交通事故の示談にかかる期間の目安は?早く終わらせたいときの対処法
交通事故の示談にかかる期間は、示談開始から2ヶ月~1年程度が目安です。
物損事故や軽症の事故ならば、2ヶ月~半年程度で示談成立が期待できます。
一方、後遺障害が残った事故や死亡事故は、半年~1年程度かかることが多いでしょう。
示談金や過失割合で争う場合は、さらに長い期間となることが予想されます。
この記事では、交通事故の示談の期間や流れ、示談期間が長くなる原因とその対処法などについて解説しています。示談を早く終わらせたい方は、ぜひご一読ください。
交通事故の示談にかかる期間の目安
交通事故の示談にかかる期間の目安は、以下のとおりです。
- 物損事故:事故の発生日から2ヶ月~3ヶ月程度
- 後遺障害なしの人身事故:治療終了から半年程度
- 後遺障害ありの人身事故:後遺障害認定の結果が出てから半年~1年程度
- 死亡事故:法要を終えてから半年~1年程度
なお、上記の期間はあくまで目安であり、事故や交渉の状況によって大きく変動することがあります。
ここからは、事故の種類ごとに、具体的な流れとかかる期間を確認していきましょう。
交通事故の示談でどのような内容を話し合うのかについては、『交通事故の示談とは?交渉の進め方と注意点、避けるべき行動』の記事で解説していますので、あわせてご参考ください。
(1)物損事故|2ヶ月~3ヶ月程度
物損事故とは、自動車など財産のみの損害が生じた交通事故のことです。
物損事故の場合、示談までの期間は事故発生から2ヶ月~3ヶ月程度が目安になります。
なぜ上記のような期間となるのかを知るために、物損事故の流れを確認してみましょう。
物損事故の流れ
- 交通事故発生
- 修理費用の見積書などを入手(1ヶ月程度)
- 示談交渉(1ヶ月~2ヶ月程度)
- 示談成立
物損事故の場合は、損害額を計算するために、車の修理費用や買替費用の見積もりを出す必要があります。見積書を入手すれば、示談交渉を開始できます。
修理費の見積もりが出るまでの期間は「1ヶ月程度」
修理費の見積もりは、修理を依頼した工場に出してもらうことになります。
見積もりが出るまでの期間は、損傷を受けた箇所が明らかであれば当日、より精査が必要な場合は数週間~最大1ヶ月としている工場が多いようです。
なお、物損事故では、修理をするよりも車を買い替えた方が安いケースもあるでしょう。
そのようなケースでも、修理費用と買替費用を比較するために、修理費用を見積もってもらう必要があります。
示談交渉の期間は「1ヶ月~2ヶ月程度」
物損事故の示談交渉は、比較的スムーズに進むことが多いです。1ヶ月以内に示談成立することも少なくありません。
ただし、修理の必要性などで意見が対立した場合は、示談成立まで2ヶ月程度~それ以上かかる場合があります。
(2)後遺障害なしの人身事故|半年程度
人身事故とは、身体・生命への損害が生じた交通事故のことを言います。
後遺障害なしの人身事故の場合、示談までの期間は治療終了から半年程度が目安です。
後遺障害なしの人身事故では、示談までに以下のような流れをたどります。
後遺障害なしの人身事故の流れ
- 交通事故発生
- 入院・通院治療
- 完治
- 示談交渉(半年程度)
- 示談成立
交通事故でケガをしたものの、後遺症が残らなかった場合、治療が終わった時点ですべての損害が確定します。よって、治療が終われば示談交渉を開始することができるのです。
示談交渉の期間は「半年程度」
後遺障害なしの人身事故の場合、治療終了から半年程度で示談成立することが多いです。
後遺障害なしの人身事故の場合、後遺障害ありの人身事故と比べると、示談金に含まれる損害費目が少なく、示談金の総額も控えめになる傾向にあります。
よって、示談交渉において争う部分が比較的少なく、示談成立までの期間もやや短くなりやすいと言えるのです。
ただし、治療費の範囲などで交渉が難航すれば、示談期間が半年以上に及ぶこともあるでしょう。
(3)後遺障害ありの人身事故|半年~1年程度
後遺障害ありの人身事故の場合、示談期間の目安は後遺障害認定の結果が出てから半年~1年程度です。
後遺障害ありの人身事故における示談までの流れは、以下のようになっています。
