当て逃げ対策用ドラレコの選び方!その他の当て逃げ対策や事故対応も解説
車を運転する人にとって気を付けたいことのひとつに、当て逃げがあります。
当て逃げをされても、加害者がわからなければ損害賠償を請求できず、被害者自身で車の修理費などを負担することになってしまいます。
理不尽な当て逃げを防ぐためにも、ドラレコの導入は非常に重要です。
しかし、ドラレコの選び方次第では、実際に当て逃げされた際にあまり役に立たない可能性があります。
当て逃げされても泣き寝入りせずに済むよう、ドラレコの選び方を確認しておきましょう。あわせて、これを機に知っておきたいその他の当て逃げ対策や、当て逃げされたときの対処法についても解説します。
目次
当て逃げで本当に役立つドラレコの選び方
当て逃げ事故はいつ、どんな状況で起こるかわかりません。さまざまな状況を想定して、どんな場合でもしっかり録画ができるドライブレコーダーを選ぶことが大切です。
当て逃げの対策をするなら、以下のポイントに注意してドラレコを選びましょう。
- 駐車中の録画機能
- 走行中の常時録画機能
- 高解像度
- 広い撮影範囲
- 画像修正機能
- LED信号機対応
- 十分な保障サービス・耐用年数
なぜ上記の7点が大切なのか、詳しく解説していきます。
(1)駐車中の録画機能|切替え操作の簡単さが大切
当て逃げは、運転中に発生するとは限りません。駐車場に車を停めていてぶつけられるケースもあるので、駐車している状態でも録画ができるドラレコを選ぶと安心です。
駐車中の録画には、次のような3つのモードがあります。
常時録画 | 常時録画ができる |
衝撃検知 (Gセンサー) | 衝撃を察知した場合に録画ができる |
動体検知 | 人や車の動きを察知した場合に録画ができる |
駐車場での録画も走行中の録画と同様、常時録画にしておくと、何かあった時の記録を確実に残しておけます。
なお、駐車録画をオンにする操作が面倒だと、急いでいるときに録画をオンにできない、オンにすることを忘れてしまう、自分以外の人が車を使う場合に操作方法を教えるのが大変といったことが考えられます。
自動的に駐車録画モードに切り替わるタイプやワンタッチで切り替えができるタイプなど、操作が簡単なものを選ぶことがおすすめです。
(2)走行中の常時録画機能|軽い衝突でも安心
ドラレコの録画機能には、常時録画モードとイベント録画モードがあります。
常時録画 | 車のエンジンをかけている間、常時録画ができるタイプ |
イベント録画 | 衝突などの衝撃を関知した際に録画ができるタイプ |
イベント録画は軽い衝突では反応しない可能性もあるので、常時録画ができるタイプを選ぶことがおすすめです。
当て逃げの中でも自転車による当て逃げは犯人を特定しにくい傾向にありますが、常時録画モードにしていれば、犯人の姿が映像に残り、特定に役立つ可能性があります。
アイドリングストップ対応かも確認しよう
走行中に常時録画ができるタイプの中には、車のエンジンのオン・オフとドラレコのオン・オフが連動しているものもあります。この場合、アイドリングストップするたびに録画が切れてしまい、停車中の当て逃げを録画できない可能性があるので注意しましょう。
また、ドラレコを取り付けるとアイドリングストップができなくなったという経験談もあります。日常的にアイドリングストップをする場合は、アイドリングストップ対応型のドラレコかどうかの確認も忘れずに行ってください。
(3)画質・画素数|Full HD・200万画素以上
ドラレコの画質・画素数には主に次の4種類がありますが、当て逃げされたときのことを考えるとFull HD・200万画素以上がよいでしょう。
- HD・約100万画素
- Full HD・200万画素
