交通事故の示談のメリットは?示談金の増額と短期間での示談成立を目指す!
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交通事故にあった方の中には、示談交渉について次のような疑問を持っている方もいるでしょう。
- 示談交渉って何?
- 示談交渉と裁判はどちらがいいの?
- 示談するメリットとは?
- 示談するメリットを得るためにはどうしたらいい?
示談交渉のメリットとしては、裁判よりも費用が掛からず、解決までの時間が早いというものがあります。
もっとも、適切な方法で示談しないとメリットを受けられず、納得のいかない結果となってしまう恐れがあるでしょう。
この記事では、交通事故における示談交渉のメリットとそのメリットを得るためにはどうすれば良いのかについて解説してきます。
示談交渉の流れや期間、時効といった基本情報も解説しますので、まだ示談交渉についてよく知らないという方も安心して読んでください。
目次
示談をするメリットとデメリット
示談とは、交通事故によって生じる問題に対する解決方法の一つです。
つまり、示談以外にも交通事故を解決する方法は存在します。よく知られている方法としては、「裁判」があるでしょう。
- 示談よりも最初から裁判にした方が良いのでは?
- なかなか交渉がうまく進まないから裁判に持ち込もうか迷っている
このような方に向けて、まずは示談交渉のメリットとデメリットを解説します。
そして、示談をせずに裁判をする場合のメリット・デメリットも説明しますので比較検討してみてください。
示談とは何か
示談交渉とは、裁判外の場所で当事者同士が話し合いによって、問題を解決することをいいます。
当事者同士といっても、加害者側として交渉にあたるのは、加害者の任意保険会社であることが多いでしょう。
それに対して被害者側は、被害者に過失がない場合は被害者自身もしくは弁護士が交渉にあたります。
示談交渉の主な内容は、示談金の内訳や金額、そして過失割合です。
示談交渉のポイント
- 示談交渉とは、裁判外の場所で問題について当事者同士で話し合い、解決すること
- 交通事故の示談交渉では、加害者側の任意保険会社が加害者の代理人として、示談交渉にあたることが多い
- 被害者側は、被害者本人または弁護士が交渉にあたる(被害者に過失がない場合)
- 示談交渉では主に、示談金の内訳・金額と過失割合について話し合う
過失割合とは、交通事故が起きた責任が加害者と被害者それぞれにどれくらいあるのかを割合で示したものです。
被害者にも過失割合がつけば、その分、示談金が減額されます。これを、過失相殺といいます。
過失割合については『交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順とパターン別の過失割合』の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
交通事故における示談のメリット
交通事故を示談で解決することのメリットは、費用が掛からないこと、スムーズに進めば裁判よりも早期解決が期待できることです。
示談のメリット
- 費用がかからない
- スムーズに進めば裁判より早く終わると
費用がかからない
示談交渉は事故当事者間の話し合いで行われます。
間に第三者機関を挟むことはないので、示談交渉を行うこと自体に費用はかかりません。
裁判よりも早期の解決が可能
示談交渉は事故当事者間で示談内容の合意さえあれば、成立となります。
そのため、交渉がスムーズに進めば早期の解決となり、その分、示談金も早く受け取れるのです。
示談交渉が非常にスムーズに交渉が進めば2週間~1ヶ月程度で示談が成立することもあります。
一方、裁判では基本的に、月1回ペースでの口頭弁論が数回行われたあと、裁判所からの和解の勧告があります。和解勧告により解決とならない場合には、判決による決着となるでしょう。
そのため、早くても6ヶ月程度はかかります。
早期の解決を目指したいのであれば、示談交渉によるべきといえるでしょう。
交通事故における示談のデメリット
交通事故で示談をすることのデメリットは、交渉がうまくいかなければ納得のいかない結果になることもあること、裁判した場合より低額になる可能性が高いことが考えられます。
示談のデメリット
- 交渉がうまくいかなければ納得のいかない結果になることもある
- 裁判した場合よりは低額となる可能性が高い
納得のいかない結果となることがある
示談交渉では、示談金として被害者側に支払われる金額が事故当事者間の意思により決定します。
