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交通事故の示談期間を最短にする方法|最高額の示談金を受け取る秘訣とは?

更新日:

交通事故 示談期間を最短に

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

この記事は、現在交通事故の示談に臨んでいるまたはこれから交渉を開始するという方、なかでも示談金の増額を目指している方示談までの期間を短くしたい方に向けて、示談金額をより高く、示談期間をより短くする方法を解説しています。

目次

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交通事故の示談にかかる期間の目安は?

示談にかかる期間は損害の種類で異なる

交通事故の示談にかかる期間は、交通事故によって生じた損害の種類によって異なります。

おおまかな示談成立までの期間の目安は、以下の通りです。

物損事故交通事故発生日から2~3ヶ月
後遺障害なしの人身事故治療終了から半年程度
後遺障害ありの人身事故後遺障害等級の認定から半年~1年程度
死亡事故法要・相続確定から半年~1年程度
※期間は事故状況・交渉状況によって大きく変動します

もっともこれらは一般論であり、保険会社との間で争いが起これば示談までの期間は延びることがあります。

また、弁護士に依頼することで上記の期間よりも短期間で示談成立に至ることもあります。

そもそも交通事故の示談とは|示談書の効力

交通事故の示談とは何か?

示談とは、交通事故の当事者間で話し合いにより紛争を解決すること

示談は、一般には裁判や第三者機関の力を借りずに当事者間で損害につき話し合い、終局的解決を図る民法上の和解の一種です。

つまり、交通事故の被害者と加害者で話し合い、もうこの条件で和解してこれ以上は争わない、と取り決めることを指します。

示談は基本的に話し合いで済むので、手続き面では裁判よりも手軽です。

実際に交通事故が起こった現場で「示談にしませんか?」と相手方が言ってきたり、治療中に「そろそろ示談にしましょう」と保険担当者が進めてくることもあります。

ですが、示談に安易に合意してはいけません。

何故なら、示談の際に作られる示談書の最後には、以下のような一文が付け加えられることが通常であるからです。(被害が一方的または少額の場合、示談書は免責証書と呼ばれることもあります。)

  • 被害者はその余の請求を放棄する
  • 和解条項以外に債権債務がないことを確認する
  • 本件示談書に定めるもののほかに、なんらの債権債務がないことを相互に確認する

これらの条項は、清算条項権利放棄条項と呼ばれます。

清算条項や権利放棄条項はいずれも、「今後相手方にそれ以上の損害賠償請求をしない」ことの約束を内容としています。

したがって、示談書にサインして合意した場合、合意後に新たな交通事故に関する損害が発覚したとしても原則として主張することはできない、ということになります。

このような条項が入っている以上、気軽に示談に応じてはいけません。

交通事故の示談金はいつ受け取れるのか、示談の所要期間が気になっている方も、決して示談を焦ってはいけません。

交通事故の示談で決めるものは「過失割合」と「損害額」

それでは、示談ではそもそも何を決めるのかについて考えてみましょう。

一般に、示談により以下のことが決定されます。

  • 治療費や車の車の修理費など、交通事故があったために不可避的に支払わなければならなくなった損害
  • 介護費や器具代など、交通事故により支出が必要となった将来的な損害
  • 休業損害など、交通事故により得られなかった収入や利益
  • 慰謝料など、精神的苦痛に対する補償
  • 逸失利益など、交通事故により将来的に得られなくなった収入や利益
  • 過失割合

すなわち、交通事故の示談では、交通事故によって生じたすべての損害額の計算と決定を行います。

損害額の中で争いになりがちなことには、以下のようなものがあります。

  • 治療費について
    必要のない治療があったのではないか?
    整骨院での治療費を認めるべきか?
  • 介護費について
    1日あたりの値段をいくらとするか?
    いつまで介護費を認めるべきか?
  • 休業損害について
    収入が確かでない者の収入をどう決めるか?
  • 慰謝料について
    慰謝料の金額は適正か?
  • 逸失利益について
    事故の後遺症状による仕事への影響は出るか?
    いつまで逸失利益を認めるべきか?

