交通事故・刑事事件に加えて借金問題・労働問題の対応を本格化しています。

交通事故の示談期間を最短にする方法|最高額の示談金を受け取る秘訣とは?

更新日:

交通事故 示談期間を最短に

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

示談までにかかる期間は、人身事故・後遺障害の残る人身事故・死亡事故によって異なります。
この記事では、各事故様態における示談までの期間・流れを解説しています。
また、損害賠償請求の権利には時効があるので、各事故様態の時効も合わせて確認しておきましょう。

その他、示談までの期間が長引く原因、示談成立前にお金を受け取る方法についても解説していくので、お役立てください。

目次

法律相談

ご希望される方は

こちら

法律相談

ご希望される方は

こちら

交通事故の示談にかかる期間の目安一覧

交通事故の示談にかかる期間は、事故様態により異なります。
詳しくは事故様態ごとにのちほど解説しますが、まずは一覧表の形で簡単に紹介します。

示談の期間を考える際は、時効についても合わせて知っておく必要があるので確認しておきましょう。

物損・人身・死亡事故での示談の期間一覧

交通事故の示談にかかる期間は、事故の種類によって異なります。

おおまかな示談成立までの期間の目安は、以下の通りです。

物損事故交通事故発生日から2~3ヶ月
後遺障害なしの人身事故治療終了から半年程度
後遺障害ありの人身事故後遺障害等級の認定から半年~1年程度
死亡事故法要・相続確定から半年~1年程度
※期間は事故状況・交渉状況によって大きく変動します

もっともこれらは一般論であり、保険会社との間で争いが起これば示談までの期間は延びることがあります。

また、弁護士に依頼することで上記表よりも短期間で示談成立に至ることもあります。

交通事故の損害賠償が受け取れなくなる?時効に注意

交通事故で損害賠償請求をする権利は、一定期間経過すると時効により消滅してしまいます

時効までの期間は、原則として以下の通りです。(原則2017年4月1日以降の事故に適用)

  • 人の生命又は身体の侵害による損害賠償:損害発生から5年
  • 物に対する損害賠償:損害発生から3年
  • ひき逃げなど加害者不明の事故
    • 事故日の翌日から20年
    • 途中で加害者が判明した場合、物損事故なら事故の翌日から3年、人身事故なら事故の翌日から5年
  • 相手方の自賠責保険・自身の人身傷害保険への請求:事故の翌日あるいは症状固定・治癒の翌日から3年

ただし、具体的な時効の起算日は事故の様態により異なるので、のちほど示談にかかる期間とともに詳しく紹介していきます。

被害者は、原則として時効が成立する前に示談を成立させなければなりません。ただし、時効が成立しそうな場合はそれを阻止することもできます。

交通事故の時効の完成を阻止する方法は?

時効の進行中に、以下の手段をとると、「時効の更新」により時効のカウントが止まり、また新たなカウントが開始されます。

  • 請求(裁判所に訴訟を提出するなど)
  • 債務の承認(相手方からの支払い、賠償額を提示する書面など)
  • 催告(6ヶ月以内に訴訟などを行うことが必要)

なお、2020年4月1日以降より、民法改正により以下の方法でも時効の完成を遅らせられるようになりました。

  • 権利についての協議を行う旨の合意

なお、この合意は2020年4月1日以降に、書面や電磁的記録として残しておかなければなりません。また、「協議を行う旨の合意」で時効の完成が猶予されるのは最長で1年です。

