交通事故後の腰痛の原因と腰椎捻挫の慰謝料・後遺障害等級は?腰痛が悪化した場合も解説

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交通事故で腰椎捻挫

追突事故などに遭い、腰椎や腰回りの組織に損傷が生じた場合、腰痛の症状がでることがあります。

腰痛の原因としては、腰椎捻挫腰椎椎間板ヘルニア腰椎損傷などが考えられます。

腰痛が完治せず後遺症が残った場合には、後遺障害の認定を受けることで後遺障害慰謝料を請求することが可能です。

ただし、後遺障害等級の認定を受けるためには、交通事故が原因で腰痛が生じ、現在も痛みが残っていることを証明する必要があり、決して簡単ではありません。

本記事では、交通事故による腰痛・腰椎捻挫について、請求できる慰謝料の金額、後遺障害認定、その他の賠償金について解説します。

事故前から腰痛持ちで、事故により腰痛が悪化した場合の慰謝料請求についても紹介しているので、ぜひご覧ください。

交通事故後に腰痛になる原因と対処法

腰痛の原因となるケガとそれぞれの症状

交通事故では、主に以下のケガが原因となって腰痛が発生することがあります。

  • 腰椎捻挫(むちうち)
  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰椎損傷

それぞれの具体的な概要や症状について見ていきましょう。

腰椎捻挫(むちうち)

腰椎捻挫とは、交通事故の衝撃で腰が過剰に反ったり(過伸展)曲がったり(過屈曲)することで、筋肉や筋膜に炎症が起ったり、神経が損傷したりする状態をいいます。

身体がむちのようにしなることで発症するため、「むちうち」と呼ばれることも多いけがです。

事故の衝撃で身体がしなった場合、腰だけでなく首もむちうちになることが多いです。

受傷部位である腰や首の痛みに加え、神経が傷つくことで手足のしびれ頭痛めまい吐き気などの症状が現れることもあります。

むちうちの症状

受傷後、時間がたってから症状が強くなることがあるのも、腰椎捻挫の特徴です。

「事故の後から腰が痛いけれど、それほどひどくはないし事故とは関係ないかもしれない」と決めつけず、念のため整形外科を受診しましょう。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板とは、腰椎の椎骨(腰椎を構成するブロック状の骨)と椎骨の間でクッションの役割を担っているものです。

腰椎椎間板が変性し、椎間板内にある髄核というゲル状の組織が飛び出してしまっている状態を、椎間板ヘルニアといいます。

腰椎椎間板ヘルニアによって髄核が外に飛び出していることがわかるMRI画像

出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/07/Lagehernia.png

腰椎捻挫の結果、腰椎椎間板ヘルニアが生じている場合、下肢のしびれや痛みといった症状がでることがあります。

また、髄核が外に飛び出して神経が圧迫されると、腰・脚の痛みやしびれ感覚の喪失などが引き起こされます。

あまりにも痛みがひどい場合は、保存療法として痛む部位の神経付近に麻酔薬を注射し、痛みを取ってもらう「神経ブロック注射」も可能です。

「放っておけばそのうち治るのでは」と放置して症状が悪化すると手術が必要になる恐れがあります。

そのまま痛みやしびれが後遺障害として残って日常生活に支障をきたす可能性があるため、我慢せずにきちんと治療を受けるようにしましょう。

交通事故でヘルニアを負った方は、ヘルニアの後遺症がどんな後遺障害認定を受ける可能性があるのかを解説した記事『交通事故による椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症で後遺症認定される?』もお読みください。

