交差点での事故の過失割合は?信号あり・信号なしのパターンで解説

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交差点の事故

一口に交差点事故と言っても、過失割合は「信号のない交差点」なのか、「道幅に違いのある交差点なのか」など道路状況によって違ってきます。

事故当事者が自動車なのかバイクなのか、自転車やバイクなのかによっても過失割合は異なるものです。

本記事では、交差点での事故の過失割合をケース別に紹介します。
示談で正しい過失割合になるよう交渉する方法や、交差点での事故を防ぐポイントも解説するのでご確認ください。

なお、本記事で紹介する過失割合は、「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に記載されている情報を基にしています。

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交差点は事故が最も多く発生する

警察庁が発表している統計によると、令和5年に発生した交通事故307,911件のうち、交差点内や交差点近辺で発生した事故は176,562件です。

つまり、交通事故の約57%が交差点内や交差点の近辺で発生していることになります。

なかでも車同士の出会い頭の衝突事故は64,303件も発生し、全体の約36%にのぼっているのです。車両同士による交差点での交通事故としては、次のような場面があげられます。

交差点で多く発生している事故

  1. 出会い頭
  2. 追い越し・追い抜き
  3. すれ違い
  4. 右折・左折
  5. 追突

参考:警察庁「統計表」(令和5年中の交通事故の発生状況)

信号機がなく、見通しの悪い交差点では、とくに出会い頭の衝突事故は発生しやすくなります。一時停止無視や、「相手が停止してくれるだろう」といったいわゆる「だろう運転」によって事故が引き起こされることも多いでしょう。

もっとも、交通事故は信号機の有無に関係なく起こっています。

交差点での事故の過失割合を信号機の有無にわけてみていきましょう。

信号のある交差点における交通事故の過失割合

信号のある交差点については「青信号と赤信号の場合」「黄信号と赤信号の場合」「赤信号同士の場合」で起きた事故の過失割合を紹介します。

なお、黄点滅と赤点滅信号のような「交互に一方を止め、他方を通す」交通規制が行われていないケースは、信号機がない交差点と見なされます。

信号機がない交差点における事故の過失割合は、本記事内「信号のない交差点における車同士の事故の過失割合」で解説しています。

なお、点滅信号に特化した記事として『点滅信号での事故の過失割合は?車、自転車、歩行者のケース』もあります。こちらでは車と自転車、車と歩行者の事故の過失割合も紹介しているので、ご確認ください。

青信号と赤信号の場合

信号のある交差点において、青信号で交差点に進入した(A)赤信号で交差点に進入した(B)が出会い頭に衝突した場合、A:B=0:100が基本の過失割合です。

ただし、Bが明らかに先に交差点に入っていた場合は、Aにも10%程度の過失割合がつく可能性があります。

赤信号を無視したBに大きな過失があることに変わりはないものの、Aもしっかり前方を確認していれば、衝突を防げたと考えられるからです。

その他の修正要素も含めた過失割合は、以下の表のとおりです。

過失割合と修正要素

AB
基本の過失割合0100
(以下、修正要素)
Aに何らかの過失あり
または
Bの明らかな先入
+10-10
Aの著しい過失+10-10
Aの重過失+20-20
Bの著しい過失-5+5
Bの重過失-10+10

なお、著しい過失・重過失とはそれぞれ以下のことを指します。

  • 著しい過失
    • 脇見運転など著しい前方不注意
    • ハンドル・ブレーキの著しく不適切な操作
    • 携帯電話を使いながら・見ながらの運転
    • ナビを操作しながら、画面を見ながらの運転
    • 一般道での15キロ以上 30キロ未満の速度違反
    • 酒気帯び運転
  • 重過失
    • 酒酔い運転
    • 居眠り運転
    • 薬物を使用しての運転
    • 無免許運転
    • 一般道での30㎞以上の速度違反

