過失割合に納得いかない・過失割合を変更したい|より良い示談をむかえる方法
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
過失割合に納得いかないまま示談を成立させてしまうと、受け取れる示談金額も納得いかないものになってしまいます。
この記事では、なぜ納得いかない過失割合のまま合意すべきではないのか、過失割合に納得できない場合はどうすればいいのかを解説しています。
過失割合について疑問や不満があるけれどどうすればいいのかわからないという場合は、参考にしてみてください。
目次
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過失割合とは?納得いかないままだとどうなる?
過失割合は、事故当事者の責任の割合を示すもの
過失割合とは、交通事故が起きた責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるかを割合で示したものです。
交通事故は、加害者側が100%悪いと言い切れるものばかりではありません。たとえば以下のような場合であれば、被害者側にも落ち度はあると考えられます。
- 被害者側が飛び出しや信号無視をした
- 被害者側にも事故を回避する余地はあった
- 被害者が横断歩道以外の場所を横断していた
被害者側にも落ち度があるにもかかわらず、加害者が100%悪いとしてすべての責任を負わせるのは不公平です。
そこで、被害者側と加害者側それぞれの責任の割合を明確にしようというものが過失割合なのです。
過失割合は事故状況をもとに決められる
過失割合は、事故状況をもとに次の流れで決められます。
- 「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)などの書籍から、該当する事故形態の「基本の過失割合」を確認する
- 速度違反や飛び出しといった「修正要素」を過失割合に反映させ、実際の事故状況に沿った過失割合に調整していく
なお、過失割合は相手方任意保険会社が算定して、示談交渉の際に提示してくれます。
しかし、提示される過失割合が正しいとは限らないので、鵜呑みにするのではなく、その過失割合になった根拠を聞く、被害者側でも過失割合を算定するといったことが重要です。
過失割合はいくらになる?
過失割合の事例や過失割合の決め方を解説しています。▶交通事故の過失割合とは?決め方と示談のコツ!事故パターン別の過失割合
納得いかない過失割合だと良くない理由
納得いかない過失割合のまま合意してしまうと良くない理由は、次の通りです。
- 過失相殺により、自身についた過失割合分、示談金が減額されてしまう
- 相手から損害賠償請求されている場合、そのうち自身についた過失割合分を支払わなければならない
- 例)被害者側の過失割合が3割になった場合
- 受け取れる示談金が3割減らされてしまう
- 相手から請求された損害賠償金のうち3割を支払わなければならない
納得のいかない過失割合を訂正できれば、その分示談金の減額幅や相手方に支払う損害賠償金額を減らせます。
こうしたことから、過失割合に納得いかない場合は正しい過失割合を確認し、相手方任意保険会社に主張することが重要なのです。
こちらもチェック
『過失相殺とは?計算方法と適用範囲を解説!減額のおさえ方』では、以下の内容を解説しています。
- 過失相殺の計算方法
- 過失相殺による減額をカバーする方法
- 労災保険・健康保険を利用した場合の過失相殺の計算方法
過失割合に納得いかない!変更するための方法
(1)納得いかない理由別に対策を立てて交渉する
相手方の提示する過失割合に納得いかない場合は、その旨を主張しなければなりません。
しかし、やみくもに納得いかないと主張しても聞き入れられないので、納得いかない理由別に対策を立てたうえで交渉しましょう。
過失割合に納得いかない主な理由とそれぞれのケースにおける対策は以下の通りです。
- 相手方が主張する事故状況が間違っている
- 事故現場を示す映像や画像、警察が作成した捜査資料などを用意し、正しい事故状況を証明する
- 事故状況に対する過失割合が間違っている
- 過去の判例や専門書の記述などを用意し、過失割合が不当であることを証明する
具体的な対策方法や注意点については、以下の関連記事で詳しく解説しています。
相手方に過失割合の訂正を主張する際には参考にしてみてください。