腰椎損傷

腰椎損傷とは、脊椎(背骨)の腰部分(腰椎)を骨折するなどして損傷した状態のことです。

例えば交通事故の衝撃で強く尻もちをつくと、腰椎の椎骨がつぶれる圧迫骨折が発生することがあります。

腰椎損傷では痛みしびれといった症状が出ることがあり、立ち上がったり起き上がったりといった動作に支障が出る場合もあるでしょう。

また、腰椎のなかには脊髄(神経の束)が通っていますが、圧迫骨折などで変形した骨が脊髄を傷つけることがあります。

こうした場合は、麻痺のような運動機能障害体温調節機能・代謝機能の障害などが発生する可能性があります。

交通事故後に腰痛があるときにすべきこと

交通事故後に腰痛を感じる場合は、以下の流れで対応しましょう。

整形外科を受診する

事故から日がたたないうちに、早めに受診しましょう。

診断書をもらい、警察に提出する

交通事故が人身事故として処理されます。

医師の指示に従い、適切に通院する

通院頻度が不適切だと、慰謝料が減額される可能性があります。

治療終了後は、後遺障害認定や示談交渉をする

後遺障害認定されれば、後遺障害慰謝料・逸失利益を請求できます。
示談成立後、慰謝料や賠償金が支払われます。

それぞれのフェーズでの注意点を解説します。

(1)整形外科を受診する

交通事故後に腰痛があり、腰椎捻挫などが疑われる場合は、まず整形外科を受診しましょう。

事故から日が経つと、「事故による腰痛ではないのではないか」と疑われやすくなるため、腰痛を感じたら早めに受診してください。

なお、整骨院や接骨院への通院を希望する人もいますが、最初は整形外科へ行くことが重要です。

整骨院・接骨院の施術は厳密には医療行為ではありません。そのため、最初から整骨院・接骨院に通うと以下のようなデメリットが生じます。

  • 診断書が作成されず、事故でケガをしたことを証明できない
  • MRI検査やCT検査ができず、ケガの把握が正確にできない場合がある
  • 整骨院や接骨院への通院は必要性が疑われやすく、慰謝料・治療費が減額されることがある

整骨院・接骨院で治療や施術を受けたい場合には、事前に医師の許可を得ましょう。

他にも整骨院・接骨院に通う際の注意点はあるので、関連記事『交通事故で整骨院に通院するには?慰謝料・治療費などへの影響は?』にてご確認ください。

(2)診断書をもらい、警察に提出する

整形外科で診断書を作成してもらったら、警察に提出します。これにより、交通事故が人身事故として処理されます。

診断書を提出せず、物損事故として処理されてしまうと、人身被害に関する損害(治療費や慰謝料など)について、保険金請求や賠償請求がスムーズに進まないおそれがあります。

一度物損事故として処理されていても、診断書を出せば人身事故への切り替えが可能です。

事故から日がたち、腰痛と事故との関連性が疑われやすくなる前に、人身事故としての届け出もしておきましょう。

関連記事『物損から人身への切り替え方法と手続き期限!切り替えるべき理由もわかる』も参考になるので、合わせてご覧ください。

(3)医師の指示に従い、適切に通院する

治療が始まったら、基本的には医師が治癒(完治)または症状固定(後遺症が残った)と判断するまでは治療を続けてください。

医師の指示よりも低い頻度で通院したり、途中で通院が途切れたりすると、治療費の一部が補償されなかったり、慰謝料が減額されたりすることがあります。

通院頻度については関連記事『交通事故の被害者は毎日通院した方がいい?通院頻度や期間と慰謝料の関係』にて詳しく解説しています。

(4)治療終了後は、後遺障害認定や示談交渉をする

治療が終了した後は、腰痛が完治したなら示談交渉、完治せず症状固定と診断されたなら示談交渉の前に後遺障害認定を受けます。

後遺障害認定とは、交通事故で残った後遺症に対して、「後遺障害等級」が認定されることです。

後遺障害認定を受ければ、等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。

  • 後遺障害慰謝料:後遺障害が残ったことによる精神的苦痛を補償するもの
  • 逸失利益:後遺障害による労働能力の低下で減ってしまう、生涯収入を補償するもの

後遺障害認定が終われば、加害者側との示談交渉です。腰痛での後遺障害認定や示談交渉については、本記事内で詳しく解説します。

腰椎捻挫(腰痛)は後遺障害認定される?