後遺障害ありの人身事故の流れ
- 交通事故発生
- 入通院治療(半年以上)
- 症状固定
- 後遺障害の申請(2ヶ月程度)
- 示談交渉(半年~1年程度)
- 示談成立
事故による後遺症が残った場合、後遺障害認定を受けることになります。後遺障害等級に認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益といった損害が算定できるようになるため、示談交渉を始められます。
もし、後遺障害等級認定の結果に不満がある場合、「異議申し立て」を行って再審査を受けることになるでしょう。異議申し立てを行う場合は、示談成立までにさらに長い時間が必要になります。
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症状固定までの治療期間は「半年以上」
症状固定とは、これ以上治療しても症状の改善が見込めないと判断された状態のことです。症状固定に至るまでは、少なくとも半年以上の治療を要します。
上記の期間はあくまで最低限の期間になります。骨折で大掛かりな手術を行った場合は半年~1年程度、高次脳機能障害など治療やリハビリの効果を確認しなければならない場合は1年~数年程度かかることもあるでしょう。
なお、症状固定の時期を決めるのは医師になります。保険会社から症状固定の催促を受けた場合は、安易に受け入れず、医師に正しい時期を確認するようにしてください。
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後遺障害等級認定の審査期間は「2ヶ月程度」
後遺障害等級認定の審査にかかる期間は、2ヶ月以内であることが多いです。
ただし、高次脳機能障害のように、症状の状態の判断に時間がかかる場合は、結果通知までに数ヶ月~数年かかる場合もあります。
結果通知までに時間がかかる場合、損害賠償請求権の時効も危惧されます。もし時効をむかえる可能性が生じた場合は、時効完成を阻止する措置を取るようにしましょう。
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示談交渉の期間は「半年~1年程度」
後遺障害ありの人身事故の場合、示談交渉には半年~1年程度かかることが予想されます。
後遺障害認定を受けたら請求できる「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」は、高額になりやすく、計算方法においても意見が対立しやすい費目です。そのため、示談期間が比較的長くなる傾向があると言えるのです。
後遺障害が残った場合、リハビリや生活環境の整備と並行して示談交渉を行うことが多いです。示談期間の長期化は、被害者にとって大きな負担となることが予想されます。
後遺障害ありの人身事故で示談交渉を行う場合は、弁護士への依頼を一度検討してみてください。
(4)死亡事故|半年~1年程度
死亡事故の場合、示談成立までの期間は四十九日などの法要を終えてから半年~1年程度となることが多いです。
死亡事故における示談までの流れは、以下のようになっています。
死亡事故の流れ
- 交通事故発生
- 被害者の死亡
- 四十九日などの法要の終了
- 示談交渉(半年~1年程度)
- 示談成立
死亡事故の場合、葬儀を終えた段階ですべての損害が確定し、示談交渉に入ることができます。実際には、初七日や四十九日などの法要をある程度終えてから示談交渉を開始する場合が多いでしょう。
示談交渉の期間は「半年~1年程度」
死亡事故の場合、示談交渉には半年~1年程度かかることが多いです。
死亡事故で請求できる「死亡慰謝料」や「死亡逸失利益」は高額になりやすく、時には示談金の総額が1億円を超えることもあります。そのため、被害者側も加害者側も慎重に示談交渉にあたることが多く、示談期間が長くなりやすいのです。
死亡事故は、示談交渉が始まるまでに誰が相続人となるのか、配分割合をどうするのかなど、示談交渉以外にもさまざまな手続き・対応が必要となります。
死亡事故後のさまざまな手続きを円滑に進めたい場合や、示談金を最大限受け取りたい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
