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交通事故の示談が難航したら?示談が進まないケースと対処法

更新日:

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の示談交渉中、当記事にたどり着いたあなたは、以下の状況にお困りではないでしょうか?

  • 相手側(保険会社)に話を聞いてもらえない
  • 示談が不成立で終わりそう
  • 示談の次のステップを検討している

交通事故の示談交渉には、すくなからずストレスがつきものです。
大前提として、被害者の方は、交通事故を体験しただけでも心身ともにかなりの苦痛を味わっているはずです。

そのうえ示談交渉が難航してしまったら、うまくいくものもいかなくなってしまう可能性があるでしょう。

当記事では、示談交渉が難航するケースや、交通事故示談の解決に向けた内容を解説しています。
相手側の対応や、今後の流れについて不安をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

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示談交渉が難航するタイミングとは

交通事故にあった被害者は、加害者が任意保険に加入している場合、加害者側保険会社と示談交渉をおこなっていくことになります。

被害者に過失のない場合、保険会社の示談交渉サービスを利用することができません。
よって、被害者はご自身で加害者と交渉をしていく必要があります。

保険会社は示談交渉に慣れているため、示談交渉に慣れていない被害者は結果損することも珍しくありません。

保険会社との交通事故示談の厄介なところは、被害者にある程度の専門的知識があったとしても、保険会社にうまくまるめこまれてしまう傾向があることです。
つまり被害者は、立場的に不利になる可能性もあるというわけです。

そのため、被害者は示談金に直結しうる数々の場面で、保険会社に憤りやわだかまりを感じることになるでしょう。

示談交渉は、被害者の治療終了後(死亡事故の場合は死亡してすぐ)に開始するのが通常です。
また示談交渉では、治療費の総額から慰謝料の金額、その他示談金の項目すべてを、当事者同士の話し合いによって確定させていくことになります。

多くの被害者は、上記の金額に疑問を感じたまま交渉を継続させてしまいます。
その結果、保険会社と折り合いがつかず、示談そのものが難航してしまう可能性が高くなってしまうでしょう。

次章では、示談交渉が難航する「理由」についてみていきましょう。

示談交渉はなぜ難航するのか

交通事故の示談交渉が難航する理由をまとめてみましょう。

  1. 相手側の態度の悪さ
  2. 相手側の説明不足
  3. 過失割合に納得がいかない
  4. 補償(金額)に納得がいかない
  5. 当事者(本人)のストレスが交渉を決裂させる

(1)相手側の態度の悪さ

示談交渉を相手側保険担当者とおこなう場合や、加害者本人とおこなう場合どちらのケースでも考えられます。
加害者本人と交渉をする場合、加害者の謝罪がないことに腹を立ててしまうこともあるでしょう。

しかし逆に、相手側保険会社の態度が誠実だった場合も注意が必要です。

相手側の態度が優しかった場合、被害者は相手側保険会社を信用してしまい、適切な示談金が得られないということもありうるのです。
(相手側の要望にまるめこまれてしまうケースです)

(2)相手側の説明不足

特に相手側が保険会社であるケースで起こりがちですが、相手からの説明不足が考えられます。
たとえば、示談金の中には休業損害があります。
休業損害とは、事故により仕事ができなくなった場合に収入の補償をするものですが、金額の詳細が記載されていないケースが存在するのです。

示談金が提示された示談書に、詳細が記載されていなかったり、相手側に説明を求めてもまともな返答が得られなかった場合は、一度専門家に相談してみるといいでしょう。

(3)過失割合に納得がいかない

過失割合は、最終的に示談金※の受取金額(請求金額)に影響します。

被害者のなかには、過失割合は保険会社が決めるものだと安易に考えている方もいるようです。
しかし過失割合は、さまざまな裁判例をもとに検討され、当事者同士の話し合いで決まるのが通常です。

保険会社は、基本的に加害者側に有利になる過失割合を主張してきます。
被害者は専門的な知識を身につけていないと、なかなか保険会社に反論できないのが現状ではないでしょうか。

※示談金とは?

