交通事故で通院終了したら何をする?示談金支払いまでの流れを紹介

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事故後の通院終了

交通事故で負った怪我の通院終了後は、慰謝料などを決定する示談交渉が始まります。しかし、通院終了から示談交渉開始までただ待っていれば良いというわけではなく、被害者側も、示談成功のためにしておくべきことがあります。

また、中にはまだ通院終了とせず、治療を継続した方が良いケースもあるので注意しなければなりません。

この記事は、以下のような方にとって役立つ内容となっています。

  • 交通事故による通院終了が間近に迫っている方
  • 通院終了後、後遺症が残った方
  • 通院終了を加害者側の保険会社から促された方
  • 示談金の増額を目指している方
  • 通院終了から示談までの期間を知りたい方

ぜひ最後までご確認ください。

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交通事故の通院終了~示談金受け取りまでの流れ

一般に、交通事故の発生から示談金受け取りまでの流れは以下のようになっています。

交通事故の事故発生~通院終了~示談金受け取りまでの流れ

通院終了は、イラストでいうところの「入通院治療」が終わった段階に該当します。もう少し細かく紹介すると以下の通りです。

治療終了後の流れ

  1. 治療終了
    相手方保険会社に連絡を入れると、示談書が送付される
  2. 示談交渉
    示談書の内容について相手方と交渉し、合意に至れば示談書に署名・捺印
  3. 示談金受け取り
    相手方保険会社の中で事務処理が行われた後、示談金が振り込まれる

これをもとに、通院終了から示談金受け取りまでの流れを見ていきましょう。

注意

「症状固定」という診断をもって治療終了となった場合は、示談開始の前に「後遺障害等級認定」を受ける必要があるので、この手続き前に示談金額の提示をされても、受け入れたり交渉を開始したりしないでください。

この場合の流れについては本記事内「4. 治療終了後も症状が残っていたらどうする?」で解説しています。

通院終了~示談交渉開始まで

  1. 通院が終了する
  2. 通院が終了したことを相手方保険会社に連絡する
  3. 相手方保険会社から示談書(損害額一覧表)が送付される

交通事故による怪我の治療が終了するということは、その交通事故によって発生した治療費・通院交通費・入通院した精神的苦痛への慰謝料などの損害額が確定したということです。

損害額が確定したのならば、その金額を加害者側に請求していく必要があるので、通院が終了したことを相手方保険会社に連絡してください。

なお保険会社によっては、毎月病院に対し診療状況を確認していることもあります。その場合は連絡せずとも、保険会社の方から示談条件の提示があるでしょう。

送付されてくる書類には、「治療費として〇円、慰謝料として〇円、既に支払った金額〇円を除いて合計〇〇円お支払いします」という示談の条件が示されています。

これを受け取ってから、示談交渉が開始されます。

示談交渉開始~示談成立まで|示談交渉の注意点

  1. 被害者の方から妥当と思う損害額を請求する
  2. 被害者・加害者側保険会社の間で金額などの交渉をする
  3. 互いに交渉結果に納得したら、新たに示談書が作成され、送付されてくる
  4. 示談書に署名押印をし、相手方保険会社に返送する

通院終了後、最初に提示された示談金額に納得がいくのならば、その時点で示談書に署名押印をすることで示談成立となります。

示談書への署名・押印をもって示談内容に合意したことになるので、その書類を返送することで示談交渉を終了させましょう。

ただし実際のところ、保険会社が最初に提示してくる金額というのは不相当に低額な傾向があります。

提示された金額をより増額したいとお考えの場合、電話・書面を用いて相手方保険会社と示談交渉を進めていきます。

交渉を重ね、互いに金額に合意したのであれば、改めて示談書が作成され送付されてきますので、それに署名押印をしてください。

示談交渉における注意点2つ

示談交渉においては、以下の2点に注意しましょう。

  • 示談金の相場を知ったうえで、示談を成立させるか判断する
  • 示談が成立したら、必ず示談書に合意内容を記録する

すでにお伝えした通り、最初に加害者側から提示される示談金額は不当に低額なことが多いです。しかし、本来の示談金相場を知らずにそのままの内容で合意してしまう人も多くいます。

