交通事故の慰謝料はどう請求する?請求可能な相場についても解説

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交通事故 慰謝料はどう請求する

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故でケガを負った、ケガが完治せずに後遺症が残った、という方はこのような損害に対して慰謝料を請求することができます。

では、一体どのように、どんな慰謝料を誰に請求するのか、いつ慰謝料がもらえるのかについて見ていきましょう。

慰謝料請求する際の注意点も、被害者のケガや属性に応じたケース別に解説しています。

慰謝料はどうやって請求する?

事故から慰謝料請求までの流れ

事故が発生してから慰謝料を含む示談金を請求し、受け取るまでの流れは次の通りです。

示談金の受け取りまでの流れ
  1. 負傷者の救護と警察への連絡
  2. 治療
  3. 後遺症が残った場合は後遺障害認定を受ける
  4. 示談交渉
  5. 示談が成立しなければADRを利用したり裁判を起こしたりする

※各フェーズをもっと詳しく解説▶交通事故の発生から解決までの流れ

交通事故の慰謝料は、基本的に相手方との示談交渉によって金額が決められ、示談成立後に支払われます。

ただし、慰謝料額を左右するのは示談交渉だけではありません。
示談交渉に至るまでの中で慰謝料減額につながる行為をしてしまうと、いくら交渉を頑張っても慰謝料は低額になってしまいます。

よって、示談交渉が始まる前の段階から、慰謝料請求を意識しておくことが重要です。

慰謝料減額を防ぐ方法

請求した慰謝料が支払われるのはいつ?

慰謝料は、示談が成立し示談書に署名・押印してから約2週間後に、銀行振り込みにて一括で支払われるのが通常です。

治療費や休業損害は示談成立前に支払われることもありますが、慰謝料などその他多くの費目は示談が成立してからでないと受け取れないのです。

ただし、休業損害や治療費以外の費目でも、次のような方法をとれば、ある程度まとまったお金が早くもらえます。

  • 相手方自賠責保険会社に仮渡金を請求する、または被害者請求する
  • 相手方任意保険会社に内払いをしてもらう
  • 自身が加入する保険に保険金請求する

もし示談が成立するまでにまとまったお金が必要なのであれば、上記の方法も検討してみてください。
本記事ではこのあと、上記のうち被害者請求について解説しますが、わからないことがあれば弁護士に聞いてみることもおすすめです。

早めの慰謝料請求をしたいなら

早めに慰謝料請求できる「被害者請求」とは?

被害者請求とは、本来示談成立後に支払われる慰謝料などのうち、相手方自賠責保険の支払い分のみ早くもらう方法です。

どういうことか、仕組みを詳しく解説すると、次の通りです。

交通事故の慰謝料・損害賠償金には通常、相手方自賠責保険からの支払い分と相手方任意保険からの支払い分がありますが、どちらもまとめて相手方任意保険会社から支払われます。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

しかし、相手方自賠責保険会社に直接請求手続きをすれば、自賠責保険からの支払い分のみ示談成立前でも支払ってもらえます。

これが、被害者請求なのです。

ただし、被害者請求で請求できる金額には費目の分類ごとに上限がありますし、請求期限もあります。

被害者請求する場合は、手続き方法だけでなく上限額や期限についても確認しておきましょう。

被害者請求したい方へ

自賠責保険への請求|必要書類・期限・請求方法など被害者請求の基本がわかる

慰謝料請求の前に確認しておくべきこと

(1)慰謝料の請求先はどこなのか

慰謝料の請求先(示談交渉の相手)は、加害者が「任意保険に加入済み」の場合と「任意保険に未加入」の場合で次のように異なります。

  • 加害者が任意保険に加入済み:相手方任意保険会社に慰謝料請求
    • 相手方任意保険会社に慰謝料請求すれば、相手方任意保険からの支払い分も、相手方自賠責保険からの支払い分も、すべてまとめて支払ってもらえる。
  • 加害者が任意保険に未加入:相手方自賠責保険会社加害者自身に慰謝料請求
    • 本来相手方任意保険から支払われるはずの金額は、加害者自身に請求。また、相手方自賠責保険からの支払い分も、被害者自身で直接請求する必要がある。

加害者が任意保険に入っていない場合、示談交渉の相手も加害者本人となり、本記事ですでに解説した慰謝料請求の流れとは違う点も出てきます。

詳しい流れは『交通事故慰謝料の請求方法|慰謝料相場や計算方法・請求書の書き方も解説!』で解説しているので、ご覧ください。

(2)請求できる慰謝料の種類・その他の費目

交通事故の慰謝料には入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類がありますが、ケガの状況によってどれを請求できるかは変わってきます。

