通院4ヶ月|交通事故の慰謝料相場と計算方法!増額・減額するケースもわかる
更新日:

交通事故により4ヶ月通院した場合の慰謝料相場は、重傷なら90万円、軽傷なら67万円です。
しかし、加害者側が相場の慰謝料額を提示してくれることは期待できません。
十分な慰謝料額を得るには、示談交渉の中で正当な金額への増額交渉をすることが現実的です。
この記事では、4ヶ月通院した場合に加害者側に求めるべき適正な慰謝料の相場と計算方法を解説します。
慰謝料が増減するケースもわかるので、自身のケースに沿った慰謝料額を知る参考になります。ぜひお役立てください。
目次

通院4ヶ月の慰謝料相場は重傷90万円、軽傷67万円
交通事故によって通院した場合に請求できる慰謝料を、「入通院慰謝料」と言います。
通院4ヶ月における入通院慰謝料の相場額は、重傷なら90万円、軽傷なら67万円です。
重傷 | 軽傷 |
---|---|
90万円 | 67万円 |
軽傷とは、打撲や挫傷、痛みが他覚的に認識できないむちうち症などをいい、軽傷に当てはまらない症状は重傷となります。
なお、通院4ヶ月の慰謝料相場は通院のしかたや治療の内容などにより増減することもあります。この点については慰謝料の計算方法を解説したあと、本記事内「通院4ヶ月の慰謝料が相場より増減するケース」で解説するのでご確認ください。
通院4ヶ月の慰謝料を計算する方法
交通事故の慰謝料を計算する方法は3つある
交通事故における慰謝料を計算する際には、以下の3つの算定基準が使用されます。
- 自賠責基準
自賠責保険が慰謝料を計算する際に利用する算定基準 - 任意保険基準
任意保険会社が慰謝料を計算する際に利用する算定基準 - 弁護士基準(裁判所基準)
弁護士や裁判所が慰謝料を計算する際に利用する算定基準
3つの算定基準のうち、法的正当性が高くもっとも高額になるのは弁護士基準(裁判所基準)の金額です。

加害者側は自賠責基準や任意保険基準の金額を提示してくることが多いですが、鵜呑みにしないようにしましょう。
通院4ヶ月の入通院慰謝料の計算方法
通院4ヶ月の入通院慰謝料の計算方法を、弁護士基準・自賠責基準・任意保険基準の順で見ていきましょう。
弁護士基準での計算方法
弁護士基準では、算定表を用いて入院期間・通院期間から入通院慰謝料を算定します。実際に何日通院したかは基本的には考慮されません。
表には軽傷用(むちうちや打撲などレントゲンに写らないケガ)と重傷用があるので紹介します。
慰謝料算定表(軽傷)

※月数:1月を30日単位とする
慰謝料算定表(重傷)

