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交通事故|治療と仕事の板挟み|ケガで働けない・働けなくなった被害者への補償

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治療打ち切り

2020年4月1日改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

  • 痛みで仕事ができる状態ではない。
  • 後遺症のせいで働くことができなくなった。
  • 治療に専念したいけど、生活のために仕事をしないといけない。

この記事では、交通事故被害者にとって重要な「治療」と「仕事」の補償について解説していきます。

この記事を読めば、どんな補償が受けられるのかいくらぐらいもらえるのか治療と仕事を続けるための選択肢がみつかります。

治療のために仕事を休んだ場合の補償

自賠責保険から支払われる休業損害

交通事故の治療のために仕事を休んだ場合、被害者は加害者の自賠責保険会社に休業損害の請求が可能です。

休業損害として支払われる金額は1日あたり6,100円です。(2020年3月31日までに発生した交通事故は5,700円)被害者は休業した日数分の休業損害請求が可能です。

しかし、実際に被害者の月給を就業日数で割り算すると、6,100円より高額になるケースが多いです。実際に生じた損害は6,100円じゃ済まない人も多いでしょう。
もし弁護士に依頼をしたなら、被害者の実際の給与を元にした休業損害額の請求をするため、自賠責保険会社から支払われる金額より高額になります。

交通事故の休業損害はいつもらえる?計算方法を職業別に解説

労災保険から支払われる休業補償

休業補償は、被害者自身の労災保険から支払われる保険給付のひとつです。勤務中や通勤中の災害のために治療・療養を余儀なくされたことへの補償です。

休業補償は、「休業への補償」という意味で用いられることもあり、休業損害と混同されやすいのですが、厳密には意味が違います。

休業損害と休業補償の両方を受けとること(二重取り)はできません。どちらも利用できる場合、被害者にとってメリットが大きくなるのが休業損害なのか休業補償なのかは、弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故による休業の補償|休業補償と休業損害の違い・計算方法

休業損害は示談金の一部

交通事故により被害者が受けた全損害は、示談金として受けとります。

休業損害も示談金の一部に含まれています。
このほか、治療費、入院雑費、通院にかかった交通費、付き添い看護費、介護費、診断書などの作成費が含まれます。

交通事故の示談金相場は?計算方法や増額させるコツ、交渉の注意点を解説

治療費・休業損害は完治日か症状固定日まで請求可能

交通事故の治療費は、最長でも完治日または症状固定日までしか認められません。また、治療費と同じく、休業損害についても請求できなくなります。

症状固定

医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態

症状固定をするということは、被害者にとって大きな節目になります。医師の見解が尊重されますが、もし被害者自身が「症状固定」の診断に疑問がある場合は、そのままにせず、医師に症状についてしっかり話をしてください。

また、症状固定後も一定の治療を受けないと症状が悪化すると考えられる場合は、治療費などの請求が認められる場合もあります。しかし、あくまで例外として考えておきましょう。

交通事故の症状固定は半年経ってからじゃないとNGな理由は?

保険会社から治療費を打ち切ると言われたら?

治療費の打ち切りを見直してもらうための行動

治療費打ち切りを拒否するには、主治医に治療の必要性を認めてもらうことが有効です。

任意保険会社は、「被害者にはもう治療が必要ない」と判断して、治療費の打ち切りを打診してきます。しかし、治療の可否については医師の判断が尊重されるのです。

まだ治療が必要であるのに、一方的に治療費を打ち切られてしまったら、被害者自身で治療費を支払わなくてはなりません。任意保険会社から治療費の打ち切り提案を受けても、まずは医師の見解をたずねてみましょう。

交通事故の治療費打ち切りとは?打ち切り対処法も解説

治療費が打ち切られてしまった時の行動

治療費が打ち切られてしまうと、これまでは加害者側の任意保険会社が支払っていた治療費を、被害者自身で支払う必要があります。

そんな時には、被害者自身の保険を使って出費を減らすことが大事です。
代表的な保険としては、自動車保険(人身傷害補償保険・搭乗者傷害保険)、健康保険、労災保険、傷害保険・生命保険などがあります。

特に、交通事故のケガに対して、健康保険が使えることを知らない人は多いです。健康保険で治療を受けることで、治療費の自己負担額を抑えることができます

交通事故で使える保険|被害者がもらえる金額を増やすための方法

保険会社に休業損害を認めてもらうための行動

休業損害を請求するには、まず必要な書類の提出が済んでいるかを確認しておきましょう。休業損害請求に必要な書類は次の通りです。

  • 給与所得者
    診断書、休業損害証明書、前年度分の源泉徴収票
  • 自営業者
    診断書、確定申告書(控)、白色申告者:収支内訳書(控)、青色申告者:所得税青色申告決算書(控)

※自営業者については別途資料を求められる場合あり

給与所得者と比べて、自営業者や主婦の方の休業損害請求は認められにくいのが現状です。残念なことに「本当に働いていなかった」という休業の事実を証明しづらい点にあります。

保険会社とのトラブルに適切に対応するには、保険会社の意図を知ることが重要です。

交通事故|保険会社とのトラブルを解決!状況に応じた適切な対応とは?

将来仕事ができなくなったら補償される?

