや示談交渉に不安がある場合は、すべてを弁護士に任せるのも良いでしょう。
加害者側が「相手は子供やお年寄りだから」「相手は交渉慣れしていないから」などと思って強硬な態度を取っていたとしても、弁護士を立てれば譲歩の姿勢を取る可能性があります。
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こどもの飛び出し事故対策と過失割合は?示談で不利にならない方法も確認
もめるケース5.相手が過失を認めない
交通事故の示談交渉では、加害者が「自分は悪くない」「過失はもっと軽いはずだ」と主張し、責任を認めようとしないケースが少なくありません。
ですが、実際にケガをしたり、生活に支障をきたしているのは被害者の側です。そんな状況で、相手が開き直るような態度をとってきたら、納得できないのは当然でしょう。
しかし、法的な観点から見ると、たとえ被害者側であっても、状況によっては一定の過失が認められることもあります。
「自分は被害者だから、過失は一切ない」と思い込んでしまうと、かえって冷静な判断を見失い、交渉がこじれる原因にもなりかねません。
相手が過失を認めない場合の対処法
相手が過失を認めないときは、感情的に言い返すのではなく、証拠と基準にもとづいて反論することが大切です。
- 相手(保険会社)が主張する過失割合の根拠を、書面で確認する
- 事故状況を示す客観的な証拠(ドライブレコーダー、実況見分調書、事故直後の写真など)を整理する
- 別冊判例タイムズの基本の過失割合や修正要素に当てはめ、相手の主張のどこが違うのかを示す
- 話し合いで折り合わない場合は、弁護士への依頼や、調停・ADR・訴訟を検討する
相手が任意保険に入っておらず本人と直接やり取りしている場合は、特に感情的な対立につながりやすく、もめやすいです。
大切なのは感情に流されず、客観的な視点で自分の立場を把握することです。
客観的な証拠から適正な過失割合を主張しつつ、不当な責任を負わされないために法律の専門家に相談することも有効です。
交通事故の過失割合でもめたらどうすればいい?
実際の交渉のなかで過失割合でもめることになったとき、以下のような対処法が考えられます。
- 弁護士に相談・依頼する
- 片側賠償での折衷案を提案する
- 裁判所やADR機関を利用する
それぞれ、順番にどのような対処法であるのか見ていきましょう。
弁護士に相談・依頼する
もっともよいのは、過失割合を含む示談交渉を弁護士に依頼してしまうことです。
弁護士であれば過去の事例から適切な過失割合を導き出し、その上で少しでも依頼者に有利になるよう交渉をすることができます。
加害者側が見逃しているような事情や、そもそも参考にする事故状況が誤っていたことを見抜ければ、過失割合が変わってくる可能性もあります。
なお、過失割合の争いは非常に難しい分野ですので、弁護士のなかでも交通事故に詳しい人に依頼することが重要です。
加害者側が弁護士を立てたときも同様に、弁護士に依頼すると良いでしょう。
過失割合以外についても相談・依頼のメリットあり
弁護士に相談・依頼を行うと、過失割合に関する部分以外にも、以下のようなメリットが得られることがあります。
- 請求できる損害賠償額の相場額を知ることができる
- 依頼することで加害者側との連絡を弁護士に行ってもらえる
- 相場に近い金額で示談するよう交渉を行ってもらえる
詳しくは『交通事故を弁護士に依頼するメリット9選|弁護士依頼のメリットを最大化する方法』をご覧ください。
弁護士に相談・依頼する費用は抑えることができる
弁護士を相談・依頼する際は相談料や費用がかかりますが、自動車保険に付帯している「弁護士費用特約」を使えば多くの場合、金銭面の負担はなくなります。
弁護士費用特約は家族のものでも使えることがあるので、確認してみてください。

関連記事
- 弁護士費用特約の仕組みについて:交通事故の弁護士費用│着手金・成功報酬の相場は? 弁護士特約で示談する方法も解説
- 弁護士費用特約の適用範囲について:弁護士特約は家族も使える!範囲や確認方法は?違う保険会社や重複加入まで解説
片側賠償で折衷案を提案する
過失割合についてどうしても当事者双方の合意が得られない場合、片側賠償とすることも考えられます。
たとえば、過失割合が加害者:被害者で9:1と提示されるも、被害者側は10:0だと主張しているとしましょう。
