中心性脊髄損傷のしびれや麻痺は後遺症?後遺障害等級は何級認定?

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中心性脊髄損傷

中心性脊髄損傷は、交通事故で強い衝撃を受けることで後ろに反りかえり、脊髄の中心部が挟み込まれる形で圧迫されたり、損傷したりすることで起こる、部分的な脊髄損傷です。

とくに、追突事故の際に首が通常ではない形に伸びてしまい、中心性頸髄損傷となってしまうことが多いといわれます。

中心性脊髄損傷はとくに上肢に後遺症が残ることも多いので、後遺症が残った場合にどのような損害について請求が可能となるのか、相場の損害賠償金を得るためにはどうすればよいのかを知っておくべきでしょう。

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中心性脊髄損傷の症状と治療

中心性脊髄損傷の症状や治療方法について解説していきます。
とくに、中心性脊髄損傷ならではの特徴もあるので知っておきましょう。

中心性脊髄損傷の症状

脊髄の中心部には灰白質という部分があり、上肢の神経にかかわっています。中心性脊髄損傷は灰白質まで損傷がおよぶことで、上肢の症状がより重く、長引きやすいという特徴があげられるのです。

脊髄の輪切り

主な症状は上肢のしびれ、運動麻痺、痛み、筋肉の萎縮、膀胱障害などがあげられます。

とくに指先を使った動作に支障が出るため、箸をつかって食事がとれない、シャツのボタンが留められないといった不便が生じるのです。

中心性脊髄損傷の診断のためには、MRI検査により脊髄の状態を確かめることが欠かせません。

交通事故によりしびれや痛みを感じる場合には、なるべく早期にMRI検査を受けましょう。

中心性脊髄損傷の治療とリハビリ

中心性脊髄損傷の治療は、主に手術療法、保存療法、薬剤投与の3タイプと考えられています。

症状が軽い場合は、薬剤投与やけん引・装具を使っての保存療法などによることが多いでしょう。

また、症状に合わせたリハビリテーションも有効です。筋肉がこわばってしまい自分で動かすことが難しくなるため、関節の可動域を拡げる訓練や、筋力のコントロール訓練などがおこなわれます。

治療やリハビリは被害者一人ひとりの状態にあわせて進められるため、医師や医療スタッフの指示にしたがいましょう。

症状が重い場合には手術が必要となり、手術後は機能回復のためのリハビリテーションを行うこととなります。

中心性脊髄損傷の後遺症と後遺障害等級認定

中心性脊髄損傷で懸念される後遺症と、認定の可能性がある後遺障害等級について解説します。

後遺症が残ったのなら後遺障害等級認定を受けよう

中心性脊髄損傷の後遺症としては、体の痛みや麻痺による神経系統の障害や、その程度がひどく麻痺が残るというものがあります。

こうした後遺症の症状が「後遺障害」であると認定を受けると、認定の際に定められる等級の程度に応じて、被害者が請求できる損害賠償金が増額するのです。

後遺障害等級の認定を受けるためには、後遺障害等級認定の申請を行うことが必要になります。

後遺障害等級認定の申請手続き

後遺障害認定を受けるための申請手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 医師に後遺障害診断書を作成してもらう
  2. その他に必要となる資料を収集する
  3. 必要書類を調査機関である損害保険料率算出機構へ提出する
  4. 損害保険料算出機構から調査結果が通知される

後遺診断書以外の必要書類の収集や、調査機関への提出方法には、以下の2種類が存在します。

後遺障害認定の申請手続きの方法

(1)事前認定

後遺障害診断書以外の必要書類の収集や、損害保険料率算出機構への書類提出を、加害者側の任意保険会社に行ってもらうという方法。

被害者の負担が少ないというメリットがあるが、適切な書類を収集できているのかを確認することができないというデメリットがある。

関連記事:『後遺障害の事前認定とは?

