通院5ヶ月|交通事故の慰謝料計算!むちうちの注意点も紹介
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5ヶ月間通院した場合の慰謝料の相場額は、重傷なら105万円、軽傷なら79万円です。
ケガが完治せずに後遺症が残った場合には、後遺障害等級の認定を行うべきでしょう。
この記事では、5ヶ月間通院した場合における慰謝料相場額の算定方法や、おすすめの後遺障害認定の申請方法も解説しています。
加害者側から適切な金額の慰謝料を請求するには、相場の金額や算定方法を知っておく必要があるため、交通事故により通院が必要となった方は是非一度ご覧ください。
慰謝料の正確な金額は、実際の通院日数により細かな違いが生じます。いち早く自身の慰謝料相場を知りたい方には、以下の慰謝料自動計算機もおすすめです。
目次
5ヶ月通院の慰謝料相場額は重傷で105万円、軽傷で79万円
交通事故のケガを治療するために5ヶ月通院した場合の慰謝料相場額は重傷なら105万円、軽傷なら79万円です。
軽傷とは、むちうち症や軽い挫創・打撲などのケガのことであり、それ以外のケガは重傷となります。
重傷 | 軽傷 |
---|---|
105万円 | 79万円 |
ちなみに、入院していた場合は慰謝料がさらに高額になります。
慰謝料とは、被害者が受けた精神的苦痛を和らげるために支払われる金銭的補償のことです。
入院・通院を行ったことを原因とする慰謝料を入通院慰謝料といい、治療費や通院交通費などの損害とは別に認められます。
慰謝料の種類は複数あり、入通院慰謝料以外には後遺障害慰謝料、死亡慰謝料があります。
後遺障害慰謝料は後遺障害認定を受けた場合、死亡慰謝料は死亡事故の場合に支払われるものです。
慰謝料は誰が計算するかで金額が違う
慰謝料の金額は、誰が計算を行うのかで異なってくるため、簡単には相場の金額を得ることができません。
立場ごとの計算基準や、具体的な計算方法について解説を行います。
慰謝料の計算基準は3つある
交通事故における慰謝料の計算基準は、以下の3つがあります。
慰謝料の計算基準
- 自賠責基準
自賠責保険会社が慰謝料を計算する際に利用する基準 - 任意保険基準
加害者側の任意保険会社が慰謝料を計算する際に利用する基準 - 弁護士基準(裁判基準)
弁護士や裁判所が慰謝料を計算する際に利用する基準
3つの計算基準の内、自賠責基準が最も低額となり、弁護士基準が最も高額かつ相場に近い金額となります。
では、誰がどのような計算基準を利用するのか、具体的な計算方法などについて、交通事故における立場ごとに解説を行います。
加害者側の自賠責保険会社が計算する場合
加害者側の保険会社には、自賠責保険会社と任意保険会社の2つがあります。
自賠責保険とは
自賠責保険は車1台ごとに加入が義務付けられています。
支払い基準は自動車損害賠償保障法という法令で定められており、限度額が存在することから最低限の金額しか補償されません。
自賠責保険は自賠責基準にもとづいた慰謝料額について支払いを行います。
そのため、相手が自賠責保険にのみ加入している無保険の状態では、被害者に生じた損額が適切に支払われない恐れがあります。
自賠責保険だけでは損害賠償金が不足するケースは多々あり、被害者の方が泣き寝入りしてしまうことも起こりえるでしょう。無保険車との交通事故は、早めに弁護士にご相談下さい。
自賠責保険の慰謝料は日額4300円
自賠責保険から支払われる入通院慰謝料は日額4300円、2020年3月31日以前に起こった事故の場合は日額4200円です。次の2つの計算式があります。
自賠責基準の計算式
- [入院日数 + (実通院日数 × 2)]× 4300円
- [治療期間]× 4300円
※慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して決まります。
2つの式のうち、金額が少ない方を入通院慰謝料として採用します。
計算例|通院5ヶ月、実通院日数60日の場合
自賠責基準の計算式
- [0 + (60 × 2)]× 4300円 = 51万6000円
- [ 150 ]× 4300円 = 64万5000円
2つの計算式を比較して金額の少ない方が入通院慰謝料となりますので、通院5ヶ月、通院日数60日の入通院慰謝料は51万6000円です。
そのため、通院5ヶ月の被害者が自賠責保険に入通院慰謝料を請求すると最大でも64万5000円までしか支払ってもらえず、相場の金額よりも低額となります。
もし入院していれば、1の計算式の結果は変わりますので注意してください。
入院・通院日数の数え方の例外
入院日数や実通院日数は、実際に入院したり、病院に通って治療を受けた日のことです。