これらについて保険会社との間で意見が対立した時は、金額をご自身の考えるものに近づけていくための示談交渉が行われていくことになります。

なお、交渉により導き出された額が全額支払われるとは限りません。

もちろん、追突事故など加害者側に一方的に非があるような交通事故では、すべての損害額が被害者に支払われます。

ですが実際の交通事故では、衝突してきたA車が加害車両だが、衝突されたB車も速度違反をしていた、というような場合があります。

このような事故に対する責任があることを過失といい、被害者と加害者がそれぞれどれだけ事故に寄与したかを割合で示したものが過失割合といいます。

例えば、過失割合がA車:B車で9:1とされ、Bの受けた損害が合計1000万円だったとします。

この場合、Bは1000万円全額受け取れるのではなく、事故への責任が1割あるので、それを斟酌し

1000×(1-0.1)=900万円

の損害賠償を受けることが出来ます。

このように、過失割合は最終的な支払い額に大きな影響を及ぼすため、しばしば示談交渉の中で争いとなります。

交通事故の示談をしてはいけないタイミングとは?

交通事故の示談は、全ての損害が発覚する前に示談をしてはいけません。

先に述べた通り、交通事故の損害は治療費、車の修理費、通院にかかった交通費、精神的な苦痛に対する慰謝料などと多岐にわたります。

事故からある程度経たないと、交通事故の損害による金額などの見通しがたちません。

示談をしてはいけないタイミングの具体例は以下の通りです。

  • 事故が起きた現場
  • 事故直後、病院に行く前
  • 怪我での治療中
  • 後遺障害の申請前

など、まだ損害が明らかになっていない時点での示談はしてはいけません。

例えば、事故現場では興奮していて何も感じなかったけれど、家に帰ってきたら怪我をしていたことがわかった、という場合があります。

そのとき怪我をしていないことを前提で示談をしてしまっていると、怪我の治療費などを受け取ることが出来なくなってしまうためです。

交通事故の損害賠償が受け取れなくなる? 時効に注意

そもそも交通事故に関する損害賠償は、いつまでも請求できるというわけではありません。

原則として損害の発生から、人の生命又は身体の侵害による損害賠償は5年物に対する損害賠償は3年の間でなければ請求できません(原則2017年4月1日以降の事故に適用)。

このように一定期間経過すると損害賠償を請求する権利が消滅する、という効果を時効といいます。

時効の効力により損害賠償を請求する権利が消滅した場合、加害者や保険会社に対して損害賠償を請求することが出来なくなるのです。

すなわち、原則として時効となる前に示談をする必要があり、時効となりそうな場合はそれを阻止しなければいけません。

時効の開始日や時効期間の長さは交通事故の態様により異なるので、ここでは共通する時効の完成を阻止する方法について解説します。

交通事故の時効の完成を阻止するには?

時効の進行中に、「時効の更新」などにあたる行為をすることで、それまで進んでいた時効の期間のカウントが止まり、また新たなカウントが開始されます。

そのような時効の完成を阻止する手段は以下の通りです。

  • 請求(裁判所に訴訟を提出するなど)
  • 債務の承認(相手方からの支払い、賠償額を提示する書面など)
  • 催告(6ヶ月以内に訴訟などを行うことが必要)

