交通事故の裁判にかかる期間はどのくらい?裁判期間が長引く訴訟類型
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交通事故の被害にあったら、まずは相手方との示談によって解決を目指します。
示談による解決が叶わなかった場合は、裁判を検討することになるでしょう。
しかし、裁判には「解決まで長い期間がかかる傾向にある」というデメリットもあります。
裁判による解決までの期間は、少なくとも6月から1年程度かかることが多く、長ければ2年を超える場合もあるのです。
この記事では、交通事故の裁判にかかる期間を統計をもとに解説します。
あわせて、とくに裁判が長くなるケースや、長い期間がかかっても裁判をすべきケースを紹介するので、ぜひご参考ください。
目次

交通事故の裁判にかかる期間は?
交通事故の裁判にかかる期間は平均13.3ヶ月
令和5年度の裁判所の統計によると、交通事故の損害賠償をめぐる裁判で、審理の終了までにかかる平均期間は13.3ヶ月です。
なお、これは訴訟中に和解した事案も含んだ期間です。
判決の出た裁判に限定すると、平均期間は20.3ヶ月となります。
また、訴訟は第一審で終わるとは限りません。
控訴審・上告審と訴訟が展開していくと、さらに訴訟期間は長くなります。
統計では、審理期間の割合は以下のようになっています。
平均審理期間 | 割合 |
---|---|
6月以内 | 17.8% |
6月超1年以内 | 40.0% |
1年超2年以内 | 33.3% |
2年超3年以内 | 6.9% |
3年超5年以内 | 1.8% |
5年を超える | 0.1% |
※ 「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」【資料2-2-1】より
※ 令和4年に結審した事件の統計
※ 訴訟中に和解が成立したケースも含む
およそ57.8%の裁判が1年以内に、91.1%の裁判が2年以内に終了していますが、1.9%の裁判は3年以上かかってしまっています。
いずれにせよ、交通事故の損害賠償をめぐる裁判を起こすときは、基本的には1年前後かかることを覚悟しなければなりません。
訴訟中の和解とは?
訴訟中の和解とは、原告側と被告側が、争いとなっている内容および裁判の終了について、裁判所の関与のもと合意することです。
訴訟中の和解についてより詳しくは『交通事故裁判の和解とは?和解率や流れ』の記事が参考になりますので、あわせてご確認ください。
訴訟中に和解が成立すれば、その後の尋問や判決は行われないため、早期解決が期待できます。お互いの主張が十分になされ、争点整理が終了した時点で、和解を勧告される案件が比較的多いでしょう。
裁判所の統計によると、交通事故の民事裁判は65.3%が和解で終わり、19.2%が判決で終わっています。
交通事故の民事裁判の終局原因 | 割合 |
---|---|
和解 | 65.3% |
判決 | 19.2% |
その他(訴えの取下げなど) | 15.5% |
※ 「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」の【資料2-1-2】より
※ 令和4年に結審した事件の統計
民事裁判と刑事裁判の違いとは?
ここまで紹介してきた裁判期間は、民事裁判におけるものです。
裁判には、「民事裁判」と「刑事裁判」があり、それぞれ切り離して考えられるものなので、混同しないよう注意してください。
民事裁判は、私人間の生活における紛争を解決するためのものです。
交通事故の損害賠償問題は、被害者側(損害賠償金の支払いを多くしたい側)と加害者側(損害賠償金の支払いを少なくしたい側)という私人間の間で争われるものなので、民事裁判を通して解決します。
一方、刑事裁判は、検察が交通事故の加害者に懲役・罰金といった刑罰を求めるためのものです。
基本的に、交通事故被害者は刑事裁判の結果に直接かかわることはできません。
加害者が一定の罪状で起訴された場合は、被害者も「被害者参加制度」を利用して刑事裁判に参加できますが、あくまで意見を述べたり質問をしたりする程度の関与にとどまります。
交通事故の裁判の流れと手続きごとにかかる期間
交通事故の裁判の一般的な流れは、以下のとおりです。
交通事故の裁判の流れ

- 裁判所に訴状を提出する
- 口頭弁論を重ねる
- 裁判所による証拠調べや尋問を受ける
- 裁判所による和解勧告がなされる
- 和解が成立したら裁判終了
- 和解が不成立なら判決を受けて裁判終了
- 判決に不服なら上訴(控訴・上告)し、新たな判決を求める
- 裁判終了後、損害賠償金が支払われる
裁判のそれぞれの段階でかかる平均期間は、以下のとおりです。
民事裁判の段階 | 平均期間 |
---|---|
訴え提起~第1回口頭弁論 | 6.4ヶ月 |
第1回口頭弁論~人証調べ開始 | 10.5ヶ月 |
人証調べ開始~終了 | 0.1ヶ月 |
人証調べ終了~弁論終結 | 1.4ヶ月 |
弁論終結~判決 | 1.9ヶ月 |
※ 「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」の【資料2-1-2】より
※ 平均期間は和解で終了したものを含まない
人証調べとは、裁判の当事者や証人に対して尋問(当事者尋問・証人尋問)を行うための手続きです。
統計から、とくに「口頭弁論から人証調べ」にかかる期間が長いことがわかります。交通事故の民事裁判では、口頭弁論は平均で1.1回行われ、間隔は平均2.9ヶ月です。
また、実際に裁判を行う際には、裁判所に訴状を提出する必要があります。訴状の作成を弁護士に任せた場合、かかる期間はおおよそ1ヶ月以内でしょう。
交通事故における裁判の流れについては、『交通事故の裁判の起こし方や流れ』の記事で詳しく説明しています。交通事故の裁判について基本的なことがわかる記事になっていますので、あわせてご一読ください。
交通事故の裁判の期間はどんなとき長くなる?
