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人身事故の示談|このまま示談していいのか最終チェック

更新日:

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

「相手からの示談提案、このまま受けていいのかな?」
「示談ってどんなことをするんだろう」

示談交渉は、人身事故で発生した損害に対する補償範囲と金額を決める大事なターニングポイントです。示談をするということは、示談内容を果たすことで争いをやめるという決まりになります。一度決めた示談内容は原則撤回できないので、慎重かつ正確な判断が必要です。

また、示談で決める示談金の算定には、弁護士を通して初めて実現できる「弁護士基準」という計算方法があります。弁護士基準で計算された示談金は最も高額ですが、保険会社が提示してくれることはありませんし、被害者ひとりでは、保険会社への増額交渉に限界があるのです。

人身事故の示談で重要なこと

  • 保険会社という交渉のプロ相手に立ち向かわないといけない
  • 被害者一人での交渉では増額にも限界がある

この記事では、事故の被害者が示談で失敗しないポイントをまとめました。

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人身事故の示談前に知っておいてほしいこと

示談とは何か

示談で決めること

示談は、人身事故でおこった損害内容をすべて明らかにするものです。
事故に対してどのような責任を負うのか、当事者同士の話し合いで決めます。被害者・加害者双方が納得したうえで、示談金確定となるのです。

示談

裁判外での話し合いにより、争いをやめる約束をすること
双方の譲歩を前提に、両者が納得のいく内容を決めていくこと

確定した内容は、示談書・免責証書などの書式で定めます。

示談書
示談書

示談には時効がある

交通事故の被害者がもつ損害賠償請求権は時間の経過と共に失われるものです。損害賠償請求権が消滅してしまうことを時効といいます。

2020年4月1日に民法が改正されたことで、時効は3年から5年へ延長されました。ただし、2017年4月1日以降に発生した交通事故に適用されるため、2017年4月1日より前に起こった事故は3年で時効成立となります。

注意したいのは、加害者側・被害者側いずれの保険会社に対する保険金請求期限は3年間のままだということ、また、交通事故の物損部分についても時効3年のままです。

同一の交通事故であっても、誰に何を請求するかで時効に差があります。

2020年4月1日以降の時効

2020年4月1日以降
損害賠償請求(人身部分)5年*
損害賠償請求(物損部分)3年
保険金の請求(人身含む)3年

*2017年4月1日以降発生の事故に適用

示談以外の解決方法、示談との違い

示談しない場合には、民事裁判やADRなどの他の手段で解決を図ることになります。
示談交渉・民事裁判・ADRの違いをみていきましょう。

示談・裁判・ADRの違い
示談・裁判・ADRの違い

示談では、取り扱える事案の制限はなく、比較的短期間での解決が目指せます。弁護士は代理人として、被害者の主張が認められるように活動可能です。弁護士費用特約を使えば、弁護士費用が無料になる可能性もあります。(関連記事:『交通事故の弁護士費用相場はいくら?弁護士費用特約を使って負担軽減』)

裁判でも、取り扱える事案に制限はありません。しかし、示談やADRと比べて、解決までに時間がかかることが多いです。(関連記事:『交通事故の民事訴訟の平均期間は12.4カ月』)

ADRを使うと、裁判と比べて短期間で終わる可能性が高いです。また、ADRでの弁護士費用は無料なので、弁護士費用の心配はいりません。しかし、取り扱える事案に一部制限があること、担当弁護士は中立の立場であり、被害者の代弁者ではないことは覚えておきましょう。

