足首骨折の後遺症と慰謝料は?捻挫や靭帯損傷でも後遺障害は残る?

更新日:

足首骨折の後遺症 慰謝料の相場は?

足首の骨折では、足が以前のように動かせなくなったり、痛みやしびれといった後遺症が残る可能性があります。

足首には様々な部位があり、骨・関節・神経が複雑にかかわっている部位です。
そのため、足首のどの部分の骨を骨折してしまったのか、骨折以外にも関節や靭帯を損傷した場合にも後遺症のリスクがあります。

この記事では、足首の骨折を中心としてどんな後遺症が残りうるのか、後遺症が残った場合にどのような請求が可能となるのかという点を解説しています。

足首骨折により生じる損害について適切な損害賠償金額を獲得したいと考えている方は、参考にしてください。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!
事故被害者のための無料相談会

足首骨折~治療終了までの流れ

足首骨折の具体的な傷病名一覧

一口に足首骨折といっても、実際に診断書に書かれている傷病名は様々です。

まずは具体的にどのような骨・関節が「足首」にあたるのか確認してみましょう。

骨・関節位置関係
脛骨(けいこつ)膝から足首までの2本の骨の、太いほうの骨
腓骨(ひこつ)膝から足首までの2本の骨の、細いほうの骨
距骨(きょこつ)足首を支え、足首の関節を構成する骨
外果(がいか)足首の外側にある骨
踵骨(しょうこつ)足のかかとの骨
中足骨(ちゅうそくこつ)足の甲にある骨
リスフラン関節足の甲の関節

これらの骨のパーツに「~骨折」などとついている傷病名の場合が、この記事で説明する「足首骨折」にあたります。

実際の事故では、以下のようなシチュエーションで足首骨折が起こることがあります。

  • 足関節を外側へひねってしまい、距骨に押されて外果骨折が起こる
  • 転んだはずみで足を内側へひねり、中足骨骨折が起こる
  • バイクや自転車から転落し、踵を打ち付けて踵骨骨折が起こる
  • 自動車のブレーキを踏んだ状態で正面衝突し、距骨骨折が起こる

足首骨折の治療の流れ

足首骨折の症状として、激しい痛み、足の腫れやむくみ、内出血、歩行困難などが起こります。

骨折が軽度の場合は、ギプス固定によって治療が可能です。

また骨折がひどい場合は、手術が必要になることもあります。

いずれの場合であっても、骨が癒合するように体重をかけず、安静にして過ごすようにします。

骨が癒合したあとは、医師や理学療法士の指示に従い、リハビリを行うのが一般的です。

足首骨折の症状固定まではどのくらいかかる?

