足首骨折の後遺症(後遺障害)と慰謝料は?リスフラン関節脱臼骨折や捻挫も解説

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足首骨折の後遺症

足首の骨折では、足が以前のように動かせなくなったり、痛みやしびれといった後遺症が残る可能性があります。

足首には様々な部位があり、骨・関節・神経が複雑にかかわっている部位です。
そのため、足首のどの部分の骨を骨折してしまったのか、骨折以外にも関節や靭帯を損傷した場合にも後遺症のリスクがあります。

この記事では、足首の骨折を中心としてどんな後遺症が残りうるのか、後遺症が残った場合にどのような請求が可能となるのかという点を解説しています。

足首骨折により生じる損害について適切な損害賠償金額を獲得したいと考えている方は、参考にしてください。

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足首骨折の症状と治療

足首骨折の症状は、激しい痛みはもちろん、足の腫れやむくみ、内出血、歩行困難など様々に表れます。

まずは足首にどんな骨があるのか、骨折後の基本的な治療についてみていきましょう。

足首のつくり|骨の名前と位置をつかもう

足首の骨は、脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、距骨(きょこつ)の3つの骨が組み合わさってできています。
そして、足の関節を靭帯が保護しているという構造です。

骨折名やケガの名前として聞いても分かりにくいものなので、大まかな位置を表にしました。

骨・関節位置関係
脛骨(けいこつ)膝から足首までの2本の骨の、太いほうの骨
腓骨(ひこつ)膝から足首までの2本の骨の、細いほうの骨
距骨(きょこつ)足首を支え、足首の関節を構成する骨
外果(がいか)足首の外側にある骨
踵骨(しょうこつ)足のかかとの骨
中足骨(ちゅうそくこつ)足の甲にある骨
リスフラン関節足の甲の関節

どんなときに折れてしまう?

足にはいろんな骨がありますが、交通事故ではどんな風にして骨折してしまうのかを例示します。
あくまで一例ですが、事故の衝撃がどこから加わるのかで骨折箇所は様々です。

  • 足関節を外側へひねることで距骨に押される形で外果骨折が起こる
  • 転んだはずみで足を内側へひねってしまい、中足骨骨折が起こる
  • バイクや自転車から転落した際に踵を打ち付けて踵骨骨折が起こる
  • 自動車のブレーキを踏んだ状態で正面衝突して距骨骨折が起こる

足首骨折の治療方法

骨折が軽度の場合は、ギプスや副木固定によって治療が可能です。
ただし、骨折がひどい場合は、手術が必要になることもあります。

足首骨折の治療過程では適切なリハビリも重要です。リハビリによって足首の機能回復や筋力強化を目指します。

足首骨折の後遺症|後遺障害認定が必要

足首骨折の後遺症が後遺障害と判断されるための方法

足首骨折により後遺症が残った場合には、後遺症の症状が後遺障害に該当する可能性があります。

後遺障害に該当するという認定を受けると、請求できる慰謝料や損害賠償額が増加するのです。

後遺障害の認定を受けるための手続きは、以下のようにして行います。

  • 後遺障害診断書を医師に作成してもらう
  • その他に後遺障害の症状が生じていることを示す資料を収集する
  • 必要書類を調査機関に提出する
  • 調査機関が認定調査を行い結果が通知される

書類の収集や提出方法については、加害者側の任意保険会社に主導してもらう事前認定と、被害者自身が主導で行う被害者請求があります。

事前認定による方が被害者の負担は減りますが、適切な書類の収集を行いたいのであれば、被害者請求によるべきでしょう。

また、弁護士に依頼を行い、弁護士から被害者請求による申請を手伝ってもらえれば、被害者自身の負担を大きく減らせます。

足首骨折で認められる後遺障害の内容

足首骨折の後遺症として、運動障害、神経障害が残ってしまう場合があります。どんな後遺障害に該当しうるのかをみていきましょう。

運動障害(機能障害)|足首が以前のように動かせない

足首の可動域が狭くなると後遺障害認定される可能性があります。症状としては、歩行や階段をつかうことが困難になったりといった、運動障害が生じるのです。

具体的には、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。

運動障害については、足首の可動域制限の程度に応じて後遺障害等級が決まるため、医師による測定を行てもらいましょう。

足首骨折による運動障害の認定基準

等級認定基準
8級7号ほとんど足首が動かせない
10級11号通常の足と比べて、半分しか動かせない
12級7号通常の足と比べて、4分の3しか動かせない

神経障害|痛みやしびれが残っている

神経障害とは、足首の骨折に伴って周辺部の神経組織が損傷し、痛みやしびれとなって残存することをいいます。足首骨折による神経障害は、後遺障害12級13号または14級9号認定の可能性があります。