なお、2020年4月1日以降より、民法改正により以下の方法でも時効の完成を遅らせられるようになりました。

  • 権利についての協議を行う旨の合意

なお、この合意については書面や電磁的記録として、2020年4月1日以降に記録として残しておかなければなりません。

また、協議を行う旨の合意により時効の完成が猶予されるのは最長で1年です。

時効の完成については様々な細かい規定があるので、もしもご自身の交通事故で時効が完成してしまわないかご不安な時は弁護士にご相談ください。

物損事故の場合|示談の期間

物損事故とは、生じた損害が自動車など、財産のみの交通事故のこと

交通事故で衝突したものの、人間は無事で車がへこんだだけ、車内のものが壊れただけといったような物損事故の場合の示談期間を考えてみます。

物損事故なら示談の時効期間は3年

物損事故の場合、時効期間は事故の翌日から起算して3年間です。

例えば、2020年5月1日に物損の交通事故にあい、その間事項の中断となるような行為を何もしなかった場合を考えてみましょう。

時効は翌日に2020年5月2日より進行し、そこから3年後なので、車の修理代などを請求できる期間は2023年5月1日までとなります。

物損事故における示談の流れ

物損事故の示談までの流れは、以下のようになっています。

  1. 交通事故発生
  2. 修理費用の見積書などを入手
  3. 示談交渉の開始
  4. 示談成立

物損事故の場合、実際に修理をする前から示談交渉を進めることが可能です。

むしろ修理を急いでしまうと、後々「そこにあった傷は交通事故によってできたもの」などの証明が困難になってしまい、示談交渉が難航することがあります。

また保険会社も独自に修理工場を訪れ、車両の損壊箇所を確認し修理金額の見積もりが妥当であるか調査するので、修理を急ぐことは得策ではありません。

修理できない間の代車代なども示談金のなかでまとめて請求できるので、まずは修理費用の見積もりを出して示談交渉を行うことを重視しましょう。

物損事故における示談期間の目安

物損事故の場合の示談までの期間は、修理の見積もりがでるまでの1ヶ月+交渉期間の1~2ヶ月として、おおよそ数ヶ月で決着がつくことが多いです。

物損事故の場合は、損害額を計算するために自動車の修理費用や買替費用を計算する必要があります。

修理の見積もりに関しては、事故箇所や症状が明らかであれば当日、より精査が必要な場合は数週間~最大1ヶ月としている工場が多いようです。

よって、物損事故の場合は交通事故後1ヶ月程度経てば示談交渉に移ることができます。

また、物損の示談交渉は比較的スムーズにいくことが多いですが、以下の要素で意見が対立すると交渉が長引くことがあります。

  • 修理の必要性、妥当性
  • 車が全損となったか
  • 評価損の価格がいくらか※

※評価損とは、事故車となったことによる事故前・事故後の車両価格の差のこと

これらの要素で交渉が難航することがなければ、多くの場合は1ヶ月以内に示談交渉が終結することが多いようです。

後遺障害なしの人身事故の場合|示談の期間

人身事故とは、生じた損害に身体・生命への損害が含まれる交通事故のこと

物損に加えて、交通事故により怪我をしたりするなど身体への損害が含まれる場合の事故を人身事故と呼びます。

その中でも、治療を終えた時に症状(後遺障害)が残っていないような状況について解説します。

後遺障害なしの人身事故なら示談の時効期間は5年

交通事故で傷害を負った場合、時効期間は損害及び加害者を知った時から5年です。(2020年4月1日民法改正のため)

ここでいう「損害及び加害者を知った時」というのは、事故の翌日または症状固定日・症状が治癒した日の翌日となります。

人体への損害は保護すべき必要性が高いとして、2020年4月1日の民法改正により、もともと3年間だった時効期間は5年に延長されました。

この5年という期間は、2020年4月1日時点で時効の完成を迎えていない事件、すなわち2017年4月1日以降の交通事故に適用されます。

後遺障害なしの人身事故における示談の流れ

後遺障害なしの人身事故の示談の流れ

後遺障害なしの人身事故における示談までの流れは、以下のようになっています。

  1. 交通事故発生
  2. 入院・通院治療
  3. 完治
  4. 示談交渉
  5. 示談成立

交通事故で怪我をしたような場合、治療が完了した時点で治療費や通院交通費などの損害の額が明らかになります。

また、入通院に関する慰謝料に関しても入通院期間によって決定されるので、治療が終わればその期間が明らかになります。

よって、治療が終了した時点から示談交渉に入ることができます。

後遺障害なしの人身事故における示談期間の目安

人身事故の場合の示談期間ですが、症状の重さや当事者の望む金額によって大きく変わってきます。

それでも後遺障害がないような人身事故の場合、治療終了後から半年以内に示談が成立する可能性は十分あります。

なお、人身事故の示談交渉は、以下の要素で難航する場合があります。

  • 支払った治療費は必要・相当な治療費であるといえるか(整骨院などへの通院を認めるか)
  • 付添人などの交通費を認めるか
  • 入通院慰謝料の金額

特に重要なのが入通院慰謝料の金額で、一般に保険会社から提示される金額は保険会社が独自に有する基準にそって決められています。

保険会社から提示される金額は、弁護士などから見ると不当に低額なことが多く、場合によっては裁判で認められうる金額の半額程度であることもあります。(裁判で認められうる金額を示したものを裁判基準または弁護士基準といいます。)

慰謝料の増額を目指す場合、弁護士に示談交渉を担当させ、相手方保険会社にいざとなれば裁判もできるという姿勢を示すことで、より高額かつスムーズに示談をまとめることが出来ます。