黄信号と赤信号の場合

信号のある交差点において、黄信号で交差点に進入した(A)赤信号で交差点に進入した(B)が出会い頭に衝突した場合、A:B=20:80が基本の過失割合です。

ただし、Aが黄色信号で交差点に進入したといっても、赤信号になる直前だった場合はAの過失割合が10%程度加算される可能性があります。

また、Bが交差点に入った時は赤信号でも、衝突時に青信号になっていた場合は、Bの過失割合が20%程度減算される可能性があります。

過失割合と修正要素

AB
基本の過失割合2080
(以下、修正要素)
Aが赤信号直前で進入+10-10
衝突時にBが青信号+20-20
Aの著しい過失+10-10
Aの重過失+15-15
Bの著しい過失-5+5
Bの重過失-10+10

赤信号同士の場合

信号のある交差点において、赤信号同士で交差点に進入した(A)と(B)が出会い頭に衝突した事故の場合、A:B=50:50が基本の過失割合です。

ただし、どちらか一方が明らかに先に交差点に入っていた場合、もう一方は衝突を避けるための行動をとれた可能性があります。よって、こうした場合は回避行動を取れたはずだった方の過失割合が増やされることがあります。

過失割合と修正要素

AB
基本の過失割合5050
(以下、修正要素)
Bの明らかな先入+10-10
Aの著しい過失+5-5
Aの重過失+10-10
Aの明らかな先入-10+10
Bの著しい過失-5+5
Bの重過失-10+10

なお、実際に過失割合がいくらになるかは示談交渉で決められます。
示談交渉で正しい過失割合になるよう交渉するポイントは後ほど解説するので、続けてご確認ください。

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信号のない交差点における車同士の事故の過失割合

信号のない交差点での事故の過失割合は、両者の道幅の違いや減速の有無によります。原則、道幅が広い方が優先され、道幅が同じであれば左方優先です。

あるいは一方の車両のみが減速をしていた場合、減速していた側の過失割合は減る可能性があります。

信号のない交差点における車同士の事故について、過失割合のポイントは以下の通りです。

ポイント

  • それぞれの道幅
    • 道幅が同程度なら左方車が優先車、過失割合が小さくなる傾向
    • 道幅が違うなら広い方が優先車、過失割合が小さくなる傾向
  • 減速の有無
    • 一方のみが出会い頭前で減速していた場合、減速していた側の過失割合が減らされる傾向

「道幅が同じくらいの交差点」と「一方の道幅が明らかに広い交差点」に分けて、交差点事故の過失割合を詳しくみていきましょう。

道幅が同じ場合

道幅が同じくらいの交差点において、出会い頭で衝突事故が起こったケースと、右折車と直進車の右直時のケースに分けて過失割合を説明します。

出会い頭で衝突事故が起こったケース

道幅が同じくらいで信号のない交差点における基本の過失割合は、左方車(A):右方車(B)=40:60です。AとBの速度が同程度なら、左方車優先のためAの方が過失は小さくなります。

信号のない交差点での出会い頭事故

しかし、出会い頭前に一方のみが減速していたなら、減速した側の過失割合が20%減算されます。

道路交通法42条では、「左右の見とおしがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通行しようとするとき*」には徐行しなければならないと定められているからです。

*交通整理がおこなわれている場合や、一方が優先道路となっている場合は除く

つづいて、基本の過失割合に対する修正要素をみていきましょう。

交差点内での出会い頭事故の過失割合(道幅が同じ)

A左方車B右方車
基本の過失割合(速度が同程度)4060
基本の過失割合(Bのみ減速)6040
基本の過失割合(Aのみ減速)2080
(以下、修正要素)
Aの著しい過失+10-10
Aの重過失+20-20
見とおしがきく交差点-10+10
夜間-5+5
Bの著しい過失-10+10
Bの重過失-20+20

左方車優先の原則があるため、基本的にはA左方車の過失は低い傾向です。ただし、いくらA左方車優先であっても安全のための減速が必要なので、減速していなければ過失割合は高くなります。

右折車と直進車の右直事故のケース

信号のない交差点で直進車と右折車による右直事故が起こったとき、基本の過失割合は直進車(A):右折車(B)=20:80です。信号機があり、お互いに青信号だったパターンと同じ扱いになります。