(1)過失割合に争いがある
交通事故の裁判の期間が長くなる原因には、いくつかの類型があります。
交通事故の裁判が長くなる原因として、まずは過失割合に争いがあることがあげられます。
過失割合とは?
不法行為(交通事故)で発生した損害に対して、当事者がそれぞれどの程度責任を負うかを割合で示したもの。
被害者側にも過失割合が付くと、その割合分、損害賠償金が減額される。
多くの交通事故では、被害者側にも過失割合がつくことになります。
被害者側に過失割合がつくと、その分損害賠償金が減額されるので、過失割合について争うことは珍しくありません。
とくに、交通事故が起こった状況について当事者双方の意見が食い違っていると、争いになることが多いでしょう。
具体的には、以下のような点が争点になることが多いです。
- 当事者は信号を守っていたか
- 当事者の車は速度を守った運転をしていたか
- 当事者の車はウィンカーを出していたか
事故の状況は、車に搭載されているドライブレコーダーや事故現場周辺の防犯カメラ、警察が作成した実況見分調書、目撃者の証言などを通して証明していくことになるでしょう。
過失割合については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご一読ください。
(2)事故で被害者に後遺障害が残った
交通事故で被害者に後遺障害が残った場合も、裁判の期間が長くなる傾向にあります。
後遺障害とは?
交通事故の後遺症のうち、自賠責保険の定める「後遺障害等級」に認定されたもの。
後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益といった新たな損害賠償金を請求できるようになる。
後遺障害が残ると損害賠償金が高額になりやすいため、当事者の言い分に大きな違いが生まれて裁判となることがあります。
また、後遺障害が残ったとき請求できる「逸失利益(後遺障害によって減った将来的な収入の補償)」は、被害者側と相手方でとくに主張が食い違いやすい費目です。
一部の後遺障害が生涯収入に影響するかどうかは、裁判の段階では明確に判断しにくいところです。しかし、後遺障害によって生じる損害への補償額は、裁判の時点で決めてしまわなければなりません。
こうしたことから、後遺障害が残ると損害額に事項に関しての争いが生じやすくなり、裁判が長引いてしまうのです。
(3)事故で被害者が亡くなった
後遺障害と同様に、死亡事故の場合も損害賠償額が高額になりやすいため、当事者間の主張に大きな違いが出てしまい、裁判となることがあります。
また、遺族感情もあるため、互いに譲歩しづらい状況が生まれることも多いでしょう。
さらに、交通事故の当日ではなくしばらく経ってから亡くなった場合は、「交通事故のため亡くなったと言えるのか」といった点で争いになることもあります。
上記のような場合、診断書や治療経過などの証拠品を用いて主張・立証していくことになるでしょう。しかし、専門的分野の判断はむずかしく、証拠品も膨大になります。その結果、裁判が長引いてしまうことも少なくありません。
長い期間がかかっても裁判すべきケースは?
