通院5ヶ月|交通事故の慰謝料計算!むちうちの注意点も紹介
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交通事故で5ヶ月間通院した場合、通院慰謝料の相場額(弁護士基準)は、重傷なら105万円、軽傷なら79万円です。
この金額は、弁護士が介入して示談交渉をした場合の通院慰謝料の相場です。
なお、5ヶ月通院してもケガが完治せず後遺症が残った場合には、後遺障害等級の認定を目指し、後遺症の慰謝料請求も検討するべきでしょう。
この記事では、5ヶ月間通院した場合における慰謝料相場額の算定方法や、おすすめの後遺障害認定の申請方法も解説しています。
加害者側から適切な金額の慰謝料を請求するには、相場の金額や算定方法を知っておく必要があるため、交通事故により通院が必要となった方は是非一度ご覧ください。
慰謝料の正確な金額は、実際の通院日数により細かな違いが生じます。いち早く自身の慰謝料相場を知りたい方には、以下の慰謝料自動計算機もおすすめです。
目次
通院5ヶ月、入通院慰謝料はいくら?
法的に適正な水準は重傷で105万円、軽傷で79万円
交通事故のケガを治療するために5ヶ月通院した場合の慰謝料相場額は重傷なら105万円、軽傷なら79万円です。
交通事故で5ヶ月通院した場合の慰謝料相場
| 弁護士基準 | 重傷 | 軽傷 |
|---|---|---|
| 通院5ヶ月 | 105万円 | 79万円 |
これは、弁護士が過去の裁判例にもとづいて算定した場合の相場で、法的にみて最も適正とされる水準による相場です(弁護士基準・裁判基準)。
軽傷とは、むちうち症や軽い挫創・打撲などのケガのことであり、それ以外のケガは重傷となります。
ケガの内容
- 軽傷
むちうち症(頚椎捻挫、腰椎捻挫etc)、軽い挫創・打撲など - 重傷
上記以外。骨折など
ちなみに、入院していた場合は慰謝料がさらに高額になります。
注意
もし、加害者側の任意保険会社が提示してきた慰謝料の金額が上記の相場額より低かった場合、弁護士に依頼することで増額の可能性が高まります。
提示を受けたら無料相談等を利用して、弁護士に確認してもらうようにしましょう。
交通事故の慰謝料とは?
慰謝料とは、被害者が受けた精神的苦痛を和らげるために支払われる金銭的補償のことです。
入院・通院を行ったことを原因とする慰謝料を「入通院慰謝料」といいます。治療費や通院交通費などの損害とは、別に認められます。

慰謝料の種類は複数あり、入通院慰謝料以外には「後遺障害慰謝料」、「死亡慰謝料」があります。
後遺障害慰謝料は後遺障害認定を受けた場合に、等級に応じて支払われるものです。
死亡慰謝料は死亡事故の場合に支払われるものです。

慰謝料は誰が計算するかで金額が違う
慰謝料は、誰が計算するかで金額が違ってきます。
これは、立場ごとに用いられる計算基準が違うためです。
以下では、立場ごとの慰謝料の計算基準と、具体的な計算方法について解説します。
慰謝料の計算基準は3つ|基準別の金額比較
交通事故における慰謝料の計算基準は、以下の3つがあります。
慰謝料の計算基準
- 自賠責基準
自賠責保険会社が慰謝料を計算する際に利用する基準 - 任意保険基準
加害者側の任意保険会社が慰謝料を計算する際に利用する基準 - 弁護士基準(裁判基準)
弁護士や裁判所が慰謝料を計算する際に利用する基準
3つの計算基準の内、自賠責基準が最も低額となり、弁護士基準が最も高額かつ相場に近い金額となります。

基準別|通院5ヶ月の慰謝料比較(※)
| 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
|---|---|---|---|
| 重傷 | 51.6万円 | 56.7万円 | 105万円 |
| 軽傷 | 51.6万円 | 56.7万円 | 79万円 |
※通院5ヶ月(150日間)、実通院日数60日の場合
では、誰がどのような計算基準を利用するのか、具体的な計算方法などについて、交通事故における立場ごとに解説を行います。
加害者側の自賠責保険会社が計算する場合
自賠責保険は、車1台ごとに加入が義務付けられている保険で、最低限の対人賠償をカバーするものです。
支払い基準は、自動車損害賠償保障法という法令で定められています。
これがいわゆる「自賠責基準」です。
