自転車の当て逃げ犯を特定できる確率は?警察に報告すべき理由3つも

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自転車の当て逃げ

自転車による当て逃げは自動車の場合とは違い、犯人特定が難しい傾向にあります。また、警察が本格的に捜査に乗り出してくれるとも限りません。
しかし、加害者特定のためにできることはありますし、その他の点からも警察への届け出は必要です。

この記事では、自転車による当て逃げ犯を特定するためにすべきこと、特定できた場合・できなかった場合の対処法について紹介しています。

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自転車による当て逃げ…加害者は特定できる?

自転車による当て逃げで気になるのは、加害者は特定できるのかということでしょう。結論から言うと、自転車の当て逃げ事故で逃げた加害者を特定するのは難しいです。

しかし、それでも警察には届け出るべきですし、加害者特定のためにできることはあるので確認していきましょう。

自転車による当て逃げ犯の検挙率は低い

自転車に乗った人に接触事故を起こされ、相手が行ってしまった場合、警察による捜査がなされても後日加害者を特定するのは非常に難しいでしょう。自転車には自動車のようなナンバープレートがなく、たとえ防犯カメラに相手の姿が映っていたとしても、そこから加害者特定につながる強力な情報は得にくいからです。

しかし、絶対に加害者が特定できないとは限りません。加害者特定のためにできることをしつつ、相手が見つからなかった場合の対策も確認しておきましょう。

犯人特定率を上げるためにできる5つのこと

加害者特定のためにできることとしては、次の5点があります。

  • ドライブレコーダーやスマートフォンで加害者を撮影する
  • 現場周辺の防犯カメラや他の車のドライブレコーダーを確認する
  • 制服を着た子供が運転手なら学校に連絡を入れる
  • 目撃者に加害者の特徴を聞く
  • クラクションを鳴らしたり声を出したりして周囲の注目を集める

最も理想的なのは、加害者の姿を記録した映像・画像があることです。
相手が制服を着ている子供だった場合は学校を割り出せるので、学校側に連絡することで加害者の特定を試みてもらえるかもしれません。

また、事故直後にクラクションを鳴らしたり声を発したりすると、加害者が反応して顔を確認できるかもしれませんし、注目が集まることで目撃者も増える可能性があります。

自転車の当て逃げ事故は警察に届け出るべき

自転車の当て逃げ犯が見つかる確率が低いなら、警察に届け出なくてもいいのでは、と思う人もいますが、警察への届け出はすべきです。
警察に当て逃げを届け出るべき理由と、警察の対応を解説していきます。

検挙率が低くても警察に届け出るべき3つの理由

自転車に当て逃げされたら、必ず警察に連絡しましょう。その理由は次の3点です。

  • 道路交通法上の義務だから
  • 犯人が後日出頭する可能性があるから
  • 「交通事故証明書」を作成してもらう必要があるから

自転車や自動車といった車両の事故を警察に届け出ることは、道路交通法上の義務です。たとえ被害者であっても報告を怠ると、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金といった罰則が生じます。

(交通事故の場合の措置)
第七十二条 (略)当該車両等の運転者(略)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(略)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

e-Gov法令検索

また、あとから加害者が出頭してきた場合に事故を届け出ていないと、被害者は加害者が出頭してきた事実を知ることができません。
加害者特定後、損害賠償請求をする際に必要な「交通事故証明書」も、警察に事故を報告していないと発行されないです。
こうしたことから、自転車による当て逃げ事故に遭ったら、必ず警察に報告しましょう。

補足

被害者が歩行者であれば、事故を警察に届け出る義務はありません。
しかし、加害者が出頭してきたときのことや交通事故証明書のことを考えると、歩行者であっても警察に届け出をしておくことをおすすめします。

交通事故証明書の記載内容や申請方法について知りたい方は『交通事故証明書とは?もらい方と目的、後日取得の期限やコピーの可否』の記事を確認してください。

自転車の当て逃げ事故に対する警察の対応は?