そのため、示談交渉で加害者側に主導権を握られてしまうと、被害者側の主張があまり反映されない内容で示談が成立してしまい、納得のいかない結果となるおそれがあるのです。
裁判した場合よりも低額になりやすい
示談交渉では、互いの主張をすり合わせて妥協点を探り、最終的な示談内容を決定することとなります。
このような流れで最終的な金額が決まることから、被害者が裁判によって得られるはずの金額よりも低い金額で示談が成立することが多いのです。
早期に、費用をかけずに解決する代わりに、請求金額を少し低くするという形になります。
弁護士に依頼することでデメリットを解消できる
交通事故の示談で考えられるデメリットは、示談交渉を弁護士に依頼すると解消できます。
弁護士は法律・示談交渉のプロなので、加害者側の主張に適切に対応し、示談交渉が不利に進むことを防ぐことが可能です。
また、弁護士であれば明確な根拠を示しつつ示談交渉を行うことができるため、本来得られるはずの金額からなるべく低額になることを避けつつ示談することができるでしょう。
交通事故で示談ではなく裁判するメリットとデメリット
交通事故において示談をせずに裁判に持ち込むメリット・デメリットをみていきましょう。
なお、交通事故の損害賠償金額や過失割合などを決める裁判は民事裁判といいますので、これから説明する裁判は、民事裁判を指すと理解してください。
裁判のメリット
- 相場の金額の支払いを受けられる
- 遅延損害金を受け取れる
- 加害者側の合意がなくても解決できる
裁判所は第三者として、提出された書類や証言をもとに、強制的に判決を下します。
そのため、勝訴すれば被害者が本来得られる相場の金額で支払いが受けられるという内容の判決がなされる可能性が高いでしょう。
また、民事裁判において勝訴すれば、事故発生日から請求できる損害賠償金の支払いが遅れていることから、遅延損害金についても別途請求が認められます。
遅延損害金については、示談交渉における話し合いで加害者側が支払いを認めることはまずないため、基本的裁判でなければ請求できません。
このような被害者に有利な判決を加害者の合意なしに得られる可能性があるのです。
ただし、裁判所はあくまでも第三者としての立場をとりますので、場合によっては被害者側が敗訴するというリスクがあります。
裁判のデメリット
- 費用がかかる
- 手間がかかる
裁判を起こすデメリットのひとつとして、裁判費用があげられるでしょう。主な裁判費用は申立手数料と郵便料ですが、証人を呼んだり鑑定を受けたりすれば別途費用がかかります。
裁判にかかった費用は、原則として勝訴すれば加害者側に請求できますが、敗訴すれば自己負担です。
この他にも、裁判手続きを弁護士に依頼する場合には弁護士費用の負担も必要になります。
交通事故における弁護士費用は、勝訴しても基本的に判決で認められる損害賠償金額の1割程度の金額が請求できるとなっており、全額の請求は認められないでしょう。
また、裁判においては被害者側の主張を立証しなければならず、そのための書類集めなども手間がかかります。
裁判は、勝訴すればメリットも多いですが、敗訴すると厳しい状況に追い込まれてしまいます。裁判を起こす際には一度、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
示談や裁判以外の方法も検討しよう
交通事故における損害賠償請求については、示談や裁判以外にも以下のような解決方法があります。
- 交通事故紛争処理センターの利用
担当弁護士による示談のあっせんを行ってくれる裁判外の紛争処理機関 - 裁判所において民事調停を行う
裁判所において調停員の仲介により話合いで解決を図る手続き
どちらも、第三者を挟んだうえで話し合いによる解決を行ってくれます。
裁判を行うより安価であり、手間もかかりません。
示談交渉では解決が難しいものの、裁判による手間や費用が気になるという場合には、このような解決方法をとることも検討すべきでしょう。
交通事故紛争処理センターや民事調停で実際にできることや手続きについて詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
メリットの多い示談交渉にする方法
ここまで、示談交渉がうまくいった場合のメリットをご紹介してきました。
ただし、上記のようなメリットを受けらえるかは交渉次第です。
そこでここからは、メリットの多い示談交渉にするためにはどうすれば良いのか、解説していきます。
示談金を多くもらうための3つの方法
示談金を多く獲得するための方法には、以下のものがあります。
- 正しい後遺障害等級を獲得する
- 加害者側の提示額を鵜呑みにしない
