交通事故の慰謝料計算シート|相場を知って増額実現|誰でも使える自動計算機
交通事故で被害を受けた時に請求できる入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料という3つの慰謝料には、それぞれに計算方法、算定方法があります。
この記事では交通事故で怪我を受けた方が請求することになる「入通院慰謝料の計算方法」を中心に、適正額の慰謝料相場をみていきたいと思います。
今すぐ慰謝料の金額を知りたいという方は、自動計算機をお使いください。計算ツールを使えば10秒程度で保険会社から提示を受けた慰謝料の金額が正しいか確認できます。
目次
慰謝料計算シート|誰でもカンタンに金額がわかる
交通事故慰謝料のうち、入通院慰謝料の計算シートを用意しました。詳しい使い方も解説しているので、ぜひダウンロードして、使い方を見ながら計算してみてください。
慰謝料計算シートを使えば計算はむずかしくない
交通事故の入通院で慰謝料がいくらになるのか計算しようにも、計算手順を理解しないことにははじまらないと思います。 一見すると複雑そうな慰謝料の計算ですが、仕組みを理解してしまえばそうむずかしいものではありません。
「計算の理屈まで理解しないとスッキリ納得できない」という方にお使いいただきたい、慰謝料計算シートをご用意しました。
上記3つは、交通事故の入通院慰謝料を計算するシートです。計算シートをダウンロードしてお使いください。
計算シートの詳しい使い方はこの後解説します。
なお、後遺障害慰謝料については本記事内「後遺障害慰謝料の算定表の見方」を、死亡慰謝料については本記事内「死亡慰謝料の算定表の見方」を参照してください。
自動計算機もあります
自ら計算せずとも、自動で慰謝料を計算してくれる計算機も用意しました。計算が苦手だという方は、『交通事故の慰謝料計算機』にて計算機を使ってみてください。
慰謝料計算シート使ってみた
具体例を用いて、慰謝料計算シートを実際に使ってみます。入通院における慰謝料は、慰謝料の対象となる期間と、1か月単位で設定された金額をもとに計算します。
まずは慰謝料計算シート(軽傷用)を使って、実際に計算していきましょう。
(1)通院期間のみの場合
治療期間が通院のみの場合、まずは治療期間をひと月30日の月数と日数に換算します。慰謝料はひと月ごとに金額が算定表でまとめられているからです。
治療期間を月数に換算したら、対象となる月数を算定表のたて列(通院の慰謝料)から探し、慰謝料額を確認してみてください。
なお、算定表にはひと月ごとの金額が記載されているので、3か月と3日のように端数日数がある場合には、端数分の慰謝料を算出する計算が必要です。
端数日数が含まれる月の金額から前月分までの金額を差し引き、その差額を日割りすると端数分の金額がわかります。
【例】通院期間93日の場合
93日をひと月30日で換算すると通院期間は3月と3日です。
3月に対応する慰謝料の金額は算定表のたて列で確認できます。
端数の3日に対応する端数日数分の金額は、4月の金額から3月の金額を差し引いたものを日割りして算出します。
最後に、3月分の金額と3日分の金額を合計すると、慰謝料の金額がわかります。
慰謝料の算定表たて列(軽傷用の抜粋)
3月|53万円
4月|67万円
- 3月分の金額:53万円
- 端数である3日分の金額:(67万円-53万円)×3/30日=1万4,000円
(合計)54万4,000円=53万円+1万4,000円
(2)実通院が少ない場合
実通院が少ない場合、治療期間ではなく、実通院日数の3.5倍程度を目安として慰謝料を算定することがあります。(むちうち症で他覚所見がないなどの場合は実通院日数の3倍程度)
長期間にわたる治療期間に対して実際に通院した日数(実通院)が少ない場合は、症状・治療内容・通院頻度をふまえてこのような計算方法が採用されることがあるので注意してください。もっとも、実通院日数が少ないからといって必ずしも慰謝料の対象となる期間が修正されるわけではありません。
【例】治療期間540日に対して実通院日数40日の場合
40日を3.5倍した140日をひと月30日で換算すると通院期間は4月と20日になります。4月に対応する慰謝料の金額は算定表のたて列で確認し、20日に対応する端数日数分の金額を計算したら、それぞれを合計します。
