駐車場事故への対処と過失割合!コンビニ・スーパー・コインパーキングの事故判例

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駐車場の事故

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

駐車スペース探しに気をとられて車両とぶつかったり、子どもが急に飛び出してきたり、バックしてきた車両と接触したりと、駐車場には事故の危険がたくさんあります

ところで「駐車場なら事故が起きても警察を呼ばなくていい」といった話が広まっているようですが、駐車場であろうとなかろうと事故が起きたら警察には届け出るようにしてください。

本記事では、駐車場で事故が起こったときの対処法や過失割合、よくある疑問について網羅的にまとめています。

本記事は「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に記載されている情報をベースに作成しております。

目次

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駐車場で事故が起きたときの対処法と解決までの流れ

駐車場内で事故が起きたら、まずはケガ人の救護と警察への連絡に専念しましょう。その後はケガの治療、示談交渉といった流れになります。

駐車場での事故に関する適切な対処法と前提知識を解説するので、順番にお読みください。

(1)負傷者の救護・安全確保・警察に連絡

駐車場内で事故に巻き込まれたら、まずは負傷者を救護して周囲の安全を確保します。

安全が確保出来たら、警察に連絡してください。警察が到着すると、その場で実況見分が行われることもありますが、後日改めて実況見分が行われることもあるでしょう。

また、事故直後の対応が落ち着いてからでいいので、加入する保険会社にも速やかに連絡を入れてください。

駐車場が私有地であってもなくても警察へ報告

駐車場と一口に言っても、私有地扱いとなる駐車場では道路交通法が適用されず、警察への届け出が義務でないケースもあります。

ただし、スーパー・コンビニの駐車場や、コインパーキングのような「不特定多数の人が出入りする駐車場」では道路交通法が適用されるので、事故が起きたら警察に必ず届け出てください。

警察への事故発生の届け出は義務です。

警察に交通事故発生を届け出ないと「交通事故証明書」が発行されません。交通事故証明書がないと保険が使えないこともあるので、事故が発生したら警察に届け出ると覚えておきましょう。

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ポイント

駐車場内の事故でありがちなのが、相手が大丈夫と言ったから警察を呼ばなかったのに、実は被害届が出されてひき逃げと見なされたり、その場の口約束だけで全く賠償してもらえないといった失敗です。

まずは必ず警察に報告しましょう。警察に報告していないと、保険会社も対応をしてくれません。また、当人同士で勝手に決めた金額を保険会社が受け入れることもないでしょう。

また、警察を呼んだ後に「この件はお互いで直しましょう」と自損自弁を持ち掛けられた場合は、慎重な検討が必要です。『接触事故にあったときの現場対応と過失割合!自損自弁と言われたらどうする?』の記事も参考にしてください。

事故の状況を証拠として残す

もしドライブレコーダーがあればデータの保存をおこないましょう。あるいは、駐車場の管理者へ依頼をして、監視カメラのデータを借りることが出来ないか、確認しておくこともおすすめです。

また、事故発生時の車の位置関係や破損個所をスマホで撮影しておくことも有効でしょう。

(2)ケガの治療を受ける

交通事故後はできるだけすみやかに病院を受診して治療を受けてください。事故直後は興奮のため、痛みを感じないという方も多いです。

異常がない・ケガがないと思っていても、事故にあったら念のため病院に行きましょう。

治療を受けて無事に完治すれば幸いですが、場合によっては後遺症が残るケースも考えられます。医師が「完治」または「症状固定」と判断するまで、治療をつづけてください。

症状固定と判断されたら、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。後遺障害等級は、事故の損害賠償請求において金額に大きな影響を与えます。

症状固定と診断されたら、『症状固定とは?時期や症状固定と言われた後にする後遺障害認定と示談』も参考にして、症状固定の時期が大切であること、後遺障害認定を受けるまでの流れを確認しておきましょう。