示談金額のおおまかな相場は以下の計算機から確認できるので、提示された金額と比較してみましょう。

なお、実際の慰謝料は、さまざまな事情に応じて相場以上になることもあります。慰謝料が相場以上の金額になるケースや、慰謝料の基本的な情報については、『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』をご確認ください。

また、保険会社によっては、被害者と加害者双方の合意があれば電話口での確認をもって示談交渉を終了とするところもあります。

ですが、金額に関しては後に争いとならないよう、示談書として書面で残すのが確実でしょう。

示談成立~示談金受取まで

  1. 示談が成立する
  2. 相手方保険会社内で内部処理が行われる
  3. 示談金が指定口座に振り込まれる

被害者と加害者、双方が合意して示談書に署名・押印をすると、示談成立です。

相手方保険会社に示談書が返送されると、保険会社内での手続きが行われ、通常は数営業日以内に被害者の指定口座に示談金が振り込まれます。

支払い相手が保険会社の場合は、基本的には一括で支払われます。

通院終了から示談成立までの期間は1ヶ月~1年程度

通院が終了してから示談が成立するまでの期間は、交渉の経緯によって大きく異なりますが、以下のような傾向があります。

示談交渉の経緯示談期間の目安
争いのない事故1~2ヶ月程度
金額面で争う半年程度
過失割合・後遺障害などで争う1年程度

争いがなければ2ヶ月以内、金額を争うのであれば半年前後、過失割合など根本的な部分から争うのであれば1年近くかかる傾向があります。

また、後遺障害が残っていたり、示談金が高額だったりすると、示談交渉期間が長くなる傾向があります。示談金が多額であると、相手方保険会社も交渉に慎重になるためです。

なお、弁護士に示談交渉の手続きを一任していただければ、一般に示談期間が短くなります。

実際に、一年ほど難航していた示談交渉も弁護士が介入することで一週間で示談成立した、という例もあります。

交通事故の種類ごとに示談にかかる期間を詳しく知りたい方は、『交通事故の示談にかかる期間の目安は?早く終わらせたいときの対処法』をご参考ください。

まだ通院終了すべきでないケースと対処法

そもそも、示談交渉をする前段階としての通院を終了したくない、まだ治療を続けたいと考えている場合のことを想定してみましょう。

保険会社からの治療費打ち切りには応じるべきでない

事例としてよく伺うのが、交通事故による通院を続けていたら急に相手方保険会社から「治療費を打ち切る」という電話がかかってきた、というものです。

交通事故による怪我の治療費は、「任意一括対応」により、一般に相手方の保険会社が病院に対して支払っています。
ですが相手方もいつまでも治療費を支払い続けるわけにはいかないので、一定程度の期間が過ぎると「もう治療費は支払わない」と治療費の打ち切りを宣告してくることがあるのです。

基本的に、治療費を打ち切りにすると言われても治療をやめる必要はありません

あくまでも治療の終期は担当医師と被害者本人が決めるものであり、保険会社が決めるものではないからです。

ただし、加害者側からの治療費打ち切り以降も治療を続けた場合、その間の治療費は補償されるのか、という点が問題となりがちです。
そこで、治療費の打ち切りを宣告されるタイミングと、打ち切りを宣告された場合の対処法を解説していきます。

治療費の打ち切りを宣告される目安はいつ?

一般的には、治療の開始から以下の期間が経過すると治療費打ち切りを宣告されると言われています。

打撲・捻挫1カ月
むちうち(頚椎捻挫)3ヶ月
骨折など6ヶ月

もちろんこれは目安ですが、保険会社の担当者はおおむねこの期間を目安にして治療費の打ち切りを提案または宣告してきます。

治療費の打ち切り宣告への対処法4つ

治療費打ち切りを宣告されたときの被害者の対応として考えられるものは、以下の通りです。

  • 治療費の支払いを続けるよう交渉する
  • 治療費を一旦自腹で支払い、示談交渉の際にまとめて請求する
  • 自賠責保険に仮渡金を請求する
  • 自身の保険に保険金を請求する

各対処法について、詳しく解説していきます。

治療費の支払い継続を求める

もしも治療費を引き続き支払ってほしいのなら、担当医にまだ治療が必要である旨を主張する意見書を作成してもらったり、弁護士に依頼したうえで治療費支払いを継続するよう交渉することが考えられます。