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交通事故の示談を早く終わらせたいときの対処法
交通事故の示談を早く終わらせたいときは、弁護士に依頼してスピード解決を図るとよいでしょう。弁護士に任せれば、示談交渉を効率的に行えるだけではなく、加害者側に主張を認めてもらいやすくなります。
実際にアトム法律事務所が受任した事例では、ご依頼から2週間~2ヶ月程度で解決した事例があります。
この章では、交通事故の示談が長くなる原因と、示談を早く終わらせたいときの対応を詳しく解説していきます。
交通事故の示談期間が長くなる5つの原因
交通事故の示談期間が長くなる原因として、以下のような状況が考えられます。
- 示談金の算定において争いやすい要素がある
- 過失割合でもめている
- 治療が長期間になっている
- 後遺障害等級認定に時間がかかっている
- 加害者側が示談に応じてくれない
具体的にどのような状況なのか、それぞれ確認していきましょう。
なお、交通事故の示談が長引く原因と対処法については、『交通事故の示談が長引く原因5つ&対処法』の記事でも紹介しているので、あわせてご覧ください。
示談金の算定において争いやすい要素がある
示談金の算定において、被害者側と加害者側で意見が食い違いやすい要素がある場合、お互いなかなか譲歩せず、示談期間が長くなることがあるでしょう。
具体的には、以下のような要素が挙げられます。
- 物損事故で争いやすい要素
- 修理の必要性、妥当性
- 車が全損となったか
- 評価損(事故車となったことによる事故前後の車両価格の差)の価格がいくらか
- 後遺障害なしの人身事故で争いやすい要素
- 治療費は必要・相当な範囲内であるか
- 整骨院など、病院以外の機関で受けた治療に対して補償を認めるか
- 付添人などの交通費を認めるか
- 入通院慰謝料の金額はいくらか
- 後遺障害ありの人身事故で争いやすい要素
- 後遺障害等級は適正か
- 後遺障害慰謝料は適正か
- 後遺障害逸失利益は適正か
(労働能力喪失率、労働能力喪失期間が実態と見合っているか) - 将来介護費などは適正か
(1日あたりの介護費の金額、家のバリアフリー化などが必要と言えるか)
- 死亡事故で争いやすい要素
- 死亡慰謝料は適正か
- 死亡逸失利益は適正か
- 事故発生から死亡までに治療を受けた場合、その分の補償を認めるか
加害者側と示談条件で争っている場合は、無料相談を利用して弁護士のアドバイスを聞いてみることをおすすめします。
過失割合に争いがある
過失割合で被害者側と加害者側の意見が対立することが多いです。
過失割合は、交通事故の状況、事故現場、事故時間などで決まります。これらの各要素について、当事者双方の意見が一致しないことは少なくないのです。
過失割合でもめることを避けるには、以下の対策が有効でしょう。
- 交通事故状況を正確に警察に話す
- 交通事故直後の状況などを写真で保存しておく
- 事故現場の証人を得ておく
- ドライブレコーダーの映像、防犯カメラの映像を確認する
なお、弁護士に依頼すれば、過失割合を決める証拠の収集や、法的根拠に基づいた説得力のある主張を行ってもらえます。過失割合で争っている場合は、弁護士に依頼するのもひとつの手段になるでしょう。
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治療が長期間になっている
人身事故の場合、完治するか症状固定と判断されるまでは、損害額が確定せず、示談交渉が出来ません。治療が長期化すると示談開始が遅れ、慰謝料や損害賠償金の受け取りも遅くなってしまいます。
しかし、だからと言って無理に早く治療を打ち切ることはおすすめしません。
まだ治療が必要であるにも関わらず打ち切ってしまうと、以下のようなデメリットが生じる可能性があるからです。
- 治るはずのケガが治らない
- 治療期間が短くなる分、入通院慰謝料が少なくなる
- 後遺症が残っても後遺障害等級認定されず、後遺障害に対する補償が受けられない
