交通事故で自由診療を受けるメリット・デメリットは?注意点もわかる
交通事故で治療を受ける際、自由診療と保険診療という2つの選択肢があります。
自由診療には「保険診療では受けられない治療を受けられる」などのメリットがありますが、一方でデメリットもあるため、自由診療についてきちんと把握したうえでの選択が重要です。
自由診療のメリット・デメリットや自由診療を受ける際に気をつけたいことを見ていきましょう。
目次
自由診療とは?治療費はいくらになる?
自由診療とは、医療機関が自由に診療内容や料金を設定できる診療です。
医療費は、診療の内容などを点数化して決められます。保険診療であれば1点で10円と決まっていますが、自由診療は1点あたりの金額を各医療機関が自由に決められるのです。自由診療では1点あたり20円程度になっている傾向にあります。
また、自由診療では診療内容に制限がないため、保険適用外の治療でも受けられます。
交通事故で自由診療を受けるメリット・デメリット
自由診療のメリット
自由診療のメリットは、以下のとおりです。
- 保険適用外の医療を受けられる
- 医師とじっくり相談しながら治療を進めやすい
保険適用外の医療を受けられる
自由診療では、保険診療では認められていない最新の医療技術を受けられます。例えば、再生医療や最新の治療機器を用いた治療などを受けられるのです。
これにより、保険診療よりも治療の効果を感じやすくなったり、早く回復できたりすることがあります。
医師とじっくり相談しながら治療を進めやすい
保険診療よりも自由診療の方が患者数が少ないため、医師とじっくり相談しながら治療を進めやすい点も、自由診療のメリットです。
また、同様の理由で医療機関での待ち時間が少なかったり、受診の予約が取りやすかったりすることもあります。
仕事や家事、子育てをしながら通院する人にとっては嬉しいメリットでしょう。
自由診療のデメリット
自由診療のデメリットは、以下のとおりです。
- 医療費が高い
- 医療費の負担率が高い
- 治療費の自己負担額が多くなる可能性がある
医療費が高い
先にも解説したとおり、自由診療は保険診療に比べて医療費が高額になる場合があります。医療機関によっては、同じ治療内容でも、保険診療の2倍以上もの料金となる場合があります。
医療費の負担率が高い
自由診療の場合、治療費は全額患者側の負担になります。保険診療のように1〜3割負担になることはありません。
治療費は加害者側に請求できますが、一旦被害者側で立て替える場合には負担が大きくなるでしょう。
治療費を立て替えなくて良い場合、立て替える場合とは?:交通事故被害者の治療費は誰が支払う?
治療費の自己負担額が多くなる可能性がある
交通事故により必要になった治療費は加害者側に請求できますが、必ずしも全額補償してもらえるとは限りません。
被害者側に過失割合がつけば、「過失相殺」によりその割合分の治療費は被害者側が持つことになるからです。他にもさまざまな理由で医療費の補償が少なくなることは十分考えられます。
こうした場合、自由診療だと元々の医療費が高額であるため、自己負担額が大きくなってしまうのです。
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自由診療から健康保険に切り替えることは可能?
自由診療から健康保険への切り替えは可能です。受診している医療機関に健康診断に切り替えたいことを伝えましょう。
その後は、交通事故における保険診療の流れに沿って治療を受けてください。交通事故で保険診療を受ける際の流れは、『交通事故で健康保険は使える!メリットや健保に切り替えてと言われた時の対処法』で詳しく解説しています。
交通事故以外の理由で保険診療を受ける場合とは違う部分もあるので、ご確認ください。
交通事故で自由診療を受ける場合の注意点
治療費打ち切りの可能性が高まる
交通事故では、治療費が休業損害や入通院慰謝料と合わせて120万円を超えると、加害者側の任意保険会社から「これ以上の治療費は補償しないので治療を終わらせてください。」と言われることがあります。
治療費などは120万円までなら加害者側の自賠責保険会社から補償されますが、それを超えると、加害者側の任意保険会社が補償しなければならないからです。
もちろん、120万円を超えた分でも加害者側の任意保険会社に請求することは可能です。しかし、どれだけ回収できるかは交渉次第です。
自由診療の場合は120万円を超える部分も大きくなると考えられるため、その分示談交渉は難化しやすく、うまくいかなかった場合の自己負担額は大きくなるでしょう。
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治療費の交渉で揉める可能性が高まる
先述の通り、治療費のうち、休業損害や入通院慰謝料と合わせて120万円を超える部分は、加害者側の任意保険会社と交渉して請求することになります。
しかし、加害者側の任意保険会社は少しでも被害者への支払額を少なくしたいと考えているため、治療費について補償の減額を主張してくることがあります。
特に自由診療の場合は保険適用外の治療も受けられるため、「必要性・相当性のない過剰に高額な治療だから補償を減額する」と言われるリスクがあるのです。
交通事故で自由診療を受ける際には、こうした点に対する対策も必要です。
自由診療で加害者に治療費をしっかり請求するには
自由診療で加害者にしっかり治療費を請求するには、事前に弁護士に相談しておくことがおすすめです。
弁護士に相談しておけば、治療費打ち切りを打診されても打ち切り延長の交渉をしたり、打ち切り後の治療費回収に向けた対策をしたりできます。
また、専門知識と交渉スキルを駆使して示談交渉に臨むため、治療費について加害者側と揉めてもしっかりとした対応が可能です。
弁護士への相談・依頼にかかるお金は、「弁護士費用特約」を使えばご自身の保険会社に負担してもらえます。ご家族の弁護士費用特約でも使えることがあるので、ぜひご確認ください。
なお、アトム法律事務所では弁護士費用特約のないご依頼者様の場合、相談料・着手金が無料です。お気軽にご連絡ください。
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交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了