交渉がうまくいけば、1カ月~数カ月程度、治療費の支払い期間を延長してくれることもあります。

治療費を一旦自腹で支払う

治療費の打ち切り延長を求めても相手方保険会社が聞き入れない場合は、一旦は被害者が治療費を立て替えて通院を続け、後の示談交渉で自腹となったぶんを請求することになります。

治療費を一時的に負担する際は健康保険などが使えるので、活用して治療費の支出を抑えるとよいでしょう。
健康保険の利用方法については『交通事故で健康保険は使える!メリットや健保に切り替えてと言われた時の対処法』の記事で確認可能です。

なお、実際に後から立て替えたぶんの治療費の支払いを受けるには、治療費打ち切り後の通院が必要・相当な範囲のものでなければなりません。

必要性の低い通院だったと判断されると、立て替えた治療費を回収できないので注意しましょう。

後から治療費を請求する場合は、示談交渉でもめることも考えられるので、事前に弁護士に相談しておくと安心です。

仮渡金制度・自身の保険を利用

治療費の一時立替えに難しさがあるのなら、相手方の自賠責保険に仮渡金を請求することも考えられます。

仮渡金とは、11日以上の通院をするような傷害を受けた被害者に対し、怪我の度合いによって5万円・20万円・40万円の一時金が支払われる制度です。(関連記事:『内払い金・仮渡金を解説|交通事故の慰謝料を示談前に受け取る方法』)

また、自身の加入している保険会社の人身傷害特約などを利用して保険金を受け取ることも考えられます。

人身傷害特約にはさまざまなメリットがあるので、治療費打ち切りの宣告を受けた場合に限らず、利用を検討してみると良いでしょう。詳しくは、『人身傷害補償特約は必要?いらない?補償内容や他の保険との違いとは』をご覧ください。

治療費打ち切りによる通院終了のデメリット3つ

最も危険なのは、まだ通院が必要であるにも関わらず、治療費打ち切りに伴って通院終了を決断してしまうことです。

治療費打ち切りによりまだ必要な治療を終了してしまうと、以下のようなデメリットが生じます。

  • 治るはずの怪我が治らない
  • 通院期間が短くなることで、入通院慰謝料が減る
  • たとえ後遺症が残っても、後遺障害慰謝料がもらえない可能性が高まる

最終的に必要・相当な通院であると認められれば治療費は支払われるため、費用を心配して治療を取りやめる必要はありません。

何よりも怪我の症状を軽減させることを第一に考え、治療を続けるかどうかを決定するようにしてください。

交通事故の通院が終了したらすべきこと

通院が終了すると、その後示談交渉が始まります。

その期間に、被害者としておさえておきたいポイントがいくつかあります。
適正な金額を獲得するため、あるいは示談交渉に向けた準備のために重要なポイントなので、しっかり確認してみてください。

通院終了後、示談交渉開始までにすべきことは2つ

通院が終了したのならば、その後の示談交渉に備えて被害者がすべきことは以下の通りです。

  • 弁護士に相談し、損害額が適正か確認する
  • 示談交渉に必要な資料を集める

弁護士に損害額が適正か確認する

通院が終わって相手方から示談金が提示されたのなら、その金額を弁護士に見せるべきです。

そうすることで示談金が適正かどうかわかるだけでなく、いくらの増額見込みがあるかの見積もりがとれる場合もあります。

通院中は治療がいつまで長引くのか、実は発見されていない隠れた怪我などがないか、という不確定要素があるため、正確な見積もりを出すのは困難です。

ですので、通院が終わって示談金の額が提示された段階は弁護士に相談するのに良いタイミングです。

もっとも、通院が半年以上長引きそうな重大な事故については、通院中から弁護士と治療方針などを相談しておくのも非常に有効です。
特に治療頻度によっては慰謝料が減額されるリスクもあるので、相談しておいて損はないでしょう。

交通事故の示談交渉で必要な書類を集める

一般に、交通事故の示談交渉においては以下の書類が必要となります。

基本的には相手方保険会社から必要な書類一式が送られてきますが、被害者側で用意しなければならないものもいくつかあります。

  1. 損害賠償請求書
  2. 交通事故証明書
  3. 医師の診断書、診療報酬明細書
  4. 修理見積書など
  5. 休業損害証明書
  6. 通院交通費証明書