このとき双方協議のうえで、過失割合を加害者:被害者=9:0にして合意しやすくすることを片側賠償と呼びます。
被害者側の過失を0にする、つまり被害者側の損害賠償負担を無くすかわりに、加害者側の過失は9割ということで条件をのんでください、という折り合いの付け方の一つです。
片側賠償にはメリットとデメリットがあります。詳しくは、過失割合9:0を例に解説している『交通事故の過失割合9対0(片側賠償)とは?片賠のメリットや過失相殺の計算例』も参考にしてみてください。
特に片側賠償を検討したいケース
たとえば加害者側の車両が高級車であり、高額な修理費を請求されているような場合は片側賠償も検討してみてください。
被害者が加害者から賠償請求されている場合、被害者はそのうち自身の過失割合分の金額を支払わなければなりません。
加害者側からの請求額が大きい場合、被害者側に1割や2割でも過失割合がつくと、被害者が加害者から受け取れる賠償金よりも、被害者が加害者に支払う賠償金のほうが多くなるリスクがあるのです。
過失割合でもめた末に被害者側にも過失がついてしまうくらいなら、片側賠償にしたほうが良いというケースがあります。
裁判所やADR機関を利用する
示談で過失割合がまとまらない場合は、以下のような方法による解決を図る必要があります。
- 裁判所で調停を行う
- ADR機関を利用する
- 裁判所で裁判を行う
解決方法ごとの手続きの内容について説明を行います。
調停とは
調停は訴訟の前段階として、話し合いによる紛争解決を図る手続きです。
調停とは
裁判所の調停委員会が仲立ちをし、話し合いで法律的な問題を解決すること
裁判よりも調停は簡易的な手続きであり、費用が低額で済むという点が大きなメリットです。
また、あくまでも話し合いであるため、過失割合については相手の言い分を飲むが、その代わり慰謝料を増額してもらう、などの合意をすることもできます。
一方で加害者側と主張が乖離しすぎている場合や、証拠を精査したうえでの確定的な事実認定が欲しい場合には不向きかもしれません。
ADR機関の利用とは
調停のような話し合いによる紛争解決手段として、ADR機関の示談あっせんや和解あっせんを活用することも考えられます。
ADR機関とは
裁判外での紛争解決手続きを行ってくれる機関。法律相談のほか、示談や和解のあっせんを行ってくれる
交通事故に関する主なADR機関は、以下の2つになります。
- 交通事故紛争処理センター(相手が保険会社・共済の場合に利用)
- 日弁連交通事故相談センター(弁護士による無料相談・示談あっせん)
ADR機関は中立の立場から示談のあっせんを行うため、必ずしも被害者に有利な判断になるとは限りません。
自身に有利な証拠をしっかりと用意する必要があるでしょう。
ADR機関である交通事故紛争処理センターの利用方法に関しては『交通事故紛争処理センター利用の流れとメリット・デメリット!示談不成立時の解決法』の記事で確認可能です。
訴訟とは
話し合いによる方法で解決しなかった場合は、訴訟を起こすことが考えられます。
裁判においては証拠に基づいて事実の有無を確定させ、裁判所が判決を出すことで、当事者間の合意がなくても解決が可能です。
そのため、「どのような状況で交通事故が起こったか」という過失割合の認定にあたっては非常に馴染む手段となっています。
もっとも、判決まで時間がかかることが多く、弁護士費用や証拠準備の負担も大きくなります。主張を十分に裏付けしうるだけの証拠を提出することも重要です。
物損事故で証拠がないときの対処法
物損事故では、原則として実況見分が行われず、警察が作成する物件事故報告書も簡易な記録にとどまります。そのため、人身事故に比べて、事故状況を示す証拠が少なくなりがちです。証拠がないと感じても、早めに動けば集められるものがあります。
早めに確保したい証拠
次のものは、早めに確保しておきましょう。とくに写真や映像は、時間がたつと手に入りにくくなります。
- 修理に出す前の、車の傷と現場の写真(傷のアップと、車全体の位置関係がわかるもの)
- 店舗やマンションなどの防犯カメラの映像(上書きされる前に、管理者に保存を依頼する)
- 通りかかった車やバス・タクシーのドライブレコーダーの映像