交通事故による腰椎捻挫などで腰痛が残った場合、後遺障害12級または14級に認定される可能性があります。

ただし、認定を受けるには損害保険料率算出機構という機関の審査を経なければなりません。

どのような基準を満たせば認定されるのか、審査の際にはどのような対策を取ればよいのか解説します。

なお、腰椎圧迫骨折で後遺症が乗ったケースについては『交通事故による腰椎圧迫骨折が引き起こす後遺症は?慰謝料はいくらもらえる?』をご覧ください。

12級か14級に認定の可能性あり

腰椎捻挫で腰痛が後遺症として残った場合、「神経症状」として後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。

腰椎捻挫・腰痛で認定されうる後遺障害等級

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

12級13号の「頑固な神経症状」とは、レントゲン写真やMRI画像、CT画像などの医学的所見から、症状の存在・程度が認められるものを指します。

一方、14級9号の「神経症状」とは、医学的所見は乏しいものの、神経学的検査などから痛みなどの神経症状が残っていると判断するのが妥当なもののことです。

ここからは腰椎捻挫に特化したポイントを解説しますが、後遺障害認定手続きの流れや一般的なポイントついて詳しく知りたい場合は、『交通事故で後遺障害を申請する|認定までの手続きの流れ、必要書類を解説』の記事をご覧ください。

12級の認定を目指す際のポイント

12級13号に認定されるには、以下の点を満たしていることを証明しなければなりません。

12級13号認定のポイント

  • レントゲン・CT・MRI画像などの他覚的所見で損傷が確認できる
  • 事故直後から症状固定までの自覚症状の訴えに一貫性がある
  • 通院期間が6ヶ月以上におよぶ

たとえば、腰椎捻挫によって神経が圧迫されていることがわかる画像があれば、12級13号の認定に有利になる可能性があります。

画像検査の中でもMRI靭帯や椎間板、筋肉などの異常を写すのが得意なので、腰椎捻挫に適していると言えるでしょう。

なお、事故直後から時間に経過によって症状が変わっている場合は、「交通事故によるケガは途中で完治しているでは?」と疑われやすくなります。

よって、診断書を書いてくれる医師には、症状が一貫していることを明確に伝えておきましょう。

最後に、通院6ヶ月未満で症状固定となったものは、後遺障害認定するほどではないと判断されがちです。治療は適切な頻度で6カ月以上継続しましょう。

関連記事『後遺障害14級9号の認定基準と慰謝料・逸失利益|認定されない理由と対処法』では、後遺障害14級9号と12級13号認定の違いをはじめ、神経症状で等級認定を受けるためのポイントをまとめています。

14級の認定を目指す際のポイント

14級9号は、CT・MRI画像などの他覚的所見が乏しいものの、以下のような事実から「神経症状の存在が医学的に説明可能」といえる場合に認定される可能性があります。

14級9号の認定ポイント

  • 事故状況から後遺障害が生じる可能性があるといえる
  • 事故直後から症状固定までの自覚症状の訴えに一貫性があり、不自然な症状ではない
  • 事故後に腰痛が原因で生活が変化したことを訴える
  • 6ヶ月以上(月10日程度)、整形外科に継続して通院している
  • 神経学的検査(患部に刺激を与えたときの反応を確認する検査)の結果が陽性で、事故前より腰部の動きが制限されている

事故状況から後遺障害が生じる可能性があるといえることは、事故発生状況報告書医師の意見書で主張しましょう。

症状の一貫性や腰痛による生活の変化は、後遺障害診断書の自覚症状欄や、日常生活報告書に記載します。

例えば後遺障害診断書の自覚症状欄は、以下のように生活への影響も合わせて書くことがポイントです。

後遺障害診断書の書き方例

  • 常時、腰の痛みがある。
  • 自転車に乗る際、悪路や登坂を走行すると姿勢が悪くなって腰に強い痛みが走るので、遠回りになるが平らな道を走行せざるをえなくなってしまった。
  • 飼い犬の散歩をする際、犬に引っ張られると腰が痛むので、コルセットを着けて散歩に行かなければならなくなってしまった。