- 3メガ・300万画素
- クアッドHD・370万画素
当て逃げされてもドラレコに加害車両のナンバープレートが映っていれば、加害者を見つけ出す有力な手掛かりとなります。解像度が低いと、録画はできていても犯人を特定できず、残念ながら泣き寝入りを余儀なくされる可能性があります。
一連指定番号の数字のみならず、地域名・分類番号・ひらがなといった情報をしっかり記録するためにも、できるだけ解像度の高いドラレコを選びましょう。
(4)撮影範囲|斜め前・後方も録画できるもの
当て逃げは、車の前方で起こるとは限りません。車の斜め前にぶつけられることもありますし、後ろからぶつけられる可能性もあります。
そのため、どこに当て逃げされても動画が残るように、できるだけ撮影範囲の広いドラレコがおすすめです。
具体的には左右100度、上下55度程度の範囲まで映ることが望ましいです。
後方まで撮影できる2カメラタイプや後方・車内も撮影できる3カメラタイプ、あるいは360度撮影が可能なタイプであればさらに安心できます。
最近問題となっているあおり運転の被害に遭った際にも、有力な証拠映像が残せます。
(5)画像修正機能|夜間・逆光でも撮れるもの
夜間に当て逃げ事故に遭うと、せっかくカメラで録画していても暗くて何も見えなかったり、前方車のライトが逆光になって白飛びしたりする可能性があります。
夜間・逆光の状況でもしっかり記録ができるよう、画像修正機能があるドラレコを選ぶことも大切です。
(6)LED信号機対応タイプ|LEDは映りにくい
ドラレコは、当て逃げをした加害者を記録するだけではなく、信号の色をはじめ事故時の状況を記録する意味でも大切です。しかし、LED信号機はドラレコで撮影すると、点滅して見えたり灯火していないように見えたりすることがあります。
信号の色は当事者間で記憶・主張が異なることも多いので、正確に映像に残すことは非常に重要です。現在はLED信号機でもきちんと録画できるドラレコが売り出されているので、LED信号機に対応したモデルかどうか確認しましょう。
(7)保証サービス・耐用年数も重要
ドラレコを購入する際は、保証サービスもしっかりチェックしましょう。
壊れたのにすぐに直せない、修理にお金がかかるので後回しになってしまうという状況で当て逃げ事故に遭ってしまうと、せっかくドラレコを買っていても役に立ちません。
保証期間や保証サービス、耐用年数についても安心できるものを選んでください。
当て逃げされたときにドラレコはどう役立つ?
次に、当て逃げにあったときにドラレコがどのように役立つかを解説していきます。
ドラレコ映像が犯人特定の手掛かりになる
当て逃げされたとき、ドラレコは加害者を特定するために大いに役立ちます。
たとえば駐車場に車を停めてその場を離れている間に当て逃げされても、走行中に当て逃げされても、ドラレコに加害者の車種やナンバーが映っていれば、動かぬ証拠として加害者特定の手掛かりになります。
当て逃げされて高額な車の修理費などが生じたとしても、加害者がわからなければ損害賠償を請求できません。
本来なら加害者が負担すべき費用を被害者が自己負担するという理不尽な事態を避けるためにも、ドラレコは重要です。
参考になる記事
自転車の当て逃げ犯を特定できる確率は?警察に報告すべき理由3つも:加害者特定率を高めるためにできることや、加害者が特定できなかった場合の損害賠償金負担について解説しています。
過失割合の判断材料になる|当て逃げ以外の事故でも有効
ドラレコは、加害者が特定された後にも役立ちます。
当て逃げ事故の加害者が特定されると、加害者に損害賠償請求するため示談交渉がおこなわれ、損害賠償金額とともに「過失割合」について交渉がおこなわれます。
過失割合とは?
