人身事故の示談の流れや示談金額、注意点|基本からよくある疑問まで徹底解説

更新日:

人身事故の示談徹底解説

人身事故の示談といっても、示談金の内訳や相場、交渉相手、示談開始のタイミングなどは事案によりけりです。

人身事故なのに人身にしないで物損事故として示談したり、過失割合が10:0だから揉めないだろうと楽観視して交渉に臨んだりすると、トラブルが生じたり苦戦したりすることもあります。

この記事では、人身事故の示談に関する基礎知識や、よくある質問などをまとめています。人身事故の示談について漠然とした知識しかない場合や、不安・疑問がある場合にぜひご確認ください。

交通事故の無料法律相談
相談料 0
毎日50件以上のお問合せ!
交通事故の無料法律相談
¥0 毎日
50件以上の
お問合せ

人身事故の示談に関する基礎知識

示談とは民法695条で規定された「和解契約」の一種であり、裁判ではなく当事者同士での話し合いによって、人身事故の損害賠償問題を解決することです。

人身事故では損害賠償問題について最初から裁判をすることは少なく、一般的にはまず示談での問題解決が試みられます。
示談で問題が解決すれば、裁判を起こす必要はありません。

人身事故の示談で話し合われる内容や交渉相手、示談開始のタイミングなど基本的なことを見ていきましょう。

(1)話し合う内容|主に示談金額と過失割合

人身事故の示談では、主に示談金の金額や過失割合について話し合われます。

  • 示談金
    交通事故で生じた損害に対する賠償金のこと。示談交渉で決められる損害賠償金であることから「示談金」と呼ばれる。慰謝料や治療費、休業損害などが含まれる。
  • 過失割合
    交通事故が起きた責任が、加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるかを割合で示したもの。自身に過失割合がつくと、その割合分、受け取れる示談金が減額される。(過失相殺)

上記の内容の他、示談金の支払い方法や支払い期日などについても話し合い、被害者側・加害者側双方が合意すれば、示談は成立です。

合意した内容を記した示談書または免責証書を取り交わして示談交渉は終了となります。

なお、示談書や免責事項に署名・捺印をすると、それ以降は基本的に示談の撤回・再交渉・追加の交渉などはできません。示談をするということは、以後の争いをやめるということなのです。

示談金額についてはのちほど本記事内でも解説します。過失割合の決め方については、『交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順』の記事をご覧ください。

加害者の刑事罰や行政処分はどう決まる?

交通事故の加害者は、被害者に対して示談金を支払うだけでなく、刑事罰や行政処分を受けることもあります。

しかし、刑事罰や行政処分は国家や行政が決定するものです。よって、私人である被害者・加害者間での示談交渉でこれらについて話し合うことはできません。

示談交渉ではあくまでも損害賠償問題についてのみ話し合うということを押さえておきましょう。

表:人身事故の加害者が負う3つの責任

責任内容・決め方
民事責任損害賠償金(示談金)の支払い
基本的に示談交渉で決められる
刑事責任刑事罰(懲役・禁固など)
基本的に刑事裁判で決められる*
行政責任反則金、免許証の停止、違反点数
行政が判断する

*不起訴になり裁判がおこなわれない場合や、略式裁判という書面のみを通じた簡易的な裁判がおこなわれる場合もある

なお、刑事裁判の前に示談が成立していると、「被害者から一定のゆるしは得られている」として加害者の刑事罰が軽くなることがあります。

しかし、「示談成立により加害者の刑事処分が軽くなるのは避けたい」という思いであえて示談を長引かせると、かえってデメリットを受けるおそれもあるため注意が必要です。

「示談成立によって加害者の刑事罰が軽くなることは避けたい」とお考えの場合は、一度弁護士までご相談ください。

示談成立が遅くなるデメリットを解説:交通事故の解決までの日数は何日?

