物損事故で保険料はいくら上がる?等級や保険の使い方で変わる負担額

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物損事故を起こしてしまったけれど、「保険を使うとどのくらい保険料が上がるの?」「等級は下がるの?」「保険を使わない方がいい場合もあるの?」といった疑問をお持ちではありませんか?

この記事では、物損事故を起こした際の自動車保険料への影響や、等級制度の仕組み、保険を使うべきかどうかを判断するための具体的なポイントをわかりやすく解説します。

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物損事故とは?人身事故との違い

まず、「物損事故」とは、人がケガをしたり亡くなったりすることなく、物だけが損傷した交通事故のことです。

例えば以下のようなケースが該当します。

  • 駐車中の車にぶつけてしまった
  • ガードレールや電柱に接触して車を傷つけた
  • 他人の塀や看板などを壊してしまった

物損事故でも、自動車保険を使って修理費などをカバーすることは可能です。

ただし、保険を使うかどうかによって「等級」や「保険料」に大きな差が出ることがあります。

保険を使うと保険料はいくら上がる?仕組みを紹介

物損事故で自動車保険を使うと、次回の契約更新時に通常「等級ダウン事故」として、ノンフリート等級(後述)の等級が下がり、保険料が上がる可能性があります。

自動車保険の等級制度とは?

個人が加入している自動車保険の多くは「ノンフリート等級制度」を採用しています。これは事故の有無や内容により、1等級〜20等級までのランクを上下させ、保険料を決定する仕組みです。

  • 一般的に、新規加入時は6等級からスタート
  • 無事故で1年経過すれば1等級ずつアップ
  • 一定の事故を起こすと、1回ごとに3等級ダウン

等級ごとの保険料への影響は以下の通りです。

等級無事故事故あり
1+108%+108%
2+63%+63%
3+38%+38%
4+7%+7%
5-2%-2%
6-13%-13%
7-27%-14%
8-38%-15%
9-44%-18%
10-46%-19%
11-48%-20%
12-50%-22%
13-51%-24%
14-52%-25%
15-53%-28%
16-54%-32%
17-55%-44%
18-56%-46%
19-57%-50%
20-63%-51%

事故による保険料アップの例

事故を起こして保険を使用した場合、3等級ダウンに加えて、事故ありの保険料への影響が3年間適用されます。以下はその影響の一例です。

例:保険の使用により、20等級から3級ダウンしたケース

保険料への影響
事故前-63%
1年後-44%
2年後-46%
3年後-50%
4年後-63%

事故ありの影響は3年間継続するため、実際の負担増は累計で10万円を超えることも十分あります。

等級が「下がらない」物損事故もあるって本当?

すべての物損事故で保険料が上がるわけではありません。

以下のようなケースでは、等級が下がることはないでしょう。

  • 過失割合が0%の事故で車両保険無過失事故特約あり
  • 免責金額以下の少額損害で保険を使わない場合

保険を使うべきか?使わないべきか?費用比較がカギ

物損事故で保険を使うかどうかを決めるには、「自己負担額」と「将来的な保険料の増額(3年間)」を比較することが重要です。

以下のような流れで検討しましょう。

  1. 修理費用や損害賠償額を確認(見積書など)
  2. 保険を使った場合の等級ダウンと増額見込を計算
  3. 3年間にわたる負担額を合計し、保険を使わない場合と比較

例:修理費用と保険料の比較

内容金額(目安)
自分の車の修理約5万円(自己負担)
保険使用による累計保険料増約9万円(3年間)
→合計コスト約5万円 or 9万円

事故のタイプ別|保険料が上がるかどうかの違い

事故の内容によっても、保険利用による保険料への影響は変わってきます。

事故のタイプ保険料備考
自損事故(単独) 上がる一般的に等級が下がる
相手の車に接触 上がる賠償義務あり、保険を使えば等級ダウン
停車中にぶつけられた 上がらないことも過失がなければ等級据え置きになる可能性あり

被害者自身に過失がない、いわゆるもらい事故のケースでは、保険を利用しても等級が下がらず、保険料が上がらない可能性があります。

よくある質問(Q&A)

Q.物損事故で過失がなくても保険料は上がりますか?

過失がゼロであり、車両保険無過失事故特約がある場合、保険料には影響しません。

ただし、保険を使えば実績として記録が残る場合もあるため、保険会社にあらかじめご確認ください。

Q.1回だけの物損事故でも保険料は大きく上がりますか?

保険を使った場合は、1回の事故でも3等級ダウン+事故あり3年の条件が適用され、3年間合計で数万円〜十数万円の負担増になることがあります。

まとめ|物損事故=保険料アップとは限らない!冷静な判断を

物損事故を起こしてしまった場合でも、すべてのケースで保険料が大きく上がるとは限りません。

  • 事故内容や特約次第では等級が下がらない例もある
  • 修理費と今後の保険料アップ額をよく比較して判断
  • 迷ったら、保険会社や専門家(弁護士・保険アドバイザー)の相談も検討

安易に保険を使うと、後々の負担が大きくなることもあります。事故に関する状況を冷静に整理し、「自分にとってベストな選択」をすることが大切です。

困ったときは保険会社や専門家に相談することで、納得のいく対応が取れるでしょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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