交通事故の同意書はサインしても大丈夫?医療照会の同意書は特に注意

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交通事故「同意書」

交通事故に遭うと、加害者側の任意保険会社から「同意書」が届くことがあります。

ただでさえ加害者側に対しては不信感があるのに、よくわからない同意書が届くとサインしていいのか不安になる人も多いでしょう。

保険会社から届く同意書は、基本的にはサインして返送しても問題ありませんが、医療照会の同意書には注意が必要です。

この記事では、交通事故後に届く同意書の種類やその目的、同意しないとどうなるのかを解説します。

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同意書の種類とその目的|届くタイミングも

交通事故で、事故相手の保険会社から届く同意書には以下のような種類があります。細かな書類の名前は、保険会社ごとに異なります。

  • 診療情報提供の同意書
  • 医療照会のための同意書
  • 保険金請求書兼一括払用委任状・同意書

それぞれの同意書の見分け方と目的、サインすることによる効果を解説します。

診療情報提供の同意書

見分け方

比較的、事故後すぐに届きます。新しい病院に通院することになったり、通院期間が半年を超えたりしたような場合は、新たに追加で送られてくることもあります。

タイトルは単純に「同意書」または「診療情報提供の同意書」となっていることが多いです。

宛先が「〇〇病院御中」になっていたり、具体的な医療機関名を記入したりする欄があります。

内容としては「〇〇病院での診療情報を提供することに同意する」という風になっているものが多いいです。

目的と効果

同意書の目的は、加害者側の任意保険会社が被害者の治療に関する情報を取得することの同意を確認するものです。

診療情報提供の同意書にサインすると、任意保険会社は被害者の診断書・診療報酬明細書などを取得できます。

それにより、加害者側の任意保険会社に治療費を支払ってもらえるようになります(治療費の任意一括対応)。

同意することで治療費を支払ってもらえる仕組み

交通事故の治療費について、被害者が病院に支払うのではなく、加害者側の任意保険会社が病院に直接支払うシステムを「任意一括対応」と言います。

治療費支払いの流れ(任意一括対応)

加害者側の任意保険会社が病院に治療費を支払うためには、被害者がどういった治療をしているのかを把握しなければなりません。

しかし、被害者がどのような治療を受けているのかは、個人情報であり病院に守秘義務があります。

よって被害者の治療に関する情報を得るために、被害者本人の同意書を得て、病院に提出しなければならないのです。

医療照会のための同意書

見分け方

事故後数ヶ月経過し、治療費の任意一括対応の打ち切りが検討されている時期に届くことが多いです。

形式はほとんど「診療情報提供の同意書」と同じです。

内容としては、診療情報提供の同意書の内容をさらに「〇月に撮影したレントゲン画像」「症状固定時期に関する情報」「症状の推移に関する情報」などと具体的にしているものが多いです。

目的と効果

医療照会の同意書は、加害者側の任意保険会社などが、被害者の詳しい検査結果を取り寄せたり、医師に治療状況について問い合わせたりすることへの同意を確認するものです。

医療照会のための同意書にサインすると、任意保険会社が各病院に細かな医療照会を行えるようになります。

照会の内容によって、治療費の任意一括対応終了時期が決まったり、最終的な損害賠償金の金額が調整されたりします。

また、後遺障害の等級申請中に、等級認定のために医療照会が必要ということで、同じような書類が届くこともあります。

同意することで医療照会が行われる仕組み

保険会社は、被害者の治療費をいつまで支払うか、そもそも治療内容に疑いはないか、被害者に既往症はないかを確認しなければなりません。

そのため、被害者の通院先に「治療はいつ頃終わるのか・症状固定になるのか」「より詳しい検査結果、画像診断の結果」「事故前の治療記録」などを問い合わせることがあります。

その場合、「診療情報提供の同意書」のような包括的な同意ではなく、個別具体的な同意が改めて必要となるのです。

保険金請求書兼一括払用委任状・同意書

見分け方

相手の保険会社ではなく自分の保険会社から届くことが多いです。

保険金の支払先として、口座名を記入する欄などがあります。

同意書ではなく「確認書」となっていることもあります。

目的と効果

被害者自身の人身傷害保険などに保険金を支払ってもらうにあたって、保険金請求に関する個人情報の取り扱いに同意することを示すものです。

この書類にサインすると、保険金の支払い手続きが進みます。

そのほかの同意書

このほか、病院や保険会社が独自の内部ルールのため、同意書を求めてくることもあります。

もしも同意書の目的やどんな効果があるのかがわからなければ、同意書の送付元に確認しましょう。

同意書にサインしないとどうなる?