(2)被害者請求

後遺障害診断書以外の必要書類の収集や、損害保険料率算出機構へ書類提出を、被害者自身で行うという方法。

被害者の負担が大きいというデメリットがあるが、適切な書類を揃えられているのかを確認しつつ申請を行うことができるというメリットがある。

関連記事:『自賠責保険への被害者請求とは?やり方やデメリット、すべきケースを解説

中心性脊髄損傷により生じる後遺症の症状は、体のしびれや麻痺といった症状の程度が客観的に明らかといえないケースがあります。

そのため、症状の程度を正確に伝えられる資料の収集を行った方がよいので、被害者請求による申請をがおすすめです。

必要書類の収集の手間については、専門家である弁護士への相談・依頼により、軽減することができます。

中心性脊髄損傷による神経系統の後遺障害等級

中心性脊髄損傷で神経系統の障害が残った場合は、後遺障害5級2号、7級4号、9級10号、12級13号、14級9号の認定を受けられる可能性があります。

等級認定基準
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号神経系統の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することが出来る労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

5級2号の認定基準について

「特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」とは、軽度の対麻痺が認められるもの、または、一下肢の高度の単麻痺がみとめられるものをいいます。

7級4号の認定基準について

「軽易な労務以外の労務に服することができないもの」とは、一下肢の中程度の単麻痺に該当する場合をいいます。

中程度の単麻痺により、杖または硬性装具なしに階段を上ることができず、感覚障害が認められるようなケースで該当するでしょう。

9級10号の認定基準について

「服することが出来る労務が相当な程度に制限されるもの」とは、一下肢の軽度の単麻痺が認められる場合をいいます。

軽度の単麻痺により、日常生活で歩行する速度が遅くなり、不安定で転倒しやすく、感覚障害が認められるようなケースで該当するでしょう。

12級13号の認定基準について

「局部に頑固な神経症状を残すもの」とは、痛みやしびれが残っていることについて、医学的な証明を行える場合をいいます。

痛みやしびれが残っていることが、MRIの画像所見から判断できるケースで該当するでしょう。

14級9号の認定基準について

「局部に神経症状を残すもの」とは、痛みやしびれが残っていることについて、医学的に説明できる場合をいいます。

痛みやしびれが残っていることが画像所見からは判断できないものの、深部腱反射の異常や筋力の低下などが存在することから、痛みやしびれの存在を明らかにできるケースで該当するでしょう。

中心性脊髄損傷による麻痺の後遺障害等級

麻痺の後遺障害等級では、麻痺の程度、麻痺の区分、介護の有無などで変わってきます。麻痺には麻痺の範囲によって、四肢麻痺、対麻痺、片麻痺、単麻痺にわけることが可能です。

麻痺の種類

以下は麻痺の程度、範囲、介護の有無による後遺障害等級の一覧です。

等級程度麻痺介護
1級高度四肢麻痺
1級高度対麻痺
1級中等度四肢麻痺常時
1級中等度対麻痺常時
2級中等度四肢麻痺
2級軽度四肢麻痺随時
2級中等度対麻痺随時
3級軽度四肢麻痺
3級中等度対麻痺
5級軽度対麻痺
5級高度一下肢の単麻痺
7級中等度一下肢の単麻痺
9級軽度一下肢の単麻痺

※介護:食事・入浴・用便・更衣等

中心性脊髄損傷は脊髄の部分的な損傷ですが、麻痺の後遺症が残ってしまうことも考えられます。症状に合わせた適切な等級認定を受けることが大切です。

中心性脊髄損傷の賠償請求内容と慰謝料相場

賠償内容には個人差がありますが、おおよそ交通事故の被害者が賠償請求するべき内容をまとめています。

中心脊髄損傷での賠償請求内容

中心性脊髄損傷の賠償金には、主に、治療費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益といった内容にわかれます。

このうち、後遺障害慰謝料と逸失利益は後遺障害等級認定を受けた場合にのみ請求可能です。

将来の介護費用が請求できる可能性もある

また、重い麻痺により介護が必要となったのであれば、将来生じる介護費用の請求が可能となる場合があります。

将来介護費用として、主に以下のようなものが請求できるでしょう。

  • 介護サービスの利用費用
  • おむつなどの消耗品
  • 車いすや介護ベッドなどの購入費用
  • 介護のために必要な居宅のリフォーム代

介護が必要となった場合に知っておくべき点について詳しく知りたい方は『交通事故で介護費用が請求できる2ケース|計算方法と裁判例から金額もわかる』の記事をご覧ください。

