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更新日:
新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故が起きてしまった場合、まずは保険会社との示談による解決を目指しますが、それが叶わなかった場合裁判を起こすことが考えられます。
しかし裁判にかかる期間、費用、手続きは難しいのか、弁護士に依頼するべきか、大事にしすぎではないのか……そんな疑問もつきないと存じます。
この記事は交通事故の裁判にかかる期間をお知りになりたい方、手続きや裁判の費用面についてお知りになりたい方、裁判を起こすか示談にするかお悩みの方などの疑問にお答えします。
目次
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交通事故の損害賠償を巡る訴訟で、審理が終了するまでにかかる平均期間は12.4カ月です(令和元年「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」より)。
ですがこの期間は裁判期間中に両者の和解で終了した事案も含むため、判決の出た裁判に限定すると平均18カ月程度かかります。
加えて訴訟は第一審で終わるとは限らず、控訴審・上告審と訴訟が展開していくと、さらに訴訟期間は長くなっていきます。
まず、交通事故の裁判(民事訴訟)を起こした場合にかかる期間はどれくらいなのでしょうか。
令和元年に裁判所から発表された統計資料によると、交通事故の損害賠償請求に関する訴訟の裁判(審理・第一審)にかかった期間は12.4カ月となっています。
実際の期間の分布は、以下のようになっています。
平均審理期間 | 割合 |
---|---|
6カ月以内 | 19.7% |
6カ月を超えて1年以内 | 41.3% |
1年を超えて2年以内 | 32.7% |
2年を超えて3年以内 | 5.3% |
3年を超えて5年以内 | 1.0% |
5年を超える | 0.04% |
なおこの平均期間には、訴訟中に和解が成立し紛争が解決したものを含みます。
およそ61%の裁判が1年以内に、93.7%の裁判が2年以内に終了していることがわかります。
一方で1%程度ですが、3年以上かかってしまう紛争も存在します。
いずれにせよ、訴訟を起こすのであれば基本的には示談で解決を目指すよりも長い期間、1年前後かかることを覚悟しなければなりません。
先ほどの訴訟にかかる平均期間は、民事訴訟に限ったものです。
民事訴訟とは私人間の生活における紛争、交通事故においては被害者(損害賠償金の支払いを多くしたい側)と、加害者側(損害賠償金の支払いを少なくしたい側)の争いです。
つまり交通事故における民事訴訟とは、交通事故の相手方やその保険会社から支払われる損害賠償金に関して争う場合に提起する訴訟ということになります。
一方で検察官が交通事故を起こした加害者に懲役、罰金などの刑罰を求めるのが刑事訴訟となります。
前述した通り、民事訴訟は「AはBに〇〇万円払え」という判決(または和解)を求めるものです。
それでは、実際の交通事故の訴訟ではどれくらいの金額を求めて訴訟を起こしているのでしょう。
裁判所ホームページによれば、交通事故の民事訴訟での請求額は以下の通りになっています。
訴訟で請求されている金額 | 割合 |
~500万円以下 | 54.6% |
500万円をこえて1000万円以下 | 13.4% |
1000万円をこえて5000万円以下 | 23.4% |
5000万円をこえて1億円以下 | 5.5% |
1億円をこえて5億円以下 | 2.6% |
5億円を超える・算定不能 | 0.5% |
請求金額が500万円以下の訴訟が最も多いですが、1000万円、1億円に至る訴訟もまったく珍しくはありません。
示談で1000万円単位の支払いが行われるのは非常にまれな例ですので、多額の賠償金が支払われうる紛争では、そのぶん訴訟を行う人が多い傾向があると言えるでしょう。
交通事故の裁判には、いくつかの段階があります。
それらにかかる期間をそれぞれ確認し、「どの段階に時間がかかるのか」がわかるようにしましょう。
民事訴訟の段階 | 平均期間* |
訴え提起~第1回口頭弁論 | 3.0カ月 |
第1回口頭弁論~人証調べ開始 | 12.0カ月 |
人証調べ開始~終了 | 0.2カ月 |
人証調べ終了~弁論終結 | 1.6カ月 |
弁論終結~判決 | 1.9カ月 |