- 相手とのLINE・メール・通話の記録(事故を認める発言があれば手がかりになる)
- 交通事故証明書(事故の日時・場所や当事者の確認に使う。警察に届け出ていれば取得できる)
なお、簡易な物件事故報告書でも、過失割合の認定に役立つケースもあります。詳しく知りたい方は『立体駐車場での事故で100%過失認定、決め手は物件事故報告書#裁判例解説』もあわせてご覧ください。
証拠が見つからないときの過失割合の考え方
決め手となる証拠がない場合、過失割合は、双方の説明と、傷の位置・高さ・へこみの向きなどの客観的な資料の整合性で検討されます。
損傷写真や修理見積書は、そのための材料になります。
どちらの説明にも裏付けがないと、話が平行線になり、解決まで時間がかかりやすくなります。
なお、ケガのない物損事故は自賠法3条の対象外で、加害者の過失は被害者側が立証する必要があります。詳しくは、本記事内「交通事故の立証責任って何?」をご覧ください。
あとから痛みが出たら人身事故への切り替えを検討する
事故当日は痛みがなくても、あとから首や腰などに痛みが出ることがあります。その場合は病院で診断書をもらい、警察に提出して人身事故へ切り替えると、実況見分が行われる可能性があります。
関連記事
交通事故で後から痛みが…対処法と因果関係の立証方法は?判例も紹介
物損事故でも弁護士費用特約を使える場合がある
物損事故は損害額が小さく、弁護士費用のほうが高くつくと考えて、相談をあきらめる方もいます。ですが、弁護士費用特約を使える場合、一般に、相談料は10万円まで、弁護士費用は300万円まで保険でカバーできます。
自動車保険の弁護士費用特約は物損事故でも使える場合があるので、加入している保険を確認してみてください。
関連記事
弁護士費用特約の適用範囲について:弁護士特約は家族も使える!範囲や確認方法は?違う保険会社や重複加入まで解説
交通事故の解決事例(過失割合でもめた事例)
ここでは、過去にアトム法律事務所の弁護士が取り扱った交通事故のうち、過失割合でもめた事例をご紹介します。
過失割合90対10から95対5に変更した事例
自転車走行中に後方車両に接触され左足骨折を負った事例
通勤中に自転車で車道を走行していたところ、後方から追い抜いていった加害者の車に接触され、横倒しになる交通事故に遭った。
依頼者は、この交通事故により、左脛骨高原骨折、左腓骨近位端骨折を負い73日間入院し、契約社員の仕事を2か月以上休業。退職せざるを得なくなった。
過失割合について、相手方保険会社が「相手方:依頼者=90:10」と主張してきたケース。
弁護活動の成果
弁護士の受任後は、被害者請求の手続きをとり、後遺障害12級13号の認定を獲得。
過失割合については、弁護士が刑事記録を取り寄せ、その内容をもとに保険会社に反論。その結果、依頼者の過失を10%から5%に減縮することに成功(95:5)。
最終的な受取金額約645万円で示談となった。
年齢、職業
60~70代、契約社員
傷病名
脛骨高原骨折
後遺障害等級
12級13号
過失割合90対10から100対0に変更した事例
側道歩行中に車に衝突され右足関節三果骨折を負った事例
道路の側道を歩行中、側道から出てきた加害者の自動車にはねられる交通事故に遭った。
依頼者は、この交通事故により、右足関節三果骨折を負い、計24日間入院し、プレートを入れる手術と抜く手術の計2回の手術を受けた。
弁護士相談の段階で、後遺障害12級13号認定済み。
相手方保険会社から提示された慰謝料、休業損害、過失割合(加害者:依頼者=90:10)に不満があり、ご相談に至ったケース。
弁護活動の成果
弁護士の受任後は、弁護士基準で慰謝料を算定し、休業損害は暦日数ではなく稼働日数で日額を計算して請求。
過失割合については、事故状況を検討し、修正要素を主張することで10%の減縮に成功。過失割合100:0(依頼者0%)を実現。
結果として、保険会社の提示額約1423万円から、最終的な受取金額は1910万円まで増額された(約1.3倍増額)
年齢、職業
40~50代、会社員
傷病名
足関節骨折
後遺障害等級
12級13号
アトム法律事務所では、この他にも多数の解決事例がございます。ご自身の交通事故に類似のケースをお探しの方は、解決事例のページもあわせてご覧ください。
交通事故の過失割合でよくある質問
Q.車が止まっていたことを証明する証拠は?