後遺障害認定の申請を考えている方や、申請しても認定されなかった方は以下の記事が役立ちます。

(3)示談交渉で過失割合を決めて損害賠償請求する

ケガの完治もしくは後遺障害認定の審査結果を経て、交通事故で受けた損害の算定が可能になります。損害を算定したら、事故の相手方と示談を通して損害賠償請求を行います。

通常は、事故の相手方が加入する任意保険会社から示談金と過失割合の提示を受けることで、示談交渉がはじまることになるでしょう。

交通事故の流れ

示談で解決に至らない場合は、調停や裁判を通して損害賠償問題の解決を図っていくことになります。

相手の言う過失割合を信じ込まない

相手方の保険会社が提示する過失割合がいつも正しいとは限りません。相手からすると、過失が少ない方が支払う金額が少なくなるので、少しでも過失を減らしたいというのが本音です。

また、相手の保険会社が修正要素を見落として反映されていないこともあるでしょう。

過失割合が1割違えば、相手に支払う賠償金が増え、相手から受けとれる賠償金は減ります。過失割合の提案を受けたなら、交通事故の解決に力を入れている弁護士に過失割合の見解を聞きましょう。

過失割合はそのままでも増額の可能性あり

慰謝料を含む示談金額についても、弁護士に見積もりを取ってもらうことをおすすめします。なぜなら相手の保険会社が提示する金額は適正な相場を下回っている可能性が極めて高いからです。

弁護士が交渉することで、適正な金額へ近づけるように交渉します。もし過失割合が変わらなくても、慰謝料そのものを引き上げることができるため、結果的に受けとる金額は増える可能性が高いです。

弁護士による増額交渉

交通事故の慰謝料は誰が計算するかで金額が変わることがあります。

弁護士がこれまでの判例をもとに慰謝料を計算すると、相手の保険会社が提示する金額より高額になる可能性がかなり高いです。

弁護士に過失割合の交渉を任せたい方や慰謝料増額を目指したい方は、まず無料の法律相談を活用してみましょう。

弁護士による交渉で過失割合が変わる見込みはあるのか、慰謝料増額の見通しはいくらになるのか、専門家の見解を聞いてから正式依頼ができます。

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駐車場内で起きた事故の過失割合

駐車場内で起きた事故にもさまざまな態様があります。それぞれ基本の過失割合をみていきましょう。

【前提】過失割合は基本形に修正要素を加えて決める

過失割合は、事故類型ごとに決められた基本の過失割合に、事故個別の状況を反映するための修正要素を加えて決まっていきます。

修正要素の例としては、事故の当事者が子どもや高齢者であること、一時停止などの表示を守らなかったこと、道幅、運転に関する過失があげられます。

修正要素になる過失とは?

過失には、著しい過失と重大な過失があります。

著しい過失の例としては、わき見運転などの前方不注視、著しいハンドル・ブレーキ操作不適切、スマホのながら運転、酒気帯び運転などがあげられます。

重大な過失の例としては、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、過労や病気および薬物の影響などで正常な運転ができないのに運転をした場合などがあげられます。

駐車スペースを探していて前方確認がおろそかになったり、飲食でハンドル操作を誤ったりなど、駐車場内での事故でも過失がつく可能性があるでしょう。

交通事故の過失割合に関する基本的な内容は『交通事故の過失割合とは?決め方と示談のコツ!事故パターン別の過失割合』の記事で解説していますので、あわせてご確認ください。

過失割合(1)駐車場の交差部分で出会い頭事故

駐車場内の交差点部分での事故状況図

駐車場内の通路の交差部分で「直進または右左折のために進入する車(A)」と「直進または右左折のために交差通路から進入する車(B)」の出会い頭の事故では、基本の過失割合はA:B=50:50です。

駐車場の交差部分における出会い頭事故の過失割合

AB
基本の過失割合5050
Aが狭路、Bが明らかに広い通路
Bが丁字路直進
+10-10
一時停止・通行方向標示等の違反±15~20±15~20
その他の著しい過失±10±10
重過失±20±20
Bが狭路、Aが明らかに広い通路-10+10