自転車による当て逃げ事故の場合、警察に届け出たからといって具体的な捜査をしてもらえるとは限りません。人の死傷があるひき逃げ事故とは違い、当て逃げ事故は重要度が低いと考えられるうえ、すでに説明したように犯人特定も難しいからです。

しかし、ただ泣き寝入りするのではなく、犯人特定につながる映像・画像・目撃情報などがあるなら、それらを警察に伝えておきましょう。
同一犯と思われる当て逃げ事故が多数報告されていたり、犯人を特定できる可能性が高いと判断されたりすれば、加害者の特定・逮捕に向けた捜査に乗り出してもらえる可能性があります。

自転車の当て逃げ犯を特定できなかったら

自転車による当て逃げ事故では、警察による捜査を行っても残念ながら犯人が特定できなかった場合にどうすべきか知っておかなければなりません。
当て逃げ犯が見つからなかった場合のことを解説していきます。

修理費や代車費用は被害者負担になる

当て逃げによって傷ついた自転車や自動車、持ち物の修理費は通常、民事上の責任として加害車両の運転者が補償します。しかし、加害者が特定できない状態では被害者の自己負担とならざるをえません。

犯人が見つかってから修理をして修理費を請求したい、という人もいますが、以下の理由から修理は早くしておくことがおすすめです。

  • 自転車の当て逃げ事故は犯人特定の見込みが低いので、いつまでも修理できない可能性がある
  • 自転車や自動車の傷を放置していると、加害者に修理費を請求する際、「その傷は当て逃げ後についたものだ」と反論される可能性がある
  • 以下の状態のまま運転していると、整備不良として罰金・違反点数の加点が生じる可能性がある
    • ライトやウインカーが正常に灯火しない状態
    • ブレーキに問題がある状態
    • サイドミラーがとれた状態
    • その他、安全運転ができないと判断される状態

加害者が特定されれば後からでも修理費の請求はできるので、ひとまず早いうちに自己負担で修理しておくことがおすすめです。

被害者自身の保険を使えば負担が軽くなる可能性もある

自動車の修理費・代車費用については、自分の任意保険を利用し、車両保険から保険金を受け取れる可能性があります。
自転車の修理費用についても、自転車保険に加入していれば保険金がもらえる可能性があるでしょう。

いずれも、プランによって保険金が受け取れるかどうかは異なるので、一度契約内容を確認してください。

ただし、保険を利用した場合、保険の等級が下がり今後の保険料が上がることもあります。このことを踏まえてあえて保険を使わない人もいるので、修理費はどの程度かかるのか、保険を使うとどれくらい保険料が上がるのかを比べてみて、より負担の少ない方を検討してみてください。

自転車事故で使える保険や請求の要点については、『自転車事故の保険請求の流れや補償内容|どんな保険が使える?』の記事で解説しています。

自転車の当て逃げ犯が特定できたら

自転車の当て逃げ犯が特定出来たら、加害者側に対して車や自転車の修理費・代車費用を請求します。
このときのポイントについて、確認していきましょう。

示談交渉で損害賠償請求をする

特定された加害者に対して損害賠償請求するためには、示談交渉を行わなければなりません。
加害者が自転車保険に入っていれば保険会社の担当者が相手となりますが、自転車保険に入っていなければ加害者と直接交渉することになります。

なお、人の死傷があるひき逃げ事故の場合、当て逃げ事故よりも相手方に請求できる費目・金額が多くなり、その分交渉でもめやすくなります。
人身事故である場合は、納得いく金額を得るためにも事前に弁護士に相談し、必要があれば代わりに交渉をしてもらうことが大切です。

アトム法律事務所では、人身事故に関する相談を電話またはLINEから、無料で受け付けています。

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損害賠償請求権には時効がある!

自転車による当て逃げ事故の場合、加害者に対する損害賠償請求は事故から20年以内(加害者がわかればその日から3年以内)にしなければなりません。

これを過ぎると加害者が特定されても損害賠償請求できないので、注意しましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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