交通事故の示談書の書き方と注意点│テンプレート付き
更新日:

交通事故の示談では、最終的な賠償額や支払い方法の確認のために示談書を作成します。
通常、保険会社が用意したひな形を使えますが、自分で作成することもできます。
示談書は、一度署名・捺印すると原則として撤回できません。本来もらえるはずの賠償金を取りこぼさないためにも、示談書の内容を十分にチェックすることが大切です。
この記事では、交通事故の示談書の書き方、チェックポイントを解説します。
無料でダウンロードできる交通事故の示談書のテンプレート(ひな形)もあるので参考にしてみてください。
示談をする前に示談金の提示額が適切なのかチェックしたい方は、以下の慰謝料計算機もお使いください。
目次
交通事故の示談書とは?
示談書は交通事故の事実や合意内容を記録した書面
交通事故の示談書とは、交通事故の事実や合意内容(示談金額、支払方法など)を記録し、加害者・被害者双方が署名・押印する書面です。
示談書を作成すると合意内容が明確になるため、「言った・言わない」のトラブルを防げるメリットがあります。
その反面、示談は和解契約の性質を有し(民法695条)、一度締結すると原則として撤回はできません。
追加請求も原則できないため、示談書に署名・捺印する際は内容を十分に理解しておく必要があります。
関連記事
交通事故の示談とは?示談交渉の流れや示談をうまく進めるための注意点
示談書と免責証書の違い
交通事故の示談では、保険会社から「免責証書」が送られてくることがあります。
免責証書も、示談書の一種です。
免責証書では、加害者の署名・捺印は不要で、被害者側のみ署名・捺印します。
関連記事
免責証書の注意点とサイン前にすべきこと|記載内容や示談書との違いは必見!
交通事故の示談書のテンプレート・ひな形
示談書のテンプレート・ひな形
交通事故の示談書のテンプレート・ひな形は、以下からPDF形式でダウンロードしていただけます。
傷害用・死亡用・物損用に分けて用意しています。
いずれも無料です。用途に合わせてお使いください。
示談書のテンプレート
- ケガ・後遺障害:示談書(傷害用)テンプレート
- 死亡:示談書(死亡用)テンプレート
- 物損:示談書(物損用)テンプレート
示談書の記入例
交通事故の示談書の記入例については、以下からダウンロードしてください。
示談書の見本・記入例
- ケガ・後遺障害:示談書(傷害用)見本
- 死亡:示談書(死亡用)見本
- 物損:示談書(物損用)見本
交通事故の示談書(ケガ・後遺障害・死亡)の書き方
ここからは、交通事故の示談書の主な記載事項と、書き方のポイントを解説します。まずは、人身損害(傷害・後遺障害・死亡)の示談書について解説します。
示談書
| 事故発生日時 | 令和7年7月7日午前10時30分頃 |
| 事故発生場所 | 〇〇県〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇交差点 |
| 事故態様 | 上記日時場所において、赤信号待ちのため停車中の甲車両に、乙運転の乙車両が追突し、甲に頚部のむちうちの傷害を負わせたものである。 |
| 当事者(甲) | 〇〇県〇〇区〇〇町〇丁目〇番 氏名 甲野花子 車両番号〇〇〇〇 |
| 当事者(乙) | 〇〇県〇〇区〇〇町〇丁目〇番 氏名 乙山太郎 車両番号〇〇〇〇 |
| 示談条項 | 1.乙は、甲に対し、本件事故による損害賠償債務として、既払金〇〇円のほか、金〇〇円を支払う義務があることを認め、これを令和〇年〇月〇日限り、下記甲指定の銀行口座に振り込む方法により支払う。ただし、振込手数料は乙の負担とする。 記 〇〇銀行 〇〇支店 普通口座 1234567 口座名義 甲野 花子(コウノ ハナコ) 2.甲及び乙は、甲乙間には、本件事故に関し、本示談書に定めるほか何らの債権債務のないことを相互に確認する。ただし、将来、甲に、本件事故を原因とする後遺障害が認定された場合には、甲乙間で別途協議するものとする。 |