※月数:1月を30日単位とする
入院期間や通院期間に端数がある場合は、上記の表をもとに日割り計算が必要です。
例えば「入院なし、通院4ヶ月と3日」だった場合は、以下を足したものが入通院慰謝料となります。
- 「入院なし、通院4ヶ月」の慰謝料額
- 「入院なし、通院5ヶ月」の金額から「入院なし、通院4ヶ月」の金額を引いたものを日割りした3日分の金額
入通院慰謝料の相場は、以下の計算機からも確認できます。ぜひご活用ください。
弁護士基準における慰謝料計算を詳しく知りたい場合は、関連記事『交通事故の慰謝料は弁護士基準(裁判基準)で請求!相場と増額成功のカギ』が参考になります。
自賠責基準での計算方法
自賠責基準では、入通院1日あたり4,300円として入通院慰謝料が計算されます。(2020年3月31日以前の事故は日額4,200円計算)
計算式は以下のとおりです。
4300円 × 対象日数
対象日数は、以下のうち少ない方とする。
- 治療期間(※治療期間とは、一番最初に病院を受診した日~治療終了までの期間をさす。)
- 実際に治療した日数×2
なお、頻度・回数・内容に応じて、リハビリも通院日数に数えることが可能です。
通院日数・通院期間と慰謝料の関係をもっと知りたい方は関連記事『交通事故の慰謝料は通院日数が影響する?治療期間で計算が重要』をお役立てください。
任意保険基準での計算方法
任意保険会社が利用する支払基準、いわゆる「任意保険基準」は保険会社ごとに設定されており、公にされていません。
一般的には自賠責保険による計算結果と同程度か、少し高額な程度であると言われています。
通院4ヶ月の慰謝料が相場より増減するケース
【増える】被害者側の苦痛がことさらに大きい
加害者側の言動に不誠実な点があったり、治療において通常よりも大きな苦しみが生じたりした場合は、入通院慰謝料が増額されることがあります。
具体的なケースを挙げると、以下のとおりです。
- 大幅なスピード違反、信号無視、薬物の使用、飲酒、無免許など加害者側に重大な過失があった
- ひき逃げ、被害者への罵詈雑言、事故に対する虚偽の証言など加害者側の事故後の対応が不誠実だった
- 治療の過程で感染症のリスクがあったり、麻酔ができない状態で手術したりといった通常より大きな苦痛が生じた
慰謝料が増額されるケースは、上記のほかにもさまざまあります。
ただし、加害者側から増額を申し出てくれることは期待できないので、被害者側が増額できるケースを把握し、主張することが大切です。
「こういうケースでも増額できるのではないか?」という心当たりがあれば、迷わず弁護士にご相談ください。
【増える】やむを得ない事情で治療期間を短くした
どうしても抜けられない仕事や子育てなどやむを得ない事情で治療を短縮し、通院が4ヶ月になった場合は、事情が考慮されて入通院慰謝料が増えることがあります。
ただし、仕事や子育てでもやむを得ない事情とは言えないとして、慰謝料が増えない可能性は十分にあります。
事情により治療期間を短くせざるを得なかった経緯がある場合は、一度弁護士にご相談ください。
【減る】被害者側に過失割合がついた
交通事故では、「事故が起きた責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるか」を示した過失割合が決められます。
被害者側にも過失割合がつくと、過失相殺によりその割合分、受け取れる慰謝料・賠償金が減額されてしまいます。
例えば、過失割合が加害者:被害者=80:20と判断されたなら、被害者が受け取れる慰謝料・賠償金は20%減額されるのです。
さらに、加害者側から賠償請求されている場合は、そのうち20%を支払わなければなりません。
過失割合も慰謝料・賠償金額同様、示談交渉の中で決められます。正しい過失割合になるようしっかり交渉することが重要です。
過失割合の関連記事
【減る】通院頻度や通院内容が適切でなかった
4ヶ月通院していても、実際に通院した頻度が低かったり、電気療法やマッサージなど必要性・相当性の低い漫然治療が続いていたりする場合は、入通院慰謝料が減額されることがあります。
弁護士基準の場合、入院期間・通院期間から入通院慰謝料を計算するという点はすでに解説しました。
しかし、通院期間に対して実通院日数が少なすぎると、「実通院日数×3(重傷の場合は3.5)」をみなし通院期間として慰謝料が計算されてしまうことがあるのです。
目安としては、実通院日数が月10日以下だったり、1ヶ月以上通院が途絶えた期間があったりすると要注意です。
通院開始から4ヶ月!こんな時どう対応する?
まだ症状が治まらず続いている
4ヶ月通院しても、まだ痛みや症状が続いている場合は、通院を継続してください。
医師は一般的な治療期間や各種検査結果から治療終了のタイミングを判断しますが、実際にケガが良くなっているのか実感としてわかっているのは被害者自身です。
治療期間が短くなれば入通院慰謝料が少なくなりますし、不十分な治療で後遺症が残ると、後遺障害に関する補償を受けにくくなります。
身体のためにも慰謝料・賠償金のためにも、まだ治療を望むなら医師に相談してみましょう。
注意
被害者自身が人一倍痛みなどに敏感であるが故に治療が長引いた場合は、慰謝料・賠償金が減額される可能性があります。
これを「心因的素因減額」と言います。心配な場合は一度弁護士にご相談ください。
素因減額については『素因減額とは?減額されるケースや判断基準がわかる【判例つき】』で詳しく解説しています。
治療費打ち切りを提案された
通院中に加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されたなら、まずは主治医に相談してください。
主治医から「まだ治療が必要」と判断されたら、そのことを保険会社に伝えましょう。
それでも治療費の打ち切りがなされた場合には、一旦自身で治療費を負担しつつ治療を継続すべきです。
健康保険を使うなどして被害者自身の出費をおさえながら通院しましょう。
健康保険の利用方法については『交通事故で健康保険は使える!切り替え手続きやメリットも解説』の記事で確認可能です。
治療費打ち切り後にかかる治療費の負担は、被害者請求などで示談前に一定の金銭を受けとることでも軽減できます。
被害者請求については『自賠責保険への被害者請求とは?やり方やデメリット、すべきケースを解説』の記事をご覧ください。
後遺症が残った
後遺症が残った場合は、「後遺障害等級」の認定を受ければ後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取れます。
ただし、手足の切断や人工関節の挿入など明らかな後遺症を除き、通院4ヶ月で後遺障害等級に認定される可能性は低いです。
弁護士にも相談のうえ、後遺障害等級に該当しそうな症状なのであれば、最低でも6ヶ月は通院を続けるようにしましょう。
その後、以下のいずれかの方法で審査を受けるようにしてください。
申請方法 | 概要 |
---|---|
事前認定 | 被害者が後遺障害診断書を加害者の任意保険会社に提出。任意保険会社に申請のほとんどを任せる方法。 |
被害者請求 | 被害者は後遺障害診断書を含む書類を加害者の自賠責保険会社に提出。被害者自身で申請する方法。 |
よく読まれている記事
相場の慰謝料を得るために弁護士へ相談・依頼を行おう
弁護士に依頼すると相場の慰謝料の請求が可能|そのほかのメリットも
加害者側の保険会社との示談交渉において、慰謝料額を弁護士基準に近い金額へ増額するためには、弁護士の存在が欠かせません。
被害者お一人で保険会社に対して「相場額に増額してください」といっても、増額を実現することは難しいでしょう。