過失割合(2)通路進行車と出庫車の事故

駐車場内での「通路を進行する車(A)」と「駐車区画から出庫する車(B)」の事故では、基本の過失割合はA:B=30:70です。

通路進行車と出庫者の事故の過失割合

AB
基本の過失割合3070
著しい過失±10±10
重過失±20±20

過失割合(3)通路進行車と入庫車の事故

駐車場内での「通路を進行する車(A)」と「駐車区画へ入庫する車(B)」の事故では、基本の過失割合はA:B=80:20です。

通路進行車と入庫車の事故の過失割合

AB
基本の過失割合8020
Bの著しい過失-10+10
重過失±20±20
Aの徐行なし+10-10
Aのその他の著しい過失+10-10

過失割合(4)入庫車と歩行者の事故

駐車場の駐車区画内での「入庫車(A)」と「歩行者(B)」の事故では、基本の過失割合は入庫車:歩行者=90:10です。

入庫車と歩行者の事故の過失割合

AB
基本の過失割合9010
隣接区画での乗降あり+10-10
Bが児童・高齢者+5-5
Bが幼児・身体障害者等+10-10
Aの著しい過失・重過失+10-10

車へ乗り降りしようとしている人と、その隣へ入庫しようとしている車両の事故では、入庫者に100%の過失があると判断される可能性があります。

過失割合(5)通路進行車と歩行者の事故

駐車場内の通路での「進行車(A)」と「歩行者(B)」の事故では、基本の過失割合は進行車:歩行者=90:10です。

通路進行車と歩行者の事故の過失割合

AB
基本の過失割合9010
急な飛び出し-10+10
歩行者用通路標示上+20-20
Bが児童・高齢者+5-5
Bが幼児・身体障害者等+10-10
Aの著しい過失+10-10
Aの重過失+20-20

買い物を終えて自分の車へ向かう歩行者や、コインパーキングで料金の支払いをしている歩行者との接触事故などでは、こうした過失割合が適用されるでしょう。

過失割合(6)駐車場を出て道路へ入る時の事故

駐車場から出で道路へ侵入したとき、道路を走行する車両と事故になった場合には、原則として駐車場から出て道路へ入った路外車の過失が高くなります。

駐車場から道路へと出るために右折する「自動車(A)」と道路を走行する「自動車(B)」の事故では、基本の過失割合は駐車場から出る車:道路を走行する自動車=80:20です。

道路外から道路に進入するために右折する場合の過失割合

AB
基本の過失割合8020
Aが頭を出して待機-10+10
Aの既右折-10+10
Bのゼブラゾーン進行-10~20+10~20
Bの15km以上の速度違反-10+10
Bの30km以上の速度違反-20+20
Bの著しい過失-10+10
Bの重過失-20+20
幹線道路での事故+5-5
Aの徐行なし+10-10
Aの著しい過失+10-10
Aの重過失+20-20

なお、駐車場から出て左折した場合の接触事故も、基本の過失割合は80:20となるでしょう。また、右折のケースとほとんど同じ修正要素が用いられる見込みです。

頭出し待機していたら過失は小さくなる可能性がある

駐車場から道路へ出るためにそろそろと運転して頭を出して待機していたことは、過失割合を10%小さくする可能性があります。

頭出し待機をしていて道路を走行する車両とぶつかった場合、自動車同士の事故の過失割合は30:70となる見込みです。

自転車との事故なら自動車側の過失は重くなる

駐車場から道路へと出る「自動車」と「自転車」の事故では、基本の過失割合は駐車場から出る車:道路を走行する自転車=90:10です。

道路から出る自動車がそろそろと進行して頭を出して待機していた場合、自動車側の過失割合は10%小さくなり80:20となる可能性があります。

一方で、自転車に乗っていた人が高齢者や児童ならば、自動車側の過失は10%大きくなるので、100:0の事故態様ともなりえます。

駐車場内での事故を防ぐポイント

駐車場内で事故を起こさないために、具体的にどういった点に注意すべきなのか解説します。

駐車場内は十分な徐行と車間距離を保つ

駐車場内では、速度を十分に落として徐行してください。駐車場によっては制限速度を管理者が定めていることもありますが、単純に制限速度を守っていればいい訳ではありません。駐車場内は、いつでも停車できる速度で走行しましょう。

