交通事故で後から痛みが…因果関係を立証するには?因果関係なしの判例も紹介

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後から痛みが出たら

交通事故で後から痛みが発生した場合、速やかに病院を受診して診断書をもらう必要があります。

なぜなら、交通事故とケガとの因果関係を立証できないと損害賠償請求が認められないからです。適切に対応しないと因果関係が否定され、治療費や慰謝料などの支払いを受けられない可能性があります。

本記事は、交通事故で後から痛みが発生した場合の対処法と注意点や因果関係の立証方法、因果関係が争点となった実際の判例などについて解説した記事です。

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交通事故で後から痛みが発生した場合の対処法

すぐに病院を受診する

交通事故後、痛みが出たり体調の不良を感じたりした場合は、速やかに整形外科などの病院を受診し、診察や治療をしてもらいましょう。

「何となく痛いかも」「肩こりが出やすくなった」「違和感を感じる」といった程度でも、念のため、受診しておくことが重要です。受診が遅れるほど交通事故と怪我との因果関係が曖昧になるためです。

事故日から初診日までの期間が空いているほど、交通事故とは関係なく、私生活で負傷した疑いもあると考えられてしまいやすくなるのです。

いつまでに病院を受診しなければいけないかの明確な決まりはないものの、事故から1週間~2週間以内に病院を受診していないと、事故との因果関係を否定される傾向にあります。

たとえば、事故の一ヶ月後に痛みが出てきても、それまでの間に一度も病院を受診していない場合は、事故との因果関係を否定され、治療費や慰謝料などの支払いを受けられない可能性が高いでしょう。

それ以外の病院の受診が遅れるリスクもまとめると、以下のようになります。

病院の受診が遅れるリスク

  • 怪我と交通事故の因果関係が疑われやすくなる
  • 怪我の発症当時の様子を記録できなくなる
  • 怪我が治りきらない可能性がある

なお、「この程度の痛みで受診してもいいのかな?」と不安な方は、『交通事故で痛くないのに通院・検査してもいい?』の記事をご一読ください。交通事故直後に痛みがなくても通院して検査を受けるべき理由と通院しないリスク、検査費用の請求などがわかります。

事故直後は痛みを感じなくても、だんだんと自覚症状が出てくることや、異常に気付くことがあります。とくに、事故の衝撃で首や腰がむちのようにしなり、周辺組織が損傷する「むちうち」は、後から痛みが出ることも十分あるでしょう。

医師に診断書を作成してもらう

後から痛みが発生した場合、病院を受診するだけでなく、医師に診断書を作成してもらいましょう

この後解説する物損事故から人身事故への切り替え手続きには、診断書の提出が必要だからです。

また、交通事故日から期間が経過していない段階での医師の診断書は、交通事故とケガとの因果関係を立証する有力な証拠となります。

なお、診断書を作成してもらう際には、医師への自覚症状の伝え方に注意する必要があります。

初診時の自覚症状に記載されていない症状は、後に事故との因果関係を疑われやすくなるので、症状は漏れなく伝えて、診断書に記載してもらうようにしましょう。

警察で物損事故から人身事故に切り替える

事故当初は痛みもなかったので、警察に物損事故として処理されていても、後から痛みが出たり、ケガをしていたことが発覚した場合には、警察に届出をして人身事故に切り替えてもらいましょう。

人身事故への切り替え手続きがいつまでできるか明確に決まっていないものの、事故から1週間~2週間以内が一般的な目安であり、それ以降は切り替え手続きを拒否される傾向にあります。

人身事故への切り替えは、通常以下のような流れで行われます。

  1. 事故地を管轄する警察署の交通課に、人身事故への切り替えを希望する旨を連絡する
  2. 診断書や車検証、身分証明書など警察署から指示された書類を持参して警察署に行く
  3. 加害者と被害者双方立ち会いのもと、警察官が事故現場や事故車両の状況を確認して実況見分調書を作成し、事情聴取を受ける

3については、基本的に当事者双方の立会いが必要ですが、一方が立会いを拒否した場合などには一方の立会いだけで実況見分が行われるケースもあります。

なお、実況見分調書は、示談交渉で過失割合について交渉する際に強力な証拠となります。 

警察に人身事故への切り替えを拒否された場合の対処法

もし、事故から日が経ちすぎているなど、何らかの事情で警察に人身切り替えを拒否されてしまった場合には、加害者側の保険会社がケガの事実を認めているかどうかがポイントです。

