追突事故(過失割合10対0)の慰謝料はいくら?事例や計算方法から相場がわかる

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追突事故の慰謝料

過失割合が10対0の場合、被害者側の示談金が過失相殺によって減額されることはありません。

追突事故でむちうちを負って3ヶ月通院し、過失割合が10対0だった場合、慰謝料相場は53万円です。通院が6ヶ月になった場合は89万円が相場です。

交通事故の示談金には慰謝料以外の費目も含まれるため、示談金の総額は100万円を超えることも十分に考えられます。

ただし、過失割合10対0であっても、さまざまな要因で慰謝料・示談金が少なくなることはあります。

過失割合10対0の慰謝料・示談金の相場や計算方法、十分な金額を得るための注意点などを確認していきましょう。

目次

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10対0の事故の慰謝料早見表|むちうち・骨折の場合

まずは、過失割合10対0の事故におけるむちうちと頸椎骨折(頚椎骨折)の慰謝料相場を見ていきましょう。

10対0の人身事故で請求できる主な慰謝料

  • 入通院慰謝料
    事故による入通院の中で生じる精神的苦痛に対する補償
    事故によって入院や通院をした場合に請求できる
  • 後遺障害慰謝料
    事故による後遺障害の残存で生じる精神的苦痛に対する補償
    事故によって残った後遺症に対し、後遺障害等級が認定されれば請求できる

なお、過失割合10対0の場合、過失相殺による慰謝料・示談金の減額はありません。しかし、別の要因により慰謝料・示談金の減額の可能性がある点には注意してください。

この点については後ほど詳しく解説します。

むちうちの入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の相場

むちうちは、追突事故など過失割合10対0の事故で多いケガです。通院は3ヶ月程度となることが多く、この場合、入通院慰謝料の相場は53万円です。

通院が6ヶ月以上となり後遺障害が残った場合には、後遺障害14級または12級に認定され、後遺障害慰謝料として110万円(14級)もしくは290万円(12級)がもらえる可能性があります。

ただし、これは過去の判例に基づいた金額基準(弁護士基準)による相場です。

加害者側は示談交渉の際、国が定めた最低限の基準(自賠責基準)に近い金額を提示してくることが多いので、十分な金額を得るには増額交渉が必要です。

むちうちの入通院慰謝料と後遺障害慰謝料

事例 自賠責*弁護士
通院2ヶ月
治療30日
25.8万円36万円
通院3ヶ月
治療60日
38.7万円53万円
通院6ヶ月
治療120日
77.4万円89万円
+
後遺障害14級認定32万円110万円
後遺障害12級認定94万円290万円

*※2020年4月以降に起こった交通事故を想定

なお、示談金には慰謝料の他にも治療関係費や休業損害などが含まれます。後遺障害が残らなかった場合でも、示談金の総額が100万円を超える可能性は十分にあります。

追突事故の示談金に特化した記事としては『追突事故の示談金の相場はいくら?知っていると損しないポイント』もあるので、こちらもあわせてご確認ください。

頸椎骨折の入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の相場

頸椎骨折の入通院慰謝料相場は、通院6ヶ月で116万円です。後遺障害が残った場合は、後遺障害等級に応じて110万〜1,180万円の後遺障害慰謝料がもらえる可能性があります。

ただし、これは過去の判例に基づいた基準(弁護士基準)に基づく相場です。

加害者側が提示する金額は国が定めた最低限の基準(自賠責基準)に近いことが多いので、提示された額を鵜呑みにせず、増額交渉することが重要です。

頸椎骨折の入通院慰謝料と後遺障害慰謝料

事例 自賠責*弁護士
通院2ヶ月
治療30日
25.8万円52万円
通院3ヶ月
治療60日
38.7万円73万円
通院6ヶ月
治療120日
77.4万円116万円
+
後遺障害14級認定32万円110万円
後遺障害12級認定94万円290万円
後遺障害11級認定136万円420万円
後遺障害8級認定331万円830万円
後遺障害6級認定512万円1,180万円