関連記事『後遺障害診断書とは?もらい方と書き方、自覚症状の伝え方を解説』も参考になります。

神経学的検査にはさまざまなものがあり、具体的な症状や程度によっても受けるべきものが違う場合があります。

後遺障害認定に精通した弁護士であれば、過去の類似事例や専門知識から書類の書き方や受けるべき検査についてのアドバイスが可能です。

無料相談を実施している事務所もあるので、ぜひご活用ください。

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認定結果に納得がいかないなら異議申立てを

後遺障害認定の結果に納得がいかない場合には、審査機関である損害保険料算出機構に対して異議申し立ての手続きを行うことが可能です。

もっとも、認定結果がどのような理由で間違っているのかを適切に説明する必要があるため、異議申し立てにより納得のいく結果を得ることは簡単でありません。

そのため、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

異議申し立ての手続きについて詳しく知りたい方は『後遺障害の異議申し立てを成功させる方法と再申請の流れ!失敗や納得できない結果への対策』をご覧ください。

腰椎捻挫(腰痛)で請求できる交通事故慰謝料

交通事故によって腰椎捻挫となった場合には、完治または症状固定となるまでの治療期間に応じて入通院慰謝料を請求することが可能です。

また、後遺障害等級に認定されれば、後遺障害慰謝料の請求も可能です。

  • 入通院慰謝料:腰痛による苦痛や治療の中で生じる精神的苦痛を補償するもの
  • 後遺障害慰謝料:後遺障害が残ったことで生じる精神的苦痛を補償するもの

また、慰謝料以外にも請求できる賠償金があるので、合わせてみていきましょう。

(1)入通院慰謝料

交通事故で腰椎捻挫を負った時の入通院慰謝料の相場は、通院1ヶ月で19万円、通院3ヶ月で53万円です。通院6ヶ月と長期になると、89万円程度が相場でしょう。

もっとも、この慰謝料相場は過去の判例に基づく基準(弁護士基準)に沿ったものであり、相手の保険会社が提案してくれる金額ではありません。

相手の保険会社は独自の基準(任意保険基準)に基づく金額を提示してきます。任意保険基準は各社で異なり非公開ですが、国が定める最低限の基準(自賠責基準)に近いことも多いです。

弁護士が間に入って示談交渉を行った場合、以下のような相場額の入通院慰謝料を支払ってもらえる可能性が高まります。

腰椎捻挫の入通院慰謝料相場

通院入通院慰謝料
1ヶ月19万円
2ヶ月36万円
3ヶ月53万円
4ヶ月67万円
5ヶ月79万円
6ヶ月89万円

ただし、治療期間中に実際に通院治療を受けた日数が明らかに少ない場合、慰謝料の減額対象となりうる可能性があるので注意しましょう。

慰謝料の観点からいえば、通院の頻度は3日に1回を目安と考えておいてください。

骨折による腰痛といった場合の慰謝料相場額は異なる

なお、「腰椎圧迫骨折・腰椎破裂骨折を負っている」「腰椎捻挫以外にも大きなケガを負っている」など重傷の場合は、以下の重傷の場合の相場表をご覧ください。

重傷の場合の入通院慰謝料相場

通院入院0入院
1ヶ月
0ヶ月0万円53万円
1ヶ月28万円77万円
2ヶ月52万円98万円
3ヶ月73万円115万円
6ヶ月116万円149万円
9ヶ月139万円170万円
12ヶ月154万円183万円