また、駐車場では駐車区画に入ろうと停止したり後退したりしていることが多いので、走行順路を守り、十分な車間距離を取ることも大切です。

自分の目と耳で周囲の安全確認を行う

どのような場合でも「相手が止まってくれるだろう」「このまま進んでも大丈夫だろう」といった思い込みで運転すると事故が起きやすいです。

特に、駐車場ではスピードが出ていないことも相まって、安全意識が薄れてしまいがちです。

駐車場であっても、いっそう気を引き締め、自分の目と耳で周囲の安全確認を行うようにしましょう。

また、たとえば信号機のある交差点の角にコンビニがあるような場合では、赤信号が変わるのを待たずしてコンビニの駐車場を通り抜けて左折しようとする運転者もいます。

このような場合では、駐車場でもあまり減速せずに進入してくる可能性が高いので、より注意するようにしてください。

駐車場には死角が多いことを再認識する

駐車場にはさまざまな形の車が停まっており、死角が多く存在します。トラックや車高の高い車は当然ですが、普通の乗用車でも小さな子どもや車椅子の方は死角に入ってしまいます

突然、人や自転車が飛び出してくることもあるので、駐車場には死角が多いことを再認識しておく必要があるでしょう。

もっとも、見通しのいい場所であっても、子どもだと急に走り出したりする可能性もあるので、油断は禁物です。

また、同乗のお子さんを降ろして駐車したり、手を繋がずに駐車場内を歩いたりすることもあると思いますが、駐車場内ではお子さんから目を離さないように細心の注意を払ってください。

出庫時は二段階停止を行う

駐車区画から出庫するときは車の先を少しだけ出してから一旦停止し、通路を進行する車や歩行者に対して出庫することをアピールしましょう。

通路の安全確認ができる場所までゆっくりと進み出て、再度停止した状態で周囲の安全確認を行ってから通路に出る二段階停止を行ってください。

駐車のアシスト機能がついた車も豊富にありますが、そういった便利な機能ばかりに頼るのではなく、自分の目と耳で安全確認を行いましょう。

バック駐車はさらなる注意が必要

バック駐車する際は、バックギアと後方を確認しましょう。近年の車は、バックギアを入れるとリバース警告音が鳴ります。警告音を聞いたら、後方に歩行者や車がいないか確認して、ゆっくりと人が歩く程度の速さで慎重にバックしましょう。

バック駐車をやり直したい時でも、すぐに前進するのではなく、再度周りに歩行者や車がいないか確認してください。焦らず、ひとつひとつの行動を丁寧に確認しながら行いましょう。

駐車場内での事故でよくある疑問

駐車場内で発生した事故に関して多く寄せられる疑問についてお答えします。

駐車場の利用者同士の事故は管理者に責任がない?

駐車場内で車同士が衝突したり、歩行者がはねられたりしたような駐車場の利用者同士の事故は、原則的に駐車場の管理者に責任を問うことはできません

事故の損害賠償問題は、基本的に事故の当事者間で解決する必要があるからです。

自損事故で駐車場設備にぶつかった場合の責任は?

自損事故であってもご自身で加入されている保険が使える可能性があるので、警察へ連絡した後は、ご自身の保険会社にも連絡を取りましょう。詳しくは『自損事故で使える保険は?』をご確認ください。

もっとも、駐車場の設備等に不具合があって起きたような事故においては民法第717条の工作物責任に基づいて管理者に責任を問える場合があります。

  • 駐車場のフェンスやポールが腐って折れており、車に擦って傷がついた
  • 経年劣化した機械式立体駐車場から車が落下してきて怪我をした

駐車場内に「当駐車場内での事故やトラブルに関して一切責任を負いません」といった内容の看板が設置されていたとしても、事故の原因が駐車場の管理者にもあるようなケースでは、管理者に責任を問える可能性があるでしょう。

コインパーキングのフラップ板で車両が傷ついた?