しかし、例外に当てはまる場合は、実際よりも多い入院日数・通院日数が認められる可能性があります。
- 実際の通院日数に7日加算
自賠責指定の診断書に、治癒見込、継続、転医、中止と記載 - 実際より多い日数が認められる可能性あり
幼児の育児目的で母親が退院を早めた場合
仕事のためにやむを得ず退院を早めた場合
入院の待期期間
ギプス固定などで安静を要する自宅待機期間
自賠責保険の支払基準では通院日数が極めて重要です。
正確に数えることが、正当な慰謝料を受けとることにつながります。
加害者側の任意保険会社が計算する場合
任意保険とは
任意保険とは、加害者が自由意思で加入する自動車保険のことです。
任意保険は、任意保険会社が独自に定めた任意保険基準にもとづいて慰謝料額の計算を行います。
任意保険会社は、基本的に保険加入者に対して示談代行サービスを行っているでしょう。
そのため被害者は加害者と直接交渉するのではなく、任意保険会社の担当者とのやり取りが多いです。
任意保険会社の慰謝料計算方法
任意保険基準は公開されていません。
しかし、自賠責基準とほぼ同水準か、少し上回る程度の金額になることが多いでしょう。
参考程度に、かつてすべての任意保険会社が一律に採用していた旧統一基準をご紹介します。なかには現在も旧統一基準に則っているケースもあります。
表は、縦軸が通院月数、横軸が入院月数を示しています。
いずれも月は30日単位です。
上記の基準によると、通院5ヶ月の入通院慰謝料額は約56万7000円となります。
弁護士に計算を依頼する場合|相場の金額を計算
弁護士に慰謝料の計算を依頼すると、弁護士は、弁護士基準で慰謝料額を計算します。
弁護士基準は裁判で利用されることから裁判基準ともいい、慰謝料が最も高額になる計算方法です。
裁判基準の慰謝料計算方法
裁判基準の慰謝料計算は自賠責基準のような日額ではなく、慰謝料算定表を使います。算定表は2パターンあり、重傷用と軽傷用に分かれます。
算定表は、赤い本の別表でも確認することが可能です。
赤い本とは、民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準という書籍のことです。見た目が赤いことから赤い本の愛称があります。
裁判基準の計算方法や過去の交通事故に関する裁判結果をまとめた書籍です。
基本的には重傷用の算定表を使いますが、画像検査の結果から認定できないむちうち・挫創・打撲などの場合には軽傷用の算定表を使ってください。
算定表は、通院と入院の月数が交わるところを入通院慰謝料とします。
1月は30日単位なので、通院5ヶ月の場合は通院150日ということです。
入通院慰謝料 算定表の見方
- 入院1ヶ月、通院5ヶ月
重傷:141万円、軽傷:105万円 - 入院なし、通院5ヶ月
重傷:105万円、軽傷:79万円
端数が出たときの計算例を考えてみましょう。
- 重傷で入院なし、通院155日。
通院日数が5ヶ月と5日となり、端数の5日分は通院6ヶ月目にあたります。
そこで、通院6ヶ月の慰謝料から通院5ヶ月の慰謝料を引き算します。
すると通院6ヶ月目は11万円と分かります。
11万円÷30=約3666円となるため、5日分は1万8330円です。
通院5ヶ月分の慰謝料105万円と合わせて、106万8330円となります。
通院155日のとき、自賠責基準では最大66万6500円です。
裁判基準のほうが約40万円も高額になります。
慰謝料が増額・減額される背景
慰謝料が相場よりも高くなる場合
慰謝料は、被害者が負った精神的苦痛に対して支払われます。
そのため、精神的苦痛が大きいと判断されると、支払われる慰謝料額が増額する可能性があるのです。
被害者の精神的苦痛が大きいと判断される状況には、次のようなケースがあります。
加害者 | 具体例 |
---|---|
悪質な態度 | 被害者への罵詈雑言、虚偽の話を繰り返す、被害者に一切謝罪しない |
異常な運転 | 無免許、信号無視、過度なスピード違反、飲酒、薬物 |
また、以下のような事情も、慰謝料額に考慮される可能性があります
- 被害者が寝たきりや意識不明の状態に陥った
- 被ったケガがきわめて深刻で重大
- 胎児が死亡してしまった
- 兄弟・姉妹が事故を目撃してしまい精神的苦痛を受けた
どのような事情が慰謝料の増額事由となるのか、増額事由があるとして具体的な増額額がいくらになるのかは交通事故ごとの事情により異なるため、専門家である弁護士に確認を取ってみると良いでしょう。
慰謝料が相場よりも低くなる場合
慰謝料は、相場より低くなる時があります。たとえば次のような時には注意が必要です。