表は縦列と横列の交わる部分が金額となります。腰椎捻挫によって通院1月、入院なしの場合、入通院慰謝料は28万円です。

交通事故の慰謝料の相場額を計算する際の基準を弁護士基準とといいます。

関連記事『交通事故の慰謝料は弁護士基準(裁判基準)で請求』を読めば、弁護士基準による慰謝料の詳しい計算方法、弁護士基準の重要性を知ることが可能です。

関連記事では骨折に至った場合の慰謝料や後遺症について解説しているので、あわせてお読みください。

(2)後遺障害慰謝料

腰椎捻挫による腰痛が後遺障害に該当する場合の後遺障害慰謝料相場額は、12級13号で290万円14級9号認定で110万円です。

ただし、相手方は相場より低額な自賠責基準に近い金額を支払うと主張してくることが多いでしょう。

交通事故の示談時は、相場額である弁護士基準の金額に近づける交渉が必要です。

腰椎捻挫・腰痛の後遺障害慰謝料相場

自賠責基準弁護士基準
14級9号32万円110万円
12級13号94万円290万円

(3)その他の賠償金

交通事故で腰椎捻挫を負った場合、慰謝料のほかに以下の賠償金も請求できることが多いです。

  • 治療費:基本的に実費を請求できる
  • 休業損害:1日あたりの収入×休業日数を請求できる
  • 逸失利益:後遺障害認定された場合に認定できる

中でも高額化しやすいのは、逸失利益です。

後遺障害逸失利益は、後遺障害によって労働能力が低下し、減ってしまう生涯収入を補うものです。

労働能力が〇%(労働能力喪失率)下がった状態で、〇年間(労働能力喪失期間)働く場合の減額分」とお考えください。

具体的な計算方法は、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」です。

後遺障害逸失利益の計算方法

基礎収入は、基本的に事故前年度の年収になります。

労働能力喪失率は、12級で14%14級で5%が目安となりますが、実際の職業への影響度なども踏まえて変動する場合があります。

労働能力喪失期間も、ケースバイケースですが、腰椎ねんざの場合、12級で10年間、14級で5年間が相場となることが多いでしょう。

年収500万・14級の腰痛(例)

5,000,000円×5%×5年に対応するライプニッツ係数(4.5797=1,144,925円

年収250万・12級の腰痛(例)

2,500,000円×14%×10年に対応するライプニッツ係数(8.5302=2,985,570円

後遺障害逸失利益の計算方法について、もっと詳しく知りたい方は『交通事故の逸失利益は?計算式や早見表・計算機で解説【職業別の計算も】』をご覧ください。

以下の計算機でも、大まかな相場を確認できます。

腰椎捻挫で適切な慰謝料・賠償金を得るには?

腰椎捻挫で適切な慰謝料・賠償金を得るには、弁護士を立てた示談交渉が重要です。

先述の通り、加害者側は相場よりも低い金額を提示してくることが多いです。しかし、加害者側の任意保険会社は交渉のプロであり、増額を求めるのは容易ではありません。

弁護士が示談交渉を行えば、弁護士基準で算出した額の慰謝料を請求することが可能なので、慰謝料の増額をお望みの場合は弁護士に依頼することをおすすめします。

「慰謝料計算機」を使えば、弁護士基準で計算した時の金額を自動計算可能です。登録不要ですぐに使えます。

交通事故で持病の腰痛が悪化した場合の慰謝料は?