自賠責保険は、限度額の範囲内で、「自賠責基準」にもとづいた慰謝料額について支払いを行います。
自賠責保険の慰謝料は日額4300円
自賠責保険から支払われる入通院慰謝料は日額4300円、2020年3月31日以前に起こった事故の場合は日額4200円です。次の2つの計算式があります。
自賠責基準の計算式
- [入院日数 + (実通院日数 × 2)]× 4300円
- [治療期間]× 4300円
※慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して決まります。
2つの式のうち、金額が少ない方を入通院慰謝料として採用します。
計算例|通院5ヶ月、実通院日数60日の場合
自賠責基準の計算式
- [0 + (60 × 2)]× 4300円 = 51万6000円
- [ 150 ]× 4300円 = 64万5000円
2つの計算式を比較して金額の少ない方が入通院慰謝料となりますので、通院5ヶ月、通院日数60日の入通院慰謝料は51万6000円です。
そのため、通院5ヶ月の被害者が自賠責保険に入通院慰謝料を請求すると最大でも64万5000円までしか支払ってもらえず、相場の金額よりも低額となります。
もし入院していれば、1の計算式の結果は変わりますので注意してください。
入院・通院日数の数え方の例外
入院日数や実通院日数は、実際に入院したり、病院に通って治療を受けた日のことです。
しかし、例外に当てはまる場合は、実際よりも多い入院日数・通院日数が認められる可能性があります。
- 実際の通院日数に7日加算
自賠責指定の診断書に、治癒見込、継続、転医、中止と記載 - 実際より多い日数が認められる可能性あり
幼児の育児目的で母親が退院を早めた場合
仕事のためにやむを得ず退院を早めた場合
入院の待期期間
ギプス固定などで安静を要する自宅待機期間
自賠責保険の支払基準では通院日数が極めて重要です。
正確に数えることが、正当な慰謝料を受けとることにつながります。
加害者側の任意保険会社が計算する場合
任意保険とは、加害者が自由意思で加入する自動車保険のことです。任意保険は、任意保険会社が独自に定めた「任意保険基準」にもとづいて慰謝料額の計算を行います。
任意保険会社は、基本的に保険加入者に対して示談代行サービスを行っているでしょう。
そのため被害者は加害者と直接交渉するのではなく、任意保険会社の担当者とのやり取りが多いです。
任意保険基準は公開されていません。
しかし、自賠責基準とほぼ同水準か、少し上回る程度の金額になることが多いでしょう。
参考程度に、かつてすべての任意保険会社が一律に採用していた旧統一基準をご紹介します。なかには現在も旧統一基準に則っているケースもあります。

計算例|通院5ヶ月、任意保険基準の算定表の見方
表は、縦軸が通院月数、横軸が入院月数を示しています。
いずれも月は30日単位です。
上記の基準によると、通院5ヶ月の入通院慰謝料額は約56万7000円となります。
弁護士に計算を依頼する場合
弁護士に慰謝料の計算を依頼すると、弁護士は「弁護士基準」で慰謝料額を計算します。
弁護士基準は裁判で利用されることから裁判基準ともいい、慰謝料が最も高額になる計算方法です。
裁判基準の慰謝料計算は自賠責基準のような日額ではなく、慰謝料算定表を使います。算定表は2パターンあり、重傷用と軽傷用に分かれます。
算定表は、赤い本の別表でも確認することが可能です。
赤い本とは、民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準という書籍のことです。見た目が赤いことから赤い本の通称があります。
裁判基準の計算方法や過去の交通事故に関する裁判結果をまとめた書籍です。
基本的には重傷用の算定表を使いますが、画像検査の結果から認定できないむちうち・挫創・打撲などの場合には軽傷用の算定表を使ってください。
重傷|慰謝料算定表

軽傷|慰謝料算定表

計算例|通院5ヶ月、弁護士基準の算定表の見方
表は、縦軸が通院月数、横軸が入院月数を示しています。
いずれも月は30日単位です。
上記の基準によると、通院5ヶ月の入通院慰謝料額は重症の場合で105万円、軽傷の場合で79万円となります。
加えて、端数が出たときの計算例を考えてみましょう。
- 入院1ヶ月、通院5ヶ月
重傷:141万円、軽傷:105万円 - 入院なし、通院5ヶ月
