駐車場内の事故|コンビニ・スーパーでよく起こる?過失割合や予防策は?

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駐車場内で起こる事故|過失割合や予防策は?

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

駐車スペースを探すことばかりに気をとられて車両とぶつかったり、死角から子どもが急に飛び出してきたりするなど、駐車場には事故につながる危険がたくさんあります

「駐車場なら事故が起きても警察を呼ばなくていい」といった話が広まっているようですが、駐車場であろうとなかろうと事故が起きたら警察には届け出るようにしてください。

本記事では、実際にどのような駐車場事故があったのか判例を確認しつつ、過失割合について紹介します。あわせて、駐車場での事故を防ぐポイントや、事故後の対処法についても解説していきます。

コンビニ・スーパー駐車場内で実際に起きた事故例

コンビニやスーパーの駐車場で起きた事故例を、過去の判例から見ていきましょう。

コンビニ駐車場内で起きた事故の判例

コンビニの駐車場内で発生した被告が運転する乗用車と原告が運転する自転車との衝突事故に関する判例を紹介します。

判例

コンビニの駐車場の駐車スペースから後退していた乗用車が後方を十分に確認しておらず、乗用車の後部と駐車場内を走行していた自転車の左側が衝突した。駐車場という場所では歩行者や自転車の往来が容易に予見できるにもかかわらず、後方の十分な確認を怠り後退した被告に大きな過失があると認められた。

もっとも、自転車を走行していた原告も駐車スペースに停止中の車両が後退して出てくることは容易に予見・認識しえたにもかかわらず、進路の安全確認を怠った過失があるとして、被告80%、原告20%の過失割合が認められた。

横浜地方裁判所 平成29年(ワ)第5539号、平成30年(ワ)第1430号 損害賠償請求事件(第1事件)、求償金請求事件(交通事故)(第2事件) 令和元年11月21日

治療関係費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、物損等から過失相殺し、合計約433万円とその遅延損害金の請求が認められました。

スーパー駐車場内で起きた事故の判例

スーパーの駐車場内で発生した被告が運転する乗用車と原告が運転する原付自転車との接触事故に関する判例を紹介します。

判例

スーパーの駐車場に進入した乗用車が東方面へ右折進行した際、西方面へ向かう通行部分内の停止線手前に停車していた原付自転車に気づかず、接触事故が発生した。被告には進路前方を注視しなかった過失があり、原告が事故回避措置を講じることは困難であったとし、被告に100%の過失が認められた。

被告は、原告が勝手に包帯を外したことで怪我の状態が悪くなった等と主張したが、裁判所は素因減額にはあたらないとして、人身損害を認容した。

金沢地方裁判所 平成26年(ワ)第160号 損害賠償請求事件 平成29年1月20日

治療関係費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、物損等から既払金を差し引いた合計約623万円の請求が認められました。

駐車場内で起きた事故の過失割合

駐車場内で起きた事故の過失割合をみていきましょう。
ここで紹介する過失割合や修正要素は、「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に記載されている情報をベースにしています。

過失割合は、事故類型ごとに決められた基本の過失割合に、事故個別の状況を反映するための修正要素を加えて決まっていきます。交通事故の過失割合に関する基本的な内容は『交通事故の過失割合とは?決め方と示談のコツ!事故パターン別の過失割合』の記事で解説していますので、あわせてご確認ください。

駐車場の交差部分で出会い頭の事故

駐車場内の通路の交差部分で「直進または右左折のために進入する車(A)」と「直進または右左折のために交差通路から進入する車(B)」の出会い頭の事故では、基本の過失割合はA:B=50:50です。

AB
基本の過失割合5050
Aが狭路、Bが明らかに広い通路
Bが丁字路直進
+10-10
一時停止・通行方向標示等の違反±15~20±15~20
その他の著しい過失±10±10
重過失±20±20
Bが狭路、Aが明らかに広い通路-10+10

通路進行車と出庫車の事故

駐車場内での「通路を進行する車(A)」と「駐車区画から出庫する車(B)」の事故では、基本の過失割合はA:B=30:70です。

AB
基本の過失割合3070
著しい過失±10±10
重過失±20±20

通路進行車と入庫車の事故

駐車場内での「通路を進行する車(A)」と「駐車区画へ入庫する車(B)」の事故では、基本の過失割合はA:B=80:20です。

AB
基本の過失割合8020
Bの著しい過失-10+10
重過失±20±20
Aの徐行なし+10-10
Aのその他の著しい過失+10-10

入庫車と歩行者の事故

駐車場の駐車区画内での「入庫車」と「歩行者」の事故では、基本の過失割合は入庫車:歩行者=90:10です。

入庫車歩行者
基本の過失割合9010
隣接区画での乗降あり+10-10
歩行者が児童・高齢者+5-5
歩行者が幼児・身体障害者等+10-10
入庫車の著しい過失・重過失+10-10