- 弁護士に示談交渉を依頼する
それぞれについて深掘りしていきましょう。
1.正しい後遺障害等級を獲得する
交通事故によって後遺症が残った場合には、適切な後遺障害等級を獲得することが重要になります。後遺障害等級は、1級違うだけでも後遺障害慰謝料の金額が大幅に変わるからです。
後遺障害等級の認定審査は基本的に、提出した資料のみを見て行われます。
そのため、提出資料の種類と質が非常に重要です。
これについては、後遺障害等級認定のサポート経験がある弁護士に協力を依頼した方が良いでしょう。
もし審査の結果に納得がいかない場合には、異議申し立てにより再度審査を受けることもできます。
より高い等級に認定される可能性があるのなら、異議申し立ても視野に入れてみましょう。
異議申し立ての方法については、関連記事『後遺障害の異議申し立てを成功させる方法と流れ!失敗や納得できない結果への対策』が参考になりますので読んでみてください。
2. 加害者側の提示額を鵜呑みにしない
すでにお伝えしたように、加害者側の任意保険会社が提示してくる示談金額は相場よりも低いです。
示談交渉により相場額の金額で示談すると、加害者側の提示額よりも2倍~3倍の金額となることもありえます。
しかし加害者側の任意保険会社は、提示額を被害者に受け入れてもらうために、あたかもその提示額が適切であるかのように説明することがあるのです。
- 今回のような事故であれば、示談金はこれくらいが妥当です。
- これでも上乗せなどして頑張った方なんです。
上記のような説明を受けると、提示額をそのまま受け入れてしまいそうになりますが、一旦弁護士に、提示額の妥当性を確認することをおすすめします。
なお、弁護士に相談してみる旨を加害者側の任意保険会社に伝えると、「弁護士に相談して示談金が増額したとしても、そこから弁護士費用を引かれてしまう。そのことを考えるとこの金額で合意しておいた方が結果的には良いですよ。」と言われるかもしれません。
しかし、この後ご紹介する「弁護士費用特約」を使えば、弁護士費用を自己負担することなく、弁護士を立てられるのです。
また、無料で相談を受け付けている法律事務所もありますので、提示された金額をすぐに鵜呑みにしないよう注意してください。
3.弁護士に示談交渉を依頼する
適切な後遺障害等級が認定され、加害者側の任意保険会社の提示額も鵜呑みにせず示談交渉に臨んだとしても、実際にどれくらいの示談金を獲得できるかは交渉次第です。
もちろん被害者自身で交渉に臨むこともできますが、以下の点から被害者自身の交渉で十分な示談金額を獲得するのは難しいでしょう。
- 被害者は、加害者側の任意保険会社よりも賠償請求や示談交渉の経験・知識が浅い
- 加害者側の任意保険会社は被害者自身との示談交渉では強気な態度に出ることが多い
弁護士なら賠償請求や示談交渉の経験・知識が豊富です。
また、保険会社によっては「被害者側の弁護士が出てきたら、増額交渉に柔軟に応じる」という方針をとっていることもあります。
こうしたことから、十分な示談金額を獲得するためには、弁護士に示談交渉を依頼することが大切です。適正な示談金の獲得以外にも、弁護士に依頼することで、被害者は多くのメリットが得られます。
関連記事
示談交渉をスムーズに進める方法
示談交渉をスムーズに進めるためには、交渉を弁護士に依頼することがおすすめです。示談交渉がスムーズに進まなくなる理由には、主に次のものがあります。
- 主張が対立したまま交渉が平行線になる
- 被害者側の主張がなかなか受け入れられない
弁護士に相談すれば、以下の理由から示談交渉がスムーズに進む可能性が高いのです。
- 加害者側の任意保険会社は、弁護士に対しては態度が軟化しやすい
- 弁護士は交渉をスムーズに進めるための交渉術を持っている
こうしたことから、示談交渉をスムーズに進めるためには弁護士に交渉を代理してもらうことがおすすめです。
示談交渉がスムーズに進めば、示談金も早く受け取れます。早くお金が必要な場合にはぜひ検討してみてください。
補足
たとえ弁護士に示談交渉を依頼しても、示談交渉が長引くことはあります。
しかしそのような場合でも、加害者側の自賠責保険会社に「被害者請求」や「仮渡金の請求」を行えば、示談成立前でも示談金の一部を受け取れます。
詳しくは関連記事『交通事故の慰謝料はいつもらえる?誰が払う?支払い期間を早める方法』をご覧ください。
示談交渉の基礎知識6つをチェック
示談交渉のメリットがわかったところで、示談交渉の基礎知識を確認していきましょう。
(1)示談金の内訳
交通事故の示談金には、次のものが含まれます。
- 治療関係費
治療費、入院費、通院交通費、看護費、介護費等 - 休業損害
