交通事故後は当事者同士で連絡を取る?電話の注意点やトラブル対処法も解説
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交通事故後、事故相手とのやりとりについて「当事者同士で連絡を取るの?」「事故相手に住所や連絡先を教えても大丈夫?」などの疑問を持つ人も多いでしょう。
結論から言えば、事故相手との連絡先交換は必要ですが、実際に当事者同士で連絡を取るかは状況次第です。
この記事では、当事者同士で連絡先交換をすべき理由や実際に連絡を取り合うケースを解説します。
事故の当事者同士での連絡でよくあるトラブル、不安についてもお答えしているのでご確認ください。
目次
交通事故では当事者同士で連絡を取る?
交通事故後、当事者同士での連絡先交換は必要
まず、交通事故後に加害者と被害者とで連絡先を交換することは必要です。
連絡先の交換をしていなければ、解散後に連絡がつかなくなり損害賠償請求できなくなる可能性があるからです。自身の保険会社に事故を報告した際に、加害者の連絡先を聞かれることもあるでしょう。
連絡先交換では、以下の情報を確認しておきましょう。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 保険会社名
- 保険証券番号
保険会社名や保険証券番号を確認するのは、今後治療費の支払いや示談交渉において加害者側の保険会社とやりとりする可能性があるためです。
加害者側と情報交換をしていなくても、事故を警察に報告していれば「交通事故証明書」に上記の内容が記載されます。
しかし、加害者側への連絡が必要になったときに交通事故証明書を取り寄せて連絡先を確認するのは手間がかかりますし、警察が加害者の情報を把握できなかった場合は証明書に情報が載っていないことがあります。
当て逃げ・ひき逃げなどでない限り、事故直後に当事者同士で連絡先を交換しておきましょう。
実際に当事者同士で連絡を取るかはケースによる
交通事故後、当事者同士で連絡を取るかはお互いが代理人を立てるかによります。
加害者か被害者のどちらか一方でも保険担当者や弁護士を代理人として立てれば、連絡の窓口はその代理人となります。よって、当事者同士で連絡を取り合うことは原則としてありません。
交通事故の場合、加害者側は基本的に保険担当者が代理人となります。加害者が無保険の場合は別ですが、被害者側が代理人を立てるか否かに関わらず、基本的に加害者と直接やりとりすることは少ないでしょう。
被害者側も、もらい事故でなければ基本的に保険担当者を代理人にできます(保険担当者を代理人にすることは一般的に「示談代行サービス」と呼ばれる)。
ただし、保険担当者を代理人とするよりも弁護士を代理人としたほうが幅広いサポートを受けられますし、獲得示談金額も多くなる傾向にあります。
誰を代理人とするかしっかり検討してみましょう。関連記事『示談代行サービスで保険会社に任せっきりでも大丈夫?任せるメリットとデメリット』も参考になります。
加害者も被害者も代理人を立てない場合はお互いが連絡の窓口となるため、直接連絡を取ることになります。
事故相手に住所を教えたくない!どうする?
住所を教えたくなくても隠すのは不可能
被害者や加害者の住所は交通事故証明書に記載されます。交通事故証明書は加害者でも取得できるので、隠すのは不可能です。
住所の情報は、今後加害者側から示談案や示談書を送ってもらうためにも教えておく必要があります。
教えなくても結局知られる点、交通事故後の手続きで住所が必要になる点から、事故相手との情報交換では住所も教えておきましょう。
同様に、事故相手の住所も確認しておいてください。
事故相手に住所を知られても安全を確保するには?
