脛骨高原骨折や大腿骨骨折で後遺症は残る?後遺障害等級認定と慰謝料相場

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脛骨高原骨折や大腿骨骨折の後遺症

脛骨高原骨折や大腿骨骨折など、足の骨を骨折した場合には治療期間が長引く傾向にあります。また、生活や仕事への影響も大きいものでしょう。

いったいどんな後遺症が残ってしまうのか、後遺障害認定は受けられるのか、慰謝料の相場はどれくらいかと色んな不安や疑問があって当然です。

この記事は脛骨高原骨折と大腿骨骨折の後遺症や後遺障害等級、慰謝料の相場などを解説します。

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脛骨高原骨折の症状と治療|後遺症は残る?

脛骨高原骨折(脛骨近位端骨折)は、脛骨プラトー骨折とも呼ばれるもので、膝関節に強い衝撃が加わったとき、または転倒して膝を強く打ったときに起こることがあります。

交通事故では、歩行中に車と膝がぶつかったりと膝に対して強い外力が加わる時に折れてしまうのです。

脛骨高原という部位は、膝関節の中心部である膝蓋骨(ひざがね)を支える骨の部分で、膝関節の動きや衝撃を吸収する役割をもちます。脛骨高原骨折の症状と治療、後遺症についてみていきましょう。

脛骨高原骨折の症状

脛骨高原骨折では、膝の関節が痛む、腫れる、皮下出血がみられるでしょう。また、立ち上がることが出来なかったり、膝を動かせなくなったりします。

脛骨高原骨折の治療方法

脛骨高原骨折の治療方法は、骨折の程度によって様々です。

骨折の程度によっては手術をせずに固定して安静にする選択肢もありますが、脛骨高原骨折では手術になることもあります。

たとえば外科手術でプレートを入れて骨折箇所を固定するなどの処置が必要になることもあるでしょう。あるいはそこまで大掛かりな切開を伴わず、スクリュー固定のみで済むこともあります。

膝を曲げる練習から始め、慎重にリハビリを進めていくことになるでしょう。

脛骨高原骨折の後遺症

脛骨高原骨折は膝の脱臼や靭帯や半月板の損傷を伴うことも多いので、膝関節の痛みや腫れ、動きの悪さ、変形、動揺関節(不安定性)などの様々な後遺症が残ることも多い骨折です。

後遺症が残ると日常生活に大きく影響するため、 早期に治療を開始することが重要といえます。

脛骨高原骨折で認定される後遺障害等級

脛骨高原骨折では、膝関節の可動域制限、膝への人工関節挿入、痛みやしびれなどの神経症状について、後遺障害認定を受けられる可能性があります。

後遺障害認定の申請手続きそのものを詳しく知りたい方は、関連記事『交通事故で後遺障害を申請する|認定までの手続きの流れ、必要書類を解説』も参考にしてください。

膝関節の可動域制限

脛骨高原骨折による膝関節の可動域制限は、後遺障害10級11号または12級7号の認定を受ける場合があります。後遺障害等級の差は、関節が動かしづらくなった程度次第です。

等級認定基準
10級11号1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級7号1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

骨折をしてしまった側が、骨折をしていない側と比べて半分以下しか動かせない場合には10級11号認定が見込まれます。そして、動かせる範囲が4分の3程度になっている場合には12級7号の認定となるでしょう。

膝への人工関節挿入

骨折の程度によっては、膝関節を人工関節に置き換える必要もあります。そうした人工関節の手術を受けると後遺障害8級7号または10級10号の認定を受ける可能性があるでしょう。

等級認定基準
8級7号1下肢の3大関節中の1関節の機能の用を廃したもの
10級10号1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

人工関節を入れたにもかかわらず、膝関節の可動域が2分の1以下になった場合には8級7号認定が想定されます。人工関節を入れた場合には少なくとも10級10号の認定となるのです。

痛みやしびれなどの神経症状

骨折後のしびれや痛みが残った場合、神経症状については12級13号または14級9号の認定を受けられる場合があります。

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

こうした神経症状については画像検査でその症状の存在が証明できれば12級13号、治療の経過や事故の衝撃などの状況から医学的に説明できれば14級9号認定を受けられる可能性があります。

大腿骨骨折の症状と治療|後遺症は残る?