後遺障害ありの人身事故の場合|示談の期間

人身事故のうち、怪我の治療を十分に行っても症状が残ってしまい、その症状が後遺障害として認定された場合を考えてみましょう。

後遺障害として認定されるための手続きなどは、以下の記事を参照してください。

後遺障害ありの人身事故なら示談の時効期間は5年

交通事故で後遺障害を負った場合、時効期間は症状固定日の翌日から5年です。

症状固定日とは、通常の治療を重ねてもそれ以上症状が良くも悪くもならない時点を指します。

一般には、最終通院日が症状固定日となることが多いです。

症状固定については、以下の記事で詳しく書いていますので参考にしてください。

後遺障害ありの人身事故における示談の流れ

後遺障害を負った場合の示談の流れ

後遺障害ありの人身事故における示談までの流れは、以下のようになっています。

  1. 交通事故発生
  2. 入通院治療
  3. 症状固定
  4. 後遺障害の申請
  5. 示談交渉
  6. 示談成立

後遺障害が残った場合、その障害の重さがどれくらいか、後々の就労にどれほど影響を及ぼすのかを損害として評価しなくてはなりません。

これら損害を一律に評価するのが、14段階の後遺障害等級であり、後遺障害等級に認定してもらうためには症状固定後、後遺障害診断書などを提出し申請する必要があります。

ここで「思っていたより低い等級だった」「等級非該当とされてしまった」などと、認定結果に不満が生じる場合があります。

認定結果に不満がある場合は、異議申立て、ADR機関への訴えなどの手段で等級認定の是正を図ることが出来ますが、訴訟を提起しない限りそれらの期間も時効は進みます。

ですから被害者としては、躍起になって等級認定を争っているうちに損害賠償請求権が消滅してしまわないよう注意する必要があります。

いずれにせよ、後遺障害等級が定まった時から示談交渉を行うことになります。

後遺障害ありの人身事故における示談期間の目安

後遺障害の種類や事故状況によって大きく左右されますが、示談期間の目安は後遺障害等級の認定から半年~1年程度です。

高次脳機能障害など複雑な後遺障害でなければ、治療が終了して後遺障害等級の申請をすると2ヶ月程度で等級認定結果が通知されます。

等級認定結果が通知されてから示談交渉へ進んでいくことになりますが、後遺障害ありの場合、以下の要素で難航する場合があります。

  • 後遺障害等級が適正か
  • 後遺障害慰謝料が適正か(任意保険基準を用いるか、弁護士基準に近づけるか)
  • 逸失利益が適正か(労働能力喪失率、期間が実際の障害と見合っているか)
  • 将来介護費などが適正か(1日あたりの介護費の金額、家のバリアフリー化などが必要と言えるか)

以上の理由で保険会社との間に争いが生じた場合、示談交渉が1年以上長引くこともあります。

症状固定したといっても、被害者自身はその後もリハビリなどのため通院を続けることが珍しくありません。

弁護士に交渉を依頼することで、治療に専念しつつ、かつ比較的短期間で、高額の示談金が望めるようになります。

特に後遺障害のある場合はそもそも等級を得るまでの手続きに時間がかかりがちであるのと、裁判例などにそった具体的な主張立証が必要とされるので、特に弁護士に依頼するメリットが大きい事案であるといえます。

死亡事故の場合|示談の期間

死亡事故なら示談の時効期間は5年

交通事故で死亡者が出た場合、時効期間は死亡日の翌日から5年です。(2020年4月1日民法改正のため)