上記のとおり示談が成立したので、その証として本書2通を作成し、甲及び乙が各1通を保管する。
示談成立日 令和8年8月8日
当事者(甲)住所 〇〇県〇〇区〇〇町〇丁目〇番
氏名 甲野 花子 印
当事者(乙)住所 〇〇県〇〇区〇〇町〇丁目〇番
氏名 乙山 太郎 印
(1)交通事故の発生日時・場所・態様
交通事故の示談書には、どの事故の示談なのかを特定するために、以下の情報を記載します。
- 事故の発生日時
- 事故の発生場所
- 事故の態様(原因や状況、ケガ・後遺障害・死亡の結果など)
事故の発生日時や場所については、基本的に、交通事故証明書の記載に合わせます。
交通事故証明書は、警察に交通事故の届け出をしていれば、「自動車安全運転センター」で発行してもらうことができます。
示談に保険会社が関わっている場合は、保険会社がとりよせているので、コピーをもらう等して確認できます。
事故の態様については、事故原因や状況がわかるように客観的に記載します。後遺障害や死亡の場合は、以下のような記載になります。
示談書の記載例(事故の態様)
- 後遺障害
上記日時場所において、赤信号待ちのため停車中の甲車両に、乙運転の乙車両が追突し、甲に頚椎捻挫の傷害を負わせ、第14級第9号の後遺障害が残存した。 - 死亡
丙(亡くなった被害者)は上記事故発生場所にて横断歩道上を横断中、交差点を左折して進入してきた乙運転の車両と接触し、頭部を打って死亡した。
(2)交通事故の当事者
交通事故の示談書には、事故の当事者を特定するために、被害者と加害者の住所、氏名を記載します。
自動車やバイクの事故では、車両番号も記載します。
- 被害者(甲):住所、氏名、車両番号
- 加害者(乙):住所、氏名、車両番号
死亡事故の場合は、被害者本人ではなく、被害者の相続人と加害者とで示談書を締結します。
そのほか、交通事故の解決に必要な範囲で、以下の方々の住所・氏名を併記します。
- 車両の所有者
運転者と車両の所有者が異なる場合 - 法定代理人
当事者が未成年の場合
(3)交通事故の示談条件
交通事故の示談の条件として、以下のような情報を記載します。
- 示談金額:最終的に支払いを受ける金額
- 支払方法:振込か現金か、一括払いか分割払いか
- 支払期限:示談成立から何日以内に支払うか
示談金額
示談金額には、既払い金と、示談時に受け取る賠償金を記載します。
なお、損害額の内訳については、示談の過程で別紙にまとめられることも多いです。具体的な示談金の相場を確認したい場合は、『交通事故の示談金相場は?一覧表や増額のコツ』をご一読ください。

支払方法
途中で支払いが滞るリスクを避け、記録も残るように、銀行振り込みによる一括払いが望ましいでしょう。
相手方が保険会社の場合は、通常、銀行振り込みで一括払いとなります。
示談書の記載としては、テンプレート(ひな形)などをご覧ください。
仮に、示談金を分割払いとする場合は、以下のように、示談書には分割払いの回数、都度ごとの支払金額を記載します。
示談書の記載例(分割払い)
「乙は、甲に対し金〇〇万円を支払うこととし、これを令和〇〇年〇〇月末日から令和〇〇年〇〇月末日まで合計〇回にわたり、毎月末日に金〇万円ずつ、甲の銀行口座に送金する方法で支払う。なお、振込手数料は、乙の負担とする。」
なお、銀行口座への振込手数料についても、どちらが負担するか、示談書に明記しておくと振込の際の紛争を防止できます。
通常、加害者の負担としますので、その旨明記します。
支払期限
支払期限については、2週間~4週間以内に設定することが多いです。
(4)清算条項
清算条項とは、示談によって損害賠償問題がすべて解決されることを確認する条項です。
清算条項を記載することで、「加害者も被害者もお互い事故に関する金銭をこれ以上請求しない」ことを示すことになります。
示談書の記載例
- 示談書の清算条項
「甲と乙は本件交通事故に関し、本示談書に定めるもののほかに、甲乙間に何の債権債務がないことを相互に確認する。」 - 免責証書の清算条項