*※2020年4月以降に起こった交通事故を想定

10対0の事故の慰謝料・示談金相場の計算方法

ここからは、過失割合10対0の事故における慰謝料・示談金の計算方法を解説します。

ただし、交通事故の慰謝料・示談金は、過失相殺以外の要素により減額されることもあります。10対0だからと言って、計算結果通りの金額がそのままもらえるとは限りません。

この点については本記事内の次の章「10対0の事故でも慰謝料・示談金が少なくなるケース」で紹介しているので、続けてご確認ください。

交通事故の慰謝料相場は3種類ある

慰謝料の金額基準には、すでに本記事内でも触れた「自賠責基準」「弁護士基準」に加え、「任意保険基準」もあります。

慰謝料を計算する3つの金額基準

自賠責基準3基準のなかで最も低額
最低限の補償を目的に自賠責保険から支払われる金額を計算する基準
計算方法は自動車損害賠償保障法施行令(昭和三十年政令第二百八十六号)で定められている
任意保険基準任意保険会社が用いる基準
各社で金額は異なり非公開ではあるが、自賠責基準とほぼ同等の金額
弁護士基準(裁判基準)3基準のなかで最も高額
弁護士や裁判所が用いる、過去の判例に基づいた基準
「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)という書籍に掲載されていることから、赤い本の基準ともよばれる
慰謝料金額相場の3基準

もっとも高額かつ法的正当性が高いのは、弁護士基準に基づく相場です。

しかし、示談交渉の際、加害者側の任意保険会社は自賠責基準や任意保険基準の金額を提示してきます。(※加害者が任意保険未加入の場合は、示談交渉相手は加害者本人となることが多いです。)

加害者側から慰謝料額を提示された場合には、弁護士基準よりも大幅に低い可能性が高い点に注意し、すぐに受け入れないようにしましょう。

それでは、各基準における慰謝料の計算方法・相場を解説していきます。ただし、任意保険基準は各保険会社で異なり非公開なので、割愛します。

入通院慰謝料の計算方法と金額相場

入通院慰謝料の金額は、入院や通院した日数・期間に応じて決まりますが、自賠責基準は計算式で、弁護士基準は算定表で相場を算出します。

それぞれ見ていきましょう。

自賠責保基準の入通院慰謝料

自賠責基準の入通院慰謝料は、日額に対象日数をかけて計算します。

  • 日額4,300円※ × 対象日数
    • 対象日数は以下のうち短い方を採用
      • 治療期間
        または
      • 実際に治療した日数×2

※ 2020年3月31日までに発生した事故の場合は4,200円
※ 治療期間とは一番最初に病院を受診した日~治療終了までの期間のこと

弁護士基準(裁判基準)の入通院慰謝料

弁護士基準における慰謝料の計算では、算定表を使用します。表は2つあり、むちうち・打撲などの軽傷ケースと骨折などの重傷ケースで使い分けます。

まず、軽傷における入通院慰謝料相場は次のとおりです。

通院慰謝料の算定表(軽傷)

通院月数 軽傷時の通院慰謝料
通院1月19万円
通院2月36万円
通院3月53万円
通院4月67万円
通院5月79万円
通院6月89万円
通院7月97万円
通院8月103万円
通院9月109万円
通院10月113万円
通院11月117万円
通院12月119万円

たとえばむちうちの治療期間は平均3ヶ月ですが、この場合、入通院慰謝料の相場は53万円です。入院している場合は、同じ通院月数であってもさらに高額になります。
一度、弁護士にお問い合わせください。

次に、重傷ケースの入通院慰謝料です。

入通院慰謝料の算定表(重傷)

縦軸は通院月数、横軸は入院月数を表しています。

入院0月 入院1月 入院3月 入院6月
通院0月053145244
通院1月2877162252
通院2月5298177260
通院3月73115188267
通院4月90130196273
通院5月105141204278
通院6月116149211282
通院7月124157217286
通院8月132164222290
通院9月139170226292
通院10月145175230294
通院11月150179234296
通院12月154183236298