素因減額 | 症状の発現・悪化が被害者自身に由来しているとき |
通院頻度が少ない | 治療期間に対する実通院日数が少ないとき |
素因減額
素因減額とは、被害者が元々持っていた素質・気質によって症状が表れたり、悪化したと考えて、慰謝料相場から一定割合を減額する考え方です。
一般的に素因は被害者の精神的傾向である心因的要因と、従来の疾患や身体的特徴などの体質的要因に分類されます。
素因減額の基本的な情報に関しては『素因減額とは?減額されるケースや判断基準がわかる【判例つき】』の記事をご確認ください。
素因減額の問題点としては、事故の背景によって素因減額される場合・減額されない場合があることです。
被害者の心因的要因について、素因減額された場合、素因減額されなかった場合の判例をご紹介します。
判例 | 最判昭63.4.21 |
---|---|
概要 | 外傷性頚部症候群の症状発症後に10年以上の入通院を継続。 |
結論 | 事故後3年の損害のうち4割程度に減額された。 また、3年以降の損害については加害者に損害賠償責任がないと判断した。 被害者の賠償性神経症、回復意欲の欠如などの心因的要因が理由にあげられた。 |
この裁判では、被害者の特異な性格、心因的要因が症状の悪化と固定化を招いたと考えられ、慰謝料などの損害賠償額が大幅に減額されました。
一方で、心因的要因が影響している可能性を認めつつも、あくまで可能性にすぎないとして、素因減額されなかった裁判結果もあります。
判例 | 東京地判平27.3.31 |
---|---|
概要 | 頸椎捻挫、頭部外傷などで約1年2ヶ月半の治療後に、身体表現性障害による頭痛、めまい、吐き気(後遺障害14級)認定された主婦。身体表現性障害は被害者の心因的要因と指摘された。 |
結論 | 素因減額にあたらない。身体表現性障害は心因的要因の影響は可能性に過ぎず、事故によって通常発生する程度と範囲にとどまる。 |
身体表現性障害はストレスなどの心理社会的要因があるといわれているものの、必ずしも被害者の心理状況で引き起こされているといえないため、素因減額されずに慰謝料を受けとることができました。
素因減額については個別の事故の背景で判断されます。
ある程度の素因減額は避けられないケースもありますが、不当な素因減額は避けるべきです。
被害者の心因的・身体的な事情を理由に減額されてお困りの場合は、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
通院日数が少ない時
裁判基準で慰謝料を算定すると、慰謝料の相場は最も高額になります。
しかし、裁判基準の計算方法が記載されている民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準には、このような但し書きがあるのです。
通院が長期にわたる場合は,症状,治療内容,通院頻度をふまえ実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。
民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準
また、むちうちなどの軽傷である場合には、実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあるのです。
通院5ヶ月・実際に通院した日数が10日で、減額対象とされてしまったなら、実際の通院は約1ヶ月とみなされてしまいます。
重傷であれば本来の相場105万円でも約28万円程度に、軽傷であれば本来の相場79万円が約19万円程度まで減額されてしまうのです。
通院日数が少ないかもしれないとお悩みの方は、お早めに弁護士にご相談下さい。特に、30日あたりの通院日数が10日に満たない場合は、減額のリスクがあります。
通院日数と慰謝料の関連記事
治療から示談までの注意点を総まとめ
示談交渉において相場の慰謝料額を得るためには、治療方法や治療中に対応についても適切に行うことが必要です。
治療開始から示談交渉を行うまでの過程における対応について、特に注意すべき点を紹介します。
交通事故が発生した直後の段階における対応に関して知りたい方は、『交通事故にあったら初期対応の手順は?事故を起こしたらまずすること』の記事をご覧ください。
最初は必ず病院を受診
事故にあったらまずは病院を受診してください。
もし事故直後には異常がなくても、症状が後から表れることもありますので、ひとまずは整形外科の受診をおすすめします。
治療のために整骨院・接骨院を利用する人もいますが、まず最初の受診先としては整形外科にするべきです。
整形外科でレントゲン・MRI検査を受けて、本当に骨などに異常がないかを確認しておきましょう。
