道路交通法違反の一覧!人身事故の違反点数や反則金・罰則・免停を解説

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道路交通法違反

道路交通法は、自動車やバイク、自転車、歩行者など道路を利用するすべての人が、安全かつ円滑に通行するために定められた法律です。

この法律に違反する行為は「道路交通法違反」と呼ばれ、場合によっては事故の原因となり、免許の停止・取り消し、刑事処分などが科されることもあります。

特に、飲酒運転やスピード違反などは重大な事故を招く可能性が高く、違反点数や刑罰も重く設定されています。

本記事では、主な道路交通法違反とその違反点数・反則金・罰則にくわえ、違反によって発生する事故や処分の流れについても詳しく解説します。

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道路交通法違反とは?

まずは、道路交通法違反とはどのようなものか、目的や概要を解説するとともに、違反するとどのような事故のリスクがあるのか紹介します。

道路交通法の目的と概要

道路交通法は、道路上の危険を防止し、交通の安全と円滑な流れを確保するために制定された法律です。
自動車やバイク、自転車、歩行者などすべての道路利用者が対象となり、誰もがルールを守ることで交通事故のリスクを減らせます。

実際の法律には、以下のように目的が明記されています。

この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

道路交通法第1条

道路交通法違反には、一時停止無視やスピード違反、飲酒運転などのさまざまな行為が含まれます。
これらの違反行為は、内容によっては重大な交通事故を引き起こす原因となりかねません。

そのため、違反すると以下のような罰則を受けることがあります。

  • 違反点数の加算
  • 反則金の支払い
  • 刑事罰(罰金刑・拘禁刑など)

また、社会情勢や交通手段の変化にあわせて法律は随時改正されており、近年では電動キックボードやスマートフォンの使用に関するルールも整備が進められています。

関連記事

電動キックボード(LUUP等)で事故が起きたら|交通ルールや賠償・保険は?事故事例も紹介

道路交通法違反にはどんな種類がある?事故リスクも解説

道路交通法違反には多種多様な行為が含まれており、違反によってさまざまな事故リスクが発生します。

違反内容によっては、人身事故や死亡事故など重大な結果につながる可能性があるため、特に注意が必要な違反行為を把握しておくことが重要です。

以下は、代表的な違反とその事故リスクの一例です。

違反行為主なリスク
スピード違反衝突事故・死亡事故
飲酒運転判断力低下による重大事故
信号無視出会い頭衝突・歩行者事故
一時停止無視出会い頭事故
ながらスマホ追突事故・歩行者との接触事故

「軽い違反だから大丈夫」という油断は禁物です。
特に飲酒運転やスピード違反は、人身事故との因果関係が強く、慰謝料の増額や刑事処分の対象にもなりやすい点に注意しましょう。

道路交通法の違反点数のしくみと処分の流れ

違反点数とは、交通違反や交通事故ごとに定められている所定の点数のことです。過去3年間の累積した点数が一定基準に達すると、免許の停止や取消といった処分が行われます。

では、違反点数はどのような仕組みで決まり、それによる処分はどのような流れで下されるのか見ていきましょう。

違反点数は【基礎点数+付加点数】で決まる

違反点数は大まかにいうと、違反行為の種別に付する「基礎点数」に、交通事故を起こした場合に付する「付加点数」が加算されていく仕組みです。

違反点数の考え方 まとめ

  • 基礎点数:道路交通法違反の内容に応じて加点される
  • 付加点数:例えば人身事故を起こした場合には、発生原因や被害者のケガの程度に応じて加点される

基礎点数と付加点数は何点?ケース別に紹介

主な道路交通法違反ごとの違反点数のうち、基礎点数は以下の通りです。

違反内容違反点数
一時停止無視2点
スピード違反・50km以上:12点
・30km以上50km未満:6点
・25km以上30km未満:3点
・20km以上25km未満:2点
・20km未満:1点
飲酒運転・酒酔い運転:35点
・酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.25mg以上):25点
・酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.25mg未満):13点
ながらスマホ・交通の危険:6点
・保持:3点
信号無視・赤色等:2点
・点滅:2点
ひき逃げ・39点~57点
(安全運転義務違反:2点+付加点数:2点~20点+救護義務違反:35点)
当て逃げ・7点
(危険防止等措置義務違反:5点+安全運転義務違反:2点)
あおり運転・著しい交通の危険:35点
・交通の危険のおそれ:25点