時効の完成については様々な細かい規定があるので、ご自身の交通事故で時効が完成してしまわないか不安な時は弁護士にご相談ください。

示談の期間と流れ・時効(1)物損事故

物損事故とは、生じた損害が自動車など、財産のみの交通事故のこと

交通事故で衝突したものの、人間は無事で車がへこんだだけ、車内のものが壊れただけといったような物損事故の場合の示談期間を考えてみます。

物損事故における示談期間の目安

物損事故の場合、示談までの期間は修理費の見積もりがでるまでの1ヶ月+交渉期間の1~2ヶ月として、おおよそ数ヶ月となることが多いです。

修理費の見積もりが出るまでの期間|1ヶ月程度

物損事故の場合は、損害額を計算するために自動車の修理費用や買替費用の見積もりを出す必要があります。

修理の見積もりが出るまでの期間は、事故箇所が明らかであれば当日、より精査が必要な場合は数週間~最大1ヶ月としている工場が多いようです。

よって、物損事故の場合は交通事故後1ヶ月程度経てば示談交渉を始められます。

示談交渉の期間|1~2ヶ月程度

物損の示談交渉は比較的スムーズにいくことが多いですが、以下の要素で意見が対立すると交渉が長引くことがあります。

  • 修理の必要性、妥当性
  • 車が全損となったか
  • 評価損の価格がいくらか※

※評価損とは、事故車となったことによる事故前・事故後の車両価格の差のこと

これらの要素で交渉が難航することがなければ、多くの場合は1ヶ月以内に示談交渉が終結します。

物損事故なら示談の時効期間は3年

物損事故の場合、時効期間は事故の翌日から起算して3年間です。

例えば、2020年5月1日に物損の交通事故にあい、その間時効の中断となるような行為を何もしなかった場合を考えてみましょう。

時効は翌日に2020年5月2日より進行し、そこから3年後なので、車の修理代などを請求できる期間は2023年5月1日までとなります。

物損事故における示談の流れ

物損事故の示談までの流れは、以下のようになっています。

  1. 交通事故発生
  2. 修理費用の見積書などを入手
  3. 示談交渉の開始
  4. 示談成立

物損事故の場合、実際に修理をする前から示談交渉を進めることが可能です。

むしろ示談交渉前に修理を終わらせてしまうことはあまり良いとは言えません。
修理を済ませてしまうと、「そこにあった傷は交通事故によってできたもの」などの証明が困難になってしまい、示談交渉が難航することがあるからです。

また、保険会社も独自に修理工場を訪れ、車両の損壊箇所を確認し修理金額の見積もりが妥当であるか調査するので、修理を急ぐことは得策ではありません。

修理できない間の代車代なども示談金のなかでまとめて請求できるので、まずは修理費用の見積もりを出して示談交渉を行うことを重視しましょう。

示談の期間と流れ・時効(2)後遺障害なしの人身事故

人身事故とは、生じた損害に身体・生命への損害が含まれる交通事故のこと

物損に加えて、交通事故により怪我をするなど身体への損害が発生した事故を人身事故と呼びます。

その中でも、治療を終えた時に症状(後遺障害)が残っていないような状況について解説します。

後遺障害なしの人身事故における示談期間の目安

後遺障害がないような人身事故の場合、示談が成立するまでの期間は治療終了後から半年以内となる可能性が十分あります。

ただし、以下の点でもめた場合は示談交渉が難航し、示談の期間がなくなると考えられます。

  • 支払った治療費は必要・相当な範囲内であるといえるか
  • 整骨院などへの通院に対する補償を認めるか
  • 付添人などの交通費を認めるか
  • 入通院慰謝料の金額はいくらか

特に重要なのが入通院慰謝料の金額です。
相手方保険会社は独自に有する基準にそった金額(任意保険基準)を提示してきます。
しかし、これは裁判所や弁護士が計算した場合の金額(弁護士基準または裁判基準)の半分~3分の1程度であることが多いのです。

弁護士に示談交渉を担当させ、相手方保険会社にいざとなれば裁判もできるという姿勢を示せば、早期に弁護士基準近い金額で示談を成立させられる可能性が高まります。

後遺障害なしの人身事故なら示談の時効期間は5年

交通事故で傷害を負った場合、時効期間は損害及び加害者を知った時から5年です。(2020年4月1日民法改正のため)

