駐車場での当て逃げの対処法|警察への届け出義務や使える保険がわかる

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駐車場で当て逃げ

駐車場では、ドアパンチや出会い頭での衝突事故など、さまざまな形での当て逃げ事故が発生しがちです。

駐車場での当て逃げをされた場合には、加害者を見つけるために、警察への連絡を含めて適切な対応を行う必要があるでしょう。

この記事では、駐車場で当て逃げされた場合・当て逃げした場合の対処法や過失割合を詳しく解説していきます。

当て逃げされたけれど加害者は見つかるだろうか?当て逃げしてしまったけれど出頭しないとどうなるだろうか?という疑問にもお答えしているので、ご確認ください。

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駐車場で当て逃げされたときの対応

駐車場で当て逃げされたときにとるべき対処は、以下の3点です。

  1. 警察に連絡
  2. 証拠の保全
  3. 保険会社に連絡
  4. ケガの可能性があるなら病院へ

それぞれについて詳しく解説します。

(1)警察に連絡|当て逃げでも通報すべき理由

当て逃げされた場合は、気づいた時点で警察に連絡を入れましょう。

当て逃げの場合、警察に連絡しても必ずしも加害者が見つかるとは限りません。
しかし、次の点からも警察への連絡は重要です。

  • 警察に届け出ないと交通事故証明書が発行されない
  • 加害者が警察に出頭してくる可能性がある

交通事故証明書は、自身の保険への保険金請求や加害者への賠償請求で必要となる大切な書類です。
加害者が見つからなくても自分の保険を使うために必要なので、警察に届け出をして発行できるようにしておきましょう。

また、当て逃げに気づいた加害者が警察に出頭する可能性もあります。届け出をしておけば警察の方から「加害者と思われる人が出頭してきた」と連絡してもらえるでしょう。

警察への届け出で伝えるべきことや、届け出後の流れは『交通事故後は警察への報告義務がある|伝える内容や連絡後の流れ』で詳しく解説しています。

(2)証拠の保全|証拠はカメラ映像だけではない

警察に連絡をしたら、次は証拠の保全です。証拠の保全としてすべきことは、主に以下の4点です。

  • 加害車両を目撃していれば、車種やナンバーなどをメモする
  • 当て逃げされた箇所や現場周辺を写真に撮る
  • どのように車を駐車していたか、どのような傷がついたか撮影する
  • ドライブレコーダーの映像確認・上書き録画の停止
  • 周辺の防犯カメラや他の車のドライブレコーダー、目撃者などを確認

当て逃げの証拠というと、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像が想像されやすいですが、それだけではありません。

中でも「どのように駐車していたか、どのような傷がついたか」を記録した写真は、加害者特定後の示談交渉時に重要になってきます。

加害者が「被害者の駐車方法も悪かった」「それは当て逃げでついた傷ではない」などと主張してきたときに反論する材料となるのです。

加害者が見つかっても、示談交渉時に当て逃げを否認されてしまうと十分な賠償請求ができない可能性があります。示談交渉を見据えて、適切な証拠を押さえておくことも意識しましょう。

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当て逃げ事故の証拠としてドライブレコーダーを使う場合の注意点を解説しています。『当て逃げ対策用ドラレコの選び方|その他の当て逃げ対策や事故対応も解説

(3)保険会社に連絡|車両保険の活用

警察への届け出が済んだら、次は自身が加入している自動車保険に連絡を入れましょう。

ぶつけられた車の修理費用は、加害者が見つかるまでは被害者側で負担しなければなりません。
このとき自身が加入する「車両保険」を使えば、修理費の負担を軽減できます。

ただし、プランによっては当て逃げ事故は対象外となっている可能性があるので、契約内容を確認してみてください。

保険金請求の際には、すでに解説した交通事故証明書が必要になりますが、基本的には保険会社側が取り寄せてくれます。

あえて車両保険を使わない選択肢もある

車両保険を使うと車の修理費を保険金でまかなえますが、保険の等級が下がるため翌年からの保険料が上がってしまいます。

そのため、受け取れる保険金と、保険利用により上がる保険料とを天秤にかけ、あえて車両保険を使わない人もいます。

保険の規約や車の修理費の見積もりなどを見て、車両保険を使うかどうか検討してみてください。

(4)ケガの可能性があるなら病院へ

運転中や乗車中に当て逃げ事故に遭った場合には、ケガをしている可能性があるため、事故後なるべくすぐに病院を受診してください。

事故後すぐに痛みが出るとは限りません。
しかし、事故から日にちを置いて痛みが出てから病院を受診した場合には、事故とケガの因果関係が証明できず、ケガの治療費やケガを原因とする慰謝料を請求できない危険性があるのです。