交通事故の治療は半年~1年以上となることも珍しくありません。適切な賠償請求のために必要な期間なので、焦らずに治療に専念しましょう。
後遺障害等級認定に時間がかかっている
後遺症が残った場合、示談交渉は後遺障害等級認定の結果が出てから始められます。よって、審査が長引くと示談開始が遅れ、示談成立までの期間が延びてしまいます。
後遺障害等級認定の審査にかかる期間は、多くの場合は60日以内です。しかし、以下のような場合は、審査にかかる期間が長期化する可能性があります。
- 診断書や各種資料による症状の証明が不十分である
- 加害者側の保険会社での申請手続きが滞っている
- 異議申し立てをして再審査を受ける
- 高次脳機能障害など複雑な障害が残っている
後遺症が残った場合は、迅速に後遺障害等級認定の手続きをすること、1度で適正な後遺障害等級を得ることが重要です。
もっとも早期かつ適正に後遺障害等級の認定を受けたい場合は、弁護士に依頼したうえで「被害者請求」という方法で申請することをおすすめします。
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加害者側が示談に応じてくれない
示談交渉は、交通事故による損害が確定したら速やかに行うべきものです。
しかし、加害者側の任意保険会社が他の業務で手一杯である、加害者本人が示談に消極的であるなどの理由で、示談交渉に応じてもらえないトラブルが起こることもあります。
加害者側が示談交渉に応じてくれない場合は、弁護士を立て、法的根拠のある適切な対応をしてもらうことをおすすめします。
とくに、加害者側の任意保険会社は、弁護士を立てることで態度を軟化させることが少なくありません。
【対処法】弁護士に示談交渉を任せてスピード解決を図る
交通事故の示談を早く終わらせたいなら、弁護士に依頼してスピード解決を目指すことをおすすめします。
弁護士に依頼した場合、被害者自身が対応するよりも示談にかかる期間は短くなると言えます。その理由は以下のとおりです。
- 弁護士は法律に関する専門知識を持っており、過去の事例にも詳しい。
そのため、加害者側に法的根拠を示し、反論しづらい主張を行える。 - 弁護士は示談交渉の経験を積んでおり、示談交渉のポイントをおさえている。
そのため、無駄な話をすることなく、効率的に交渉を行える。 - 弁護士を立てると、加害者側の任意保険会社は裁判への発展を恐れることが多い。
そのため、加害者側の態度が軟化し、被害者側の主張を受け入れてもらいやすくなる。
被害者側の主張を通しつつスピード解決を図るのであれば、弁護士に一度相談してみることをおすすめします。
交通事故で弁護士に依頼すると解決までの日数がどのくらいになるか知りたい方は、『交通事故の解決までの日数は何日?』の記事をあわせてご一読ください。
弁護士を立てることで示談金の大幅な増額も見込める
示談金の大幅な増額が見込めることも、弁護士に依頼するメリットのひとつです。
そもそも、加害者側の任意保険会社が提示してくる示談金は、相場より大幅に低額であることが多いです。
示談金にはいくつかの計算基準があります。弁護士が用いる基準で計算すれば、加害者側の任意保険会社が用いる基準で計算したときよりも、示談金が2倍~3倍ほど高額になることは珍しくありません。
ご自身が受け取れる示談金の相場を知りたい方は、以下の慰謝料計算機をご利用ください。
もし、計算結果よりも加害者側の任意保険会社に提示された金額の方が低い場合は、示談金を増額できる可能性があるので、弁護士への依頼を検討してみるとよいでしょう。
慰謝料の計算方法を詳しく知りたい場合は、『交通事故の慰謝料の計算方法|正しい賠償金額がわかる』の記事がおすすめです。
また、慰謝料の増額事例は『交通事故の慰謝料事例|いくらもらった?』の記事で紹介しています。
【対処法】示談成立前にお金を受け取る方法を使ってしのぐ
交通事故の示談が長くなっているとき、示談成立前に示談金の一部を受け取る方法を使い、差し当たって必要なお金を工面するといった手段を取ることもできます。
示談成立前に示談金の一部を受け取る方法としては、以下の3つが考えられます。
- 加害者側の自賠責保険会社に「被害者請求」を行う