もしケガ自体は認められているのなら、「人身事故証明書入手不能理由書」を用意して加害者側の任意保険会社に提出してください。

なお、弁護士のサポートにより、示談金の増額やストレス・手間の軽減といった様々なメリットを得られます。任意保険会社との交渉に向けて、早めに弁護士への相談と依頼を検討しておきましょう。

人身事故証明書入手不能理由書については『人身事故証明書入手不能理由書とは?理由の記入例と注意点【見本あり】』の記事が参考になります。

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保険会社に連絡する

後から痛みが発生して病院を受診する際には、事前に自分と相手方双方の任意保険会社に連絡を入れておくことも大切です。

事前に相手方の任意保険会社に連絡をしておけば、相手方の任意保険会社が病院に直接治療費の支払い(任意一括対応)をしてくれるケースが多いです。

他方で連絡をしておかないと、病院の窓口で治療費を実費で立て替えなければいけなくなります。

また、自分が加入している保険の内容によっては、自分の保険会社からも治療費や入院・通院に応じた保険金の支払いを受けられる可能性があるので、自分の保険会社にも連絡をしておきましょう。

よくある質問

後から痛みが出たとき整骨院(接骨院)に通ってもいい?

後から痛みが出た場合、病院ではなく整骨院(接骨院)に通って怪我を治そうとする方もいらっしゃいます。

しかし、整骨院(接骨院)に通うのは病院を受診して医師の許可を得たあとにしましょう。その理由は以下のとおりです。

  • 整骨院では診断書が作成されず、人身事故に切り替えられないから
  • 医師の許可なく整骨院に通うと、治療費や慰謝料を適正に支払ってもらえないから
  • 整骨院だけに通っていると、後遺障害等級に認定されない可能性があるから

整骨院での施術は医療行為ではないため、有効性や必要性を認められづらいです。また、「後から痛みが出たと主張しているが、本当は単なる健康維持のために施術を受けているのでは?」といったように、交通事故との因果関係を疑われる可能性もあります。

整骨院や接骨院での施術が怪我を治すために有効と示すには、医療のプロである医師の許可を得ておくことが重要になるのです。

交通事故で整骨院に通いたい場合は、『交通事故の治療を整骨院で受けても慰謝料はもらえる|慰謝料の計算と注意点』の記事をあらかじめご参考ください。整骨院で治療しても慰謝料をもらうための注意点がわかります。

示談した後に痛みが出てきたらどうなる?

原則としてすでに示談を終えてしまっている場合、示談書に記載されている内容以外の請求をすることはできません。多くの示談書には「この示談書にある損害以外、今後一切請求しない」という文言が含まれているからです。

そのため、示談を締結した後に「後から痛みが出てきたので治療費を払ってほしい」と言っても基本的には認められないでしょう。

しかし、以下のケースでは、例外的に後から出てきた痛みに関する損害賠償を受けられることもあります

  • 物損部分のみ示談していたケース(例「人身部分については別途協議する」)
  • 事故現場で不当な示談をしていたケース
  • 示談書に後から出た痛みに対応できる文言があるケース

どうしても泣き寝入りをしたくないという方は、まず弁護士に相談してみることをおすすめします。

示談成立後の賠償請求については以下の関連記事もお役立てください。

交通事故で後から痛みや症状が出るケースがあるのはなぜ?

交通事故では、直後は痛みを感じなかったのに、数時間後や事故日の翌日、数日後(2~3日後)に痛みや症状が発生するケースも多いです。

そのようなケースが出てくるのはなぜなのでしょうか?

興奮状態で痛みに気付かない

交通事故という非日常的な出来事に遭った被害者は、知らず知らずのうちに過度の興奮状態や緊張状態に置かれています。

そのため、交感神経から鎮痛作用のあるアドレナリンが過剰に分泌される結果、交通事故直後は痛みに気付かないケースが多いのです。

警察庁が発表しているマニュアルにも、交通事故の被害者によく見られる精神的反応の1つとして「身体に怪我をしているにもかかわらず痛みを感じない」というものが挙げられています。

これは、ショックな出来事の際に物事を受け入れられず、感覚が麻痺したり知覚と意識が乖離したりすることが原因とされています。

後から痛みが出てきたらまず「むちうち症」を疑おう

交通事故(特に追突事故)で生じやすいむちうち症(医学的な名称は頚椎捻挫、頚椎打撲、外傷性頚部症候群)とは、首や腰の組織がダメージを受けて発症するものです。実際にダメージを受けてから炎症が起こり始めるまで時間がかかるケースもあります。