もともと持病として腰痛があり、交通事故によって悪化した場合でも、慰謝料の請求は可能です。

しかし、慰謝料が通常よりも減額されることがあるなど注意点もあるので、解説していきます。

入通院慰謝料も後遺障害慰謝料も請求可能

交通事故で持病の腰痛が悪化した場合でも、慰謝料の請求は可能です。

交通事故が原因で腰痛が悪化したのであれば、それは事故による被害であり、加害者が補償すべき損害といえるからです。

事故後に腰痛が悪化したことを証明するには、事故後の治療記録だけでなく事故前の治療記録なども必要です。

示談交渉の前にはこうした資料も用意しておきましょう。

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「素因減額」で慰謝料が減る可能性がある

交通事故前から腰痛やヘルニアの症状があっても、慰謝料や賠償金の請求は可能です。ただし、「素因減額」によって減額される可能性があります。

素因減額とは、被害者がもともと持っていた既往症などが交通事故の損害に影響している場合、その影響分を慰謝料・賠償金から差し引くことです。

たとえば、事故状況から考えれば通院1ヶ月で終わる程度の腰痛になるはずだったところ、被害者がもともと腰痛持ちだったために通院が3ヶ月になったとします。

この場合、通院3ヶ月分の損害をすべて加害者が補償するのは公平ではありません。よって、慰謝料や賠償金が減額されるのです。

素因減額については、関連記事『素因減額とは?減額されるケースや判断基準がわかる【判例つき】
』で詳しく解説しています。

素因減額について交渉する際のポイント

素因減額について加害者側ともめた場合は、弁護士に相談することが重要です。

素因減額では、「どのような素因でどの程度の減額になるか」について厳密な決まりがあるわけではありません。

そのため示談交渉次第となり、専門知識や交渉力の問題で被害者側は不利になりがちです。

弁護士であれば、過去の判例や類似事例などを根拠として、なるべく素因減額が少なくなるよう交渉できます。

必要以上に慰謝料・賠償金が減額されるのを防ぐため、ぜひ弁護士にご相談ください。

腰椎捻挫(腰痛)の慰謝料に関する裁判例

こちらでは、交通事故で腰痛を発症した場合の慰謝料認定事例をご紹介します。

事故で腰椎捻挫になった事例(後遺障害14級)

コンビニ駐車場事故で慰謝料229万円認定事例

横浜地判令元・11・21(平成29年(ワ)5539号・平成30年(ワ)第1430号)

自転車乗車中の被害者が、コンビニエンスストアの駐車場で、後退してきた自動車に衝突され、腰椎捻挫、頚椎捻挫、右肩関節打撲捻挫等の傷害を負い、1年間の通院治療が必要になった事故。適切な慰謝料額が争点となった。


裁判所の判断

「…症状固定までに1年間の通院治療を要したところ、その精神的苦痛に対する慰謝料は119万円が相当」「損害保険料率算出機構は、併合第14級との等級認定をしており(中略)、その精神的苦痛に対する慰謝料は110万円が相当である。」

横浜地裁 令和1.11.21
  • 入通院慰謝料:119万円(1年間の通院治療期間を考慮)
  • 自賠責保険料率算出機構は、被害者の頚部通、腰痛、右肩関節痛等の症状について、後遺障害14級9号を認定しており、裁判所もその判断を踏襲。
  • 後遺障害慰謝料:110万円(14級相当)
慰謝料

合計229万円

この事案は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)」(いわゆる「赤い本」)で紹介されている【弁護士基準】の慰謝料相場どおりの判断となっています。

事故で腰痛が悪化した事例(後遺障害14級)

80歳女性の腰痛慰謝料認定事例

横浜地判平29・8・23(平成28年(ワ)1073号)

信号待ちで停車中の車両に追突された80歳女性が、頸椎捻挫・腰椎捻挫・胸椎圧迫骨折を負った事故。被害者は事故前から腰痛治療を受けていたが症状は改善しており、「コルセットを外してリハビリ開始」と言われるほど回復していた。しかし事故後は玄関の30cm段差を介助なしで上り下りできず、一人で外出も不可能になった。既往症のある高齢者の慰謝料算定が争点となった。


裁判所の判断

「…事故前は症状が改善してきていたとはいえ、本件事故前にも腰痛等を有していたものであり、これが原告の後遺症にも影響していたと考えられる」

横浜地裁 平29.8.23
  • 通院慰謝料105万円(実通院日数110日、既往症考慮)
  • 後遺障害慰謝料100万円(14級9号、既往症により減額)
  • 既往症の影響は慰謝料算定で考慮済みとして素因減額は認めず。一方、「非常に大きな精神的苦痛」として生活の質の低下を重視
損害賠償額

合計205万円

本裁判例の慰謝料は、本件事故前の腰痛の治療状況等も勘案されたためか、赤い本の相場をやや下回る金額となっています。

交通事故による腰痛に関する疑問3選

交通事故で腰椎捻挫となり、腰痛が生じた場合に役立つ知識について解説します。

Q1.軽い追突事故でも腰痛は生じる?