「事故相手に住所を教えたくない」と思っていても、交通事故証明書を通して相手に住所は知られてしまいます。
住所を知られてトラブルになることが不安な場合は、弁護士を立てて加害者本人と直接連絡を取らないようにしましょう。
当事者同士で連絡を取ると、加害者側が感情的になりトラブルに発展するおそれがあります。代理人を挟んでやりとりすれば、こうしたトラブルは防げるでしょう。
また、弁護士を立てておけば、加害者側に「自宅に押しかけるなどのトラブルを起こせばすぐに法的措置を取られるかもしれない」と思わせることができ、抑止力になり得ます。
代理人を挟んでやりとりしたり、弁護士を代理人としたりしても100%トラブルを防げるわけではありません。しかし、事故相手に住所を知られても安全を確保する方法として効果はあるでしょう。
事故相手から直接電話が来たときの対処法
(1)どちらか一方でも代理人を立てているなら出ない
被害者・加害者どちらか一方でも代理人を立てている場合は、電話に出ずに代理人に問い合わせてください。
加害者が代理人を立てている場合、基本的に連絡は代理人から来るはずです。被害者自身が代理人を立てているなら、連絡は基本的に代理人が受け付けます。
もし謝罪などのために加害者が直接電話したいと思っているなら、先に代理人を通してその旨が伝えられるでしょう。
事前に何の知らせもなく事故相手から直接電話がかかってきても、トラブルを避けるため出ないようにしてください。そしてあとから必ず自分や相手の代理人に、事故相手から電話が来た旨を伝えましょう。
(2)当事者双方が代理人なしなら出る|無視はNG
加害者も被害者も代理人を立てていない場合は、事故相手からの電話には出てください。
示談交渉に関する連絡など今後の手続き上必要な電話である可能性が高いです。無視していると示談交渉が進まずいつまでも示談金を受け取れません。
示談は「損害賠償請求権の消滅時効」までに成立させなければなりませんが、電話を無視していては時効に間に合わなくなるおそれもあります。
必要な電話に出ないことで事故相手との関係性が悪化し、トラブルになることも考えられます。
もちろん、手が空いていなくて電話に出られなかったということもあるでしょう。こうした場合は仕方がありませんが、意図的に事故相手からの電話を無視することは避けてください。
事故相手からの電話に出る際の注意点
事故相手からの直接の電話に出る際は、以下の点に注意しましょう。
- 落ち着いて対応し、感情的にならない
- 相手の言い分をよく聞く
- 自分の言い分を主張する
- 示談を急がず、気になる点やわからない点は一旦保留する
事故相手と直接電話で話していると、相手の主張や態度に腹が立つかもしれません。しかし、感情的になると余計に話がこじれる可能性があるので、できるだけ落ち着いて対応しましょう。
示談交渉の電話であれば、相手の言い分をよく聞いて自分の言い分も主張することが重要です。
相手の主張を聞かずに自分の主張ばかりすると相手の納得を得られず、合意に至れません。相手の主張を聞くばかりで自分の主張をしなければ、不利な内容で示談が成立してしまいます。
また、相手の言い分について気になる点やわからない点がある場合は、無理にその場で返事をする必要はありません。一旦保留し、あとから弁護士に問い合わせるなどしましょう。
事故相手との連絡トラブルの対処法
事故相手からの電話がしつこい
事故相手からの電話がしつこい場合は、以下の対処法をとりましょう。
- 電話に出られる曜日・時間帯を伝える
- メールでの連絡を頼む
- 代理人を立てて電話対応を任せる
自分で代理人を立てていない場合、基本的に事故相手との電話にはしっかり対応しなければなりません。
しかし、必要以上に電話がかかってきてしつこい、対応しきれいないと感じる場合は、上記の対応を取ってみましょう。
対応できる曜日・時間帯を伝えたりメールでの連絡を頼んだりしても状況が改善されない場合は、弁護士などの代理人を立ててください。
事故相手と連絡がつかない
事故の当事者同士で連絡を取る必要があるのに事故相手と連絡がつかないという場合は、1度弁護士にご相談ください。
事故相手と連絡がつかなければ、示談交渉を始められません。この場合、内容証明郵便を出して示談の申し入れをする必要があります。
内容証明郵便を出せば、今後も加害者側と連絡がつかず裁判になった場合に「被害者側はきちんと示談の申し入れをしていたにも関わらず、事故相手が対応しなかった」ということを証明できます。
また、内容証明郵便が届いたことで加害者側がプレッシャーを感じ、連絡に応じることもあるでしょう。
内容証明郵便自体は弁護士を立てなくても出せますが、連絡に応じない加害者との示談交渉ではこの先以下のようなトラブルも予想されます。
- 加害者と連絡がつき示談交渉が始まっても、途中でまた連絡が取れなくなる
- 示談が成立しても、きちんと示談金を支払ってもらえない
よって、加害者と連絡がつかない場合は弁護士を立てたうえで、今後の対応をしていくことをおすすめします。
事故相手が謝罪の連絡をしてこない
事故相手が謝罪の連絡をしてこない場合、以下の理由が考えられます。
- 加害者が保険に入っていない場合:謝罪する気がない
- 加害者が保険に入っている場合:保険担当者から被害者への直接の連絡を禁じられている
いずれの理由でも、事故相手からの謝罪を求めたい場合はその旨を相手または相手の代理人に伝えましょう。
ただし、特に加害者本人に対して謝罪を求める場合は、相手が逆上してトラブルになるおそれもあります。トラブルを避けて自分の身を守るためにも、今後の示談交渉などをスムーズに進めるためにも、弁護士を挟んだほうが安心でしょう。
事故相手との連絡は弁護士に任せれば安心・安全
事故相手との連絡では、さまざまな場面・理由でトラブルが発生しがちです。間に弁護士を立てれば直接連絡を取り合う必要がなくなりますし、加害者側に「弁護士が出てきたからきちんと対応しなければ」と思ってもらうこともできるでしょう。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了