こちらも民法改正により、もともと3年だった期間が5年に延長されました。

2017年4月1日以前の交通事故の場合、時効中断理由がないとすでに損害賠償請求権の時効が完成しているので注意が必要です。

死亡事故における示談の流れ

死亡事故の示談の流れは、以下のようになっています。

  1. 交通事故発生
  2. 被害者の死亡
  3. 示談交渉
  4. 示談成立

死亡事故の場合は、交通事故の現場で死亡するにせよ、交通事故から何日か経って死亡するにせよ、被害者が亡くなった時点で慰謝料などの損害が確定するように思えます。

ですが死亡事故の場合、葬儀代なども損害に含まれます。

よって、初七日、四十九日などの法要をある程度終えてからが示談交渉の開始となります。

もっとも、他の事故と異なり、死亡事故だと当事者は亡くなられているので、示談交渉に立ち会うことが出来ません。

そのため、請求の主体は相続人となるので、遺族のなかで相続人にあたる人が誰か、その中で代表として相手方との示談にあたるのは誰かを決めておく必要がありうます。

請求の主体を決めておかないと、遺族がそれぞれ別に保険会社と示談交渉を行うことでそれぞれの利害が対立したり、手続きの煩雑化を招く事態になるからです。

そのような事態を避けるためにも、相続人の代表者を決める、または相続人全員が弁護士に手続きを委任することなどが重要です。

よって、示談交渉を開始していくのは主要な法要の後で、なおかつ相続人が決まってからとなります。

死亡事故における示談期間の目安

死亡事故の場合、四十九日後と考えるとおよそ死亡から2ヶ月程度してから示談交渉に移ることになります。

その後の示談は、大きな争いがなければ死亡日・法要から1年以内に成立することもあります。

ですが死亡事故の場合は、損害賠償の総額が1億を超えることもあり、保険会社も交渉に慎重になります。

実際のところ、示談成立までに1年以上かかることも決して珍しくありません。

また死亡事故の場合、将来に向けた損害の計算が必要となり、見積もりも複雑になりがちです。

長期・複雑な示談交渉はご家族にとっても負担が大きくなるところなので、まずは弁護士に相談して、弁護士の力を借りるのも選択肢に入れてください。

加害者不明の場合・自賠責保険や人身傷害保険への請求時の注意

なお、交通事故の場合はひき逃げなど、加害者が判明していない場合もあります。

加害者が判明していない場合の時効期間は以下の通りです。

  • 事故日の翌日から20年
  • 途中で加害者が判明した場合、物損事故なら事故の翌日から3年、人身事故なら事故の翌日から5年

加害者が判明していない場合の時効期間は、通常の事故の場合とは期間が異なります。

また、相手方の自賠責保険への請求や自身の人身傷害保険への請求の時効に関しては、民法改正の影響を受けておらず一律に請求の期限は事故の翌日、あるいは症状固定・治癒の翌日から3年となっています。

交通事故で示談までの期間が延びる原因と解決方法

それでは、物損事故・人身事故それぞれの場合を考えつつ、交通事故の示談成立までの期間が延びてしまう原因とその解決方法を考えましょう。

交通事故の示談期間が延びる原因一覧

交通事故の示談期間が延びる原因として考えられるのは以下のような場合です。

  • 自動車をすぐに修理してしまい、修理費用で争いとなる
  • 治療が長期間になり、なかなか示談交渉に移れない
  • 後遺障害認定に時間がかかり、等級が定まらない
  • 過失割合に争いがある
  • 相手方が示談に対応してくれない
  • 相手方保険会社が示談に対応してくれない

それぞれ、どのような事態であるのか考えてみましょう。

自動車をすぐに修理してしまう

交通事故にあった自動車の傷などをそのままにしておくことは、外観的にも、また心情的にも避けたいと思われます。

ですがすぐに修理をしてその傷が無くなってしまうと、後から「交通事故でついた傷ではないのでは」「修理が必要になるほどの傷ではなかったのでは」など、無用な疑いをかけられることになってしまいます。

そのため、実際に修理を行うのは相手方保険会社に修理代金が妥当か確認・交渉してからとなります。

仕事や通勤のため必要不可欠で、実際に支払った代車使用料は損害として認められるため、確認せず修理をすることは避けましょう。

治療が長期間になる

人身事故の場合、完治するにしろ症状固定となるにしろ、治療が終わってからでないと損害額が確定できず、示談交渉が出来ません。

この場合、治療が終わってから時効が進行しだすので、時効のことはさほど考えなくても大丈夫です。

むしろ早く示談したいと治療を打ち切ってしまうと、後から症状が出てきたり、本来支払われるべき治療費や入通院慰謝料が支払われなくなるなど、長い目で見ると損となることがあります。

