交通事故の示談書の書き方|テンプレート有り!記載すべき7項目や注意点を徹底解説

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交通事故の示談書

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の示談書とは、示談で合意した内容を記した書類のことです。

交通事故の被害にあったとき、加害者が任意保険に加入しているなら、保険会社が示談書を作ることが多いでしょう。

加害者が任意保険に加入していないなら、当事者のどちらかが示談書を作ります。このとき、被害者が自分で示談書を作ることも可能です。

「保険会社から送られてきた示談書にサインしてしまっていいかわからない」
「自分で示談書を作りたいがどう書けばいいかわからない

この記事では、上記のような方に向けて、交通事故の示談書の書き方や注意すべきポイントを解説しています。ぜひご一読ください。

交通事故の示談書のテンプレート(ひな形)

示談書とは、示談で合意した内容を記した書類のことです。

示談とは、交通事故で生じた損害賠償問題を話し合いで解決することを言います。加害者側と被害者側がどちらも示談内容に合意したら、示談書を交わし、示談成立となります。

交通事故問題に関する示談書のテンプレートは、以下のとおりです。

示談書のテンプレート

文字でのテンプレートが必要な方は、以下をご利用ください。

示談書

当事者(甲)
住所 〇〇県〇〇市〇〇町1-1-1
氏名 〇〇 〇〇
車両登録番号 品川〇〇〇あ〇〇〇〇

当事者(乙)
住所 〇〇県〇〇市〇〇町1-1-1
氏名 〇〇 〇〇
車両登録番号 品川〇〇〇あ〇〇〇〇

一、事故発生日時
令和〇年〇月〇日〇時〇分頃

二、事故発生場所
〇〇県〇〇市〇〇町1-1-1路上の交差点

三、事故発生状況
上記日時場所において、左折しようとした甲運転の加害車両が、直進していた乙運転の被害車両に接触し、同車両に損害を与え、乙に傷害を与えたもの。

四、示談条項

1.甲は乙に対し、本件事故により乙が被った一切の損害に対する賠償として、既払い金〇〇円のほか、金〇〇円の支払い義務のあることを認め、これを一括して令和〇年〇月〇日限り、乙指定の銀行口座に送金する方法により支払う。

2.甲が前項の損害賠償金の支払いを怠ったときは、甲は乙に対し、上記損害賠償金に付加して違約金〇〇円を支払う。

3.将来乙に本件事故と相当因果関係があり、かつ自賠法施行令による認定を受けた後遺障害が発生した場合は、それに関する損害賠償請求権を留保し、別途協議する。

4.甲乙間には、本件事故については、本件示談条項に定める他には一切の債権債務がないことを確認する。

上記交通事故については、当事者間で上記の通り示談が成立したため、その証として本示談書2通を作成し、甲並びに乙が各1通を保管する。

示談成立日 令和〇年〇月〇日

当事者(甲)
運転者 住所 〇〇県〇〇市〇〇町1-1-1 
    氏名 〇〇 〇〇      印 

当事者(乙)
運転者 住所 〇〇県〇〇市〇〇町1-1-1 
    氏名 〇〇 〇〇      印 

実際に示談書を取り交わす際は、各保険会社のテンプレートを用いることになるでしょう。その場合も、示談書に含まれる項目はおおむね同じです。

なお、示談書のタイトルが「免責証書」「合意書」になっていることもありますが、効果にほとんど違いはありません。

交通事故の示談書の書き方|重要7項目を詳しく解説

次に、示談書の各項目について、書き方や意味合いを詳しく解説していきます。

(1)事故の当事者

事故の当事者として、加害者・被害者の名前・住所・車両番号などを記載します。

事故を起こした運転者と車両の所有者が異なる場合は、車両の所有者の記載も必要です。

被害者が歩行者や自転車の場合は、車両番号は不要となります。

なお、加害者側と被害者側のどちらを「甲」、どちらを「乙」にするかについては明確なルールはありません。多くの場合、加害者側が「甲」となります。

(2)事故の詳細

どの事故について示談したのか特定するため、以下のような事故の詳細を記載します。

  • 事故の発生日時
  • 事故の発生場所
  • 事故の発生状況

事故の詳細は、交通事故証明書を参考にして簡潔に記載しましょう

交通事故証明書は、「自動車安全運転センター」で発行してもらえます。ただし、発行には事故の発生を警察に届け出ておくことが必要です。

交通事故証明書の入手方法については、『交通事故証明書はなぜ必要?どうやって入手する?申請方法と記載内容』の記事で紹介しています。

(3)示談条件

示談の諸条件として、以下のような情報を記載します。

  • 既払い金
    (治療費など、すでに支払いを受けた金額)
  • 示談金額
    (最終的に支払いを受ける金額)
  • 支払い方法
    (口座振込か現金か、一括払いか分割払いかなど)
  • 支払い期日
    (目安としては、示談成立から30日程度)