等級認定基準
12級13号医学的にその原因を説明できる画像所見がある
14級9号事故との因果関係が説明できる神経学的検査の結果がある

そもそも神経障害は、画像所見に表れづらい部分があります。画像所見で確認できるものは頑固な神経症状があるものとして12級13号に認定される可能性があります。

画像所見としては、CTやMRIによる検査結果画像が望ましいでしょう。

一方で、画像所見では明確でなくても、神経学的検査で神経症状の残存が明らかになったなら、14級9号認定を受けられる可能性があるのです。

捻挫、靭帯損傷、リスフラン関節脱臼骨折で後遺障害は残る?

足首の骨折のほかにも、捻挫してしまったり、靭帯損傷にいたるなどのケガも起こりえます。
ここからは足首付近のケガと後遺症(後遺障害)を解説します。

足首の捻挫で後遺障害が残ることはある?

足首の捻挫により動揺関節となった場合には、後遺障害8級、10級、12級といった後遺障害認定を受ける可能性があります。

動揺関節による後遺障害等級と認定基準

等級認定基準
8級(8級7号相当)常に硬性補装具を必要とする
10級(10級11号相当)ときどき硬性補装具を必要とする
12級(12級7号相当)重激な労働等の際以外は硬性補装具を必要としない
12級(12級7号相当)習慣性脱臼

動揺関節は、靭帯損傷により関節がぐらついたり、通常曲がらない方向へ曲がってしまう関節運動の異常のことです。

手術で靭帯を修復・再建することを目指しますが、それでも改善されない場合には、後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

足首の靭帯を損傷したことで懸念される後遺障害は?

足首の靭帯損傷によって関節が動かしづらくなることで、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号の認定を受けられる可能性があります。

足首の靭帯損傷による後遺障害等級と認定基準

等級認定基準
8級7号ほとんど足首が動かせない
10級11号通常の足と比べて、半分しか動かせない
12級7号通常の足と比べて、4分の3しか動かせない

ケガをしていない健常な足首とケガをした足首の関節の可動域検査を行い、制限があるかどうかを確認する必要があります。

リスフラン関節脱臼骨折で後遺障害認定は受けられる?

リスフラン関節は足の甲の中心あたりにある関節で、足の動きにおいて重要な役割を持ちます。
骨折や脱臼で切断を伴った場合にも後遺障害認定を受けられるほか、痛みやしびれなどの神経症状でも後遺障害認定を受けられる可能性があるでしょう。

具体的には、リスフラン関節脱臼骨折により後遺障害4級7号、7級8号、12級13号、14級9号のいずれかに認定される可能性があります。

リスフラン関節にかかわる後遺障害等級と認定基準

等級認定基準
4級7号両足をリスフラン関節以上で失ったもの
7級8号1足をリスフラン関節以上で失ったもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

足首骨折の慰謝料相場と増額のポイント

交通事故で足首を骨折した場合に請求できる慰謝料には、後遺障害慰謝料と入通院慰謝料の2種類があります。それぞれの慰謝料の相場をおさえておきましょう。

足首骨折に後遺障害が認められる場合の慰謝料

足首骨折による後遺障害について後遺障害等級認定を受けた場合には、後遺障害慰謝料を請求することができます。

相場の金額は認定される後遺障害等級に応じて決まっており、具体的な金額は以下の通りです。

後遺障害慰謝料の相場(弁護士基準)

等級 弁護士基準
1級・要介護2,800万円
2級・要介護2,370万円
1級2,800万円
2級2,370万円
3級1,990万円
4級1,670万円
5級1,400万円
6級1,180万円
7級1,000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

