交通事故で高次脳機能障害を負ったら弁護士に相談!裁判例もあわせて紹介
交通事故で高次脳機能障害を負った場合、適切な賠償を受けるためには弁護士に相談することが重要です。
高次脳機能障害は、脳の損傷によって記憶障害、注意力障害、行動障害などの症状が現れ、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
弁護士は、高次脳機能障害の症状や後遺障害等級について理解し、加害者側の任意保険会社との交渉を有利に進めることができます。また、弁護士は、交通事故の損害賠償に関する法律の専門知識を有しており、適切な金額の賠償を請求することができます。
交通事故で高次脳機能障害を負った場合は、早めに弁護士に相談して、適切な金額の損害賠償を請求しましょう。
本記事は主に、交通事故で高次脳機能障害を負った場合に弁護士に相談すべき理由を焦点に当てた解説記事となっています。高次脳機能障害の症状や後遺障害等級の認定、慰謝料等に関して網羅的に理解したい方はこちらの記事『事故後の記憶障害・性格が変わる・言語障害…高次脳機能障害の症状とは?』がおすすめです。
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高次脳機能障害は弁護士のサポートを受けよう
(1)後遺障害認定の手続きを任せ、認定率を上げられる
交通事故で高次脳機能障害を負ったら、弁護士のサポートを受けることをご検討ください。
弁護士に依頼するメリットとして、まずは後遺障害認定の対策をしてもらい、適切な等級に認定される可能性が高くなることがあげられます。
他にも、後遺障害認定に関しては、弁護士から以下のようなサポートを受けられます。
後遺障害認定で受けられるサポート
- 提出書類の準備
- 書類の作成、各所からの書類の収集を代わりに行ってもらえる
- 日常生活報告書の作成においても、周りの方への協力依頼・説明をしてもらえる
- 提出書類の内容の確認・修正
- 医師が作成する診断書について、後遺障害認定の観点から内容を確認し、必要があれば改善点を弁護士から医師に伝えてもらえる
- 受けるべき検査のアドバイス
- 過去の事例などに基づき、症状に応じて必要な検査を教えてもらえる
適切な後遺障害等級に認定されるには、被害者側ですべての申請書類を集める「被害者請求」という方法で申請手続きをすることが重要です。
しかし、被害者自身や家族が被害者請求をしようと思うと、書類集めで手間取ったり、適切な対策が施せなかったりすることも多いです。高次脳機能障害は目に見えない障害であり、書類の内容や追加書類の有無が審査結果に直結するため、申請手続きにより多くの手間がかかることが予想されます。
被害者と家族の負担を減らしたうえで望ましい結果を得るためにも、高次脳機能障害を負った場合は弁護士への依頼を検討してみてください。
関連記事『高次脳機能障害で後遺障害等級認定される後遺症とは?記憶障害や性格の変化は?』では、高次脳機能障害で認定される後遺障害等級が何級か、どういった障害内容ならば認定されうるのかを解説しています。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひお役立てください。
(2)示談交渉を任せることで賠償金の増額も目指せる
弁護士に依頼した場合、加害者側との示談交渉も任せられます。
弁護士が示談交渉をした場合、被害者自身で示談交渉をするよりも受け取れる賠償金が増額される可能性が高いです。その理由は、以下のとおりです。
賠償金の増額が見込める理由
- 弁護士基準の賠償金の獲得
- 加害者側の保険会社は「自賠責基準」「任意保険基準」で計算した低い金額を提示してくることがほとんど
- 被害者自身で弁護士基準の賠償金を支払うよう交渉しても、根拠の不足などを理由に認められないことが多い
- 法律の専門家である弁護士なら、弁護士基準の金額が認められる
- 将来介護費といった賠償金の一部の費目の請求
- 加害者側の保険会社は、将来介護費といった一部の費目を請求しても認めないことがある
- 被害者自身で支払うよう交渉しても、過去の事例などをもとに相当性を示さなければ認められづらい
- 弁護士であれば過去の判例・事例を熟知しており、根拠をもとに将来介護費などを請求できる
- 適正な過失割合を得ることによる賠償金の減額幅の軽減
- 被害者側に過失割合が付くと、賠償金がその分減額されるため、加害者側は被害者の過失割合を多めに提示してくる傾向にある
- 高次脳機能障害は示談金が高額になりやすいため、被害者側の過失割合が1割増えるだけで大幅な減額が生じてしまう
- 弁護士なら証拠価値の高い証拠を集め、適正な過失割合を主張可能
たとえば、車と自転車の事故では、自転車側は頭部を打ち付けるリスクもあり重大な怪我を負いやすい特徴があります。車と自転車の事故は過失割合について争いやすく、大きな事故ほど過失割合が少し違うだけで、受けとれる賠償金額は大きく変わってしまうものです。車と自転車の事故の場合、示談成立前に弁護士に相談して妥当な過失割合かの見解を聞いておくと安心でしょう。