大腿骨は太ももの骨のことで、上半身を支え、歩行するのに使う重要な部位といえます。

交通事故では、バイクに乗っていて自動車と接触して地面に打ちつけられたり、歩行中や自転車走行中の事故で転倒したことで大腿骨骨折を負ってしまうことも多いです。

ここからは大腿骨骨折の症状と治療、懸念される後遺症について解説します。

大腿骨骨折の症状

大腿骨骨折の症状は、痛み、腫れ、関節の可動域制限などがあげられます。受傷直後には歩行できない場合もありますが、骨折の態様しだいでは痛みも比較的軽く、受傷直後に歩行できる場合もあるでしょう。

大腿骨骨折の治療方法

骨折の部位や状態によって、固定して安静にするのか、手術をするのかが判断されます。

骨折の態様によっては、ベッド上で安静にすることや牽引などの保存治療も可能です。ただし、かなりの時間がかかることが予想されます。

そのため、外科手術による固定術がとられることも多いでしょう。骨折部によっては血流が悪いことで壊死につながりかねず、人工骨頭置換術が選択されることも多いです。

大腿骨骨折の後遺症

骨折の程度や部位によりますが、歩きづらさや麻痺、痛みやしびれ、変形などの後遺症が残る場合があります。

たとえば大腿骨の上部は、大腿骨頭、大腿骨頸部、大腿骨転子部の3つで構成されています。この3つの部位の中で最も多いと言われているのが、大腿骨頸部骨折です。

大腿骨頸部骨折は後遺症のリスクが高い

とくに大腿骨頸部は、骨折面が斜めになっていて正常にくっつきにくく変形や偽関節を伴う可能性が高いこと、血行障害により骨がくっつきにくいといった特徴があり、後遺症が残りやすいとされています。

大腿骨頸部骨折の主な後遺症は、股関節の動かしづらさ(機能障害)、股関節の痛み(神経障害)です。

大腿骨骨折で認定される後遺障害等級

大腿骨骨折では、左右の足の長さが変わる短縮障害、可動域が制限される機能障害、痛みやしびれといった神経障害について、後遺障害認定を受けられる可能性があります。

短縮障害

骨折後の癒着で大腿骨が短縮してしまい、下肢が短くなったことは後遺障害8級5号、10級8号、13級8号に該当する可能性があります。

等級認定基準
8級5号1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
10級8号1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13級8号1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

機能障害(人工骨頭や関節を含む)

大腿骨骨折により股関節が動かしづらくなった場合、骨折していない方と比べた可動域の制限の程度によって、後遺障害等級が決まります。機能障害については、後遺障害8級7号または10級11号に認定される可能性があるでしょう。

等級認定基準
8級7号1下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
10級11号1下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
12級7号1下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

人工骨頭や人工関節を入れた場合、とくに制限なく後遺障害10級8号に該当します。

8級7号については、骨折をした側の股関節が、骨折をしていない側の股関節と比べて2分の1以下しか動かせなくなった場合に該当する見込みです。

12級7号は人工骨頭や人工関節は挿入していないものの、骨折をしたことで、骨折していない側と比べて4分の3以下に可動域が制限されたものをいいます。

痛みやしびれなどの神経症状

骨折後の神経症状については12級13号または14級9号の認定を受けられる可能性があります。神経症状とは痛みやしびれなどと考えてください。

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

痛みやしびれはあくまで自覚症状になるため、客観的に認めてもらう必要があります。

痛みやしびれなどの神経症状について、画像検査でその症状の存在が証明できれば12級13号認定が受けられる可能性があるでしょう。一方で、治療経過や事故状況から医学的に説明できるならば14級9号認定を受けられる可能性があります。

交通事故で足を骨折したときの慰謝料相場

交通事故で足を骨折した場合には慰謝料を請求できます。慰謝料には入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つがありますので、それぞれの相場を確かめておきましょう。

交通事故で足を骨折したときの入通院慰謝料

交通事故で足を骨折したときの入通院慰謝料は、治療にかかった期間を基準に計算します。

下表は弁護士が用いる入通院慰謝料の算定表で、入院月数と通院月数の重なる部分が入通院慰謝料の相場となるのです。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

たとえば、大腿骨骨折によって入院2ヶ月・通院6ヶ月という治療期間であれば、入通院慰謝料の相場は181万円です。通院が長引いて、入院2ヶ月・通院10ヶ月の場合は入通院慰謝料相場は203万円です。

ただし、相手の任意保険会社は日額ベースで計算してくるので、弁護士基準の入通院慰謝料よりも低額で示談を迫ってくる場合があります。相手方から金額提示を受けたときにはすぐに示談書にサインせず、いったん弁護士に見解や増額の見込みを聞いてみましょう。