交通事故により支払われる損害金の総称をいいます。
示談金のなかには、治療費・休業損害・慰謝料・逸失利益・修理費などすべての項目が含まれます。

(4)補償(金額)に納得がいかない

示談交渉が決裂する理由でもっとも多いのは、やはり示談金の金額ではないでしょうか。

なんだかよくわからないけど、思っていた示談金の金額よりも少ないと感じる方は多いかと思います。

そこで保険会社に説明を求めても、やはり保険会社の基準で出せる金額はここまでだと主張されてしまうのです。
到底納得のいかない被害者は、裁判などへの移行を漠然と検討し始めるでしょう。

(5)当事者(本人)のストレスが交渉を決裂

だれしも、楽しんで示談交渉をしているわけではありません。
被害者は通常、交通事故による身体的なストレス(治療やリハビリなど)や精神的な苦痛と闘っています。

そのような状況下で、相手側が仮に代理人(保険会社など)であっても、被害者が個人的な感情をおさえることは困難といえます。
軽傷であれ重傷であれ、程度はあっても、感情そのものが交渉の決裂を招く危険性もあるでしょう。

示談が難航した場合の対処法

相手側との示談交渉が難航した場合、被害者が検討しうる次のステップは以下になります。

示談が難航した場合の対処法

  1. ADRを利用する
  2. 民事調停を申し立てる
  3. 民事裁判を起こす
  4. 示談交渉を弁護士に代わりにしてもらう

上記の解決方法ですが、民事裁判以外はすべて「話し合い」によることになります。
以下、それぞれの特徴について解説していきましょう。

(1)ADRを利用する

ADRとは、裁判外紛争解決手続きのことをいいます。
裁判外と名の付くだけあって、裁判所以外の第三者機関があいだに入り、当事者間の解決に向けて話し合いの手伝いをするといったイメージです。
示談のあっせんは、代表的なところで交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターがおこないます。

裁判や調停と違い、申し立てに費用がかからない(団体によっては手数料が発生することもあります)ところがメリットといえるでしょう。
また、比較的手続きも簡単なことから、最初に利用を検討する被害者も多いと考えられます。

形式は調停と似ています。
どちらも、当事者に加え第三者があいだに入るため、これまで当事者のみでおこなってきた示談交渉に比べて、話し合いがスムーズにいく可能性が高まるでしょう。

ただし、ADRには利用条件があります。
たとえば、加害者が自動車でない事故の場合は、和解あっせんの対象外となっています。(自転車同士の事故など)
また、当事者のみでおこなわれる示談交渉と違い、後遺障害等級認定における紛争や、相手保険会社が不明である場合は利用できません。

(2)民事調停を申し立てる

さきほどご説明した裁判外紛争解決手続きと違い、申し立てに費用が発生します。
民事調停は、調停委員が当事者のあいだに入り、和解の手伝いをしてくれます。

これは裁判外紛争解決手続きでも同じことがいえますが、調停委員(仲介人)はどちらかの肩をもつようなことはしません。
また、解決案を当事者が拒否すれば和解にはいたりませんし、結局は当事者同士の話し合いであることに変わりありません。

当事者のみの話し合いでないだけあり、双方が冷静に話し合える可能性は高まりますが、折り合いがつかなければ不成立となって終了です。

ただし民事調停の場合は、成立した内容に強制力をもちます。
どういうことかといいますと、調停で合意にいたった場合「調停調書」が作成されますが、加害者が支払いを怠ったときは、調書の内容をもって強制執行をすることができるのです。
(財産や給与をさしおさえ、強制的に支払わせることが可能)

(3)民事裁判を起こす

民事裁判は、これまで説明してきた裁判外紛争解決手続きや調停と違い、当事者同士の話し合いが軸になるのではありません。

民事訴訟の手続きにのっとって、訴状から作成し、口頭弁論の期日には双方の弁護士(または当事者本人)が出頭して審理を重ねます。

裁判は「証拠」がすべてです。

そのため、裁判外での解決法や調停など、当事者の主張が自由におこなわれていた形式とは違い、口頭弁論のたびに証拠の提出や準備書面(主張書面)が必要となり、その内容は非常に重要となります。