裁判を判決までやりきる場合、平均してかかる月数は18.7カ月となっています。
前述した民事訴訟全体での平均期間「12.4カ月」よりも長いのは、訴訟中に和解で終わった案件を含まないためです。
特に「口頭弁論から人証調べ」にかかる期間が長いことがわかります。
これらの手続きが実際にどういう手続きなのか、確認していきましょう。
以下、交通事故の裁判における一般的な流れを見てみましょう。
交通事故の訴訟は、裁判所に訴えを提訴する(訴状を提出する)ところから始まり、和解や判決が出ることにより終了します。
また、以下に解説する流れは弁護士を代理人として選任した場合の手続きを想定しています。
交通事故の民事訴訟の流れや費用、ポイントについてはより詳しくお知りになりたい方は以下の記事をご覧になってください。
まず、裁判を行うということを示すため裁判所に訴状を提出します。
枚数は被告(相手方)の数+1部です。被告が1名の場合、2部作製することになります。
訴状の形式は各裁判所のホームページでダウンロードでき、弁護士などに依頼している場合訴状作成を任せることが出来ます。
交通事故の訴状作成を依頼した場合、1カ月以内に作成し終わることが多いですが、弁護士のスケジュールや事案の複雑さによって大きく左右されます。
また、この時に請求額に応じた印紙代と、相手方に書類などを郵送するための切手代金の支払いが必要となります。
弁護士に依頼している場合は、弁護士費用のうち「実費」として計算されます。
訴状が作成され、裁判所に問題なく提出されるとそれが相手方にも送付されます。
裁判の相手方は、訴状を受け取ると共に訴状に対する反論にあたる「答弁書」を作成することになります。
被害者のもとには、およそ第一回口頭弁論期日までに答弁書が届くことが多く、これで相手方の主張を確認することができます。
実際に法廷で当事者またはその代理人が裁判官の前で手続きを行うのは、第一回口頭弁論期日となります。
この口頭弁論を繰り返して、互いの主張とその争点を明確にしていきます。
なお、初回は訴状や答弁書、証拠書類などの確認で完結することも多く、5~10分で終わってしまうこともあります。
口頭弁論の最後に、次回口頭弁論の日程調整が行われます。
双方の弁護士のスケジュールによりますが、交通事故の口頭弁論の間隔は平均1.6カ月となっています。
また、実際に第一審で行われた口頭弁論の平均期日回数は2.1回であり、実際の回数の分布は以下のようになっています。
口頭弁論期日の開催日数 | 割合 |
0回 | 11.1% |
1回 | 42.6% |
2回 | 19.0% |
3回 | 11.0% |
4回 | 5.9% |
5回 | 3.7% |
6回 | 2.4% |
7回 | 1.4% |
8回以上 | 3.0% |
8割以上の案件は、口頭弁論期日3回までの間に終局していることがわかります。
なお口頭弁論期日が一度も行われていないものの中には、口頭弁論の前に訴えが取り下げられたもの、訴状が要件を欠くため訴状却下されたもの、口頭弁論を待たず判決が却下されたものなどが含まれます。
また、回数が1回というものの中には被告が事実を争わない、または欠席判決で終局した事件が含まれます。
もちろん口頭弁論期日が多くなるほどに、終局までの審理期間も長くなる傾向があります。
また、弁護士に依頼した場合、被害者自身が裁判に出席する必要はありません。
口頭弁論で双方の主張がなされることで、どのような点が争いとなるのかがはっきりします。
よって、その部分を客観的に裏付ける証拠を互いに提出し、裁判所はその確認や場合によっては尋問を行うことになります。
ここで被害者自身に対する当事者尋問を行う場合のみ、被害者本人の出廷が必要となります。
交通事故の裁判においては、和解ではなく判決にいたるような場合は尋問を行うことが多くなる傾向にあります。
ただし何度も尋問を行うのではなく、一度だけ期日を設けてその中で集中的に実施される傾向にあります。
平均の尋問人数は0.4人であり、その多くが交通事故の当事者である被害者ならびに加害者です。
尋問が行われる期日の平均回数は1.1回であり、よって被害者の出頭も1度で済む場合が多くなっています。
それでは被害者が実際に尋問される場合、どのような流れとなるのでしょうか。
一般に尋問の流れは以下のようになっています。
再主尋問、再反対尋問は当事者が望んだ場合に行われますが時間が厳しく制限されているため、ごく短時間で収まるか実施しないこともあります。