ここでいう「損害及び加害者を知った時」というのは、事故の翌日または症状固定日・症状が治癒した日の翌日となります。

人体への損害は保護すべき必要性が高いとして、2020年4月1日の民法改正により、もともと3年間だった時効期間は5年に延長されました。

この5年という期間は、2020年4月1日時点で時効の完成を迎えていない事件、すなわち2017年4月1日以降の交通事故に適用されます。

後遺障害なしの人身事故における示談の流れ

後遺障害なしの人身事故の示談の流れ

後遺障害なしの人身事故における示談までの流れは、以下のようになっています。

  1. 交通事故発生
  2. 入院・通院治療
  3. 完治
  4. 示談交渉
  5. 示談成立

交通事故で怪我をした場合、治療が完了した時点で治療費や通院交通費などの損害の額が明らかになります。

また、入通院慰謝料の金額は入通院期間によって決定されるので、治療が終われば入通院慰謝料も算定できるようになります。

よって、治療が終了した時点から示談交渉を開始することが可能です。

示談の期間と流れ・時効(3)後遺障害ありの人身事故

人身事故のうち、怪我の治療を十分に行っても症状が残ってしまい、その症状が後遺障害として認定された場合を考えてみましょう。

後遺障害として認定されるための手続きなどは、以下の記事を参照してください。

後遺障害ありの人身事故における示談期間の目安

後遺障害の種類や事故状況によって大きく左右されますが、示談期間の目安は症状固定~後遺障害等級の認定までが2ヶ月程度、後遺障害等級の認定~示談成立までが半年~1年程度です。

症状固定~後遺障害等級の認定は2か月程度

治療が終了して後遺障害等級の申請をすると2ヶ月程度で等級認定結果が通知されます。
ただし、高次脳機能障害のように後遺症の状態判断に時間がかかる場合は、結果通知までに数ヶ月~数年かかることもあります。

また、認定結果に納得がいかず異議申し立てした場合も、再審査をする分、長い期間がかかるでしょう。

後遺障害認定~示談成立は半年~1年程度

等級認定結果が通知されると示談交渉へ進んでいくことになります。通常は半年~1年程度で示談が成立することが多いですが、以下の要素で交渉が難航すると、示談交渉の期間は長期化します。

  • 後遺障害等級は適正か
  • 後遺障害慰謝料は適正か(任意保険基準を用いるか、弁護士基準に近づけるか)
  • 逸失利益は適正か(労働能力喪失率、期間が実際の障害と見合っているか)
  • 将来介護費などは適正か(1日あたりの介護費の金額、家のバリアフリー化などが必要と言えるか)

以上の理由で保険会社との間に争いが生じた場合、示談交渉が1年以上長引くこともあります。

症状固定したといっても、被害者自身はその後もリハビリなどのため通院を続けることが珍しくないので、示談交渉が長引くと時間的・体力的負担も大きくなるでしょう。

弁護士に交渉を依頼すれば、治療に専念しつつ、比較的短期間で、高額の示談金が望めます。

弁護士を立てれば後遺障害等級認定の手続きも代わりに行ってもらえますし、示談交渉にて裁判例にそった具体的な主張立証が可能になるので、弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。

後遺障害ありの人身事故なら示談の時効期間は5年

交通事故で後遺障害を負った場合、時効期間は症状固定日の翌日から5年です。

症状固定日とは、通常の治療を重ねてもそれ以上症状が良くも悪くもならない時点を指します。一般には、最終通院日が症状固定日となることが多いです。

症状固定については、以下の記事で詳しく書いていますので参考にしてください。

後遺障害ありの人身事故における示談の流れ

後遺障害を負った場合の示談の流れ

後遺障害ありの人身事故における示談までの流れは、以下のようになっています。

  1. 交通事故発生
  2. 入通院治療
  3. 症状固定
  4. 後遺障害の申請
  5. 示談交渉
  6. 示談成立

後遺障害が残った場合、その障害の重さがどれくらいか、後々の就労にどれほど影響を及ぼすのかを損害として評価しなくてはなりません。

これら損害を一律に評価するのが、14段階の後遺障害等級であり、後遺障害等級に認定してもらうためには症状固定後、後遺障害診断書などを審査機関に提出して審査を受ける必要があります。

審査の結果に不満がある場合は、異議申立て、ADR機関への訴えなどの手段で等級認定の是正を図ることが出来ますが、訴訟を提起しない限りその間も時効のカウントは進んでしまいます。

躍起になって等級認定を争っているうちに損害賠償請求権が消滅してしまうリスクもあるので、異議申し立てをする場合は、本当に等級が上がる見込みはあるのかしっかり検討することが大切です。

示談の期間と流れ・時効(4)死亡事故

つづいて、死亡事故について解説していきます。

死亡事故における示談期間の目安

死亡事故の場合、大きな争いがなければ示談成立までの期間は死亡日・法要から1年以内となることが多いです。

しかし、実際のところは示談成立までに1年以上かかることも決して珍しくありません。死亡事故では損害賠償の総額が1億を超えることもあり、保険会社も交渉に慎重になるからです。