示談金額

示談金額は、損害額から過失相殺分と既払い金を控除した金額になります。過失相殺とは、被害者についた過失割合に応じて、最終的に支払われる金額が減ることを言います。

損害額は、示談の過程で別紙にまとめられることが多いでしょう。

示談金の内訳や相場を確認したい場合は、関連記事『交通事故の示談金|内訳・金額から示談交渉まですべて解説』をご一読ください。

支払い方法

示談金の支払い方法は、示談の相手が保険会社の場合は基本的に一括払いとなるでしょう。

示談の相手が加害者本人の場合は、分割払いとなることがあります。

分割払いとするなら、以下のように、分割回数や1回の支払いで支払われる金額を記載するようにしましょう。

分割払いの記載例

甲は、乙に対し金〇〇万円を支払うこととし、これを令和〇〇年○○月末日から令和〇〇年○○月末日まで合計〇回に渡り、毎月末日に金〇万円ずつ、乙の銀行口座に送金する方法で支払う。

(4)違約条項

違約条項とは、示談金が期日までに支払われなかった場合の違約金などについての条項のことです。

示談の相手が保険会社の場合は、示談金の支払いが遅れることは基本的にありません。

一方、示談の相手が個人の場合は、違約条項は支払い逃れを避けるために重要になります。

違約条項の記載例

(分割払いの場合)

甲が上記支払いを一度たりとも怠った時は、甲は乙からの催告を要せずして期限の利益を失い、甲は乙に対し、直ちに第○条の損害金から既払金を控除した残金および残金に対する期限の利益を喪失した日の翌日から支払済みまで年○○パーセントの金員を支払わなければならない。

なお、文中の「期限の利益」とは、期日まで支払いを待ってもらえる利益のことです。
「期限の利益を喪失する」とは、分割払いをやめてすぐに一括で支払うことを指します。

(5)留保条項

留保条項とは、示談を結んだあとに、思いがけず新たな損害が発覚することに備える条項のことです。

原則として、一度示談を締結したら追加の損害賠償を求めることはできません。

しかし、示談後に新たに後遺障害が発覚した場合や、そのために大きな手術が必要になった場合などに、追加の金銭を一切支払ってもらえないのは不合理です。

上記のようなケースに備えて、「後から損害が発覚した場合は、別途協議する」旨の留保条項を記載しておくと、不測の事態に対応しやすくなります。

なお、前章で紹介したテンプレート中の留保条項は、示談を結ぶ段階で後遺障害が認定されていない場合を想定しています。示談書を結ぶ段階で後遺障害が認定されている場合は、以下のような文言に変更してください。

留保条項の記載例

(後遺障害が既に認定されている場合)

将来乙に本件事故を原因とする後遺障害等級〇級を超える後遺障害が新たに認定された場合は、それに関する損害賠償請求権を留保し、別途協議する。

(6)清算条項

清算条項とは、示談によって損害賠償問題がすべて解決されることを確認する条項です。

清算条項を記載することで、「加害者も被害者も事故に関する金銭をこれ以上請求しない」ことを示すことになります。

清算条項の記載例

  • 甲と乙は本件交通事故に関し、本示談書に定めるもののほかに、甲乙間に何の債権債務がないことを相互に確認する。
  • 金●●円を受領したときは、その余の請求を放棄するとともに、甲に対し、今後裁判上・裁判外を問わず、何ら異議申立て、請求および訴えの提起等をいたしません。
    (免責証書)