- 加害者側の自賠責保険会社に「仮渡金」を請求する
- 加害者側の任意保険会社に「内払い金」を請求する
それぞれどのような方法なのか、順に確認していきましょう。
加害者側の自賠責保険会社に「被害者請求」を行う
被害者請求とは、加害者側の自賠責保険会社に対して、被害者が損害賠償金を直接請求する制度のことです。被害者請求は自動車損害賠償法16条に定められています。
被害者請求を行えば、示談金のうち自賠責保険会社が支払う分を、示談成立前に支払ってもらえます。
任意保険から支払われる金額は示談交渉で決めることになりますが、自賠責保険から支払われる金額は法令で定められています。よって、自賠責保険分は示談成立前でも受け取ることが可能なのです。
被害者請求で受け取れる金額には限度額があり、事故でケガを負った場合は120万円、後遺障害を負った場合は後遺障害等級によって75万円~4,000万円、亡くなった場合は3,000万円になります。
自賠責保険会社への被害者請求の方法や、どのくらいの金額を受け取れるかについては、関連記事『交通事故の被害者請求とは?自賠責へ請求すべき?やり方やメリットもわかる』をご参考ください。
加害者側の自賠責保険会社に「仮渡金」を請求する
仮渡金とは、加害者側の自賠責保険会社から損害賠償額の確定前に支払われるお金のことです。仮渡金の請求は、自動車損害賠償法17条によって認められています。
仮渡金の金額は、事故でケガを負った場合は5万円~40万円、亡くなった場合は290万円になります。
なお、仮渡金として受け取った金額は、示談成立後に支払われる示談金から差し引かれるので注意しましょう。
加害者側の任意保険会社に「内払い金」を請求する
内払いとは、示談金に含まれる一部の費目を示談成立前に支払ってもらうことです。
内払いで支払ってもらえることが多いのは、示談金のうち、示談交渉をせずとも金額が明らかである費目です。具体的には、治療費や休業損害などが挙げられるでしょう。休業損害の計算方法は『交通事故の休業損害は職業別に計算方法がある』の記事をご確認ください。
なお、上記の費目の他にも、交通費や慰謝料の一部といった費目は、交渉すれば示談成立前に支払ってもらえる可能性があります。ただし、慰謝料に関しては「内払いする代わりに総額を減らす」といった条件がつけられることも多いです。
また、内払いは、任意保険会社が任意で対応するものです。必ずしも内払いに対応してもらえるとは限らないことにあらかじめ留意しておきましょう。
内払い金や仮渡金の請求について詳しく知りたい方は、関連記事『内払い金・仮渡金を解説|交通事故の慰謝料を示談前に受け取る方法』をご参照ください。
交通事故の示談にかかる期間のQ&A
次に、交通事故の示談にかかる期間について、よく被害者の方からおうかがいする質問にお答えしていきます。
Q1.示談を早く終わらせるリスクはある?
示談交渉を早く終わらせるために示談金や過失割合を妥協すると、本来もらえるはずの金額がもらえなくなるリスクが生じます。
これは、示談が一度成立すると、原則的に撤回や再交渉ができなくなるためです。
示談成立後に交わす示談書には、「今後加害者側にそれ以上の損害賠償請求をしない」ことを約束する「清算条項」や「権利放棄条項」が記載されています。したがって、示談書を交わすと、その後に新たな損害が発覚したとしても、追加の請求ができなくなるのです。
交通事故の示談においては、時間をかけるべき部分にはじっくりと時間をかけ、そうでない部分に必要以上の時間をかけないようにするというメリハリが重要になるでしょう。
「交通事故の示談金を早く受け取りたいが、損はしたくない…」とお悩みの方は、弁護士に依頼することをおすすめします。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士ならば、示談交渉や各種手続きのノウハウを持っています。そのため、手際よく各種手続きを行いつつ、示談交渉は被害者側の主張を最大限通せるよう注力するといった、効率的かつ柔軟な対応ができるのです。
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Q2.示談してはいけないタイミングはある?