「甲は金〇〇円を受領したときは、その余の請求を放棄するとともに、乙に対し、今後裁判上・裁判外を問わず、何ら異議申立て、請求および訴えの提起等をいたしません。」
(5)後遺障害の留保条項
留保条項とは、特定の損害賠償請求権を消滅させず、将来にわたって維持(留保)させるための特約条項です。
後遺障害に関する留保条項は、後遺障害の申請前や異議申立を行う前に、先行して傷害部分(治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料など)の示談を行う場合、将来のスムーズな話し合いを目的として組み込む条項です。
示談書の記載例
- これから後遺障害の申請をする場合
「本件示談後、甲に本件事故に起因する後遺障害が自賠責保険により認定された場合には、別途協議する。」 - 後遺障害の異議申立を予定している場合
「将来甲に本件事故を原因とする後遺障害等級〇級を超える後遺障害が新たに認定された場合は、それに関する損害賠償請求権を留保し、別途協議する。」
(6)示談書への署名押印(署名捺印)
署名押印(署名捺印)は、示談書を作成したのが当事者本人であること、本人が内容に合意したことの証明となります。
示談書を作成するときは、当事者双方が末尾に署名押印(署名捺印)が必要です。あわせて、当事者の住所や示談書を作成した日付も記載しましょう。
交通事故の示談書(物損)の書き方
ここでは、物損事故の示談書の記載事項について解説します。

(1)基本的には傷害用の示談書と共通
事故発生の日時・場所・態様、当事者の記載などは、基本的に傷害用・死亡用の示談書と共通します。
ただし、物損事故では、被害者側にも過失が認められる場合、被害者も相手方の物損について賠償責任を負うことがあります。そのため、双方が支払う賠償金額を整理して記載することが重要です。
(2)過失割合と示談金額
被害者にも過失が認められる場合、被害者も加害者に対して賠償責任を負うのが基本です。
この場合、お互いの過失割合を明示した上で、賠償金額と支払方法を記載します。
過失割合の記載例
甲と乙は、本件事故による甲の物的損害額が100万円、乙の物的損害額が100万円であること、及び本件事故の過失割合が甲20%、乙80%の割合であることを相互に確認する。
支払方法の記載例
- 相殺払いの場合
乙は、甲に対し、上記の過失割合に従って相殺を行い、本件事故による損害賠償債務として、60万円の支払い義務があることを認め、令和8年8月8日限り、アトム銀行 ミライ支店の甲名義の普通預金口座(口座番号〇〇〇〇)に振り込む方法により支払う。 - クロス払いの場合
甲は、乙に対し、本件事故により乙が被った物的損害の賠償として、20万円の支払義務があることを認め、令和8年8月8日限り、レイン銀行 レトロ支店の乙名義の普通預金口座(口座番号〇〇〇〇)に振り込む方法により支払う。
乙は、甲に対し、本件事故により甲が被った物的損害の賠償として、80万円の支払義務があることを認め、令和8年8月8日限り、アトム銀行 ミライ支店の甲名義の普通預金口座(口座番号〇〇〇〇)に振り込む方法により支払う。 - 自損自弁の場合
甲・乙それぞれの損害額を各自負担する。
(3)支払先が異なる場合の書き方
修理費やレッカー代は直接、修理工場や保険会社に対して支払うことも多いです。
このように賠償金の支払先が異なる場合は、それぞれの支払金額や支払先の名称、振込口座などを記載します。
示談書の記載例
「乙が甲に対し支払う30万円のうち、25万円はサクラ修理工場名義の下記振込先口座へ、5万円はチューリップ保険会社名義の下記振込先口座へ支払う。」
(4)人身損害の示談が終わっていない場合の留保条項
ケガなど人身損害の示談が終わっていない段階で、物件損害の示談を先に行う場合には、示談書に、人身損害の示談が終わっていないことを明記します。
示談書の記載例
