脊髄損傷の交通事故裁判は弁護士に依頼!裁判の流れや損害賠償を解説
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脊髄損傷の交通事故で弁護士に依頼するメリットは、主に「適正な賠償金の獲得が期待できる」、「裁判の手続きがスムーズに進む」、「精神的な負担が軽減される」といったものです。
弁護士は、法律に精通しているので、裁判において適正な賠償金額の請求が認められるよう活動してくれるでしょう。
もし、示談交渉で脊髄損傷の損害賠償問題が解決しなかった場合は、裁判について弁護士にご相談ください。
裁判は、複雑で難しい手続きですし、慣れていないと精神的な負担も大きいです。交通事故によって脊髄損傷を負った場合は、早めに弁護士にご相談ください。
目次

脊髄損傷の交通事故裁判の流れ
交通事故における裁判は、交通事故により損害を負った人が、加害者側に対して損害賠償を求める裁判です。
通常、交通事故の裁判は、示談交渉や調停等で折り合いがつかなかった場合に発展することになるでしょう。
脊髄損傷は交通事故の損害賠償金が高額になりやすいため、加害者側の任意保険会社と争いになる可能性があります。
脊髄損傷の交通事故裁判の流れ
脊髄損傷の交通事故裁判の大まかな流れは、次のとおりです。
- 加害者側の任意保険会社と示談・調停などを行う
- 示談や調停等で解決に至らなかった場合、裁判を起こす
- 裁判で損害賠償の費目や具体的な金額などを争う
- 裁判で被告(加害者側)が支払い損害賠償金額が決まる
交通事故裁判の流れをより詳しく見ていきましょう。

交通事故の裁判は訴状の提出から始まります。訴状が受理されると、裁判所から最初の裁判日(第1回口頭弁論期日)が通達されるのです。
口頭弁論の期日において食い違いのある部分(争点)を整理し、自身の主張を立証するための証拠を提出しあいます。
裁判所から和解を進められた際には、その内容についても双方で話しあい、和解を受け入れることに合意した場合には和解成立として裁判は終了です。
双方の合意に至らず和解が不成立の場合には、裁判所から「判決」が言い渡され、損害賠償額が決定します。
判決に不服があれば控訴期限内に控訴を申し立てることで、裁判をやり直すことも可能です。
脊髄損傷という重大なケガでは、損害賠償請求額が高額化しやすく、逸失利益や介護費用、事故態様によっては過失割合などのさまざまな争点が考えられます。
交通事故の裁判の流れについてより詳しく知りたい方は『交通事故裁判の起こし方や流れ|費用・期間や裁判になるケースは?出廷は必要?』の記事をご覧ください。
脊髄損傷の交通事故裁判で請求できる損害賠償
脊髄損傷の交通事故裁判で請求できる主な損害賠償は次のとおりです。
弁護士に依頼することで、損害賠償額を最大限に請求することができます。
- 治療関係費
治療のために必要であった投薬代、手術費用、入院費用、交通費など - 介護費用
介護のために家族が付き添った費用(日額で算出)、自宅の改装費、車いすなどの器具の購入代など(将来必要となる費用も含む) - 休業損害
治療のために仕事を休んだことで生じる減収 - 入通院慰謝料
ケガを治療するために入通院を行ったことで生じる精神的苦痛に対する慰謝料 - 逸失利益※
後遺障害が残ったことで生じる将来の減収に対する補償 - 後遺障害慰謝料※
後遺障害が残ったという精神的苦痛に対する慰謝料
※後遺障害等級の認定で請求可能となる
脊髄損傷は、重篤な後遺症を残す可能性があるため、損害賠償額は高額になることがあります。特に、後遺障害等級認定は損害賠償額を左右する重要な要素です。
また、脊髄損傷によって介護が必要な後遺障害が残った場合には、将来分の含めた介護費用の具体的な金額が問題となることが多いでしょう。
関連記事では、脊髄損傷の後遺症によってどんな後遺障害等級認定を受ける可能性があるのかを解説しています。後遺障害等級認定の申請手続き前に役立つ記事です。
脊髄損傷の交通事故裁判の判例
自賠責で非該当の脊髄損傷が認められた判例
この事故は前方停止車両に追突して停止していた自動車が、後部から普通自動車に追突され、再び前方停止車両に追突してしまったという事故です。原告(被害者)には左上肢の痛み、手指の巧緻運動障害、下肢の痛み、歩行障害などが残っていましたが、後遺障害としては非器質性精神障害14級9号しか認定されていませんでした。
原告は非器質性精神障害14級9号の認定に加え、脊髄損傷で3級3号、外貌醜状12級15号の認定によって、併合2級であると裁判で主張したのです。
これに対して被告側は、非器質性精神障害14級を踏まえても、その他の症状すべてが事故と因果関係があるとは言えないと主張しました。
裁判所は、検査結果の結果や症状の経緯から脊髄障害を認定したうえで、歩行に一定の障害があることや一定の就労が難しいことを認め、脊髄損傷と外傷後ストレス障害を認めて併合7級と認定したのです。(大阪地判平26.9.12)
まとめ
後遺障害14級認定から併合7級認定となり、原告の主張通りまではいかずとも、一定の主張が認められた判例です。もっとも、裁判したからといって必ず原告の希望が通るという保証はありません。
脊髄損傷により将来生じる介護に関する費用が認められた判例
交差点をバイクで直進していたところ、矢印信号を無視して右折を開始した自動車と衝突し、被害者が路上に転倒して負傷したという事故です。