コインパーキングの駐車スペースに入庫する際、フラップ板が上がったままであったために車両が傷つくという事故もよくみられます。

駐車スペースに入出庫する際のフラップ板は下がりきっているのが通常です。そのため、フラップ板の故障によって事故が発生したのであれば、コインパーキングの管理者に事故の責任を問うことができるでしょう。

ただし、フラップ板は故障しておらず、単純に利用者がフラップ板の確認を怠ったことで事故が発生したような場合では、管理者に責任を問えない可能性が高いです。

駐車場内で当て逃げされたら?

当て逃げされた場合は、すみやかに警察へ連絡しましょう。その後は、ご自身の加入する保険会社へ連絡をして、利用できる保険や特約の有無を確認してください。

駐車場では、ドアパンチを含む当て逃げの被害が多く聞かれます。当て逃げの被害にあった時の対応について詳しく知りたい方は、関連記事『駐車場での当て逃げ事故の対処法』がおすすめです。

駐車場では踏み間違いによる事故が起きやすい?

駐車場内では、駐車する際のハンドル操作やペダル操作が増えるのに加えて、他の車や歩行者にも注意を向ける必要があるので、踏み間違いを誘発しやすいといわれています。

ニュースでは高齢者の踏み間違い事故が取り上げられがちですが、運転に不慣れな若年層による踏み間違い事故も多いです。

関連記事『踏み間違い事故の対策。アクセルとブレーキを間違うのは高齢者だけでもない?』も参考に、どのような年齢層の方でも自分には関係ないと思わず、アクセルとブレーキの位置を確認して、安全運転を心がけましょう。

駐車場内で実際に起きた事故例

コンビニやスーパーの駐車場、コインパーキングで起きた事故例を、過去の判例から見ていきましょう。

コンビニ駐車場内で起きた事故の判例

コンビニの駐車場内で発生した被告が運転する乗用車と原告が運転する自転車との衝突事故で、過失割合が乗用車80:自転車20とされた判例を紹介します。

判例

コンビニの駐車場の駐車スペースから後退していた乗用車が後方を十分に確認しておらず、乗用車の後部と駐車場内を走行していた自転車の左側が衝突した。駐車場という場所では歩行者や自転車の往来が容易に予見できるにもかかわらず、後方の十分な確認を怠り後退した被告に大きな過失があると認められた。

もっとも、自転車を走行していた原告も駐車スペースに停止中の車両が後退して出てくることは容易に予見・認識しえたにもかかわらず、進路の安全確認を怠った過失があるとして、被告80%、原告20%の過失割合が認められた。

横浜地方裁判所 平成29年(ワ)第5539号、平成30年(ワ)第1430号 損害賠償請求事件(第1事件)、求償金請求事件(交通事故)(第2事件) 令和元年11月21日

治療関係費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、物損等から過失相殺し、合計約433万円とその遅延損害金の請求が認められました。

スーパー駐車場内で起きた事故の判例

スーパーの駐車場内で発生した被告が運転する乗用車と原告が運転する原付自転車との接触事故で、乗用車側に100%の過失が認められた判例を紹介します。

判例

スーパーの駐車場に進入した乗用車が東方面へ右折進行した際、西方面へ向かう通行部分内の停止線手前に停車していた原付自転車に気づかず、接触事故が発生した。被告には進路前方を注視しなかった過失があり、原告が事故回避措置を講じることは困難であったとし、被告に100%の過失が認められた。