また当事者の尋問後に裁判官が適宜尋問をすることがあり、補充尋問と呼ばれます。
補充尋問は裁判官の関心や心証を知る手がかりとなるため、それへの答え方も重要です。
実際の裁判では、あらかじめ陳述書を作成して提出し、当日の主尋問では主張の要点をかいつまんで確認していくという作業になります。
弁護士に依頼している場合、事前にこの主尋問の予行演習を行ってもらうよう相談するのがよいでしょう。
反対尋問では主尋問での証言の信用性を揺さぶるような質問がなされます。弁護士と相談し、想定問答集を作成するなどして対策しましょう。
交通事故の民事訴訟の場合、裁判の途中で裁判官から和解を勧められることが多くあります。
ここでの和解とは、裁判所の仲介のもと当事者双方が合意によって紛争を解決することです。
口頭弁論により互いの主張が十分になされ、争点整理が終了した時点で和解を勧告される案件が比較的多いようです。
実際に和解案の内容について話し合う際には、裁判所が仲介を行ってくれます。
裁判が終わる理由として、代表的なものが和解ならびに判決です。
交通事故の民事裁判の終局原因 | 割合 |
和解 | 74.9% |
判決 | 20.1% |
その他(訴えの取下げなど) | 5.0% |
実際のところ、統計によれば交通事故の裁判のうち74.9%が和解し、20.1%が判決での終了となっており、裁判を最後までやりきるよりも、途中で和解する案件の方がずっと多くなっていることがわかります。
一般的に裁判官は判決よりも和解を好む傾向があります。
和解は、裁判のどの時点でも行えます。
和解が成立した時点で、裁判は終了し、和解調書が作成されます。
この和解調書には次に述べる判決と同じ強制執行力があり、相手方の資産などから損害賠償金を受け取ることができます。
和解に応じない場合、証人尋問ならびに当事者尋問が終了したあと、裁判所は原告・被告にそれぞれ最終準備書面を提出させます。
それにより弁論手続きは終了し、判決を言い渡す判決期日が指定されます。
弁論の終結から判決言い渡しまでの期間は平均1.9カ月となっています。
一般的に、判決期日にも当事者は出頭しません。
言い渡しから数日後には代理人などのもとに判決正本が届き、判決内容とその理由を確認することができます。
判決においては、当事者間で争いのあった事項についての結論、賠償金額の決定が行われ、支払い命令が下されます。
訴訟が終了し判決または和解調書を得たのならば、一般的にはそれに従った額の支払いがなされます。
なお、すべての相手方が命令通りに支払ってくれるとは限りません。
そのような場合、和解調書または判決による「〇〇万円支払え」という命令には、強制執行を行う力があります。
強制執行…相手が判決または和解内容に従わない場合、債権者の申立てに基づいて裁判所が強制的に債権者の権利(金銭の支払い)を実現させること
具体的には、相手方が所有している不動産や動産、債権を差し押さえて、そこから支払いを受けるという方法です。
なお、強制執行しても買い手がつかないリスクがあったり、給料に関してはその1/4しか差し押さえられないなど、必ずしも万全に支払いを受けられるというわけではありません。
実際に金銭の回収が可能かどうかは、相手の収入や財産を事前に十分調査する必要があります。
判決に納得がいかない場合、判決正本を受け取ってから2週間以内により上位の裁判所に上訴することができます。
交通事故の民事訴訟においては、判決に至ったうち40.5%が上訴したという統計があります。
このとき1回目の上訴を控訴、控訴からさらに上訴することを上告と言います。
控訴審の平均審理期間は4.7カ月となっています。
冒頭のデータの通り、数こそ少ないものの3年、5年と長引いてしまう交通事故の裁判もあります。
そのように期間が長引いてしまう訴訟には、いくつかの類型があります。
交通事故での損害賠償金を最も大きく左右しうるのが、過失割合です。
過失割合…不法行為(交通事故)で発生した損害に対して、当事者がそれぞれどの程度責任を負うかの割合
後ろからの追突など被害者側に一切非の無い交通事故もありますが、互いに交通事故に関してある程度責任を負っている場合も多くあります。
損害賠償金は、当事者の過失割合のぶん控除されます。
例えば、加害者が被害者に与えた損害の金額が1000万円として、過失割合が加害者:被害者=8:2だとしましょう。
その場合、被害者は1000万円ぶんの損害のうち2割は自分に責任があるため、実際に受け取れる金額は加害者の責任のぶんである800万円にとどまることになります。