こうしたことから、交通事故直後にむちうち症による痛みを感じないことは決して珍しくありません。

むちうちの症状や慰謝料相場については、以下の関連記事でも紹介しているので参考にしてみてください。

後から感じる手足のしびれや筋肉痛、倦怠感もむちうち由来かも

交通事故の後から生じる手足のしびれや筋肉痛、倦怠感は怪我とは関係ないと思われがちですが、実はむちうちの症状である可能性があります。

頚椎(首の骨)にダメージが加わって、突出した椎間板(椎間板ヘルニア)が、頸椎付近にある手足の感覚や運動を支配する神経を圧迫した結果、手足のしびれが発生することがあります。

また、事故による衝撃や急激な運動などによって筋肉が緊張して硬くなることで、筋肉痛や倦怠感などが症状として現れることもあります。

他にも後から頭痛、吐き気、めまいなどを感じたら、まずむちうち症が疑われるでしょう。

もっとも、場合によっては脳挫傷や硬膜下血腫などといった頭部外傷を負っている可能性もあります。

脳内出血は、時間差で症状が現れることも多いという特徴があるからです。

最初はなんともなくてもだんだん症状が進み、命に危険をおよぼす可能性も高いです。こういった危険を回避するためにも、病院を受診しておくことをおすすめします。

交通事故とケガの因果関係が大事な理由

交通事故の因果関係とは何か

因果関係とは、ある事象の原因と結果のことであり、交通事故のような不法行為に基づく損害賠償責任をするために立証が必要となる要件の一つです。

とくに、交通事故の因果関係は次のように考えておきましょう。

交通事故の因果関係とは

交通事故における因果関係とは、事故が原因でケガという損害(結果)が生じたという、原因と結果の関係をいいます。事故とケガに因果関係がないと、加害者から損害賠償を受けられません。

具体的には、交通事故からそのケガが発生するのが通常(相当因果関係がある)といえる範囲でしか、損害賠償を受けられません。

交通事故において因果関係が争われるケースとしては、その症状が本当に交通事故によるものかという点が疑われてしまうことです。

交通事故の損害賠償は、被害者側に立証責任があります。かみくだいていうと、交通事故のせいで負った損害内容とその金額を被害者側で明らかにし、根拠を示して請求しなくてはいけません。

因果関係を立証するためには、以下のようなものが証拠となるでしょう。

  • 診断書やカルテなどの医療記録
  • 警察の作成する資料(交通事故証明書、実況見分調書など)
  • 目撃者の証言
  • 事故時の写真や映像記録
  • 医師の意見書

事故後はすぐに病院を受診しよう

事故とケガの因果関係を立証するために、早期に医療機関を受診して診断書をもらうことが重要です。

因果関係の有無は「事故受傷直後に医療機関を受診しているか」が大きく判断を左右するからです。

さらに、事故直後にレントゲンやMRI、CTといった画像検査を受けておくと、今後の交渉や、後遺症が残った場合の後遺障害申請の提出書類にもなります。

交通事故とむちうちの因果関係を立証するには?

交通事故とむちうちの因果関係を立証するためには、事故直後に病院に行くこと症状を医師に正確に伝えることを心がけましょう。

たとえば、診察のたびに痛む場所がコロコロと変わったり、症状に一貫性がなかったりすると、事故との因果関係を疑われかねません。

痛みの場所や強さ、痛みを感じるタイミングや日常生活の影響を言葉にして正確に医師に伝えるほか、治療の早い段階で画像検査を受けておくと良いでしょう。とくに、受傷直後の検査結果は重要です。

交通事故で因果関係が争いになりやすいケース

交通事故では、後から痛みが発生して、時間が経ってから病院へ行ったケース以外にも、以下のようなケースでも因果関係が争いになりやすいです。

後から初診時と別の部位に痛みが出たケース

初診時は腰痛だけを伝えていたけれど、後から首や背中にも痛みが出てきたようなケースも、因果関係が争いになりやすいです。

上記のような場合は、まず主治医に痛みが新たに生じたことを伝えてください

明らかな外傷がみえにくいむちうちでは、医師も判断しにくい側面があります。

むちうちの一部の症状が後から生じることもありますし、骨折が後から発覚することもあるでしょう。しっかりと医師に症状を伝えて診察を受け、カルテなどに症状を記載してもらいましょう。