慰謝料の算定表たて列(軽傷用の抜粋)
4月|67万円
5月|79万円
- 4月:67万円
- 20日:(79万円-67万円)×20/30日=8万円
(合計)75万円=67万円+8万円
(3)通院と入院がある場合
治療期間中に通院と入院をした場合、まずは通院期間と入院期間をひと月30日の月数と日数に換算します。そして、通院月数を示すたて列と、入院月数を示すよこ列が交わる箇所が入通院慰謝料の金額となります。
もっとも、算定表はひと月ごとの金額のみが記載されているので、ひと月に満たない端数日数がある場合は、端数分の金額計算が必要です。
入院月数・通院月数に端数がある場合の計算は、以下の流れで行います。
- 入院と通院を合計した治療期間に対する慰謝料を、表のたて列から求めます。
- 入院期間に対する慰謝料を表のよこ列から求めたあと、入院期間と同じ期間について、よこ列から通院の慰謝料を求め、入院期間に対する慰謝料から差し引きます。入院期間に対する入院の慰謝料には、通院に対する慰謝料が重複して計上されていることになるからです。
- 1と2を合計することで慰謝料を求めることができます。
【例】通院90日・入院3日の治療期間計93日の場合
93日をひと月30日で換算すると治療期間は3月と3日になります。
まず、3月に対応する金額は算定表のたて列で確認します。3日に対応する端数日数分の金額を計算したら、3月に対応する金額と合計します。
慰謝料の算定表たて列(軽傷用の抜粋)
3月|53万円
4月|67万円
- 3月:53万円
- 3日:(67万円-53万円)×3/30日=1万4,000円
(小計)54万4,000円=53万円+1万4,000円
つづいて、入院3日に対する金額を、よこ列から計算します。この端数日数分には通院の慰謝料が重複して計上されているので、たて列からも3日分の金額を計算して、重複分を差し引きます。
慰謝料の算定表よこ列(軽傷用の抜粋)
0月|0万円
1月|35万円
- 3日:(35万円-0万円)×3/30日=3万5,000円
慰謝料の算定表たて列(軽傷用の抜粋)
0月|0万円
1月|19万円
- 3日:(19万円-0万円)×3/30日=1万9,000円
(小計)1万6,000円=3万5,000円-1万9,000円
③治療に対する慰謝料54万4,000円と重複する通院の慰謝料を差し引いた入院に対する慰謝料1万6,000円を合計します。
【合計】56万円=54万4,000円+1万6,000円
(4)期間が算定表を超える場合
慰謝料の算定表は15月までしか記載されていないので、16月以降は14月と15月の差額を毎月毎に加算していきます。
【例】通院期間16月の場合
14月と15月の差額を出して、その差額分を16月に加算したものが16月の慰謝料となります。
慰謝料の算定表たて列(軽傷用の抜粋)
14月|121万円
15月|122万円
- 14月と15月の差額:1万円=(122万円-121万円)
- 16月:123万円=122万円+1万円
(5)自賠責基準の場合
自賠責基準の場合は、慰謝料計算シート(自賠責保険用)を使って、実際に計算していきます。
自賠責基準では、入通院期間または入院日数+(実通院日数の2倍)のいずれか小さい方が入通院慰謝料の対象となる日数として採用されます。 また、自賠責基準では1日当たりの慰謝料の金額が4,300円(2020年3月までの事故なら4,200円)です。したがって、入通院慰謝料の対象となる日数に4,300円をかけることで慰謝料額がわかります。
【例】入通院期間90日のうち入院日数5日・実通院日数15日の場合
- 入通院期間90日
- 入院日数5日+(実通院日数15日の2倍)=35日
90日>35日なので、35日を慰謝料の対象となる日数として採用します。
この35日に対して、1日当たりの慰謝料4,300円をかけていきます。
15万500円=35日×4,300円
ただし、自賠責保険において傷害部分に関する限度額は120万円です。治療費等で120万円を超えてしまっていると、自賠責保険にはそれ以上の慰謝料を請求することができません。120万円を超えた部分に関しては、相手方の任意保険会社等に請求していくことになります。
自賠責保険の上限額は、後遺障害分や死亡分に対しても定められています。