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(2)弁護士を立てることも検討|とくにもめやすい3ケース
過失割合の訂正を根拠を持って主張しても、相手方任意保険会社が聞き入れてくれないことは十分考えられます。
スムーズかつしっかりと被害者側の主張を通したい場合は、弁護士を立てての交渉も検討してみてください。
とくに以下の場合は過失割合をめぐって相手方ともめやすいので注意しましょう。
- 事故状況を示す証拠がない
- 交通事故による損害額が大きい
- 駐車場内での交通事故
上記ケースでもめやすい理由や対処法はこちら▶交通事故の過失割合でもめる3パターン&対処法を紹介
なお、上記3ケースに当てはまらない場合でも、過失割合についてもめることは十分考えられるので、正しい過失割合の確認もかねて、一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士費用は弁護士費用特約を使えば実質無料になりますし、弁護士相談を無料で受け付けている事務所もあります。▶交通事故の弁護士費用特約|使い方とメリット&デメリット
(3)どうしても過失割合に納得いかないなら裁判も
示談交渉が平行線のまま進展しない場合、交渉での解決はあきらめて裁判を起こすことも視野に入ってきます。
過失割合を争点として裁判を起こした場合には、次のようなメリットがあります。
- 個別の事情を反映した過失割合が認定されやすく、基本の過失割合よりも有利になる可能性がある
- 加害者が過失割合に合意しなくても、解決できる
- 慰謝料以外の遅延損害金も請求できる
一方で、裁判を起こしても、被害者の主張が必ず通るわけではありません。
敗訴すれば被害者側の主張が退けられるだけでなく、裁判費用を負担しなければならなくなる点はよく理解しておきましょう。
合わせて読みたい
『交通事故の過失割合を裁判の争点にした場合の結果とは?【事例付き】』では以下の内容を解説しています。
- 過失割合について裁判になりやすいケース
- 裁判に踏み込む前にすべきこと
- 過失割合について裁判で争った実例
過失割合の交渉をするときのポイント
弁護士を立てての交渉が効果的
納得いかない過失割合を訂正したい場合、以下の理由から弁護士を立てて交渉することが非常に効果的です。
- 弁護士なら過去の判例や専門知識をもとに本当に正しい過失割合を算定できる
- 本当に正しい過失割合はさまざまな要素を考慮して算定されるので、被害者自身でも確認が難しい
- 弁護士ならではのテクニックにより効果的に交渉ができる
- 相手方任意保険会社は交渉のプロなので、被害者自身がいくら対策を立てて交渉しても、効果に限界がある
- 自力でできる示談テクニックもあるが、自力での示談が難しいケースもある▶交通事故示談のテクニック7つ
なお、示談交渉で弁護士を立てると、他にも示談金額の大幅増額や、交渉によるストレスの軽減も期待できます。
交通事故の示談交渉では過失割合以外の点でも苦労することが多いので、弁護士に交渉を任せるメリットは大きいと言えます。
参考になる記事
- 弁護士依頼や示談交渉の体験談▶交通事故の体験談8選
- 弁護士を立てるメリット▶交通事故を弁護士に依頼するメリット8選
交渉が長引くときの注意点|対処法を知れば安心
納得いかない過失割合について交渉する場合、相手方ともめてしまい交渉が長引くことがあります。
この場合、以下の2点に注意しなければなりません。
- 示談成立が遅れる分、示談金の支払いも遅くなる
- 示談金は基本的に示談成立後に支払われる
- 示談成立前に損害賠償請求権の消滅時効が迫ってくる
- 消滅時効が成立すると、相手方に損害賠償請求できない
ただし、示談金の支払いについては「被害者請求」という手続きを行えば、一部が示談成立前でも支払われます。
また、損害賠償請求権の消滅時効についても、適切な手続きをとれば成立を延長させられます。
早く示談が成立するに越したことはありませんが、早期解決を目指すあまり納得のいかない内容で妥協することは避けるべきです。
交渉が長引いた時の注意点と対策をしっかり確認したうえで、安心して示談交渉に臨みましょう。
納得いかない過失割合の無料相談窓口
アトム法律事務所では、過失割合をはじめ人身事故に関するお困りごとのご相談を無料で受け付けています。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了