ただし、後から別の部位に痛みが出た場合、その部分は事故との因果関係が認められない可能性もあります。とくに後から痛みが出た部位に後遺症が残った場合、後遺障害認定を受けられない可能性が高いことはあらかじめ留意しておきましょう。

もし、後から生じた痛みと交通事故に明らかな因果関係があると医師が認めるのなら、診断書にその旨を記載してもらうことをおすすめします。

むちうちで治療期間が長期にわたるケース

また、むちうちなどは比較的軽傷と考えられており、保険会社は3か月程度を治療期間の目安にしているといわれています。

そのため、むちうちの治療期間が極端に長期にわたると、賠償神経症が疑われ、治療費の打ち切りだけでなく、損害賠償請求の一部しか認められない場合もあるでしょう。

賠償神経症とは?

交通事故などの事故をきっかけに、精神的な不調を訴える症状のこと。不安感、抑うつ感、倦怠感、頭痛、めまい、吐き気などが代表的な症状。

賠償神経症のほかにも、被害者の性格、治療への後ろ向きな姿勢などは素因減額の対象になりうるもので、賠償金が一部減額されてしまいます。詳しく知りたい方は、『素因減額とは?減額されるケースや判断基準がわかる【判例つき】』の記事を参考にしてください。

交通事故後に耳鳴りや難聴が発生したケース

耳鳴りや難聴はむちうち症が原因で発生するケースがありますが、その知識がない交通事故被害者の方がほとんどです。

そのため、初期の段階で耳鳴りや難聴の症状があっても、交通事故が原因とは思わずその症状を医師に伝えなかった結果、診断書に耳鳴りや難聴の症状が記載されていないケースが多いです。

その結果、交通事故との因果関係が問題になりやすいのです。

関連記事『交通事故による聴覚障害の後遺障害。難聴(聴力低下等)や耳鳴りの等級は?』では、難聴や耳鳴りで認められる可能性のある後遺障害等級などについて詳しく解説しています。

交通事故から死亡までに期間があるケース

交通事故被害者が、事故日から長期間経過した後に死亡した場合には、事故と死亡との因果関係が争いになるケースが多いです。

交通事故の被害者が、入院中に別の病気を併発して死亡するようなケースです。

一般的に、交通事故の怪我が原因で長期入院したことにより、体力的に衰弱した結果、肺炎が悪化して死亡したというケースでは、因果関係が肯定される傾向にあります。

もっとも、被害者が高齢者であったり、事故前から病気(既往症)があったりしたようなケースでは、因果関係が否定されたり、素因減額されたりする可能性もあります。

交通事故後にPTSDやうつ病になったケース

交通事故は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病などの精神疾患を発症することもあります。

ただし、外見から明らかではないことや、事故前から疾患を持っている可能性を指摘されるなど、事故との因果関係を疑われやすい側面もあるので注意が必要です。

関連記事『交通事故で発症したPTSD・うつ病(非器質性精神障害)と後遺障害』では、どういった症状や後遺障害等級認定を受けられるのかなど、詳しく解説しています。

画像所見のない神経症状

交通事故でむちうち症となった被害者が、痛み・痺れ・麻痺・筋力低下といった神経症状が改善せず、後遺症が残る可能性もあります。

もし後遺症が残ったならば、事前認定や被害者請求といった申請方法により、後遺障害等級認定の申請を行い、後遺障害として認定された場合、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できます。