詳しくは『自賠責保険から慰謝料はいくらもらえる?』をご確認ください。
慰謝料に関する情報を網羅的に知りたい方は『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』の記事、慰謝料の計算方法についてもっと詳しく知りたい方は『交通事故の慰謝料の計算方法|正しい賠償金額がわかる』の記事も参考にしてみてください。
慰謝料以外の費目も計算が必要!弁護士にご相談ください
慰謝料計算シートを使ってみて、慰謝料の計算方法や計算工程はご理解いただけたでしょうか。ご理解いただけたという方も、そうでない方も、一度、弁護士に相談いただくことをおすすめします。
というのも、交通事故の被害で保険会社に請求できるのは、慰謝料だけではありません。ほかにも、休業損害や逸失利益などの費目を請求することができます。これらはご自分で計算することもできますが、専門的な知識を加味してさらに複雑な計算が必要となってきます。
どのくらいの金額が妥当なのか、弁護士にご相談いただくことで増額の可能性を検討できます。アトム法律事務所は無料で相談できる機会をご用意していますので、気軽にご利用ください。
交通事故の慰謝料|早分かり一覧表
慰謝料が早分かりできる一覧表も用意しましたので、計算シートとあわせてご活用ください。
ここでは弁護士基準による算定がいかに高くなるか差額をご覧いただくために便宜上、任意保険基準との比較を一覧表で説明します。
任意保険基準とは、保険会社が示談交渉の際に提示してくる金額の目安です。
通院(1~12ヶ月)の慰謝料一覧表
通院が1ヶ月~12ヶ月つづいた場合の軽症用の慰謝料一覧表です。
通院期間 | 任意保険 | 弁護士 (軽傷) | 弁護士 (重傷) |
---|---|---|---|
1ヶ月 | 12.6 | 19 | 28 |
2ヶ月 | 25.2 | 36 | 52 |
3ヶ月 | 37.8 | 53 | 73 |
4ヶ月 | 47.9 | 67 | 90 |
5ヶ月 | 56.7 | 79 | 105 |
6ヶ月 | 64.3 | 89 | 116 |
7ヶ月 | 70.6 | 97 | 124 |
8ヶ月 | 76.9 | 103 | 132 |
9ヶ月 | 81.9 | 109 | 139 |
10ヶ月 | 86.9 | 113 | 145 |
11ヶ月 | 90.7 | 117 | 150 |
12ヶ月 | 93.2 | 119 | 154 |
※慰謝料の単位:万円
※任意保険基準は旧任意保険支払基準から作成
退院後も通院が続いた時の慰謝料一覧表
入院期間0.5ヶ月に対して通院が1ヶ月~12ヶ月つづいた場合の軽症用の慰謝料一覧表です。
入院期間 通院期間 | 任意保険 | 弁護士 |
---|---|---|
0.5ヶ月 1ヶ月 | 25.2 | 36.5 |
0.5ヶ月 2ヶ月 | 37.8 | 53.5 |
0.5ヶ月 3ヶ月 | 50.4 | 70.5 |
0.5ヶ月 4ヶ月 | 60.5 | 84.5 |
0.5ヶ月 5ヶ月 | 69.3 | 96.5 |
0.5ヶ月 6ヶ月 | 76.9 | 106.5 |
0.5ヶ月 7ヶ月 | 83.2 | 114.5 |
0.5ヶ月 8ヶ月 | 89.5 | 120.5 |
0.5ヶ月 9ヶ月 | 94.5 | 126.5 |
0.5ヶ月 10ヶ月 | 99.5 | 130.5 |
0.5ヶ月 11ヶ月 | 103.3 | 134.5 |
0.5ヶ月 12ヶ月 | 105.8 | 136.5 |
※慰謝料の単位:万円
※任意保険基準は旧任意保険支払基準から作成
入院期間1ヶ月に対して通院が1ヶ月~12ヶ月つづいた場合の重傷用の慰謝料一覧表です。
入院期間 通院期間 | 任意保険 | 弁護士 |
---|---|---|
1ヶ月 1ヶ月 | 37.8 | 77 |
1ヶ月 2ヶ月 | 50.4 | 98 |
1ヶ月 3ヶ月 | 60.5 | 115 |
1ヶ月 4ヶ月 | 69.3 | 130 |
1ヶ月 5ヶ月 | 76.9 | 141 |
1ヶ月 6ヶ月 | 83.2 | 149 |
1ヶ月 7ヶ月 | 89.5 | 157 |
1ヶ月 8ヶ月 | 94.5 | 164 |
1ヶ月 9ヶ月 | 99.5 | 170 |