重傷:105万円、軽傷:79万円 - 重傷で入院なし、通院155日。
通院日数が5ヶ月と5日となり、端数の5日分は通院6ヶ月目にあたります。
そこで、通院6ヶ月の慰謝料から通院5ヶ月の慰謝料を引き算します。
すると通院6ヶ月目は11万円と分かります。
11万円÷30=約3666円となるため、5日分は1万8330円です。
通院5ヶ月分の慰謝料105万円と合わせて、106万8330円となります。
通院155日のとき、自賠責基準では最大66万6500円です。
裁判基準のほうが約40万円も高額になります。
注意
相手が任意保険に未加入(無保険)の場合、自賠責保険の限度額を超える部分は、被害者に生じた損額が適切に支払われない恐れがあります。
自賠責保険だけでは損害賠償金が不足するケースは多々あり、被害者の方が泣き寝入りしてしまうことも起こりえるでしょう。無保険車との交通事故は、早めに弁護士にご相談下さい。
慰謝料が増額・減額される背景
慰謝料が相場よりも高くなる場合
慰謝料は、被害者が負った精神的苦痛に対して支払われます。
そのため、精神的苦痛が大きいと判断されると、支払われる慰謝料額が増額する可能性があるのです。
被害者の精神的苦痛が大きいと判断される状況には、次のようなケースがあります。
慰謝料増額の具体例
| 加害者 | 具体例 |
|---|---|
| 悪質な態度 | 被害者への罵詈雑言 虚偽の話を繰り返す 被害者に一切謝罪しない |
| 異常な運転 | 無免許 信号無視 過度なスピード違反 飲酒、薬物 |
また、以下のような事情も、慰謝料額に考慮される可能性があります
- 被害者が寝たきりや意識不明の状態に陥った
- 被ったケガがきわめて深刻で重大
- 胎児が死亡してしまった
- 兄弟・姉妹が事故を目撃してしまい精神的苦痛を受けた
どのような事情が慰謝料の増額事由となるのか、増額事由があるとして具体的な増額額がいくらになるのかは交通事故ごとの事情により異なるため、専門家である弁護士に確認を取ってみると良いでしょう。
慰謝料が相場よりも低くなる場合
慰謝料は、相場より低くなる時があります。たとえば次のような時には注意が必要です。
慰謝料減額の根拠
| 内容 | |
|---|---|
| 素因減額 | 症状の発現・悪化が被害者自身に由来しているとき |
| 通院頻度が少ない | 治療期間に対する実通院日数が少ないとき |
| 事故の過失割合 | 被害者側にも事故の過失があるとき |
素因減額が認められるとき
素因減額とは、被害者が元々持っていた素質・気質によって症状が表れたり、悪化したと考えて、慰謝料相場から一定割合を減額する考え方です。
一般的に素因は被害者の精神的傾向である心因的要因と、従来の疾患や身体的特徴などの体質的要因に分類されます。
素因減額の基本的な情報に関しては『素因減額とは?該当するケースや対処法を解説【判例つき】』の記事をご確認ください。
素因減額の問題点としては、事故の背景によって素因減額される場合・減額されない場合があることです。
被害者の心因的要因について、素因減額された場合、素因減額されなかった場合の判例をご紹介します。
最判昭63.4.21
外傷性頚部症候群の症状発症後に10年以上の入通院を継続。
結論
事故後3年の損害のうち4割程度に減額された。
また、3年以降の損害については加害者に損害賠償責任がないと判断した。
被害者の賠償性神経症、回復意欲の欠如などの心因的要因が理由にあげられた。
この裁判では、被害者の特異な性格、心因的要因が症状の悪化と固定化を招いたと考えられ、慰謝料などの損害賠償額が大幅に減額されました。
一方で、心因的要因が影響している可能性を認めつつも、あくまで可能性にすぎないとして、素因減額されなかった裁判結果もあります。
東京地判平27.3.31
頸椎捻挫、頭部外傷などで約1年2ヶ月半の治療後に、身体表現性障害による頭痛、めまい、吐き気(後遺障害14級)認定された主婦。身体表現性障害は被害者の心因的要因と指摘された。
結論
素因減額にあたらない。身体表現性障害は心因的要因の影響は可能性に過ぎず、事故によって通常発生する程度と範囲にとどまる。
身体表現性障害はストレスなどの心理社会的要因があるといわれているものの、必ずしも被害者の心理状況で引き起こされているといえないため、素因減額されずに慰謝料を受けとることができました。
