踏み間違い事故の対策。アクセルとブレーキを間違うのは高齢者だけでもない?
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近年、高齢者による踏み間違い事故のニュースを目にする機会が多いでしょう。しかし、踏み間違い事故は高齢者だけに限らず、若者でも起こり得る事故です。
踏み間違い事故を防ぐためには、アクセルとブレーキを踏み間違えやすい靴を避ける、運転に集中するなどさまざまな対策が有効です。
本記事では、踏み間違い事故を防ぎ、安全運転に努めるため、踏み間違い事故の対策について詳しく解説します。
また、仮に踏み間違い事故による被害を被った場合、適切な損害賠償金を受け取るための示談交渉のポイントについても弁護士が解説しますので、最後までご覧ください。
目次
踏み間違い事故はなぜ起こる?原因と対策
踏み間違い事故は、アクセルとブレーキの踏み間違いによって起こる事故です。
高齢者による踏み間違い事故が多いイメージがあり、高齢者運転の課題と捉えられがちですが、若者でも踏み間違い事故を起こす可能性があります。
高齢者だけでなく若者も踏み間違いやすい
高齢者による踏み間違い事故は、視力や認知機能の低下などが原因と考えられています。
しかし、若者による踏み間違い事故も少なくありません。若者の場合は、運転に慣れていないことや、運転に集中していないことなどが原因と考えられています。
「ペダルを踏み間違えるなんてありえない」と思うかもしれませんが、単純な操作ミスゆえ誰にでも起こりうる事故なのです。
踏み間違い事故の事例
踏み間違い事故の事例としては、以下のような例が挙げられます。
- 駐車場から出ようとした際に、アクセルを踏み込んで店先のガラスを割る
- 信号待ちの際に、ブレーキではなくアクセルを踏んで前の車に追突する
- 脇見運転をしながらアクセルを踏んで、歩行者や自転車をはねる
渋滞時や駐車時に踏み間違い事故が起きやすいといわれています。
踏み間違い事故を防ぐ対策
踏み間違い事故を防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 運転に適さない靴(厚底ブーツ、ハイヒール、サンダル等)を履かない
- 渋滞時などはアクセルペダルとブレーキペダルに改めて意識を向ける
- 運転席のフロアマットをサイズに合わせて固定する
- たとえ踏み間違えても止まれるように、法定速度を守って適切な速度で走行する
- 駐車時は一層気を引き締め、運転操作の確認をしながら駐車する
踏み間違い事故は、老若男女問わず誰にでも起こり得る事故です。運転する際には、踏み間違い事故を防ぐための対策をしっかりと行うようにしましょう。
新技術にも注目!ペダル踏み間違い急発進抑制装置
踏み間違い事故を未然に防ぐため、国や自動車メーカーも対策に乗り出しています。
ペダル踏み間違い急発進抑制装置とは、アクセルとブレーキを踏み間違えたとき自動的にブレーキをかける装置です。装置を搭載することで、踏み間違い事故のリスクを大幅に減らすことができます。
この装置が一定の性能を有していることを国が認定する制度が実施されています。詳しくは国土交通省「ペダル踏み間違い急発進抑制装置の性能評価認定結果」のページをご覧ください。
もっとも、踏み間違い事故を防ぐためには技術に頼るだけでなく、運転者一人ひとりの意識も欠かせません。
踏み間違い事故の責任はどこ?過失割合は?
踏み間違い事故は、アクセルとブレーキの踏み間違いによって起こる事故です。当然ですが、踏み間違いという行為そのものは、踏み間違えた側の過失となります。
しかし、事故状況によっては、踏み間違えた側だけに100%の過失がつくとは限らない点に注意せねばなりません。
踏み間違い事故は加害者の過失による事故
アクセルペダルやブレーキペダルの踏み間違いは、道路交通法の第70条に違反する行為です。
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
道路交通法第70条
そのため、当然ではありますが、踏み間違いは「踏み間違えた側の過失」として扱われます。
もっとも、たとえ踏み間違いがあったとしても、事故状況によっては踏み間違えた側の過失割合が100%になるとは限りません。
踏み間違い事故の過失割合は事故状況等で判断
踏み間違い事故に限らず、交通事故の過失割合は事故の状況などから総合的に判断されるものです。
判例上、踏み間違いは過失割合を調整する修正要素の「著しい過失」として扱われることになります。
しかしながら、被害者にも過失が認められるのであれば、踏み間違い事故であっても、加害者だけの過失になるとは限らないのです。
たとえば、駐車場に車を駐車しようとしたところ、踏み間違えて店舗に突っ込んでしまった場合は、踏み間違えた方に全面的な過失が認められるでしょう。
一方、歩行者が歩道から急に飛び出してきた場合を考えてみてください。歩行者の飛び出しに驚いて急ブレーキをかけようとしたが、焦ったためにアクセルを間違えて踏んでしまい衝突してしまったのであれば、急に飛び出してきた歩行者にも過失はあります。
踏み間違えた側は、いつでも停止できる速度で走行していなかったことに加え、踏み間違えたという著しい過失も認められますが、歩行者も急に飛び出したという過失を考慮せねば適正な過失割合とはいえません。
以上のように、踏み間違い事故の過失割合は事故の状況によって大きく異なるため、専門家に相談して判断してもらうことが大切です。
過失割合の基本的な考え方について詳しくは『交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順とパターン別の過失割合』の記事が参考になりますので、あわせてご確認ください。