通路進行車と歩行者の事故

駐車場内の通路での「進行車」と「歩行者」の事故では、基本の過失割合は進行車:歩行者=90:10です。

進行車歩行者
基本の過失割合9010
急な飛び出し-10+10
歩行者用通路標示上+20-20
歩行者が児童・高齢者+5-5
歩行者が幼児・身体障害者等+10-10
進行車の著しい過失+10-10
進行車の重過失+20-20

駐車場内での事故を防ぐポイント

駐車場内で事故を起こさないために、具体的にどういった点に注意すべきなのか解説します。

駐車場内は十分な徐行と車間距離を保つ

駐車場内では、速度を十分に落として徐行してください。駐車場によっては制限速度を管理者が定めていることもありますが、単純に制限速度を守っていればいい訳ではありません。駐車場内は、いつでも停車できる速度で走行しましょう。

また、駐車場では駐車区画に入ろうと停止したり後退したりしていることが多いので、走行順路を守り、十分な車間距離を取ることも大切です。

自分の目と耳で周囲の安全確認を行う

どのような場合でも「相手が止まってくれるだろう」「このまま進んでも大丈夫だろう」といった思い込みで運転すると事故が起きやすいです。特に、駐車場ではスピードが出ていないことも相まって、安全意識が薄れてしまいがちです。

駐車場であっても、いっそう気を引き締め、自分の目と耳で周囲の安全確認を行うようにしましょう。

また、たとえば信号機のある交差点の角にコンビニがあるような場合では、赤信号が変わるのを待たずしてコンビニの駐車場を通り抜けて左折しようとする運転者もいます。このような場合では、駐車場でもあまり減速せずに進入してくる可能性が高いので、より注意するようにしてください。

出庫時は二段階停止を行う

駐車区画から出庫するときは車の先を少しだけ出してから一旦停止し、通路を進行する車や歩行者に対して出庫することをアピールしましょう。

通路の安全確認ができる場所までゆっくりと進み出て、再度停止した状態で周囲の安全確認を行ってから通路に出る二段階停止を行ってください。

駐車のアシスト機能がついた車も豊富にありますが、そういった便利な機能ばかりに頼るのではなく、自分の目と耳で安全確認を行いましょう。

駐車場には死角が多いことを再認識する

駐車場にはさまざまな形の車が停まっており、死角が多く存在します。トラックや車高の高い車は当然ですが、普通の乗用車でも小さな子どもや車椅子の方は死角に入ってしまいます

突然、人や自転車が飛び出してくることもあるので、駐車場には死角が多いことを再認識しておく必要があるでしょう。

もっとも、見通しのいい場所であっても、子どもだと急に走り出したりする可能性もあるので、油断は禁物です。

また、同乗のお子さんを降ろして駐車したり、手を繋がずに駐車場内を歩いたりすることもあると思いますが、駐車場内ではお子さんから目を離さないように細心の注意を払ってください。

バック駐車はさらなる注意が必要

バック駐車する際は、バックギアと後方を確認しましょう。近年の車は、バックギアを入れるとリバース警告音が鳴ります。警告音を聞いたら、後方に歩行者や車がいないか確認して、ゆっくりと人が歩く程度の速さで慎重にバックしましょう。

バック駐車をやり直したい時でも、すぐに前進するのではなく、再度周りに歩行者や車がいないか確認してください。焦らず、ひとつひとつの行動を丁寧に確認しながら行いましょう。

駐車場内での事故でよくある疑問

駐車場内で発生した事故に関して多く寄せられる疑問についてお答えします。

駐車場内の事故は警察へ届け出なくていい?

駐車場と一口に言っても、私有地扱いとなる駐車場では道路交通法が適用されず、警察への届け出が義務でないケースもあります。

ただし、スーパーやコンビニの駐車場のような「不特定多数の人が出入りする駐車場」では道路交通法が適用されるので、事故が起きたら警察に必ず届け出てください。警察への届け出は義務です。

事故が発生したにもかかわらず、警察に届け出ないと「交通事故証明書」が発行されません。交通事故証明書がないと保険が使えないこともあるので、駐車場であろうとなかろうと、事故が発生したら警察に届け出ると覚えておきましょう。

駐車場では、当て逃げの被害が多く聞かれます。当て逃げの被害にあった時の対応について詳しく知りたい方は、関連記事『駐車場での当て逃げ事故の対処法』がおすすめです。

駐車場の管理者には事故の責任を問えない?