「本示談は、本件事故に起因する物件損害に関する和解を目的とするものであり、甲が被った人身損害に係る損害賠償請求権については本示談の対象外とし、一切影響を及ぼさないものとする。甲及び乙は、当該人身損害について後日別途協議するものとする。」
交通事故の示談書のその他の記載事項
交通事故の示談書の示談条件については、以下のような取り決めも可能です。
- 違約条項
- 連帯保証条項
違約条項
違約条項とは、示談金が期日までに支払われなかった場合に支払う必要がある違約金(遅延損害金)に関する条項のことです。
示談の相手が保険会社の場合は、示談金の支払いが遅れることは基本的にありません。
一方、示談の相手が加害者本人の場合は、保険会社のように資力が十分でないために、支払いが遅れる可能性があります。違約条項は、支払い逃れを避けるために重要なものです。
示談書の記載例
(分割払いの場合)
「乙が上記支払いを一度たりとも怠った時は、乙は甲からの催告を要せずして期限の利益を失い、乙は甲に対し、直ちに第〇条の損害金から既払金を控除した残金および残金に対する期限の利益を喪失した日の翌日から支払済みまで年〇〇パーセントの金員を支払わなければならない。」
なお、文中の「期限の利益」とは、期日まで支払いを待ってもらえる利益のことです。
「期限の利益を喪失する」とは、分割払いをやめてすぐに一括で支払うことを指します。
連帯保証条項
場合によっては、連帯保証条項も示談書に記載することがあります。
連帯保証条項とは、保証人が示談金の支払い義務を持つ人と連帯し、支払いの責任を持つことを示す条項のことをいいます。
連帯保証条項を記載すれば、被害者は加害者と連帯保証人のどちらにも示談金の全額を請求することが可能です。
加害者が未成年である場合や、加害者に明らかに支払い能力がないと思われる場合は、連帯保証条項の記載を検討してもよいでしょう。
示談書の記載例
「丙(連帯保証人)は、本件交通事故に関する乙の甲に対する債務を連帯して保証するものとする。」
交通事故の示談書の作成時のポイント
交通事故の示談書を自分で作成することになった場合は、以下の点を意識してみましょう。
- 示談書はシンプルなひな形・テンプレートを使う
- 示談書は箇条書きなどで簡潔にまとめる
- 示談書はパソコンで作成できる(署名・捺印以外)
- 示談内容が守られるか不安な時は公正証書にする
それぞれについて解説していきます。
示談書はシンプルなひな形・テンプレートを使う
示談書は、必要な情報が盛り込まれていればどのようなひな形・テンプレートを使っても構いません。
本記事内で紹介したような穴埋め式のシンプルなものを使えば、記載漏れを防げるうえ、作成の手間も省けるでしょう。
示談書は箇条書きなどで簡潔にまとめる
本記事内で紹介したひな形・テンプレートの中でも、事故状況・原因については穴埋めではなく自由記述のようになっています。
どのように書けばよいか迷いがちですが、箇条書きで簡潔にまとめる形で問題ありません。
無理に文章にまとめようとして内容が複雑になったり、わかりにくくなったりすると、加害者側との間で解釈のずれが生じ、トラブルになる可能性もあります。
誰が見ても同じように理解できるよう、簡潔にまとめることがポイントです。
示談書はパソコンで作成できる(署名・捺印以外)
示談書は、必ずしもすべてを手書きで作成する必要はありません。実務上は、本文をパソコンで作成し、署名・捺印のみを自筆で行う形式が一般的です。
パソコンで作成することで、誤字脱字の修正や内容の調整がしやすくなり、読みやすい示談書を作成できます。
ただし、署名や押印を行った後は、内容を簡単に変更できなくなるため、印刷前に示談条件が正しいかを十分に確認することが重要です。
示談内容が守られるか不安な時は公正証書にする
被害者側で示談書を作成する場合、加害者が任意保険に入っていないケースが多いでしょう。
この場合、示談書を作成し署名・捺印をしても、加害者側が期日通りに示談金を振り込まないなどのトラブルが起こる可能性があります。