整骨院・接骨院の施術費は、病院の治療費のようにスムーズに認められるとは限りません。
きちんと補償を受けるためには、主治医から整骨院や接骨院の施術が必要であると認めてもらう、相手方の保険会社に利用を事前に申告するなどのコツがあります。
通院日数は少なくとも1ヶ月のうち10日以上
裁判基準により算出される相場額の慰謝料を受けとるには、通院頻度も大切です。
1ヶ月のうち10日以上の通院が望ましいとされています。
そのほかにも、漫然とした治療を受けないことも大切です。
例えば毎回湿布を貼るだけの治療が何ヶ月も続けば、本当に必要な治療なのか、もう治っているのではないか、と相手方に疑念を持たれかねません。
治療費の打ち切りは一度医師に相談
加害者側が任意保険に加入している場合には、任意保険会社が代わりに治療費の支払いを負担してくれることが多く、このような対応を任意一括対応といいます。
加害者側が任意保険に加入している場合には、任意保険会社が代わりに治療費の支払いを負担してくれることが多く、このような対応を任意一括対応といいます。
しかし、治療期間が長期に渡ると、これ以上な治療の必要性がないとして任意保険会社が治療費の負担を打ち切ることがあるのです。
加害者側の任意保険会社から治療費の打ち切り提案を受けた場合は、焦らず主治医に相談してください。
主治医が治療の必要性を判断し、治療が必要と認められた場合は、そのことを相手方に伝えましょう。
適正な時期に示談を開始
示談はすべての損害が確定してから行います。
間違っても事故直後や通院治療中、リハビリ中には示談を始めてはいけません。
適切な金額の算定ができず、妥当な内容とならない可能性が高いでしょう。
被害者に生じた損害別に、示談を開始できる時期をまとめました。
損害 | 示談開始時期 |
---|---|
ケガが完治した | 治療終了 |
後遺症が残った | 後遺障害認定結果の確定後 |
死亡した | お葬式または四十九日などの法要後 |
時効期間の経過に注意
損害賠償請求権には時効があるので、時効期間が経過するまでに請求をしなくてはなりません。
2020年4月の民法改正により、2017年4月1日以降に発生した交通事故については、人的損害の賠償を請求できる期限が5年間に延長されました。
しかし、すべての時効が5年間に延長されたわけではありません。
次の期限は3年間のまま延長されていませんのでご注意ください。
- 物損部分
- 相手方の自賠責保険への被害者請求
- 被害者自身の人身傷害保険への請求
慰謝料以外に請求すべきお金を整理
交通事故で被害者が被る損害は、慰謝料だけではありません。
慰謝料は精神的損害を対象としており、他にも財産的損害を請求することが可能です。
具体的には、治療費、通院交通費、車両の修理費、休業損害、逸失利益など多岐にわたる損害があります。
- 治療費
投薬代、手術代、入院代、入通院の交通費など治療に必要な費用全般を含む - 休業損害
ケガの治療により仕事ができなかったことで生じる減収に対する補償 - その他
介護費用、車いすや義足などの器具購入費等 - 逸失利益
後遺障害が原因で生じる将来の収入の減収に対する補償 - 修理費
この他に、代車費用などの物的損害も請求可能
慰謝料だけでなく、財産的損害も含めた金額を示談金として支払うよう請求するべきです。
示談金の相場・内訳を解説中
過失の存在や程度については客観的な根拠で対応
交通事故の慰謝料額を左右する重要な要素に過失割合があります。
過失割合とは、交通事故の損害に対して、加害者・被害者に生じる責任の割合のことです。
被害者の過失割合が大きくなるほど、受けとる金銭が減少することになり、過失割合に応じた減額を過失相殺といいます。
保険会社が提案する過失割合に納得がいかない場合は、安易に受け入れず、被害者自身が主張する過失を認めてもらう交渉が必要です。
交渉にあたっては、記憶に頼るのではなく、目撃者の証言やドライブレコーダーの記録など客観的な証拠を用意しなくてはなりません。
交通事故の過失割合について詳しく知りたい方は、以下の関連記事をお役立てください。事故のパターン別に基本の過失割合をご紹介します。
後遺障害認定の方法と補償金額
後遺症が残ったのなら後遺障害認定を
交通事故によるケガが完治せず、後遺症が残った場合には、後遺症の症状が後遺障害に該当するという後遺障害認定を受けましょう。
後遺障害認定を受けることで、後遺障害に基づいて生じる損害に対する損害賠償請求を行うことが可能です。
後遺障害認定の申請方法は、申請を加害者側の任意保険会社に行ってもらう事前認定と、申請を被害者自身で行う被害者請求の2つがあります。
申請方法は被害者請求がおすすめ!