交通事故を理由として休業した日数分の収入に対する補償 - 入通院慰謝料
交通事故による入通院で受けた精神的苦痛に対する補償 - 後遺障害慰謝料
交通事故で後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償 - 死亡慰謝料
交通事故で死亡した被害者とその遺族の精神的苦痛に対する補償 - 逸失利益
後遺障害逸失利益と死亡逸失利益がある。後遺障害の残存または死亡により得られなくなった、将来の収入に対する補償 - 葬祭費
通夜・葬儀や位牌などの費用 - 物損に関する補償
車の修理費、評価損など
慰謝料と示談金を同じものだと考えている方がいますが、示談金とは示談交渉によって支払いが決まった損害賠償金全体のことを指します。
そして慰謝料は、示談金に含まれる項目の一つです。
上記の示談金のうちどれを請求できるかは、交通事故の種類や生じた損害によって異なります。簡単にまとめると、次の通りです。
人身事故 (後遺障害なし) | 治療関係費 休業損害 入通院慰謝料 |
人身事故 (後遺障害あり) | 治療関係費 休業損害 入通院慰謝料 後遺障害慰謝料 後遺障害逸失利益 |
死亡事故* | 死亡慰謝料 死亡逸失利益 葬祭費 |
物損事故 | 物損に関する補償 |
*死亡までに入通院期間があれば、治療関係費、休業損害、入通院慰謝料も請求可能
示談金の計算方法は、損害項目によって異なります。実費が認められるものもあれば、一定の計算方法が定められている費目もあるのです(例:慰謝料、逸失利益)。
具体的な示談金の計算方法は関連記事『交通事故の示談金相場は?一覧表や増額のコツ』にて確認してください。
(2)慰謝料の3つの算定基準
交通事故の慰謝料には、3つの算定基準があります。
これらの基準がどのようなものなのかを知っておくことは、示談交渉において適切な金額の慰謝料を獲得するために重要なことなので、しっかり確認していきましょう。
交通事故の慰謝料には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの算定基準があり、どの基準を用いるかによって金額が大きく変わります。
自賠責基準 | 交通事故被害者に最低限補償される金額の算定基準。 |
任意保険基準 | 加害者側の任意保険会社が金額を計算する際に用いる算定基準。 |
弁護士基準 | 過去の判例を基にした相場金額を計算する算定基準。裁判基準ともいう。 |
任意保険基準での計算方法は各保険会社ごとに異なり非公開です。
目安としては、自賠責基準と同じくらいであり、弁護士基準の半分~3分の1程度であることが多いでしょう。
つまり、加害者側の任意保険会社から提示された金額は、2倍~3倍も増額できる可能性があるということです。
たとえ加害者側の任意保険会社から提示された金額が高額に思えても、まずは弁護士基準の金額と比較してみましょう。
なお、弁護士基準での大まかな慰謝料の金額は、こちらの計算機で確認できます。
ただし、細かい事情を反映してさらに増額できる可能性もありますので、より正確な弁護士基準での金額については、弁護士にお尋ねください。
(3)治療~示談成立までの流れ
交通事故の示談交渉の流れを、治療段階からひとつずつ見ていきましょう。
- 治療
まずは怪我の治療に集中します。治療費は、加害者側の任意保険会社が病院に直接支払うことが多いです。事故直後の対応や治療中の注意点については『交通事故被害者がすべき対応の流れ|示談や慰謝料も解説』の記事をご確認ください。 - 治癒または症状固定
治癒とは、怪我が完治することです。怪我が完治した場合は「4.示談準備」に入ります。
症状固定とは、「これ以上治療を続けても大幅な改善は見込めない」と判断されること、つまり後遺症が残ったと判断されることです。この場合は、「3.後遺障害等級認定を受ける」に進みます。 - 後遺障害等級認定を受ける
後遺障害等級認定を受けるための申請をします。
後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料・逸失利益を請求できるようになります。
後遺障害等級認定を受けるための手続きや認定の流れは『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』の記事をご覧ください。 - 示談準備
示談交渉開始までの間に被害者は、必要書類の用意・示談金額の計算・弁護士への相談の検討をしてください。
必要書類については『交通事故の示談での必要書類は?示談の流れや示談金の内訳、注意点も解説』の記事で詳細がわかります。 - 加害者側の任意保険会社から示談案が届く