被害者への支払額を減らすことは営利企業である保険会社にとって重要で、譲歩できない部分だからです。示談段階では、保険会社も簡単には折れてくれません。
だからこそ被害者は弁護士を雇い、「示談がうまくいかなければ裁判をする」という気持ちを見せることがポイントです。
いずれ裁判になれば、保険会社は弁護士基準(裁判基準)に近い金額を受け入れねばなりません。
弁護士を立てることは、加害者側の保険会社に「裁判になるかもしれない」という焦りを感じさせることになります。
相場の慰謝料請求以外にもメリットあり
弁護士に依頼をするメリットには、慰謝料増額の他にも以下のようなものがあります。
- 慰謝料以外に請求できる損害についても適切な金額を請求できる
- 後遺障害等級認定の手続きを適切に行ってもらえる
- 示談交渉を弁護士が行ってくれるため治療に専念できる
どのようなメリットがあるのか把握したうえで弁護士への依頼を検討することは、非常に大切です。
弁護士依頼のメリットを解説
アトム法律事務所では無料の法律相談が可能
アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方を対象とした無料の法律相談を行っています。
アトム法律事務所は、これまで多くの交通事故被害者の方のサポートを行ってきているため、交通事故案件について経験豊富な弁護士に相談することが可能です。
弁護士に相談・依頼する費用は抑えることができる
弁護士費用がご心配な方は、ご自身の自動車保険等に「弁護士費用特約」が付帯されていないかを調べてください。弁護士費用特約があれば、原則、弁護士費用300万円と法律相談料10万円までを、加入している保険会社が支払ってくれます。
弁護士費用特約には補償上限が設けられていますが、交通事故の弁護士費用は弁特補償範囲に収まることが多いです。
そのため、多くのケースで弁護士費用の全額を特約でカバーでき、依頼者は自己負担ゼロで弁護士を立てることができます。
弁護士費用特約を使っても、保険等級が下がることはないので、保険料も上がりません。
なお、無料の法律相談は交通事故の被害者の方であれば弁護士費用特約のない方も対象です。
ご依頼時の着手金は原則無料となっており、初期費用はかかりません。最終的な示談金から弁護士費用をお支払いいただけます。
法律相談の予約受付は24時間体制となっているので、いつでも気軽にご連絡ください。





高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了