※ 慰謝料の単位:万円

縦軸と横軸の交わったところが、入通院慰謝料になります。

具体的には次のように見てください。

  • 入院なし・通院2月:52万円
  • 入院1月・通院3月:115万円
  • 入院6月・通院8月:290万円

ただし、通院の頻度が適切でないと判断された場合は、表の金額から減額される可能性があります。
弁護士にお問い合わせいただくと、ご相談者様の実際の状況にあわせた入通院慰謝料の目安を確認できます。表の見方が分からない方も、お気軽にご連絡ください。

以下の計算機からも弁護士基準での慰謝料相場の確認が可能です。あくまでも機械的な計算結果となるため、弁護士に直接確認する相場ほど厳密ではありませんが、参考程度にご利用ください。

後遺障害慰謝料の計算方法と金額相場

後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級に応じて決まります。怪我が完治せずに後遺症が残ってしまった場合、後遺症が後遺障害等級に認定されれば等級に応じた慰謝料がもらえるのです。

自賠責基準と弁護士基準における後遺障害慰謝料の相場は、以下の通りです。

後遺障害慰謝料の相場

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護1,650
(1,600)
2,800
2級・要介護1,203
(1,163)
2,370
1級1,150
(1,100)
2,800
2級998 (958)2,370
3級861 (829)1,990
4級737 (712)1,670
5級618 (599)1,400
6級512 (498)1,180
7級419 (409)1,000
8級331 (324)830
9級249 (245)690
10級190 (187)550
11級136 (135)420
12級94 (93)290
13級57 (57)180
14級32 (32)110

※ 慰謝料の単位:万円
* 2020年3月31日までに発生した事故は()内の金額を適用

たとえば、追突事故ではむちうちを負うケースが多いのですが、むちうちは後遺障害等級14級あるいは12級に認定される可能性があります。

後遺障害14級の後遺障害慰謝料を見てみると、自賠責基準が32万円であるのに対して、弁護士基準は110万円です。自賠責基準の慰謝料より、弁護士基準の慰謝料の方が3倍以上も高額であることがわかります。

後遺障害等級の認定を受ける方法は『交通事故で後遺障害を申請する|認定までの手続きの流れ、必要書類』で解説しています。後遺症が残った場合はまず、こちらをご確認ください。

10対0の事故で請求できるその他の示談金

示談金には、上で紹介した慰謝料も含めて以下の費目が含まれます。

追突事故で請求可能な主な損害賠償金

傷害部分治療関係費
休業損害
入通院慰謝料
後遺障害部分後遺障害慰謝料
逸失利益
物損部分修理費用など

上記以外の費目も請求できることがあるので、詳しくは『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法』にて確認してみてください。

ただし、どのような損害が生じたかによっても示談金の内訳は変わってきます。たとえ請求漏れがあっても、加害者側が懇切丁寧に教えてくれるとは限りません。

「このような損害はどんな費目で補償されるの?」「自分のケースでこの費目は請求できる?」などの疑問がある場合は、弁護士に確認することをおすすめします。

アトム法律事務所では、電話やLINEにて無料相談を行っています。

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ここからは、慰謝料以外の示談金の計算方法を見ていきましょう。

治療関係費

治療関係費とは、治療費や通院交通費など治療に関して生じる費用です。これらは基本的に実費を請求できます。

通院交通費に関しては「必要性・相当性が認めら得る範囲」での請求となり、交通手段などによっては請求の可否が争われることもあります。

詳しくは『交通事故にあったら【交通費】と慰謝料を請求できる?通院以外の交通費も解説』をご覧ください。

休業損害

休業損害とは、交通事故による治療などで仕事を休んだ場合の減収を補償するものです。

基本的には「日額×休業日数」で計算され、日額の計算方法は職業によって異なります。

詳しくは『交通事故の休業損害|計算方法や休業日の数え方、いつもらえるかを解説 』をご確認ください。

逸失利益

逸失利益は、後遺障害により労働能力が低下して減ってしまう、生涯収入に対する補償です。

事故前の収入や年齢、後遺障害による労働能力の低下率などから算定されます。

相場の早見表や職業別の計算方法については『【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき|もらえない原因と対処法』で詳しく解説しています。

修理費用など

交通事故で車などの物損被害が生じた場合は、その修理費や弁償代を請求できます。

車の修理中に使った代車費用や、車の代わりに使った公共交通機関の費用も請求できることがあります。

10対0の事故でも慰謝料・示談金が少なくなるケース

過失割合10対0の事故では、被害者が受け取る慰謝料・示談金に対して「過失相殺」が適用されることはありません。

過失相殺とは?