(1)損害賠償請求権の時効が迫っている
交通事故で裁判を起こすことには、期間や費用など、さまざまなハードルが存在します。
しかし、損害賠償請求権の時効が迫っているには裁判を行うべきでしょう。
交通事故による損害賠償の請求には時効期間が設けられています。
原則として、損害および加害者を知った時から、物の損害に対する損害賠償請求権は3年・人身の損害に対する損害賠償請求権は5年経つと時効が完成します。
時効が迫っている場合、裁判を起こすことで、時効の完成を阻止することができます。
訴訟を起こせば訴訟が終了するまで時効の進行がストップし(時効の完成猶予)、確定判決が出るとそれまでの時効の進行がリセットされ、新たなカウントが始まるのです(時効の更新)。
よって、損害賠償請求権の時効が迫っている場合は、裁判を起こすことを検討するとよいでしょう。
なお、時効の完成猶予の手段には、他にも以下のようなものがあります。
債務の承認※ | 時効の更新 |
訴訟の提起 | 訴訟終了まで時効の完成猶予 |
訴えの取下げ | 手続終了から6ヶ月が経過するまで時効の完成猶予 |
判決・和解・調停成立 | 時効の更新 |
調停の申立て | 調停終了まで時効の猶予 |
調停の不調 | 手続終了から6ヶ月が経過するまで時効の完成猶予 |
催告 | 催告から6ヶ月が経過するまで時効の完成猶予 |
※損害賠償金の一部支払い、時効更新の承認をしてもらうなど
(2)より多額の慰謝料や遅延損害金を請求したい
示談交渉で相手方から提示された損害賠償金額に納得がいかないときは、裁判がひとつの選択肢となります。
裁判で認められる損害賠償金の金額は、「弁護士基準(裁判基準)」と呼ばれる算定基準にのっとったものです。この金額は、相手方の任意保険会社が提示してくる金額よりも大幅に高いことがほとんどです。
なお、裁判を起こさなくても、示談交渉で弁護士を立てれば弁護士基準の8~9割程度の金額を受け取れることが少なくありません。
しかし、裁判なら弁護士基準の金額が満額認められる可能性があるのです。
また、判決により損害賠償金の支払いが認められると、遅延損害金の請求も認められます。
遅延損害金とは、損害の発生(交通事故の発生)から損害賠償金の支払いが遅れたことによる利息のようなものです。遅延損害金は、示談した場合には支払われないことが大半です。
裁判をしても和解で終了した場合は、遅延損害金を請求しない場合も多いので、遅延損害金までしっかりと請求したい場合には、期間がかかっても判決となるまで裁判を続けましょう。
遅延損害金については、『交通事故の遅延損害金|支払いを受けられるケースや計算方法は?』の記事で詳しく解説しています。
(3)示談が決裂または難航している
示談が決裂した場合、または示談が難航している場合は、裁判を起こすことを検討してもよいでしょう。
通常、交通事故に関する紛争の多くは、当事者間の示談で解決されます。
しかし、相手方がそもそも話し合いに応じてくれなかったり、相手方の任意保険会社が示談に消極的であったりすると、当事者間で満足のいく交渉が出来ないことがあります。
また、示談はあくまで当事者間の合意により解決を図るものです。当事者のどちらかが譲歩を拒む場合は示談が成立せず、被害者が不安定な立場に置かれ続けることになります。
上記のような場合は、裁判所という第三者による中立・客観的な結論をもらうことで解決を図れるでしょう。
なお、相手方の任意保険会社は基本的に裁判まで発展することを嫌がります。
よって、示談交渉で弁護士を立てて裁判の可能性を示すと、相手方の態度が軟化することも少なくありません。
実際に訴訟をするべきなのかは、示談交渉で弁護士を立ててみてから決めてもよいでしょう。
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(4)ADRや調停でも解決できなかった
示談が不成立となった場合の対処法である、ADRや調停でも解決できなかった場合には裁判による解決を検討すべきでしょう。
ADRとは、裁判外紛争解決手続きのことです。
ADRでは裁判所以外の機関が、第三者として当事者同士の話し合いを仲介します。交通事故の場合、「交通事故紛争処理センター」や「日弁連交通事故センター」などが代表的なADR機関になります。
また、調停とは、裁判所が当事者同士の話し合いを仲介し、解決を図る手続きのことです。
ADRや調停は、第三者が話し合いの仲介をするため、示談では解決できなかった案件も解決できる場合があります。
一方で、ADRや調停は当事者同士の合意によって解決を目指すため、当事者の一方または双方が納得できず、不成立となってしまうのです。
ADRや調停でも解決に至らない場合は、裁判を起こすことも検討してみましょう。
(5)勝訴できる見込みがある
事前に勝訴できる見込みがあるのかどうかをしっかりと確認し、勝訴の見込みがある場合には裁判を行ってもよいでしょう。
自身の主張の根拠や、手元の証拠が不十分の場合に裁判を起こすと、敗訴のおそれがあります。
敗訴してしまうと、示談交渉の時点で相手方が提示していた金額以下の損害賠償金しか請求できなくなったり、裁判費用を負担しなくてはならないといったリスクが生じるのです。
このようなリスクを避けるためにも、勝訴の見込みが十分にあるといえるケースで裁判を起こしましょう。
勝訴の見込みがあるのかどうかについては、専門家である弁護士に確認を取ることをおすすめします。
交通事故の裁判の期間に関するQ&A
Q1.裁判の期間を短くするためにできることは?