特に損害賠償額が大きくなればなるほど、過失割合の1%の違いでも支払いには大きな差が出てくることになります。
そのため、保険会社や相手方もその点については熱心に争ってくることがよくあります。
過失割合は、過去の判例から事故態様ごとに決まった数値で定められています。
よって過失割合が争いとなるのは、事故の起こった状況そのものに争いがある場合です。
具体的には、以下のような事例があげられます。
このように、交通事故当時の状況が争いとなると互いに引けず、訴訟が長引く可能性があります。
もしも車にドライブレコーダーなどが搭載されていれば、非常に強力な証拠となります。
交通事故で治療を十分行っても治らない後遺障害が残った場合も、訴訟が長引く可能性があります。
後遺障害があると損害賠償請求額が高額になりがちというのも理由の一端ですが、それだけではありません。
後遺障害が残ると、その症状による未来への影響を考えなければならず、その算定で当事者間でずれが生じやすいからです。
例えば、顔に傷が残り被害者が大変傷ついているとしても、保険会社からは「その後の仕事に影響はないので、そのぶんの給与減少などは認めない」と主張される場合があります。
一方で被害者ならびにその代理弁護士としては、顔の傷のため人前に出る仕事に抵抗があることや実際の仕事への影響などを主張していきます。
このように、後遺障害が残ると客観的に定められない事項についての争いが生じやすくなるため、裁判が長引く原因となると言えます。
後遺障害同様に、死亡事故の場合も損害賠償額が高額になりやすく、また遺族感情もあって互いに譲歩しづらい状況が生まれます。
また、交通事故当日ではなく事故から期間が空いて死亡した場合には、「交通事故のせいで死んだと言えるのか?」という点で争いになることもあります。
その場合、診断書や治療経過などの証拠品を用いて主張立証していくことになりますが、専門的分野の判断は難しく、証拠品も膨大になります。
結果、裁判が長引いてしまうことがよくあります。
ごくまれですが、交通事故の裁判において裁判所の指名により鑑定が実施されることがあります。
鑑定とは、専門的知識と経験を持つ鑑定人による判断や意見を求める手続きのことです。
交通事故においては、被害者の怪我に関する医療の鑑定や、事故当時の衝撃を再現したり、ドライブレコーダーから再現CGを作成する例などがあります。
鑑定が実施される裁判は年間数十件程度ですが、その場合裁判にかかった平均期間は34.5カ月と、実施しない場合の平均の3倍以上になります。
鑑定が必要となるほど、難しい専門的な分野で争っているため裁判が長引くことになります。
交通事故に限らず、民事訴訟の裁判は無料で起こせるというわけではありません。
実際のところ、訴訟のためにかかる費用がいくらになるのかを概算してみましょう。
裁判所に訴えを起こす場合、そのぶんの手数料を収入印紙の購入という形で支払う必要があります。
その金額は以下のように定められています。
請求金額(訴額) | 収入印紙代 |
~100万 | 10万円ごとに1,000円 |
~500万 | 20万円ごとに1,000円 |
~1000万 | 50万円ごとに2,000円 |
~10億 | 100万円ごとに3,000円 |
例えば、請求額が500万円の場合は(1,000円×100万/10万)+(1,000円×400万円/20万)=30,000円となります。
実際に印紙代がいくらになるか知りたい場合は、裁判所ホームページの手数料額早見表を見るのが確実です。
また、この手数料は上訴するときも発生し、控訴の場合は1.5倍、上告の場合は2倍の金額となります。
また、訴訟を行う場合訴状を当事者に送る関係上、その際の郵便料を金銭または切手で支払うことも求められます。
この切手代は予納郵便料といわれ、各裁判所で金額が異なります。
東京地方裁判所の場合、当時者(原告・被告)がそれぞれ1名ずつの場合は6,000円、当時者が1名増すごとに2,000円ずつ加算されます。
なお当事者が同じ弁護士を雇っているなど、代理人が共通の場合は加算されません。
裁判をするにあたり、弁護士に依頼することで弁護士費用が発生します。
弁護士費用は主に着手金・報酬金・実費に分かれ、着手金と報酬金については相手方への請求額などから決定されることが多くなっています。
弁護士費用の金額は各弁護士事務所によって異なりますので、可能であれば依頼する前に十分な見積もりと比較を行うようにしましょう。