(7)署名・捺印

署名・捺印は、示談書を作成したのが当事者本人であること、本人が内容に合意したことの証明となります。

示談書を作成するときは、当事者の双方が末尾に署名・捺印をする必要があります。あわせて、示談書を作成した日付も記載しましょう。

その他の記載することがある項目

場合によっては、以下のような項目も示談書に記載することがあります。

  • 過失割合
  • 連帯保証条項 など

それぞれの項目の意味合いと記載例を見ていきましょう。

過失割合

過失割合とは、交通事故で発生した損害について、加害者と被害者にそれぞれどのくらいの過失(責任)があったかを示した割合のことです。

先述のとおり、被害者側にも過失割合がついた場合、最終的に支払われる金額が減ってしまいます。このように、過失割合は最終的な示談金額にも関わるため、示談書に記載することがあるのです。

過失割合の記載例

責任割合 甲〇% 乙〇%

過失割合について詳しく知りたい方は『交通事故の過失割合とは?決め方と示談のコツ!事故パターン別の過失割合』の記事をご覧ください。

連帯保証条項

連帯保証条項とは、保証人が示談金の支払い義務を持つ人と連帯し、支払いの責任を持つことを示す条項のことを言います。

連帯保証条項を記載すれば、被害者は加害者と連帯保証人のどちらにも全額の損害賠償を請求できます。

加害者が未成年である場合や、加害者に明らかに支払い能力がないと思われる場合は、連帯保証条項の記載を検討してもよいでしょう。

連帯保証条項の記載例

丙(連帯保証人)は、本件交通事故に関する甲の乙に対する債務を連帯して保証するものとする。

交通事故の示談書の基礎知識

次に、示談書の効力、作成者、作成の流れといった基礎知識を確認していきましょう。

示談書の効力は?

示談は、民法695条において規定されている和解契約の一種です。

示談書は、示談の内容や当事者の合意を示した書類ですから、契約書として一定の法的効力を持ちます

もしも、加害者側が期日までに決められた金額を支払わない場合は、被害者側は示談書を根拠にして支払いを求めたり、裁判を起こしたりすることが可能です。

なお、示談書は示談成立したら必ず作成しないといけないわけではありません。

ただし、示談内容に双方の認識違いがあった、示談金が支払われないといったトラブルが起きたときに対処するためにも、示談書の作成は強く推奨されます。

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示談書を作成するのは誰?

示談書を作成するのは、加害者が任意保険に加入しているなら加害者側の任意保険会社、加入していないなら加害者または被害者です。

多くの場合、加害者は加入している任意保険の示談代行サービスを利用します。よって、加害者側の任意保険会社が示談書を作成するパターンが多くなるでしょう。

一方、加害者が任意保険に加入していない場合、事故の当事者のどちらかが示談書を作成しなければいけません。

示談書には支払い期日などを記載する必要があるため、一般的には支払いの責任がある加害者側が作成することが多いです。ただし、加害者が交渉に消極的な場合は、被害者側で示談書を作成することもあるでしょう。

なお、示談書を保管するのは当事者全員です。事故の当事者が2名であれば、示談書は2通作成され、それぞれ1通ずつ保管することになります。

示談書を作成するタイミングや流れは?

示談書を作成するタイミングは、当然ながら示談内容に双方が合意したあとです。

なお、示談交渉は事故によるすべての損害額が確定してからはじめられます。損害額が確定するタイミングは、以下のとおりです。

物損事故修理費の見積もりが出たとき
人身事故(後遺障害なし)事故によるケガが完治したとき
人身事故(後遺障害あり)後遺障害等級が確定したとき
死亡事故法要が終わったとき

示談交渉は、示談内容に大きな争いがなければ1か月~2か月程度で終了します。一方、後遺障害ありの人身事故や死亡事故では、半年以上かかることもあるでしょう。

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示談書を作成する流れは?

示談内容が確定してから示談書を作成する流れは、示談の相手が保険会社か加害者本人かによって異なります。

示談書作成の流れ|相手が保険会社

  1. 示談内容が確定する
  2. 加害者側の任意保険会社が示談書を作成する
  3. 加害者が署名・押印する
  4. 被害者が任意保険会社に加入している場合は、示談書が被害者側の任意保険会社に渡される
  5. 被害者が署名・押印する
  6. 被害者・被害者側の任意保険会社・加害者・加害者側の任意保険会社がそれぞれ示談書を保管する

示談書作成の流れ|相手が個人

  1. 示談内容が確定する
  2. 当事者のどちらかが示談書を作成する
  3. 示談書を作成した当事者が署名・押印する
  4. もう片方の当事者が署名・押印する
  5. 被害者と加害者がそれぞれ示談書を保管する

示談書を作成する期限は?