交通事故の裁判の期間を短くしたいなら、以下の2点を意識するとよいでしょう。
- 第一審で終わらせることを目指す
- 和解も視野に入れておく
また、そもそも裁判をするのではなく、弁護士を立てて示談交渉で解決を目指すことも選択肢のひとつです。弁護士を立てれば、被害者側の主張が認められたり、損害賠償金が裁判をしたときと同程度まで増額されたりする可能性が高くなります。
裁判の期間を短くするために意識すべきことについて、詳しく見ていきましょう。
第一審で終わらせることを目指す
第一審の判決に納得がいかず、第二審、第三審と進めば、その分裁判の期間は長くなってしまいます。
よって、裁判の期間を短くしたいなら、第一審で当事者双方が納得できる結果を得ることを目指すとよいでしょう。
そのためには、交通事故に精通した弁護士に依頼する、適切な証拠をしっかり収集しておくといった対応が有効です。
ただし、相手方にも控訴する権利があるため、被害者側がいくら工夫しても必ず思いどおりになるとは限らないことはあらかじめ留意しておきましょう。
和解も視野に入れておく
先述のとおり、裁判にかかる期間は和解した事案も含めれば平均13.3ヶ月ですが、判決の出た裁判に限定すると平均20.3ヶ月になります。
和解した事案の方が比較的短く終わる傾向にあるため、あらかじめ和解も視野に入れておくことも大切です。
和解には、ある程度の譲歩が必要となり、遅延損害金や弁護士費用を基本的に受け取れないといったデメリットがあります。一方で、控訴されたり敗訴したりするリスクがなくなるといったメリットもあるでしょう。
「こちらの主張が全面的に認められないと納得できない」と頑なにならず、メリットとデメリットを考慮して妥当な和解案といえるのかどうかを総合的に判断することも重要です。
Q2.裁判の期間が長くなると経済的に不安なときの対処法は?
裁判が長引くことで損害賠償金の受け取りが遅くなり、経済的に困窮しそうな場合は、以下のような対処法を取ることを検討してみてください。
- 相手方の自賠責保険に「被害者請求」をする
- 被害者自身の保険を使う
それぞれの方法を詳しく確認していきます。
被害者請求について
被害者請求とは、交通事故の被害者が相手方の自賠責保険に直接請求することを言います。
交通事故の損害賠償金は、一定金額までは自賠責保険が負担し、残りの金額を任意保険が負担するといった形で支払われます。
このうち、自賠責保険分については法令で支払い基準が定められているので、示談や裁判で金額を争う必要がありません。
よって、判決や和解前でも受け取ることができるのです。
なお、自賠責保険には、損害賠償金のうち法令で定められた金額を早期に前払いしてもらえる「仮渡金制度」もあります。
自賠責保険へ被害者が直接請求する被害者請求の方法については、『自賠責保険への被害者請求とは?やり方やデメリット、すべきケースを解説』の記事をご確認ください。
被害者自身の保険の利用について
また、損害が確定している状況なら、「人身傷害補償保険」「車両保険」といった被害者自身が加入している保険を利用して補償を受けるのも選択肢のひとつです。
被害者自身の保険から支払われた保険金のうち、事故の相手方が本来支払うべき分については、のちのち被害者側の保険会社から相手方の保険会社に請求されます。
交通事故で使える保険を解説した記事『交通事故で使える保険の種類と請求の流れ|被害者自身の保険も使える?』もぜひ参考にしてみてください。
Q3.裁判が終わったら損害賠償金はいつ支払われる?