こうしたことを防ぐためには、示談書を公正証書にしておくと安心です。
公正証書とは、当事者の依頼を受けて公証人が作成する公的な文書です。
示談金の支払いについて、「支払われない場合はすぐに強制執行できる」という条項(執行認諾文言)を入れた公正証書を作成しておけば、支払いが遅れたときに、裁判を起こさずに強制執行を行うことが可能です。
示談書を公正証書にするには、公証役場に出向く手間と一定の作成費用が掛かります。しかし、加害者側からの支払いに不安がある場合には、示談書を公正証書化するメリットがあるといえます。
示談書を公正証書で作成する手続き
- 示談書を作成する
- 公証人のいる公証役場に申し込みをする
- 予約日に当事者全員で公証役場へ行く
- 公証人が公正証書を作成する
※執行認諾文言をつけてもらう
加害者が保険未加入の場合は、さまざまなリスクが想定されます。『任意保険未加入で自賠責保険のみの加害者と事故…請求はどうする?加害者の末路は?』にて、注意点をご確認ください。
交通事故の示談書への署名・捺印前は内容を入念に確認
示談書に署名・捺印すると、原則として示談の撤回や再交渉などはできません。交通事故の賠償金で不利にならないようにするには、署名・捺印前にしっかり内容を確認することが重要です。
ここでは、特に、交通事故の示談書で確認すべき項目と、内容に問題があった時の対処法などを解説します。
示談書で特に確認すべきチェックポイント3つ
示談書に署名・捺印をする前は、内容を入念に確認することが重要です。特に、示談金額・過失割合・清算条項の3点は、後から大きなトラブルにつながりやすいため、必ずチェックしましょう。
示談金額
これ以上増額の余地はないか、最後に改めて確認しましょう。
加害者側の任意保険会社が提示してくる示談金額、なかでも慰謝料は、保険会社独自の基準で計算されています。
これは、過去の判例に基づく基準(弁護士基準)に沿った金額よりも低額であることがほとんどです。
弁護士基準で計算しなおせば2倍~3倍の金額になることもあるので、きちんと確認することが重要です。
交通事故の過失割合
交通事故の過失割合は事故時の状況から算定されます。
しかし、その事故固有の細かい状況まで踏まえて算定するため、似たような事故でも同じような過失割合になるとは限りません。
「類似する事故でこれくらいの過失割合だったから、今回もそのようになる」などと言われて納得してしまっている場合は、交渉の余地が残っている可能性があります。
過失割合が1割変わるだけでも、実際に受け取れる示談金額は変わります。最後によく確認してみましょう。
清算条項
成立した示談について、あとから蒸し返されないために重要な項目です。
あとになって、加害者側が「やはり示談金額に納得がいかない」などと言ってくる可能性も否定できません。
示談成立と示談金の振り込みをもってこの件は終わりとし、安心して日常生活に戻っていくためにも、清算条項はしっかり盛り込んでおきましょう。
ただし、人身事故の場合は、示談時には気づきようのなかったケガなどがあとから発覚することもあります。
そうした場合にはきちんと賠償請求ができるよう、「後から新たな損害が発覚した場合は、別途交渉する」旨も記載しておくと安心です。
示談書の内容に不備・間違いがあった時の対処法
交通事故の示談書の内容に誤りや不備が見つかった場合は、署名・捺印をする前であれば修正を求めることが可能です。
気になる点がある場合は、そのまま署名せず、保険会社や相手方に訂正を依頼しましょう。
一方、署名・捺印をした後は、示談内容を変更することは原則として困難になります。
内容次第では無効を主張できるケースもありますが、実務上はハードルが高いのが現実です。
そのため、少しでも不安がある場合は、署名前に弁護士へ相談することが重要といえます。
示談成立後のトラブルについて詳しくは、『交通事故の示談後、撤回や追加請求は可能?後遺障害があとから発覚したら?』をご覧ください。