また訴訟に至った際には追加で着手金などを加算する事務所もありますので、訴訟を考えているということも伝えるべきでしょう。
以下、実際に交通事故で裁判をするにあたり、被害者として十分な賠償を受けられるようになるためのちょっとしたポイントを解説します。
先に述べた通り、交通事故の民事訴訟の7割以上は和解で決着がつきます。
裁判を起こすに至ったほどなのですから、到底和解など考えられないというような場合であっても、手続きの中で争点が整理されるにつれ和解が現実的になることもあります。
実際に判決を出すことに固執すると訴訟が長引き、また裁判官の心証の面でも不利にはたらく場合があります。
和解の可能性を最初から排除せず、その条件などを冷静に精査するようにしましょう。
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交通事故の被害者は、民事訴訟を起こす際にあらかじめ損害賠償金に追加して弁護士費用を請求することができます。
通常、弁護士費用は損害賠償額の10%で計算されます。
なおこのことは、訴状であらかじめ請求しておかなければならず、また必ずしも満額認められるとは限りません。
請求額によっては、実際に支払った弁護士費用に及ばないことも十分にありえますので、過信は禁物です。
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自動車や火災保険のオプションとして加入できる弁護士費用特約を利用することで、多くの場合300万円まで保険会社が代わりに支払ってくれます。
弁護士費用特約とは、保険の契約者のほかその家族、契約車に乗っている人などが交通事故に巻き込まれ弁護士に解決の依頼を行うとき、その費用の補償を受けられる特約です。
また実際に依頼に至らずとも、その前の相談料に関しても10万円まで補償を受けられます。
なお保険会社によって支払いの範囲などは異なりますので、利用する前にご自身の保険会社に確認をとるのが有効です。
交通事故に関する紛争で民事訴訟を起こすのは、期間や手続き、費用といった面で様々なハードルがあります。
結局のところ、それでも交通事故で裁判を提起することを考えるべきなのはどのような場合なのでしょうか。
交通事故による物・身体への損害に関する賠償金の請求は、いつまでも請求可能なわけではありません。
原則として、損害および加害者を知った時から、物の損害に対する損害賠償請求権は3年・人身の損害に対する損害賠償請求権は5年経つと時効により消滅します。
ですが裁判を起こすことで、この時効の完成を阻止することができます。
例えば自動車事故で相手方と入通院慰謝料を争っているのに、治療と示談交渉が長引いてしまい、事故発生日からそろそろ5年経ちそうだとしましょう。
このときなんとかして時効の完成を阻止しなければ、相手方から「既に時効が成立していますので、あなたに損害賠償請求権はありません」と言われてしまいます。
むしろ、相手方がそれを狙って示談を引き延ばしている可能性すら考えられます。
ですがこの時に訴訟を起こすことで訴訟が終了するまで時効の進行がストップし(時効の完成猶予)、さらに確定判決が出るとそれまでの時効の進行がリセットされ、新たなカウントが始まります(時効の更新)。
ですから、時効の完成を阻止する手段の一つとして訴訟は有効です。
また、その他の時効の完成猶予の手段には以下のようなものがあります。
債務の承認* | 時効の更新 |
訴訟の提起 | 訴訟終了まで時効の完成猶予 |
訴えの取下げ | 手続終了から6か月が経過するまで時効の完成猶予 |
判決・和解・調停成立 | 時効の更新 |
調停の申立て | 調停終了まで時効の猶予 |
調停の不調 | 手続終了から6か月が経過するまで時効の完成猶予 |
催告 | 催告から6か月が経過するまで時効の完成猶予 |
裁判での慰謝料の認定にあたっては「弁護士基準(裁判基準)」と呼ばれる基準が用いられ、これは自賠責保険や任意保険会社の提示してくる金額よりも大幅に高くなっています。
示談を弁護士に依頼した場合であってもその8~9割の金額を受け取れることが多いですが、裁判では満額支払われる可能性もあります。
そのため、交渉を重ねても示談で提示された金額に納得がいかないとき、さらなる増額を目指したいケースでは裁判が一つの選択肢となります。
また、判決により損害賠償金の支払いが認められると遅延損害金の請求も認められます。
これは、損害の発生(交通事故の発生)から損害賠償金の支払いが遅れたことによる利息のようなもので、通常示談した場合には支払われません。