なお、これらの書類はあらかじめ任意保険会社が獲得している場合もあるため、必ずしもすべて必要になるというわけではありません。各書類について、簡単に説明していきます。

損害賠償請求書

損害賠償請求書は、被害者側が損害賠償金を請求する際にその内容を示す書面です。

書式は定まっておらず、請求の原因となった交通事故、請求金額やその費目、請求相手を記載します。

そこに書かれた内容については、(2)~(6)の書類で裏付けられます。

交通事故証明書

交通事故証明書は保険会社の担当者が取り寄せることが一般的ですが、被害者の側で用意することもあります。

そのときは、自動車安全運転センターに申請を行い、書類を取り寄せなければなりません。
交通事故証明書の詳しい申請方法については『交通事故証明書とは?もらい方と目的、後日取得の期限やコピーの可否』の記事で確認できます。

なお、交通事故を警察に届け出ていない場合、交通事故証明書が作成されないため注意が必要です。

医師の診断書、診療報酬明細書

診断書は被害者の症状や受傷日、治療内容を記載したもので、「交通事故で怪我を負った」ということの証明に用いられます。

診断書は医師に依頼するか、病院の窓口で申請することで作成してもらうことができます。

診療報酬明細書は、診断書と共に提出する医療費の明細書です。診断書と同様に、病院の窓口でもらうことができます。

これら書類の発行費用は病院によってばらつきがあり、数千円~1万円が相場です。

物損の金額がわかるもの

交通事故により車が破損するなどの物的損害(物損)が生じた場合、修理見積書などその損害額がわかる書類が必要となります。

なお、物損については比較的争いが生じにくいことから、人身損害(治療費・慰謝料など人に対する損害)に先んじて示談交渉が進み、示談成立することもあります。

その場合は先に見積書だけを相手方保険会社に送付しましょう。

休業損害証明書

通院により会社を休んだりしたような場合に、そのぶん受け取れなかった収入も損害賠償の一環として受け取ることができます。

休業損害証明書は、書類を勤務先に提出して記載してもらいましょう。

勤務先が休業損害証明書の作成に協力的でない場合は、給与明細書や出退勤データ、確定申告書の写しで代用することもあります。

休業損害証明書について詳しくは『休業損害証明書の書き方を解説!誰が書くのか、いつ提出するかもわかる』の記事をご確認ください。

通院交通費証明書

交通事故による通院でかかった交通費は、通院交通費明細書を記入して提出することで請求できます。

基本的に電車代・バス代など公共交通機関は全額支払われますが、タクシーを使った場合などは争いになることもあります。

通院交通費の請求方法について詳しくは『交通事故の通院交通費|請求できる条件や慰謝料との違い、他の交通費は?』の記事をご確認ください。

弁護士に相談すれば慰謝料が3倍以上になることも

通院終了後にすべきことの中でも、弁護士への相談は極めて重要であり、通院が終了した段階または相手方から示談書が送られてきた段階で弁護士に相談することがおすすめです。

繰り返しになりますが、通院終了後、相手方保険会社から送られてくる提案書には、非常に低い金額が記載されています。
それをそのまま受け入れるのではなく、弁護士を立てて増額交渉をすれば、受け取れる示談金の額が増える可能性がぐんとあがるのです。

実例を紹介しましょう。
以下は、こちらはアトム法律事務所が実際に受任した案件の、保険会社からの最初の提示額と最終的な支払い額です。

怪我の種類最初の提示額最終支払い額
むちうち87万円153万円
むちうち
(後遺障害あり)
173万円371万円
足の指骨折21万円100万円
手の指骨折35万円148万円

これらはほんの一例ですが、最初の提示額と比べると最終支払い額が数倍になりうることがわかります。

これらは主に、慰謝料が増額したことが原因です。

なぜ弁護士を立てると慰謝料が大幅に上がる?