交通事故で運転していた車が止まっていたことを証明するには、ドライブレコーダーの映像が最も有力な証拠となります。
また、現場の防犯カメラの映像、目撃者の証言、事故直後の写真、そして車両の損傷状況を示す資料なども重要な証拠となるでしょう。
複数の証拠を提示することで、説得力のある主張が可能となるので、なるべく有力な証拠を集めるようにしてください。
Q.事故の証言に食い違いがあったら?
交通事故の証言に食い違いがある場合、事故の過失割合や損害賠償額の決定に影響が出ることがあります。
証言が食い違う原因としては、当事者間の認識の相違や、虚偽の証言などが考えられます。
主張の食い違いは、事故状況の裏付けとなる客観的な証拠を提示して、解消することが重要です。
警察は過失割合を決めてくれません。ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、車両の損傷状況、実況見分調書の図面などから事故状況を整理し、どちらの説明が資料と矛盾しないかを示していくことになります。
話し合いで決着がつかない場合は、弁護士を通じた交渉のほか、調停や訴訟といった手続きで解決を図ります。本記事内「裁判所やADR機関を利用する」もご覧ください。
Q.交通事故の立証責任って何?
立証責任とは、事実を証明できないときにその事実を要件とする法律効果が認められないという、一方の当事者が負う不利益をいいます。
民法709条、同715条等を根拠に損害賠償請求する場合、被害者は以下の事実について立証責任を負います。
被害者の立証責任(民法)
- 交通事故の発生
- 加害者の故意・過失
- 交通事故によって被害者に損害が発生したこと
証拠によってこのような事実を証明できなかったときは、被害者は賠償を受けることができません。
自賠法3条の例外(立証責任の転換)
自賠法3条にもとづいて損害賠償請求をする場合、被害者は「加害者の故意・過失」については立証責任を負いません。
加害者側に、立証責任が転換されます。
つまり、加害者が故意・過失に関する以下の3点を立証できなければ、被害者の賠償請求が通る可能性があるということです。
加害者側の立証責任(自賠法3条)
- 自己に故意・過失がないこと
- 被害者または第三者に故意・過失があったこと
- 自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと
自賠法に基づいて請求できる損害の費目や金額について知りたい方は『自賠責保険の補償内容や慰謝料計算は?任意保険からも両方もらえる?』の記事をご覧ください。
民法と自賠法3条の比較
民法と自賠法の違い(被害者の立証責任を含む)について、簡単に整理すると以下のようになります。
| 民法 | 自賠法3条 | |
|---|---|---|
| 請求相手 | 加害者、加害者を雇用する者(使用者) | 運行供用者(運転手、車の保有者等) |
| 賠償 | 物件損害 人身損害 | 人身損害のみ |
| 被害者の立証責任 | ①事故の発生 ②故意・過失 ③損害の発生 | ①事故の発生 ②損害の発生 |
自賠法3条にもとづく賠償請求の対象は、人身損害に限られます。
加害者本人の経済力に不安がある等の理由で賠償金を回収できる見込みが乏しい場合に、車の所有者が別にいるときは、立証責任が軽減された自賠法3条にもとづく請求が有利です。
一方、ケガのない物損事故は自賠法3条の対象外です。民法709条などにもとづいて請求するため、加害者の過失を被害者側が立証しなければならず、物損事故で証拠がないと不利になりやすい点に注意が必要です。
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交通事故の示談交渉のなかで、過失割合は特にもめやすく、またもめると長引きやすい分野です。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国16拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