また、弁護士に依頼することで、賠償金の増額だけではなく早期に示談成立することも期待できます。
高次脳機能障害は賠償金が高額になりやすく、加害者側ともめてしまい、示談交渉が長期化しやすい傾向にあります。その点、専門知識と交渉経験が豊富な弁護士であれば、スムーズに示談交渉を進められるのです。
関連記事『高次脳機能障害の慰謝料はいくら?後遺障害等級別の金額と賠償金請求の要点』では、高次脳機能障害の慰謝料相場や逸失利益の計算方法について解説しています。おおよそどれくらいの慰謝料が見込めるのか、後遺障害が認定された場合についても説明しているので、あわせてお読みください。
(3)加害者側とのやりとり・トラブル対応を一任できる
弁護士に依頼することで、加害者側とのやりとりやトラブル対応を任せてしまうことも可能です。
交通事故で高次脳機能障害を負った場合、リハビリ治療や日常生活への順応、サポート体制の確立など、被害者や家族には多くのすべきことがあります。その中で、加害者側の保険会社とのやりとりまでこなすことを負担に感じる方は少なくありません。
弁護士に依頼することで、以下のようなやりとり・トラブルから解放され、リハビリや今後の生活のためにすべきことに集中できるようになるのです。
よくあるトラブル例
- 保険会社の担当者に心無い言動をされる
- 保険会社の担当者から連絡が来ない
- リハビリ治療中、治療費や休業損害を一方的に打ち切られる
- 被害者側の主張する症状が嘘だと疑われる など
弁護士に依頼すれば、損害賠償請求に関する包括的なサポートを受けられます。交通事故後にさまざまな手続きをこなさなければならず、負担が大きいと感じている方は、一度弁護士に相談してみてください。
弁護士依頼の検討に役立つ記事
高次脳機能障害は裁判になりやすい?
示談や調停で解決しない場合に裁判に発展する
高次脳機能障害だからということではなく、交通事故の損害賠償問題では主に、示談や調停で解決しない場合、裁判へと発展することになるでしょう。
交通事故の損害賠償問題を解決するために用いられる方法は、主に以下の三つです。
- 示談:当事者間の話し合いで紛争を解決すること
- 調停:当事者の間に第三者が入って紛争の解決を図ること
- 裁判:裁判所が判決という形で紛争の解決を図ること
この中でも、裁判は示談や調停で解決しない場合、次の解決手段として選択されます。いきなり裁判からはじまるのは稀でしょう。
交通事故の裁判の流れ
交通事故で裁判を起こす場合の簡単な流れは以下の通りです。
- 訴えの提起(裁判所に訴状を提出)
- 口頭弁論(互いの主張・証拠を出し尽くす)
- 和解の勧試(和解を受け入れれば終結)
- 証人尋問・本人尋問(質問による証拠調べ)
- 弁論終結と判決
- 判決に納得いかない場合は控訴・上告
裁判の流れのさらに具体的な解説や、裁判を起こすメリット・デメリットについて詳しくは関連記事『交通事故の裁判の起こし方や流れ』をご確認ください。
負担が大きい裁判手続きは弁護士に任せてしまう
先ほど紹介した裁判の流れをみただけだと、一見スムーズに裁判は進んでいきそうに思えます。
しかし、実際はひとつひとつの段階で準備すべきこと、やるべき手続き等の負担は大きいです。
たとえば、一つ目の「訴えの提起(裁判所に訴状を提出)」だけでも、法律や裁判の知識がないと訴状の作成はむずかしいです。訴状に加えて証拠書類も準備せねばなりませんし、裁判所に提出する訴状や証拠書類は、体裁が整った状態のものでないと受理されない可能性があります。
そんななか、弁護士なしで裁判を起こそうと思っても、裁判を提起するはじめの段階のハードルが高いでしょう。一方、裁判の実務経験が豊富な弁護士なら訴状の作成にも慣れているので、訴状や証拠書類の準備を任せられます。
訴状を提出した後の対応も弁護士に任せてしまえるので、裁判を検討している場合はまず、弁護士に相談することからはじめてみましょう。
高次脳機能障害の裁判例
(1)高次脳機能障害で要介護1級|将来介護費等が争点となった裁判
道路を横断歩行中の被害者と、加害者の運転する普通乗用自動車が衝突した交通事故でした。被害者は脳挫傷、腰椎破裂骨折など重傷を負い、高次脳機能障害などの後遺障害が残ったとして裁判になったのです。(名古屋地方裁判所 平成29年(ワ)第1828号 損害賠償請求事件)
裁判の結果(抜粋)
- 高次脳機能障害などで要介護1級と認定
- 裁判所が認めた損害額:8,135万114円
- 後遺障害慰謝料:3,000万円
- 後遺障害逸失利益:1,515万1,086円
- 将来介護施設利用料:3,204万4,800万円
- 既払い額や過失考慮して3,944万4,641円の支払いが命じられた
被害者側にも一定の過失が認められたものの、治療費、入院雑費、休業損害、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、付添看護費等、介護施設利用料(将来分も含む)、将来マッサージ費用などが認められました。
(2)高次脳機能障害で後遺障害3級と5級を争う裁判