(2)交渉相手|加害者の保険加入状況などによる

人身事故の示談交渉において、交渉相手は加害者の保険加入状況別に、次のようになります。

  • 加害者が任意保険加入済み:加害者側の任意保険担当者
  • 加害者が任意保険未加入:加害者本人
  • ※加害者側の任意保険や加害者本人が弁護士を立ててくるケースもある

交渉相手が誰であっても、それぞれ注意点があります。

たとえば交渉相手が加害者側の任意保険担当者なら、知識・経験共に豊富な相手と交渉することになるため、被害者側は不利になりやすいです。相手が弁護士ならなおさらでしょう。

一方、交渉相手が加害者本人だった場合は、知識や経験は被害者側とそれほど違わないと思われます。しかし、だからこそお互いに落としどころがわからず迷走したり、脅しや逆上といったトラブルが生じたりするリスクがあります。

そもそも交渉を始めてくれない、決まった示談金を支払ってくれないというリスクへの対策も必要です。

加害者が任保険未加入の場合の対処法は『交通事故相手が無保険でお金がない!賠償請求時の対処法6つ』の記事で詳しく解説しています。

(3)示談はいつ始めるか|人身被害の内容による

示談交渉は、人身事故による被害がすべて確定してから始められます。
損害が確定するより前に示談を開始し成立させてしまうと、あとから請求漏れが発覚するおそれがあるからです。

損害がすべて確定するタイミングは人身被害の内容により異なり、以下の通りです。

  • ケガが完治した:治療終了後
  • 後遺症が残った:後遺障害認定後
  • 死亡事故:葬儀後(一般的には四十九日を過ぎてから)

もし上記のタイミングより早く加害者側が示談を持ちかけてきても、応じないようにしましょう。

ただし、車の修理費や代車費用など、物損に関する交渉に関しては上記よりも早いタイミングで始められることがあります。

示談は口頭でも成立してしまうので、その場しのぎでとりあえず応じておくということも避けてください。

人身にしないで物損事故として示談するとどうなる?

交通事故では、「人の死傷が生じた事故」を人身事故、「人の死傷がない事故」を物損事故として区別します。

しかし、被害者はケガをしているのに、加害者側や警察から物損事故として届け出るよう言われることがあります。

本当は人身事故なのに人身にしないで物損事故として示談すると生じるリスク・デメリットは、次の通りです。

  • 物損事故として届け出ると、書面上は人身の損害が生じていないことになる。
    治療費や慰謝料といった人身部分の費目を受け取れない可能性がある
  • 物損事故として届け出ると、警察による捜査や捜査内容をまとめた書類が簡素なものになる。
    事故状況を証明する書類が少なくなるため、加害者側が事故状況について誤った主張をしてきても反論しにくくなる。
    ※事故状況は、過失割合を決める基準となる。

よって、人身に損害が生じているならば人身事故として届け出ることを強くおすすめします

もし、既に物損事故として届け出ている場合は、すみやかに診断書を警察に提出して人身事故に切り替えてもらいましょう。

人身への切り替え手続きについては、『物損から人身への切り替え方法と手続き期限!切り替えるべき理由もわかる』の記事で詳しく解説しています。

人身事故~示談までの流れと示談金額に影響する注意点

次に、人身事故が発生してから示談が成立するまでの流れを解説していきます。

なお、人身事故の示談金は示談交渉によって決められますが、示談開始前の時点で示談金減額の要因を作ってしまうこともあります。

よって、示談開始までの流れの中で注意すべき点についても見ていきましょう。

後遺障害なしの人身事故の場合

後遺障害がない場合の示談までの流れは、以下のとおりです。

示談までの流れ

  1. 事故発生
  2. 治療開始
  3. 治療終了(完治)
  4. 加害者側から示談案が届く
  5. 示談交渉
  6. 示談成立

上記のフローのうち、示談金額に影響しうるポイントは以下の2点です。

  • 事故後、時間をおかずに病院へ行くこと
  • 医師の指示通り通院し、整骨院へ行くなら医師の許可を得ておくこと

それぞれについて詳しく解説します。

事故後、時間をおかずに病院へ行く

事故にあったら、すぐに病院で診察を受けましょう

事故の発生からしばらく経ったあとに診察を受けた場合、事故と症状の因果関係を疑われてしまうことがあります。その場合、治療費や入通院慰謝料などを請求できなかったり、減額されてしまったりすることがあるので注意が必要です。

とくにむちうちは、事故の発生からしばらく経ってから症状が現れることがあります。初めはケガをしていないように感じても、念のため診察を受けておきましょう。

むちうちについて詳しくは、『交通事故で多いむちうちの症状と慰謝料計算方法|治療や後遺症認定を解説』の記事が参考になります。

医師の指示通り通院し、整骨院は医師の許可を得て通う

人身事故では、医師の指示通りに通院・服薬などをしていないと、「被害者の治療に対する意欲が低かった」として慰謝料が減額されるおそれがあります。
必ず医師の指示に従って治療を受けましょう。