参考:警視庁「交通違反の点数一覧表

人身事故を起こした場合に加算される付加点数は、次の通りです。

人身事故の規模ごとの付加点数

  • 死亡事故:20点
  • 後遺障害が残る傷害事故:13点
  • 傷害事故:3点~9点

被害者に過失があるケースや、加害者の不注意が大きくないケースでは付加点数が減少します。

交通事故の付加点数について詳しくは、警視庁「交通事故の付加点数」をご覧ください。

違反点数による免停・取消の基準と流れ

過去3年分の違反点数を累積した結果、以下の基準に該当した場合、運転免許の停止または取消処分となります。

違反回数停止処分取消処分
0回6点~14点15点以上
1回4点~9点10点以上
2回2点~4点5点以上
3回2点~3点4点以上
4回以上2点~3点4点以上

免許停止処分では、数日〜数ヶ月間の運転禁止が科されます。取消処分になると、免許そのものが失効し、処分期間が明けて免許を再取得するまで運転できません。

停止処分や取消処分の期間は、回数に応じてそれぞれ異なります。

たとえば、違反回数が0回の人がスピード違反で違反点数6点となった場合は、30日間の免許停止処分です。

また、違反回数が2回の状態で当て逃げをして違反点数が7点となった場合は、1年の免許取り消し処分です。

詳しくは警視庁「行政処分基準点数」をご覧ください。

【コラム】道路交通法違反の罰金と反則金の違い

道路交通法違反をすると、罰金や反則金といったお金を支払うことになる場合もあります。

罰金は刑事処分のひとつで、反則金は行政処分のことです。

内容
罰金刑事処分の一種。刑事裁判で決まる刑罰であり、前科となる。
反則金行政処分の一種。反則金の納付により刑事責任を免れる制度。

反則金の金額は一番安くて3,000円、一番高くて40,000円で、「反則行為の種類」と大型車・普通車・二輪車・小型特殊車・原付車別の「車両の種類」で決められています。詳しくは警視庁「反則行為の種別及び反則金一覧表」をご覧ください。

道路交通法違反といっても軽微なものから重大なものまであります。原則的な考え方をすれば、道路交通法違反は刑事処分の手続きにのせることになりますが、件数も多くすべてを対応しているとキリがありません。

そこで、軽微な違反を迅速に処理するために設けられたのが反則金という制度です。

なお、違反の内容によっては刑事処分として拘禁刑といった刑事罰が科せられる可能性もあるでしょう。

反則金を命じられても納付しない場合や、交通違反の処分に納得できない場合などは、刑事手続きへと移行してしまうので注意してください。

道路交通法違反ごとの違反点数・反則金・罰則

いくつもある道路交通法違反のなかから抜粋して、主な違反行為を行った場合の「違反点数・反則金・科される可能性のある罰則」を解説します。

ひとつずつ、どのような違反行為なのかみていきましょう。

一時停止無視

一時停止無視のペナルティ

  • 違反点数:2点
  • 反則金
    普通車の場合は7,000円
    二輪車の場合は6,000円
  • 刑事罰:3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金

一時停止無視とは、信号がない交差点などで一時停止の標識があるにもかかわらず一時停止しない違反のことです。

一時停止無視の違反は、自動車だけでなく、自転車や原付バイクなども対象です。もっとも、自転車に限っては違反による反則金は設定されていません

一時停止無視による事故について詳しくは、関連記事『一時停止無視による事故の過失割合!停止線のみ・標識なしの場合も解説』をご覧ください。一時停止無視の基本的な意味や事故の過失割合について解説しています。