交通事故が起きた責任が、加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるかを割合で示したもの。
事故発生時の状況をもとに決められる。
被害者側にも過失割合が付くとその割合分、受け取れる損害賠償金が減ってしまうので、被害者側は不当に高い過失割合が付かないよう、交渉しなければなりません。
しかし、事故発生時の状況がはっきりしないと、加害者側が事実とは異なる事故状況を主張してきて、正しくない過失割合になってしまう可能性があります。
こうしたことを防ぐためにも、事故発生時の状況を映像で残しておけるドラレコは非常に重要です。
なお、過失割合については損害賠償額同様、加害者側ともめる可能性が高いので、あわせて弁護士への相談も検討することが重要です。
参考になる記事
- 交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順:過失割合の詳しい決め方がわかります。
- 駐車場での当て逃げの対処法:駐車場での当て逃げ事故の過失割合がわかります。
当て逃げ事故対策でドラレコを使うときの注意点
ドラレコは当て逃げ事故の対策のために有用ですが、一方で使用する際の注意点もあります。順に確認していきましょう。
ドラレコ映像で自分の過失が発覚することもある
ドラレコ映像は当て逃げの加害者特定の手掛かりとなったり、正しい過失割合を判断する材料となったりするものです。
しかし、一方で、被害者側に過失がある場合にはそれを証明する映像にもなります。
たとえば以下のような場合には、ドラレコ映像が被害者自身にとって不利に働く可能性があります。
- 当て逃げされた際、被害者側も危険な運転をしていた
- 当て逃げされた際、道路交通法に違反するような駐車をしていた
ドラレコ映像が必ずしも被害者にとって有利なものとなるとは限らない点には注意し、ドラレコに映っても問題ない運転・駐車マナーを心がけましょう。
ドラレコ映像の提出を要請される可能性がある
当て逃げ事故が裁判に発展した場合には、裁判所からドラレコ映像の提出を求められることがあります。
被害者側にとって不都合な映像が残っている場合には提出を拒みたくなるかもしれません。
しかし、提出を拒んでしまうと裁判官への心証が悪くなりますし、場合によっては20万円以下の過料が科されることもあるので、提出要請を受けた場合には応じるようにしましょう。
なお、示談交渉の段階ではドラレコ映像の提示は任意です。
しかし、「ドラレコ映像があるのに提出しないということは、何か隠したい過失があるのではないか」と加害者側に疑われ、話し合いが難航するリスクを避けるためにも、提出することが望ましいでしょう。
ドラレコ映像を安易にSNSに載せるのは厳禁
ドラレコに当て逃げの加害者が映っているにもかかわらずなかなか特定に至らない場合、映像をSNSに載せて目撃情報などを募りたくなる方もいらっしゃいます。
あるいは、当て逃げの加害者に対する怒りのあまり、映像に映る加害者の姿をSNSに晒したくなることもあるかもしれません。
しかし、ドラレコの映像をSNSに載せてしまうと、以下のようなリスクが生じます。
- 加害者から名誉棄損で訴えられる
- 加害者側に反感を持たれて示談交渉がまとまらなくなり、損害賠償金の受け取りが遅れたり、時間や費用・手間のかかる裁判に発展してしまったりする
- 別の人が加害者ではないかと疑われるなど、無関係の人を巻き込んだトラブルが発生する
よって、ドラレコ映像はあくまでも警察の捜査や示談交渉、裁判の際に使うものとして、安易にSNSに載せないようにしましょう。
ドラレコとあわせて意識したい当て逃げ対策
当て逃げにあったときのためにドラレコを設置するのも大切ですが、当て逃げを未然に防ぐための対策も重要になります。ここからは、当て逃げに対策する方法を紹介していきます。
駐車は防犯カメラ・監視カメラの範囲内を意識
もし当て逃げ事故にあってしまったら、事故発生時の状況を示す証拠は多ければ多い方が良いです。
よって、もしものときに少しでも多くの証拠を残せるよう、ドラレコの活用に加え、駐車場では防犯カメラ・監視カメラに映る範囲内に車を停めることを意識しましょう。