道路を横断歩行中の被害者と、加害者の運転する普通乗用自動車が衝突した交通事故でした。被害者は骨盤骨折、左鎖骨遠位端骨折、頭部外傷などの重傷を負ったのです。その結果、高次脳機能障害などの後遺障害を負ったとして争われました。(神戸地方裁判所 平成31年(ワ)第453号 損害賠償請求事件 令和3年8月27日)
裁判の結果(抜粋)
- 高次脳機能障害の程度は3級と5級の間と認定
- 裁判所が認めた損害額:1億1,859万5,538円
- 後遺障害慰謝料:1,700万円(3級より少なく、5級より多い)
- 後遺障害逸失利益:5,965万6,276円
- 既払い額や過失考慮して支払い命令は約3,000万円
被害者側は高次脳機能障害が後遺障害3級に相当すると主張する一方、加害者側は5級にとどまると主張しました。裁判所は、単純に5級とすることは疑問として「高次脳機能障害の程度は3級と5級の間に相当する」と認定しました。
(3)高次脳機能障害で後遺障害9級と12級を争う裁判
横断歩道を歩行する被害者と、加害者の運転する普通乗用自動車が衝突した交通事故でした。被害者は急性硬膜下血腫、脳しんとう、右大腿骨顆部不全骨折といった重傷を負いました。その結果、高次脳機能障害などの後遺障害を負ったとして裁判となったのです。(大阪地方裁判所 令和3年(ワ)第2767号 損害賠償請求事件 令和4年9月16日)
裁判の結果(抜粋)
- 高次脳機能障害の程度は12級と認定
- 裁判所が認めた損害額:1,490万6,858円
- 後遺障害慰謝料:280万円(12級)
- 後遺障害逸失利益:901万9,163円
- 既払いを除いて支払い命令は約901万92円
被害者側は物忘れが激しいこと、人格の変化、腰痛や左ひじの違和感等から総合的に後遺障害9級10号にあたると主張しました。
加害者側は、画像所見に脳萎縮を証明する脳室拡大が見いだせないこと、医師の後遺障害診断書に「高次脳機能障害」と診断されていないこと、被害者の大学生活を大過なく過ごしていることなどを踏まえ、高次脳機能障害は残っていないと主張しました。裁判所は、被害者が主張する後遺障害9級までは認めず、12級にとどまると判断したのです。
ご案内|高次脳機能障害になったらアトムの無料相談を活用しよう
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アトム法律事務所では、電話やLINEを使ってご自宅から弁護士に相談できる無料相談を実施中です。
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弁護士相談というと事務所まで足を運ぶ必要があると思われがちですが、交通事故の案件に関しては相談、依頼、その後の対応まで、電話やLINEのみでのやりとりで基本的に事足ります。
通院や仕事・家事のすき間時間を使って、ご自宅や職場から弁護士に相談できるのがアトムの無料相談の強みです。
特に、高次脳機能障害を負われた場合、知らない場所への外出がむずかしかったり、付き添いで家族にお願いする必要があったりするかもしれません。そういった方でも、電話やLINEを使った相談なら気軽にご利用いただけるでしょう。
無料相談では、高次脳機能障害での後遺障害認定に向けたアドバイスから賠償金の増額幅、加害者側の保険会社とのやり取りに関するトラブル、弁護士費用に関することまで相談していただけます。
無料相談をご利用いただいたからといって、無理に契約を進めることはありません。気軽にご利用ください。
弁護士費用に関する不安は減らせる
弁護士への依頼で不安になるのは、弁護士費用のことではないでしょうか。高次脳機能障害で今後に不安がある場合、費用に関しては尚更、気になるでしょう。
弁護士費用は、保険に付帯されている「弁護士費用特約」を使うと、費用負担を大きく減らすことが可能です。
弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを保険会社に負担してもらえます。
弁護士費用特約は、自動車保険の他にも、火災保険やクレジットカードなどに付帯されていることがあるので確認してください。また、家族の保険に付帯されている特約でも利用できる可能性があるので、家族の保険の契約状況も確認してみましょう。
弁護士費用特約について詳しくは、関連記事『交通事故の弁護士費用特約を解説|使い方は?メリットや使ってみた感想も紹介』がおすすめです。
弁護士費用特約を使えないと損する?
弁護士費用特約が使えなくても、場合によっては弁護士に依頼した方が最終的に依頼者の手元に入る金額が増えることも多いです。
特に高次脳機能障害は、賠償金が高額になる傾向にあります。そのため、弁護士に依頼することで賠償金の増額幅も大きくなり、弁護士費用を差し引いても、最終的に残る金額が数百万円増えるといったケースもあるのです。
また、賠償金の増額だけではなく、各種手続きを弁護士に一任して被害者や家族の負担軽減といったメリットも弁護士依頼にはあります。
弁護士費用特約が使えない場合も、弁護士費用と賠償金の増額幅の見積もりをとって、損するか、得するか検討してみましょう。いずれの場合も、無料相談なら気軽にはじめられます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了