スピード違反

スピード違反のペナルティ

  • 違反点数:1点~12点
  • 反則金
    普通車は9,000円~35,000円
    二輪車は7,000円~30,000円
  • 刑事罰:6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
    (一般道路で30km以上・高速道路で40km以上超過の場合)

スピード違反とは、道路交通法などで定められている最高速度を超えたスピードで走行する違反のことです。正式には「速度超過違反」と呼ばれます。

反則金の金額は、超過した速度に応じて異なります。

関連記事『スピード違反による事故の過失割合|故意の有無や死亡事故かどうかは関係ある?』では、スピード違反による事故の過失割合について解説しています。過失割合は最終的に受け取れる賠償金の金額に影響を与えるので、気になる方はあわせてご確認ください。

飲酒運転

飲酒運転のペナルティ

  • 違反点数:13点~35点
  • 反則金:なし
  • 刑事罰
    酒気帯び運転は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
    酒酔い運転は、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

飲酒運転とは、読んで字のごとくお酒を飲んで車を運転する違反行為です。飲酒運転は、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の二つにわけられます。

  • 酒気帯び運転:血中や呼気中に一定以上のアルコールが検出される場合
  • 酒酔い運転:アルコール濃度に限らず、アルコールの影響で正常な運転ができない恐れがある場合

なお、飲酒運転に反則金の適用はありません。

飲酒運転について、さらに深掘り解説したこちらの関連記事『飲酒運転の法律知識|同乗者・自転車・二日酔いでも罰則の対象になる』もおすすめです。

ながらスマホ

ながらスマホのペナルティ

  • 違反点数:3点または6点
  • 反則金:なし
  • 刑事罰
    ながらスマホをした場合は、6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
    ながらスマホで事故を起こした場合は、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

ながらスマホとは、走行中にスマホやカーナビなどを操作したり注視して運転する違反行為です。

ながらスマホで事故を起こした場合、反則金の適用はありません。

ながらスマホについて詳しくは、関連記事『ながらスマホによる事故|罰則があるのはどんな行為?』をご確認ください。

信号無視

信号無視のペナルティ

  • 違反点数:2点
  • 反則金
    普通車は9,000円(点滅信号無視は7,000円)
    二輪車は7,000円(点滅信号無視は6,000円)
  • 刑事罰
    過失の場合は、2万円以下の罰金
    故意の場合は、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金

信号無視とは、信号機が表示する信号や警察官などの手信号に従わない違反行為です。自動車やバイクなどに限らず、自転車や歩行者も指示に従わなければなりません。

反則金の金額は、信号機の色や点滅に応じて異なります。

関連記事『信号無視による事故の過失割合は?10対0にならない場合の理由もわかる』では、信号無視による事故パターン別の過失割合について解説しています。

ひき逃げ

ひき逃げのペナルティ

  • 違反点数:39~57点
  • 反則金:なし
  • 刑事罰
    救護義務違反の場合は、10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
    報告義務違反の場合は、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金

ひき逃げとは、人が死傷するような事故があったにも関わらず必要な措置を講じずに現場から立ち去る行為のことです。

ひき逃げと当て逃げは、被害を受けたのが人か物かの違いですが、いずれも事故後に必要な措置を行わなかった点が共通します。

なお、ひき逃げに反則金の適用はありません。

関連記事

ひき逃げされた時の対処法|加害者不明時の保険・救護義務違反の過失割合

当て逃げ

当て逃げのペナルティ

  • 違反点数:7点
  • 反則金:なし
  • 刑事罰
    危険防止措置義務違反の場合は、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
    報告義務違反の場合は、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金

当て逃げは、人の死傷はなく車や物などとの事故があったにも関わらず必要な措置を講じずに現場から立ち去る行為になります。

通常、物損事故には違反点数が付きませんが、逃げてしまったことにより、危険防止措置義務違反と安全運転義務違反に該当する可能性があります。それぞれの違反点数は5点と2点で、両方とも該当すると認められれば7点の違反点数になります。