交通事故の治療は半年、1年以上となることもよくあるので、焦らずじっくりと構えて治療に専念することが重要です。

もしも治療が長期間になりそうで、その間何もしないのが不安なのであれば、治療中から弁護士に相談しておくのがよいでしょう。

弁護士に相談すれば、保険会社への対応や治療方針へのアドバイス、その後の手続きなどを弁護士に一任することができ、かつその後の示談交渉もスムーズに進みます。

後遺障害認定に時間がかかる

後遺障害の等級認定は、一般に9割が60日以内に審査完了となるといわれています。

ですが高次脳機能障害など複雑な障害、資料が十分でない場合、または相手方任意保険会社での作業が滞っている場合など、認定までに半年以上かかってしまうこともあります。

※高次脳機能障害とは、言語や記憶などに影響の出る障害のこと

また、認定された等級に納得がいかず、異議申立てなどをして再度申請を行う場合、初回の申請と同じくらいかそれ以上の時間がかかることがあります。

これらの時間の間も時効は進行しますので、等級認定に夢中になっていて気付けば示談交渉の時間があまり残されていなかった、という事態は避けなければなりません。

つまり後遺障害申請においては、申請手続きを迅速にしつつ、できれば一度で適正な後遺障害等級を得ることが示談交渉の期間短縮の方法となります。

それを両立するのが弁護士に手続きを委任したうえで、被害者請求(被害者自身が必要資料を集めて提出する)するという方法です。

被害者請求の方法については、以下のリンクを参照してください。

過失割合に争いがある

過失割合は、交通事故で生じた損害に関して当事者双方が各自どれだけ責任を負っているのかを数値で表したものです。

例えば過失割合がA:Bで9:1であるところ交渉により8:2となるとすれば、Aの保険会社としては支払う金額が10%も減るので、過失割合に関しては妥協したがらない保険会社も多くあります。

過失割合は、以下の要素によって左右されます。

  • 交通事故状況の類型(道路の状況、信号の有無、横断歩道の有無、車の曲がる方向など)
  • 自動車の態様(スピード違反、大回りでのカーブなどをしていなかったか)
  • 事故現場(幹線道路か、それ以外の道路か、駐車場か、住宅街や商店街か)
  • 事故時間(相手が視認しにくい夜間か)
  • 被害者(幼児、老人、身体障碍者か)

過失割合は事故状況の類型で決まった後、その他の修正要素によって細かく決定されます。

これらの争いを避けるためにも、交通事故状況を正確に警察に話すこと・交通事故直後の状況などを写真で保存しておくこと、事故現場の証人を得ておくこと・ドライブレコーダーをつけておくことなどの事前対策が中心となります。

このような対策が難しい場合、推定される交通事故状況をもとに自力で交渉していく必要があります。

実際の裁判例に詳しく、かつ考慮要素を正しく主張立証していくことのできる弁護士に依頼すると交渉の余地は大きく広がるでしょう。

相手方/相手方保険会社が示談に対応してくれない

相手方が対応を面倒がったり、郵送した書類を無視することで示談期間が延ばされてしまうことがあります。

実際、トラブルを起こした相手方と交渉を重ねるのは心理的な負担も大きく、そのような対応をとってしまう当事者は決して少なくありません。

相手方保険会社の対応も、担当者の態度によって大きく対応の質が違ってくるのが事実です。

そのような場合、被害者が連絡を入れたり催促をすることがクレームと受け取られることもあり、一層対応が渋られることすらあります。

対策としては感情的にならず、また弁護士を代理人にたてることで相手方も裁判の可能性を感じ、真摯に対応してくれるようになることもあります。

また単純に、態度の悪い当事者の相手をしなくて済むということも、被害者にとっては大きな負担軽減となります。

交通事故の示談を急ぐことの罠

被害者としては、時効の完成を避けたり示談金を早く受け取りたいのはもちろん、交通事故が風化するのを恐れるために出来るだけ早く示談を成立させたいと思うものです。

ですが、交通事故においては示談を急ぐことは最終的な受け取りが少なくなることに繋がります。

例えば治療を早期に打ち切ってしまうと、その後の治療費や入通院慰謝料の支払いが無くなる可能性があります。

それだけならまだしも、治療を続けていれば治るはずだった怪我が治らなくなってしまったり、治療を終えてしまったことで後遺障害としても申請が難しくなります。

また、過失割合などの要素を妥協してしまうと、受け取れる示談金の総額が5%、10%と減ってしまうことになります。

示談交渉においては、「多く示談金を受け取りたいのであればじっくりと治療をし、交渉する」という原則を守ることが大事です。

示談の前に交通事故の保険金を受け取れる方法とは?