防犯カメラや監視カメラにも映像が残っていれば、ドラレコ映像だけでは確認できない角度から加害者の情報や事故発生時の状況を確認することもできます。
出入口付近や角に駐車しない
店や駐車場の出入り口に近い場所は車や自転車の出入りが多く、当て逃げされる確率が高くなってしまうので、なるべく避けて駐車しましょう。
また、駐車スペースの角も要注意です。その角を曲がる車や自転車にぶつけられてしまう可能性があるため、避けた方がよいでしょう。
ゆとりのある駐車スペースを選ぶ
駐車場では、隣り合う駐車スペースと間隔が空いており、ゆとりをもって駐車できるところを選ぶとよいでしょう。
ゆとりのある駐車スペースなら、隣の車が出入りする際にぶつけられる可能性が減りますし、車のドアを開けたときに隣の車にぶつけるいわゆる「ドアパンチ」の被害にあうリスクも少なくなります。
立体駐車場なら、隣の車に当て逃げされる可能性はほとんどなくなります。
駐車後は車を軽く点検する
駐車していた車に乗るときは、軽く車の様子を確認することもポイントです。
当て逃げ事故において加害者を特定するためには、まずどこで当て逃げ事故が発生したのか確認する必要があります。
しかし、当て逃げされたことに気付くのが遅れてしまうと、どこでぶつけられたのかわからなくなってしまいます。
ドラレコの映像を確認するにしても、当て逃げされた可能性のある日時の幅が広いほど、映像の確認作業も大変になります。駐車後はその都度、車を確認するようにしましょう。
当て逃げされたときの対処法もあわせて確認
当て逃げ対策でドラレコを導入するのであれば、この機会に、当て逃げされた場合の対処法も確認しておくと安心です。対処法の流れを頭に入れておきましょう。
当て逃げされたときの対処法の流れ
当て逃げにあったときの基本的な流れは以下のとおりです。
- 警察に通報する
- 証拠を確保する
- 加入している保険会社に連絡する
- 犯人が見つからない間は自分の車両保険などを利用する
- 犯人が見つかったら示談交渉し、賠償してもらう
上記のうち、とくに証拠の確保は犯人特定のため非常に重要になります。警察に連絡後、以下の点を意識し、証拠の確保・保全に努めましょう。
- ドラレコ映像の確認と保管
- 映像が上書きされないよう設定に注意
- 損傷部分や事故現場の様子を写真撮影
- スマホのカメラでも問題ない
- 加害車両のものの可能性がある破片・塗装片がないか要確認
- 加害車両がわかる場合、情報をメモ
- 車のナンバーや車種、色などが検挙のために大切
- 駐車場など私有地で被害にあった場合、管理者に連絡
- 被害にあったことを説明し、協力を依頼する
- 防犯カメラ映像の提供は警察をとおして依頼した方がよい
- 目撃者がいる場合、連絡先を交換
当て逃げされたときの詳しい流れや加害者に請求できる示談金の費目・相場、示談交渉での注意点などは、『当て逃げ被害の対処法と泣き寝入り前にできること|捜査や示談も解説』で詳しく紹介しているので、確認してみてください。
交通事故にあったら弁護士への相談も検討
当て逃げ事故に限らず、今後交通事故にあった場合には、弁護士への相談も検討してみてください。
弁護士に相談というと大げさに聞こえるかもしれませんし、保険会社に対応を任せれば良いと思うかもしれません。
しかし、無料相談をしている事務所なら、お金をかけずに専門家である弁護士に、今後の対応や示談交渉での注意点、妥当な賠償額などを聞くことができます。
無理に契約を迫ることもありません。
交通事故にあったらひとまず弁護士にも話を聞いてみることも、頭の片隅に置いておいてください。
アトム法律事務所では、電話・LINEで無料相談が可能です。
その後ご契約となった場合には、弁護士費用の負担を軽減できる料金体系を用意しております。
もちろん無料相談のみのご利用も可能なので、ひき逃げ事故や人身事故の被害者になった場合には、お気軽にご連絡ください。
弁護士費用の相場やアトム法律事務所の料金体系については、『交通事故の弁護士費用相場はいくら?弁護士費用特約を使って負担軽減』の記事をご確認ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了