被告は、原告が勝手に包帯を外したことで怪我の状態が悪くなった等と主張したが、裁判所は素因減額にはあたらないとして、人身損害を認容した。

金沢地方裁判所 平成26年(ワ)第160号 損害賠償請求事件 平成29年1月20日

治療関係費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、物損等から既払金を差し引いた合計約623万円の請求が認められました。

コインパーキング内で起きた事故の判例

コインパーキング内で発生した、原告自動車に被告自動車が追突した事故に関する判例を紹介します。

判例

コインパーキングで停車中であった原告が運転する自動車に、被告が運転する自動車がノーブレーキで追突する事故が発生した。この事故で、原告は頚椎捻挫や右下腿打撲などの傷害を負った。

自動車損害賠償責任保険における後遺障害の審査において、原告の主張する症状が後遺障害に該当しない旨の判断がでたことから、被告は後遺障害と事故に因果関係はないと主張していていたが、裁判所は原告の後遺障害と事故との因果関係には相当性があるとし、慰謝料を認めた。

東京地方裁判所 平成24年(ワ)第204号 損害賠償請求事件 平成24年9月12日

治療費、通院交通費、慰謝料(入通院慰謝料・後遺障害慰謝料)等から既払い金を差し引いた合計約99万円が認められました。

補足

コインパーキングは比較的狭いことも多いです。車同士のすれ違い時やハンドル操作ミスでの接触事故など、車同士の距離が近いことに起因した事故に注意すべきでしょう。

また、コインパーキングは一時利用者も多いです。事故相手と後日連絡がつかないとなると厄介になるので、警察へ事故発生を報告したら、双方の連絡先や加入する保険会社を確認しておきましょう。

立体駐車場で起きた事故の判例

立体駐車場の駐車区画で起こった、後退駐車しようとする原告車両と、通路付近を走行する被告車両の衝突事故の判例を紹介します。この裁判では、後退駐車しようとする原告車両に過失はないとの判決になりました。

判例

立体駐車場の駐車区画へ後退駐車しようとする原告自動車と、被告運転の車両が衝突した。

裁判では、被告車両が通路ではなく駐車区画内に横に跨って進行し、後退進行してくる原告車に衝突させた事故と判断しました。その結果、被告車両の過失100%が相当と認めた。

その結果、被告には16万1,629円および遅延損害金の支払いが命じられた。

東京地方裁判所 東京地方裁判所 平成25年(ワ)第3244号、平成25年(ワ)第18495号 損害賠償等請求事件(本訴)、損害賠償請求事件(反訴) 平成25年10月30日

立体駐車場は通路が狭かったり、一方通行部分も多数あります。他にも、立体駐車場の一方通行通路を逆走して正面衝突事故を起こしたり、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまった事故もあります。

車場事故の過失割合や慰謝料請求は弁護士依頼も検討しよう

駐車場内で発生した事故に関する示談交渉がうまく進まなかったり、相手方の保険会社が提示する過失割合や示談金に納得いかない場合は、弁護士に相談してみましょう。

  • 適正な過失割合かどうか確認してほしい
  • 慰謝料が増額する可能性があるか知りたい
  • 保険会社とのやり取りを一任したい

前例が乏しい駐車場事故では、過失割合について争いになりやすいです。事故状況を正しく反映した過失割合でないと、本来なら手にできたはずの示談金が減ってしまいます。
納得できない場合はもちろん、このまま示談を進めてもいいのか不安な方は、弁護士に相談してみましょう。

弁護士に相談すれば、駐車場の事故に関するお悩みがクリアになるかもしれません。弁護士が具体的に何をしてくれるのか、どういったメリットが得られるのかについて詳しくは、『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』の記事がおすすめです。

まずは無料相談から始められる

弁護士に相談してみたいけど相談料が気になるという方は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。無料相談の予約受付は24時間365日年中無休で対応中です。

アトム法律事務所は、比較的軽傷のケガから重傷の事故まで幅広く対応しております。示談成立前でしたら弁護士相談のメリットは大いにありますので、お気軽にお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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