後遺障害認定の申請は、手間はかかりますが、結果への期待度を高められる被害者請求を行うべきでしょう。
被害者請求とは、被害者自身で後遺障害認定申請の手続きを行うため、相手がの保険会社に手続きを任せる事前認定と比べると、被害者請求は手間がかかります。
しかし相手方の保険会社任せにせず、ご自身で工夫をして、希望する後遺障害等級の認定を目指せることが被害者請求の利点です。
弁護士に依頼すれば、被害者請求のサポートを受けることができます。
手続きに疑問や不安がある方は、弁護士と一緒に被害者請求で後遺障害認定を目指しましょう。
被害者請求のメリット
被害者請求で後遺障害認定をするメリットとして、後遺障害慰謝料を早く受けとれる点にあります。
被害者請求を行えば、自賠責基準の支払限度内において、示談を待たずに後遺障害慰謝料や逸失利益を受けとることが可能です。
後遺障害が認められた場合の慰謝料相場
後遺障害が認められた場合には、後遺障害慰謝料の請求が可能です。
後遺障害慰謝料の金額は、障害の程度に応じて認定される後遺障害等級ごとに異なります。
自賠責基準にもとづいた慰謝料額と、相場である裁判基準の慰謝料額は以下の通りです。
等級 | 自賠責* | 相場 |
---|---|---|
1級・要介護 | 1,650 (1,600) | 2,800 |
2級・要介護 | 1,203 (1,163) | 2,370 |
1級 | 1,150 (1,100) | 2,800 |
2級 | 998 (958) | 2,370 |
3級 | 861 (829) | 1,990 |
4級 | 737 (712) | 1,670 |
5級 | 618 (599) | 1,400 |
6級 | 512 (498) | 1,180 |
7級 | 419 (409) | 1,000 |
8級 | 331 (324) | 830 |
9級 | 249 (245) | 690 |
10級 | 190 (187) | 550 |
11級 | 136 (135) | 420 |
12級 | 94 (93) | 290 |
13級 | 57 (57) | 180 |
14級 | 32 (32) | 110 |
※単位は万円
()内の数字は2020年3月31日以前に交通事故が発生した場合に適用
最低でも100万円以上の後遺障害慰謝料が期待できるため、後遺障害が認められる可能性があるなら、後遺障害認定をしっかりと行うべきといえます。
逸失利益も請求できる
後遺障害認定された場合、労働能力が低下したと判断されることが多いでしょう。
労働能力が下がると、生涯にわたって収入が減少するという損害が生じるのです。
このように、本来得られたはずの収入が得られなくなった損害は、逸失利益として請求できます。
逸失利益は、原則として、就労可能年齢とされる67歳までの減収分を請求できます。
しかし、むちうちの場合は、後遺障害12級13号で10年分、後遺障害14級9号で5年分の請求に限られる、という例外も存在するのです。
逸失利益の計算については、『交通事故の逸失利益とは?計算方法を解説!早見表・計算機で相場も確認』にて詳しくご説明しています。
むちうちは後遺障害認定が難しい|理由と認定のポイント
理由(1)通院6ヶ月以上が目安になるから
むちうちは後遺障害認定を受けることが難しいとされています。
特に、通院5ヶ月の時点でこれ以上は治療の効果が認められないという症状固定の状態になったと判断されると、後遺障害認定を受けられる可能性は低くなるでしょう。
むちうち症は、通院期間が6ヶ月を経過するまでは症状が改善する可能性が高いため、6ヶ月を経過しても症状が改善しないことを証明しないと後遺障害認定を受けることが難しいのです。
そのため、むちうちで後遺障害認定を目指すには、通院期間6ヶ月以上がひとつの目安になります。
通院5ヶ月時点で症状固定せず、通院の継続を検討してください。
理由(2)症状は自覚症状がメインだから
むちうちの症状は、痛み、しびれ、めまいなどの自覚症状がほとんどです。
骨折や欠損などと違い外傷がなく、他人からは症状の存在が確認できないため、症状が生じていることを証明することが困難となります。
むちうちの症状の存在を示すためには、MRIやCTなどの身体内部の状態を目に見える形で表す画像検査結果の添付や、神経学的検査による結果を示す必要があるでしょう。