素因減額については個別の事故の背景で判断されます。
ある程度の素因減額は避けられないケースもありますが、不当な素因減額は避けるべきです。
被害者の心因的・身体的な事情を理由に減額されてお困りの場合は、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
通院日数が少ない時
通院日数が少ないと、任意保険会社から「3倍基準」で慰謝料を提示されることがあります。
「3倍基準」とは、むちうち症で他覚所見がない場合などの比較的軽症のケースにおいて、実通院日数の3倍を通院期間とみなして慰謝料を計算する方法です。
通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある
民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)「第5慰謝料」のうち「2.傷害」より抜粋
実際の通院期間よりも短く扱われるため、計算上、被害者に不利になりやすい基準です。
同様に、骨折などの重症の場合でも、通院日数が少ないと通院期間が減縮されることがあります。重症だと3.5倍です。
通院が長期にわたる場合は,症状,治療内容,通院頻度をふまえ実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。
同上
これらは裁判基準の一部ではありますが、通院日数が少ない場合に用いられる調整ルールであり、結果として被害者に不利な金額になることがあります。
以下では、慰謝料にいくら違いがでるのか、Caseで確認してみます。
通院5ヶ月の慰謝料(3倍基準)
まず、交通事故でむちうち症となり、月に2日のペースで通院し、治療終了までの5ヶ月間で通算10日通院したケースを考えます。
- 症状:むちうち症
- 通院期間5ヶ月
※通院開始から終了まで150日間 - 実通院日数10日
※月に2日のペースで通院
この場合、3倍基準を用いると、実際の通院期間は5ヶ月でも、計算上は「通院1ヶ月」として扱われ、慰謝料は約19万円にとどまります。
本来ならば79万円のところ、19万円にとどまるため、60万円ほど不利になります。
【軽症】3倍基準の慰謝料
- 通院日数10日 × 3倍 = 30日(通院1ヶ月)
- 通院期間は5ヶ月ではなく、1ヶ月として計算
- 裁判基準・別表Ⅱにより
約19万円
通院5ヶ月の慰謝料(3.5倍基準)
次に、交通事故で骨折し、同じく月に2日のペースで通院し、5ヶ月間で通算10日通院したケースを考えます。
- 症状:骨折
- 通院期間5ヶ月
※通院開始から終了まで150日間 - 実通院日数10日
※月に2日のペースで通院
この場合、3.5倍基準を用いると、通院5ヶ月であっても、計算上は約1ヶ月分の通院期間として扱われ、慰謝料は約32万円となります。
【重症】3.5倍基準の慰謝料
- 通院日数10日 × 3.5倍 = 35日
- 通院期間は5ヶ月ではなく、1ヶ月+5日として計算
- 裁判基準・別表Ⅰにより
約32万円
通院1ヶ月分:
28万円
通院5日分 :
(52−28)万円 ÷ 30日 × 5日 = 4万円
通院5ヶ月で本来なら105万円もらえるところ、3.5倍基準で減額されると32万円程度となり、73万円ほど不利になります。
このように、通院期間が5ヶ月あっても、通院日数が少ないと慰謝料が大きく減額される可能性があります。
通院日数が少ないかもしれないと不安な方は、できるだけ早めに弁護士へご相談ください。特に、30日あたりの通院日数が10日に満たない場合は、慰謝料が減額されるリスクがあります。
過失割合が認められるとき
交通事故の過失割合とは、事故をおこした責任が、誰にどのくらいあるのかを割合で示したものです。
被害者側にも事故の過失が認められる場合、過失割合に応じで、慰謝料を含め賠償金が減額されます。
過失割合10対0
- むちうち症で通院5ヶ月
慰謝料相場は79万円 - 過失割合
加害者10:被害者0 - 請求できる慰謝料額
79万円
過失割合8対2
- むちうち症で通院5ヶ月
慰謝料相場は79万円 - 過失割合
加害者8:被害者2 - 請求できる慰謝料額
79万円×(1-0.2)=63.2万円
ご自身の交通事故の過失割合について「不安がある」「保険会社からの提示に不服がある」といった場合には、弁護士に相談してみましょう。