弁護士を立てることで最終的な支払い額が増える原因は、保険会社が提示してくる金額と、実際に裁判を起こせば支払いを受けられる金額に大きな差があるためです。

この差は、保険会社と裁判所(弁護士)とで、用いる計算基準が異なることにより生じています。

慰謝料算定の際の自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準

相手方の任意保険会社が提示してくる金額の算定基準を任意保険基準、裁判所や弁護士が用いる基準を弁護士基準と呼んでいます。

弁護士基準は裁判所でも用いられている基準であり、本来は実際に損害賠償請求で裁判を起こした場合に得られる金額です。

ですが弁護士に交渉を任せれば、裁判を起こさずとも弁護士基準の金額獲得が見込めるのです。

多くの被害者は裁判という手段をとらず、保険会社が独自に設定した基準に基づく、やや低額な示談金を受け取っています。

相手方保険会社から示談書が送付されてきたときは、すぐにサインせず、まずは弁護士に確認をとることを心がけてください。

通院終了後の弁護士相談には他にもメリットがある

交通事故の損害賠償請求については、交渉・書類の用意などの手続きをまとめて弁護士に委任することができます。

委任することで、被害者は通院終了後も保険会社とのやりとりに悩まされることなく過ごすことが可能です。

このほかにも、弁護士に相談または委任することで以下のようなメリットがあります。

  • 示談金の相場がわかる
  • 示談金の大幅増額に成功する可能性が高い
  • 損害賠償請求の対応や手続きを一任できる

特に重要なのが、示談金の大幅増額に成功する可能性が高いということです。

すでに解説した通り、保険会社が提示してくる示談金額は、保険会社独自の基準により算出された低額なものになっています。

そのため被害者側は裁判基準(弁護士基準)の金額を求めていく必要があるのですが、被害者がいくら「裁判ではこのように認められている」と弁護士基準での増額を主張しても、受け入れてもらえないことが多くなっています。

弁護士なしで示談交渉をしたらどうなるのか?

実際に保険会社とのやりとりに疲れてしまったという方からお話を聞くと、「この件は判例とは違う」「証拠が無い」「その怪我は交通事故とは関係がない」「どうしてもと言うのならご自分で手続きを…」と、うまくかわされてしまったという例がよくあります。

担当者は保険会社が蓄積した交渉のノウハウを持ち、また年間百件以上の示談を成立されていることもある交渉のプロですので、被害者一人で争うのは困難です。

ですが弁護士を介入させることで、相手方保険会社も「裁判になったらより高額の慰謝料を請求される」「だったら争わない方がいい」と態度を軟化させます。

お一人で頑張ろうとして疲弊してしまうよりも、まずは第三者の力を借りて快適に過ごすことをまずお考えください。

「慰謝料計算機」を使えば、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、逸失利益といった被害項目について、弁護士基準での算定結果がすぐにわかります。

慰謝料の仕組み・計算方法を基礎から確認したい方は、関連記事『交通事故の慰謝料の計算方法|正しい賠償金額がわかる』もあわせてお読みください。例をあげて、計算方法をわかりやすく解説しています。

通院終了後も症状が残っていたらどうする?

これまでは怪我が完治して通院を終了する場合を考えてきましたが、長期間通院を行っても症状が好転しない、というような場合もあります。

そのように一定期間以上治療を行っても心身に残ってしまうような症状を、後遺障害といいます。

後遺障害の代表的なものとして多い症状は、以下の通りです。

  • むちうちの後に残る痛み、痺れ、吐き気など
  • 骨折の後に残る痛み、痺れ、関節の可動域制限、骨の変形など
  • 顔や体に残る一定以上の大きさの傷痕など

実際に後遺障害が残った場合、通院終了から示談をするまでの間に「後遺障害等級認定」を受ける必要があります。
後遺障害が残った場合における治療終了のタイミングと、後遺障害等級認定について見ていきましょう。

後遺障害が残ったら通院終了になるのはいつ?

後遺障害が残った場合、症状固定の時期が通院終了のタイミングとなります。

症状固定とは

これ以上通常の治療を行っても良くも悪くもならない状態に至った時期

症状固定のタイミング

症状固定のタイミングは、担当医師と被害者本人によって決定します。

もちろん症状固定後も治療を続けたいと思えば通院の継続は可能ですが、入通院慰謝料や治療費、休業損害などは、原則として症状固定の時期までに対してしか支払われないので注意しましょう。

ただし、必要性の認められたリハビリであれば、症状固定後も費用が支払われる可能性があります。

症状固定のタイミングは重要

後遺障害が残ったと主張し、後遺障害残存に対する補償を受けるためには、十分な通院期間、具体的には半年以上の通院が必要と言われています。
一部例外を除き、基本的には通院期間が半年未満で症状固定となった場合は、この後解説する「後遺障害等級」の認定が難しくなり、後遺障害慰謝料・逸失利益がもらえなくなる可能性が高いのです。