信号のない交差点での右直事故

ただし、右折車がすでに右折状態にあるところへ直進車が衝突してきた場合は、直進車側に安全不確認の責任があるとして過失割合が加算される可能性があります。

また、交差点では右直車は直近右直、早回り右直、大回り右直はしてはならないとされます。こうした点を右直車側が守っていなかった場合は、右直車の過失割合が加算されるでしょう。

信号機により交通整理のおこなわれていない交差点の事故

A直進車B右折車
基本の過失割合2080
(以下、修正要素)
Bの既右折+20
Aの速度違反(15km以上)+10
Aの速度違反(35km以上)+20
Aその他の著しい過失+10
Aその他の重過失+20
B徐行なし-10
B直近右折-10
B早回り右折-5
B大回り右折-5
B合図なし-10
Bその他の著しい過失・重過失-10

なお、右折車と直進車による右直事故については『右直事故の過失割合は?交差点での早回り右折・速度超過など修正要素も解説』でもパターン別の過失割合を紹介しています。あわせてご確認ください。

一方の道幅が明らかに広い場合

一方の道幅が明らかに広く信号のない交差点における事故では、「広い道を走行する左方車(A):狭い道を走行する右方車(B)=30:70」が基本の過失割合です。

もっとも、先述の道路交通法42条に定められた徐行義務にもとづき、Aのみが減速したならAの過失割合が10%、Bのみが減速したならBの過失割合が10%減算されます。

つづいて、個別の修正要素をみていきましょう。

交差点内での出会い頭事故の過失割合(Aの道幅が広い)

A左方車B右方車
基本の過失割合(速度が同程度)3070
基本の過失割合(Bのみ減速)4060
基本の過失割合(Aのみ減速)2080
(以下、修正要素)
Bの明らかな先入+10-10
Aの著しい過失+10-10
Aの重過失+20-20
見とおしがきく交差点-10+10
Bの著しい過失-10+10
Bの重過失-20+20

出会い頭事故の過失割合は、『出会い頭事故とは?過失割合の決まり方と信号や一時停止違反などの影響』の記事でも詳しく解説しています。車同士、車とバイク、車と自転車といった様々なパターンを紹介した解説記事です。

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交差点事故で知っておきたい基本の過失割合

右折車と直進バイクの事故

交差点において、直進するバイク(A)対向車線を右折する車(B)が接触した事故の場合、A:B=15:85が基本の過失割合です。

ただし、右直車側が徐行をしていなかったり、直近右直、早回り右直、大回り右直などをしていた場合は、右直車側の過失割合がさらに加算されます。

過失割合と修正要素

AB
基本の過失割合1585
(以下、修正要素)
Bの徐行なし-10+10
Bの直近右折-10+10
Bの合図なし-10+10
Bの早回り右折・大回り右折-10+10
Bのその他の著しい過失・重過失-10+10
Aの15km以上の速度違反+10-10
Aの30km以上の速度違反+20-20
Bの既右折+10-10
Aの道路交通法50条違反の交差点進入+10-10
Aのその他の著しい過失・重過失+10-10

自動車とバイクの事故では、自動車側の過失が高く、バイク側の過失は低いとされるのが原則です。

ただし考慮すべき修正要素も多数あるので、相手方の保険会社から提示された過失割合にすぐ同意せず、交通事故にくわしい弁護士に意見をもらってみてください。

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左折車と同一車線を直進する自転車の巻き込み事故

交差点において、同一方向に直進する自転車(A)左折する車(B)の巻き込み事故の場合、自動車が左折しているところに自転車が直進してきたのか自動車が直進する自転車を追い越すような形で左折したのかで基本の過失割合は異なります。

直進自転車と先行左折車なら10:90直進自転車と追越左折車なら0:100が基本の過失割合です。

過失割合と修正要素

AB
基本の過失割合
(直進自転車と先行左折車の場合)
1090
基本の過失割合
(直進自転車と追越左折車の場合)
0100
(以下、修正要素)
Aの著しい過失・重過失+5~10-5~10
Aが児童等・高齢者-5+5
Bの大回り左折・進入路鋭角-10+10
Bの合図遅れ-5+5
Bの合図なし-10+10
Aの自転車横断帯通行-5+5
Bのその他の著しい過失・重過失-5~10+5~10