事故直後に痛みを感じていなくても、念のための受診を行いましょう。

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駐車場での当て逃げ対応でよくある疑問にお答え

同じ当て逃げでも、駐車場の場合は以下の点で、一般道を走行中に発生する当て逃げとは違います。

  • 一般道は公道であるのに対し、駐車場は私有地
  • 駐車してその場を離れている間に当て逃げされることがある

こうした違いから生じる疑問にお答えしていきます。

駐車場での事故に警察への届け出義務はないのでは?

スーパー・コンビニ・飲食店の駐車場やコインパーキングなど、不特定多数が出入りする駐車場で起きた事故は、警察への届け出が義務とされています。

駐車場は私有地なので、基本的には警察への事故報告を義務とする道路交通法は適用されません。

しかし、上で述べたような不特定多数が自由に出入りする駐車場は、その性質上、公道と同じように扱われます。

よって、不特定多数が出入りする駐車場での事故を警察に届け出なかった場合は、道路交通法違反として懲役3ヶ月または5万円以下の罰金が生じる可能性があるのです。

なお、私有地の駐車場であっても、本記事ですでに解説した理由から警察に届け出ておく方がベターでしょう。

いつ当て逃げされたのかわからない場合も警察に連絡する?

当て逃げに気づかずあとになって傷を見つけた場合、本当に駐車場で当て逃げされたのか、いつどこの駐車場で当て逃げされたのかわからないこともあるでしょう。

このような場合でも、警察に連絡しておくことをおすすめします。

届け出時に当て逃げされた可能性のある駐車場・時間帯を伝えると、警察がその駐車場の防犯カメラ映像を確認してくれるかもしれません。

確認してもらえなかったとしても、当て逃げであることが認められれば交通事故証明書が発行されるので、車両保険の保険金請求ができるようになります。

当て逃げの証拠がなくても警察に対応してもらえる?

当て逃げされた証拠がなくても、ひとまず警察に届け出てみましょう。

ドライブレコーダー映像や目撃者など明らかに当て逃げされたとわかる証拠がなくても、車に付着した相手車両の塗料や傷がついた位置などを見て、当て逃げであると判断してもらえる可能性があります。

駐車場の防犯カメラ映像は頼めば見せてもらえる?

防犯カメラ映像を確認したい場合は、警察に対応してもらうようお願いする方が良いでしょう。

駐車場の防犯カメラ映像は、被害者自身が頼んでも見せてもらえない可能性があります。

とくに、「駐車場内で起こった事故に関して当店は責任を負いません」などの看板が出ている駐車場だと、防犯カメラ映像の閲覧を断られる可能性が高いです。
なるべく警察にお願いして、防犯カメラの映像を確保しましょう。

ただし、警察と言えども当て逃げ事故で防犯カメラ映像の提出を強制することはできません。

なお、加害者が見つかり示談交渉のために防犯カメラ映像が必要な場合は、弁護士を通して映像の閲覧を依頼できることがあります。

警察が動いてくれない場合はどうすべき?

当て逃げ事故では、ひき逃げ事故ほど本格的に警察が動いてくれるとは限りません。この場合は、自身の車両保険などを使い対応するしかないでしょう。

ただし、当て逃げ事故でも警察に動いてもらえる場合はあります。警察に動いてもらうためにできることは『当て逃げ被害の対処法|捜査はどこまで?示談や慰謝料も解説』の記事で説明しているので確認してみてください。

駐車場での当て逃げ犯が見つかったらすべきこと

(1)示談交渉で賠償請求

加害者が特定されたら、示談交渉をして損害賠償金を請求します。

基本的には加害者本人ではなく、加害者が加入する保険の担当者と交渉することになるでしょう。

当て逃げは物損事故です。物損事故で請求できる損害賠償金については、以下の記事をご覧ください。

示談交渉を弁護士に依頼することも検討しよう

駐車場での当て逃げ犯が見つかったら、示談交渉を弁護士に任せることも検討してみてください。

当て逃げ犯は示談交渉の際、当て逃げで生じた損害を否定したり、被害者側の過失を主張したりしてくることがあります。

また、損害賠償金を低めに見積もって提示してくることも多いです。

しかし、交渉相手である加害者側の任意保険会社は示談交渉経験が豊富なので、被害者自身で反論することは難しいのが実情です。

弁護士費用を差し引いても弁護士を立てた方が獲得金額が多くなることは多いので、交渉で弁護士を立てることも検討してみましょう。

(2)過失割合についても話し合う

過失割合とは、交通事故が起きた責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるかを割合で示したものです。
被害者側にも過失割合が付くと、その割合分、損害賠償金が減らされる「過失相殺」が適用されます。被害者側の過失が1割とされると、損害賠償金も1割減らされるのです。