示談案には、加害者側の任意保険会社が提示する示談金額や過失割合が記載さています。 - 示談案の内容について加害者側の任意保険会社と交渉
交渉は主に、電話やFAXで行います。 - 示談成立後、加害者側の任意保険会社から示談書が届く
示談書の内容に間違いがないかよく確認し、署名・捺印をします。示談書の効力については、次の項目でご紹介します。 - 示談書を返送すると、示談金が振り込まれる
署名・捺印した示談書が加害者側の任意保険会社に届くと、事務処理が行われた後、示談金が振り込まれます。
示談交渉は、上記の流れで進められます。
関連記事『交通事故の慰謝料請求方法と注意点|正しい相場と計算方法も解説』では、慰謝料の請求方法の流れはもちろん、注意点も深掘り解説していますのであわせてご確認ください。
示談交渉を始められる時期
示談交渉は、交通事故による損害が確定してから始められます。具体的なタイミングは次の通りです。
- 後遺症なし:治癒後
- 後遺症あり:後遺障害等級認定の結果通知後
- 死亡事故:葬儀終了後
(4)示談書の書き方と効力
示談書の書き方
示談書は、加害者が任意保険に入っている場合には加害者側が作成します。
加害者が任意保険に入っていないなどの理由で自分で示談書を作成する場合は、特に決まった書式はありませんが、次の内容を盛り込みましょう。
- 事故当事者の氏名・住所・車両登録番号
- 事故の日時・場所・概要
- 示談交渉で決まった内容
- 示談金の支払期日
- 加害者・被害者双方の署名欄
関連記事『交通事故の示談書の書き方と記載事項!テンプレート付きで注意点も解説』ではテンプレートをご紹介していますので、参考にしてください。
示談書の効力
示談書に署名・捺印をすると、次の効力が生じます。
- 示談交渉にて合意した内容が確定する
- 示談書に記載された内容を後から覆したり、再交渉・追加の賠償請求をしたりすることは原則できない
このことを踏まえて、示談交渉や示談書への署名・捺印は慎重に行いましょう。
なお、以下の場合には示談書に署名・捺印した後でも、再交渉や追加の賠償請求ができることがあります。
- 後から想定していない後遺障害が発覚した場合
- 法外な示談金額で合意してしまった場合
- 詐欺や脅しによって示談を成立させられた場合
詳細は『示談後、撤回や追加請求は可能?後遺障害があとから発覚したら?』の記事で解説していますので、気になる方は確認してみてください。
(5)示談にかかる期間
示談交渉そのものには、多くの場合1ヶ月~2ヶ月程度かかります。
しかし、交渉中に加害者側ともめた場合や何かしらトラブルがあった場合には、もっと長引くこともあります。
また、示談前~示談金振込までの期間については交通事故の種類によって異なるので、それぞれに分けてご紹介していきます。
示談にかかる期間の目安については『交通事故の示談にかかる期間の目安は?早く終わらせたいときの対処法』の記事もあわせてご覧ください。
後遺症のない事故の場合
後遺症のない事故の場合は、治療終了から示談金振込まで約2ヶ月半~3ヶ月半かかります。
- 治療終了~示談交渉開始:約1ヶ月
- 示談交渉開始~示談成立:約1ヶ月~2ヶ月
- 示談成立~示談金振込:約2週間
後遺症のある事故の場合
後遺症のある事故の場合、治療終了から示談金振込まで約3ヶ月半~6ヶ月半かかります。
- 治療終了~後遺障害等級認定:約1ヶ月~3ヶ月
- 後遺障害等級認定~示談交渉開始:約1ヶ月
- 示談交渉開始~示談成立:約1ヶ月~2ヶ月
- 示談成立~示談金振込:約2週間
ただし、後遺障害等級認定にかかる期間は、3ヶ月以上になる場合もあります。
特に高次脳機能障害のように後遺症の経過観察が必要な場合は、結果が出るまでに数年かかることもあるのです。
高次脳機能障害に該当する症状について知りたい方は『事故後の記憶障害・性格が変わる・言語障害…高次脳機能障害の症状とは?』の記事をご覧ください。
死亡事故の場合
死亡事故の場合、死亡から示談金振込までは約3ヶ月半~4ヶ月半かかります。
- 死亡~示談交渉開始:約2ヶ月
- 示談交渉開始~示談成立:約1ヶ月~2ヶ月
- 示談成立~示談金振込:約2週間
死亡~示談交渉開始までにかかる期間が約2ヶ月となっているのは、四十九日を過ぎたころに示談交渉が始められることが多いからです。
しかし、事情に応じてもっと早く示談交渉を始めることもできますし、もう少し待ってから示談交渉を始めることもできます。
ご自身や他のご遺族の状況を見て、無理のないタイミングで始めましょう。