まとめ

  • スピーディーな解決を目指す人:示談交渉
  • 費用をおさえたい人:示談交渉、ADR
  • 弁護士を味方につけたい人:示談交渉、民事裁判

裁判を検討している人へ|民事裁判で問える加害者の責任

人身事故を起こした加害者には、3つの責任があります。被害者が訴訟を起こして問えるものは民事責任です。

  1. 民事責任
  2. 刑事責任
  3. 行政責任

刑事責任・行政責任については、被害者個人が責任を求めることはできません。

表:人身事故の加害者が問われる3つの責任

責任責任の取り方(例)
民事責任損害賠償金
刑事責任刑事罰(懲役・禁固など)
行政責任反則金、免許証の停止、違反点数

示談金とは何か

示談金とは、相手方との示談交渉を通して決まった事故の損害賠償金のことです。示談金と慰謝料は混同されやすいものですが、示談金の一部に慰謝料が含まれます。

示談金に含まれるお金

治療費、休業損害、入通院慰謝料、逸失利益、後遺障害慰謝料、修理費など

その他に、通院交通費、装具費といった治療に関する費用など、交通事故との因果関係が認められる損害は示談金として請求可能です。

交通事故示談金の内訳
交通事故示談金の内訳

示談金は、人身事故で発生したすべての損害に対する賠償金をいいます。すべての損害を明らかにすることから、示談は事故解決の最終ステージと考えてください。

一度示談で決まった内容は、後から変更することができません。示談をするということは、以降の争いをやめるということなのです。相手方の保険会社から示談金の提示を受けている方は、不満が残らないように、示談内容について弁護士のチェックを受けておくと良いでしょう。

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示談金が支払われるタイミング

示談金は、示談成立後に支払われます。
示談が成立してから最短でも2~3日はかかるでしょう。

示談書の返送にかかる期間や、相手方の保険会社による事務処理期間によっては、2週間程度かかる可能性もあります。示談後に即日振り込まれるわけではありませんので、注意してください。

慰謝料の請求は人身事故のみ認められる

慰謝料は、通常、人身事故のみ認められます。

慰謝料は、事故で受けた精神的苦痛を和らげるためのお金です。
人身事故で請求できる慰謝料は、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つがあります。

慰謝料概要
入通院慰謝料怪我の痛みや、入院・通院を余儀なくされる苦痛への慰謝料
後遺障害慰謝料一生治ることのない後遺障害を負った苦痛への慰謝料
死亡慰謝料事故で命を奪われる苦痛や、残された家族が味わう精神的苦痛への慰謝料

物損事故として届け出ている場合は、人身に損害が生じていないためいずれの慰謝料も請求できません。

人身事故と物損事故は示談内容が全く異なる

加害者側から「物損事故にしてほしい」と言われていませんか。
物損事故の場合、加害者は刑事責任に問われないことが背景として考えられます。

その他の違いとしては、警察が作成する書類もポイントです。

人身事故の場合、警察は「実況見分調書」を作成します。
実況見分調書は、事故現場を詳しく調べた結果をまとめたものです。示談時に加害者側と意見が割れた時に参照できます。

しかし、物損事故では「実況見分調書」は作成されません。物損事故で作成される書類は、人身事故と比べて簡素です。物損事故として処理すると、加害者側と意見が対立したときの客観的な証拠が乏しくなる恐れがあります。

また、物損事故として届け出ていることで、被害者が慰謝料や治療費などの補償が受けられない可能性もあるのです。加害者から「物損事故にしてほしい」と相談されていても、即断せず、一度立ち止まって考えてください。

賠償金の相場や、人身事故と物損事故の賠償金の違いを知りたい方は、『人身事故の賠償金相場と計算方法!物損事故との違いは何?』を読んでみてください。

示談前に使うべき便利なチェックリスト

後悔しないために示談金の内訳を確認しよう

示談金内訳の確認に役立つチェックリストを用意しましたので、示談を結ぶ前に活用してください。

人身事故損害賠償請求チェックリスト
人身事故損害賠償請求チェックシート

人身事故の慰謝料計算機

慰謝料計算機を使えば、情報を入力するだけで「もし弁護士に示談を依頼したら示談金はいくら増えるのか」が分かります。過失割合を始めとする個別の事情は反映されていませんので、参考程度にご覧ください。