1ヶ月 10ヶ月 | 103.3 | 175 |
1ヶ月 11ヶ月 | 105.8 | 179 |
1ヶ月 12ヶ月 | 108.4 | 183 |
※慰謝料の単位:万円
※任意保険基準は旧任意保険支払基準から作成
【計算例】骨折で通院3ヶ月
交通事故で骨折し、3ヶ月間通院した場合を例に慰謝料をみてみましょう。
通院期間 | 任意保険 | 弁護士 | 差額 |
---|---|---|---|
3ヶ月 | 37.8 | 73 | 35.2 |
※慰謝料の単位:万円
※任意保険基準は旧任意保険支払基準から作成
弁護士基準で計算することが一番高額な慰謝料になることがわかります。
納得いかない慰謝料を増額させる方法
慰謝料計算シートを使ってみて、保険会社が提示する金額と弁護士が請求できる金額にかなり大きな開きがあると驚かれたことと思います。 慰謝料を十分に増額させるにはどのような方法があるのでしょうか。
弁護士基準による慰謝料額を相手方に主張する
保険会社の提示額をアップするには、弁護士基準で慰謝料を計算し、相手方に請求する必要があります。
すでにこの記事の中でも紹介した通り、相手方保険会社が提示してくる任意保険基準の金額は、弁護士基準のものよりも低額となっています。
相手方の保険会社から提示額の正当性を説明されたとしても、その金額を手放しに受け入れてしまわないことが重要です。
弁護士基準の金額は、本記事内で紹介した慰謝料一覧表や慰謝料計算シートを使うことで知ることができます。
しかし、考慮されるべき事情があれば慰謝料がさらに高額になることもありますし、慰謝料以外にも治療費・休業損害・後遺障害慰謝料など請求できる費目は多くあります。
厳密な慰謝料額やその他の費目の正当額を知るためには、一度弁護士に相談することがおすすめです。
なお、示談交渉では被害者本人が弁護士基準の金額を主張しても、聞き入れられないことがほとんどです。示談交渉まで弁護士に任せてしまうことが、一番の方法といえます。
慰謝料が請求できるケースを正確に把握する
慰謝料は「交通事故で受けた精神的苦痛に対する補償」という一般の方には馴染みの少ない、イメージが付きにくいものだと思います。自分がおかれた状況では慰謝料が請求できるケースに当てはまらないと思い込んでしまい、請求自体を諦めてしまっているということも少なくありません。
しかし、慰謝料は請求できないと思っていたケースでも、実は慰謝料がもらえることがあります。
相手方保険会社の方からわざわざ「このケースでも慰謝料請求できますよ」と教えてくれることは期待できないので、ここで慰謝料請求できるのにできないと思われがちなケースを紹介していきます。
整骨院の通院も慰謝料の対象となる
整骨院は正確には治療行為ではありませんが、医師免許を持つ医師から整骨院への通院を認める診断書を書いてもらえば、整骨院の通院期間も慰謝料の算定期間に含めることができます。
保険会社から「整骨院に通った期間は慰謝料の対象となりません」「整骨院への通院期間なので慰謝料を減額します」などと言われたとしても、医師の判断による整骨院への通院であれば問題ありません。
ただし、整骨院を通院する前には保険会社に整骨院への通院を伝えておいた方が無難です。保険会社への報告なしに整骨院へ通院してしまうと、治療費の支払いなどでトラブルになりかねません。不要なトラブルを避けるためにも、保険会社への事前の報告が大切です。
治療に関する注意ポイントをまとめた記事『交通事故の治療の流れ|整骨院と整形外科のどちらに通うのが正解?』も参考にしてみてください。
入院していたが亡くなった場合、入通院慰謝料と死亡慰謝料が請求できる
交通事故後に入院しながら治療をつづけていたが亡くなったというケースでは、入院中の期間に対する慰謝料と死亡慰謝料の2つの慰謝料を請求することができます。
たとえば一家の支柱として家計を支えていた男性が1ヶ月の入院の後、死亡した場合、弁護士基準ではそれぞれ以下の金額を請求できるのです。
- 入通院慰謝料(1月):53万円
- 死亡慰謝料(一家の支柱):2800万円
入通院慰謝料と死亡慰謝料を合計すると、2853万円になります。
死亡事故で請求できる慰謝料は死亡慰謝料だけ、と思われがちですが、このように入通院慰謝料も請求できることがあるので、よく確認しましょう。
搬送直後に亡くなったケースは?