自身についた過失割合分、受け取れる慰謝料・示談金が減額されること。

過失割合は、交通事故が起きた責任が、加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるのか割合で示したもの。事故状況をもとに決められる。

しかし、他の要因によって慰謝料・示談金が少なくなることはあります。代表的な要因を3つ見ていきましょう。

示談交渉がうまくいかず、加害者側の提示額が通ってしまう

過失割合10対0ということは、被害者側には過失がないということです。しかし、だからと言って示談交渉が被害者側に有利に進むわけではありません。

実際には以下の事情から示談交渉がうまくいかず、加害者側が提示する低額な慰謝料・示談金を受け入れざるを得なくなる可能性もあります。

  • 自分の保険にある「示談代行サービス」が使えないので、被害者自身で示談交渉する必要がある
  • 事故の加害者は示談代行サービスを使うことが多く、交渉相手はプロである任意保険会社になる
  • 被害者側に過失相殺が発生しない分、相手方はより一層シビアに示談交渉してくる可能性がある

加害者側の任意保険会社は、本記事でもすでに紹介した「自賠責基準」や「任意保険基準」に基づく慰謝料を提示してきます。

これは、過去の判例に基づく「弁護士基準」より大幅に低額で、3分の1〜半分程度となっていることもあるのです。

過失割合10対0であっても、十分な慰謝料・示談金を得るには弁護士を立てることが重要といえます。

詳しくは、以下の関連記事も参考にしてみてください。

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本当は10対0の事故なのに、被害者側にも過失がついてしまう

たとえ過失割合10対0の事故であっても、加害者側の任意保険会社は「被害者側にも非がある」などと主張してくる可能性があります。

加害者側の主張が通ると被害者側にも過失割合がついてしまい、過失相殺による慰謝料・示談金の減額が生じてしまうでしょう。

過失割合は事故発生時の状況をもとに決められます。

過失割合10対0の事故であっても、示談交渉前には事故時の状況を示す証拠や類似する事故状況の判例などを集めておくことがおすすめです。

過失割合の決め方や交渉のポイントは、以下の関連記事からご確認ください。

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通院頻度や既往症など、過失とは別の減額事由がある

交通事故の慰謝料・示談金は、治療の頻度が高すぎると減額される可能性があります。

過剰診療が疑われ、「治療費や通院交通費の一部は必要性・相当性の認められるものではない」と判断されたり、保険金詐欺を疑われたりすることがあるからです。

また、既往症や治療に対する姿勢などから「身体的素因減額」「心因的素因減額」が適用され、慰謝料・示談金が減額されることもあります。

  • 身体的素因減額
    事故前からの症状が、交通事故による怪我の悪化に影響しているとして、示談金が減額されること
  • 心因的素因減額
    被害者が治療に消極的だった、人一倍痛みに敏感だったために治療期間が長引いたなどの理由で示談金が減額されること

素因減額についてさらに詳しくは『素因減額とは?適用される疾患・ケースや計算方法を解説【判例つき】』の記事をご確認ください。

その他にも、「休業日の一部が休業損害の対象にならない」など、さまざまな理由によって示談金が減額される可能性は十分にあります。

過失割合が10対0だからと安心するのではなく、示談金減額につながる要素はないか弁護士に確認したり、入念に示談交渉対策したりすることが重要です。

過失割合が10対0になる事故とは?