なお、関連記事ではよりくわしい過失割合の情報や慰謝料相場を紹介しています。過失割合は受けとる賠償金額にも直結しますので、あわせて参考にしてください。

右左折車と横断歩道上の歩行者の事故

信号のない交差点の横断歩道において、青信号で横断を開始した歩行者(A)が、同じく青信号で右左折してきた自動車(B)と接触した事故の場合、A:B=0:100が基本の過失割合です。

交通事故では歩行者は弱い立場とされるため、過失割合は小さくなることが多いです。

さらに、歩行者が児童・幼児・高齢者・身体障害者などだった場合は、さらに過失割合が減算される傾向にあります。

過失割合と修正要素

AB
基本の過失割合0100
(以下、修正要素)
Aの直前直後横断、佇立、後退+5~10-5~10
Aが児童・高齢者-5+5
Aが幼児・身体障害者等-5+5
Bの著しい過失-5+5
Bの重過失-10+10

信号のある横断歩道上での事故の過失割合や、さらに詳しい修正要素、慰謝料相場については『横断歩道の事故の過失割合と慰謝料|歩行者と車の状況別に過失を解説』の記事もお役立てください。

交差点の手前における車同士の追突事故

交差点の手前において、後ろの車(A)前の車(B)に追突した事故の場合、A:B=100:0が基本の過失割合となります。

ただし、前の車(B)が道路交通法第24条に違反して急ブレーキをかけた場合、急ブレーキも追突事故の要因であるとしてA:B=70:30が基本の過失割合です。

過失割合と修正要素

AB
基本の過失割合7030
(以下、修正要素)
住宅街・商店街等+10-10
Aの15km以上の速度違反+10-10
Aの30km以上の速度違反+20-20
Aのその他の著しい過失+10-10
Aの重過失+20-20
Bの幹線道路の走行車線上の停止-10+10
Bの制動灯故障-10~20+10~20
Bのその他の著しい過失-10+10
Bの重過失-20+20

信号機に従って停止しているところに後方から追突されたケースは「もらい事故」ともいわれ、追突された側には一切過失がつかない可能性も高いです。

ただし、過失なしの場合は、ご自身で加入している任意保険会社の示談代行サービスが使えず、独力で相手の保険会社と交渉せねばなりません。

過失がないことで、かえって交渉のストレスが増えてしまう恐れもあるでしょう。こうした精神的負担は、弁護士に依頼することで大きく軽減できます。

追突事故の過失割合や慰謝料については以下の関連記事もお役立てください。

交差点事故における過失割合や賠償金の実例を紹介

実際に交差点での事故でどのような過失割合・賠償金になっているのか、過去の判例から紹介します。

車と自転車の出会い頭の事故

信号機のない交差点における、自動車と自転車の出会い頭の衝突事故。自転車は規制に従わず、一時停止をせずに交差点に進入した。自動車は約20kmで進行しており、ブレーキをかけたが間に合わず、自転車と接触した。

自転車側には一時停止をせずに交差点に進入した過失があるとされた。一方、自動車側には周囲の車両の有無や動きを確認し、注意して進行すべき義務があったにもかかわらず、約20kmで交差点に進入した過失があるとされた。よって、過失割合は自転車:自動車=30:70と認められた。

この事故で、約323万円の損害賠償金の請求が認められている。

(大阪地方裁判所 平成30年(ワ)第3411号 損害賠償請求事件 令和元年7月4日)

右折車と直進する原付自動車の事故

交差点を右折しようとした自動車と、対向車線を直進してきた原付自動車の衝突事故。自動車が対向車線のトラックに道を譲られて右折を開始したところ、トラックの後方から直進してきた原付自動車と接触した。

自動車側には、対向車線を十分に確認しないまま右折を開始した過失があるとされた。一方、原付自動車側は交差点内の車両の動きを注視することを怠り、トラックの横をすり抜けて交差点内に進入した過失があるとされた。よって、過失割合は原付自動車:自動車=15:85と認められた。

この事故で、約836万円の損害賠償金の請求が認められている。

(東京地方裁判所 平成29年(ワ)第12194号 損害賠償請求事件 平成30年4月17日)