長期・複雑な示談交渉はご家族にとっても負担が大きくなるところなので、まずは弁護士に相談して、弁護士の力を借りるのも選択肢に入れてください。

死亡事故なら示談の時効期間は5年

交通事故で死亡者が出た場合、時効期間は死亡日の翌日から5年です。(2020年4月1日民法改正のため)

こちらも民法改正により、もともと3年だった期間が5年に延長されました。

2017年4月1日以前の交通事故の場合、時効中断理由がないとすでに損害賠償請求権の時効が完成しているので注意が必要です。

死亡事故における示談の流れ

死亡事故の示談の流れは、以下のようになっています。

  1. 交通事故発生
  2. 被害者の死亡
  3. 示談交渉
  4. 示談成立

死亡事故では、遺族の中から選ばれた相続人が示談交渉を行います。
よって、遺族感情などの観点から葬儀後ではなく、初七日・四十九日などの法要をある程度終えてから示談交渉が開始されることが多いです。

遺族側は、示談交渉が始まるまでに誰が相続人となり交渉にあたるのかを決めておかなければなりません。死亡事故で必要な対応や請求できる慰謝料相場については、『死亡事故の慰謝料相場はいくら?遺族が請求すべき損害賠償金の解説』で解説しています。

なお、死亡事故後のさまざまな手続き・対応は、弁護士に委任することも可能です。

交通事故の示談|効力や交渉の内容は?

ここまで示談の期間について解説してきましたが、ここで一旦、そもそも示談とは何なのか、示談が成立するとどのような効力が生じるのかといった基本的なことを確認しておきましょう。

交通事故の示談とは何か?

示談とは、交通事故の当事者間で話し合いにより紛争を解決すること

示談は、一般には裁判や第三者機関の力を借りずに当事者間で損害賠償金について話し合い、解決を図る方法です。

示談は基本的に話し合いで済むので、手続き面では裁判よりも手軽です。

交通事故の示談とは何か、どんな風に進めるべきかは関連記事にて解説しています。

示談成立後の再交渉・合意撤回は原則としてできない

示談が成立し、示談書に署名・捺印をすると、原則としてそれ以降の再交渉・合意内容の撤回はできません。

示談書の最後には、通常以下のような一文が付け加えられるからです。(被害が一方的または少額の場合、示談書は免責証書と呼ばれることもあります。)

  • 被害者はその余の請求を放棄する
  • 和解条項以外に債権債務がないことを確認する
  • 本件示談書に定めるもののほかに、なんらの債権債務がないことを相互に確認する

これらの条項は、清算条項権利放棄条項と呼ばれます。
清算条項や権利放棄条項はいずれも、「今後相手方にそれ以上の損害賠償請求をしない」ことを約束するものです。

したがって、示談書にサインすると、その後新たな損害が発覚したとしても、原則として追加の賠償請求はできないのです。

そのことを踏まえ、示談交渉は納得がいくまでしっかり行う必要があります。

交通事故の示談で決めるのは「過失割合」と「損害額」

示談交渉では主に、過失割合と損害賠償額を話し合います。

  • 過失割合
    • 交通事故発生の責任が、加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるかを割合で示したもの
    • 被害者側にも過失割合が付くと、その割合分、示談金が減額される(過失相殺)
  • 損害賠償額
    • 治療費や車の車の修理費など、交通事故を理由に支払った損害額
    • 介護費や器具代など、交通事故により必要となった将来的な損害額
    • 休業損害など、交通事故により得られなかった収入や利益の金額
    • 慰謝料など、精神的苦痛に対する補償の金額
    • 逸失利益など、交通事故により将来的に得られなくなった収入や利益の金額

すなわち、交通事故の示談では、交通事故によって生じたすべての損害額の計算と決定を行います。

損害賠償額を決めるにあたっては、以下の点で争いとなることが多いです。

  • 治療費について
    • 必要のない治療があったのではないか?
    • 整骨院での治療費を認めるべきか?
  • 介護費について
    • 1日あたりの値段をいくらとするか?
    • いつまで介護費を認めるべきか?
  • 休業損害について
    • 収入が確かでない者の収入をどう決めるか?
  • 慰謝料について
    • 慰謝料の金額は適正か?
  • 逸失利益について
    • 事故の後遺症状による仕事への影響は出るか?
    • いつまで逸失利益を認めるべきか?