簡単10秒で使えて、個人情報の登録は不要です。

示談を始めるタイミング

示談を始めるタイミングは、人によってバラバラです。
もっと詳しくいうと、示談開始時期は被害者の治療状況・事故状況によって変わります

  • 後遺症なし
  • 後遺症あり
  • 死亡事故

適切な時期に示談を開始しないと、損害賠償請求すべきお金が網羅できません。
重要な「正しい示談のタイミング」をおさえましょう。

後遺症なし・軽傷者は完治したら示談開始

後遺症がない場合、治療を終了していれば、示談を開始しても問題ありません。

人身事故発生から示談までの流れを、フローチャートでみていきましょう。

人身事故示談までの流れ

  1. 事故発生
  2. 治療開始
  3. 治療終了(完治)
  4. 示談交渉
  5. 示談金の獲得

病院を受診して治療を開始

事故にあったら、できるだけ早く病院を受診しましょう。

事故発生直後の身体は興奮状態にあり、通常よりも痛みや異常に鈍くなっている恐れがあります。
後から痛みが出てくることは充分考えられるので、病院の受診は必ず行ってください。

事故から時間が経過して通院を開始しても、治療費・通院交通費などがきちんと認められるかという問題が起こります。事故から日をあけずに病院にかかることが大事です。

もし「どこにも異常がない」ならば、後から痛み・しびれが表れる可能性がある「むちうち」を診てもらえる整形外科を受診しておきましょう。

POINT

病院で診断書をもらったら、警察に人身事故として届ける際に提出してください。

医師の指示をよく聞いて、分からないことや不安は相談するなど、コミュニケーションをとってください。無断で通院をやめてしまったり、治療を中断したり、勝手に整骨院・接骨院の治療に切り替えてはいけません。

関連記事では、あとから痛みが出てきた時の対応や、整骨院・接骨院利用の留意点を解説しています。併せてお役立てください。

治療が終了したら示談交渉を開始

怪我が完治したら通院は終了です。事故の損害がすべて算定できるタイミングになったので、加害者との示談交渉を始めることができます。

示談交渉の多くは、加害者側の保険会社からの提案で始まり、加害者・被害者の両方が納得できる内容となれば、示談成立です。示談で決まった額の示談金が支払われます。

医師

後遺症が残った人は後遺障害認定結果が出たら示談開始

後遺症が残っているなら、後遺障害等級認定の結果が出てから、示談を始めるようにしてください。

人身事故示談までの流れ

  1. 事故発生
  2. 治療開始
  3. 症状固定
  4. 後遺障害等級認定の申請
  5. 後遺障害等級認定の審査結果を受領
  6. 示談交渉
  7. 示談金の獲得

まず、医師から症状固定の判断を受けることが重要です。

症状固定

医学上一般的に承認された治療を行っても、効果が期待できない状態
これ以上は症状の改善が見込めないこと

症状固定の時期を迎えると、治療は終了となります。
しかし、後遺症についての損害賠償金はまだ確定させることができません。
後遺症部分への補償は、後遺障害等級認定を受けて等級に応じた損害賠償を請求しましょう。

後遺障害等級認定を受けられるかどうかは、まず、後遺障害等級の要件に当てはまるかがポイントです。

後遺障害等級は1級から14級まであります。
具体的に、どんな症状が後遺障害何級に該当するかをみてみましょう。

後遺障害等級表(要介護)

等級症状の内容
第1級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第1

後遺障害等級表(要介護でない)