交通事故の損害賠償請求権には時効があります。よって、時効が完成するまでに示談書を作成し、示談締結に至る必要があります。

損害賠償請求権の時効が消滅するのは、以下のタイミングです。

物損事故事故発生日の翌日から3年
人身事故(後遺障害部分以外)事故発生日の翌日から5年
人身事故(後遺障害部分)症状固定日の翌日から5年
死亡事故死亡した日の翌日から5年

※2017年4月1日以降に発生した交通事故に適用

もし、時効の完成が迫っている場合は、弁護士に依頼し、時効を更新する措置をしてもらうことを強くおすすめします。

なお、時効完成阻止の手段は近年の法改正により変更されています。詳しくは『交通事故被害者が知っておくべき2020年4月1日以降の変更点5選』の記事をご覧ください。

示談書と免責証書の違いは?

先述のとおり、加害者側の任意保険会社からは、「示談書」ではなく「免責証書」が送られてくることがあります。

示談書と免責証書は、その効果にほとんど違いがありません

なお、免責証書と示談書は、細かな形式の面で違いがあります。示談書は加害者と被害者の署名・捺印が必要ですが、免責証書は被害者のみ署名・捺印を行います。

署名・捺印するのが被害者のみでよい理由は、免責証書が「書類に記載された金額が支払われたら、これ以上加害者に請求しない」といったように、被害者が加害者を免責することを示す書類であるためです。

そのため、免責証書は被害者に過失がない交通事故で作成されることが多いです。被害者に過失がない交通事故の注意点は、『交通事故で過失割合が10対0になる場合とは?』の記事でまとめています。

示談後に作成される書類のタイトルには、他に「事故解決に関する承諾書」「合意書」などがありますが、基本的に効果はすべて同じです。

ただし、「物損の示談書」「人身損害に関する承諾書」など、損害内容について特定している示談書は、特定された損害についてのみ効果が生じることに注意してください。

示談書を取り交わすと原則的に撤回不可!

示談書を一度取り交わすと、原則的に撤回・再交渉することはできません

示談書に記載されている清算条項は、示談した内容以外の損害賠償請求をしないこと、損害賠償問題についてこれ以上争わないことを確認するものです。

示談書に署名・捺印すれば、上記のような法的拘束力が発生し、撤回・再交渉ができなくなります。

よって、示談書を取り交わす前に、内容をよく確認することが重要になります。署名・捺印してよいか不安な場合は、法律の専門家である弁護士に相談するとよいでしょう。

示談書の作成で注意すべき5つのポイント

先述のとおり、示談書を一度取り交わすと原則的に撤回・再交渉はできません。
この章では、示談書を取り交わすときに注意して確認したいポイントを5つ紹介します。

(1)示談金の内訳に漏れはない?

示談金には、慰謝料、治療費、休業損害などさまざまな項目が含まれます。示談書を取り交わすときは、示談金の内訳に漏れがないか確認することが大切です。

以下に、人身事故における損害賠償請求のチェックリストを用意しました。
示談金の内訳を確認する際に、ぜひご活用ください。

人身事故損害賠償請求のチェックリスト

(2)示談金は適正な金額?

加害者側の保険会社が提示する示談金は、相場より大幅に低いことが多いです

示談金の算定には、いくつかの基準があります。保険会社が用いる「自賠責基準」「任意保険基準」で算定すると、示談金は相場より大幅に低い金額になってしまうのです。

法的にもっとも適正な相場と言えるのは、裁判所や弁護士が用いる「弁護士基準(裁判基準)」で計算した金額です。

弁護士基準で計算した示談金が、保険会社の基準で計算した示談金の2倍~3倍になることも珍しくありません

慰謝料金額相場の3基準比較

示談金の一部の費目については、以下の計算機で弁護士基準の金額を確認できます。
提示された示談金に増額の余地がないか確認するために、ぜひご利用ください。

なお、被害者自身が弁護士基準で計算した示談金を支払うよう主張しても、保険会社は支払いをしぶる傾向が強いです。

そのようなときは、弁護士を立てるとよいでしょう。弁護士が出てくれば、保険会社は裁判に発展することを懸念するため、被害者側の主張が認めてもらえる可能性が大幅に高くなります

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(3)過失割合に納得できる?