また、示談交渉では過失割合が争いとなることも非常に多いです。
過失割合は以下のように、最終的な慰謝料・損害賠償額に大きく影響するからです。

過失相殺の影響

過失割合がA車:B車=9:1、Bの受けた損害が合計1000万円だった場合、B車が受け取れるのは1000万円の1割引き、1000×(1-0.1)=900万円となる。
つまり、損害額の1割である100万円が減額されてしまう。

もちろん、追突事故など加害者側に一方的に非があるような交通事故では、原則として被害者側には過失が付かず過失相殺は行われません。

しかし、たとえ被害者であってもいくらかの過失割合が付くケースは多いです。

交通事故の示談をしてはいけないタイミングとは?

交通事故の示談は、全ての損害が発覚する前に行ってはいけません。
特に、以下のタイミングでの示談は避けましょう。

  • 事故が起きた現場
  • 事故直後、病院に行く前
  • 怪我での治療中
  • 後遺障害の申請前

上記のタイミングではまだすべての損害が出そろっていないので、この後新たな損害が発覚する可能性があります。

例えば、事故現場では興奮していて何も感じなかったけれど、家に帰ってきたら怪我をしていたことがわかったというようなケースがあります。

そうした損害が示談後に発覚しても、原則として追加の賠償請求はできないので、示談は必ず損害が確定してから始めましょう。

交通事故で示談までの期間が延びる原因と解決方法

それでは、物損事故・人身事故それぞれの場合を考えつつ、交通事故の示談成立までの期間が延びてしまう原因とその解決方法を考えましょう。

交通事故の示談期間が延びる原因一覧

交通事故の示談期間が延びる原因としては、以下のことが考えられます。

  • 治療が長期間になり、なかなか示談交渉に移れない
  • 後遺障害認定に時間がかかり、等級が定まらない
  • 過失割合に争いがある
  • 相手側が示談に対応してくれない

それぞれ、どのような事態であるのか考えてみましょう。

治療が長期間になる

人身事故の場合、完治するにしろ症状固定となるにしろ、治療が終わってからでないと損害額が確定せず、示談交渉が出来ません。
そのため、治療が長期化すると示談開始が遅れ、慰謝料や損害賠償金の受け取りも遅くなってしまいます。
しかし、だからと言って無理に早く治療を打ち切ることはお勧めしません。

まだ治療が必要なのに終わらせてしまうと、以下のデメリットが生じる可能性があるからです。

  • 治るはずのケガが治らない
  • 治療期間が短くなる分、入通院慰謝料が少なくなる
  • 後遺症が残っても後遺障害認定されず、後遺障害に対する補償が受けられない

交通事故の治療は半年、1年以上となることもよくあります。適切な賠償請求のために必要な期間なので、焦らずじっくりと構えて治療に専念しましょう。

慰謝料や損害賠償金の受け取りが遅れると困る事情がある、長い治療期間の中で何もしないのが不安といった場合は弁護士にご相談ください。
示談成立前に補償を受ける方法の紹介、示談交渉に向けた準備のサポートなどを受けられます。

なお、損害賠償請求権の消滅時効は治療が終わってから時効が進行しだすので、時効についての心配はありません。

後遺障害認定に時間がかかる

後遺症が残った場合、示談交渉は後遺障害認定の結果が出てから始められるので、審査が長引くと示談開始が遅れ、その分示談成立までの期間が延びてしまいます。

後遺障害認定を受けるのは、治療の末「症状固定」の診断を受けた場合です。
認定審査にかかる期間は9割の場合60日以内ですが、以下の場合は審査期間が長期化する可能性があります。

  • 高次脳機能障害など複雑な障害が残っている
  • 資料による障害の証明が不十分
  • 相手方任意保険会社での申請手続きが滞っている
  • 異議申し立てをして再審査を受ける