交通事故の示談は、事故によって生じたすべての損害が確定する前に行ってはいけません。とくに、以下のようなタイミングでの示談は避けることをおすすめします。
- 交通事故が起きた直後
(交通事故の現場で示談に応じるなど) - 交通事故によるケガの治療中
- 後遺障害等級認定の申請をする前
上記のタイミングでは、事故によって生じたすべての損害が確定していません。もし、上記のタイミングで示談してしまい、示談後に新たな損害が発覚しても、原則的に撤回や再交渉はできないのです。
とくに、交通事故が起きた直後は注意が必要です。交通事故が起きた直後は痛みを感じていなくても、数日後に何らかの症状が出てくることは珍しくありません。その症状が、のちのち後遺障害まで発展することも考えられます。
そのような事態を避けるためにも、示談は損害が確定してからはじめるようにしましょう。
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Q3.示談成立から示談金受け取りまでの期間は?
示談成立から示談金を受け取るまでの期間は、およそ2週間程度です。
示談成立後は、加害者側の保険会社から示談書が送られてくるので、署名捺印して返送することになるでしょう。このやりとりにおよそ1週間弱かかります。その後、保険会社内で事務手続きが行われますが、この手続きに1週間程度を見込むとよいでしょう。
示談書には、いつまでの示談金を支払うといった記載がされています。この期日を超えても示談金が振り込まれない場合は、加害者側の保険会社に連絡してみてください。
なお『保険会社が示談書を送ってこない!対処法は?届くまでの期間と届いた後の対応』の記事では、示談書が届かないときの対処法や届かない理由について掘り下げて解説しています。
Q4.示談はいつまでに終わらせなければいけない?時効は?
交通事故で損害賠償を請求する権利は、一定期間が経過すると時効により消滅してしまいます。よって、交通事故の示談は時効が成立するまでに終わらせるようにしましょう。
時効までの期間は、交通事故によって生じた損害の種類によって異なります。
2017年4月1日以降に発生した交通事故の場合、時効までの期間は以下の表のとおりです。
損害の種類 | 時効期間 |
---|---|
物損に関する損害 | 事故発生日の翌日から3年 |
人身に関する損害 (後遺障害による損害以外) | 事故発生日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (後遺障害による損害) | 症状固定日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (死亡による損害) | 死亡した日の翌日から5年 |
加害者不明の損害※ | 事故発生日の翌日から20年※※ |
※2017年3月31日以前に発生した事故にも適用される可能性がある。
※※途中で加害者が判明した場合は、判明した日の翌日を起算日とし、物損部分は3年、人身部分は5年で時効となる。
ただし、保険会社への保険金の請求は、上記の表に関わらず起算日から3年で時効となるので注意しましょう。
もし時効が迫っている場合は、時効の完成を阻止する措置をとる必要があります。詳しくは、弁護士までご相談ください。
交通事故の示談の期限については、『交通事故の示談は時効期限に注意!期限の長さや時効の延長方法を解説』の記事もあわせてご覧ください。
示談期間の短縮&示談金の増額は弁護士にお任せください
示談を早く終わらせたい、示談金を最大限受け取りたいと思われている被害者の方は、弁護士への相談・依頼をご検討ください。
ここからは、アトム法律事務所に依頼された方の示談期間・示談金の実例や、弁護士費用を軽減する方法などを解説します。
弁護士相談の検討に役立つ以下の関連記事もあわせてお役立てください。
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実際に依頼された方の示談期間の事例3選
まずは、アトム法律事務所に依頼された方の示談期間・示談期間の実例を厳選して3つ紹介します。
(1)依頼から約2週間で解決、示談金114万円の事例
傷病名 | むちうち |
後遺障害等級 | 非該当 |
依頼から示談成立までの期間 | 約2週間 |
獲得した示談金 | 114万円 |
こちらの事例では、ご依頼から約2週間でのスピード解決を実現し、示談金も114万円を獲得することができました。
ご依頼者さまが後述する「弁護士費用特約」を利用されたため、ご依頼者さま自身で弁護士費用を負担することなく、示談期間の短縮を叶えられています。