また、交通事故で負ったケガがむちうちなどの場合、病院の整形外科ではなく整骨院に通院したいという人もいます。

整骨院に通いたい場合は、以下の点を守ってください。そうすることで整骨院通院でも、施術費や入通院慰謝料を請求することが可能になります。

  • 最初は病院で診察を受ける
  • 事前に病院の医師に整骨院通院の許可をもらう
  • 整骨院に通い始めてからも、月に1回以上は病院へも通う

なぜ上記の点を守らなければならないのかについては、関連記事『交通事故の治療を整骨院で受けても慰謝料はもらえる』で詳しく解説しています。

後遺障害ありの人身事故の場合

後遺障害がある場合の示談までの流れは、以下のとおりです。

示談までの流れ

  1. 事故発生
  2. 治療開始
  3. 症状固定
  4. 後遺障害等級認定の申請
  5. 後遺障害等級認定の審査結果を受領
  6. 示談交渉
  7. 示談成立

上記のフローのうち、示談金額に関わる重要なポイントは後遺障害認定です。

後遺障害認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。しかし、審査の結果、後遺障害認定されなければ、たとえ後遺症が残っていてもこの2費目はもらえないのです。

また、後遺障害慰謝料・逸失利益の金額は後遺障害等級に左右されるため、ただ後遺障害認定されるだけでなく、適切な等級に認定されることが重要です。

適切な後遺障害認定を受けるには、以下の2つがポイントとなります。

  • 被害者請求という申請方法を選ぶこと
  • 該当しうる等級を正確に把握し、認定基準を踏まえて審査対策すること

後遺障害認定の申請方法や対策については、関連記事『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』をご確認ください。

また、1度目の申請で納得いく結果にならなかった場合は、異議申し立てにより再審査を受けることも可能です。
詳しくは『後遺障害の異議申し立てを成功させる方法と流れ』の記事で解説しています。

死亡事故の場合

死亡事故の示談までの流れは、以下のとおりです。

示談までの流れ

  1. 事故発生
  2. 被害者の治療
  3. 被害者の死亡
  4. 葬儀
  5. 四十九日などの法要
  6. 示談交渉
  7. 示談成立

死亡事故の場合は、加害者側による葬儀への参列、香典などが示談金額に影響する可能性があります。

たとえば加害者から香典を受け取ると、示談交渉時に「あれは慰謝料の一部を前払いしたものだった」と言われることがあるのです。

加害者側から香典の申し出があった場合は、断るか、あくまで香典であり慰謝料など示談金とは関係のないお金であることを明確にしてから受け取るようにしましょう。

なお、死亡事故の場合は、遺族間で相続人や損害賠償金の分配について決めておく必要があります。『交通事故の慰謝料|遺産分割できる相続人は?相続分はどれくらい?』の記事を参考にしてみてください。

人身事故の示談金で損しないために知っておきたいこと

(1)示談金の内訳|請求の可否が争いになることもある

示談金とは、加害者側との示談交渉を通して決まった事故の損害賠償金のことです。

例えば慰謝料は示談金に含まれる費目の1つで、事故で負った精神的苦痛に対する補償になります。

人身事故における示談金の基本的な内訳は、以下の通りです。

人身事故の示談金の内訳

  • 治療費
    事故で負ったケガの治療に要した診察料、投薬料などの費用。
  • 休業損害
    事故の影響で休業したため減った収入の補償。
  • 入通院慰謝料
    事故でケガを負った精神的苦痛の補償。
  • 逸失利益
    事故で後遺障害を負った影響で減る将来的な収入の補償。
  • 後遺障害慰謝料
    事故で後遺障害を負った精神的苦痛の補償。
  • 修理費
    事故で壊れた車両などを修理する費用。
  • その他
    入院雑費、通院交通費、器具・装具費など。

示談金の内訳について詳しくは、関連記事『人身事故の賠償金相場と計算方法!物損事故との違いは何?』を読んでみてください。

ただし、実際の被害内容によって示談金の内訳は少しずつ違ってきます。

たとえば人身事故前に無収入だった人、事故に遭っても減収が生じなかった人は休業損害を請求できません。(※専業主婦の人、一部の無職の人、有給休暇を使って減収を防いだ人を除く)

一方で、被害者が学生であり、人身事故によって長期の休学・留年が発生した場合は、余分に必要になった学費や下宿代などが示談金に追加されます。

また、重度の後遺障害が残り将来にわたる介護や自宅のリフォームが必要になった場合は、そのための費用も請求できます。

ただし、本来なら請求できるはずの費目について、加害者側が示談金に含めようとしないケースもあります。

請求可否について揉めやすい費目については以下の記事で解説しているので、ご確認ください。

チェックリスト|示談金の内訳に漏れがないか確認できる!