予期せぬ追突事故の際には体が防御態勢をとることができないので、追突事故の衝撃により腰を痛めてしまう可能性は十分にあるといえるでしょう。

そのため、軽い追突事故であっても、事故後はなるべくすぐに病院へ行き、異常がないかどうかを確認してください。

Q2.軽い腰痛でも整形外科に行くべき?

軽い腰痛でも整形外科にはいくべきです。

交通事故との因果関係を否定されてしまうと、治療費や慰謝料を請求できなくなる恐れもあるので、交通事故発生後は、できるだけ早めに整形外科を受診しましょう。

腰椎捻挫や腰椎椎間板ヘルニアは、交通事故が発生してしばらくしてから症状が強く出ることもあります。

症状が出てから診断を受けると、交通事故の発生日と診断日に開きが生じるため、交通事故と症状の因果関係を疑われる恐れがあります。

少しでも痛みがあるなら、病院を受診して、部位と症状を医師に知らせることが大切です。

カルテに記録をしてもらえば、交通事故から症状発生まで日にちが開いたとしても、因果関係を主張しやすくなります。

まだ治療中という方は、関連記事『交通事故の治療の流れ|整骨院と整形外科のどちらに通うのが正解?』もお読みのうえ、完治に向けて治療を続けてください。

Q3.治療費打ち切りや治療終了を迫られたらどう対処すればいい?

治療費の打ち切りや治療終了を迫られた場合、まずは保険会社を説得し、理解を求めます。

腰椎捻挫で通院していると、通院3ヶ月目あたりで相手方の任意保険会社から「任意保険から支払っている治療費を、今月末で打ち切ります」といように、治療費の打ち切りを打診されることがあります。

保険会社が治療費打ち切りを打診する理由

  • これ以上続ける意味があるかどうかわからない治療への保険金支払いを抑えたい
  • 治療期間が長くなれば、入通院慰謝料も高額になる
    など

治療費の打ち切りを打診された時点で治療が終わっていれば特に問題はないのですが、打ち切り後もまだ痛みが続き、継続して治療を受けたいと思うケースもあるでしょう。

保険会社を説得しても難しい場合には、医師の意見をもらい治療期間の延長交渉をおこなうか、自身で立て替えて治療を続けるという対処法も考えられます。

医師の意見・延長交渉

まだ痛みが続くことを主治医に相談し、治療継続の必要性があることを判断してもらいましょう。

症状固定を迎えたかどうかを判断するのは任意保険会社ではなく、医師の仕事です。

そのため、症状固定するであろう時期を医師に示してもらえば、その時期まで治療費の支払い期間を伸ばせる可能性が高まります。

自費で立て替え・後から請求

医師の意見をもっても治療費の打ち切りを止められなかった場合には、被害者側で治療費を立て替えて治療を受け続け、後から相手方の任意保険会社に治療費を請求します。

必要なら弁護士にサポートを求める

医師や任意保険会社との交渉を被害者自身で行うことに不安を覚える方もいるでしょう。

そのような場合、交通事故案件の経験豊富な弁護士に交渉を依頼すれば、被害者の代わりに弁護士が交渉します。

弁護士であれば適切な交渉を行えるため、治療費の支払い期間を延長できる可能性が高まるでしょう。

治療費支払いの打ち切りを打診されてお困りの方はぜひアトム法律事務所の無料相談をご利用ください。治療費の打ち切りを延長しうるのか、お話をお伺いして見解をお伝えします。

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交通事故での腰痛の後遺障害認定・慰謝料請求はアトムに相談!