診療情報提供の同意書にサインしない場合の不利益

診療情報提供の同意書にサインしなければ、任意一括対応は受けられません。治療費は被害者自身で立て替え、示談交渉時に請求することになります。

この場合、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。

診療情報提供の同意書にサインしないデメリット

  • 示談交渉の際、立て替えた分の治療費を確実に回収できるとは限らない
  • 治療費の立て替え負担が重くなると、金銭的な都合で入院や治療を断念せざるを得なくなる可能性がある

なお、示談交渉時に治療費を請求するとしても、治療費の正当性を証明するために、診療報酬明細書や診断書を提示しなければなりません。

よって、「診療報酬明細書や診断書を見られたくない」という理由で同意書へのサインを拒否しても、あまり意味がないでしょう。

医療照会の同意書にサインしない場合の不利益

医療照会の同意書にサインしなければ、任意一括対応による治療費の立て替えがなされなかったり、任意一括対応が打ち切られる可能性があります。

医療照会の同意書にサインがなされないと、加害者側の任意保険会社に詳しい検査結果が伝わったり、医師から任意保険会社に直接治療状況が伝えられたりすることはありません。

加害者側の任意保険会社側は治療費の必要性や妥当性を確認できなくなります。

そのため、過剰な治療費の支払いを避けるために治療費の立て替えを控えるという対応を取られる可能性があるのです。

医療照会の同意書にサインするなら注意が必要

任意一括対応の同意書にサインすることは基本的に問題ありませんが、医療照会の同意書へのサインについては、以下の点から注意が必要です。

医療照会の同意書は治療費打ち切りの前触れかも

医療照会の同意書にサインした場合、一括対応による治療費の立て替えが打ち切られる可能性があることに注意しましょう。

医療照会の同意書にサインすると、加害者側の任意保険会社は被害者の治療状況や治療経過などについて詳しく把握できるようになります。

その結果、加害者側の任意保険会社が「これ以上の治療は必要ないはず」と判断すると、治療費の打ち切りを打診される可能性があるでしょう。

特に、「医師に治療状況を確認する」という文言が同意書にある場合は、医師から詳しい治療状況を聴き取ることができるため、治療費を打ち切ると判断する可能性が高まるといえます。

ただし、治療終了のタイミングは保険会社ではなく医師が判断するものです。

もし医師がまだ治療は必要だと言うのなら、治療費打ち切りの延長を交渉したり、被害者側で治療費を立て替えたりしながら治療を続けるべきです。

治療費を打ち切られた場合の対処法は、『交通事故で保険会社から治療費打ち切りの連絡!阻止するための対応方法を紹介』の記事で説明しています。参考にしてみてください。

医療照会に同意する場合にしておきたい対策

医療照会は治療費打ち切りにつながりうるものですが、任意一括対応をしてもらうために必要なものでもあります。

よって、医療照会の同意書が送られてきたら「サインしたうえで、医療照会対策をする」ことが重要です。

具体的には以下の対策をし、医療照会が行われても加害者側の任意保険会社に「まだ治療費は打ち切れない」と理解してもらえるようにしましょう。

医療照会に同意する時の対策

  • 医師に自身が感じている症状や治療の効果を定期的に詳しく伝えておく
  • 医療照会を受ける場合の対応について、事前に医師と打ち合わせをしておく
  • 医師との面談による医療照会は被害者同席により行うなど条件をつける
  • 医療照会の回答書面は被害者にも共有してもらう

特にむちうちなど客観的に症状の程度がわかりにくいケガでは、被害者本人はまだ治療を続けたいと思っていても、医師は「もう治ってきている」と判断してしまうことがあります。

これでは医療照会の結果、治療費を打ち切られてしまいかねません。日頃から医師との認識の差を埋めたり、医療照会の透明性を高めたりする対策が必要です。

ただし、必要な対策はケガの種類や治療状況によっても異なります。不安な点がある場合は、一度弁護士にご相談ください。

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同意書へのサインが不安なら弁護士にご確認ください

交通事故後に加害者側の任意保険会社から届く同意書は、治療費の支払いや後遺障害認定の手続きのために必要なものであることが多いです。

しかし、治療費の打ち切りといったリスクがあるため、同意書の内容がよくわからなかったり、同意していいのか不安を抱えたままサインしたりするのは避けるべきでしょう。

届いた同意書に不安があるなら、同意書の内容や、サインすることによる今後の影響などについて弁護士にお問い合わせください。

アトム法律事務所では、電話・LINEで無料相談を実施しています。無料相談のみのご利用も可能です。お気軽にご連絡ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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