車と横断中の歩行者の死亡事故

交差点を右折した自動車と、青信号で横断歩道をわたっていた歩行者の接触事故。事故により、歩行者は四肢不全麻痺などの後遺障害を負った。

自動車は対向車線の車両よりも先に右折しようとした結果、横断歩道上の歩行者の有無や安全を確認ないまま右折した。右折時には約25km~35kmのスピードが出ており、歩行者に気づいて急ブレーキをかけたが間に合わずに衝突した。

この事故で、車の運転手や運転手の雇用主などに対し、遅延損害金などを含めて約3億2776万円の損害賠償金の請求が認められている。

(大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第1974号 損害賠償請求事件 平成17年9月27日)

交差点事故など交通事故における損害賠償金については、『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法を解説』をご確認ください。

交差点事故の過失割合は交渉で決まる!

ここまで交差点事故の過失割合を解説してきましたが、実際に過失割合がいくらになるのかは、基本的に示談交渉で話し合われます。

交渉がうまくいかなければ正しい過失割合にならず、その結果、受け取れる損害賠償金が必要以上に減額されるおそれがあります。

正しい過失割合にするためのポイントを確認していきましょう。

交通事故の過失割合を決める方法は?

過失割合は事故のパターンごとに定められている「基本の過失割合」に、事故の状況に応じた「修正要素」を加えることで決まります。

本記事でも修正要素を含めた過失割合を解説しますが、修正要素にはさまざまなものがあります。本記事では紹介しきれないものもあるため、個々の事故の過失割合は弁護士にお問い合わせください。

関連記事『交通事故の過失割合とは?決め方と示談のコツ!事故パターン別の過失割合』では様々な事故のパターン別に過失割合を紹介しています。

加害者側が提示する過失割合は適切でないことも多い

交差点事故の過失割合を決めるにあたってまず知っておくべきことは、「加害者側の任意保険会社が提示する過失割合は正しくないことも多い」ということです。

示談交渉では、基本的に加害者側の任意保険会社が過失割合を算定して提示してくれます。

しかし、加害者側の任意保険会社は、過失相殺を狙ってあえて被害者側の過失割合を多く見積もっていることがあるのです。

過失相殺とは?

自身についた過失割合分、受け取れる損害賠償金が減額されること。

過失相殺の詳細は『過失相殺をわかりやすく解説!計算方法や交通事故判例の具体例も紹介』の記事もあわせてお読みください。

過失割合に少しでもおかしいと思う点やよくわからないと思う点があるなら、提示内容を鵜呑みにするのではなく、一旦持ち帰ってよく検討するようにしてください。

適切な過失割合になるよう交渉するポイント

適切な過失割合になるよう交渉するには、「厳密な過失割合の把握」と「交渉力」が必要です。

示談交渉では、「なんとなくおかしいと思う」「本やインターネットで見た類似事例では違う過失割合だった」と主張しても、加害者側には以下の点から聞き入れてもらえません。

  • 似たような事故類型でも、細かい修正要素によって全く違う過失割合になることもある
  • 加害者側の任意保険会社は交渉のプロなので、そもそも主張を通すのが難しい

「厳密な過失割合の把握」と「交渉力」のためには、弁護士に相談・依頼することがおすすめです。

弁護士なら過去の判例や専門知識などをもとに、厳密な過失割合を算定できます。また、交渉のプロなので加害者側の任意保険会社ともしっかり交渉することが可能です。

まずは法律相談で、過失割合の確認から始めてみてください。アトム法律事務所では、無料電話・LINE相談を実施しています。

依頼まで進んだ場合でも、ご自身の保険に「弁護士費用特約」がついていれば、費用は保険会社に負担してもらえます。

弁護士費用特約がなくても、アトム法律事務所では基本的に着手金が無料です。
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交差点事故を防ぐ安全運転のポイント