未来の収入減少は逸失利益として請求

後遺障害がなければ本来得られたはずの収入は、逸失利益として請求できます。

逸失利益の金額は、被害者の事故前年の収入、後遺障害の認定等級、症状固定時の年齢を用いて算定します。

しかし、逸失利益の計算には2つの注意点があります。

一つ目の注意点は、むちうちによる逸失利益の計算です。
逸失利益は、原則、後遺障害によって被害者の収入が67歳まで減ったと想定して損害を算定します。
しかし、むちうちの場合は67歳までではなく、症状固定後5年~10年程度分しか認められないことがほとんどです。

二つ目の注意点は、給与所得者・自営業・専業主婦・子ども・無職者など、被害者の立場で逸失利益の算定方法が異なる点です。

逸失利益の計算|後遺障害14級や12級の逸失利益はいくら?

私は休業損害を請求できる?

主婦・主夫|家事労働も仕事に含まれる

交通事故のケガの痛みや治療のために家事労働ができなくなった場合、休業損害の請求が可能です。家事労働は金銭報酬が発生しないため、休業損害がもらえないと思っている人もいますが、休業損害の請求は可能です。

加害者側の自賠責会社からは、休業1日につき6,100円が支払われます。任意保険会社は詳細なルールを非公表としていますが、自賠責会社と同水準であることがほとんどです。

弁護士に示談交渉を任せた場合は、賃金センサス(国の賃金統計情報)を用いて算出します。令和2年に起きた交通事故ならば、主婦の休業損害は約10,630円が相場となります。

交通事故の損害算定は、被害者の属性別に計算方法が異なる場合があります。主婦・主夫ならではの損害算定方法を用いるシーンは多いです。

主婦(主夫)が正当な慰謝料相場を受け取る方法|交通事故の慰謝料計算

学生|アルバイトの休業損害も認められる

アルバイトの場合は、事故前のアルバイトのシフトや賃金などで損害を計算します。しかし、アルバイトのシフトが特殊であった場合(事故前のタイミング過密シフトであったなど)の事情も考慮されるため、弁護士に事情を話して、個別に見積もってもらうほうが賢明です。

就職先が決まっていたのに事故のせいで就業開始が遅れた場合は、内定先で得られていたはずの給料を元に計算します。内定先がない場合でも、賃金センサス(国の賃金統計情報)で算定される可能性があります。

また、後遺障害が残った場合には、逸失利益の請求も可能です。
被害者の損害ごとに請求すべき金銭が異なるので、注意が必要です。

学生の交通事故慰謝料を計算|死亡、骨折、軽傷のときの金額とは?

親|子の入院・通院に付き添って仕事を休んだ

子の入院・通院に付き添った親は、子の慰謝料とは別に、付き添い費用が請求できます。しかし、休業損害との重複請求はできません。

親御さんの休業損害と比較して、高い方を請求することができます。

入院・通院の付き添い費はそれぞれ相場が異なります。

  • 入院付添い費の相場
    自賠責基準:4,200円
    弁護士基準:6,500円
  • 通院付き添い費の相場
    自賠責基準:2,100円
    弁護士基準:3,300円
    ※自賠責基準の金額は2020年4月1日以降に発生した事故に適用

弁護士基準ならば、入院付添い費・通院付き添い費ともに増額が期待できます。

もっとも、付き添いが必要であると認められる必要があります。
まず子供の年齢が12歳以下ならば、特に条件なく通院付き添い費が認められます。しかし13歳以上の時には、ケガの程度や医師の指示が必要になるのです。

保険会社の提案をそのままうのみにすると、相場より低い水準の補償しか受けられない可能性があります。交通事故の被害にあってしまった子供の損害をきちんともらうには、親御さんの行動がカギを握ります。

交通事故の付添費の金額相場や種類…慰謝料とは何が違う?

治療と仕事の両立を目指す方へ

毎日の通院は慰謝料増額には直結しない

通院の慰謝料は、治療にかかった期間をもとに計算されます。
しかし、多く通院したからといって慰謝料が増えるとは限りません。

むしろ、慰謝料を少しでも多くもらうために毎日通院しても、一定水準以上の金額は請求できないのです。

正当な慰謝料を受けとるために大切なことは、適切な通院頻度を守ることです。

交通事故にあったら毎日通院した方がいい?慰謝料の観点から弁護士がお答え

仕事後に通いやすい整骨院・接骨院の利用

通院先として、病院のほか、整骨院・接骨院も選択肢の一つになります。

仕事をしていると、病院の診療時間に受診できないというケースも多いです。病院と比べると、開院時間が長く、交通アクセスも比較的便利である整骨院・接骨院に通いたいと考えるのは自然なことです。

しかし、加害者側の保険会社は、病院の治療費と比べて、整骨院・接骨院でかかった費用の支払いをより厳格に審査する傾向があります。

事故直後にはまず整形外科を受診しておくことや、病院の受診も続けることなど、いくつかのポイントをおさえておきましょう。

交通事故の治療の流れを解説|整骨院・整形外科どちらに通えばok?

日常生活を少しでも早く取り戻す方法

弁護士を雇うことで、被害者の方は少しでも早く日常生活を取り戻すことができます。

弁護士依頼の4大メリット

  1. 示談交渉のストレスが減る
  2. 納得感を持って示談を進められる
  3. 損害賠償額の増額が期待できる
  4. 示談金をスピーディーに受けとれる

治療を続けながら、少しずつでも仕事に復帰しようと奮起しているにもかかわらず、加害者側の保険会社から心無い言動をとられたり、専門用語を使った交渉を強いられるなど、被害者にとってのストレスは計り知れません。

弁護士に任せることで、被害者は治療と仕事復帰に専念できます。
面倒な交渉ごとは専門家である弁護士に任せることがおすすめです。

交通事故の弁護士相談のメリット・デメリット|費用や慰謝料増額が気になる方必見

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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