たとえば、足首の骨折による機能障害で8級7号認定を受けたとき、後遺障害慰謝料の相場は830万円です。

ただし、この金額は裁判所で認められているもので、相手の保険会社が提案してくれる金額ではありません。

相手の保険会社は低い金額で提案してくる可能性が極めて高いので、示談交渉においては慎重な判断が必要です。

逸失利益の請求も可能

足首骨折により後遺障害等級認定を受けた場合には、後遺障害慰謝料だけでなく、逸失利益の請求も可能となります。

逸失利益とは、後遺障害の影響により事故以前のように仕事ができなくなった結果、減収することになる将来分の収入に対する補償です。

事故以前の収入や、事故後に働けると思われる年数、後遺障害による労働能力の減退の程度などから金額が判断されます。

詳しい計算方法については『【逸失利益の計算】職業別の計算方法を解説!早見表・計算機つき』の記事で確認可能です。

逸失利益の金額は高額になることが多いため、専門家である弁護士に正確な金額を確認してもらうことをおすすめします。

足首骨折の治療による慰謝料

足首骨折による治療のために入院や通院を行った場合には、入通院慰謝料を請求することが可能です。

交通事故の入通院慰謝料は治療期間をベースに算定します。
たとえば、足首の骨折により入院1ヶ月、通院6ヶ月かかったとき、入通院慰謝料の相場は149万円です。

下表に通院期間ごとの慰謝料相場を示します。

入通院慰謝料の相場

通院月数入院1ヶ月
3ヶ月115万円
6ヶ月149万円
9ヶ月170万円

表からも分かるとおり、通院期間が長いほど慰謝料が高額になります。
また、ここでは例として入院1ヶ月としましたが、入院がなく通院のみならば表よりも慰謝料は低くなる見込みです。

ただし、相手の保険会社が提案してくる金額は、このような計算方法で算出された金額より低額であることが多いでしょう。

示談交渉時に「満額です」と言われても信じ込まず、弁護士に見積もりを依頼してください。

注意点

足首の捻挫にとどまった場合には、骨折における金額相場よりも低い可能性があります。
これは、ケガが軽傷な場合と重傷な場合で慰謝料が変わりうるからです。慰謝料の見積りは弁護士に依頼しましょう。

自動計算機で相場の慰謝料や逸失利益を確認できる

下記の自動計算機を利用すれば、相場の慰謝料や逸失利益の金額を簡単に知ることが可能です。

相手方の提案してきた慰謝料額が適切か不安な方は、一度ご利用ください。

足首骨折により慰謝料以外も請求できる損害がある

上記で紹介した慰謝料とは、交通事故により生じた精神的苦痛に対する補償です。
そのため、交通事故により生じた財産的な損害については、別途、損害賠償請求が可能となります。

交通事故により足首骨折となり、後遺障害が生じた場合において請求できる損害とは、以下のようなものです。

請求可能な損害

足首骨折による慰謝料を増額するなら弁護士に相談を

交通事故の慰謝料には、実は同じ事故なのに「誰が計算するか」で金額が変わるという特徴があります。

具体的には、弁護士が計算する基準では高額になりますが、相手の自賠責保険会社や任意保険会社の基準では低額にとどまってしまうのです。

交通事故の慰謝料算定基準3つ

加害者へ慰謝料の請求を行うと、多くの場合は加害者が加入している任意保険会社との間で示談交渉を行い、具体的な金額を決めていくこととなります。

相手の保険会社との金額交渉では、保険会社は任意保険基準で計算を行った相場額より低い金額で示談するよう提案してくるでしょう。

そのため、増額交渉が必要となりますが、経験や知識が豊富な保険会社の担当者を相手に、適切に示談交渉を行うことは困難です。

そこで、法律の専門家である弁護士を立てて、相場の金額である「弁護士基準」で算出される金額により示談するよう交渉してもらいましょう。

専門家である弁護士からの主張であり、示談交渉が決裂すると裁判に発展することを警戒して、保険会社が増額を認めやすくなります。

弁護士に相談するなら無料法律相談がおすすめ

相場の金額の慰謝料を得るために、まずは弁護士への法律相談を通して、妥当な慰謝料はどれくらいなのか、弁護士に依頼することでどの程度の増額が可能なのかを確認しましょう。

同時に、依頼により生じる費用を確認し、弁護士費用を差し引いても、弁護士に依頼することで利益が生じるのかどうかを知ることができます。

弁護士費用は弁護士費用特約により軽減可能

弁護士費用特約とは、弁護士に支払う必要がある相談料や弁護士費用を保険会社が上限額まで代わりに負担してくれるという特約です。

利用しても基本的に保険料が変わらず、多くのケースで上限額内の負担となるので、積極的に利用しましょう。

関連記事:『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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