損害賠償請求権の消滅時効は、傷害部分は事故翌日、後遺傷害部分は症状固定の翌日から進行するので、認定審査が長引けばその分、時効までに残された日数も少なくなってしまうでしょう。

よって、後遺症が残った場合は迅速に後遺障害認定の手続きをすること、一度で適正な後遺障害等級を得ることが重要です。

後遺障害認定の手続き方法は2種類ありますが、弁護士に依頼したうえで「被害者請求」という方法をとれば、速やかに申請ができますし、一度で適切な認定を受けられる可能性が高まります。

後遺障害認定の方法については関連記事を参照してください。

過失割合に争いがある

すでに解説したように、示談交渉で過失割合について争いとなることは多いです。
過失割合は以下の要素から算定されますが、被害者側と加害者側で主張が食い違うことが多いのです。

  • 交通事故状況の類型(道路の状況、信号の有無、横断歩道の有無、車の曲がる方向など)
  • 自動車の態様(スピード違反、大回りでのカーブなどをしていなかったか)
  • 事故現場(幹線道路か、それ以外の道路か、駐車場か、住宅街や商店街か)
  • 事故時間(相手が視認しにくい夜間か)
  • 被害者(幼児、老人、身体障碍者か)

過失割合でもめることを避けるには、交通事故状況を正確に警察に話すこと、交通事故直後の状況などを写真で保存しておくこと、事故現場の証人を得ておくこと、事故当事者の車または周辺にいた車のドライブレコーダー映像・事故現場近くの防犯カメラ映像を確認することが重要です。

示談交渉を弁護士に依頼しておけば、事故状況の証拠集めも行いやすいですし、示談交渉でも説得力のある主張ができるので安心でしょう。

関連記事

交通事故の過失割合でもめる3パターン&対処法を紹介

相手側が示談に対応してくれない

示談交渉は、加害者が任意保険に入っていれば相手方任意保険会社、入っていなければ加害者本人と行います。

示談交渉は事故による損害が確定したら速やかに始めるべきですが、相手方任意保険会社が他の業務で手一杯でなかなか示談交渉を持ちかけてこない、加害者本人が示談に消極的で、被害者側から交渉を持ちかけても無視されるなどのトラブルが起こることもあります。

損害賠償請求権の消滅時効は損害確定後から進行するので、なかなか示談交渉を始めてもらえないことは被害者にとって大きな問題です。

しかし、だからといって感情的になってクレームを入れたり交渉を催促したりするのは得策ではありません。
必要以上に相手側との関係性が悪化し、示談交渉の進みやすさに支障が出る可能性もあるからです。

相手側がなかなか示談交渉を始めようとしない場合は、弁護士を立てて淡々と効果的な対応を取るべきです。
弁護士を立てれば相手側も事の重大さに気づき、態度を改めるでしょう。

示談の期間は短ければよいわけではない

「示談成立までの期間が長引く」と聞くと悪いイメージを持ちがちですが、示談は早く成立させればよいというものでもありません。

すでに解説しましたが、例えば早く示談交渉を始めるために治療を早期に打ち切ってしまうと、入通院慰謝料は減ってしまいますし後遺症が残っても補償を受けられないリスクが高まります。

また、交渉が長引くことを恐れて慰謝料・損害賠償金額や過失割合を妥協してしまうと、本来もらえるはずの金額がもらえず結果的に損です。

時間をかけるべき部分にはじっくりと時間をかけ、そうでない部分に必要以上の時間をかけないようにするというメリハリが重要です。
弁護士なら、効率的に時間・労力を配分し、適切な期間で示談が成立するようサポートできます。
示談期間の短縮と十分な慰謝料・損害賠償金額の獲得を両立させたい場合は、弁護士までご相談ください。

示談の前に交通事故の保険金を受け取れる方法とは?