過失割合が10対0になる事故例としては、以下のものが挙げられます。

  • 追突事故
  • センターラインを越えた正面衝突事故
  • 交差点における、赤信号の車両と青信号の車両の事故

過失割合10対0になるケースについては、『交通事故で過失割合が10対0になる場合とは?』でさらに詳しく紹介しています。

細かい事情を考慮すると10対0にならないこともある

上記に該当する事故でも、細かい事故状況を踏まえると過失割合10対0にならないこともあります。

例えば追突事故でも以下のような場合は、被害者側にも過失がつくのです。

  • 被害者側が急停止したために追突事故が起こった
  • 被害者側が駐車禁止場所に駐車していて追突事故が起こった
  • 被害者側が追い越そうとした後ろの追突車を妨害したことで追突事故が起こった

ただし、上記に当てはまる場合でも、加害者側にさらなる過失があれば相殺されて、結果的に10対0になることもあります。

過失割合が10対0かどうかで加害者側と揉める場合は、一度弁護士までご相談ください。

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10対0の事故での慰謝料・示談金請求の流れと注意点

追突事故の慰謝料を受け取るまでの流れ

交通事故の慰謝料・示談金は、原則、示談交渉が終わってから受けとることになります。

事故対応の流れ(被害者)
事故対応の流れ(被害者)

事故直後にすべき対応は、負傷者の救護、事故車を安全な場所へ移動させるなどの危険防止措置(二次被害の発生が懸念される場合)、警察への届け出です。

警察への届け出は道路交通法で定められた義務であり、怠ると罰金や懲役が科されるおそれもあります。また、今後の賠償請求や保険金請求で必要になる「交通事故証明書」も発行されないため、事故直後に届け出をしていない場合は、すぐに届け出をしましょう。

なお、怪我をしている場合は必ず人身事故として届け出をしてください。物損事故として届け出をすると、治療費や慰謝料などをスムーズに請求できないことがあります。

治療以降の注意点については、この後詳しく解説していきます。

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注意点(1)怪我がなくても病院へいく

事故直後は一見すると怪我がないように思うこともあります。ただし、事故による興奮で怪我に気づかないだけの場合もあるでしょう。また、追突事故などで多いむちうちはあとになって自覚症状が出ることもあります。

よって、怪我がないと思っても病院で受診するようにしてください。

事故直後の状態について病院で検査し、記録に残してもらっておけば、後で痛みが出たときに事故との因果関係を証明しやすくなります。治療費や入通院慰謝料を適切に請求するために重要なことなので、怪我はしていないと思ってもひとまず病院へいきましょう。

もし警察に物損事故として届け出をした後に怪我が発覚したら、人身事故への変更手続きが必要です。詳しくは関連記事を参考にして対応してください。

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交通事故の治療では整骨院に通うこともできますが、事前に病院の医師から許可を得ておくなど適切な段階をふまなければ慰謝料減額に繋がりかねません。

整骨院に通いたい場合は、『交通事故の治療を整骨院で受けても慰謝料はもらえる|慰謝料の計算と注意点』も確認しておいてください。

注意点(2)治療費の打ち切りを打診されても最後まで治療する

治療費は本来加害者側に負担してもらうものです。しかし、治療を続けていると、加害者側の任意保険会社から「そろそろ症状固定の時期だと思うので治療費の支払いを打ち切ります」と連絡が来ることがあるでしょう。

こうした連絡を受けても、治療がまだ必要なのであれば治療を継続するようにしてください。

まだ必要な治療をやめることは怪我に良くないですし、以下の点で慰謝料額にも影響が出ます。

  • 治療期間が短くなることで入通院慰謝料が減る
  • 後遺症が残っても後遺障害認定されにくくなり、後遺障害慰謝料・逸失利益がもらえないおそれがある

まだ治療が必要であることを医学的に証明できれば、打ち切り後の治療費も示談交渉時に加害者側に請求できます。治療は最後まで続けましょう。

関連記事『交通事故の治療費打ち切りを阻止・延長する対応法!治療期間はいつまで?』では、打ち切りを打診された時のより具体的な対処法を紹介していますので、あわせてご確認ください。

注意点(3)後遺障害申請や示談交渉前には一度弁護士に相談

後遺障害認定や示談交渉では医学的知識や法的知識、交渉術などが必要になるため、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

  • 後遺障害申請
    交通事故で残った後遺症に対して「後遺障害等級」を認定してもらうための審査を受ける手続き。審査の結果は、後遺障害慰謝料・逸失利益の請求可否や金額を左右する。
  • 示談交渉
    加害者側と、慰謝料などの示談金額や過失割合などについて話し合うこと。