加害者側とのやり取りが辛い場合には、弁護士が交渉を代理しますのでいつでもご相談ください。
(6)示談には時効がある
交通事故において加害者に請求できる「損害賠償請求権」には消滅時効があります。
「損害賠償請求権」とは、交通事故の被害者が加害者に損害賠償を請求する権利のことです。
示談交渉では、損害賠償請求権に基づいて請求できる金額を決めることとなりますが、時効期間が過ぎるとこの権利が消滅してしまいます。
そのため、時効期間が経過する前に示談を成立させなければなりません。
損害賠償請求権の消滅時効は交通事故によって生じた損害の内容により異なります。それぞれの時効となるまでの期間は、次の通りです。
人損部分 | 事故日の翌日から5年 |
後遺障害による損害分 | 症状固定日の翌日から5年 |
死亡事故による損害分 | 死亡日の翌日から5年 |
物損部分 | 事故日の翌日から3年 |
全て2017年4月1日以降に発生した交通事故の場合
示談交渉が長引いた場合や交渉が行き詰まってしまうと、時効が成立してしまう恐れがあります。そのような場合には時効の成立を阻止しなければなりませんので、弁護士にご相談ください。
交通事故の示談は弁護士に相談・依頼すべき
交通事故における示談を弁護士に相談・依頼するメリット
交通事故における示談交渉を弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを受けることが可能です。
- 相場の示談金の金額を知ることができる
- 示談交渉に必要な証拠の収集を手伝ってもらえる
- 弁護士が代わりに示談交渉を行うことで、治療に専念できる
- 相場に近い金額で示談できる可能性が高まる
- スムーズな示談交渉により早期解決の可能性が高まる
被害者自身で示談交渉を行う手間が省け、示談金額が増額する可能性が高いことから、弁護士への相談・依頼をおすすめします。
弁護士に依頼することで生じるメリットはこれだけではありません。
詳しく知りたい方は『交通事故を弁護士に依頼するメリットと必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。
弁護士費用の負担は抑えることが可能
「示談交渉のメリットを最大化するために弁護士に相談したい。でも、費用が心配。」
そんな悩みのある方は、弁護士費用特約が利用できるかどうか検討してみてください。
弁護士費用特約があれば弁護士費用の自己負担がゼロ
ご加入の任意保険に「弁護士費用特約」がついていれば、弁護士費用を加入している任意保険会社に負担してもらえます。
多くの弁護士費用特約には、法律相談料10万円、弁護士費用300万円という補償上限が設けられています。
しかし、交通事故における弁護士費用でこの補償上限を超えることは滅多になく、多くのケースで弁護士費用の全額を弁護士費用特約でカバーできるのです。
そのため、弁護士費用特約を使うことで、被害者は自己負担ゼロで弁護士を立てることができます。
また、たとえご自分の任意保険に弁護士費用特約がついていなくても、ご家族の保険についていれば使える場合があります。
詳しくは、関連記事『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』をご覧ください。
弁護士費用特約がない場合は無料相談で見積りを
弁護士費用特約が使えない場合には、無料相談を受け、弁護士に依頼することで生じる増額の程度と、依頼による費用について見積りをとってもらいましょう。
このような確認を事前に行っておけば、弁護士に依頼したことで得られる金額がマイナスになるという費用倒れを防ぐことが可能です。
また、依頼の際に生じる着手金を無料としている弁護士に依頼すれば、依頼の際に手元のお金に不安がある場合でも安心して依頼することができます。
アトム法律事務所で無料相談を
弁護士への相談を考えている場合には、ぜひアトム法律事務所もご検討ください。
アトム法律事務所の特徴は次の通りです。
アトム法律事務所の特徴
- LINE・電話での無料相談ができる
- 着手金は原則無料・弁護士費用全額後払い
- 経験豊富な弁護士が多数在籍
アトムの弁護士が実際に解決した事例:交通事故の解決事例 - ご依頼者様満足度90%以上
実際のお声:ご依頼者からのお手紙
まだ弁護士への相談自体を迷っている場合には、関連記事『交通事故で弁護士介入が必要な6ケース|相談の時期や弁護士の選び方』を参考にしてください。
法律相談の予約は24時間対応で受け付けているので、いつでも気軽にご連絡可能です。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了