交通事故の過失割合で慰謝料が減る仕組みについては『交通事故の過失割合で慰謝料が減る!しくみや減額を抑える方法を解説』の記事も参考になさってください。
治療から示談までの注意点を総まとめ
示談交渉において相場の慰謝料額を得るためには、治療方法や治療中に対応についても適切に行うことが必要です。
治療開始から示談交渉を行うまでの過程における対応について、特に注意すべき点を紹介します。
交通事故が発生した直後の段階における対応に関して知りたい方は、『交通事故対応の流れ|交通事故にあった・起こしたときの初期対応〜後日対応までを解説』の記事をご覧ください。
最初は必ず病院を受診
事故にあったらまずは病院を受診してください。
もし事故直後には異常がなくても、症状が後から表れることもありますので、ひとまずは整形外科の受診をおすすめします。
治療のために整骨院・接骨院を利用する人もいますが、まず最初の受診先としては整形外科にするべきです。
整形外科でレントゲン・MRI検査を受けて、本当に骨などに異常がないかを確認しておきましょう。
整骨院・接骨院の施術費は、病院の治療費のようにスムーズに認められるとは限りません。
きちんと補償を受けるためには、主治医から整骨院や接骨院の施術が必要であると認めてもらう、相手方の保険会社に利用を事前に申告するなどのコツがあります。
通院日数は少なくとも1ヶ月のうち10日以上
裁判基準により算出される相場額の慰謝料を受けとるには、通院頻度も大切です。
1ヶ月のうち10日以上の通院が望ましいとされています。
そのほかにも、漫然とした治療を受けないことも大切です。
例えば毎回湿布を貼るだけの治療が何ヶ月も続けば、本当に必要な治療なのか、もう治っているのではないか、と相手方に疑念を持たれかねません。
治療費の打ち切りは一度医師に相談
加害者側が任意保険に加入している場合には、任意保険会社が代わりに治療費の支払いを負担してくれることが多く、このような対応を任意一括対応といいます。
加害者側が任意保険に加入している場合には、任意保険会社が代わりに治療費の支払いを負担してくれることが多く、このような対応を任意一括対応といいます。
しかし、治療期間が長期に渡ると、これ以上な治療の必要性がないとして任意保険会社が治療費の負担を打ち切ることがあるのです。
加害者側の任意保険会社から治療費の打ち切り提案を受けた場合は、焦らず主治医に相談してください。
主治医が治療の必要性を判断し、治療が必要と認められた場合は、そのことを相手方に伝えましょう。
適正な時期に示談を開始
示談はすべての損害が確定してから行います。
間違っても事故直後や通院治療中、リハビリ中には示談を始めてはいけません。
適切な金額の算定ができず、妥当な内容とならない可能性が高いでしょう。
被害者に生じた損害別に、示談を開始できる時期をまとめました。
示談を開始できる時期
| 損害 | 示談開始時期 |
|---|---|
| ケガが完治した | 治療終了 |
| 後遺症が残った | 後遺障害認定結果の確定後 |
| 死亡した | お葬式または四十九日などの法要後 |
時効期間の経過に注意
損害賠償請求権には時効があるので、時効期間が経過するまでに請求をしなくてはなりません。
2020年4月の民法改正により、2017年4月1日以降に発生した交通事故については、人的損害の賠償を請求できる期限が5年間に延長されました。
しかし、すべての時効が5年間に延長されたわけではありません。
次の期限は3年間のまま延長されていませんのでご注意ください。
- 物損部分
- 相手方の自賠責保険への被害者請求
- 被害者自身の人身傷害保険への請求
慰謝料以外に請求すべきお金を整理
交通事故で被害者が被る損害は、慰謝料だけではありません。
慰謝料は精神的損害を対象としており、他にも財産的損害を請求することが可能です。
具体的には、治療費、通院交通費、車両の修理費、休業損害、逸失利益など多岐にわたる損害があります。

- 治療費
投薬代、手術代、入院代、入通院の交通費など治療に必要な費用全般を含む - 休業損害
ケガの治療により仕事ができなかったことで生じる減収に対する補償 - その他
介護費用、車いすや義足などの器具購入費等 - 逸失利益
後遺障害が原因で生じる将来の収入の減収に対する補償 - 修理費