請求できる慰謝料

  • ケガのみ:入通院慰謝料
  • 後遺障害が残った:入通院慰謝料、後遺障害慰謝料
  • 死亡した:死亡慰謝料
    ※死亡までに入通院していれば、入通院慰謝料も請求可

また、交通事故で請求できるのは慰謝料だけではありません。
請求漏れがないように、どのような費目をもらえるのか自身の被害状況と照らし合わせて確認しておきましょう。

その他の費目も確認

交通事故の慰謝料は示談金内訳のひとつ!示談金の内訳と慰謝料の増額方法

請求できる慰謝料相場も知っておこう

慰謝料には3つの算定基準がある|正しい基準で計算しよう

慰謝料請求では、そもそもどれくらいの金額を請求できるのか、事前に確認しておくことも重要です。

実は慰謝料には3つの算定基準があるのですが、相手方任意保険会社が提示してくる金額は、低額な算定基準に基づいています。

そのため、もっとも適切な基準に基づいた慰謝料額は、被害者側で確認しておかなければならないのです。

慰謝料の3つの算定基準

  • 自賠責基準
    • 交通事故被害者に補償される最低限の金額の算定基準
  • 任意保険基準
    • 各任意保険会社が独自に定めている算定基準
    • 自賠責基準と同等か少し高い程度の金額が算定される
  • 弁護士基準
    • 弁護士や裁判所が用いる、最も法的正当性の高い算定基準
    • 過去の判例をもとにした金額が算定され、任意保険基準の2倍~3倍程度になることが多い
交通事故慰謝料相場の3基準

相手方任意保険会社は自賠責基準や任意保険基準の金額を提示してきますが、もっとも高額かつ法的正当性が高いのは、弁護士基準の金額です。

被害者側で弁護士基準の金額を確認しておき、示談交渉の際に主張するようにしましょう。

慰謝料を計算するならこちら

交通事故の慰謝料を正しく計算する方法

ケガの症状別|請求できる慰謝料額の目安

交通事故慰謝料の相場は、ケガの症状によっても変わってきますが、むちうち・顔の傷・上肢の可動域制限を例に弁護士基準での相場を挙げると以下の通りです。

(1)むちうちの場合

6ヶ月通院、後遺障害14級の場合

  • 入通院慰謝料:89万円
  • 後遺障害慰謝料:110万円

(2)顔の傷の場合

通院6ヶ月、後遺障害12級の場合

  • 入通院慰謝料:89万円
  • 後遺障害慰謝料:290万円

(3)上肢の可動域制限の場合

入院1ヶ月・通院6ヶ月、後遺障害12級の場合

  • 入通院慰謝料:149万円
  • 後遺障害慰謝料:290万円

他の症状の相場も見る▶症状別の相場金額を網羅!

計算機を使えば慰謝料の計算も楽!