どちらも重要なフェーズなので、もう少し詳しく解説します。

後遺障害申請について

医師から症状固定と診断された後に後遺障害等級の認定を受けると、治療費や入通院慰謝料といった補償に加えて、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。

しかし、後遺障害等級は必ずしも認定されるとは限らないため、申請前には入念な対策が必要です。

たとえば追突事故で発生することの多いむちうちは、後遺障害12級13号または後遺障害14級9号に認定される可能性があります。

等級内容
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

ただし、以下の条件を満たしていることを医学的・客観的に証明しなければ、等級認定はされません。

  1. 事故後、継続的に病院へ通っていること
  2. 事故の程度が一定以上であること
  3. 事故後から症状が一貫しており、連続性があること
  4. 痛みやしびれなどの自覚症状が客観的に証明できること
  5. 後遺症による症状の程度が一定以上であること

自分の後遺症が後遺障害何級に該当しうるのか、その等級の認定基準は何で、どうすればその基準を満たしていることを証明できるのか判断するには、過去の認定事例や各等級の認定基準に精通していなければなりません。

よって、後遺障害申請前には一度弁護士にアドバイスを聞き、必要があれば申請準備を任せることが重要です。

示談交渉について

慰謝料を含め、追突事故の損害賠償金については示談交渉で決めることが多いです。 示談交渉は、加害者側の任意保険会社から示談内容を提案されることで始まるでしょう。

交渉の結果、双方が納得できる結論が出たら、示談書(免責証書)を取り交わして示談終了です。示談で決めた内容をもとに、慰謝料が支払われます。

一度結んだ示談内容は原則として変更ができません。先述の通り追突事故で過失割合10対0の場合は過失相殺ができない分、加害者側の姿勢が厳しくなることも予想されます。

よって、十分な慰謝料・賠償金を得るためには弁護士を立てることがもっとも理想的ですが、弁護士を立てない場合であっても、事前に適正な示談金相場や交渉のアドバイスなどについて相談しておくことが重要です。

納得のいく示談交渉をするために知っておくべきことは、関連記事『交通事故の示談とは?交渉の進め方と注意点』で解説しています。

アトム法律事務所の増額事例|追突事故の事例4選

ここからは、アトム法律事務所における追突事故の慰謝料事例を紹介します。加害者側の提示額がいかに低いのか、弁護士を立てることでどれくらい示談金が増額するのかを考える際の参考にしてみてください。

依頼後3ヶ月で提示額から1.8倍に増額

(1)事例の概要

  • 信号待ちの停車中に追突された
  • 後遺障害14級9号に認定済み
  • 最終回収金額309万円を実現

追突事故にあった被害者は、示談金の増額交渉ができるのかという疑問をお持ちでした。ご相談を受けた弁護士は、保険会社の提示内容に増額の余地があると判断しました。

弁護士による交渉の結果、休業損害、慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益で増額を実現しました。最初の保険会社提示額よりも、1.8倍増額されたのです。

後遺障害認定・425万円の示談金を獲得

(2)事例の概要

  • 交差点での信号待ち中に追突された
  • 弁護士のサポートで後遺障害認定
  • 休業損害はどうなるのか不安

事故後、首と腰に激しい痛みが表れました。歩行もままならず、仕事に支障が出てしまっています。休業損害はどうなるのだろういうお悩みを、アトム法律事務所にお寄せいただきました。

主治医からは、当初は後遺症は残らないだろうとされていました。しかし、治療は長期にわたり、弁護士のサポートを受けて後遺障害等級認定の申請をおこないました。その結果、後遺障害併合14級に認定されたのです。

LINE相談をきっかけに後遺障害なしでも約73万円

(3)事例の概要

  • バイクと自動車の追突事故
  • 2度追突されたうえ相手は逃走
  • 後から痛みが出てきて人身事故に切り替えた

バイクに乗っていた被害者は、複数の車が連なる車列にて停まっていました。前の車が走り出したので、あわせて走行を開始したところ、後ろから追突されました。最初に追突されたあと、つづけてもう一度、合計で2度追突されたうえで相手車両はその場を走り去りました。被害者がクラクションを鳴らして追いかけ、停車させました。