この他に、代車費用などの物的損害も請求可能
慰謝料だけでなく、財産的損害も含めた金額を示談金として支払うよう請求するべきです。
過失の存在や程度については客観的な根拠で対応
交通事故の慰謝料額を左右する重要な要素に過失割合があります。
過失割合とは、交通事故の損害に対して、加害者・被害者に生じる責任の割合のことです。
被害者の過失割合が大きくなるほど、受けとる金銭が減少することになり、過失割合に応じた減額を過失相殺といいます。
保険会社が提案する過失割合に納得がいかない場合は、安易に受け入れず、被害者自身が主張する過失を認めてもらう交渉が必要です。
交渉にあたっては、記憶に頼るのではなく、目撃者の証言やドライブレコーダーの記録など客観的な証拠を用意しなくてはなりません。
交通事故の過失割合について詳しく知りたい方は、以下の関連記事をお役立てください。事故のパターン別に基本の過失割合をご紹介します。
通院5ヶ月で後遺障害慰謝料はもらえる?
交通事故で5ヶ月通院した後、後遺症が残ってしまった場合、後遺障害についても慰謝料を請求するには、「後遺障害認定」を受ける必要があります。
ここでは、後遺障害認定の申請方法、後遺障害の慰謝料相場、後遺障害認定に必要な通院期間などを解説します。
後遺障害の慰謝料をもらう方法
交通事故によるケガが完治せず後遺症が残った場合に、後遺症の慰謝料をもらうには、後遺障害認定の申請をおこなうことが必須になります。
後遺障害認定とは、自賠責調査事務所が「後遺症の症状が、後遺障害に該当するかどうか」を認定するものです。
後遺障害認定の申請後、審査を経て、等級が認定されたら、慰謝料等の請求が可能になります。
後遺障害認定の申請のタイミング
後遺障害認定の申請のタイミングは、症状固定(治療をしてもこれ以上回復しない状態)をむかえた時です。

必要十分な治療をおこなった後で、後遺障害認定を申請することになるということです。
後遺障害の慰謝料の相場
後遺障害が認められた場合には、後遺障害慰謝料の請求が可能です。
後遺障害慰謝料の金額は、障害の程度に応じて認定される後遺障害等級ごとに異なります。
自賠責基準にもとづいた慰謝料額と、裁判基準の慰謝料相場は以下の通りです。
後遺障害慰謝料の相場
| 等級 | 自賠責基準* | 裁判基準 |
|---|---|---|
| 1級・要介護 | 1,650 (1,600) | 2,800 |
| 2級・要介護 | 1,203 (1,163) | 2,370 |
| 1級 | 1,150 (1,100) | 2,800 |
| 2級 | 998 (958) | 2,370 |
| 3級 | 861 (829) | 1,990 |
| 4級 | 737 (712) | 1,670 |
| 5級 | 618 (599) | 1,400 |
| 6級 | 512 (498) | 1,180 |
| 7級 | 419 (409) | 1,000 |
| 8級 | 331 (324) | 830 |
| 9級 | 249 (245) | 690 |
| 10級 | 190 (187) | 550 |
| 11級 | 136 (135) | 420 |
| 12級 | 94 (93) | 290 |
| 13級 | 57 (57) | 180 |
| 14級 | 32 (32) | 110 |
※単位は万円
()内の数字は2020年3月31日以前に交通事故が発生した場合に適用
最低でも100万円以上の後遺障害慰謝料が期待できるため、後遺障害が認められる可能性があるなら、後遺障害認定をしっかりと行うべきといえます。
逸失利益も請求できる
後遺障害認定された場合、労働能力が低下したと判断されることが多いでしょう。
労働能力が下がると、生涯にわたって収入が減少するという損害が生じるのです。
このように、本来得られたはずの収入が得られなくなった損害は、逸失利益として請求できます。

逸失利益は、原則として、就労可能年齢とされる67歳までの減収分を請求できます。
しかし、むちうちの場合は、後遺障害12級13号で10年分、後遺障害14級9号で5年分の請求に限られる、という例外も存在するのです。
逸失利益の計算については、『交通事故の逸失利益は?計算式や早見表・計算機で解説【職業別の計算も】』にて詳しくご説明しています。
通院5ヶ月だと後遺障害慰謝料はもらえない?