骨折の部位による部分が大きいですが、一般的には半年から1年程度が多いでしょう。

足首骨折のなかでも、脛骨や距骨は血流が流れにくく、骨が癒合しにくいと言われています。

また、足首骨折で手術をした方は、半年~一年後に抜釘手術をすることが多く、術後経過によってはさらに治療期間が延びることもあります。

治療が長期化しても焦らず、医師の指示にしたがって定期的な通院をするようにしましょう。

足首骨折の後遺症|後遺障害認定が必要

足首を骨折して、後遺障害が残ったという認定を受けると、請求できる慰謝料や損害賠償額が大きく変わってきます。

具体的にどのような後遺障害が考えられるのか、見ていきましょう。

足首骨折で認められる後遺障害の内容3種類

足首骨折の治療・通院を十分行っても症状が改善しない、症状固定の状態になったとき、以下のような症状が残っているならば、後遺障害申請を行うべきです。

①運動障害(機能障害)|足首が以前のように動かせない

事故後足首の可動域が狭くなり、歩行や階段をつかうことが困難になる、という運動障害が残ることがあります。

足首骨折による運動障害は、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。

等級認定基準
8級7号ほとんど足首が動かせない
10級11号通常の足と比べて、半分しか動かせない
12級7号通常の足と比べて、4分の3しか動かせない

運動障害については、足首の可動域制限の程度に応じて後遺障害等級が決まるため、医師による測定が必要です。

足首骨折による運動障害の認定基準

②神経障害|痛みやしびれが残っている

足首の骨折に伴って周辺部の神経組織が損傷し、痛みやしびれなどの神経症状が残ることがあります。

足首骨折による神経障害は、後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。

等級認定基準
12級13号医学的にその原因を説明できる画像所見がある
14級9号事故との因果関係が説明できる神経学的検査の結果がある

なお神経障害は、CTやMRIなどの画像所見に表れづらい部分があります。

画像所見では明確でなくても、神経学的検査で神経症状の残存が明らかになったなら、等級認定を受けられる可能性があります。

③足の短縮|足が短くなってしまった

脛骨や腓骨を骨折すると、骨の癒合の仕方によっては片方の足が短くなってしまうことがあります。

そのような下肢短縮による後遺障害としては、後遺障害8級5号10級8号、13級8号に認定される可能性があります。

等級認定基準
8級5号1本の足が5cm以上短くなった
10級8号1本の足が3cm以上短くなった
13級8号1本の足が1cm以上短くなった

足首の捻挫、靭帯損傷、リスフラン関節脱臼骨折の後遺症

足首の骨折のほかにも、捻挫してしまったり、靭帯損傷などのケガでも、後遺障害が残ることがあります。

足首の捻挫による動揺関節

足首の捻挫により、靭帯損傷により関節がぐらついたり、通常曲がらない方向へ曲がってしまう関節運動の異常(動揺関節)が生じることがあります。

動揺関節となった場合には、後遺障害8級、10級、12級に認定される可能性があります。

動揺関節による後遺障害等級と認定基準

等級認定基準
8級7号相当常に硬性補装具を必要とする
10級11号相当ときどき硬性補装具を必要とする
12級7号相当重激な労働等の際以外は硬性補装具を必要としない
12級7号相当習慣性脱臼

手術で靭帯を修復・再建することを目指しますが、それでも改善されない場合には、後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

足首の靭帯損傷による運動障害

靭帯損傷によって足首の運動障害が生じることで、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。

足首の靭帯損傷による後遺障害等級と認定基準

等級認定基準
8級7号ほとんど足首が動かせない
10級11号通常の足と比べて、半分しか動かせない
12級7号通常の足と比べて、4分の3しか動かせない

リスフラン関節脱臼骨折による後遺障害

リスフラン関節脱臼骨折により切断を伴った場合、神経症状が残ったときは後遺障害4級7号、7級8号、12級13号、14級9号に認定される可能性があります。

リスフラン関節にかかわる後遺障害等級と認定基準

等級認定基準
4級7号両足をリスフラン関節以上で失ったもの
7級8号1足をリスフラン関節以上で失ったもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

足首骨折の後遺症が後遺障害と認定されるまでの流れ

後遺障害の認定を受けるための手続きは、以下の通りです。

後遺障害申請の流れ

  1. 後遺障害診断書を医師に作成してもらう
  2. その他に後遺障害の症状が生じていることを示す資料を収集する
  3. 必要書類を調査機関に提出する
  4. 調査機関が認定調査を行い、等級結果が通知される

書類の収集や提出方法については、加害者側の任意保険会社に主導してもらう事前認定と、被害者自身が主導で行う被害者請求があります。

事前認定の方が手続きの負担は小さいですが、被害者請求の方が資料を豊富につけて申請手続きができるという利点があります。

また、弁護士に依頼を行い、被害者請求による申請を手伝ってもらえれば、被害者自身の負担を大きく減らせます。

関連記事

足首骨折の後遺障害慰謝料の相場と増額のポイント

交通事故で足首を骨折し、後遺障害が認定された場合には、通常の入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料を請求できます。

足首骨折に後遺障害が認められた場合の慰謝料

後遺障害慰謝料の相場は、最も重い1級で2800万円、最も軽い14級で110万円となっています。

具体的な等級ごとの金額は以下の通りです。

後遺障害慰謝料の相場(弁護士基準)

等級 弁護士基準※
1級・要介護2,800万円
2級・要介護2,370万円
1級2,800万円
2級2,370万円
3級1,990万円
4級1,670万円
5級1,400万円
6級1,180万円
7級1,000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