被害者の方は、事故直後は痛みがなかったため、一度は物損事故として処理されたそうです。しかし、夜になって痛みが表れたため病院を受診しました。同時に、物損事故から人身事故へ切り替えました。

後遺障害認定は受けませんでしたが、過失割合10対0の事故として、示談金約73万円を受け取りました。

パート主婦の後遺障害認定と休業損害を獲得

(4)事例の概要

  • 被害者はパートで働く主婦
  • 休業損害の計算式をはじめ、保険会社の提示内容に疑問
  • 後遺障害認定もよく分からず困っている

渋滞中の高速道路で後ろから追突されました。保険会社から提示された内容に不明点も多く、示談金の増額は可能なのかもあわせてアトム法律事務所にご相談いただきました。

弁護士が内容を確認したところ、後遺障害等級認定を受けられる可能性があること、示談金に増額の余地があることが分かりました。そこで、後遺障害等級認定を受けるためのアドバイスもおこない、最終的には後遺障害14級9号に認定され、約281万円の示談金を獲得につながったのです。

なお、他の解決事例は『交通事故の慰謝料事例|いくらもらった?実例から相場と増額の可能性がわかる』で紹介しているため、気になる方はぜひご参考になさってください。

10対0の事故は弁護士に相談を

早期の相談が慰謝料増額を実現するためのポイント

弁護士相談は早ければ早いほうが良いです。

一度でも示談を結んだ内容は、基本的に後から変更することができません。弁護士に事故の相談をするなら、遅くても示談交渉中に行いましょう。

具体的には、次のような時期の弁護士相談がおすすめです。

  • 事故が起こって治療を開始した時
  • 治療が終了した時
  • 示談交渉時(保険会社から示談金の提示を受けた時)
  • 保険会社と意見が合わずもめてしまった時・もめそうな時

早い段階で相談すれば、弁護士は被害者の主張をするための準備期間がしっかりとれます。

また、治療中であれば、治療費や通院に関するご相談、万一にも後遺症が残ってしまう時に想定される流れもフォローできるでしょう。

保険会社ともめてしまったり、示談交渉がうまくすすまない時には、示談ではなく、民事訴訟なども視野に入れなくてはいけません。トラブルの内容にもよりますが、被害者の主張を立証するために十分な時間があると望ましいです。

被害者のためにできることが少しでも多いうちに、弁護士への相談を開始してください。

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アトム法律事務所は、交通事故の被害者救済活動に力を入れています。
おひとりずつお悩み事は違うもの。
だからといって一人で抱える必要はありません。

  • 慰謝料が適正なのか判断できない
  • 休業損害がきちんと支払われない
  • 後遺障害等級認定を受けたいけどよく分からない
  • 保険会社の態度が横柄で交渉に疲れた

上記のようなお悩みがあるなら、弁護士に一度お話を聞かせてください。交通事故事故被害者の方からの法律相談は無料となっております。

相談予約の受付は、24時間・365日いつでも承っております。

土日祝は窓口が混み合う傾向にありますので、法律相談のご予約だけでも、早めに済まされることをおすすめします。

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ご依頼後の費用について

アトム法律事務所では、弁護士への依頼時にかかる着手金も原則無料です。つまり、示談成立までにかかるお金はありません。

弁護士費用の負担が心配な方へ

ご加入の保険に「弁護士費用特約」がついているかどうかも確認しておきましょう。弁護士費用特約を使えば、法律相談料10万円、弁護士費用300万円までを、被害者の代わりに保険会社が支払ってくれます(金額は保険約款による)。

交通事故の損害賠償金が数千万円にのぼらないかぎり、弁護士費用が特約の補償範囲を超えることはありません。弁護士費用の全額が特約で補償されることで、被害者は自己負担ゼロで弁護士を立てることが可能です。

ご自身で加入されている保険の特約として、弁護士費用特約が使えるかどうかを一度確かめておくと良いでしょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

突然生じる事故や事件に、
地元の弁護士が即座に対応することで
ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。