等級症状の内容
第1級
  1. 両眼が失明したもの
  2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  3. 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
  4. 両上肢の用を全廃したもの
  5. 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両下肢の用を全廃したもの
第2級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  3. 両上肢を手関節以上で失つたもの
  4. 両下肢を足関節以上で失つたもの
第3級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失つたもの
第4級
  1. 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失つたもの
  4. 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
  5. 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
第5級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 一上肢を手関節以上で失つたもの
  5. 一下肢を足関節以上で失つたもの
  6. 一上肢の用を全廃したもの
  7. 一下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失つたもの
第6級
  1. 両眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
第7級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
  7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
  8. 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
  9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失つたもの
第8級
  1. 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
  4. 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
  5. 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  8. 一上肢に偽関節を残すもの
  9. 一下肢に偽関節を残すもの
  10. 一足の足指の全部を失つたもの
第9級
  1. 両眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  8. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  9. 一耳の聴力を全く失つたもの
  10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
  13. 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
  14. 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
  15. 一足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級
  1. 一眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  7. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
  8. 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
  10. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  7. 脊柱に変形を残すもの
  8. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
  9. 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級
  1. 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
  9. 一手のこ指を失つたもの
  10. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  11. 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
  12. 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  14. 外貌に醜状を残すもの
第13級
  1. 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  6. 一手のこ指の用を廃したもの
  7. 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
  8. 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
  10. 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用11.を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第14級
  1. 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  7. 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  8. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの
出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第2

後遺障害等級認定の申請には、「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法がありますが、「被害者請求」がおすすめです。

被害者請求では、後遺障害等級認定の申請時に提出する書類を被害者自身で選択できます。ご自身の後遺症の状況を第三者に認定してもらうためには、治療状況の分かる書類や、検査結果の提出が必要不可欠です。後遺障害等級認定を受けるための工夫ができるのが、被害者請求の特徴でありメリットといえます。

具体的な被害者請求の進め方は関連記事を参考にしてください。

もし、後遺障害等級認定が受けられずに非該当となった場合や、想定していた等級よりも低く認定されて不満な場合には再度申請が可能です。これを「異議申立て」といいます。

しかし、初回申請は一度認められなかったのですから、簡単には結果は変わらないでしょう。異議申立てを行う場合は、なぜ非該当だったのか、低い等級認定となったのか、理由を検討しましょう。弁護士に相談・依頼をすれば、アドバイスやサポートを受けられます。

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死亡事故は気持ちを落ち着けてから示談開始

四十九日などの法要を終えて、少しでも気持ちが落ち着いてから示談をスタートしましょう。

厳密には、葬儀が終われば損害の算定自体は可能です。しかし、気持ちが動揺しているときは、通常時と比べて正常な判断が難しくなります。少し時間をおいてから示談を始めましょう。

人身事故示談までの流れ

  1. 事故発生
  2. 被害者の治療
  3. 被害者の死亡
  4. 葬儀
  5. 四十九日などの法要
  6. 示談交渉
  7. 示談金の獲得

死亡事故の場合、死亡が確定されるまでに受けた治療費も含めて請求可能です。また、被害者の葬儀費用についても、相手方に請求すべき費用となります。(ただし、香典返しは認められていません)

なお、後遺障害に関する賠償金と死亡に関する賠償金は、重複して請求できません。

示談金を増やすには弁護士基準の計算がベスト

保険会社に示談金・慰謝料の計算を任せない

保険会社が作成・提案してくる示談案に記載されている慰謝料などの金額は、必ずしも正しいとは限りません。弁護士基準と比べると低額で、さらに増額の余地があるのです。

最初に提示される示談案は、自賠責保険の基準や任意保険の基準などの保険会社の計算基準で算定されています。

もし示談をせずに民事裁判を起こしたら、金額を算定するのは保険会社ではありません。裁判所が下す判決(損害賠償金)は弁護士基準(裁判基準)に基づいています。

示談は、裁判ではなく、双方の話し合いで解決を図るものです。
示談を選んだことで慰謝料が低額になったり、判決で認められうる適正な金額が認められないというのは、被害者にとっての不利益でしかありません。

示談交渉を弁護士に依頼することで、判決で認められうる金額に近づけることが可能です。

ここからは、人身事故における入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の計算方法をみていきましょう。

入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料は、人身事故の怪我のために入院・通院をした期間に応じて支払われます。
自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準で慰謝料の算定結果が異なり、自賠責保険は最も低額な水準です。