人身事故の示談金のチェックリストを以下にご用意しました。
示談金の内訳を確認する際に、ぜひご活用ください。

ただし、下記チェックリストに記載のない費目でも請求できることがあります。
「この損害への賠償金は請求できる?」という疑問がある場合はお気軽に弁護士にご相談ください。

アトム法律事務所なら、無料電話・LINE相談が可能です。

人身事故損害賠償請求チェックリスト
人身事故損害賠償請求チェックシート
交通事故の無料法律相談
相談料 0
毎日50件以上のお問合せ!
交通事故の無料法律相談
¥0 毎日
50件以上の
お問合せ

(2)示談金の相場|特に慰謝料額は揉めやすい

示談金額は被害の内容・程度によって大きく変わるため、事案ごとに相場を算定する必要があります。
慰謝料・逸失利益については以下の計算機から相場を確認してみてください。

ただし、機械的な計算結果であるため、細かい事情まで反映した厳密な相場とは言えません。あくまでも目安程度として考えていただき、厳密な金額については弁護士に算定を依頼することをおすすめします。

損害確定後であれば、アトム法律事務所の無料電話・LINE相談でも厳密な相場をご確認いただけます。

具体的な計算方法が知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

適切な相場と加害者側の提示額の落差が大きいのは慰謝料

人身事故では、加害者側が提示してくる示談金額は適切な相場よりも低いことが多いです。
とくに慰謝料は、適切な相場との落差が大きい傾向にあります。

加害者側は、適切な相場を算定する計算方法とは違う、保険会社独自の計算方法で慰謝料を算定するからです。

表:示談金の計算基準

自賠責基準人身事故被害者が受け取れる最低限の金額の計算基準。
被害者が受け取れる最低限の金額が計算できる。
任意保険基準示談交渉時に加害者側の任意保険会社が提示してくる金額の計算基準。
保険会社ごとに独自に設定されており、詳細は非公開。
自賠責基準と同程度か、自賠責基準よりやや高額な程度。
弁護士基準
(裁判基準)
過去の判例をもとにした、法的に適正な基準。
弁護士や裁判所はこの基準に沿って慰謝料を算定する。
3つの基準のなかで最も高額となる。
示談金を計算する3つの基準

上で紹介した慰謝料計算機では、弁護士基準に沿った計算方法が採用されています。一方、任意保険基準の金額は、弁護士基準で計算した金額の半分~3分の1程度であることが多いのです。

実際にアトム法律事務所が受任した事例から、示談金の増額例をご紹介します。
加害者側の提示額にどれだけ増額の余地があるのかがわかるでしょう。

事例:むちうちで後遺障害なしのケース

傷病名頸椎捻挫
後遺障害等級非該当
提示された示談金67万円
最終的に合意した示談金182万円

事例:むちうちで後遺障害14級のケース

傷病名頸椎捻挫
後遺障害等級14級
提示された示談金168万円
最終的に合意した示談金360万円

事例:骨折で後遺障害12級のケース

傷病名左膝蓋骨剥離骨折
後遺障害等級12級
提示された示談金301万円
最終的に合意した示談金1534万円

ここで紹介した以外にもアトム法律事務所は豊富な実績を積んできています。アトムの弁護士が実際に解決した事例は「交通事故の解決事例」のページでまとめていますので、あわせてご確認ください。

(3)自力で示談交渉しても十分な示談金が得られるか

過去の判例に沿った適切な慰謝料額を得るには、示談交渉時に加害者側に対して増額を求めなければなりません。

しかし、とくに交渉相手が加害者側の任意保険担当者の場合、被害者による自力での交渉で十分な増額を実現することは難しいです。その理由は以下の通りです。

  • 示談金に関する知識・示談交渉の経験などは相手の方が圧倒的に豊富
  • 会社としての方針で、「弁護士が出てこない限り大幅増額には応じない」としている任意保険会社もある

被害者が根拠を揃えて示談金増額を訴えても、加害者側は豊富な知識やスキルを駆使して反論してくるでしょう。

被害者が増額してもらえるまで粘る作戦を取った場合は、加害者側の任意保険担当者も被害者の根負けを狙う作戦に出てきたり、高圧的な言動をとって被害者にストレスをかけようとしたりすることがあります。

被害者自身の交渉では、かけた時間・労力のわりに得られた示談金が少ない、ということになりかねません。十分な増額を狙う場合は弁護士を立てることをおすすめします。

自身の保険の示談代行サービスと弁護士、どちらがいい?