踏み間違い事故の損害項目と賠償額
踏み間違い事故の被害者は、事故の状況や被害者の事情に応じて様々な損害が発生するため、交通事故なら損害賠償金がいくらになると一概に言い切ることはできません。
もっとも、主な損害項目と賠償額の目安ならわかるので、簡単に確認しておきましょう。
積極損害:治療関係費
積極損害とは、事故によって発生した実費の損害です。具体的には、以下のようなものが該当します。
積極損害の賠償額は、実際にかかった費用を証明できれば原則として全額が認められるでしょう。
消極損害:休業損害・逸失利益
消極損害とは、事故によって発生した収入の減少です。具体的には、以下のようなものが該当します。
休業損害の賠償額は、事故による休業期間と賃金の平均額を基に計算されます。逸失利益の賠償額は、事故によって失われた将来の収入を基に計算されます。
精神的損害:慰謝料
精神的損害とは、事故によって受けた精神的苦痛に対する賠償です。具体的には、以下のようなものが該当します。
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
慰謝料の賠償額は、事故の状況や被害の程度によって異なります。慰謝料の基本的な情報については『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』の記事をご確認ください。
踏み間違い事故の被害者は、これらの損害を加害者に対して賠償請求することができます。
慰謝料と休業損害・逸失利益については、以下の計算機を使えばある程度の金額が確認可能です。
計算機の結果は目安にはなりますが、これよりも低い金額を加害者側が提示してきた場合、弁護士の介入で増額の可能性があります。
さらに具体的な金額をお知りになりたい場合は、法律の専門家である弁護士に相談してみましょう。損害賠償額を適切に請求するためには、弁護士に事前に相談しておくことが大切です。
踏み間違い事故の示談交渉のポイント
踏み間違い事故での示談交渉は、被害者が加害者に対して損害賠償を請求するために行われる方法のひとつです。示談交渉を有利に進めるためには、これから紹介するポイントを押さえておきましょう。
早期に示談交渉を始める
示談交渉は、損害賠償額が確定したら早めに始めることが大切です。
示談交渉そのものに期限はないのですが、加害者に対する損害賠償請求が可能な期限として「時効」が存在します。
交通事故では、物損事故なら3年・人身事故なら5年が時効です。時効を過ぎてしまうと、加害者に対して損害賠償請求できなくなってしまうので注意してください。
通常、特に大きな問題がなければそこまで時効を気にする必要はありませんが、場合によっては時効が差し迫っていることもあります。
時効の期限以内に示談が終わりそうにない場合は、時効を延長することも可能です。詳しくは『交通事故の示談は時効期限に注意!期限の長さや時効の延長方法』の記事をご確認ください。
加害者側に過失があることを立証する
踏み間違い事故は、加害者の過失による事故と考えられています。しかし、加害者の過失が認められるためには、事故の状況を客観的に証明できる証拠をもとに主張していく必要があります。
具体的には、事故の写真やドライブレコーダーの映像、警察の実況見分調書などです。これらの証拠をしっかりと集め、加害者側に過失があることを立証しましょう。
もっとも、事故の状況を適切に表した過失割合になっているかどうかは、交通事故事案の経験が豊富な弁護士でなければ判断できないことも多いです。過失割合に疑問がある場合はもちろん、疑問がなくても、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
実際にいま、保険会社が提示する過失割合に納得いっておらず不満がある方は、関連記事『交通事故の過失割合に納得いかない!過失割合変更のコツとゴネ得対策』もあわせてご確認ください。今後の対応についての一助となる記事となっています。
被害者の損害を正確に把握する
踏み間違い事故の被害者は、身体的・精神的な損害が発生します。これらの損害を正確に把握するためには、医師の診断書や治療費の明細書などを確認しましょう。
また、休業損害や逸失利益などを計算するためには専門的な知識が必要になるので、専門家に相談することも検討しましょう。
示談書は慎重に確認する
示談書は、示談交渉の合意内容をまとめた文書です。示談書にサインする前に、必ず内容を慎重に確認しましょう。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
- 過失割合
- 賠償額
- 支払い方法
- 支払い期限 など
示談書にサインしてしまうと、基本的には後から内容を変更するのはむずかしいです。
加害者側の任意保険会社から示談書の提示を受けたら、弁護士に確認してもらいましょう。下記バナーのLINEまたはメールにて、示談書や損害計算書の写真を送付いただけます。
踏み間違い事故の賠償請求は弁護士に相談
踏み間違い事故による被害を受け、損害賠償請求を控えている場合は、弁護士に相談しましょう。
アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方を対象に無料の法律相談を行っています。法律相談を希望される場合は、下記のバナーより相談予約をお取りください。
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事前に弁護士費用特約の有無をご確認いただき、お問い合わせいただくとその後のご案内がスムーズです。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了