駐車場内で車同士が衝突したり、歩行者がはねられたりしたような駐車場の利用者同士の事故は、原則的に駐車場の管理者に責任を問うことはできません。事故の損害賠償問題は、基本的に事故の当事者間で解決する必要があるからです。

もっとも、駐車場の設備等に不具合があって起きたような事故においては、民法第717条の工作物責任に基づいて管理者に責任を問える場合があります。

  • 駐車場のフェンスやポールが腐って折れており、車に擦って傷がついた
  • 経年劣化した機械式立体駐車場から車が落下してきて怪我をした

駐車場内に「当駐車場内での事故やトラブルに関して一切責任を負いません」といった内容の看板が設置されていたとしても、事故の原因が駐車場の管理者にもあるようなケースでは、管理者に責任を問える可能性があるでしょう。

駐車場では踏み間違いによる事故が起きやすい?

駐車場内では、駐車する際のハンドル操作やペダル操作が増えるのに加えて、他の車や歩行者にも注意を向ける必要があるので、踏み間違いを誘発しやすいといわれています。

ニュースでは高齢者の踏み間違い事故が取り上げられがちですが、運転に不慣れな若年層による踏み間違い事故も多いです。どのような年齢層の方でも自分には関係ないと思わず、アクセルとブレーキの位置を確認して、安全運転を心がけましょう。

駐車場内で事故が起きた後の対処法

駐車場内で事故が起きた後にとるべき行動を簡単に解説します。

(1)怪我人を救護して安全確保したら警察に連絡

駐車場内で事故に巻き込まれたら、まずは怪我人を救護して周囲の安全を確保します。

安全が確保出来たら、警察に連絡してください。警察が到着すると、その場で実況見分が行われることもありますが、後日改めて実況見分が行われることもあるでしょう。

また、事故直後の対応が落ち着いてからでいいので、加入する保険会社にも速やかに連絡を入れてください。

事故直後の対応に不安がある方は、こちらの関連記事『交通事故の被害者がすべき事故対応』もあわせてご確認ください。

(2)怪我の治療を受ける

お怪我をされている場合は、すみやかに病院を受診して治療を受けてください。事故直後は興奮のため、痛みを感じないという方も多いです。怪我がないと思っても、事故にあったら念のため病院に行きましょう。

治療を受けて無事に完治すれば幸いですが、場合によっては後遺症が残るケースもあるでしょう。「完治」または「症状固定」と医師が判断するまで、治療をつづけてください。

症状固定と判断されたら、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。後遺障害等級は、事故の損害賠償請求において金額に大きな影響を与えます。症状固定と診断された場合には、『症状固定後は後遺障害認定で慰謝料アップ』もご確認ください。

(3)示談などを通して損害賠償請求する

怪我が完治したり、症状固定後に後遺障害等級が認定されると、交通事故で受けた損害の算定が可能になります。損害を算定したら、事故の相手方と示談を通して損害賠償請求を行います。

通常は、事故の相手方が加入する任意保険会社から示談金の提示を受けることで、示談交渉がはじまることになるでしょう。

示談で解決に至らない場合は、調停や裁判を通して損害賠償問題の解決を図っていくことになります。

駐車場事故の示談を弁護士に依頼するかもプラスで検討しよう

駐車場内で発生した事故に関する示談交渉がうまく進まなかったり、相手方の保険会社が提示する示談金に納得いかない場合は、弁護士に相談してみましょう。

  • 適正な過失割合かどうか確認してほしい
  • 慰謝料が増額する可能性があるか知りたい
  • 保険会社とのやり取りを一任したい

まだまだ前例が乏しい駐車場事故では、過失割合について争いになりやすいです。事故状況を正しく反映した過失割合でないと、本来なら手にできたはずの示談金が減ってしまいます。
納得できない場合はもちろん、このまま示談を進めてもいいのか不安な方は、弁護士に相談してみましょう。

弁護士に相談すれば、駐車場の事故に関するお悩みがクリアになるかもしれません。弁護士が具体的に何をしてくれるのか、どういったメリットが得られるのかについて詳しくは、『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』の記事がおすすめです。

弁護士に相談してみたいけど相談料が気になるという方は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。無料相談の予約受付は24時間365日年中無休で対応中です。気軽にお問い合わせください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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