被害者は、事故により脊髄損傷や右舟状骨骨折などのケガを負い、両下肢は動かせず、上肢は肘や手首をかろうじて動かせる程度となってしまい、常時介護が必要である後遺障害1級1号の認定を受けました。
また、裁判所は、介護のために今後生じる必要として、以下のようなものを損害として認めました。
- 被害者の将来介護費(日額8000円として計算)
- 車椅子代(将来の買換え費用を含む)
- 介護ベッド購入費
- 介護のために必要となるリフトの設置費用
- 介護のための車両購入費
- 家屋改造費
(大阪地裁平26.12.8)
脊髄損傷は否定されて神経症状認定となった判例
信号待ちで停止していたところに追突され、バイクに乗っていた原告(被害者)は転倒して負傷してしまいました。原告は、中心性頸髄損傷による両手指の筋力低下、歩行障害、姿勢障害、両下肢のしびれなどを訴え、脊髄障害として7級4号および脊柱変形障害11級7号の併合6級を主張したのです。
自賠責は、中心性頚髄損傷を客観的に裏付ける所見がないとして脊髄損傷を否定し、神経症状12級13号を認定しました。
裁判所は、自賠責の判断を踏まえて中心性頚髄損傷に相当する他覚的所見がないと判断したのです。
その一方で、事故態様から相当の外力が加わったといえること、神経症状を説明する他覚的所見があること、頸椎に椎弓形成術がおこなわれたことなどを考慮して、併合11級程度と認定しました。(大阪地判平26.10.31)
まとめ
脊髄損傷の存在を示すためには、検査結果が極めて大切といえます。後遺障害等級認定においても裁判においても、客観的に認められるかどうかが重要です。
脊髄損傷の交通事故裁判で弁護士に依頼するメリット
脊髄損傷の交通事故裁判で弁護士に依頼するメリットは、次のとおりです。
- 適正な賠償金の獲得が期待できる
- 裁判の手続きがスムーズに進む
- 精神的な負担が軽減される
それぞれについて、簡単にみていきます。
適正な賠償金の獲得が期待できる
弁護士に依頼することで、適正な賠償金額を獲得できる可能性が高まります。
弁護士は、専門知識を活かして適正な賠償金額を計算し、裁判において適切な証拠を示しつつ、適正額の支払いを主張してくれるでしょう。
弁護士による適切な主張であるため、裁判において相場額の賠償金の支払いが認められる可能性も高まるといえます。
また、裁判に移行せずとも、弁護士が加害者側の任意保険会社と示談交渉すれば、裁判において認められる賠償金に示談交渉の段階で限りなく近づけられる可能性が高まるため、裁判を行うことで生じる被害者の負担を減らすことができるのです。
裁判の手続きがスムーズに進む
弁護士に依頼することで、裁判の手続きをスムーズに進めることが可能となります。
弁護士は、裁判における手続きや争点を理解したうえで、適切な主張を行ってくれるため、裁判手続きをスムーズに進めることができるでしょう。
そのため、裁判にかかる時間を短くすることが可能となるのです。
精神的な負担が軽減される
弁護士に依頼することで、被害者自身の精神的な負担を軽減することができます。
交通事故裁判は、複雑で難しい手続きです。
また、普段は行わない手続きが必要となるため、精神的な負担も大きいでしょう。
弁護士に依頼すると、弁護士が裁判のために必要な手続きを行ってくれるため、これらの負担を軽減することができます。
脊髄損傷の交通事故裁判で弁護士に依頼する方法
脊髄損傷の交通事故裁判で弁護士に依頼する方法について、簡単にみていきます。
弁護士を探す方法
弁護士を探す方法は、主に次のとおりです。
- インターネットで検索する
- 市役所や区役所での法律相談会や、弁護士会から紹介を受ける
- 知人や家族から紹介を受ける
裁判となると、弁護士とは長期的なお付き合いになるため、信頼できる弁護士への依頼を行うことが重要になります。
また、裁判で主張が認められやすくなるよう、交通事故の案件について経験豊富な弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士を探すうえでのコツやポイントは関連記事も参考にしてください。
弁護士に相談する方法
弁護士に相談する方法は、主に次のとおりです。
- 電話で相談する
- メールやメッセージアプリで相談する
- 事務所に訪問して対面で相談する
- Web会議ツールでオンライン相談する
弁護士によって相談できる方法は異なります。
治療や仕事で直接弁護士に遭うことが難しい場合には、電話やメールだけで相談や依頼が可能な弁護士に相談すると良いでしょう。
弁護士に依頼する費用
弁護士に依頼する費用は、弁護士の報酬体系によって異なります。
報酬体系は大きく、「着手・成功報酬型」と「タイムチャージ型」の2つです。
着手・成功報酬型 | 着手金、成功報酬、その他(実費等)を合計したもの |
タイムチャージ型 | 弁護士に依頼した時間に応じて、一定の金額を支払う |
裁判となると、弁護士に支払う金額は大きくなりがちです。
弁護士に依頼する前には、弁護士に費用について必ず確認しておくようにしましょう。
交通事故の裁判自体の費用や弁護士に依頼する際の費用に関しては『交通事故の裁判費用相場と内訳は?裁判費用や弁護士費用は誰が払う?』の記事でより詳しく知ることが可能です。
そもそも脊髄損傷って何?