もっとも、客観的な画像所見がない場合は因果関係が問題となり、後遺障害非該当となるケースも多いです。

画像所見がない場合に後遺障害(14級9号)が認定されるには、受傷直後からの治療変遷や症状の一貫性が重要です。

むちうちでの後遺障害等級認定の申請について知りたい方は、以下の関連記事も参考にしてください。

所持品や積載物が破損したケース

交通事故では、人体や車両だけでなく、さまざまな物(服やスマホ、車両で運送していた商品など)が破損することがあります。

因果関係が認められれば、こうした物の破損に対する損害賠償請求も可能ですが、交通事故により破損したかどうかが争われるケースがあります。

高級時計が破損したと嘘を言って高額な賠償金を請求したり、事故前から傷の付いていたスマホを新品と交換するように請求するようなケースがあるからです。

因果関係を立証するには、事故直後に破損品の写真を撮影し、たとえ破損して使えなくなったとしても賠償問題が解決するまでは捨てずにとっておくことが大切です。

非接触事故

非接触事故(誘因事故)とは、相手方の危険行為に誘発されて起きた、当事者同士の物理的な接触がない交通事故のことです。

非接触事故では、相手方から被害者が一人で転倒したと主張され、因果関係が争いになるケースが多いです。

また、因果関係が認められたとしても過失割合で争いになるケースも多いです。

非接触事故にあったときの対応や過失割合について詳しく知りたい方は、関連記事『非接触事故(誘因事故)の被害にあったら?立ち去りの対応や過失割合も解説』を参考にしてください。

因果関係が認められた場合の損害賠償請求

因果関係を立証できた場合、下記のような項目の損害賠償請求が可能です。

損害賠償項目内容
治療費診察料、投薬料、検査料、入院費、手術費など
通院交通費入院や通院の際に必要となった交通費
休業損害事故によるケガが原因で仕事を休んだことにより生じた収入の減少分
慰謝料事故により生じた精神的苦痛に対する金銭的補償
逸失利益事故により失われた将来の収入分

ごく軽い症状であっても、交通事故とケガとの因果関係が認められれば損害賠償請求できます。軽傷かどうかは気にする必要はありません。

たとえ数日しか通院しなかったとしても、通院した日数分に対する入通院慰謝料や治療費、通院交通費などは請求できます。

たとえば、むちうちで入通院した場合の慰謝料額は以下の表から計算します。

「1月=30日」とし、入通院日数が30で割り切れない場合は日割計算を行います。

軽傷用の算定表

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

軽傷の場合の慰謝料相場がいくらくらいかや慰謝料請求のポイントについては『軽傷の交通事故慰謝料はどれくらい?十分にもらう方法と症状別の相場』で解説しています。合わせてご覧ください。

交通事故とケガの因果関係が争われた判例

事故とケガとの因果関係を認めなかった裁判例

この事故は、加害者側が運転する自動車の左後部側面と、被害者側が運転する自動車の右角が接触した事故でした。被害者は外傷性頚部症候群や右膝・腰部捻挫を負ったと主張し、治療費や慰謝料を請求したのです。

裁判所は、事故により外傷性頚部症候群(頚部捻挫)、腰部捻挫及び右膝捻挫の傷害を負ったと認めるには足りないと結論付けました。(大阪地方裁判所令和3年11月5日判決)

因果関係なしのポイント(抜粋)

  • 事故は外傷を負うほどとは思えない軽微だった
  • 事故から6日後に初めて病院を受診した
  • 事故以前から頸部通・右膝痛を訴えて整体を利用していた
  • 症状の主張に一貫性がなく、天候や身体的負荷に左右されていると判断された

この判例からは、事故の規模に対するケガの程度や、事故後すぐに病院へ行かなかったことに加えて、もともとから通院していた部位であることなどが指摘されました。

事故と後遺障害との因果関係を認めなかった裁判例

この事故は、交差点で停車中の被害者の車両に、加害者が追突した事故です。被害者は後遺障害12級あるいは14級にあたる後遺障害が残ったことを主張しました。

裁判所は、被害者が訴える頚部及び腰部の症状は心因的要素又は環境的要素によるものと考えられ、後遺障害は認められないとし、算定した相当損害額の限度で請求を認容した事例です。(仙台地方裁判所令和3年1月28日判決)

因果関係なしのポイント(抜粋)

  • 事故は外傷を負うほどとは思えない軽微だった
  • 左腕の痺れや脱力は診療記録になく、むしろ「痺れがない」と記載されている
  • 事故の約9ヶ月後に初めて痺れを主張している
  • むちうちで由来といえない症状については、心理的要因による可能性がある

この判例からは、診断名と症状が不一致だと因果関係が疑われうること、事故から相当日が経ってから新たな症状を主張することも不自然であることなどが指摘されました。

事故で後から痛みが出てきたら弁護士に相談しよう

交通事故で後から痛みが出てきて不安や悩みがある場合、交通事故に精通する弁護士に気軽に相談してみることをおすすめします。ここからは、弁護士への相談・依頼のメリットをお伝えしていきます。