中心性脊髄損傷による後遺障害慰謝料の相場

中心性脊髄損傷により後遺障害等級認定を受けた場合の後遺障害慰謝料相場は下表の通りです。

等級 慰謝料相場額
1級・要介護2,800万円
2級・要介護2,370万円
1級2,800万円
2級2,370万円
3級1,990万円
4級1,670万円
5級1,400万円
6級1,180万円
7級1,000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

表に記載した「慰謝料相場額」は、裁判所が認めている法的に適正な金額といえます。

ただし、相手の任意保険会社が提案してくる金額は、相場の金額より低額であることが多いでしょう。

そのためすぐに示談書にサインをするのではなく、いったん弁護士に増額の見込みを聞いてみてください。弁護士に相談して、適切な賠償金を請求することが重要です。

慰謝料や逸失利益の相場額については、以下の計算機を利用することでも確認できます。
ただし、交通事故により生じている個別の事情を踏まえることができない点について、気を付けてください。

相場の損害賠償金を得るなら弁護士に相談を

弁護士に相談・依頼するメリット

中心性脊髄損傷となり後遺障害が生じた場合に弁護士へ相談・依頼すると、以下のようなメリットを得られます。

  • 適切な後遺障害等級認定を受けられるようサポートしてもらえる
  • 後遺障害認定や示談交渉の手続きを任せることができる
  • 加害者側との連絡を弁護士が行ってくれる
  • 示談交渉で相場の金額で示談できる可能性が高まる

専門知識を有している弁護士が後遺障害等級認定の手続きを行ってくれるため、適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高まります。

後遺障害等級認定を受けることで、請求できる損害賠償金額は高額になる可能性があるので、専門家である弁護士に手続きを任せる必要性が高いといえるでしょう。

また、加害者側は少しでも請求金額を下げようと示談交渉を行ってくるので、相場の金額まで増額するように交渉を行う必要が生じます。

しかし、加害者が任意保険会社に加入している場合には、交渉の相手が交渉経験の豊富な任意保険会社の担当者となるため、法律知識が不十分なまま増額交渉を行っても、うまくいかないことが多いのです。

弁護士に相談・依頼を行えば、法律の専門家である弁護士が増額交渉を行ってくれます。
専門家からの根拠のある主張であり、増額に応じないと裁判となる可能性があることから、増額交渉が成功しやすくなるでしょう。

弁護士に依頼するメリットについてより詳しく知りたい方は『交通事故を弁護士に依頼するメリット10選と必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。

弁護士に支払う費用を安くする方法

このようなメリットがあるとしても、弁護士に相談や依頼することで生じる費用が気になってしまい、相談や依頼について躊躇する方もいるでしょう。

弁護士に支払う費用については、弁護士費用特約を利用することで安くすることが可能です。

弁護士費用特約とは、弁護士に支払う必要がある相談料や費用について、保険会社が代わりに負担してくれる特約です。

多くの場合、弁護士に支払う相談料や費用は、特約の上限として設定されている金額内に収まるため、弁護士費用特約を利用することで、金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となります。

また、弁護士費用特約が利用できない場合でも、後遺障害が生じるようなケガを負った場合には、弁護士に相談・依頼を行った方が最終的に手元に残るお金が増えることが多いです。

なぜなら、請求できる相場の金額が高額であると、加害者側が支払うと提示してくる金額と相場の金額との差がひらきやすくなります。
そのため、弁護士に相談・依頼することで生じる増加額が高額になり、弁護士に支払う相談料や費用より増加額が上回ることが多いのです。

まずは無料の法律相談を受けるのがおすすめ

弁護士に相談するのであれば、まずは無料の法律相談を受けてみましょう。
相談料が無料であるため、弁護士費用特約が利用できない方であっても、費用面について気にせず相談を受けることが可能です。

アトム法律事務所では、交通事故被害者の方を対象として、無料の法律相談を行っています。

交通事故案件に力を入れているため、経験豊富な弁護士に相談することが可能です。

また、依頼ということになっても、依頼の際に生じる着手金は原則として無料のため、弁護士費用特約が利用できず、手元のお金に不安がある方でも依頼することができます。

無料法律相談の受付は24時間対応で行っているので、いつでも気軽にご連絡ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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