症状固定の時期について詳しくは、以下の関連記事にて紹介しているので確認してみてください。

後遺障害が残って通院終了したら後遺障害認定が必要

交通事故による通院終了後にすべきことはすでに解説した通りですが、症状固定をもって通院終了となった場合は、すべきこととして「後遺障害等級を認定してもらう」ということが加わります。

症状固定後にすべきこと

  • 弁護士に相談し、損害額が適正か確認する
  • 示談交渉に必要な資料を集める
  • 後遺障害等級を認定してもらう

後遺障害等級とは、後遺障害の重さを14段階で区分したものです。この等級に基づいて、後遺障害慰謝料・逸失利益といった損害賠償の金額が決定されます。

一つ等級が違うだけで数百万円以上の差が出てくることもありますので、何級に認定されるかは非常に重要です。

このあと、むちうちの場合を例に後遺障害慰謝料の一部を紹介しますが、後遺障害慰謝料全体について知りたい場合や、逸失利益の計算方法について知りたい場合は以下の関連記事をご確認ください。

むちうちの後遺障害が残ったら後遺障害等級は何級になる?

もしも交通事故でむちうちになり、半年間の治療後も首の痛みが残っているような場合、後遺障害等級は何級になるのでしょうか。

一般的には、後遺障害12級または後遺障害14級に認定される可能性があります。それぞれの等級に認定される症状と、後遺障害慰謝料は下表の通りです。

後遺障害等級症状後遺障害慰謝料*
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円
非該当等級に該当する症状なし原則なし
*弁護士基準での金額

後遺障害等級の申請を行い、14級に認定されればそれだけで100万円以上の後遺障害慰謝料を獲得できる可能性があるということがわかります。

実は12級と14級の境界線は、症状の重さではなくその症状を示す証拠が十分であるかどうかで決定されます。

痛みや痺れの症状が激しいのに、後遺障害診断書の記載内容が不適切だったり、画像所見が足りていないために、より後遺障害慰謝料の多い12級に認定されないどころか、14級すら認定されずに「非該当」となってしまう方も多くいらっしゃいます。

後遺障害等級の認定のためには、その症状と同じくらいに申請手続きが重要になってきます。

後遺障害等級の申請の手続き

後遺障害等級の認定を受けるための申請手続きには、「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。

事前認定相手方の任意保険会社が申請手続きをする
被害者請求被害者本人が申請手続きをする

基本的には被害者請求の方が、より妥当な等級に認定される確率が高くなるためおすすめです。

後遺障害等級の認定は、顔の傷など例外を除いて書面のみで審査が行われるのですが、事前認定によって申請手続きを加害者側の任意保険会社に任せてしまうと、提出書類のブラッシュアップができないからです。

ただし、書類、とくに後遺障害診断書の書き方については業界の実務や判例に基づく細かなルールがあるため、そうした知識がなければせっかく被害者請求をしても、その利点を生かせないリスクがあります。
後遺障害等級認定の申請は弁護士に任せられるため、基本的には弁護士に書類の確認・申請作業どちらも一任してしまうのが最も簡単です。

後遺障害認定の手続きや必要書類については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

交通事故による通院終了後は、示談の前に弁護士にご相談ください

交通事故の通院終了後は、いよいよ示談が始まります。

示談金の相場を知らずに安い金額で合意してしまう方、自分から高い金額を主張することに躊躇してしまう方、保険会社の主張に丸め込まれてしまう方、そんな方々をたくさん見てきました。

示談金の増額交渉は高い金額を取ろうとするのではなく、むしろ低すぎるのを適正な金額に戻す、と言った方が正しい側面もあります。

示談金の相場調査や見積もり、その後の交渉、書類手続きにいたるまで、ぜひ弁護士にお手伝いさせてください。

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アトム法律事務所は24時間365日、いつでもご相談の予約受付を行っております。

特に通院終了後は、より正確な示談金の見積もりが出せる・その後の面倒なやりとりを一任できるという点で、弁護士に相談するならば絶好のタイミングです。

皆様のお電話やLINEでのご相談を心よりお待ちしております。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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