弁護士基準における慰謝料額は、以下の計算機からも簡単に確認できます。

ただし、計算機でわかるのはあくまでも機械的な計算結果です。
さまざまな事情を考慮した厳密な相場を知りたい場合は弁護士相談を利用することをおすすめします。

弁護士費用が不安な方へ▶交通事故の弁護士費用相場

ケース別・慰謝料を請求するときの注意点

むちうちなど|軽傷でも慰謝料大幅増額の事例あり

むちうちや打撲などの軽傷であっても、通院をして治療を受けたのであれば入通院慰謝料の請求が可能です。

軽傷なので慰謝料額は低くなる傾向にあり、大きなケガの場合ほど示談交渉による慰謝料増額は望めない、と思われる人もいますが、そうとも限りません。

軽傷でも、示談交渉によって慰謝料が100万円以上増額した事例もあるのです。

そのため、軽傷だから請求できる慰謝料額が低いのは仕方がない、とあきらめるのではなく、本来請求すべき金額はどれくらいなのかをきちんと確認するようにしましょう。

軽傷の慰謝料請求のポイント

通院日数が少ない|慰謝料減額のリスクがある

たとえば弁護士基準の場合、入通院慰謝料は治療期間から算定されるので、治療期間が短ければその分慰謝料は低額になります。

また、治療期間が長くても、実際に治療を受けた日数が少なければ、慰謝料が減額される可能性もあります。

よって、1ヶ月に10日以上、医師の指示に従いながら通院することが重要です。

ただし、治療の性質上通院頻度が低くなってしまった場合や、やむを得ない理由があって通院が少なくなった場合には、事情が考慮される可能性もあります。

通院頻度が少ない人必見

主婦・個人事業主|休業損害に要注意

主婦・個人事業主の場合は、休業損害の請求に要注意です。

まず主婦に関してですが、主婦の場合、本来なら休業損害は、女性の全年齢平均賃金から日額を算出して計算されます。

しかし、相手方は日額をもっと低く計算したり、休業日数を少なく見積もったりする可能性があるので注意しましょう。

続いて個人事業主の休業損害については、以下の点に注意してください。

  • 会社員のような厳密な勤怠記録がつけられていないことが多いので、相手方は休業日数を少なめに見積もる可能性がある
  • 確定申告をしていない場合や過少申告してる場合は、日額について相手方ともめる可能性がある

なお、交通事故によるケガを理由に廃業してしまった場合や、休業の間に取引先に契約解除された場合は、別途相手方に賠償請求できる点もおさえておきましょう。

子供の慰謝料請求|親が代わりにおこなう

交通事故の被害者が子供である場合、親権者が法定代理人として代わりに慰謝料請求することになります。
法定代理人になるための手続きは特に必要ありません。

交通事故の被害者が子供であっても、慰謝料は基本的に大人の場合と同じように計算されます。ただし、過失割合については以下の点をおさえておくべきです。

過失割合とは

交通事故が起きた責任が、加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるかを割合で示したもの。

事故発生時の状況をもとに算定され、自身についた過失割合分、受け取れる慰謝料や損害賠償金が減額される。

  • 子供であることを考慮して過失割合が減り、結果的に慰謝料が多くなる場合がある
  • 子供であることを理由に事故状況に関する証言に説得力がないとされ、不当な過失割合となる恐れがある

なお、子供の交通事故の場合、以下の費目も相手方に請求できる可能性があるので、請求漏れのないようにしましょう。

  • 事故を目撃した兄弟・姉妹に対する慰謝料
  • 子供の通院・入院・通学などに家族が付き添ったことに対する賠償金
  • 長期欠席・留年で余分に必要になった学費
  • 欠席中の遅れを取り戻すための塾代・家庭教師代

子供が事故にあったら読みたい

事故相手が任意保険未加入|トラブル対策を入念に

すでに解説した通り、事故相手が無保険(任意保険未加入)だと、本来相手方任意保険から支払われるはずの金額は加害者本人に請求することになります。

この場合に考えられるトラブル・リスクとその対策・対処法は次の通りです。

  • 示談交渉に応じてもらえない可能性がある
    • 内容証明郵便を送る
  • 請求した慰謝料を支払ってもらえない可能性がある
    • 示談書を公正証書にする
    • 自身が加入する保険に保険金請求する

具体的な解説▶事故相手が無保険ならどうする?

加害者が任意保険に入っていない場合、慰謝料請求について詳しくない当事者同士、手探り状態で進んでいかなければなりません。

スムーズかつ適切な慰謝料請求をおこなうために、専門家である弁護士を立てることも検討してみてください。

自身の保険に付いている「弁護士費用特約」を使えば、弁護士費用は実質無料となります。交通事故の弁護士費用特約|使い方とメリット&デメリット

自転車事故|慰謝料請求は特有の注意点がある

自転車事故でも、基本的に自動車事故と同じ計算方法を用いて算出された慰謝料を請求することができます

ただし、相手が自転車の場合、保険に加入していない可能性が高いので、上記「事故相手が任意保険未加入|トラブル対策を入念に」で解説したような内容に注意すべきです。

さらに事故相手が自転車の場合、後遺症が残った時に受ける「後遺障害認定」の方法が通常の自動車事故の場合とは異なります。

これにより後遺障害慰謝料について相手方ともめる可能性が高い点にも注意しましょう。

詳しくはこちらでわかる

車と自転車の事故|過失割合と慰謝料相場は?被害者が知るべき計算方法

納得いく慰謝料請求のため知っておくべきこと

(1)過失割合は慰謝料の請求額に影響するので重要

請求できる慰謝料額は、過失割合によっても変わってきます。

過失割合とは

交通事故が起きた責任が、加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるのか割合で示したもの。

事故状況をもとに算定され、自身についた過失割合分、慰謝料・損害賠償金が減額される。(過失相殺)