後遺障害認定を目指すには、通院期間6ヶ月以上がひとつの目安になります。
あくまで個別の症状・治療経過によりますが、通院5ヶ月の場合、一般的にみると、後遺障害認定は厳しい傾向にあります。
特に、通院5ヶ月の時点で、医師からも「症状固定」の診断を受けてしまうと、さらに後遺障害認定を受けられる可能性は低くなっていきます。
後遺障害の慰謝料が難しいケース
- 通院5ヶ月で、一括対応が打ち切りになり、通院もやめた
- 通院5ヶ月で、医師から「症状固定」の診断をされてしまった
通院6ヶ月以上が目安の理由
多くは、適切な頻度で通院しているなら、通院期間が6ヶ月を経過するまでは、症状が改善する可能性が高いからです。
症状・治療経過にもよりますが、一般的には、6ヶ月を経過しても症状が改善しないことを証明しないと、後遺障害認定を受けることは難しいといえるでしょう。
もし、通院5ヶ月時点で任意保険から打ち切りの話がきたら、安易に通院をやめないことがポイントです。主治医の先生に症状固定の時期をご相談なさって、通院の継続を検討してください。
むちうちで慰謝料をもらうには?
むちうちでは、後遺障害12級13号または後遺障害14級9号の神経症状に認定される可能性があります。
等級が認定されれば、むちうちでも後遺障害慰謝料・逸失利益の賠償請求が可能です。
むちうちで後遺障害認定を受けるポイントは次の5つです。
5つのポイント
- 交通事故と因果関係があること
- 将来的に回復が望めないこと
- 症状の存在が医学的に確認できること
- 労働能力の喪失を伴うこと
- 通院期間が6ヶ月を超えていること
交通事故直後に病院を受診し、定期的に検査を行いましょう。
MRIやCTなどの画像検査のほか、神経学的検査も有効です。
特に、むちうちの症状は、痛み、しびれ、めまいなどの自覚症状がほとんどです。
骨折や欠損などと違い外傷がなく、他人からは症状の存在が確認できないため、症状が生じていることを証明することが困難となります。
むちうちの症状の存在を示すためには、MRIやCTなどの身体内部の状態を目に見える形で表す画像検査結果の添付や、神経学的検査による結果を示す必要があるでしょう。
どのように証明するのが適切なのかについては、弁護士に相談することをおすすめします。
後遺障害認定の申請方法は被害者請求がおすすめ!