自賠責保険会社の入通院慰謝料計算方法

自賠責保険会社は、日額4,300円を対象となる日数分に応じて支払います。
2020年3月31日以前に発生した人身事故の場合は、日額4,200円が原則です。

入通院慰謝料
4,300円 × 対象日数

対象日数は以下の日数の少ない方

  • 通院開始から治療終了までの日数
  • 実治療日数の2倍

任意保険会社の入通院慰謝料計算方法

任意保険会社は、会社ごとに独自の算定基準を用います。
各保険会社の基準は非公開となっていますので、正確な計算方法は不明ですが、これまでの事例から、自賠責保険の基準とほぼ同じ算定結果になると考えられます。

以前は、各任意保険会社で共通の算定基準を用いていました。
旧基準にはなりますが、現在も旧基準を採用している任意保険会社もあるようですので、参考程度にご紹介します。

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料
旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

縦軸は通院月、横軸は入院月を表しています。
「月」というのは1ヶ月、2ヶ月という暦ではなく「30日」を単位としています。
暦の影響を考慮することなく、60日の通院期間でしたら、「2月」になります。

入院月・通院月の交わるところが、入通院慰謝料となります。

弁護士基準の入通院慰謝料計算方法

弁護士基準は、自賠責保険会社のように、日額では算定しません。
弁護士基準の慰謝料計算には、2つの算定表を用います。

算定表は原則は「重傷」の算定表を使いますが、むちうち・擦り傷・打ち身などの場合は「軽傷」の算定表をご覧ください。

弁護士基準の入通院慰謝料算定表(重傷)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

弁護士基準の入通院慰謝料算定表(軽傷)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

縦軸は通院月、横軸は入院月を表しています。
「月」というのは1ヶ月、2ヶ月といった暦ではなく「30日」を単位としています。
暦の影響を考慮することなく、90日の通院期間でしたら「3月」になります。

入院月・通院月の交わるところが、入通院慰謝料となります。

この算定表は目安となりますので、次のようなケースでは増額される可能性があります。

  • 入院までに待機期間があった
  • ギプスなどを付けた状態での自宅療養をおこなった
  • 育児などのやむをえない事情で入院・通院を早く切り上げた
  • 加害者の態度が不誠実である

一方で、入院・通院期間の長さに対して、実際の治療日数が少ない場合は、減額される可能性があります。入通院を適切な頻度でおこなうことは、損害賠償請求の面でも、治療のためにも必要です。

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じた目安金額が定められています。
その目安を元に、個別の事情を反映して金額が決まります。

後遺障害等級認定を適切に受けることが、慰謝料額にとって重要です。

なお、任意保険会社の基準については非公開となっていますので、自賠責保険会社の基準と弁護士基準を比較します。

表:後遺障害慰謝料

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護 1,650万円
(1,600万円)
2,800万円
2級・要介護1,203万円
(1,163万円)
2,370万円
1級1,150万円
(1,100万円)
2,800万円
2級998万円
(958万円)
2,370万円
3級861万円
(829万円)
1,990万円
4級737万円
(712万円)
1,670万円
5級618万円
(599万円)
1,400万円
6級512万円
(498万円)
1,180万円
7級419万円
(409万円)
1,000万円
8級331万円
(324万円)
830万円
9級249万円
(245万円)
690万円
10級190万円
(187万円)
550万円
11級136万円
(135万円)
420万円
12級94万円
(93万円)
290万円
13級57万円
(57万円)
180万円
14級32万円
(32万円)
110万円

※()の金額は2020年3月31日までに起こった人身事故に適用される

死亡慰謝料の計算方法

死亡慰謝料は、亡くなった被害者ご本人への慰謝料になります。
亡くなられると、死亡慰謝料を請求することは、物理的にできません。
そのため、被害者から「請求権」を相続した相続人が、相手方に請求を行います。

任意保険会社の基準については非公開のため、自賠責保険会社の基準と弁護士基準を比較してみましょう。

表:死亡慰謝料の比較

被害者自賠責弁護士
一家の支柱400万円
(350万円)
2,800万円
母親・配偶者400万円
(350万円)
2,500万円
独身者・子ども400万円
(350万円)
2,000万円~2,500万円
以下は該当者のみ
+遺族1名550万円
+遺族2名650万円
+遺族3名以上750万円
+被扶養者あり200万円