相手方任意保険会社は過失相殺を狙い、あえて被害者側の過失割合を多めに見積もっている可能性があります。

そのため、被害者側でも正しい過失割合を確認し、相手方の主張が間違っていれば、根拠を持って訂正を求めなければなりません。

正しい過失割合を知りたい

(2)慰謝料などが120万円を超えると交渉は厳しくなる

すでに解説した通り、交通事故の慰謝料・損害賠償金には、相手方自賠責保険からの支払い分と相手方任意保険からの支払い分があります。

そのうち自賠責保険からの支払い分には上限があり、たとえば入通院慰謝料・治療関係費・休業損害といった傷害分の費目なら、120万円が上限です。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

慰謝料や損害賠償金が自賠責保険の支払い上限額を超えれば超えるほど、相手方任意保険会社は多くの金額を被害者に支払われなければなりません。

こうした事情から、相手方任意保険会社とおこなう示談交渉は、示談金額が120万円を超えたところからさらに厳しくなる傾向にあるのです。

なお、自賠責保険の後遺障害分・死亡分の支払い上限額は別途設定されています。

ほかの費目の上限額は?

交通事故慰謝料が120万を超えたらどうなる?自賠責保険の限度額や請求方法を解説

(3)完治しなければ後遺障害認定が必要

交通事故で負ったケガが完治しなければ後遺障害認定の申請をしましょう。
申請をして審査を受け、「後遺障害等級」が認定されれば、後遺障害慰謝料・逸失利益が請求できるようになります。

ただし、次の点には注意してください。

  • 後遺障害等級は必ずしも認定されるとは限らない
  • 後遺障害等級が認定されなければ、たとえ後遺症が残っていても、原則として後遺障害慰謝料・逸失利益はもらえない
  • 低い等級しか認定されなければ、その分後遺障害慰謝料・逸失利益は低額になる

上記からもわかる通り、後遺症が残った場合は、適切な後遺障害等級に認定されることがポイントです。

そのため重要なのが、「被害者請求」という方法で認定申請することです。

被害者請求の流れ

被害者請求のメリット

  • すべての提出書類を被害者自身で用意するので、内容の確認・ブラッシュアップができる
    ※認定審査は、基本的に提出書類のみを見ておこなわれる
  • 必要に応じて、後遺症の状態をより詳しく伝えるための追加書類を添付できる

後遺障害等級認定の申請方法にはもうひとつ、「事前認定」というものもあります。

しかし、事前認定では提出書類はほぼすべて相手方保険会社に用意してもらうので、内容の確認・ブラッシュアップや追加書類の添付などはできません。

提出書類は審査結果を左右するもの、つまり後遺障害慰謝料・逸失利益の請求可否や金額を左右するものなので、被害者請求によって質の高い書類を提出することが重要なのです。

申請方法をさらに詳しく

後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解|必要書類も紹介

(4)実質無料で弁護士を立てて慰謝料請求する方法がある

ここまでの話をまとめると、適切な金額の慰謝料を請求するには次の3点が重要ということになります。

  • 弁護士基準に沿った慰謝料額を主張すること
  • 適切な過失割合を主張すること
  • 後遺障害認定で適切な等級を獲得すること

ただし、上記をすべて被害者自身でおこなうのは次の点から難しいです。

  • 示談交渉の相手は会社の利益をかけて臨んでくる相手方任意保険会社であり、知識も交渉経験も非常に豊富
  • 請求額が自賠責保険の上限額を超えると、相手はさらに厳しい姿勢をとってくる
  • 後遺障害認定で効果的な対策を取ろうと思うと、過去の認定事例や各等級の認定基準に精通している必要がある

しかし、専門知識と資格、豊富な経験を持つ弁護士なら、上記のポイントをクリアして、適切な金額の慰謝料獲得が見込めます。

弁護士に相談・依頼するには費用が必要ですが、自身の保険に「弁護士費用特約」がついていれば、弁護士費用は実質無料となりますし、無料相談を受け付けている事務所もあるので、弁護士に頼ることも検討してみてください。

詳しくはこちら

交通事故の弁護士費用特約|使い方とメリット&デメリット

弁護士費用特約

無料弁護士相談はこちらから

交通事故でケガ等の損害を受けたら、ご自身のケースではどのような種類の慰謝料が請求でき、慰謝料の金額としてどのくらいが妥当なのか知っておく必要があります。保険会社から言われるままの内容では、本来得られるはずの金額よりも相当低くなってしまうことが予想されます。

アトム法律事務所では、人身事故に関するご相談を電話やLINEにて無料で受け付けています。
弁護士費用特約のご利用も可能なので、お気軽にご連絡ください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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