示談交渉は、保険の示談代行サービスによって自身の保険担当者に任せることもできます。

ただし、以下の点から弁護士に依頼した場合に比べて示談金の増額幅が小さくなることがあります。

  • 保険会社同士での交渉となった場合、これまで・これからの関係性を考え交渉が甘くなることがある。
  • 自身の保険担当者が主張する金額は、弁護士基準の金額より低いことが多い。(※自身の保険担当者は、弁護士基準ではなく自社内の基準に沿って慰謝料を計算するため)

もちろん、示談代行サービスを使えば被害者自身で交渉するよりは多くの示談金が得られる可能性が高いです。

しかし、示談金を最大限に増額させたいのであれば、弁護士に依頼することをおすすめします。
また、弁護士なら示談交渉以外にも、示談開始に至るまでの様々な手続き・トラブル対処もおこないます。

人身事故の示談に関するよくある質問

Q1.人身事故の示談にかかる期間はどれくらい?

人身事故の示談にかかる期間は、事故で発生した損害の種類によって異なります。具体的には、以下の期間が目安となるでしょう。

表:人身事故の示談にかかる期間の目安

後遺障害なしの人身事故半年程度
後遺障害ありの人身事故半年~1年程度
死亡事故半年~1年程度

ただし、上記の期間はあくまでも目安です。示談金の金額や過失割合で争う場合は、上記よりもさらに長くなる可能性があることに留意してください。

示談にかかる期間については、『交通事故の示談にかかる期間の目安は?早く終わらせたいときの対処法』の記事でさらに細かく説明しています。

Q2.人身事故の示談成立から支払いまでの期間はどれくらい?

示談成立から示談金の支払いまでに、通常は約2週間かかります

示談金の支払いまでに時間がかかる理由は、示談書の返送にかかる期間や、加害者側の任意保険会社による事務処理の期間が必要になるためです。

もし、2週間をすぎても指定した口座に示談金が振り込まれない場合は、加害者側の任意保険会社に連絡し、いつ振り込まれるか確認してみるとよいでしょう。

Q3.人身事故で示談しないとどうなる?

「加害者側が提示する条件に納得できない」「加害者側の態度が悪い」といった理由で人身事故の示談をしない場合、時効が成立し、示談金を受け取れなくなるリスクが生じます

人身事故の時効は、基本的に起算日から5年となります。ただし、物損部分に関する時効は3年、保険会社に保険金を請求する時効も3年となります。

表:時効の一覧

損害賠償請求(人身部分)5年※
損害賠償請求(物損部分)3年
保険金の請求(人身含む)3年

※2017年4月1日以降に発生した事故に適用

人身事故の示談は、基本的に上記の時効が完成するまでに成立させる必要があります。

示談で解決が難しいなら裁判・ADRを検討する

示談ではどうしても納得のいく結果にならない場合は、民事裁判やADR(裁判外紛争解決手続き)での解決を目指すことになるでしょう。

示談・裁判・ADRの違い
示談・裁判・ADRの違い

示談しない場合のリスクや、示談をしたくないときの考え方については、『交通事故で示談しないとどうなるのか?リスクや示談拒否したいときの考え方』の記事もご参考ください。

Q4.人身部分と物損部分を別々に示談しても大丈夫?

人身事故では、人身部分と物損部分の示談を別々に行っても問題ありません

物損部分の損害額が確定するのは修理費の見積もりが出たタイミングであり、人身部分の損害額の確定よりも大幅に早いです。よって、物損部分を人身部分より先に示談することが多くなります。

人身部分と物損部分を別々に示談する際は、過失割合に注意しましょう。物損部分の示談で決まった過失割合は人身部分にも流用されることがあるので、安易に妥協しないことが大切です。

また、物損部分の示談書・免責証書を先に取り交わす際は、タイトルが「物損に関する示談書」になっているなど、損害内容を特定しているかも確認してください。

Q5.10:0の人身事故なら示談で揉めない?