交通事故後、仕事にも行けないような状況が続くと金銭面での不安が出てくるのも事実です。

ではそのような場合、先んじて示談金の一部を受け取る方法はないのでしょうか。

保険金の内払いの利用

考えられる方法としては、損害賠償額が確定する前であってもその一部を必要に応じて支払ってもらえる内払いです。

内払いは制度として整備されているわけではなく、任意保険会社で任意で行われているものです。よって利用のためには、保険会社に交渉する必要があります。

支払われる金額の項目は、以下の通りとなります。

  • 治療費
  • 休業損害
  • 通院交通費
  • 入通院慰謝料(支払われるのはまれ)

主に内払いとして支払われるのは、休業損害です。

休業損害は慰謝料などと異なり、実際に会社を休んでいることや一日あたりの給与の証明が比較的容易であるため、先に支払っても「多く支払いすぎた」などの事態が起こりにくいためです。

申請する際には勤務している職場で発行してもらえる「休業損害証明書」を任意保険会社に提出することが必要です。
休業損害について詳しく解説したこちらの記事『交通事故の休業損害は職業別に計算方法がある|いつもらえる?相場はいくら?』もあわせてご覧ください。

治療費については相手方保険会社が直接病院に支払ってくれるのが一般的です。

交通費や慰謝料の一部に関しては、交渉すればまれに内払いしてもらえることがあります。

ですが慰謝料に関しては、「内払いする代わりに総額を減らす」などの示談金総額が下がる方向で提案を受けることもありますので、注意が必要です。

これらは一度で終わりではなく、複数回受け取ることが出来ます。

保険金の仮払いの利用

人身事故の場合、被害者はすぐに治療費の支払いなどが必要となることがあります。

そのような費用をすぐに受け取れるようにするため、自賠責保険から損害賠償額確定前にその一部を受け取ることのできる制度として仮渡金の制度があります。

第十七条 

保有者が、責任保険の契約に係る自動車の運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、被害者は~保険会社に対し~仮渡金として支払うべきことを請求することができる。

自動車損害賠償保障法17条

支払いを受けられる金額には限度があり、被害者の受傷状況によって以下のように定められています。

死亡した場合290万円
重傷の場合*40万円
通常の受傷の場合**20万円
軽傷の場合***5万円

*入院14日以上かつ治療30日以上が必要な場合・大腿骨の骨折・脊椎の骨折で脊髄を損傷した場合など
**入院14日以上または入院を要し治療30日以上が必要な場合・腕の骨折・脊椎の骨折など
***治療11日以上が必要となる場合

自賠責保険に対し仮渡金の請求を行う場合、必要な書類は以下の通りです。

  • 仮渡金支払い証明書
  • 医師の診断書(入院や治療の見込み日数がわかるもの)
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 受領者の印鑑証明書
  • 戸籍謄本(死亡事故の場合)

必要な書類を揃えて、加害者側の自賠責保険会社に送付することで支払いを受けられます。

書類に問題がなければ、一週間程度で仮渡金の支払いが受けられることが多いようです。

なお、仮渡金を受け取ることが出来るのは一回のみです。

交通事故の後遺障害等級の申請では被害者請求を利用

後遺障害申請においては被害者請求を行うことで、後遺障害慰謝料を先に振り込んでもらうことが出来ます。

被害者請求の流れ

画像を見てわかる通り、被害者請求においては任意保険会社を挟むことなく、相手方自賠責保険会社と直接やりとりをします。

すなわち、後遺障害等級が認定されれば、相手方自賠責保険会社から直接、後遺障害慰謝料が振り込まれることになります。

相手方任意保険会社を間にはさんだ申請方法である事前認定では、全体の示談交渉がまとまるまで後遺障害慰謝料の支払いを受けられなくなります。

よって被害者請求でも、先んじて示談金の一部である後遺障害慰謝料を受け取れるということになります。

交通事故で弁護士に相談すると示談期間は短縮される?

これまで紹介した通り、示談期間を短縮するには状態に応じた適切な手続きが必要となってきます。

常に最適の手段を選ぶのは一般の被害者にとっては難しく、また治療を受けながら最適の手段を自力で調べるのは大きな負担となるでしょう。

そのような事態を避けるために、弁護士に一切の手続きを任せてしまうという方法があります。

弁護士に依頼した場合の示談期間

弁護士に依頼した場合、被害者自身が対応するよりも示談成立までにかかる期間は短くなると言えます。

理由としては、弁護士は保険会社の妥協する限界点や、交渉により引き上げられる示談金の上限の相場について理解しているため、最初から効率的な交渉を行えるためです。

また、保険会社側も弁護士が相手となっては、相手方の知識不足につけこむような真似はせず、無理筋な主張をすることもなくなります。

示談交渉(弁護士あり)