脊髄損傷とは、脊髄が損傷することにより、運動・感覚・排泄機能等に障害が出ることをいいます。
Q.脊髄損傷の原因は?
交通事故における脊髄損傷は、自転車やバイクの運転者が転倒したことで生じることが多いでしょう。
また、自動車の運転者であっても、高速で運転中に衝突した場合や、事故により車が横転した場合には脊髄損傷を生じる可能性があります。
その他に、高所からの転落、転倒、スポーツ中のケガなどさまざまな原因が考えられます。
Q.脊髄損傷の概要と症状は?
脊髄は、背骨の中にある神経の束です。脳から体全体に命令を送り、体からの情報を脳に送る役割をしています。脊髄損傷は、脊髄が傷つくことによって、これらの機能に障害が生じます。
脊髄損傷の症状は、損傷の場所や程度によって様々です。軽度の場合、感覚障害や筋力低下などの症状が出ることがあります。
重度の場合、損傷部分の麻痺や運動機能の喪失など症状により介護が必要となってしまう恐れがあるのです。
関連記事は、脊髄損傷のうちの中心性脊髄損傷について詳しく解説した記事です。また、麻痺の程度と後遺障害等級認定に関連した解説記事も紹介しますので、参考にしてみてください。
交通事故で脊髄損傷を負ったら弁護士に相談しよう
脊髄損傷により介護が必要なケガを負ってしまう恐れがあるため、被害者やそのご家族に大きな負担が生じる可能性があります。
このような場合には、今後の生活のためにも、弁護士を入れて正当な賠償獲得を目指す必要があるでしょう。
無料の法律相談予約を年中無休で受付中
アトム法律事務所では、脊髄損傷を負ってしまった方やそのご家族からの無料法律相談を受け付けています。
無料の法律相談は電話やLINEでご利用可能です。ご自宅や病院、あるいは職場などから法律相談を始められます。
まずは無料相談のご予約をお取りください。予約窓口は年中無休でつながります。

アトム法律事務所は重傷事案の裁判にも対応可能
アトム法律事務所では、相手方との示談交渉から、最終的に裁判となるような場合にも対応可能です。
アトム法律事務所の特徴3選
- 全国の交通事故に対応
- 後遺障害認定手続きのサポート実績多数
- 増額ノウハウを熟知した弁護士が在籍
アトム法律事務所は全国主要都市に支部をかまえ、全国の交通事故に対応しています。相手の保険会社との交渉は電話やメールががメインなので、たとえ事故場所から離れていても弁護活動に障りはありません。
また、後遺障害認定手続きの流れやポイントを押さえた活動が可能です。後遺障害認定の難しさを知っているからこそ、どういった検査が後遺障害認定に有利に働くのか、申請書類も慎重に検討します。
後遺障害等級認定の結果を受けて、不当な金額とならないように粘り強く交渉します。
アトム法律事務所の弁護士費用
アトム法律事務所の弁護士費用はホームページ内の『交通事故の弁護士費用|相談無料・着手金無料』でも確認いただけますが、無料の法律相談を通してお問い合わせいただくことも可能です。
ご依頼者様にとって弁護士費用が気になって当然と承知しておりますので、気兼ねなくご質問ください。
アトム法律事務所の弁護士費用の特徴を抜粋します。
- 相談料無料
- 着手金無料(一部例外もあり)
- 弁護士費用は後払い制(依頼時の自己負担は原則0円)
具体的な弁護士費用については、相手方への損害賠償請求額しだいです。
もし弁護士費用特約が使える場合はご活用をおすすめします。弁護士費用特約があれば、自己負担なく弁護士を立てられる可能性もあるでしょう。
ご自身で使える弁護士費用特約の有無を確かめて頂くとスムーズです。





高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了