交通事故の現場で亡くなるのではなく、病院に搬送された直後に亡くなったようなケースでは、入通院したとは認められません。よって、入通院慰謝料を請求することはできないでしょう。搬送直後に亡くなったケースでは、死亡慰謝料として請求することになるのが一般的です。
寝たきりで入院し続けているなら入通院慰謝料・後遺障害慰謝料が請求できる
交通事故で脳に重い障害が残る等して寝たきり状態となり、病院に入院しつづけてるケースでは、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つの慰謝料を請求することができます。
もっとも、入通院慰謝料は症状固定日までの期間を対象に支払われます。症状固定日より後の期間については、後遺障害慰謝料を請求しましょう。
たとえば、入院1年で症状固定となり後遺障害等級1級が認められた場合では、弁護士基準では入通院慰謝料321万円と後遺障害慰謝料2800万円の合計3121万円の慰謝料を請求することができます。
慰謝料以外にも請求できる費目があることを知る
交通事故の被害で請求できる費目は慰謝料のみならず、多岐にわたります。 「実はこの費用も交通事故の損害として請求できたの?」と後になって後悔しないように、どのような費目が請求対象となるのか知っておく必要があります。
怪我全般に対して
- 治療費
- 入院雑費
- 通院交通費
- 入通院慰謝料
- 休業損害
後遺障害に対して
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
死亡に対して
- 死亡慰謝料
- 死亡逸失利益
- 葬儀費用
など
主な項目を述べただけですが、これだけの費目があります。漏れのないように賠償請求することが、慰謝料を含む損害賠償金全体の増額につながります。
損害賠償請求の際に知っておくべきことについては『交通事故の損害賠償請求とは?』でまとめているので、確認してみてください。
後遺障害慰謝料の算定表の見方
後遺障害慰謝料は、等級ごとに金額が決められています。金額が記載された算定表をみるだけなので、めんどうな計算方法は必要ありません。たとえば、後遺障害が14級に認定された人は110万円、9級に認定された人は690万円だということがわかります。
注意すべきなのは、後遺障害慰謝料にも自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの算定基準がある点です。最も高い額の慰謝料が得られるのは弁護士基準の場合です。
等級 | 自賠責 | 弁護士 |
---|---|---|
要介護 1級 | 1,650 (1,600) | 2,800 |
要介護 2級 | 1,203 (1,163) | 2,370 |
1級 | 1,150 (1,100) | 2,800 |
2級 | 998 (958) | 2,370 |
3級 | 861 (829) | 1,990 |
4級 | 737 (712) | 1,670 |
5級 | 618 (599) | 1,400 |
6級 | 512 (498) | 1,180 |
7級 | 419 (409) | 1,000 |
8級 | 331 (324) | 830 |
9級 | 249 (245) | 690 |
10級 | 190 (187) | 550 |
11級 | 136 (135) | 420 |
12級 | 94 (93) | 290 |
13級 | 57 (57) | 180 |
14級 | 32 (32) | 110 |
※慰謝料の単位:万円
※※( )内の金額は2020年3月31日以前に発生した交通事故に適用
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に認定されていることを前提条件として支払われます。等級は、申請をして審査を受けることで認定されます。治療をつづけても後遺症の症状が残っているという方は、後遺障害の申請をおこないましょう。
後遺障害の申請方法や、適正な認定を受けるためのポイントについては『交通事故で後遺障害を申請する』をご覧ください。
死亡慰謝料の算定表の見方