示談書の最終チェックは弁護士に任せると安心
交通事故の示談書の最終チェックは、弁護士に任せることがおすすめです。
弁護士であれば、以下の点について専門的な視点から確認ができます。
- 示談書の内容に漏れがあったり、被害者に不利になるような記載があったりしないか
- 記載されている示談金額や過失割合は適切か
もし示談書の内容や示談金・過失割合について訂正が必要になったとしても、弁護士に交渉を任せられます。
示談成立が近づくほど、当事者同士で条件の見直しを求めることは難しくなりがちです。
その点、弁護士を立てることで、示談金額や過失割合についても適切に交渉でき、不利な条件で示談してしまうリスクを抑えることができます。
自己負担なしで示談書を弁護士に依頼できる方法
弁護士費用が不安な方には、自動車保険や火災保険などのオプションである「弁護士費用特約」の利用をおすすめします。
弁護士費用特約とは、保険会社に弁護士費用を負担してもらえる特約のことです。多くの場合、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを保険会社に負担してもらえます。
弁護士費用が300万円を超えることは少ないため、自己負担なしで弁護士に依頼できるケースも非常に多いです。

弁護士費用特約を利用しても、基本的に翌年以降の保険料は上がりません。
被害者本人だけではなく、被害者の家族が契約している保険の弁護士費用特約も使える可能性があるため、まずは保険の契約状況を確認してみましょう。
関連記事
署名・捺印の前に一度弁護士へ無料相談を
示談書の内容に少しでも不安がある方は、サインする前にアトム法律事務所へご相談ください。弁護士費用特約をお持ちの方は、実質無料でご依頼いただけるケースも多くあります。
交通事故の示談書の作成者と作成のタイミング
示談書は、交通事故の加害者か被害者、あるいはその代理人(保険会社や弁護士)が作成します。基本的には、以下のいずれかになるでしょう。
- 加害者が任意保険に加入している:加害者側の保険担当者が作成
- 加害者が任意保険に加入していない:加害者または被害者が作成
それぞれのケースについて、示談書作成のタイミングも合わせて解説します。
加害者が任意保険に加入している場合
加害者側が保険担当者を立てている場合、加害者側の保険担当者が示談書を作成し、郵送してくることが一般的です。
示談書はまず、示談開始のタイミング(ケガが完治し治療が終わった時、または後遺症が残り後遺障害認定が終わった時)で作成され、送られてきます。
ただし、これはあくまでも示談内容の提案であり、確定したものではありません。内容を確認し、問題点があれば署名・捺印せずに示談交渉をしましょう。
その後、示談が成立したタイミングで、改めて加害者側の保険担当者が示談書を作成し、送ってきます。内容を確認して問題なければ署名・捺印して返送しましょう。
加害者が任意保険未加入の場合
加害者が任意保険未加入の場合、示談書は加害者または被害者が作成します。
基本的には加害者が、示談開始のタイミングで示談書を送ってくるので、内容を確認して問題があれば交渉をします。その後、示談が成立した時に加害者が改めて示談書を作成してくるので、署名・捺印をしましょう。
ただし、待っていても加害者が示談書を送ってこず、示談交渉が始まらない場合は、被害者側が示談書を作成して加害者に送り、交渉を持ち掛けます。
このとき、内容証明郵便にして示談書を送ると、「示談書を送ったのに無視された」という事態を防ぎやすくなります。
その後、示談が成立したら被害者側が改めて示談書を作成し、加害者に署名・捺印を求めましょう。
交通事故の示談の流れについて詳しく知りたい方は、関連記事『交通事故の示談の流れと手順を完全解説!事故から入金までの期間と手続き』をご覧ください。
交通事故の示談書に関するよくある質問
交通事故の示談書について、以下の質問にお答えします。
- 物損事故と人身事故で示談書の内容は変わる?