どのように証明するのが適切なのかについては、弁護士に相談することをおすすめします。
むちうちの後遺障害認定ポイント
むちうちでは、後遺障害12級13号または後遺障害14級9号の神経症状に認定される可能性があります。
むちうちで後遺障害認定を受けるポイントは次の5つです。
5つのポイント
- 交通事故と因果関係があること
- 将来的に回復が望めないこと
- 症状の存在が医学的に確認できること
- 労働能力の喪失を伴うこと
- 通院期間が6ヶ月を超えていること
交通事故直後に病院を受診し、定期的に検査を行いましょう。
MRIやCTなどの画像検査のほか、神経学的検査も有効です。
交通事故の慰謝料請求は弁護士に相談・依頼しよう
弁護士に相談・依頼を行うメリット
交通事故による慰謝料を請求する場合、弁護士に相談・依頼すること以下のようなメリットが生じます。
- 自身の代わりに慰謝料請求を行ってくれる
- 相場の金額に近い金額まで増額が期待できる
- 適切な後遺障害等級の認定を受けられる
自身の代わりに慰謝料請求を行ってくれる
弁護士に依頼を行うと、弁護士が自身の代わりに窓口となって加害者側へ慰謝料等の請求を行ってくれます。
加害者側からの連絡は弁護士が対応してくれ、請求に必要な手続きも弁護士の協力が得られるので、被害者自身は治療に専念することができるのです。
治療中や仕事中に加害者側からの連絡が来ることは非常にストレスとなりますが、弁護士に依頼することでこのような煩わしさがなくなるというメリットがあります。
相場の金額に近い金額まで増額が期待できる
慰謝料の金額は、多くのケースで加害者が加入している任意保険会社との示談交渉で決まります。
任意保険会社は少しでも慰謝料の金額を下げるよう交渉してくるため、相場の慰謝料を得るには増額交渉が必要です。
しかし、法的知識が不十分なまま増額交渉を行っても、経験豊富な任意保険会社側に対抗することは簡単ではありません。
一方、弁護士が増額交渉を行うと、法的根拠がしっかりと示され、交渉が決裂すれば裁判となり最終的に相場の金額を支払う可能性が高いことなどから、増額交渉が成功しやすいでしょう。
そのため、弁護士に依頼して示談交渉を行ってもらうと、相場の近い金額まで増額したうえで慰謝料を受け取れる可能性が高まるのです。
適切な後遺障害等級の認定を受けられる
治療によりケガが完治せずに後遺症が残っているのであれば、後遺障害の認定を受ける必要があります。
後遺障害の認定手続には専門知識が必要な場面もあるため、「認定がなされない」、「認定されたが等級が適切ではない」といった事態が生じる恐れがあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、適切な等級の認定が受けられるようサポートしてもらえます。
後遺障害が認められることで請求できる後遺障害慰謝料や逸失利益は高額になりやすいので、適切な等級が認定されることで生じるメリットは非常に大きいといえるでしょう。
アトム法律事務所に無料相談が可能
アトム法律事務所では、無料法律相談を受け付けています。
慰謝料の見積もりのみのご利用も可能なため、お気軽にお問い合わせください。
依頼の費用が気になる方でも、弁護士費用特約を使えば、被害者は弁護士への法律相談料、弁護士費用の自己負担を大きく減らすことが可能です。
あなたの代わりに、あなたの保険会社が弁護士費用を支払います。自身の加入している任意保険に弁護士費用特約が付帯しているかどうか確認してみましょう。
また、弁護士費用特約が利用できない方も、アトム法律事務所では依頼の際に生じる着手金は原則無料としています。
そのため、お手元のお金が不安という方でも安心して依頼が可能です。
法律相談の予約受付は24時間体制となっていますので、いつでもご連絡ください。
まとめ
- 通院5ヶ月の慰謝料相場額は重傷105万円、軽傷79万円
- 後遺障害認定を受けたら後遺障害慰謝料や逸失利益が請求できる
- むちうちは通院6ヶ月以上が後遺障害認定のポイント
- 慰謝料請求を行う前に弁護士に相談を
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了