交通事故後、仕事にも行けないような状況が続くと金銭面での不安が出てくるのも事実です。

ではそのような場合、先んじて示談金の一部を受け取る方法はないのでしょうか。

内払いで示談金の費目の一部を先にもらう

内払いとは、示談金に含まれる一部の費目を示談成立前に支払ってもらうことを言います。
内払いで支払ってもらえるのは基本的に実費を請求する費目で、具体的には以下の通りです。

上記の費目は基本的に実費となるので、示談交渉せずとも金額が明らかです。よって、示談成立前でも支払ってもらえます。

ただし、内払いは制度として整備されているわけではなく、任意保険会社で任意で行われているものです。必ずしも示談に先立って支払ってもらえるとは限らない点に注意しましょう。

なお、上記の他にも、交通費や慰謝料の一部は交渉により、まれに示談前に支払われることがあります。
ただし慰謝料に関しては、「内払いする代わりに総額を減らす」など、示談金総額が下がる条件がつけられることもあるので、注意してください。

仮渡金として一定の金額をもらう

仮渡金とは、相手方自賠責保険から損害賠償額確定前に支払われるお金で、金額は受傷状況に応じて決められてます。

死亡した場合290万円
重傷の場合*40万円
通常の受傷の場合**20万円
軽傷の場合***5万円

*入院14日以上かつ治療30日以上が必要な場合・大腿骨の骨折・脊椎の骨折で脊髄を損傷した場合など
**入院14日以上または入院を要し治療30日以上が必要な場合・腕の骨折・脊椎の骨折など
***治療11日以上が必要となる場合

仮渡金として受け取った金額は、示談成立後に支払われる示談金から差し引かれるので注意しましょう。

仮渡金の請求は、自動車損害賠償保障法17条で認められています。

第十七条 

保有者が、責任保険の契約に係る自動車の運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、被害者は~保険会社に対し~仮渡金として支払うべきことを請求することができる。

自動車損害賠償保障法17条

自賠責保険に対する仮渡金請求で必要な書類は、以下の通りです。

  • 仮渡金支払い証明書
  • 医師の診断書(入院や治療の見込み日数がわかるもの)
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 受領者の印鑑証明書
  • 戸籍謄本(死亡事故の場合)

上記の書類を提出し、特に問題なく手続きが行われれば、一週間程度で仮渡金が支払われます。なお、仮渡金を受け取ることが出来るのは一回のみです。

後遺障害等級の申請を被害者請求で行う

すでに解説した通り、後遺障害等級の申請手続きには2つの方法がありますが、そのうち「被害者請求」を選べば、審査終了とほぼ同時に後遺障害慰謝料が一部支払われます。

被害者請求の流れ

もう一つの申請方法である「事前認定」を行うと、後遺障害慰謝料は全額、示談成立後に支払われます。
よって、後遺障害慰謝料を一部早くもらいたいのであれば、被害者請求の方がおすすめです。

交通事故で弁護士に相談すると示談期間は短縮される

これまで紹介した通り、示談期間を短縮するには状態に応じた適切な手続きが必要となってきます。

常に最適の手段を選ぶのは一般の被害者にとっては難しく、また治療を受けながら最適の手段を自力で調べるのは大きな負担となるでしょう。

そのような事態を避けるために、弁護士に一切の手続きを任せてしまうという方法があります。

弁護士に依頼した場合の示談期間

弁護士に依頼した場合、被害者自身が対応するよりも示談成立までにかかる期間は短くなると言えます。その理由は以下の通りです。

  • 弁護士は過去の判例や法律に関する専門知識を持っているので、相手方に対して法的根拠を示しながら効率的に交渉を行える
  • 専門知識と資格を持つ弁護士の主張なら、相手方保険会社もないがしろにできない
  • 弁護士が出てくると相手方保険会社は裁判に発展する可能性を危惧し、それを避けるために態度を軟化させることが多い
示談交渉(弁護士あり)

弁護士が出てくれば、正当な主張がきちんと認められやすくなるので、示談期間の大幅な減縮に繋がります。

示談期間の短縮以外にも弁護士を立てるメリットはある

弁護士を立てると、示談期間が短くなる以外にも以下のようなメリットがあります。

  • 受け取れる示談金の総額が増える
  • 手続きを一任できるため、治療や日常生活に専念できる
  • 心理的な安心感を得られる

ひとつずつ見ていきましょう。

受け取れる示談金の総額が増える

相手方保険会社にとって、被害者に支払う示談金は支出です。
また、保険会社の担当者は一会社員なので、示談交渉では会社の支出を抑えるため、そして担当者や担当者の部署・チームの成績のため、少しでも示談金を少なくしようと交渉してきます。