入通院慰謝料のおおよその金額を知るためには、自動計算ツールである「慰謝料計算機」が便利です。

交通事故で足を骨折したときの後遺障害慰謝料

交通事故で足を骨折したとき、後遺障害認定を受けていれば後遺障害慰謝料を請求できます。後遺障害慰謝料は後遺障害等級ごとに相場があるので、適切な後遺障害等級の認定を受けることが大切です。

後遺障害慰謝料の相場を以下に示します。

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護1,6502,800
2級・要介護1,2032,370
1級1,1502,800
2級9982,370
3級8611,990
4級7371,670
5級6181,400
6級5121,180
7級4191,000
8級331830
9級249690
10級190550
11級136420
12級94290
13級57180
14級32110

※慰謝料の単位:万円/自賠責の金額は2020年4月以降に発生した事故に適用

後遺障害慰謝料は、自賠責保険から支払われる金額と、本来法的に認められている金額に違いがあります。そのため、自賠責保険から支払われる金額だけを受け取るのでは損をしてしまうのです。

たとえば、大腿骨の骨折で人工骨頭を入れた場合、後遺障害10級8号と認定されます。自賠責保険の支払基準では、後遺障害慰謝料が190万円とされますが、法的に適正な慰謝料額は550万円です。

交通事故慰謝料相場の3基準

交通事故の慰謝料は、同じ事故であってもどんな基準で算定するのかで金額が変わります。弁護士基準と呼ばれる金額は裁判でも認められているものですが、なかなか相手の保険会社が示談の段階で受け入れてくれるものではありません。

示談交渉の段階で弁護士を立て、弁護士基準での慰謝料獲得を目指していきましょう。

交通事故で脛骨高原骨折や大腿骨骨折を負ったら弁護士に相談

交通事故の賠償問題は、弁護士を入れることで次のようなメリットがあります。

  • 損害賠償金全体の増額交渉を任せられる
  • 後遺障害等級認定の申請手続きをサポートできる
  • 疑問や不明点について助言してもらえる

これら以外にも弁護士に依頼するメリットは多数ありますが、どういった弁護士に相談するべきかは悩んでしまうものでしょう。

足骨折の賠償請求を任せる弁護士選びのポイント

交通事故の損害賠償請求を弁護士に任せるときには、次のような点に注目して弁護士を探すことをおすすめします。

  • 交通事故の解決実績の多さ
  • 説明が分かりやすいかどうか
  • 費用倒れのリスクはないか

解決実績はホームページで確認できることが多いです。軽傷案件だけでなく、骨折のような重傷案件にも対応していると、後遺障害等級認定の申請にも慣れているので、安心して任せることができます。

また、説明の分かりやすさにも注目です。法律や損害賠償の用語は聞きなれないものも多いですが、できるだけ噛み砕いて話をしてくれる弁護士だと、コミュニケーションもスムーズに進みます。

費用倒れとは、被害者の手元に入ってくるお金が、弁護士に依頼することでかえって減ってしまう事象です。弁護士費用は法律事務所によって異なるので、費用の仕組みについて分からないままにせず、理解できるまでしっかりと確認しましょう。

こうした点に注意して、まずいきなり正式に依頼するのではなく、法律相談の活用をおすすめします。関連記事ではどのような弁護士に依頼すると良いのか、また、弁護士に依頼して後悔してしまう事例を紹介しているので参考にしてください。

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アトム法律事務所では、交通事故でケガをした被害者に向けての無料相談を実施しています。

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法律相談では、正式に依頼した場合の弁護士費用についても気兼ねなくおたずねください。その際には、あらかじめ利用可能な弁護士費用特約の有無を確かめておいていただくとスムーズです。

弁護士費用特約とは

保険会社が弁護士費用の全部または一部を負担するというもの。事故の損害賠償請求においては弁護士による交渉で、慰謝料が増額することが多いため特約に加入している場合は利用した方がよい。

特約の補償上限としては、法律相談料10万円、弁護士費用300万円としているケースが多いです。そのためほとんどの交通事故の弁護士費用は、弁護士費用特約で全額支払うことができ、被害者の自己負担は0円になることが多いでしょう。

弁護士費用特約のメリット

もっとも足の骨折による損害賠償請求額が数千万円になる場合には、弁護士費用特約の補償上限を超える可能性もあります。弁護士費用は損害賠償請求額しだいとなる部分が多いので、まずは弁護士がお話をお伺いさせていただいて、弁護士費用の見通しをお伝えすることになるのです。

まずはお気軽に、アトム法律事務所の無料法律相談を使ってみてください。正式依頼とは全く別なので、法律相談の利用のみで終わっても問題ありません。強引に契約を迫ることは一切ないのでご安心ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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