(2)依頼から約1ヶ月で解決、示談金2.9倍
傷病名 | 右足高原骨折 |
後遺障害等級 | 14級 |
依頼から示談成立までの期間 | 約1ヶ月 |
獲得した示談金 | 449万円 (提示額の2.9倍) |
こちらの事例では、示談金として当初150万円が提示されていました。「示談金が低すぎるのではないか」と思われたため、弁護士への無料相談をご利用いただいたことが、契約のきっかけとなりました。
弁護士が介入することで、示談交渉がスムーズに進み、約1ヶ月での解決が叶いました。示談金も提示額の約2.9倍まで増額されています。
(3)依頼から約2ヶ月で解決、示談金1,450万円
傷病名 | 足首内果骨折 |
後遺障害等級 | 12級 |
依頼から示談成立までの期間 | 約2ヶ月 |
獲得した示談金 | 1,450万円 (提示額の2倍) |
こちらの事例は、事故発生から15ヶ月後にご依頼いただき、ご依頼から約2ヶ月で示談成立となりました。
また、示談金として当初提示された金額は708万円でしたが、弁護士基準でみると増額の余地がありました。最終的に獲得した金額は1,450万円と、約2倍まで増額を実現しています。
さらに、アトムの弁護士が実際に解決した事例を知りたい場合は「交通事故の解決事例」のページをご確認ください。
実は弁護士費用の心配はいらない理由
弁護士への依頼をためらう理由のひとつとして、「弁護士費用がかかるため、かえって損してしまうのではないか」という懸念が挙げられます。
しかし、弁護士費用特約を利用すれば、多くの場合で弁護士費用を支払わずにすむのです。
弁護士費用特約とは、保険会社が弁護士費用を負担してくれる特約のことです。
自動車保険や火災保険、クレジットカードなどに付帯されていることが多いでしょう。
弁護士費用特約を利用すれば、多くの場合、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを保険会社が負担してくれます。
最終的な示談金が数千万円にのぼらない限り、弁護士費用が300万円を超えることはほとんどありません。弁護士費用特約を使えば、基本的に費用を負担することなく弁護士に依頼できるといえるのです。
弁護士費用特約は、被害者本人が加入している保険だけではなく、被害者の家族が加入している保険に付帯されているものも利用できるケースが多いです。
弁護士費用特約を使えば、ほぼデメリットなしで弁護士に依頼でき、示談を早く終わらせたり、示談金を増額させたりすることが期待できます。まずは、ご自身やご家族の保険契約状況を確認してみてください。
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弁護士費用特約が使えなくても諦めるのは早い
残念ながら弁護士費用特約を使えず、弁護士費用がかかる場合でも、弁護士に依頼したことで最終的に手元に残る金額が増えるケースは非常に多いです。
各法律事務所が実施している無料法律相談を利用すれば、弁護士に依頼することで示談金がいくら増額できるかの目安を教えてもらえます。弁護士費用の見積もりを作ってもらい、示談金の増額幅と弁護士費用を比較してみるとよいでしょう。
また、弁護士費用のうち「相談料」と「着手金」を無料にしている法律事務所であれば、依頼時に弁護士費用を支払う必要がないので、弁護士に依頼する段階で大きなお金を用意できない方も安心です。
先述のとおり、示談が一度成立すると、あとから撤回することはできません。
「本来ならもっと多くの示談金を受け取れるはずだったのに…」と後悔しないためにも、示談成立前に弁護士に相談してみることをおすすめします。
電話・LINE無料相談で示談の悩みから解放されよう
アトム法律事務所では、電話・LINEによる弁護士への無料相談を実施しています。
ご自宅や職場から、スマホで簡単に弁護士からのアドバイスを受けられます。
「弁護士への相談は敷居が高そう」「治療や日常生活への復帰で忙しい」と思っておられる方も、ぜひお気軽にご利用ください。もちろん、無料相談のみのご利用でも大丈夫です。
無料相談の予約問い合わせの際、弁護士費用特約の有無を事前にご確認いただいておくとスムーズにご案内できます。
弁護士費用特約をご利用できない場合でも、基本的に相談料・着手金を無料としておりますので、気軽にお問合せいただけるでしょう。
怪我の治療中、加害者側から示談金の提示があったとき、示談交渉の最中など、いつでもお気軽にご連絡ください。
相談予約は24時間365日受け付けています。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了