また裁判を行っていても、和解で終了した場合は遅延損害金を請求しない場合も多いようです。
通常、交通事故に関する紛争の多くは当事者間の示談で解決されます。
ですが加害者がそもそも話し合いに応じてくれなかったり、相手方保険会社が消極的な場合など、必ずしも当事者間で満足のいく交渉が出来ない場合があります。
また、示談はあくまで当事者間の合意を目指すものであるため、どちらかが譲歩を拒むような場合には示談がずっと成立せず、被害者が不安定な立場に置かれることになります。
そのような時、裁判所という第三者による中立・客観的な結論をもらう方がよい場合もあります。
また示談交渉がうまくいっていない場合であっても、弁護士に手続きを委任し裁判の可能性を示すことで、相手方に譲歩してもらえる可能性があります。
実際に訴訟をするかどうかは、その後に決めても良いかもしれません。
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示談が不成立となり、かつ訴訟以外の手段でも解決ができなかった場合は、自然と裁判が選択肢にあがります。
裁判の前にとりうる手段には、ADR機関の利用や調停などがあります。
ADR機関とは、訴訟手続きによらず、民間の公正な第三者が関与し解決を目指す手続きを行ってくれる機関を指します。
日本国内で交通事故を専門としているADR機関の代表的なものは、
となっています。
ADR機関によっては機関の弁護士が当事者間に入り、示談(和解)の斡旋や事案の審査を行ってくれる場合があります。
なお、ADR機関はあくまでも中立の立場であるため、必ずしも被害者の望む通りの決着を目指してくれるとは限らないことには注意しなければなりません。
ADRについて詳しく知りたい方は「示談・ADR・調停と裁判」をあわせてごらんください。
民事調停は裁判とは異なり、あくまでも裁判所が補助的に参加したうえで当事者双方で解決を目指す手続きです。
具体的には、各当事者が別室で待機したうえで交互に「調停委員会」による個別面談が行われることによって進行していきます。
訴訟と異なり比較的早く柔軟な解決が見込める一方で、相手方が出頭するとは限らず、証拠調べなど専門性が高い分野において慎重な調査がされるとは限らないデメリットもあります。
もしも納得ができない案が提示されたのであれば、調停を不成立とするべきです。
なお、民事調停が打ち切りに終わった場合(調停不成立)、それから2週間以内であれば調停段階で利用した収入印紙を流用することができます。
ですから、裁判を起こす前にまず相手方に民事調停を申し立ててみる、というのも十分とりうる方法です。
交通事故の相手方が任意保険会社に加入していないような場合、相手方個人に直接請求することになります。
ですが相手方に支払い能力が無い場合、勝訴しても損害賠償金の回収は困難となります。
ですので、加害者が任意保険未加入という場合は必ず事前に相手方の財産状況を確認しましょう。
もしも支払いが難しいと感じられる場合は、訴訟の前に以下のような手段で損害賠償金の回収を試みることが考えられます。
加害者への感情だけで訴訟を起こしてしまうと、結果的に支払いは受けられず訴訟費用だけ無駄に支払ってしまうということになりかねません。
まずは受けた損害をできる限り補償してもらえる手段を探すようにしましょう。
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それでは実際、どのくらいの人々が交通事故の訴訟を弁護士に依頼しているのでしょうか。
統計によれば、交通事故の民事訴訟の第一審においては98.4%以上の原告が訴訟代理人をつけています。
この訴訟代理人には司法書士やその他一般人などが含まれますが、大多数が弁護士です。
本人で手続きを行う「本人訴訟」には弁護士費用がかからないというメリットあありますが、そのぶん煩雑な手続きをこなさなければいけないこと、法廷に出廷しなければいけないことで時間的な負担もかかり訴訟の期間も長期化しやすいことなど、多くのデメリットもあります。
交通事故で民事訴訟を考えている場合は、まずは弁護士にご相談ください。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
英語:TOEIC925点
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