たとえ被害者本人が示談金の増額を求めても、交渉のプロである保険会社側にとって、その主張を退けることは非常に簡単です。

しかし、弁護士なら保険会社に対しても効果的な交渉ができるので、相手方から提示された金額を大幅に増額させられる可能性が高いです。

交通事故の「慰謝料計算機」を使えば、誰でも簡単に、弁護士基準の慰謝料相場がわかります。情報を入力していくだけのシンプルな使い方なので、弁護士に依頼した場合の慰謝料の相場を確かめてみませんか。

なお、過失割合をふくむ個別の事情は反映されていませんので、その点はご了承ください。

くわしい慰謝料の計算方法については、関連記事『交通事故の慰謝料を正しく計算する方法』を参考にしてください。

手続きを一任できるため、治療や日常生活に専念できる

示談交渉の準備や実際の交渉は、治療や日常生活・仕事と並行して行われます。

たとえば、示談交渉やそれにまつわる諸々の手続きでは、病院、自動車安全センター、住まいの市区町村など、各所からの資料集めが必要です。

示談交渉が始まると、家事や育児、仕事で忙しい中、何度も相手方保険会社から電話がかかってくるので、時間的・精神的・体力的負担を感じる被害者は多いです。

しかし、弁護士を立てれば示談の準備も示談交渉もすべて一任できるので、被害者の方は治療や日常生活・仕事に専念できます。

心理的な安心感を得られる

交通事故被害者の立場は孤独になりがちです。

加害者やその保険会社はもちろん、自身の加入している保険会社も事案によっては被害者のために動けない場合があります。職場や病院も、必ずしも親身になってくれるとは限りません。

そんな孤独を感じる中で、100%被害者のために活動する弁護士を味方につけられるということは、大きな精神的支えとなります。

保険会社との交渉に心理的な負担を感じたら、まずは弁護士にご相談ください。

交通事故の体験談8選』では、実際の示談交渉や後遺障害認定の体験談、弁護士に依頼した効果などを紹介しています。
今後のイメージをつかむためにも、ぜひご覧ください。

弁護士費用がかからない「弁護士費用特約」とは?

弁護士に相談することのデメリットとして費用が高いというイメージがあります。

ですが実は、任意保険のオプションとしてついている弁護士費用特約を利用すると、多くの場合弁護士費用を支払わずに済みます。

弁護士費用特約の概要

弁護士費用特約の主な内容は、以下の通りです。

  • 被保険者の他、その家族や同乗者も補償の対象となる
  • 運転中の交通事故のほか、自転車や歩行中の事故でも対象となることがある
  • 弁護士への相談料を10万円まで補償
  • 弁護士報酬や訴訟費用、和解にかかる費用を300万円まで補償

弁護士報酬が300万円を超えうるのは、示談金総額が数千万となるような多大な後遺障害が残る場合や死亡事故など限られた事故です。
たとえこのような限られた事故であっても、支払わなければならない弁護士費用が300万円まで軽減されることになりますから、弁護士費用特約は積極的に利用していくべきでしょう。

自分の保険に弁護士費用特約があるか確認する際は、自身の加入している保険会社に聞いてみるのが最も確実です。手元に保険証券があれば、「その他の特約」の欄で確認することもできます。

弁護士費用特約が無くても諦めるのは早い

弁護士費用を支払ってもなお、弁護士を立てなかった場合より多くの金額が獲得できたというケースは多いです。
そのため、たとえ弁護士費用特約が無くても、弁護士への相談・依頼を検討する価値はあります。

弁護士との法律相談では、弁護士を立てることで獲得が見込める金額を見積もってもらえます。獲得が見込める金額と弁護士費用とを比較してみて、弁護士に依頼するか決めるのも良いでしょう。

アトム法律事務所の無料電話・LINE相談

アトム法律事務所では、原則として無料で法律相談を承っております。電話やLINEで相談できるので、お気軽にご利用ください。

法律相談

ご希望される方は

こちら

法律相談

ご希望される方は

こちら

実際の示談交渉の最中、相手方から示談金の提示があった時、怪我の通院中、いずれの場合でも24時間365日、ご相談の予約を受け付けております。

ぜひ、皆様の示談交渉のお力にならせてください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

あわせて読みたい記事

全ての記事を見る