加害者側の保険会社は、被害者側の過失割合をあえて低く見積もっていることがあります

過失割合は受け取れる金額を大きく変える要素です。「被害者側の過失割合が高すぎる気がする」「過失割合を変えられる要素がある気がする」といった疑念がある場合は、示談書に署名・捺印をする前に、交通事故に詳しい弁護士に確認してみましょう。

弁護士に相談・依頼すれば、事故の状況や過去の判例をふまえた適切な過失割合を算出してくれます

また、加害者側の保険会社が過失割合の変更を認めたがらない場合、弁護士が交渉することで状況が好転するケースは少なくありません。

交通事故の過失割合に納得いかないときの考え方や対応は、『交通事故の過失割合に納得いかない!変更させるにはコツ・対策が必要』の記事で掘り下げて解説しています。

(4)あとから後遺障害が発覚することを考慮した?

交通事故の示談を結ぶとき注意したいのが、示談後に予想外の後遺障害が発覚するケースがあることです。

たとえば、「示談後に新たな症状が発覚し、それが手術をしても後遺症が残るほどの重傷だった」「示談後に徐々に症状が悪化し、可動域制限が生じた」といった状況が考えられるでしょう。

あとから後遺障害が発覚した場合、一定の要件を備えていたら示談をやり直すことが可能です。しかし、加害者側が再交渉を認めないことも非常に多いです。

このような場合に備えて、示談書に留保条項を記載しておけば、よりスムーズに再交渉を行えるでしょう。

ただし、事故からある程度の時間が経過していると、「後遺症は事故と関係がない」として加害者側に損害賠償請求を認めてもらえない可能性が高いです。

あとから後遺障害が発覚した場合は、交通事故に精通した弁護士にすみやかに相談することを心に留めておいてください。

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(5)支払いの確実性を高める工夫を検討した?

加害者が任意保険に加入しておらず、個人で賠償する場合は、示談金の支払いが遅れたり、そもそも支払ってもらえなかったりする場合もあります。

示談書に以下のような工夫をすれば、支払いの確実性を高められます。

  • 示談書を公正証書で作成する
  • 連帯保証人を立てさせる

それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

示談書を公正証書で作成する

公正証書とは、私人からの依頼により公証人が作成する文書のことです。

公正証書にすることで、文章の成立に不正がなかったこと、内容が正しいことに強い推定がはたらきます。

公正証書に「支払いを怠った場合は強制執行されてもかまわない」ことを示す「執行認諾文言」をつければ、裁判を行わずに示談内容を強制執行できるようになります。

示談書を公正証書にする手続きは、原則的に以下のとおりです。

示談書を公正証書で作成する手続き

  1. 示談書を作成する
  2. 公証人のいる公証役場に申し込みをする
  3. 予約日に当事者全員で公証役場へ行く
  4. 公証人が公正証書を作成する
    (この際、忘れずに公正証書に執行認諾文言をつけてもらう)

公正証書の作成にはおよそ数万円ほどの手数料がかかります。具体的な金額は公証役場に問い合わせるとよいでしょう。

公証役場の連絡先や所在地は、『日本公証人連合会のホームページ』で確認できます。

連帯保証人を立てさせる

先述のとおり、連帯保証とは、保証人が示談金の支払い義務を持つ人と連帯し、支払いの責任を持つことを言います。

連帯保証人を立てさせれば、加害者本人だけではなく連帯保証人に対しても同じ条件で損害賠償請求を行えるようになります。

請求相手の選択肢が増えることにより、被害者が支払いを受けられる可能性が高くなるでしょう。

連帯保証人を立てさせるときは、示談書に連帯保証条項を付記しましょう。なお、連帯保証人には加害者の親族などを設定することが多いです。

示談書が届いたら弁護士への相談がおすすめ

交通事故の示談書を作成するときは、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
ここからは、示談書作成を弁護士に相談・依頼するメリットを見ていきましょう。