- 保険会社に示談書を返送してから支払いまでの期間はどれくらい?
- 示談書作成後に無効を主張できるケースはある?
- 示談書の作成に期限はある?
Q.物損事故と人身事故で示談書の内容は変わる?
示談書の記載内容は基本的に変わりませんが、示談金の内訳は変わります。
物損事故とは、人のケガがなく、物の損害だけが発生した交通事故のことをいいます。一方、人のケガが発生した交通事故のことを人身事故といいます。
物損事故での主な損害項目は、車の修理費用や代車費用、評価損(事故による車の価値下落)などになります。
物損のみでは原則、慰謝料が発生しません。これが人身事故との大きな違いです。
物損事故の示談について詳しく知りたい方は、『物損事故の示談の流れと示談金相場|交渉時の注意点も解説』をご覧ください。
Q.保険会社に示談書を返送してから支払いまでの期間はどれくらい?
送付されてきた示談書を保険会社に返送してから示談金の支払を受けられるまでには約1~2週間かかるのが通常です。
返送してから保険会社の担当者の手元に届くまでに約数日~1週間かかり、担当者が社内の支払い手続きに回してから実際に支払い手続きが取られるまでにも約数日~1週間かかるからです。
上記の期間が経過しても支払いがない場合には、保険会社に連絡してみるとよいでしょう。
Q.示談書作成後に無効を主張できるケースはある?
示談書は、権限ある当事者間で締結されている限り、原則として有効であり、無効を主張できるケースは限定的なケースのみです。
具体的には、下記のような限定的なケースのみ、無効を主張できます。
- 示談書の内容が公序良俗に違反している
- 無権限者によって示談書が締結された
- 錯誤、詐欺、強迫等によって示談書が締結された(この場合正確には取り消しが可能となる)
そのため、示談書に署名捺印して返送する前に、示談書の内容に間違いがないかをよく確認することが大切です。
Q.示談書の作成に期限はある?
損害賠償請求権の時効完成前に作成すべきです。
交通事故の損害賠償請求権の時効は、5年と法律で定められています。
ただし、事故の損害のうち、物損に関する部分は3年です。
正確には時効完成後にも示談書を作成することも可能ですが、相手側から損害賠償請求権の時効消滅を主張されるリスクを避けるためには、損害賠償請求権の時効完成前に示談書を作成するのが確実です。
交通事故の示談の期限について詳しく知りたい方は、関連記事『交通事故の示談に期限はある?時効期間と時効の延長方法』をご覧ください。
交通事故の示談書へのサイン前に確認を
電話・LINEで弁護士に無料相談(24時間ご予約受付)
示談書へのサインは、交通事故の損害賠償問題が確定する最後の重要な行為です。
「これでいいのだろうか」と感じたら、いったん立ち止まることが大切です。
示談書を作成するときは、被害者にとって不利な条件で合意せずに、納得のいく示談をするためにも、一度弁護士に相談しておくことをおすすめします。
アトム法律事務所は、電話・LINEによる弁護士への無料相談を実施しています。
ご自宅からスキマ時間で相談できるのがアトム法律事務所の強みです。
「示談金の増額見込みはある?」「示談書に被害者にとって不利な内容はない?」など、ちょっとした内容でも気軽にご相談ください。
もちろん、無料相談のみの利用も大丈夫です。強引に契約を迫るようなことはありません。
相談予約は24時間365日受付しております。まずはお気軽にお問い合わせください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