最後に、交差点での事故を防ぐために、車を運転する際どのような点に気を付ければよいかを解説します。

交差点における車の運転ルール

まずは、交差点において車を運転する基本的なルールをおさらいしておきましょう。

交差点周辺で禁止されていること

  • 交差点とその手前から30メートル以内の場所における追い越し
  • 交差点とその端から5メートル以内の場所における駐停車

交差点全体のルール

  • 左折するときは、あらかじめ道路の左端に寄り、道路の端に近いところにそって徐行しながら曲がる。
  • 右折するときは、あらかじめ道路の中央側に寄り、交差点の中心のすぐ内側にそって徐行しながら曲がる。
  • 一方通行の道路から右折するときは、あらかじめ道路の右端に寄り、交差点の中心のすぐ内側にそって徐行しながら曲がる。
  • 右左折するとき、矢印などの標示で通行方法が指定されていたら従う。
  • 右折するとき、直進または左折をする車がいる場合は、進行を妨げない。
  • 車両通行帯のある道路で、標識や標示で交差点で進行する方向ごとに通行区分が指定されていたら従う。
  • 標識で進行方向が指定されていたら従う。
  • 前の車が右左折や車両通行帯を通行するために進路を変えようとして合図したら、その車の進路変更を妨げない。
  • 前が混雑しており、交差点内で止まってしまう可能性がある場合は、交差点に進入しない。

信号のない交差点のルール

  • 交差する道路が優先道路や幅が広い道路であるときは、徐行し、交差する道路を通行する車の進行を妨げない。
  • 交差する道路の幅が同じくらいのときは、左方から来る車の進行を妨げない。
  • 一時停止の標識があるときは、停止線の直前で一時停止する。
    また、交差する道路を通行する車の進行を妨げない。

とくに、信号のない交差点では、優先道路の確認不足で出会い頭の事故が起こりがちです。

優先道路とは、優先道路の標識がある道路、交差点内でセンターラインがつながっている道路、道幅が明らかに広い道路のことです。交差点に進入するときは、どちらが優先道路かしっかり確認する必要があります。

ただし、運転しながら優先道路の見極めをしようとしても、交差する道路の方が狭く見えてしまうことが多いです。優先道路の判断が難しい場合は念のため一時停止するなど、注意深い運転を心がけましょう。

次に、交差点に進入・左折・右折するときのケース別に注意すべきポイントを紹介します。

交差点に進入するときのポイント

交差点に進入するときは、以下の点に気を付けるとよいでしょう。

  • 前の車の動きをしっかりと確認する
  • 前の大型車に近づきすぎない
  • 安全な速度と車間距離を保つ
  • 一時停止の指示に従い、周囲の安全を確認する

それぞれのポイントについて、解説していきます。

前の車の動きをしっかりと確認する

交差点の近辺で追突事故を避けるには、前の車の状況を確認することが大切です。

追突事故の多くは、脇見運転や漫然とした運転により発生しています。周囲に気を取られず、前の車の速度やブレーキランプなどをよく確認することが、追突事故の防止につながります。

また、「黄色信号になったけど前の車はそのまま進んでくれるだろう」といった「だろう運転」も、追突事故につながりやすいです。前の動きを確認したうえで、「もしかしたらブレーキを踏むかもしれない」といった「かもしれない運転」を行うことが重要です。

前の大型車に近づきすぎない

前の車がトラックやバスなどの大型車の場合は、接近しすぎないよう注意が必要です。

大型車は車高が高いため、近づきすぎていると前方の信号や交差点の様子が見えなくなる場合があります。

「前の大型車が交差点に進入したから今は青信号なのだろう」と思って追従したが、実は信号が変わっており、事故が発生してしまうことは決して珍しくありません。また、交差点の先で渋滞が発生している可能性があることにも留意する必要があります。

前の車が大型車の場合は、十分な車間距離をあけることが大切です。

右左折する大型車両の隣に並ばない

トラックなどの大型車両は右左折時にふくらみ、接触事故に発展する可能性があります。そのため大型車両の右左折時には、その車両と横並びになったり、近づいたりする際に十分注意が必要です。