過失割合が「加害者:被害者=10:0」の事故であっても、示談交渉の際に揉めることは十分にあり得ます。
過失相殺による示談金減額ができない分、加害者側は提示額を一層低めにしたり、よりかたくなな態度で交渉に臨んできたりすることが考えられるのです。

しかし、被害者に過失がない場合、加入している保険会社の「示談代行サービス」を使い、自身の保険担当者に交渉を任せることはできません。

よって、過失割合10:0のもらい事故で示談交渉に不安がある場合は、弁護士にご相談ください。

もらい事故については、『もらい事故にあったらどうする?得する方法を知って泣き寝入りしない被害者に!』の記事もあわせてご覧ください。

人身事故の示談を弁護士に任せるメリット

大幅な示談金増額と示談の早期成立が見込める

人身事故の示談を弁護士に任せれば、以下の理由から示談金の大幅増額が期待できます

  • 被害者が弁護士を立てると、加害者側は裁判への発展を警戒して譲歩の姿勢を取る傾向にある
  • 「弁護士が出てきたら大幅な増額にも応じる」としている任意保険会社もある
  • 弁護士なら豊富な知識と交渉スキルにより、効果的に交渉することができる

また、弁護士を立てると上記の理由から被害者側の主張がスムーズに通るようになり、示談が早く成立することも期待できます。

すでに解説した通り、加害者側の提示額は妥当な相場よりも大幅に低いことが多く、とくに慰謝料は妥当な金額の半分~3分の1程度であることも珍しくありません。

よって、示談金を早く十分に増額させたいなら、弁護士に示談を任せることをおすすめします。

増額交渉(弁護士あり)

加害者側とのやり取りで受けるストレスを軽減できる

弁護士に示談を任せることで、被害者が加害者側と直接やり取りしなくてよくなるのも、メリットのひとつです。

人身事故の示談において、加害者側とのやり取りにストレスを感じる被害者の方は少なくありません。主張をなかなか聞き入れてもらえなかったり、高圧的な態度を取られたりして、疲弊してしまうケースは決して珍しくないのです。

弁護士に示談を任せれば、加害者側とのやり取りの窓口になってもらえます。被害者自身は加害者側とのやり取りで起こるストレスから解放され、治療や日常生活への復帰に集中できるのです。

加害者側とのやり取りの体験談

事故相手の誠意のなさと保険会社のさっさと幕ひきを図ろうとする姿勢に戸惑いを感じました。仕事中にも関わらず電話してきたりととても困っていました。個人で相手と交渉するのに限界を感じ、アトム法律事務所に電話で相談しました。(略)

アトム法律事務所のご依頼者様のお手紙

追突事故の被害にあったのですが、相手方の保険会社が対応は遅い!悪い!ですごく嫌な思いをしました。やはり慰謝料も納得いく額では無かった為、LINEの無料相談から依頼する事にしました。最大金額での示談交渉で少しは減額になると思っていましたが、減額されず満額で示談となりました。(略)

アトム法律事務所のご依頼者様のお手紙

弁護士のサポートを気軽に受けられる方法もある

人身事故の示談を弁護士に任せようと思うと、弁護士費用がかかります。
しかし、自身の保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用は基本的に負担する必要がありません。

弁護士費用特約

弁護士費用を自身の保険会社に負担してもらえる特約。
家族の保険に付いている弁護士特約や、火災保険・クレジットカードの保険などについている弁護士特約でも使えることがある。

もし保険に弁護士費用特約がついていなくても、アトム法律事務所なら着手金は原則無料です。

成功報酬は発生しますが、獲得示談金の中から支払えるため費用調達の負担を減らせます。
また、成功報酬を差引いても、弁護士を立てた方が多くの示談金が手に入ることが多いので、まずはお気軽に無料電話・LINE相談からご連絡ください。

無料電話・LINE相談はこちらから

無料電話・LINE相談では、ご依頼に関する質問・打ち合わせの他、示談金相場や過失割合の確認、その他人身事故に関する手続き・トラブルの相談が可能です。

無料相談のみのご利用も可能であり、無理にご依頼を勧めることはありません。以下のバナーよりご連絡お待ちしております。

交通事故の無料法律相談
相談料 0
毎日50件以上のお問合せ!
交通事故の無料法律相談
¥0 毎日
50件以上の
お問合せ

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

突然生じる事故や事件に、
地元の弁護士が即座に対応することで
ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。