死亡慰謝料は、亡くなられた方の家族内の立場ごとに金額の目安が決められています。計算式を使って金額をだすのではなく、目安となる金額が記載された算定表をみるだけでよいです。たとえば、一家の支柱として家計を支えていた方が亡くなられた場合、自賠責基準だと400万円、弁護士基準だと2,800万円だということがわかります。
被害者 | 自賠責 | 弁護士 |
---|---|---|
一家の支柱 | 400 (350) | 2,800 |
母親・配偶者 | 400 (350) | 2,500 |
独身の男女 | 400 (350) | 2,000 ~ 2,500 |
子ども | 400 (350) | 2,000 ~ 2,500 |
幼児 | 400 (350) | 2,000 ~ 2,500 |
以下は該当する場合のみ | ||
+ 遺族1名 | 550 | – |
+ 遺族2名 | 650 | – |
+ 遺族3名以上 | 750 | – |
+ 被扶養者あり | 200 | – |
※慰謝料の単位:万円
※※遺族:被害者の配偶者、子、両親(認知した子、義父母などを含む)
※※※( )内の金額は2020年3月31日以前に発生した交通事故に適用
なお、自賠責基準は遺族の人数に応じて遺族に対する慰謝料が増額されていくのに対して、弁護士基準ははじめから遺族に対する慰謝料を含めた金額が決まっています。 いずれにせよ表をご覧いただければ、弁護士基準の方が1,000万円ほど高いことがわかるでしょう。
示談交渉を弁護士に依頼することをおすすめしたい理由
慰謝料の金額は、最終的には示談交渉によって決まります。
示談交渉の相手は基本的に加害者側の任意保険会社となりますが、このとき、被害者側は弁護士を立てることがおすすめです。
その理由を紹介していきます。
弁護士基準での請求は弁護士にしかできない
弁護士基準による慰謝料額がもっとも高額であることはすでにお伝えしました。弁護士基準による算定を実現させるには、弁護士に示談交渉を依頼しなければなりません。
保険会社は企業として活動しているので、支出となる慰謝料の支払いが極力少なくなるように交渉してきます。
保険会社は日々さまざまな弁護士や被害者と示談交渉を行うプロなので、被害者本人が弁護士基準の金額を主張したところで、簡単に退けられてしまうでしょう。
だからこそ、弁護士を立てて弁護士基準の金額獲得を目指すことが大切なのです。
なお、弁護士による介入を受けると、慰謝料増額以外にもさまざまなメリットが得られます。
弁護士が介入するメリット
- 慰謝料を弁護士基準で算定して増額する
- 交通事故による損害として主張し、損害賠償の費目に漏れがないようにする
- 適正な過失割合を主張する
- 後遺障害等級に認定されやすくなる
- めんどうな保険会社との示談交渉を一任できるのでストレスを受けない
- その他、法律的な問題は弁護士に任せられる
保険会社との示談交渉に弁護士が必要不可欠である理由について詳しくは『交通事故の慰謝料は弁護士基準で請求!慰謝料相場と増額成功のカギ』も参考にしてみてください。
交通事故の解決実績を重ねてきたアトム法律事務所
ここまでお読みいただいた方は、最も適正な金額の慰謝料は弁護士基準によるもので、弁護士基準による算定を実現するためには弁護士に依頼した方がいいことがおわかりいただけたかと思います。
とはいっても、どの弁護士に依頼しても満足いく結果につながるとは限りません。交通事故の示談交渉では、交通事故案件をあつかってきた「経験」と「実績」を兼ね備えた弁護士に依頼することが重要になります。
アトム法律事務所の弁護士は交通事故案件の経験と実績を重ねてきた結果、90%を超えるお客様から相談満足度を頂いております。
ご相談は電話・LINE・メールで受け付けております。相談の受け付けは年中無休・24時間体制ですので、いつでも気軽にお問い合わせください。
弁護士に依頼した場合にかかる弁護士費用について気になる方は『交通事故の弁護士費用相場は?計算方法と弁護士費用特約の使い方』も参考にしてみてください。
まとめ
- 計算シートを使えばカンタンに慰謝料の金額を求めることができる
- 計算機を使えば自分で計算しなくても慰謝料の金額がわかる
- 弁護士基準による算定を実現することで慰謝料が増額する
- 弁護士基準での請求は弁護士に依頼することで実現する
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了