(1)不備のない示談書を作成してもらえる

示談書の作成業務を弁護士に依頼すれば、法律の専門家の視点で不備のない示談書を作成してもらえます

示談書には、清算条項、留保条項、違約条項など、法律に詳しくないと正しい書き方がわからなかったり、そもそも見落としてしまったりする内容が多いです。

ひとつ記述が抜けていたために、あとから数百万円を請求されるケースもあり得ます。

また、どのような文章が法的に適切なのかわからず、示談書の作成自体を負担に感じてしまうこともあるでしょう。

弁護士に示談書の作成を依頼することで、法的に抜けのない文書をスムーズに作成してもらえるため、安心して示談することができるでしょう。

(2)示談金や過失割合で損をしていないか確認してもらえる

先述のとおり、加害者側は支払う金額を抑えるために、示談金を相場より低くしたり、過失割合を被害者にとって不利な数値にしていたりすることがあります

加害者側から送られてきた示談書を見てみると、どの項目についても特殊な計算がなされているため、一見するときちんと計算されたもののように思えてしまいます。

しかしながら、事故の状況、被害者の収入、仕事への影響、必要な治療日数など、あらゆる要素を被害者にとって不利になるように見積もっていることは少なくありません。

弁護士に相談すれば、各項目の正しい計算方法や、変更できる見込みがあるのかを確認してもらえます

また、弁護士が交渉すれば、加害者側は裁判を起こされる可能性を考慮し、示談条件の変更を認めやすくなるでしょう。

弁護士への依頼で示談金や過失割合が変更された実例

実際にアトム法律事務所が受任した案件の中から、弁護士が交渉することで示談金や過失割合を変更できた例を厳選して紹介します。

示談金が増額された事例(1)むちうちのケース

傷病名むちうち
後遺障害等級14級
加害者側の提示額137万円
最終的な示談金額312万円
(2.2倍に増額)

示談金が増額された事例(2)足首骨折のケース

傷病名足首骨折、踵可動域制限など
後遺障害等級併合11級
加害者側の提示額358万円
最終的な示談金額1,649万円
(4.6倍に増額)

過失割合が変更された事例

加害者側の主張する過失割合加害者:被害者=7:3
最終的な過失割合加害者:被害者=9:1
最終的な示談金額100万円

(3)加害者側とのやり取りを任せてしまえる

弁護士に依頼すれば、加害者側との連絡窓口が弁護士に一本化されます

そのため、被害者本人は加害者側とやり取りする必要がなくなり、治療や仕事に集中できるようになるのです。

加害者側の保険会社に横柄な態度を取られてストレスを感じる、強引に交渉を進められて困っているといった方は、とくに弁護士への依頼はメリットが大きいでしょう。

保険会社とのやり取りに疲れてしまい、不利な条件で示談書を交わしてしまう方は少なくありません。弁護士に依頼すれば、このような事態も回避できるようになります。

【ポイント】保険を使えば自己負担なしで弁護士依頼も可能

弁護士費用が不安な方には、自動車保険や火災保険などのオプションである「弁護士費用特約」の利用をおすすめします。

弁護士費用特約とは、保険会社に弁護士費用を負担してもらえる特約のことです。多くの場合、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを保険会社に負担してもらえます。

弁護士費用が300万円を超えることは少ないため、自己負担なしで弁護士に依頼できるケースも非常に多いです。

弁護士費用特約とは弁護士費用を保険会社にまかなってもらえる特約のこと

弁護士費用特約を利用しても、基本的に翌年以降の保険料は上がりません。

被害者本人だけではなく、被害者の家族が契約している保険の弁護士費用特約も使える可能性があるため、まずは保険の契約状況を確認してみましょう。

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自宅から弁護士に無料相談!電話・LINE相談の窓口

示談書を作成するときは、被害者にとって不利な条件で合意してしまわないためにも、一度弁護士に相談しておくことをおすすめします。

アトム法律事務所は、電話・LINEによる弁護士への無料相談を実施しています。

ご自宅からスキマ時間で相談できるのがアトム法律事務所の強みです。

「示談金の増額見込みはある?」「示談書に被害者にとって不利な内容はない?」など、ちょっとした内容でも気軽にご相談ください。

もちろん、無料相談のみの利用も大丈夫です。強引に契約を迫るようなことはありません。

相談予約は24時間365日受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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