もし、大型車両との事故で賠償や過失割合でもめている場合は、関連記事『トラック事故の損害賠償|責任は誰に?請求先と補償の両方がわかる』も参考にしてみてください。

安全な速度と車間距離を保つ

前の車が急ブレーキを踏んだり、急な右左折をしたりしても対応できるようにするためには、安全な速度と車間距離を保つことが何より重要です。

交差点に進入する前から、周囲の状況にあわせて速度を落とし、前の車と余裕をもって車間距離をあけるようにしましょう。

一時停止の指示に従い、周囲の安全を確認する

信号のない交差点の場合は、一時停止が非常に重要になります。

一時停止の標識や「止まれ」の標示がある場合や、優先道路に進入する場合は、必ず一時停止をしましょう。その際、標識があるから形式的に停止をするだけではなく、きちんと周囲の確認をすることが大切です。

周囲の確認が難しい場合は、一時停止をしたあと徐行しながら交差点に進入し、再度一時停止して安全確認をするとよいでしょう。

また、先述のとおり、どちらが優先道路か判断できない場合は、念のため一時停止をして事故を避けるようにしましょう。

交差点で右左折するときのポイント

交差点で右左折するときは、以下の点に気を付けるとよいでしょう。

  • 早めに合図を出す
  • 横断歩道の確認を怠らない
  • 必ず左後方を振り返って目視で安全確認をする(左折時)
  • 死角に二輪車がいる可能性があることを十分意識する(右折時)

それぞれのポイントについて、解説していきます。

早めに合図を出す

交差点で右左折する際は、合図を出し、減速することになります。このとき、減速する直前に合図を出すと、後続車のブレーキが間に合わず、事故が発生してしまう危険性があります。

また、車の左側を二輪車が走っていた場合、合図を出すのが遅いと、回避行動が間に合わず巻き込み事故に発展してしまう可能性もあるでしょう。

交差点で右左折する場合は、曲がる地点または交差点の手前から30メートル以内に合図を出すようにしましょう。

横断歩道の確認を怠らない

右左折する際には横断歩道の状況をしっかり確認することも重要です。

とくに、自転車は急な速度で横断歩道に進入してくることがあります。横断歩道の前後についても気を配るようにしましょう。自転車が接近している場合は、無理に左折せず、渡りきるまで待つようにしましょう。

また、前にいる車が横断歩道上の歩行者や自転車を優先し、急停止する場合もあります。このような状況で追突事故が発生することを避けるためにも、横断歩道の状況を確認しておくことは大切です。

必ず左後方を振り返って目視で安全確認をする(左折時)

左折時によく発生するのは、左側を通行している二輪車を巻き込んでしまう事故です。

巻き込み事故を防ぐためには、必ず目視で安全確認をするようにしましょう。ミラーによる確認だけだと、死角にいる二輪車を見落とす可能性があります。

死角に二輪車がいる可能性を十分意識する(右折時)

右折時にとくに気を付けたいのは、対向車の影にいた二輪車に気づかず右折し、衝突事故を起こしてしまうことです。死角に二輪車がいる可能性は、常に意識しておきましょう。

対向車が譲ってくれたため右折した結果、対向車の後ろから直進してきた二輪車と衝突する、いわゆる「サンキュー事故」は多く発生しています。また、対向車が右折しているので、あわせて右折してしまおうとするドライバーもいますが、これも事故につながりやすい行動です。

周囲の状況をよく確認すること、見通しが悪い場合は確実に右折できるようになるまで待つことが大切です。

交差点事故の被害者が活用できる無料相談

交差点で事故に巻き込まれてしまった場合は、弁護士への相談を検討してください。特に、交差点における事故の過失割合は双方の言い分が食い違うことも多く、揉めごとになりやすいです。

アトム法律事務所では、弁護士による無料の法律相談を行っています。

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一部の都道府県では、交差点事故を減らすため、車道に対して斜めに線がひかれた「鋭角横断歩道」を導入するなどの工夫が進められています。鋭角横断歩道は右左折時にドライバーが横断歩道を見渡す角度が小さくなり、歩行者を発見しやすくなるのです。

このような工夫もあり、交差点での事故発生件数は年々減少していますが、完全に事故がなくなることはいまだ実現していません。ドライバーそれぞれが交通安全の意識を持ち、交差点の事故を減らしていきましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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