和解によって裁判が終わったなら、基本的には和解調書に記載された支払い期日までに損害賠償金が支払われます。支払い期日は、和解期日から約1ヶ月以内に設定されることが多いでしょう。
一方、判決によって裁判が終わった場合、判決書には支払い期日は記載されていません。判決にもとづき、被害者側から相手方に改めて損害賠償金を請求することになります。
この場合の支払い期日は任意で決められますが、もろもろの手続きを考慮した、現実的に支払い可能な期日を目安にすることになるでしょう。
相手方が損害賠償金を支払ってくれないケースもある
相手方に損害賠償金の支払い義務が生じているにも関わらず、支払いに応じてくれないケースも散見されます。このような場合は、強制執行の手続きをとることになります。
強制執行とは、裁判所が債権者の申立てに基づき、強制的に債権者の権利(金銭の支払い)を実現させることです。具体的には、相手方が所有している不動産や動産、債権を差し押さえ、そこから支払いを受けることになるでしょう。
しかし、強制執行をしても、以下の理由で万全な支払いを受けられないことがあります。
- 差し押さえて売却する不動産や動産に買い手がつかない
- 給料の差し押さえは手取りの4分の1が上限となる
よって、事前に相手方の収入や財産を調査し、裁判を起こして実際に損害賠償金を回収できるのか確認しておくことをおすすめします。
交通事故の裁判を検討しているなら弁護士相談がおすすめ
弁護士なら裁判の必要性を判断できる
交通事故で裁判を起こすことを検討している場合、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
これまでご説明してきたとおり、交通事故の裁判には長い期間がかかります。
また、敗訴して思うように損害賠償金を支払ってもらえないリスクもあるでしょう。
よって、本当に裁判に踏み切るべきか、示談交渉での解決を目指すべきか、慎重に判断する必要があります。
交通事故に精通した弁護士なら、裁判のメリットとデメリット、納得できる結果を得られる可能性などを検討し、裁判を起こした方がよいのかを判断できます。
弁護士に依頼すれば、示談交渉の段階でも裁判をした場合と同等の損害賠償金を得られる可能性もあります。その点も考慮し、被害者の方にとって最も適切だと思われる方法を教えてもらえるでしょう。
見通しの甘い状態で裁判を起こし、かえって後悔しないためにも、弁護士に一度ご相談ください。
裁判では90%以上が弁護士を立てている
そもそも裁判を起こすときは、代理人として弁護人を立てるケースが非常に多いです。
交通事故で民事裁判を起こす場合、第一審においては98.7%以上の原告が訴訟代理人をつけています。この訴訟代理人には司法書士やその他一般人などが含まれますが、大多数が弁護士です。
被害者本人で手続きを行う「本人訴訟」には、弁護士費用がかからないというメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。
- 書面作成や証拠の精査など煩雑な手続きをこなさなければいけない
- 法廷に出廷しなければいけない
- 訴訟の期間も長期化しやすい
何より、十分な法律知識がない状態で本人訴訟をすると、どのように主張を組み立てればよいのか、どのような証拠を準備すべきか判断できず、望ましい結果を得られない可能性が高いです。
よって、裁判を検討しているなら、法律の専門家である弁護士のサポートを受けることを検討すべきと言えるでしょう。
弁護士費用はどれくらい?相手方に負担させられる?
弁護士に依頼する際、気になるのが弁護士費用ではないでしょうか。
交通事故の被害者は、民事訴訟を起こす際、あらかじめ弁護士費用を損害賠償金に追加して請求できます。
ただし、弁護士費用として相手方に請求できるのは損害賠償額の10%程度にあたる金額です。
また、請求した金額がすべて認められるとは限らない点にも注意しなければなりません。
裁判の費用については、『交通事故の裁判費用相場と内訳は?裁判費用や弁護士費用は誰が払う?』の記事でより詳しく解説しています。
弁護士費用特約を使えば弁護士費用の負担が減る
弁護士費用が不安な場合は、相手方への請求に加え、「弁護士費用特約」を利用することで負担軽減を図れます。
弁護士費用特約とは、保険会社が弁護士費用を負担してくれる保険特約のことです。
弁護士費用特約を利用すると、多くの場合、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを保険会社が負担してくれます。

弁護士費用特約は、自動車保険や火災保険、クレジットカードなどにオプションとしてつけることができます。また、保険の契約者だけではなく、契約者の家族も利用できる場合があるでしょう。
なお、保険会社によって弁護士費用が支払われる範囲などは異なります。弁護士費用特約を利用する前に契約内容をよく確認しておきましょう。
電話・LINEで弁護士に相談可能!無料法律相談のご案内
アトム法律事務所では、電話・LINEによる無料相談を行っています。
相手方から提示された示談案に納得できず訴訟を考えているときや、訴訟を起こしたいが期間などで不安があるときなどは、まずは弁護士に無料で相談してみてください。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士が、被害者の方の不安に丁寧にお答えします。
相談予約は24時間365日受け付けています。
まずはお気軽に、電話やLINEでお悩みをお伝えください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了