なお、当て逃げに反則金の適用はありません。

関連記事

当て逃げされた場合の対処法|慰謝料請求や示談の方法についても解説

あおり運転

あおり運転のペナルティ

  • 違反点数:25点または35点
  • 反則金:なし
  • 刑事罰:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
    (妨害運転によって著しい交通の危険を生じさせると「5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」)

あおり運転とは、前方車両や周囲の車両に対して威嚇・挑発する危険な運転のことです。正式には「妨害運転」と呼ばれます。

道路交通法では、無意味に対向車線にはみ出す・むやみに急ブレーキをふむ・車間距離を極端につめるなどの10項目が違反行為として取り締まりの対象となっています。

あおり運転に反則金の適用はありません。

関連記事『あおり運転をされたらすべき対応』では、あおり運転された時にどう対処すればいいのか、あおり運転の被害にあわないための対策などについて解説しています。

道路交通法違反で事故が起きたら民事・刑事責任も発生

道路交通法違反をはじめ、交通事故が発生したら、加害者は民事責任や刑事責任も負う場合があります。これらについて、見ていきましょう。

被害者は加害者に賠償請求ができる【民事責任】

交通事故の加害者には、被害者に生じた損害を補償する民事責任があります。

そのため、交通事故の被害者は、加害者に対して治療費・休業損害・入通院慰謝料などを請求できます。

さらに、怪我が完治しなかった場合は後遺障害等級の認定を受けることで、逸失利益・後遺障害慰謝料を追加で請求可能です。

交通事故における損害賠償金の内訳

なお、加害者に明確な過失があり、飲酒運転や著しいスピード違反、ひき逃げなどの重大な違反行為が認められる場合、慰謝料の金額が増える傾向があります。
人身事故であれば、後遺障害等級の認定によって、賠償額が大きく変わる点にも注意が必要です。

このほかにも、人それぞれ事故で被る損害は異なりますので、請求に漏れがないようしっかりと把握しておく必要があるでしょう。どのような損害を請求できるのか示談金の内訳について知りたい方は『交通事故の示談金|内訳・金額から示談交渉まですべて解説』の記事も参考にご覧ください。

注意

損害賠償金額は、基本的には加害者側との示談交渉で決められます。

この際、加害者側は低めの金額を提示してくることが多いため、提示額をうのみにせず、適正額を確認のうえ増額交渉することが重要です。

加害者には刑事責任として罰金や拘禁刑が科されることも

道路交通法違反で交通事故が起こった場合、加害者には刑事処分が下されることがあります。

加害者が起訴され、略式裁判や刑事裁判で有罪になると、罰金や拘禁刑などの刑事処分が下されるのです。

刑事裁判には、被害者も「被害者参加制度」を通じで参加できることがあります。詳しくは関連記事『【被害者向け】交通事故加害者の起訴の基準は?刑事裁判や注意すべき点も解説』をご覧ください。

道路交通法違反による事故にあったら、弁護士に相談

道路交通法違反による事故で怪我を負うなどの被害を受けたら、弁護士に相談しましょう。

相手方が任意保険に加入している場合、示談交渉の相手は保険会社の担当者になるのですが、被害者だけで対応していると適切な金額の示談金を提示してきません。

適切な金額の示談金を受け取るためには、弁護士にご相談ください。アトム法律事務所では、弁護士による無料の法律相談を行っています。

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なお、交通ルールのなかには意外と知られていないものもありますが、「知りませんでした」という言い訳は通用しません。

関連記事『【必見】意外と知らない交通ルール!「違反だと知らなかった」は通用しない』では、「歩行者妨害違反」「追い付かれた車両の義務違反」「交差点優先車妨害」といった交通ルール違反の内容や罰則を紹介しているので、参考にしてみてください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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