それだけでなく、加害者側から損害賠償請求されている場合には、そのうちの自身の過失割合分を支払わなければなりません。
被害者側の過失が1割とされると、相手から請求されている金額の1割を支払うことになるのです。

駐車場での当て逃げ事故では、被害者にも過失割合が付くことがあるので要注意です。

駐車場での当て逃げにおける過失割合は、この後紹介するので参考にしてみてください。

駐車場での当て逃げの過失割合|ドアパンチや出会い頭など

交通事故の過失割合は、事故状況をもとに決定されます。

細かい状況まで柔軟に反映させるため、厳密な過失割合を知るには個別に算定するしかありませんが、ここでは代表的な事故類型の基本的な過失割合を紹介していきます。

なお、ここで紹介する過失割合は「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に記載されている情報をベースとしています。

(1)ドアパンチの当て逃げ事故

ドアパンチとは、車のドアが開いたときに、そのドアが別の車にぶつかってしまうことをいいます。

車を駐車場に停めていて隣の車にドアパンチされた場合、過失割合は基本的に「被害者:加害者=0:10」です。

しかし、被害者側が過度に隣の駐車スペースに近寄せて車を停めていた場合などは、当て逃げであっても被害者側にいくらかの過失割合が付く可能性があるので注意しましょう。

(2)出庫する車と待機車の当て逃げ事故

駐車スペースから出てくる車の近くで停車して待機していたところ、出てきた車に当て逃げされた場合、過失割合は基本的には「被害者:加害者=0:10」です。

ただし、加害者側は何らかの理由によって被害者にも過失があると主張してきたり、過失相殺できない分、示談交渉でより低額な損害賠償金を提示してきたりする可能性があります。

被害者側の過失が0であっても油断することなく示談交渉に臨むことが重要です。

0:10の事故で読んでおきたい

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(3)出庫する車と直進車の当て逃げ事故

駐車スペースから通路に出てきた車と、その通路を走行していた車がぶつかった場合、過失割合は「出て来た側:走行していた側=7:3」になります。出庫した車がバックで出てきた場合でも同様です。

駐車場では、出庫する側がより一層周りに注意して動かなければならないとされているため、出庫する側の過失割合の方が大きくなっています。

(4)入庫する車と直進車の当て逃げ事故

駐車場に駐車しようとする車と直進してきた車の接触事故では、過失割合は「駐車しようとしていた側:直進してきた側=2:8」となります。

駐車行為は駐車場で本来行うべき行為であるため、駐車動作を行っている車のほうが通路を走行する車よりも優先されるのです。

(5)駐車場内の出会い頭での当て逃げ事故

駐車場内の出会い頭で衝突した場合の過失割合は、「5:5」となります。

ただし、これはあくまでも目安にすぎません。
被害者側の事故時の速度が速すぎたり、被害者側の通路に一時停止を促す表示が出ていたりした場合は、被害者の過失割合が大きくなる可能性もあります。

被害者側に過失が付きそうな場合は片側賠償も検討しよう

片側賠償とは、「8:0」「9:0」のように、一方の過失が0で、両者の過失を合計しても10割にならない過失割合を言います。

たとえば過失割合が「加害者:被害者=8:2」の場合、被害者は受け取れる損害賠償額が2割減額されるだけでなく、加害者から請求されている損害賠償金のうち2割を支払わなければなりません。

しかし、交渉によって8:0に持ち込めれば、「片側賠償」となり加害者への支払いはせずに済むのです。

片側賠償については『交通事故の過失割合9対0とは?片側賠償のメリットや過失相殺の計算例を紹介』で解説しているので、確認してみてください

加害者が当て逃げを認めない場合の対処法

当て逃げ犯らしき人を特定しても、相手方が当て逃げを否定してくることがあります。

被害者の記憶や目撃者の証言は加害者を探す手掛かりにはなりますが、加害者が当て逃げを否定した場合にはより確固たる証拠が必要です。

警察の協力も得つつ、次のような証拠がないか確認してみましょう。

  • 被害者側のドライブレコーダーや防犯カメラ
    • 当て逃げの瞬間と相手車両のナンバーがともにはっきり映っていれば、証拠となりえる
  • 加害者側のドライブレコーダー
    • 当て逃げの瞬間やぶつけた音、ぶつけた時の加害者の反応などが入っていれば証拠となりえる
  • 加害車両の傷
    • 被害車両の傷と照らし合わせ、加害車両であると判断できることがある