※()内の金額は2020年3月31日までに発生した事故に適用される
※遺族:被害者の配偶者、子、両親(認知した子、義父母含む)

自賠責保険による死亡慰謝料は、被害者の立場に関係なく一律で400万円となっています。そして、遺族の人数や被扶養者の有無によって金額が加算される仕組みです。
弁護士基準では、遺族人数に応じた加算はありませんが、そもそも被害者の属性別に目安が存在します。

自賠責保険の基準で算定した時、最も死亡慰謝料が高額になる場合でも1,350万円となります。弁護士基準の方が約1.5倍~2倍以上の金額となるのです。

なお、表中の金額はあくまで相場にすぎず、慰謝料は個別の事情を考慮して金額が確定されます。つまり、相場より多くもらえる場合や、逆に相場と比べて少なくなってしまうこともあるのです。人身事故の慰謝料を多くもらうためのポイントや計算方法は、関連記事を参考にしてください。

人身事故の示談に関するご相談を受け付けています

示談金の増額は弁護士に任せる

人身事故の示談金算定を相手方に任せていると、本来の相場よりもずっと低額な内容で示談をしてしまう可能性があります。弁護士基準での示談交渉によって、本来の相場を目指していきましょう。

慰謝料はもちろん、仕事を休んだことへの補償、後遺障害が残ったことへの補償も弁護士による交渉が有効です。

関連記事『交通事故の示談金はいくらが妥当?示談の前に金額をチェック!』では交通事故の類型ごと、示談金の項目ごとに相場を紹介しているので、弁護士に頼んだ場合のイメージを掴んでみましょう。

もらい事故では示談代行サービスを使えない

「被害者に全く落ち度がないのだから、まさか損をすることはないだろう」と考えていると危険です。被害者に過失のつかない事故はもらい事故といわれますが、もらい事故の時、被害者が加入する保険会社の示談代行サービスは利用できません。

相手方には保険会社の担当者がつくのに、被害者は一人での交渉にのぞまなくてはならずかえって示談が難航する恐れがあるのです。もらい事故の場合だからこそ、弁護士への依頼を検討すべきと言えるでしょう。

24時間・365日相談予約を受付中

人身事故と一口にいっても、被害の程度により請求するべきお金は千差万別です。示談を結ぶ前に、弁護士に示談内容の妥当性をご相談されることをおすすめします。

一度示談を結ぶと、示談内容を変更することは通常不可能です。

あのお金も請求できたらしい
もっとちゃんと補償を受けられたはずなのに示談してしまった

こういった不満や後悔を避けるには、今、できる万全を尽くすことです。
弁護士にそのお手伝いをさせていただきたいのです。

人身事故の解決のためには、事故当時のことをお話しいただいたり、生活のこと、お仕事のことなどのプライベートな部分を聞かせていただくこともあるでしょう。

だからこそ、アトム法律事務所は、お客様との信頼関係を何より大切にしています。

「弁護士事務所に電話をするのは緊張する」
「電話は苦手だからまずはメールで相談したい…」

こういったお声を受けて、アトム法律事務所は、電話・LINE・メールの3本柱で、ご相談を受け付けています。あなたにとって一番負担の少ない方法で、ご連絡ください。

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まとめ

  • 人身事故と物損事故では示談内容に決定的な差がある
  • 人身事故の示談は全損害を算定できるようになってからスタートする
  • 保険会社が最初に提示する示談案の金額は増額交渉の余地あり
  • 人身事故の示談はやり直しできない
  • 人身事故の示談は弁護士に相談できる最後のタイミング

不安や疑問を抱えたまま、示談をするのは絶対に避けてください。

「あの時、弁護士に相談しておいてよかった」
「なんであの時、弁護士に相談しなかったんだろう」

今が分かれ目かもしれません。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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