よって数往復程度の書面のやりとりで示談交渉がまとまることが多く、示談期間の大幅な減縮に繋がります。

弁護士に示談交渉を依頼することのメリット

また、弁護士に依頼することで示談までの期間が短くなるほかにも以下のようなメリットがあります。

  • 受け取れる示談金の総額が増える
  • 手続きを一任できるため、治療や日常生活に専念できる
  • 心理的な安心感を得られる

まず、保険会社はその会社自身や被保険者になるべく損害が出ないように振る舞います。

その結果、交通事故被害者に対する支払いは出来るだけ少なくしよう、という思惑が働くことになります。

ですが弁護士が交渉の場に出てきた場合、手間や費用、あるいは名声の面でも最も避けたい裁判の可能性が明らかになるため、保険会社も大幅に譲歩することが多くあります。

結果的に、被害者の受け取れる示談金の増額に繋がります。

特に増額の見込める慰謝料については以下の記事で事例を紹介していますので、参照にしてください。

交通事故の「慰謝料計算機」を使えば、誰でも簡単に、弁護士基準の慰謝料相場がわかります。情報を入力していくだけのシンプルな使い方なので、弁護士に依頼した場合の慰謝料の相場を確かめてみませんか。

なお、過失割合をふくむ個別の事情は反映されていませんので、その点はご了承ください。

くわしい慰謝料の計算方法については、関連記事『交通事故の慰謝料を正しく計算する方法』を参考にしてください。

また、交通事故で心身ともに負担の大きいなか、なかなか親身にはなってくれない相手方保険会社とやりとりするのは大きな苦痛です。

実際に弁護士事務所に依頼される方のなかには「保険会社の担当者の態度が悪く、嫌になってしまった」という方がいます。

さらに、迅速な手続きのためにはしばしば書類が必要になりますが、これらの発行場所は病院、自動車安全センター、住まいの市区町村など、複数にわたります。

これら書類を取り寄せる作業なども弁護士に任せることが出来れば、安心して治療や社会復帰に専念することが出来ます。

最後に、交通事故被害者の立場は孤独になりがちです。

加害者やその保険会社はもちろん、自身の加入している保険会社も事案によっては被害者のために動けない場合があります。職場や病院も、必ずしも親身になってくれるとは限りません。

そんな孤独を感じる中で、100%被害者のために活動する弁護士を味方につけられるということは、大きな精神的支えとなります。

保険会社との交渉に心理的な負担を感じたら、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士費用がかからない「弁護士費用特約」とは?

一方で、弁護士に相談することのデメリットとして費用が高いというイメージがあります。

ですが実は、任意保険のオプションとしてついている弁護士費用特約を利用すると、多くの場合弁護士費用を支払わずに済みます。

弁護士費用特約の概要

保険会社にもよりますが、加入者のおよそ50~70%が弁護士費用特約をオプションとしてつけています。

弁護士費用特約の主な内容は、以下の通りです。

  • 被保険者の他、その家族や同乗者も補償の対象となる
  • 運転中の交通事故のほか、自転車や歩行中の事故でも対象となることがある
  • 弁護士への相談料を10万円まで補償
  • 弁護士報酬や訴訟費用、和解にかかる費用を300万円まで補償

弁護士報酬が300万円を超えうるのは、示談金総額が数千万となるような多大な後遺障害が残る場合や死亡事故など限られた事故です。

たとえこのような限られた事故であっても、支払わなければならない弁護士費用が300万円まで軽減されることになりますから、弁護士費用特約は積極的に利用していくべきです。

弁護士費用特約があるか確認する方法としては、自身の加入している保険会社に聞いてみるのが最も確実です。

手元に保険証券があれば、「その他の特約」の欄で確認することもできます。

実際のところ、多くの弁護士事務所では交通事故の報酬に関して「示談金の増額〇%分」などと定めているため、弁護士費用の方が多くかかる、といった事態はなかなか起こりません。

もし不安であれば、相談の際に「費用倒れになりませんか」「いくらの回収見込みがありますか」などと尋ねてみて、しっかりと答えてくれる弁護士を選ぶとよいでしょう。

交通事故の示談交渉は弁護士に依頼を

交通事故の示談交渉には、被害者側としての知識だけではなく、保険会社側の知識も必要です。

実際の交渉で少しでも困ったことや納得のいかないことがあったら、ご自身で何とかしようとする前にぜひ弁護士にご相談ください。

アトム法律事務所では、原則として無料で法律相談を承っております。

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実際の示談交渉の最中、相手方から示談金の提示があった時、怪我の通院中、いずれの場合でも24時間365日、ご相談の予約を受け付けております。

ぜひ、皆様の示談交渉のお力にならせてください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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