※裁判外で示談する場合は、この金額の8割~9割で決着することが多い

たとえば、足首の骨折による運動障害で12級7号認定を受けたとき、後遺障害慰謝料の相場は180万円です。

後遺障害慰謝料増額のポイント

後遺障害慰謝料については、相手の保険会社は相場より低い金額で提案してくる可能性が極めて高いです。

そのため、示談金の提示がされてもすぐに合意してはいけません。

弁護士に交渉を依頼することで、表にある弁護士基準の相場をベースに交渉を始めることができます。

後遺障害逸失利益の請求も可能

足首骨折により後遺障害等級認定を受けた場合には、後遺障害慰謝料だけでなく、後遺障害逸失利益の請求も可能となります。

後遺障害逸失利益とは、後遺障害の影響により事故以前のように仕事ができなくなった結果、減収することになる将来分の収入に対する補償です。

詳しい計算方法については『交通事故の逸失利益とは?計算方法を解説!早見表・計算機で相場も確認』の記事で確認可能です。

後遺障害逸失利益の金額は高額になることが多いため、専門家である弁護士に正確な金額を確認してもらうことをおすすめします。

下記の自動計算機を利用すれば、相場の慰謝料や逸失利益の金額を簡単に知ることが可能です。

相手方の提案してきた慰謝料額が適切か不安な方は、一度ご利用ください。

足首骨折により後遺障害慰謝料以外も請求できる損害がある

交通事故により足首骨折となった場合、ほかにも以下のような費目を請求できます。

請求可能な損害

足首骨折による慰謝料を増額するなら弁護士に相談を

交通事故の慰謝料には、実は同じ事故なのに「誰が計算するか」で金額が変わるという特徴があります。

具体的には、弁護士が計算する基準では高額になりますが、相手の自賠責保険会社や任意保険会社の基準では低額にとどまってしまうのです。

慰謝料金額相場の3基準比較

加害者へ慰謝料の請求を行うと、多くの場合は加害者が加入している任意保険会社との間で示談交渉を行い、具体的な金額を決めていくこととなります。

相手の保険会社との金額交渉では、保険会社は任意保険基準で計算を行った相場額より低い金額で示談するよう提案してくるでしょう。

そのため、増額交渉が必要となりますが、経験や知識が豊富な保険会社の担当者を相手に、適切に示談交渉を行うことは困難です。

そこで、法律の専門家である弁護士を立てて、相場の金額である「弁護士基準」で算出される金額により示談するよう交渉してもらいましょう。

専門家である弁護士からの主張であり、示談交渉が決裂すると裁判に発展することを警戒して、保険会社が増額を認めやすくなります。

足首骨折を弁護士に相談するなら無料法律相談がおすすめ

相場の金額の慰謝料を得るために、まずは弁護士への法律相談を通して、妥当な慰謝料はどれくらいなのか、弁護士に依頼することでどの程度の増額が可能なのかを確認しましょう。

同時に、依頼により生じる費用を確認し、弁護士費用を差し引いても、弁護士に依頼することで利益が生じるのかどうかを知ることができます。

弁護士費用は弁護士費用特約により軽減可能

弁護士費用特約とは、弁護士に支払う必要がある相談料や弁護士費用を保険会社が上限額まで代わりに負担してくれるという特約です。

利用しても基本的に保険料が変わらず、多くのケースで上限額内の負担となるので、積極的に利用しましょう。

関連記事:交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介

アトム法律事務所では、無料の法律相談を行っております。
交通事故案件に積極的に取り組んでいるため、経験が豊富な弁護士に、無料で相談を受けることが可能です。

無料相談の受付は24時間対応で行っているので、いつでも気軽にご連絡ください。無料相談の受付は24時間対応で行っているので、いつでも気軽にご連絡ください。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!
事故被害者のための無料相談会
交通事故被害者の方に選ばれ続けた実績
アトムを選んだお客様の声
交通事故被害者の方に選ばれ続けた実績
アトムを選んだお客様の声

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

突然生じる事故や事件に、
地元の弁護士が即座に対応することで
ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。