加害者向け|駐車場で当て逃げした場合の対処法

駐車場で当て逃げした場合の対処法

駐車場で当て逃げした場合は、速やかに次の対応をとってください。

  1. 警察に出頭
  2. 自身の保険会社に連絡
  3. 被害者への謝罪・示談交渉

駐車場で当て逃げをして出頭しても、悪質性や証拠隠滅・逃亡のおそれがないと判断されれば逮捕されません。

日常生活を送りながら捜査が進められ(在宅捜査)、起訴・不起訴が決まるでしょう。

また、被害者側との示談交渉は、基本的に自身の保険の担当者が行います。被害者への謝罪についても方法・タイミングなどについて保険会社側からアドバイスされることがあるので、従いましょう。

当て逃げで出頭しないとどうなる?

駐車場で当て逃げをし、出頭しない状態で加害者として特定されると、以下のようなことが考えられます。

  • 悪質性があるとして損害賠償金が増額される可能性がある
  • 証拠隠滅・逃亡のおそれがあるとして逮捕される可能性がある
  • 刑事罰に関して不起訴・減刑・情状酌量などが難しくなる

当て逃げ事故では加害者が特定されないままになることも多いです。

しかし、現在ではドライブレコーダーを搭載している車や街頭の防犯カメラも増えてきているため、加害者として特定される可能性は十分にあります。

「当て逃げしたことに気づかず出頭していなかった」と主張しても、ドライブレコーダーの映像や被害車両についた傷の程度から、気づかないはずはないと反論されることもあるでしょう。

よって、当て逃げに気づいたのであればすぐに警察に出頭し、被害者に謝罪の気持ちを伝え、示談交渉をしてください。

駐車場で当て逃げした場合の罰則

当て逃げの加害者に生じる責任には、被害者に損害賠償金を支払う「民事上の責任」の他、「行政上の責任」「刑事上の責任」もあります。

民事上被害者に対し、車の修理費、代車費用などを補償する。
人の死傷があるひき逃げ事故(人身事故)なら治療費や慰謝料なども支払う。
行政上運転免許の違反点数が以下のように加算される。
物損事故の場合の危険防止等措置義務違反:5点
安全運転義務違反:2点
30日間の免許停止処分も。
刑事上危険防止措置義務違反として以下の刑事罰が下される。
1年以下の懲役または10万円以下の罰金

当て逃げ事故(物損事故)の場合、被害者に対する損害賠償金は、基本的に自身が加入する任意保険の保険金でまかなわれます。

自賠責保険は物損被害に対する補償を対象外としているので使えません。

任意保険に入っていない場合は、被害者側から請求された賠償金は全額加害者自身で支払うことになります。

当て逃げに気づいていなかった場合は罰が軽くなる?

被害車両にぶつかったことに気づかず行ってしまった場合は、気づき次第出頭することで、反省の姿勢や誠実な態度がある程度考慮される可能性もあります。

ただし、あくまでも検察官や裁判官の判断、被害者との示談交渉次第です。

なお、本当は気づいていたのに気づいていないふりをしていた場合は、不誠実な姿勢により罰が重くなるおそれがあります。

気づかなかったふりを装うために以下のようなことをすると、さらに被害者や検察官・裁判官の心証を悪くしてしまうでしょう。

  • 当て逃げした時のドライブレコーダー映像を削除した
  • 当て逃げした時のドライブレコーダー映像の保存期間が切れるまで出頭を待った

当て逃げに気づいていた場合は、気づいていなかったふりを装うのではなく、速やかに出頭することが一番です。

駐車場での当て逃げ事故は弁護士に相談

駐車場での当て逃げ事故で加害者が見つかったら、弁護士に相談することがおすすめです。
加害者判明後に問題となりやすい、示談交渉のサポートをしてもらえます。

アトム法律事務所では、弁護士による無料の法律相談を実施中です。
法律相談の予約は24時間365日いつでも対応中なので、気軽にお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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