弁護士に無料で相談できること

アトム法律事務所では電話やLINEにて無料相談をおこなっており、次のような内容をご相談いただけます。

  • 物損から人身への切り替えに関する疑問・お困りごと
  • 後から痛みが出た場合に請求できる損害賠償金の費目・相場
  • 加害者側との示談交渉に関する疑問・お困りごと
  • 加害者側から提示された示談金額・過失割合の正当性
  • 通院に関する注意点の確認

無料相談のみのご利用、セカンドオピニオンとしてのご利用でも大丈夫です。強引に契約を迫ることはないのでご安心ください。

ご相談の予約は、土日祝関係なく24時間365日いつでも受付をしています
お問い合わせをお待ちしております。

示談はまだ先でも早めの弁護士相談がおすすめ

弁護士への相談は示談前になってからでもいいと考える方も多いですが、これから通院を始めるのであれば通院に関する注意点を確認しておくことは非常に重要です。

交通事故で通院する場合、治療費や通院期間に応じた入通院慰謝料などを請求できます。しかし、たとえば以下のような通院をしてしまうと、十分な金額を得られない恐れがあるのです。

  • 通院頻度が低すぎる
  • 通院頻度が高すぎて過剰診療を疑われる
  • 通院を中断する
  • 医師の指示なく整骨院に通う

他にも、何気ない言動が賠償金の減額につながる可能性があるため、あらかじめ弁護士に相談しておくことが重要です。

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弁護士に依頼すれば慰謝料の増額も期待できる

弁護士相談後に依頼(委任契約)した場合、慰謝料の大幅な増額も期待できます。

示談交渉の際、加害者側の任意保険会社は独自の基準(任意保険基準)で計算した慰謝料・賠償金を提示してきます。しかし、これは過去の判例に基づく「弁護士基準」(「裁判基準」)に沿った金額よりも大幅に低いことが多いです。

慰謝料相場の3基準比較

※自賠責基準は、交通事故の被害者に自賠責保険で補償される最低限の賠償金額

たとえば、むちうちの場合、後遺障害等級12級13号または14級9号に認定される可能性がありますが、12級と14級の自賠責基準と弁護士基準の後遺障害慰謝料相場は、それぞれ以下の表のようになります。

後遺障害等級自賠責基準弁護士基準
12級13号94万円290万円
14級9号32万円110万円

上記のとおり、弁護士基準による後遺障害慰謝料の方が自賠責基準よりも、約3倍以上高くなります

もっとも、加害者側の提示額を被害者自身の交渉で十分に増額させることは非常に難しいです。

しかし、弁護士が交渉すれば、加害者側の保険会社は裁判への発展を懸念し、高額な弁護士基準で計算した慰謝料を認めることが多くなります。

とはいえ、弁護士に依頼するには費用が気になるところでしょう。しかし、弁護士費用特約を使えば、ほとんどの場合に自己負担金0円で弁護士を立てられます。

弁護士に示談交渉を依頼した時の増額事例

ここで、実際にアトム法律事務所が受任した案件の中から、弁護士依頼で増額を叶えた例を厳選してご紹介します。

捻挫で後遺障害なしの事例

傷病名手首捻挫、腰椎捻挫
後遺障害等級なし
当初の提示額31万円
最終的な回収額147万円

むちうちで後遺障害14級の事例

傷病名頚椎捻挫
後遺障害等級14級
当初の提示額75万円
最終的な回収額261万円

むちうちで後遺障害12級の事例

傷病名頚椎捻挫
後遺障害等級12級
当初の提示額256万円
最終的な回収額670万円

この他にも、アトム法律事務所の弁護士による解決事例が気になる方は「交通事故の解決事例」ページをご確認ください。

また、弁護士に依頼すれば、加害者側の保険会社とのやりとりや、後遺症が残った場合に後遺障害申請の被害者請求異議申し立て手続きといったサポートも受けられます。

弁護士に依頼することで得られるメリットをさらに知りたい方は、関連記事『交通事故を弁護士に依頼するメリットと必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』をご確認ください。

無料電話・LINE相談はこちらから

アトム法律事務所の無料電話・LINE相談は以下のバナーからご利用いただけます。相談は初診後~示談成立前であればいつでも可能です。

なお、アトム法律事務所は全国主要都市に支部がありますが、交通事故問題の場合は電話や書面などのやり取りで事案解決に至るケースも多いです。

お住まいの地域付近に幣所の支部がなかったとしても、安心してご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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