また、これまでの話し合いの内容(調停で話した内容など)はリセットされますので、より一層の準備と手間が必要になるでしょう。

民事裁判のメリットとしては、調停委員をはさむ話し合いと違い、より専門的な視点で公正な手続きをおこなってくれることがあげられます。

民事裁判では最終的に「判決」が言い渡されますので、その判決をもって、損害金(示談金)支払を求めることが可能になります。
もちろん、強制執行も可能です。

民事裁判については、『交通事故の裁判を解説|費用、期間、流れ、調停など知っておくべき6つのポイント、裁判例3選』が非常に参考になります。
あわせてお読みください。

(4)示談交渉を弁護士に代わりにしてもらう

つづいて弁護士に代わりに示談交渉をしてもらう方法ですが、もっとも簡単な解決方法といえるかもしれません。
これまで被害者本人がおこなっていた示談交渉を、弁護士に委任する方法になります。
裁判外紛争解決手続きと違い、後遺障害等級認定における紛争なども争うことができます

交通事故のほとんどは示談で解決されており、そのうち弁護士が交渉したケースでは、早期解決を図れるというメリットがあるのです。

早期解決の理由には、まず相手側保険会社が、裁判への移行を嫌がることがあげられます。
保険会社は「企業独自の」低額な基準・弁護士は裁判基準(弁護士基準)という高額算定で示談金の計算をおこないますので※、裁判に持ち込まれると保険会社に勝ち目はありません。

そればかりか、裁判に移行した場合、裁判費用の問題や、解決までの時間がかかるという問題などがあるため、保険会社にとってメリットが存在しないのです。
そのため、保険会社は弁護士との交渉で譲歩し、結果、被害者は高額な裁判基準に近い金額を請求することが可能になるでしょう。

※示談金の支払い基準とは

自賠責基準自賠責保険の計算基準。
最低限の支払い基準にもとづいており、もっとも低額。
支払限度額が法律で決まっている。
任意保険基準相手側保険会社(任意保険)が計算する基準。
自賠責基準よりは高額だが、下記裁判基準と比較するとかなり低い。
「営利企業」独自の支払い基準で計算され、基準については公開されていない。
裁判基準(弁護士基準)3つの基準のうちもっとも高額。
裁判での示談金算定に使用する「損害賠償額算定基準」をいう。

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弁護士に依頼する方法は、弁護士事務所などと委任契約を結ぶ方法が一般的です。
弁護士費用はかかりますが、被害者加入の保険に「弁護士費用特約」が付帯されていれば、弁護士費用が無料になることもあります。

弁護士無料相談で期待できる

5つのメリット

慰謝料のメリット

保険会社独自の
低い基準の提示額

裁判所が認める
適正な金額に増額

示談交渉のメリット

保険会社の
言いなりに

示談交渉のプロである
弁護士が交渉窓口

各種手続のメリット

書類や資料を
揃えるのが大変

弁護士にお任せ
スムーズに完了

治療のメリット

示談や手続きに
煩わされる

治療に
専念できる

後遺障害認定のメリット

後遺障害等級が
認定されない・低い

納得のいく
後遺障害等級認定

示談交渉が難航した場合の対処法まとめ

これまでご説明してきた「対処法」についてまとめておきましょう。
被害者は、示談交渉の状況やご自身の環境などから、最善の方法を選ぶ必要があります。

対処法別特徴まとめ

相手方の同意

裁判外紛争解決手続き必要
民事調停必要
民事裁判不要
弁護士による示談交渉必要

申し立て費用

裁判外紛争解決手続きかからない
民事調停かかる
民事裁判かかる
弁護士による示談交渉かからない

解決までの時間

裁判外紛争解決手続き短いケースが多い
民事調停短いケースが多い
民事裁判事件によっては長期になるケースもあり
弁護士による示談交渉早期解決が期待できる

弁護士費用

裁判外紛争解決手続き不要
(依頼した場合は必要※)
民事調停不要
(依頼した場合は必要※)
民事裁判不要
(依頼した場合は必要※)
弁護士による示談交渉必要※

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代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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