後遺障害認定の申請方法は、申請を加害者側の任意保険会社に行ってもらう事前認定と、申請を被害者自身で行う被害者請求の2つがあります。
後遺障害認定の申請は、手間はかかりますが、結果への期待度を高められる被害者請求を行うべきでしょう。
被害者請求とは、被害者側が、自賠責保険に対して、後遺障害認定申請の手続きを行うものです。

メリット➀工夫ができる
相手方の保険会社に手続きを任せる事前認定と比べると、被害者請求は手間がかかります。
しかし相手方の保険会社任せにせず、ご自身で工夫をして、希望する後遺障害等級の認定を目指せることが被害者請求の利点です。
任意保険会社まかせにしておくと、どのような資料を提出されたか把握できません。このような点にご不安をお持ちの方も多いです。
弁護士に依頼すれば、被害者請求のサポートを受けることができます。
ご自身限りでの手続きに疑問や不安がある方は、弁護士と一緒に被害者請求で後遺障害認定を目指しましょう。
メリット②慰謝料をすぐに受け取れる
被害者請求で後遺障害認定をするメリットとして、後遺障害慰謝料を早く受けとれる点にあります。
被害者請求を行い、等級が認定されれば、すみやかに自賠責基準での支払いを受けられます。
任意保険会社を通じておこなう事前認定の場合、自賠責保険からの慰謝料等の受け取りも任意保険を通じておこなうため、示談成立までは受領できません。
しかし被害者請求ならば示談を待たずとも、後遺障害慰謝料や逸失利益を、自賠責保険から直接受けとれるメリットがあります。
交通事故の慰謝料請求は弁護士に相談・依頼しよう
弁護士に相談・依頼を行うメリット
交通事故による慰謝料を請求する場合、弁護士に相談・依頼すること以下のようなメリットが生じます。
- 自身の代わりに慰謝料請求を行ってくれる
- 相場の金額に近い金額まで増額が期待できる
- 適切な後遺障害等級の認定を受けられる
自身の代わりに慰謝料請求を行ってくれる
弁護士に依頼を行うと、弁護士が自身の代わりに窓口となって加害者側へ慰謝料等の請求を行ってくれます。
加害者側からの連絡は弁護士が対応してくれ、請求に必要な手続きも弁護士の協力が得られるので、被害者自身は治療に専念することができるのです。
治療中や仕事中に加害者側からの連絡が来ることは非常にストレスとなりますが、弁護士に依頼することでこのような煩わしさがなくなるというメリットがあります。
相場の金額に近い金額まで増額が期待できる
慰謝料の金額は、多くのケースで加害者が加入している任意保険会社との示談交渉で決まります。
任意保険会社は少しでも慰謝料の金額を下げるよう交渉してくるため、相場の慰謝料を得るには増額交渉が必要です。
しかし、法的知識が不十分なまま増額交渉を行っても、経験豊富な任意保険会社側に対抗することは簡単ではありません。
一方、弁護士が増額交渉を行うと、法的根拠がしっかりと示され、交渉が決裂すれば裁判となり最終的に相場の金額を支払う可能性が高いことなどから、増額交渉が成功しやすいでしょう。

そのため、弁護士に依頼して示談交渉を行ってもらうと、相場の近い金額まで増額したうえで慰謝料を受け取れる可能性が高まるのです。
適切な後遺障害等級の認定を受けられる
治療によりケガが完治せずに後遺症が残っているのであれば、後遺障害の認定を受ける必要があります。
後遺障害の認定手続には専門知識が必要な場面もあるため、「認定がなされない」、「認定されたが等級が適切ではない」といった事態が生じる恐れがあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、適切な等級の認定が受けられるようサポートしてもらえます。
後遺障害が認められることで請求できる後遺障害慰謝料や逸失利益は高額になりやすいので、適切な等級が認定されることで生じるメリットは非常に大きいといえるでしょう。
アトム法律事務所に無料相談が可能
アトム法律事務所では、無料法律相談を受け付けています。
慰謝料の見積もりのみのご利用も可能なため、お気軽にお問い合わせください。
依頼の費用が気になる方でも、弁護士費用特約を使えば、被害者は弁護士への法律相談料、弁護士費用の自己負担を大きく減らすことが可能です。
あなたの代わりに、あなたの保険会社が弁護士費用を支払います。自身の加入している任意保険に弁護士費用特約が付帯しているかどうか確認してみましょう。

また、弁護士費用特約が利用できない方も、アトム法律事務所では依頼の際に生じる着手金は原則無料としています。
そのため、お手元のお金が不安という方でも安心して依頼が可能です。
法律相談の予約受付は24時間体制となっていますので、いつでもご連絡ください。




まとめ
- 通院5ヶ月の入通院慰謝料は重傷105万円、軽傷79万円が相場
- 後遺障害認定を受けたら後遺障害慰謝料や逸失利益が請求できる
- むちうちは通院6ヶ月以上が後遺障害認定のポイント
- 慰謝料請求を行う前に弁護士に相談を

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