交通事故により腰椎捻挫となり腰痛が生じた場合には、後遺障害認定や示談交渉について弁護士に相談することがポイントです。

専門知識や交渉力のある弁護士に依頼することで、より良い結果が期待できます。

さらに、弁護士に依頼すると、賠償金の増額や後遺障害認定のサポート以外にも以下のようなメリットが生じます。

  • 相手方への対応を弁護士に任せることで治療に専念できる
  • 示談交渉がもつれて裁判になっても安心
  • 早期の解決が可能となる

ここでは、弁護士費用を抑える方法弁護士による慰謝料増額事例などを紹介します。

弁護士費用特約で費用の負担はおさえられる

弁護士に依頼する費用が気になる方は、弁護士費用特約が利用できないかどうかを確認してください。

弁護士費用特約を利用すれば弁護士への相談料や依頼により生じる費用を保険会社に負担してもらえるため、多くのケースで自己負担せずに弁護士へ相談・依頼を行うことが可能となります。

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約について詳しく知りたい方は『交通事故の弁護士特約とは?使い方・使ってみた感想やデメリットはあるかを解説』の記事をご覧ください。

交通事故による腰痛の慰謝料増額事例3選

通常、治療が終わり損害額が確定したタイミングから示談交渉を始めることになります。

腰椎捻挫治療後の示談交渉を弁護士に依頼した結果、当初提示されていた金額よりも賠償金を増額できた事例を3つみていきましょう。

腰痛の解決事例(1)42万円から96.9万円に増額・専業主夫

被害者の方は専業主夫の方でした。専業主夫でも増額が認められるのか不安を抱いていましたが、弁護士による交渉の結果、当初の提示額から50万円以上の増額に成功しました。

事故発生年月2018年9月
受傷内容腰椎捻挫・肘の打撲
後遺障害等級非該当
当初の提示額420,000円
交渉後の賠償額969,300円

腰痛の解決事例(2)143万円から274万円に増額・アルバイト男性

被害者の方はアルバイト勤務の男性でした。一時停車中に後ろから追突されて頸椎捻挫・腰椎捻挫を負い、後遺障害等級14級が認定された事案です。

当初は約140万円の賠償金額を提示されていましたが、弁護士による交渉の結果、2倍近い約270万円の賠償金を得ることができました。

事故発生年月2017年11月
受傷内容頸椎捻挫・腰椎捻挫
後遺障害等級14級
当初の提示額1,431,180円
交渉後の賠償額2,743,810円

腰痛の解決事例(3)77万円から160万円に増額・会社役員

被害者の方は会社役員の方です。役員職なので休業損害は一切出せない、と相手方の任意保険会社から言われていました。

しかし、仕事の内容などをまとめた主張書を相手方に提示したところ、休業損害の一部が認められ、賠償金額を増額することができたのです。

事故発生年月2017年9月
受傷内容頸椎捻挫・腰椎捻挫
後遺障害等級非該当
当初の提示額770,200円
交渉後の賠償額1,600,000円

このように、弁護士に交渉を依頼すれば賠償金を増額できるケースがあります。

そのため、「ただの腰椎捻挫だからきっと大して増額できない」と早々に諦めるようなことはせず、まずは弁護士に相談して増額の見込みがあるのかどうか確認してみましょう。

関連記事では、交通事故の慰謝料の基本をまとめています。慰謝料が増額されたり減額されるケースも解説していますので、慰謝料の全体像をつかみたい方は併せてお読みください。

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弁護士に依頼することで、慰謝料を含む賠償金の増額や、適切な後遺障害等級認定を受けることができます。

このようなメリットを得るためにも、まずは弁護士への相談を行いましょう。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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